JPS6229302B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は密封容器に関するもので、より詳細に
は、紙及び金属基質を含むラミネートから形成さ
れた筒状乃至テーパー状胴部と蓋体とから成り、
これらのヒートシール部での密封性能が顕著に向
上したスリーピース構造の密封容器に関する。

従来、紙基質及び金属箔を備え且つ内外両面に
ヒートシール性樹脂を備えた積層シートは、保存
性に優れた紙容器の素材として広く使用されてい
る。この積層シートを密封容器にするには、積層
シートの端縁同志を重ね合せてヒートシールする
ことにより筒状乃至はテーパー状の胴部とし、こ
の胴部の少なくとも一方の開口端縁において蓋を
ヒートシールにより密着させる。

しかしながら、このようなヒートシール構造の
密封容器においては、胴部と蓋との係合密封を確
実に行うことが屡々困難であるという問題があ
る。即ち、金属罐のようなリジツドで加工性のあ
る素材では、罐胴フランジと罐蓋周縁部とをシー
リング・コンパウンドを介して係合させ、しかも
このフランジと罐蓋周縁部とを二重巻締させるこ
とにより確実な密封が可能となるが、紙を含む積
層シートの場合はこのような二重巻締操作は不可
能であり、ヒートシールによる密封を行わねばな
らないために次の欠点を生じる。先ず、第一に、
ヒートシールによる密封は袋状容器の端部の密封
や筒体の側面継目の形成のように、接合すべき部
分が真直で平板状の場合には、操作も比較的容易
でしかも信頼性の高い密封が得られるとしても、
筒状胴部の開口端縁と蓋体周縁部との場合のよう
に、ヒートシールすべき部分が立体状でしかも十
分な面積を確保できない場合には、ヒートシール
操作そのものが必らずしも容易ではなく、更にヒ
ートシール部全周にわたつて確実で信頼性のある
密封を形成させることが困難となる。

また、紙基質を備えたラミネートをヒートシー
ルさせて成る複合容器の場合には、樹脂層のヒー
トシール時の加熱により、紙基質中の吸着水分が
蒸発してヒートシール性樹脂層の発泡を生じ、ヒ
ートシール部の密封性能が一層低下することにな
る。

更に、この複合容器においては、積層体の切断
端縁部が胴部の開口端に露出するときには、この
紙基質の露出部を通して、水や水蒸気の浸透を生
じ、これにより容器の形態保持性、機械的強度或
いは内容物の保存性等が失われるという問題も生
じることになる。

従つて、本発明の目的は、紙及び金属基質を含
むラミネートから形成された筒状乃至はテーパー
状の胴部と蓋体とから成り、これらのヒートシー
ル部での密封性能が顕著に向上したスリーピース
構造の密封容器を提供するにある。

本発明の他の目的は、前記筒状乃至テーパー状
の胴部の周状端縁部と蓋体周縁部との間に、強固
でしかも確実なヒートシールによる密封構造が形
成され、積層体切断端縁における紙基質露出の問
題や紙基質からの水蒸気発生によるヒートシール
層発泡の問題も有効に解消された密封容器を提供
するにある。

本発明によれば、紙基質及び金属箔を備え且つ
両面にヒートシール性樹脂層を有する積層体を金
属箔が内側及び紙基質が外側となるように筒状乃
至テーパー状に成形して成る胴部、前記胴部の少
なくとも一方の開口端部において前記積層体を金
属箔が外側となるようにカールさせ且つ積層体の
切断端縁をカール部内に包み込んだ三重壁構造の
周状の端縁部、及びヒートシール性樹脂層と金属
箔との積層体から成り且つ前記周状端縁部とヒー
トシール性樹脂層を介して係合させる周辺部を備
えた蓋体から成り、前記蓋体周辺部は周状端縁部
が挿入される周状の溝を有し、該溝の内壁乃至上
壁と前記周状端縁部の最内壁乃至最上壁との間、
該溝の外壁乃至下壁と前記周状端縁の最外壁乃至
最下壁との間及び前記周状端縁の最内壁乃至最上
壁と中間壁との間で夫々ヒートシールによる密封
が行われていることを特徴とする密封容器が提供
される。

