JPS6311442B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 従来、衝突の際に使用者の頭部を防護するため
の種々の形式の防護ヘルメツトが提案されてい
る。こうしたヘルメツトはフツトボール，ホツケ
ー，野球のような頭部を痛める可能性の大きい多
くのスポーツ関係者やまた競走者用ヘルメツトの
ような他の目的のために広く利用されている。か
つてどの程度の価格の防護ヘルメツトが実際に使
用者に供給されていたかは幾分不明であつて、ま
た使用者がヘルメツト着用にもかかわらず頭部を
痛めた場合には、衝撃によつて生じる頭部のシヨ
ツクはヘルメツトでほどよく防護される場合より
大きいことが明らに認められていた。

最近では、ヘルメツトが衝撃を受けた時、使用
者の頭部に何が起きるかを正確に測定する技術が
応用されてきた。特に、ヘルメツトに対する衝撃
に応じて頭部に実際に伝達される力を測定する試
験方法が考案されてきた。例えば、これらの力を
測定するのに落下試験が一般に用いられている。
加速度計は金属頭型内に置かれ、試験すべきヘル
メツトはこの型の上に置かれる。こうして組立て
た装置は衝突面上にある高さから落下され、加速
度計からの情報は記録される。このような試験で
は、組立てた装置はヘルメツトの所望の衝撃点を
選択するように調整され得る。加速度計の入力軸
からのデータはヘルメツトを介して金属頭型に伝
達される力を測定するため垂直落下軸に変換され
得る。このようにして、ヘルメツトは使用条件の
もとで適切に目的を達成し得るかどうかを知るた
めに試験され得る。

多くの場合、現在利用できるヘルメツトは期待
されたまたは所望の防護性能を備えてないことが
見い出された。従つて、使用者に最大量の防護を
与えるように実験室の試験で示され得る防護ヘル
メツトを作る努力が大いになされてきた。加え
て、総体的に満足なヘルメツトを得るためには他
のフアクタも考慮されなければならない。

第１に、ヘルメツトは使用中使用者にびつたり
合う必要がある、というのはそうでなければ完全
に満足な試験結果が当てにならなくなるからであ
る。ヘルメツトをぴつたり合わせるのは、合わせ
なければならない種々の頭部寸法のため相当困難
である。当然、ヘルメツトは各個に仕立てて作る
ことができるが、しかし実際問題としてこれはあ
まりには高価となりすぎる。従つて、ヘルメツト
はある範囲の寸法にわたつて調整でき、ヘルメツ
トの所望の力消散特性の落ちないことを保証する
ようにすべきであることが望ましい。

さらに、ヘルメツトは着用の際心地良い必要が
ある。使用者の頭部に接触するヘルメツトの内側
部分がかたすぎる場合には、使用者は使用によつ
て頭痛や他の不快感を生じ、そして使用者はヘル
メツトを利用しなくなる。以下の説明からわかる
ように、この発明による防護ヘルメツトは上記困
難を解決し、そして力の消散、心地良さおよび適
合性の観点から従来技術のものよりすぐれたヘル
メツトである。

この発明は加えられた衝撃を吸収するため内部
にライナを備えた外殻を有し、ライナが重なつた
流体充填室を備え、使用者の頭部に近い方の室が
所与衝撃に応じて他方の室より容易に圧縮できる
ことを特徴とする防護ヘルメツトを提供する。

好ましくは、外殻は流体充填室と使用者の頭部
に接触する比較的柔かくて気持ち良い内側面とを
もつたわみ材料製の内側ライナ、および内側ライ
ナと外殻との間に位置されかつ内側ライナ内の室
と外殻との中間に少なくとも部分的に配置した流
体充填室をもつたわみ材料製の外側ライナを備
え、外側ライナが衝撃に応じて内側ライナより少
なく変形し得る。

内側ライナは使用者の頭部に快感を与えかつ外
殻に加えられた比較的低いレベルの力を消散さ
せ、また外側ライナは外殻に加えられた比較的高
いレベルの力を消散させるように内側ライナも剛
構造をもつ。

この発明による防護ヘルメツトの幾つかの実施
例を以下、例として添附図面について詳しく説明
する。

全図面において同一符号は同じ部分を表わす。

第１〜６図に示す防護ヘルメツト３０はフツト
ボール用ヘルメツトとして用いるようにされる
が、しかし、この発明の原理はホツケー用ヘルメ
ツト、野球用ヘルメツト、競走者用ヘルメツトま
たは使用者の頭部を防護するための他の帽子のよ
うな任意の他の適当なヘルメツトにも用いられ得
ることが理解される。図示したように、このヘル
メツト３０はポリカーボネートアロイ（ポリカー
ボネートと少量のポリエチレンからなる）、硬質
熱可塑性材料または熱硬化性樹脂のような比較的
堅い材料から成る外殻３２を備えている。この外
殻３２は上方中心部分３３と、前方部分３４と、
後方部分３６と、下方前縁部３８と下方後縁部４
０と、一対の耳当て４２を備えている。外殻３２
はまたその上方部分に多数の離間した通気口４４
および頂部開口４６を備えている。第２〜４図に
最も明瞭に示すように、外殻３２は縦方向中心領
域および耳当て４２の部分に厚さの厚い部分４８
を含んでいる。

