JPS622994Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ロータリモアーの刈取装置に関す
るものである。

一般に、牧草等を刈り取る草刈機においては、
地面に対向して回転する回転翼に草刈刃が取り付
けられている。このような草刈機には回転方向後
方に向けて後退角を有する薄手の固定刃を回転翼
に固定的に取り付けた機種と、石等の障害物にぶ
つかつた際に厚手の可動刃が後方に回動するよう
にその司動刃を回転翼に回動自在に取り付けた機
種とが存する。固定刃を有する機種を用いた場合
には刈取性能が良く作業能率が上昇するが、固定
刃が障害物にぶつかると刃こぼれが生じやすく、
障害物がある場所では可動刃を有する機種を用い
ることが望ましい。しかして、固定刃と可動刃と
をそれぞれ別個に取り付けたモアーは存するが、
一つのモアーで作業場所の状態や使用目的に応じ
て最適な草刈刃を用いて刈取作業を行なうという
ことはできない。

また、刈取を行うときに草刈刃が垂直な草に対
して水平状態で切り込む状態が望ましいが、従来
のものにおいては、草の状態までは考慮されては
いないものである。

この考案は、このような点に鑑みなされたもの
で、必要な条件に応じて固定刃と可動刃との選択
が容易であり、しかも、可動刃については、慣性
による外方への突出状態を良好に行わせ、また、
垂直な草に対して切刃を作用させることができる
ロータリモアーの刈取装置を得ることを目的とす
るものである。

この考案は、駆動部に連結されて垂直方向の軸
心をもつて回転する回転軸を設け、この回転軸に
円板状の回転翼を地表に対向させて連結し、前記
回転翼の上面にその回転翼の中央部から回転方向
後方側に向かうにつれ外周部に向かう搬送板を垂
直方向に立設して固定し、前記回転翼の外周部に
前記搬送板の外側端部の回転方向後方に位置する
とともに外周側と内周側とに配列された複数個の
取付穴を形成し、前記取付穴の少なくとも二個の
取付穴に対応する固定穴を有してボルトにより固
定状態に取り付けられる固定刃と前記取付穴のう
ちの内周側の一個の取付穴に対応する可動穴を有
してボルトにより回動自在に取り付けられる可動
刃とを設け、前記固定刃と前記可動刃とのいずれ
か一方を選択して前記回転翼に取付けたことを特
徴とするものである。したがつて、必要な条件に
応じて固定刃と可動刃との選択を容易に行うこと
ができ、しかも、可動刃については、その取付穴
が内周側に位置しているので、外周側の重量を大
きくすることができ、これにより、慣性による外
方への突出状態を良好に行わせ、また、各取付穴
は搬送板の外側端部の回転方向後方に位置するた
め、刈り取るべき草を修正して垂直な草に対して
切刃を作用させることができるように構成したも
のである。

この考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。移動農機１の駆動部であるエンジン２の出力
軸３には複数個のプーリ４，５が固定されてい
る。走行車輪６に連結されるギヤケース７の入力
軸８にはプーリ９が固定され、また、回転軸であ
るモアー軸１０に連結されるギヤケース１１の入
力軸１２にもプーリ１３が固定されている。前記
プーリ４と前記プーリ９との間にはベルト１４が
張設され、同様にプーリ５とプーリ１３との間に
もベルト１５が張設されている。そして、これら
のプーリ４，５，９，１３及びベルト１４，１５
はベルトカバー１６により覆われている。前記モ
アー軸１０は軸受筒１７により上下方向の軸心を
もつて回転自在に保持され、モアー軸１０の上部
には水平面内で回転する減速ケース１８のスプロ
ケツト１９が連結されており、モアー軸１０の下
部には刈取装置２０が連結されている。なお、前
記減速ケース１８の前方には一端を前記ギヤケー
ス１１に固定されたステー２１に保持された搬送
ケース２２が設けられており、この搬送ケース２
２に取り付けられた一対のスプロケツト２３，２
４には複数の押圧体２５を有するチエーン２６が
張設されている。そして、このチエーン２６に噛
合する第三のスプロケツト２７と前記減速ケース
１８のスプロケツト１９との間にはチエーン２８
が張設されている。