本発明を以下に、添付図面に示す具体例に基づ
き詳細に説明する。

本発明の密封容器の全体の構成を示す第１図に
おいて、この密封容器は、両端が開口している筒
状の胴部１とこの筒状胴部の両開口部にヒートシ
ール部２を介して密封係合された蓋体３，３とか
ら成つている。

この蓋体３のヒートシール前の嵌合状態を拡大
して示す第２図において、筒状胴部１を形成する
積層体４は、紙基質５及び金属箔６を備え、その
両面にはヒートシール性樹脂層７ａ，７ｂが設け
られている。第２図に示す具体例では紙基質５と
金属箔６ともヒートシール性樹脂層７ｃを介して
貼合わされている。

本発明の密封容器の胴部においては、内容物保
存性の見地から、金属箔６が容器内側、紙基質５
が容器外側となるように配置されており、かくし
て、第２図に示す具体例では、内から外側へ向け
て、ヒートシール性樹脂層７ａ、金属箔６、ヒー
トシール性樹脂層７ｃ、紙基質５及びヒートシー
ル性樹脂層７ｂの層構成となつている。

本発明においては、胴部の両開口端部におい
て、第２図に示すように、積層体４を、金属箔６
が紙基質５よりも外側となるように、外向きにカ
ールさせ、しかも積層体４の切断端縁８をこのカ
ール部内に包み込んで三重壁構造、即ち最内壁
９、最外壁１０及びこれらの中間壁１１から成る
周状端縁部１２を形成させる。この周状端縁部１
２は、この段階では、断面がリング状で内部は閉
じた空隙１３となつており、切断端縁８はこの空
隙１３内に露出している。

一方、蓋体３を構成する積層体１４も金属箔６
と金属箔６に対して内面側となるように設けられ
たヒートシール性樹脂層７ｄとから構成され、金
属箔６の外面側には樹脂保護層１５が設けられて
いる。蓋体３の周辺部には、内壁１６と外壁１７
の間に形成された断面がＵ字型の周状溝１８があ
り、この溝１８内に筒状胴部１の周状端縁部１２
が挿入されて、蓋体３と筒状胴部１との係合が行
われる。この状態で蓋体３の内壁１６と外壁１７
とを径方向に押圧して、筒状胴部１の周状端縁部
１２を圧潰し、高周波誘導加熱によりヒートシー
ルを行う。

蓋体３と胴部１とのヒートシール後の係合部を
拡大して示す第３図において、本発明において
は、第２図に示す三重壁構造のカール部から成る
周状端縁部１２を使用し、これを蓋体３の内壁１
６と外壁１７との間で挾んで圧潰する条件下に押
圧してヒートシールすることにより、蓋体内壁１
６のヒートシール性樹脂層７ｄと端縁部最内壁９
のヒートシール性樹脂層７ａとの間及び蓋体外壁
１７のヒートシール性樹脂層７ｄと端縁部最外壁
１０のヒートシール性樹脂層７ａとの間に、高圧
下に確実なヒートシールによる密封が行われる。
のみならず、この高圧ヒートシール条件下におい
ては、積層体切断端縁８に近接した端縁部中間壁
１１のヒートシール性樹脂層７ａと端縁部最内壁
９のヒートシール性樹脂層７ｂとの間にも確実な
ヒートシールによる密封が行われる。このため、
積層体切断端縁８は、金属箔６及びヒートシール
性樹脂層で完全に包囲された状態で閉じ込めら
れ、この切断端縁８の露出紙基質５を通しての水
や水蒸気等の透過、滲透を完全に抑制し得ること
になる。

本発明においては、上述した如く、カール部１
２において、金属箔６が紙基質５よりも外側に位
置するようにし、しかも金属箔６上にヒートシー
ル性樹脂層７ａを設け、更に、三重壁構造の端縁
部に対して高圧下、即ち圧潰条件下でのヒートシ
ールを行うことにより、上述した如く、強固でし
かも確実なヒートシールによる密封と積層体切断
端縁８の封じ込めとが可能となるものである。