ヘルメツト３０はまたヘルメツトに加えられた
力を消散させるように外殻３２に位置決めされた
たわみライニング５０を備えている。第６〜８図
に示すようにこのたわみライニング５０は一対の
入れ子型の内側および外側たわみライナ５２ａ，
５２ｂを備えている。内側ライナ５２ａは上方中
空環状リム５４ａと、下方中心環状リム５８ａ
と、これらリム５４ａ，５８ａ間にのび、かつそ
れらリムに結合している多数の離間した中空のス
ポーク５６ａとから成つている。外側ライナ５２
ｂはそれぞれ符号５４ｂ，５８ｂ，５６ｂで示さ
れた同じ構造の環状リムおよびスポークから成つ
ている。図示したようにスポーク５６ａ，５６ｂ
およびリム５８ａ，５８ｂの側壁は一般に二等辺
三角形の多数の開口６０ａ，６０ｂを形成してい
る。リム５４ａ，５４ｂは一般にそれぞれのライ
ナの上方中心部分を通つてのびる円形開口６２
ａ，６２ｂを形成している。

第６，８図に最も明瞭に示すように、ライナ５
２ａはリム５４ａ，５８ａおよびスポークの連通
内部で構成した中空室６４ａを形成している。同
様に、外側ライナ５２ｂはリム５４ｂ，５８ｂお
よびスポーク５６ｂの内部で構成した別の中空室
６４ｂを形成している。通常、両方の室６４ａお
よび６４ｂは空気などの気体でふくらまされる
が、必要ならば外側ライナ５２ｂの室６４ｂには
その剛性を増大させるために液体を充填してもよ
い。

第６図に最も明瞭に示すように、ライナ５２ａ
はライナ５２ｂ内に両ライナのスポーク５６ａ，
５６ｂ、リム５４ａ，５４ｂ、リム５８ａ，５８
ｂおよび二つの室をほぼ合わせてはめ込まれる。
この構造において、二つのライナの開口６０ａ，
６０ｂ，６２ａ，６２ｂも整合状態にある。以下
の説明からわかるように、内側ライナ５２ａは使
用者の頭部に触れる柔かい相応した内側面６６ａ
を形成している。内側ライナ５２ａはヘルメツト
の内側から室６４ａをふくらませる弁６８ａを備
え、また外側ライナ５２ｂは第５図に示すように
外殻３２の開口４６を介して中空室６４ｂをふく
らませる弁６８ｂを備えている。内側ライナ５２
ａは必要ならば接着材またはホツクおよび入れ子
型のライナのスポークのまわりにのびるループ条
片または帯状体によつて外側ライナ５２ｂに固着
され得る。

好ましは、ライナ５２ａ，５２ｂは回転成形さ
れ、そしてポリ塩化ビニルプラスチゾル，エチレ
ンビニル，アセテート，ポリエチレン，または液
体ポリウレタンのような任意の適当なたわみ性ま
たは弾性材料で作られる。内側ライナ５２ａのジ
ユロメータかたさは外側ライナ５２ｂより低い。
従つて、代表的な例では、内側ライナ５２ａのシ
ヨアＡかたさは44〜55の範囲であり、また外側ラ
イナ５２ｂのシヨアＡかたさは75〜90範囲であ
る。

両ライナが気体でふくらまされている時、内側
ライナの弾性係数は外側ライナの弾性係数より小
さく、内側ライナは使用者の頭に触れて柔かく順
応する内側面６６ａを備えている。内側ライナ５
２ａは、外殻に加えられる比較的低いレベルの力
の衝撃に応じて、容易に圧縮してヘルメツト内の
エネルギを吸収し、快適なヘルメツト着用感を維
持する。外側ライナ５２ｂは、内側ライナ５２ａ
より剛構造を備え、外殻に加えられた比較的高い
レベルの力を消散させる。従つて、ライナ５２ａ
及び５２ｂは、衝撃点で種々の程度に圧縮または
変形して、外殻に対する種々の大きさの力の衝撃
から生じるエネルギを協同して吸収し、該衝撃を
消散させて、使用者を保護し、またその着用感を
常に快適に維持する。

