JPS631050Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、パイプ部材で成形したボールスタツ
ドを用いた軽量でコスト的に安価なボールジヨイ
ントに関する。

従来、自動車のサスペンシヨン機構の枢動継手
に用いられるボールジヨイントのボールスタツド
は、中実丸棒を熱間鍜造等により先端に球状のボ
ール端を形成し、このボール端をボールジヨイン
トソケツト内にボールシートの包着により摺動自
在に支承したジヨイント構造としている。

ところで、近年においては燃料消費効率の向上
を図るために各種の軽量化が進められており、ボ
ールジヨイントについても各種の試みがなされて
いるが、重要保安部品として充分な強度と信頼性
が要求されていることから、肉厚を薄くすること
或は合成樹脂等への材料転換にも限界があり、軽
量化をコストの低減と併せて実現することは困難
であつた。

本考案は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、スフエリカルピースを使用した
構造のボールジヨイントにおいて、軽量化とコス
トの低減を図るため、パイプ部材の先端を反転し
て半球状に形成したボール端を有し、該ボール端
の背面に反転縁部で囲まれた円周状の油溜りを有
するボールスタツドを用いることにより上記問題
点を解決することを目的としている。

以下、本考案を図面に基づいて説明する。

第１図は、本考案の一実施例を示した断面図で
ある。

まず構成を説明すると、１はボールジヨイント
ソケツト、２はボールスタツドで先端に半球状の
ボール端３を一体に形成している。このボールス
タツド２は、第２図に示すように、中空パイプ２
０の熱間鍜造等により作られたもので、第３図に
示すように中空パイプ２０の一端をパイプ内面が
外部に露出するように反転させて半球状に形成
し、又、中空パイプ２０の他端を絞り込んでテー
パー状の軸部２ａ及びネジ切りを行なうネジ部２
ｂのそれぞれを形成したものである。

このように中空パイプの加工により形成された
ボールスタツド２のボール端３の背後となる軸部
には、スフエリカルピース５が軸装された状態で
ボールジヨイントソケツト１内に収容され、又、
ボール端３に対してはプラスチツク等でなるボー
ルシート６が面着されてボールジヨイントソケツ
ト１に対し、ボールスタツド２を揺動自在に支承
している。ボールジヨイントソケツト１の開放端
部にはエンドカバー７がカシメ加工等により固着
され、エンドカバー７とボールシート６との間に
スプリング８が介装され、スプリング８によるボ
ールシート６の押圧によりボールスタツド２に所
定の摺動抵抗を与えている。又、ボールスタツド
２のボール端３の背面側には、中空パイプの先端
の反転による反転縁部で囲まれた円周溝でなる油
溜り４が形成されており、この油溜り４に入つて
いるグリースをボールスタツド２の軸部とスフエ
リカルピース５の摺動面に供給できるようにして
いる。更にボールスタツド２は、中空パイプで形
成されていることから、ボールスタツド２の内部
を通つてボールジヨイントソケツト１内に外部よ
り水、ダスト等が侵入するのを防止するため、ボ
ールスタツド２の内部には栓９が打ち込まれてパ
イプ孔を封止している。

次に作用を説明する。

まず本考案のボールジヨイントは、第２，３図
に示したように中空パイプ２０の加工によりボー
ル端３、テーパー状の軸部２ａ及びネジ部２ｂの
それぞれを形成したボールスタツド２を用いてい
ることから、中実丸棒の加工により形成されたボ
ールスタツドに比べ、ボールスタツド２の軽量化
が大幅に実現され、ボールスタツド２を作り出す
材料のコストも安価に出来るので、ボールジヨイ
ントをローコストにすることが出来る。

一方、中空パイプ２０のボール端３の成形に際
し、中空パイプの先端を反転することによりボー
ル端３の背面に形成される周状の溝を油溜り４と
しているため、ボールジヨイントの組立時に於い
て、ボールスタツド２の油溜り４にグリースを充
填した状態でボールジヨイントソケツト１内に組
込むことにより、スフエリカルピース５とボール
スタツド２との摺動面に対するグリース供給を容
易ならしめ、ボールスタツド２の潤滑性能をより
いつそう向上することが出来る。尚、ボールスタ
ツド２の強度を更に向上させたい場合にはボール
スタツド２のパイプ孔に補強用の芯材を圧入させ
ることにより簡単にボールスタツド２の剛性を高
めることが出来る。

以上説明してきたように、本考案によれば、そ
の構成をボールスタツドの先端に半球状のボール
端を有し、このボール端の背後となるスタツド軸
部にスフエリカルピースを軸装してボールジヨイ
ントケースに収納し、ボール端にボールシートを
摺動自在に面着した構造のボールジヨイントに於
いて、パイプ部材の先端を反転して半球状に形成
したボール端を有し、このボール端の背面に反転
縁部で囲まれた周状溝でなる油溜りを備えたボー
ルスタツドを用いるようにしたため、中実丸棒に
よるボールスタツドを用いた従来のボールジヨイ
ントに較べ軽量化を図ることが出来、又ボールジ
ヨイントを中空パイプ材料から作るようにしてい
るために材料コストの低減及び成形加工が容易と
なつて、コストの低減を図ることが出来、更に中
空パイプの先端を半転してボール端を形成するこ
とによりボール端の背面側に形成された周状溝を
油溜りとして利用することが可能となつてボール
スタツド２の潤滑性能を向上することが出来ると
いう効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示した断面図、第
２図はボールスタツドに加工する中空パイプの説
明図、第３図は中空パイプの加工状態を示した説
明図である。 １……ボールジヨイントソケツト、２……ボー
ルスタツド、２ａ……軸部、２ｂ……ネジ部、３
……ボール端、４……油溜り、５……スフエリカ
ルピース、６……ボールシート、７……エンドカ
バー、８……スプリング、９……栓、２０……中
空パイプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ボールスタツドの先端に半球状のボール端を有
   し、該ボール端の背後となるスタツド軸部にスフ
   エリカルピースを軸挿してボールジヨイントケー
   スに収容し、前記ボール端にボールシートを摺動
   自在に面着した構造のボールジヨイントに於い
   て、 前記ボールスタツドは、パイプ部材の先端を反
   転して半球状に形成したボール端を有し、該ボー
   ル端の背面に反転縁部で囲まれた周状溝でなる油
   溜りを備えたことを特徴とするボールジヨイン
   ト。