積層体４のヒートシールに際して、紙基質５は
熱に対するバリヤー層として作用するが、本発明
においては、端縁部中間壁１１のヒートシール性
樹脂層７ａの直下に金属箔６が存在するため、こ
の部分が高周波誘導により或いは伝熱により加熱
され、中間壁１１と最内壁９とのヒートシールに
よる切断端縁８の封じ込めも確実に行われるもの
である。

更に、ヒートシール性樹脂層７ａと紙基質５と
の間に金属箔６が介在するため、密封の点で最も
重要な蓋体ヒートシール層７ｄと端縁部ヒートシ
ール層７ａとの間に水蒸気の泡が混入するのが防
止され、確実な密封が可能となるものである。

本発明において、ヒートシールすべき部分の加
熱は、既に述べた如く高周波誘導加熱により好都
合に行われ、一方この部分の押圧は周状端縁部８
を間に挾んだ蓋体の内壁１６及び外壁１７を、一
対の狭いクリアランスのローラー間に通すか、或
いは一対の雄及び雌の割型で挾んで押圧するかに
よつて行われる。

本発明において、ヒートシール性樹脂層として
は、紙を変質させることなく、ヒートシール可能
な熱可塑性樹脂、特に90乃至300℃の温度でヒー
トシール可能な熱可塑性樹脂が使用される。その
適当な例は、これに制限されるものではないが、
オレフイン樹脂類；例えば低―、中―及び高―密
度ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン、結晶性
プロピレン―エチレン共重合体、プロピレン―ブ
テン―１共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合
体、４―メチルペンテン―１重合体、イオン架橋
オレフイン共重合体、酸変性オレフイン樹脂であ
る。他に、ホモ乃至はコポリエステル、ホモ乃至
はコポリアミドも、ヒートシール温度が上記範囲
内にあるものであれば、本発明の目的に使用でき
る。

紙基質としては、金属箔及びヒートシール性樹
脂との組合せで、筒状胴部に形態保持性を付与き
るようなものであり、一般に坪量が100乃至
500g／m²、特に200乃至350g／m²の範囲にあるカ
ツプ原紙等の容器用原紙が使用される。

筒状胴部用積層体の金属箔としては、厚みが７
乃至30ミクロン、特に９乃至15ミクロンの範囲に
あるアルミ箔が好適に使用されるが、所望によつ
ては鋼箔、鉄箔、ブリキ箔等を用いることもでき
る。金属箔の表面はリン酸及び／又はクロム酸等
による化学処理が行われていてもよい。蓋体用の
金属箔としては胴部用の金属箔に比してより厚い
もの例えば厚みが30乃至150ミクロンの金属箔を
用いることができる。

金属箔とヒートシール性樹脂との間に接着性が
乏しい場合には、イソシアネート系接着剤、エポ
キシ系接着剤或いは酸変性オレフイン樹脂を介し
て両者の貼り合せを行つてもよい。

蓋体外表面を保護する保護樹脂層としては、二
軸延伸ポリエステルフイルム、二軸延伸ナイロン
フイルム、二軸延伸ポリプロピレンフイルム等の
プラスチツクフイルム類や、エポキシ―フエノー
ル系塗料、エポキシ―アミノ系塗料、エポキシ―
アクリル系塗料等エリエステル系塗料の樹脂塗膜
が挙げられる。

本発明において、筒状胴部及び蓋体の形成は、
それ自体公知の任意の手段で行い得る。例えば筒
状胴部の形成は、前述した積層体４を筒状に丸め
対向する両端縁を重ね合わせ接合乃至は突き合わ
せ接合することにより容易に行われるし、また蓋
体の形成は積層体１４を所定の形状に打抜くと共
に第２図に示す形状にプレス成形することにより
行われる。勿論、この蓋体には、それ自体公知の
イージイ・オープン機構を設けることもできる。

本発明は、前述した両端開口の筒状胴部のみな
らず、一方の端部に底板を嵌込んだ所謂カツプ状
のストレート乃至はテーパー状の容器胴部の蓋に
よる密封にも等しく適用できるものである。