第６，９図に示すように、ヘルメツトはほぼ台
形型の多数の弾性保持パツド７０を備えている。
弾性保持パツド７０は、中密度の独立気泡ポリ塩
化ビニルフオーム例えばEnsolite（Uniroyal社の
商品名）またはRubatex（Great American
Industries社の商品名）のような任意適当な材料
で作られ得る。弾性保持パツド７０の外表面は例
えば弾性保持パツドを液体ビニル樹脂、ポリウレ
タンまたはラテツクスのような適当な材料に浸す
ことによつて洗たくできる表面を形成するように
処理される。

第１〜６，２２図に示すように、弾性保持パツ
ド７０はライナ５２ａ，５２ｂの整列した開口６
０ａ，６０ｂ内に位置決めされ、弾性保持パツト
の拡がつた部分はこれらの開口の下部に隣接して
配置されている。弾性保持パツド７０はライナ５
２ａ，５２ｂのスポーク５６ａ，５６ｂ間の適当
な位置に弾性保持パツド７０を保持する取付装置
７２によつて外殻３２の内側に取外し可能に取付
けられ得る。取付装置７２は一対の相互係合ホツ
クおよびループ条片７４ａ，７４ｂのような周知
型のホツクおよびループ装置から成り、一方の条
片７４ａは弾性保持パツド７０の背面に固着さ
れ、また他方の条片７４ｂは外殻３２の内側表面
に固着されている。弾性保持パツド７０はライナ
の開口に通してパツドにおける条片７４ａを外殻
における条片７４ｂと係合させることによつてラ
イナの開口内にはめ込まれ得る。またパツド７０
は弾性保持パツドの上端を引つぱつてパツドにお
ける条片７４ａを外殻の内側における条片７４ｂ
から引きはなすことによつて開口から取外ずされ
得る。

図示したように、各弾性保持パツド７０は弾性
保持パツドの傾斜した側部をスポークの側部に隣
接させてライナ５０の隣接スポーク５６ａ，５６
ｂ間にのびている。弾性保持パツド７０は外殻３
２に固着されるので、弾性保持パツドは外殻３２
内におけるライナ５２ａ，５２ｂの回動またはす
べりを防止する。また、弾性保持パツド７０の側
部はスポーク５６ａ，５６ｂと摩擦係合してライ
ナに対する外殻３２の上向きの動きを防止する。
従つてライナ５２ａ，５２ｂは弾性保持パツト７
０によつて外殻３２内の適当な位置にしつかりと
保持される。弾性保持パツド７０が外殻３２から
内方へ十分な距離のびて内側ライナ５２ａのスポ
ーク５６ａの側部と係合し、弾性保持パツト７０
の内側面７６は複合ライナの内側面６６ａからわ
ずかに離間されていることは認められるべきであ
る。

弾性保持パツド７０はまた弾性保持パツド７０
の中間の位置にスポーク５６ａ，５６ｂを制限
し、それでスポークの膨張できる程度を制限しそ
してライナが衝撃によるエネルギを吸収できるよ
うにしている。力が外殻に特に弾性保持パツド７
０の領域に加えられると、ライナ５６ａ，５６ｂ
は幾分変形し、室内の流体は衝撃の領域で圧縮さ
れる。

しかしながら、ライナの膨張は弾性保持パツド
７０によつてこの領域に制限されるので、ライナ
の変形は減少され、またライナはこの領域におい
て比較的大きな衝撃抵抗すなわちクツシヨン効果
をもたらす。同様に、力が外殻３２の上方部分に
加えられると、流体は衝撃の領域からライナの下
方部分へ向つて流れ、また弾性保持パツド７０は
スポークの膨張を制限して衝撃の領域における流
体圧縮に対する大きな抵抗を与える。従つて弾性
保持パツド７０は外殻に加えられた力を消散させ
る付加的な弾性力をもたらす。

