JPS6236200Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はカラー受像管におけるシヤドウマス
クを所定形状に成形する前の、いわゆるフラツト
マスクに関するものである。

周知のように、ストライプ型螢光面を有する角
形カラー受像管のシヤドウマスクは無数の規則正
しい略長方形の孔を有する金属板からなるが、こ
の孔の配列は一般にフラツトマスクの状態におい
ては、第１図Ａあるいは第１図Ｂのようになつて
いる。すなわち、第１図Ａにおいて、１はフラツ
トマスク、２は略長方形の孔で、孔２はその長手
方向に複数個連なり、かつこの連なりが複数個列
をなして並設され、孔２の長手方向に互いに隣り
あう孔の中心を結んでできる線は直線をなしてい
る。一方、第１図Ｂにおいては、孔２の長手方向
に互いに隣りあう孔の中心を結んでできる線は曲
線をなしている。

ところで、上記いずれの場合においても、フラ
ツトマスク１を正面からみたとき、孔２の配列は
上下左右対称なので、フラツトマスク１の中心０
で直角に交わる２直線を考え、孔２の長手方向に
一致する直線をｙ軸、これと直交する直線をｘ軸
とし、＋ｘ，−ｘ，＋ｙ，−ｙの方向をそれぞれ図の
ように定めて、中心０を原点にとるものとする。
そしていま第１象限（ｘ≧０，ｙ≧０）の領域だ
けを考え、上述した孔２の中心を長手方向に結ん
でできる線をｘ＝ｆ（ｙ）のような関数のグラフ
とみなせば、すべての上記の線は第１象限におい
て ｄｘ／ｄｙ≦０ ｄ^２ｘ／ｄｙ^２≦０ の条件を満足する。

このようなフラツトマスク１を所定の凸曲面に
成形してシヤドウマスクを作製し、これを内外面
が双方とも略球面をなしているパネルと組合せて
第２図のような周知のカラー受像管１０を組立て
る。このとき、完成した螢光面を正面から観察す
ると、第２図Ａに示すように、パネル３上で螢光
体が塗布されている有効螢光面４のりんかくは、
特に±ｘ端で中央部が外にふくらみ出たやや樽形
の形状となつている。そして、一般にフラツトマ
スク１の孔２の配列が第１図Ａのように全部平行
であつても、フラツトマスク１の成形その他によ
つて第２図Ａのような有効螢光面４の形状はある
程度満足されるのが普通であつた。

しかし、最近になつて現われた従来のものより
内外面の半径が著しく大きいパネルを使用したカ
ラー受像管においては、第１図Ａ，Ｂのようなフ
ラツトマスク１を使用した場合、完成した螢光面
４の±ｘ端を詳しく観察すると、第３図に示す傾
向があることがわかつた。すなわち、±ｘ端にお
いてＡ，A′で示されるような角のように見える
急な曲がり部が生じ、Ａ−A′間での螢光面４の
外側へのふくらみが著しく小さくなつてしまうの
である。これは、複数本の電子ビーム（図示せ
ず）の軌道が関係して決められる成形シヤドウマ
スクの曲面形状、その曲面を得るためのプレス成
形の際のフラツトマスク１の各部分の伸びの分
布、およびガラスからなるパネル３の周辺部の肉
厚の分布により光線が屈折して実際に螢光体が塗
布された部分がパネル３の外側の正面から見ると
実体と異なつて見えるなどの作用が総合して生ず
るものと考えられる。しかし、このような現象は
このカラー受像管１０を使用する機器のデザイン
上好ましいものではなく、特にＡ−A′間で｜ｙ
｜の小さい部分ではみかけ上の有効螢光面４が外
面へふくらんでおらず、内側にへこんでいるよう
な錯覚を与えることさえある。

この考案は上記のような従来のものの欠点を除
去するためになされたもので、成形前のフラツト
マスクの孔の配列を工夫することにより、螢光面
のりんかくに不自然な部分が生じないようにする
ことを目的としている。

以下、この考案の実施例を図面にもとづいて説
明する。第４図はこの考案の実施例であるフラツ
トマスク１を第１象限についてのみ示した図であ
る。座標軸のとり方などは第１図の場合と同様で
ある。図において、＋ｘ軸端にあるマスク孔２の
中心を孔の長手方向に結んでできる中心線２ａを
ｘとｙの関数であらわすと、ｙ＝０からｙの最大
値までの範囲で ｄｘ／ｄｙ≦０ であるのは従来のものと同じであるが、第３図
において角の生じた部分であるＡ部に対応する部
分のみが ｄ^２ｘ／ｄｙ^２＞０ の関係を満足するようになつている点が従来と
異なる。

もともと第３図において有効画面４がＡ部で角
を生じたのは、Ａ部の付近で有効画面４の端部の
線のd²x／dy²が負になりすぎるためである。した
がつて、フラツトマスク１を成形する以前にこの
付近のd²x／dy²をあらかじめ正にしておけば、Ａ
部よりｘ軸に近い部分を大きく外側に曲げても
d²x／dy²は負になりすぎることはなく、第３図の
ようなＡ−A′の直線部分は発生しない。

なお、フラツトマスク１の中央を通る孔の中心
を長手方向に結んでできる線２ｂは当然のことな
がら直線でなければならない。したがつて、線２
ａから２ｂまでの間は少しづつ全体の傾斜を少な
くして直線に近づくように孔２の各列における線
の分布を定めるべきである。

また、上述の実施例では、孔２の中心を結んで
できる線たとえば線２ａと孔２との関係は、第５
図Ａのように各孔２の長手方向の中心線が孔２の
中心を結んでできる線２ａに接している場合を示
したが、この考案はこれに限定されるものではな
く、たとえば同図Ｂのように個々の孔２の長手方
向の中心線は孔２の中心を結んでできる線と平行
でなくてもよい。

以上述べたように、この考案によれば螢光面の
外形が不自然となることがなく、デザインの良好
なカラー受像管を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ，Ｂは従来のカラー受像管に使用され
るフラツトマスクの正面図、第２図Ａはカラー受
像管の正面図、同図Ｂは同側面図、第３図はカラ
ー受像管の螢光面に直線部分が生じる様子を示す
正面図、第４図はこの考案によるフラツトマスク
の一実施例を示す部分正面図、第５図Ａ，Ｂは孔
の中心を結んでできる線と孔との関係を示す図で
ある。 １……フラツトマスク、２……孔、２ａ，２ｂ
……孔の中心を結んでできる線、１０……カラー
受像管。なお、図中同一符号は同一または相当部
分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 金属板に略長方形の多数の孔を設け、上記孔は
   その長さ方向に複数個連なり、かつこの連なりが
   複数個列をなして並設され、上記孔の長手方向に
   互いに隣りあう孔の中心を結んでできる複数本の
   線が、上記金属板のほぼ中心で直角に交わる２直
   線に関して対称に配置され、上記２直線の交点を
   原点とし、２直線のうち上記孔の長手方向に一致
   する直線をｙ軸、他方をｘ軸として、上記複数本
   の線のそれぞれをｘとｙの関数とみなすとき、ｘ
   ＞０，ｙ＞０の領域において、 ｄ^２ｘ／ｄｙ^２＞０ を満足する部分が存在することを特徴とするカ
   ラー受像管用フラツトマスク。