しかして、前記モアー軸１０の下端部に連結さ
れた前記刈取装置２０はモアー軸１０に固定され
るとともに地表に対向して回転する回転翼２９と
モアー軸１０の下部を覆うとともに作業時に地表
に接して刈高さを定める椀状のカバー３０等から
構成されている。前記回転翼２９の中央部から回
転方向後方側に向うにつれ外周部に向う一対の搬
送体３１が180゜の間隔をもつて回転翼２９の上
面に垂直状態で固定されている。前記回転翼２９
の外周部には前記搬送板３１の回転方向後方部で
外周側に二つの取付穴３２とこれらの取付穴３２
よりも径が大きく内周側に位置する一個の取付穴
３３とが形成されている。そして、一対の固定刃
３４と一対の可動刃３５とが設けられており、固
定刃３４には前記取付穴３２と同径の固定刃３６
が二個形成され、可動刃３５には回動穴３７が一
個形成されている。前記固定刃３４は第４図及び
第５図に示すように二つの取付穴３２と二つの固
定穴３６とに挿通される二本のボルト３８とナツ
ト３９とによつて選択的に固定されるものであ
る。前記可動刃３５は第６図及び第７図に示すよ
うに前記取付穴３３と前記回動穴３７内に位置さ
せたスペーサ４０とに挿通されるボルト４１とナ
ツト４２とにより選択的に回動自在に取り付けら
れるものである。なお、前記固定刃３４は回転方
向後方に向けて後退角を有するとともに薄手に形
成され、前記可動刃３５は厚手に形成されてい
る。

このような構成において、エンジン２を駆動さ
せてモアー軸１０と回転翼２９とを一体的に回転
させつつ移動農機１を走行させて刈取作業を行な
う。回転翼２９に固定刃３４を取り付けた場合に
は、固定刃３４は二本のボルト３８により固定さ
れ、さらに、これらの固定刃３４が回転方向後方
に向けて後退角を有するとともに薄手に形成され
ているために刈取性能が良く、刈取作業の能率が
良い。回転翼２９に可動刃３５を取り付けた場合
には、可動刃３５は一本のボルト４１により回動
自在に連結され、刈取作業中に可動刃３５が障害
物にぶつかたときには可動刃３５が回転方向後方
に回動し、しかもこれらの可動刃３５は厚手に形
成されているために刃こぼれが防止され、刈取性
能を一定に維持しうる。したがつて、障害物のあ
る場所での刈取作業には可動刃３５を用いること
が望ましい。そして、固定刃３４と可動刃３５と
は回転翼２９に対して選択的に着脱自在に取り付
けられるものであり、固定刃３４と可動刃３５と
を交換することにより、ひとつの刈取装置で作業
場所の状態や作業目的に応じた刈取作業を行ない
うる。しかも、固定刃３４と可動刃３５との交換
はきわめて簡単である。

この考案は、上述のように回転翼の外周部に搬
送板の外側端部の回転方向後方に位置するととも
に外周側と内周側とに配列された複数個の取付穴
を形成し、前記取付穴の少なくとも二個の取付穴
に対応する固定穴を有してボルトにより固定状態
に取り付けられる固定刃と前記取付穴のうちの内
周側の一個の取付穴に対応する可動穴を有してボ
ルトにより回動自在に取り付けられる可動刃とを
設けたので、必要な条件に応じて固定刃と可動刃
との選択を容易に行うことができ、しかも、可動
刃については、その取付穴が内周側に位置してい
るので、外周側の重量を大きくすることができ、
これにより、慣性による外方への突出状態を良好
に行わせ、また、各取付穴は搬送板の外側端部の
回転方向後方に位置するため、刈り取るべき草を
修正して垂直な草に対して切刃を作用させること
ができ、これにより、効率の良い草刈作業を行う
ことができる等の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は側面図、第２図は平面図、第３図は一部を拡
大した側面図、第４図は固定刃を取り付けた回転
翼の平面図、第５図はその取付部を拡大して取付
状態を示した縦断側面図、第６図は可動刃を取り
付けた回転翼の平面図、第７図はその取付部を拡
大して取付状態を示した縦断側面図である。 ２……エンジン（駆動部）、１０……モアー軸
（回転軸）、２９……回転翼、３１……搬送板、３
２〜３３……取付穴、３４……固定刃、３５……
可動刃、３８……ボルト、４１……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動部に連結されて垂直方向の軸心をもつて回
   転する回転軸を設け、この回転軸に円板状の回転
   翼を地表に対向させて連結し、前記回転翼の上面
   にその回転翼の中央部から回転方向後方側に向か
   うにつれ外周部に向かう搬送板を垂直方向に立設
   して固定し、前記回転翼の外周部に前記搬送板の
   外側端部の回転方向後方に位置するとともに外周
   側と内周側とに配列された複数個の取付穴を形成
   し、前記取付穴の少なくとも二個の取付穴に対応
   する固定穴を有してボルトにより固定状態に取り
   付けられる固定刃と前記取付穴のうちの内周側の
   一個の取付穴に対応する可動穴を有してボルトに
   より回動自在に取り付けられる可動刃とを設け、
   前記固定刃と前記可動刃とのいずれか一方を選択
   して前記回転翼に取付けたことを特徴とするロー
   タリモアーの刈取装置。