上述のように、弾性保持パツド７０の内側面７
６はライナ５２ａの内側面６６ａからわずかに離
間される。ライナ５２ａの内側面６６ａが弾性保
持パツド７０の内側面７６よりへこむような強烈
な衝撃が外殻に加えられると、弾性保持パツド７
０は衝撃エネルギを吸収するように働く。この場
合、弾性保持パツド７０は衝撃を柔らげ、そして
使用者の頭部が外殻３２の内側面に隣接した位置
へライナを変形させるのを防ぐ。従つて二つのラ
イナ５２ａ，５２ｂおよび弾性保持パツド７０は
共動してヘルメツトにおける衝撃によつて生じる
エネルギを吸収する。衝撃のレベルが比較的低い
時には、柔かい内側ライナ５２ａは、その内側面
６６ａが弾性保持パツド７０の内側面７６より下
方の位置へ押圧されることなしにこれらの衝撃を
柔らげ、この場合外側ライナ５２ｂはわずかに圧
縮され、そのような衝撃の消散を助ける。衝撃レ
ベルが比較的高い時には、比較的堅い外側ライナ
５２ｂは衝撃を消散させる第２レベルのエネルギ
吸収を行なう。衝撃が十分な大きさのものである
場合には、内側ライナの内側面６６ａは衝撃の領
域において弾性保持パツド７０の内側面７６より
下方へ押圧され、そしてライナおよび弾性保持パ
ツド７０は共動して衝撃によつて生じる多量のエ
ネルギを吸収する。弾性保持パツド７０はパツド
間にライナのスポーク５６ａ，５６ｂを制限する
ので、弾性保持パツドはライニング自体およびラ
イニングと保持弾性保持パツド７０との組合せに
よるエネルギ吸収間の平滑な移行をもたらす。完
全に内側ライナ５２ａは使用者の頭部に対する柔
かい気持ちよい表面をもたらし、また弾性保持パ
ツド７０は、ヘルメツトにおける比較的強烈な衝
撃の結果としてそれらが接触される時、頭部に対
する気持ちよい表面をもたらすように十分に柔ら
かい材料で作られる。

別の形状の弾性保持パツド７０′を第１０図に
示す。前に述べたように、弾性保持パツド７０′
は外殻の内側面に弾性保持パツドを固着するほぼ
台形の取付装置７２および洗たく可能な表面を備
えている。この実施例では、弾性保持パツド７
０′は、第９図に示すパツドについて説明してき
た材料のような使用者の頭部と接触する比較的柔
かい弾性材料の内側部分７８および比較的堅い弾
性材料の外側部分８０を有する。外側部分８０は
ゴムとポリ塩化ビニルフオームの混合材料、例え
ばDetroit，MichiganのDaviol Freeland and
Associates Inc.社によつて商品名De Celloで販
売された材料で作られ得る。第１０図に示す種類
の弾性保持パツド７０′はヘルメツトがなお一層
高レベルのエネルギを吸収できるようにする。

弾性保持パツド７０′が使用者の頭部に軽く触
れると、比較的柔かい内側部分７８はヘルメツト
内の衝撃を十分に吸収する。しかしながら、外殻
に極めて強烈な衝撃が加えられ、そして使用者の
頭部が保持パツド７０′に比較的強い力で接触す
ると、弾性保持パツド７０′の堅い外側部分８０
は衝撃によるエネルギを吸収し、一方弾性保持パ
ツドの柔かい内側部分７８は使用者の頭部を柔ら
げる。

第４，５，６，１８図に示すように、ヘルメツ
ト３０はまた弾性パツド１１４を備え、この弾性
パツド１１４はライニングの開口６２ａ，６２ｂ
内に取外し可能に位置決めされる。このパツド１
１４は弾性保持パツド７０または７０′について
上記で説明した材料のような任意、適当な材料で
作られ、そして前に述べたように洗たく可能な材
料の適当な被覆を備えている。

パツド１１４は前に述べたホツクおよびループ
条片のような取付装置１１６によつて外殻３２に
取外し可能に取付けられる。パツド１１４はほぼ
開口６２ａ，６２ｂの形に相応しており、そして
ライナからパツド１１４を容易に取外しできるよ
うに一端近くに切欠き１１８を備えている。パツ
ド１１４はまた外殻３２内の適当な位置にライナ
を保持しかつ、ヘルメツトに対する高レベルの衝
撃によるエネルギを吸収するように作用する。

第１，５，６図に最も明瞭に示すように、保持
パツド７０の上方端部はそれぞれライナ５２ａ，
５２ｂのリム５４ａ，５４ｂから離間され、そし
て開口６０ａ，６０ｂ内にはつきりした空所を残
している。図示したように、外殻３２における通
気口４４は空所８２に相対して設けられ、それで
空気が外殻の内側と外側との間を循環してヘルメ
ツトの内側を通気できるようにされる。

第１，３，６図に示すように、ライナのリム５
８ａ，５８ｂは外殻３２の下方後縁４０から上方
に離間している。第１７図に示すように、細長い
後部パツド８４は外殻の下方後部分に挿入するた
めに設けられる。このパツド８４は第９図の保持
パツド７０について述べてきた独立気泡フオーム
材料のような任意適当な弾性材料で作られ、そし
て洗たく可能な被覆が施され得る。パツド８４は
外殻内に配置した時しわを寄せずにパツドが曲が
るように多数の長手方向に離間したスロツト８６
を備えている。第１，３，６図に示すように、後
部パツド８４はライナの下方で外殻内に位置決め
され、外殻３２の下方後部分のまわりにのびてい
る。パツド８４はパツドの背面に沿つて長手方向
に離間しかつ外殻の下方後部内側面のまわりに設
けられたホツクおよびループ条片のような適当な
取付け装置８８によつて外殻３２の内側面に取外
し可能に取付けられる。後部パツド８４はパツド
を外殻に押し付けて取付装置８８のホツクおよび
ループ条片を互いに係止させることによつてライ
ナの下方で外殻に装着される。図示したように後
部パツド８４のスロツト付下方部分は外殻３２の
下方後縁部４０より下方へのびている。従つてパ
ツド８４は外殻の下方後部分に対する衝撃に対し
て使用者の頭部および首を柔らげ、またパツド８
４の下方部分は、使用者の首が外殻の下方後縁４
０に当るのを防護する。後部パツド８４は普通使
用者の頭部または首に接触しているので、パツド
の厚さは外殻に対するより良いクツシヨン効果を
得るため使用者の頭部の特殊な輪郭に合うように
選択され得る。

第１，２，６図に示すように、ライナ５２ａ，
５２ｂのリム５８ａ，５８ｂも外殻３２の下方前
縁部３８の上方に離間されている。第１６図に示
すように、細長い弾性前部パツド９０は外殻の下
方前部分に対して使用者の頭部を柔らげるために
設けられる。このパツド９０は保持パツド７０に
ついて上述した独立気泡フオーム材料のような任
意適当な材料で作られ得る。また、前部パツド９
０の外側面は前に述べたように洗たく可能な材料
で被覆され得る。第１，２，６，１６図に示すよ
うに、前部パツド９０は前述のホツクおよびルー
プ条片のような取付装置９２で外殻の下方前部分
に取外し可能に取付けられ、上記条片はパツド９
０の背面および外殻３２の下方内側面に沿つて長
手方向に離間されている。従つて、パツド９０は
パツドを外殻の下方前部分に押し付けて取付装置
９２のホツクおよびループ条片を互いに係止しパ
ツドを適当な位置に保持することによつて適当な
位置に装着される。こうしてパツド９０はライナ
５０の下方に位置され、外殻の下方前部分のまわ
りにのび、また前部パツド９０の下方面は外殻の
下方前縁部に隣接して配置される。図示したよう
に、パツド９０は耳当て４２の前方内側部分を覆
う両端部に隣接した一対の付属のタブ９４を備え
ている。前部パツド９０の厚さは後部パツド８４
の場合のように使用者の頭部の特殊な寸法に合う
ように選択され得る。前部パツド９０は外殻の下
方前部分の付近に対する衝撃を吸収するように働
く。第４，６図に示すように、ヘルメツト３０は
外殻３２の外側と内側との間にのびる汗取りバン
ド９６を備えている。この汗取りバンド９６は水
蒸気の伝達し得る柔かい多孔性材料の板のような
任意適当な材料で作られ得る。例えば、汗取りバ
ンドはRogers Corporation社によつて商品名
PORONで販売された材料のような織物材料の補
強裏打ちを施した多孔性ポリ塩化ビニル材料で作
られ得る。第１，２，６図に示すように、汗取り
バンド９６の一端１００は細長いＵ型プラスチツ
ク保持部材１０２内に受けられ、また汗取りバン
ドの一端１００および保持部材１０２はねじ１０
４によつて外殻の外側に固着される。

第１１，１２図に示すように、汗取りバンドの
他端１０６は一対のタブ１０８を形成するように
二または分けられ、各タブは外殻の内側の取付装
置７２に取外し可能に取付ける取付装置１１０を
備えている。取付装置１１０は外殻の内側の条片
７４ｂと同様なホツクおよびループ条片から成つ
ており、条片７４ｂはまた外殻に保持パツド７０
を装着するのにも用いられている。図面ではライ
ナはスポークを外殻の前部に隣接して整列して示
され、取付条片７４ｂはスポーク間のライナ開口
内に位置決めされている。第１２図に示すよう
に、汗取りバンド９６の他端１０６はタブ１０８
における取付装置１１０をスポークの両側の取付
条片７４ｂに取付けることによつて適当な位置に
装着される。従つて一対の保持パツド７０はスポ
ークの両側のライナ開口内に位置決めされ、そし
て保持パツド７０の背面の取付条片７４ａを外殻
３２の内側の取付条片７４ｂに係止させることに
よつてタブ１０８上の適当な位置に固着される。
従つてパツド７０は外殻の内側に対してタブ１０
８を保持するようにする。

このように位置決めすると、汗取りバンド９６
は外殻３２の下方前縁部３８、前部パツド９０お
よびライナ５０の下方リムのまわりにのび、そし
て前部スポークの一部分を覆つている。従つて、
汗取りバンド９６は前部パツド９０およびライナ
５０の下方前部分を外殻内の適当な位置に保持す
るようにする。第６，１１図に示すように、汗取
りバンド９６はまた弾性パツド１１２を備えてお
り、このパツド１１２は汗取りバンドの側縁部間
にのび、そして汗取りバンド９６と外殻３２の下
方前縁部３８との間に配置される。パツド１１２
は連続気泡ポリ塩化ビニルフオームのような任意
適当な材料で作られ得る。パツド１１２は外殻の
下方前縁部３８における頭部のクツシヨンを構成
する。

第１，２，４，６図に示すように、ヘルメツト
３０は耳当て４２の下方内側部分に固着した一対
のあごパツド１２０を備えており、これらのパツ
ド１２０の下方面はほぼ耳当て４２の下縁部に相
応している。あごパツド１２０は上述のホツクお
よびループ取付装置または図示したようなオス、
メススナツプフアスナーのような適当な取付装置
１２２によつて耳当て４２に取外し可能に取付け
られ得る。第１３，１４図に示すように、各あご
パツド１２０は連続気泡ポリウレタンフオームの
ような適当な材料から成る弾性内側パツド１２４
と、独立気泡ポリ塩化ビニルフオームのような柔
かくて気持ちよい材料から成る前部カバーシート
１２６と、パツド１２０の側部に隣接して前部カ
バーシート１２６に結合されたポリ塩化ビニルシ
ートのような適当な材料から成る後部カバーシー
ト１２８とから成つている。従つて、前部および
後部カバーシート１２６，１２８は内側パツド１
２４を収容する室１３０を形成している。後部カ
バーシート１２８は開口１３２を備え、また取付
装置１２２のメス取付部材１３４はこの取付部材
１３４を貫通しそして開口１３２と連通した開口
１３６を備えている。従つて空気は取付部材を通
つて室１３０とあごパツド１２０の外側との間へ
流れ得る。従つて、被覆されたフオームパツド１
２４はヘルメツトの使用中収縮および膨張するよ
うにされ、また取付部材１３４は、後部カバーシ
ート１２８が開口１３２のまわりで裂けたり破れ
たりするのを防ぐ。

あごパツド１２０に対する取付装置１２２の別
の実施例を第１５図に示す。この実施例では、取
付装置１２２は弾性保持部材１３８を有し、この
保持部材１３８は後部カバーシート１２８の後方
でパツド１２０の内側に配置された基部１４０と
拡がつた外側ヘツド１４２とを備えている。取付
部材１３８のヘツド１４２は外殻３２の外側面と
係合するまで外殻３２における穴１４４を通り、
そして外殻の内側面に対してあごパツドを適当な
位置に係止する。

第１図に示すように、ヘルメツト３０はまた使
用者の頭部にヘルメツトを装着するあごひも１４
６を有する。このあごひも１４６は一対の保持ひ
も１４８，１５０を備え、これらの保持ひもはあ
ご受け１５２を支持するように下方の離間した位
置で交差している。保持ひも１４８，１５０の上
方端部は外殻３２の両側の取付要素１５４，１５
６内を摺動できる。あご受け１５２と外殻３２と
の間隔は取付要素１５４，１５６における保持ひ
も１４８，１５０の調整によつて変えることがで
きる。

第１９，２０図に示すように、保持ひも１４
８，１５０は離間した交差位置１５８，１６０で
互いに縫合せられ、また保持ひも１４８，１５０
はあご受け１５２の部分で互いに離間されてい
る。あご受け１５２は汗取りバンド９６について
上述した多孔性材料のような柔かくて気持ちのよ
い材料のシート１６２から成つている。第２１図
に最も明瞭に示すように、シート１６２の横方側
端１６４は保持ひも１４８，１５０上に折りたた
まれ、そしてシート１６２およびそれの側端１６
４に縫合される。従つてシート１６２は側縁部１
６６を備え、この側縁部１６６は比較的堅いひも
の側縁部１６８を越えてのび、そして使用者のあ
ごに接触しかつヘルメツトの使用中ひもで使用者
の皮膚を切るのを防ぐ柔かい縁部を形成してい
る。

ヘルメツトは次のようにして組立てられ得る。
ライナ５２ａをライナ５２ｂ内に位置決めし、そ
してはめ込んだこれらのライナを外殻３２内には
め込み、一対の整列したスポーク５６ａ，５６ｂ
が外殻の前部分に隣接して配置されるようにす
る。その後、前部パツド９０および後部パツド８
４を外殻の下方前部分および後部分でライナ５２
ａ，５２ｂの下方の適当な位置に装着し、ライナ
５２ａ，５２ｂを外殻内の適当な位置に保持する
ようにする。その後汗取りバンド９６の端部１０
６を前部パツド９０およびライナ５２ａ，５２ｂ
の下方リムのまわりに通し、そしてタブ１０８を
ライナの前部のスポーク５６ａ，５６ｂの両側で
外殻の内側に装着する。その後保持パツド７０を
ライナ５２ａ，５２ｂの開口６０ａ，６０ｂを通
つて外殻に取付け、ライナ５２ａ，５２ｂを外殻
内の適当な位置に保持するようにし、そしてパツ
ド１１４をライナ５２ａ，５２ｂの上方開口６２
ａ，６２ｂを通つて外殻に取付ける。最後にあご
パツド１２０を耳当て４２の内側に固着する。

こうしてヘルメツトは使用者の頭部の特殊な寸
法に合うようにされる。内側ライナ５２ａはヘル
メツトを使用者の頭部にかぶせる前にヘルメツト
の内側から弁６８ａを介してふくらまされる。内
側ライナをふくらませる程度は外殻に対する頭の
寸法に多少関係する。その後ヘルメツトは使用者
の頭部にかぶせられそしてあごひも１４６によつ
て適当な位置に固定される。その後、外側ライナ
５２ｂは外殻の開口４６および弁６８ｂを介して
ライナ５２ａの内側面が頭部に気持ちよく接触す
るまでふくらまされる。こうしてふくらませるこ
とのできるライナおよびヘルメツトは種々の頭部
寸法に合うようにされ得る。当然、ぴつたりと合
わせる必要がある場合にはヘルメツトをはずして
内側ライナをさらにふくらませることができる。

第２３図に示す実施例では、ヘルメツト３０
は、保持パツド７０間にのびかつライニング５０
と外殻３２との中間に配置された弾性結合部材１
７０を備えている。パツド７０および弾性結合部
材１７０はライナ５２ａ，５２ｂを受ける切欠き
部分１７２をもつ第３の弾性ライナ１７４を形成
している。第３のライナ１７４は有利には一部片
構造から成り、例えば保持パツド７０がスポーク
の中間のライナ開口内へ突出するようにポリスチ
レンフオームまたは放射したポリエチレンフオー
ムによつて成形され得る。第３のライナ１７４は
スポークおよびライナのリムを受ける適当な切欠
きを備えている。第３のライナ１７４はふくらま
せることのできるライナを外殻内の適当な位置に
保持し、そして上記で述べた仕方で隣接パツドの
中間のライナの膨張を制限する。第３のライナ１
７４の結合部材１７０はライナと外殻３２との間
のヘルメツトに対する付加的なエネルギ吸収容量
を形成している。

第２４，２５図に示す実施例では、ヘルメツト
３０は一対のふくらませることのできる内側ライ
ナ５２ａおよび外側ライナ５２ｂを有し、これら
のライナは第１図に示示すものと同様である。ラ
イナ５２ａは比較的柔かい材料で作られ、使用者
の頭部に接触する柔かくて気持ちよい内側面６６
ａを形成し、またライナ５２ｂは比較的堅い材料
で作られ、外殻に加えられた比較的高いレベルの
力を消散させる。上述のように、ライナ５２ａ，
５２ｂは中空リム５４ａ，５４ｂおよびこれらの
リムから下方中空リム５８ａ，５８ｂへのびる中
空スポーク５６ａ，５６ｂを備えている。しかし
ながら、この実施例では、ライナ５２ｂのリム５
８ｂはライナ５２ａのリム５８ａの上方に離間さ
れている。

ヘルメツト３０はライナ５２ａの下方端部の下
側でしかもライナ５２ｂと外殻３２との間の空所
１９０に位置された第３の弾性ライナ１９２を有
している。この第３のライナ１９２は独立気泡ポ
リ塩化ビニルフオームのような任意適当な材料で
作られ得る。第３のライナ１９２は外殻３２の下
方後縁部４０の下方へのびる下方後部分１９４を
備え、使用者が外殻の下方後縁部に接触するのを
防護している。第３のライナ１９２の下方前部分
１９６は外殻３２の下方前縁部３８に隣接して配
置される。前に述べたように、ヘルメツトは耳当
て４２に固着された一対のあごパツド、ヘルメツ
トの内方、外方前部分間にのびる汗取りバンド、
およびライナ開口６０ａ，６０ｂ，６２ａ，６２
ｂの整列した部分を通つてのびる保持パツドを有
する。第３のライナ１９２は前に述べたように第
３のライナ１９２と外殻との間のホツクおよびル
ープ装置のような適当な取付装置によつて外殻の
内側面に固着され得る。

ライナ５２ａ，５２ｂは前に述べたように協同
して外殻に加えられる種々のレベルの力を消散さ
せる。第３の弾性ライナ１９２はライナ５２ａの
下方部分と共動して外殻特に外殻の下方部分に対
する衝撃に応じたエネルギを吸収する。同時に、
内側ライナ５２ａはヘルメツトの使用中使用者に
対して気持ちよい表面を備える。

【図面の簡単な説明】

第１図は防護ヘルメツトの一実施例の側面図、
第２図はそれの正面図、第３図はそれの背面図、
第４図はそれの底面図、第５図はそれの上面図、
第６図は第５図の線６―６に沿つた断面図、第７
図は第１図に示すヘルメツトの入れ子型ライナの
分解斜視図、第８図は第７図に示すライナの一方
の上方中心部分の断面図、第９図は第１図に示す
ヘルメツトにおける保持パツドの平面図、第１０
図は変形型の保持パツドの断面図、第１１図はほ
ぼヘルメツトの内側に位置決めされるべき汗取り
バンドを示すヘルメツトの前部分の内側を示す
図、第１２図はヘルメツトの内側部分に部分的に
固着した汗取りバンドを示す図、第１３図は第１
図に示すヘルメツトのあごパツドの平面図、第１
４図は第１３図の線１４―１４に沿つた断面図、
第１５図は第１３，１４図に示すあごパツドの固
着装置を示す断面図、第１６図は第１図に示すヘ
ルメツトの前部パツドの平面図、第１７図は第１
図に示すヘルメツトの後部パツドの平面図、第１
８図は第１図に示すヘルメツトの上方保持パツド
の平面図、第１９図は第１図に示すヘルメツトの
あごひもを示す上面図、第２０図はあごひもの底
面図、第２１図は第２０図の線２１―２１に沿つ
た断面図、第２２図は第１図の線２２―２２に沿
つた断面図、第２３図はヘルメツトの別の実施例
を示す、第２２図と同様な図、第２４図はヘルメ
ツトの別の実施例を示す断面図、第２５図は第２
４図の線２５―２５に沿つた断面図である。 図面中、３０は防護ヘルメツト、３２は外殻、
５０はライニング、５２ａ，５２ｂはライナであ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 剛性の外殻と、この外殻の内側に設けられた
   膨張可能のクラウン形状のライナとを具え、この
   ライナが中空の下部リムと一連の離間した中空の
   スポークとによつて構成され、内部に充填される
   空気の流れを制限しない２個の重なつた別個の流
   体充填室を有する防護ヘルメツトにおいて、前記
   ライナが入れ子状に重ねられた内側ライナ５２ａ
   および外側ライナ５２ｂから構成され、各ライナ
   が中空の下方リム５８ａ，５８ｂと一連の離間し
   た中空のスポーク５６ａ，５６ｂを備え、各ライ
   ナの下方リムおよびスポークがそれぞれ充填され
   た空気の流れを制限しない共通流体充填室を形成
   し、内側ライナ５２ａが外側ライナ５２ｂより軟
   質の材料で造られ、かつ、低い弾性係数を有する
   ことを特徴とする防護ヘルメツト。 ２ 内側ライナのシヨアＡかたさが45〜55の範囲
   内であり、また外側ライナのシヨアＡかたさが75
   〜90の範囲内であることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項に記載の防護ヘルメツト。 ３ 外殻を介して外側ライナにおける室をふくら
   ませる装置を有することを特徴とする特許請求の
   範囲第１項に記載の防護ヘルメツト。 ４ ヘルメツトの内側の位置で内側ライナにおけ
   る室をふくらませる装置を有することを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項に記載の防護ヘルメツ
   ト。 ５ 両ライナがポリ塩化ビニルプラスチゾル、エ
   チレンビニル アセテート、ポリエチレンまたは
   液体ポリウレタンで作られることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項に記載の防護ヘルメツト。 ６ 各ライナが上方中心部分から放射状にのびる
   多数の中空スポークを備え、内側ライナのスポー
   クが外側ライナのスポークと整列していることを
   特徴とする特許請求の範囲第２項に記載の防護ヘ
   ルメツト。 ７ 各ライナがスポークと連通した中空の上方及
   び下方リムを備えていることを特徴とする特許請
   求の範囲第６項に記載の防護ヘルメツト。 ８ 内側ライナが外側ライナ内に取外し可能に位
   置決めされていることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項に記載の防護ヘルメツト。 ９ 外側ライナの室が液体で満されていることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の防護ヘ
   ルメツト。