また、胴部１の周状端縁部１２を蓋体３の溝１
８に嵌合させたものを径方向に圧潰して、加圧下
にヒートシールを行う代りに、蓋体３の溝１８の
外方端部１９（第２図）を内向きに折曲げ、前記
周状端縁部１２と溝１８との係合物を軸方向に圧
潰して加圧下にヒートシールを行うこともでき
る。

この態様を示す第４図において、胴部１及び蓋
体３の積層構成は第２及び３図に示したものと同
一であり、蓋体上壁１６ａのヒートシール性樹脂
層７ｄと端縁部最上壁９ａのヒートシール性樹脂
層７ａとの間及び蓋体下壁１７ａのヒートシール
性樹脂層７ｄと周状端縁部最外壁１０ａとの間に
高圧下に確実なヒートシールによる密封が行われ
ると共に、この高圧条件下に、胴部積層体の切断
端縁８に近接した端縁部中間壁１１ａのヒートシ
ール性樹脂層７ａと端縁部最上壁９ａのヒートシ
ール性樹脂層７ｂとの間にも確実なヒートシール
による密封が行われる。このため、第４図に示す
態様においても、積層体切断端縁８は、金属箔６
及びヒートシール性樹脂層で完全に包囲された状
態で外界及び内容物から完全に遮断され、優れた
密封保持性、バリヤー性が得られるものである。

本発明を次の例で説明する。

実施例 最内層７ａが厚さ50μｍの中密度ポリエチレ
ン、以後６層が厚さ９μｍの軟質アルミ箔、7c層
が厚さ30μｍの低密度ポリエチレン、５層が秤量
250g／m²の上質紙、最外層７ｂが厚さ50μｍの
低密度ポリエチレンより成る積層体４のブランク
から筒体の内外面にブランク端部を被覆するため
に低密度ポリエチレンを差し込み、熱接着し、内
径５２、高さ152mmのストレート筒体を形成後、
約３の周状端縁部１２を両開口端面に形成し、高
さ136mmの筒状胴部を製造した。

この周状端縁部１２に、内層７ｄが厚さ50μｍ
の中密度ポリエチレン、中間層６が厚さ100μｍ
の軟質アルミ箔、外層１５が厚さ12μｍの二軸延
伸ポリエステルよりなる積層体１４の蓋体３を第
２図のように嵌合し、嵌合部を高周波誘導加熱法
により加熱し、直ちに狭いクリアランスよりなる
一対のロール間に通し、蓋体３の周状溝１８及び
胴部の周状端縁部１２を容器の径方向に圧潰し、
蓋体内壁１６と胴体の端縁部最内壁９との面及び
蓋体外壁１７と胴体の端縁部最外壁１０との面、
及び胴部の端縁部中間壁１１と胴体の端縁部最内
壁９との面を熱接着し、90℃に加熱された10％果
汁入りオレンジジユースを250ml充填後、前記と
同様の方法により密封し、ビタミンＣの保存率を
高めるために20℃の水槽に５分間浸漬した。

比較のため、金属加熱ロールを用いて胴体の端
縁部中間壁１１と胴体の端縁部最内壁との面が熱
接着していない点を除いては前記と同様の方法に
より密封容器を製造した。

比較例による密封容器は胴部切断端縁８から水
槽中で水が浸透し、シミや紙基質の膨れによる外
観不良や、胴体の周状端縁部の空隙１３に水が留
り、水カビの発生が考えられる問題があつた。し
かし本発明による密封容器にはいずれの問題もな
かつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の密封容器の斜視図であり、第
２図は胴部端縁部と蓋体とのヒートシール前の係
合状態を拡大して示す断面図であり、第３図は、
第２図の係合部を圧潰下にヒートシールした状態
を示す断面図であり、第４図は本発明の他の態様
の密封容器のヒートシール部の拡大断面図であ
る。 １は胴部、２はヒートシール部、３は蓋体、４
及び１４は積層体、５は紙基質、６は金属箔、７
ａ〜７ｄはヒートシール性樹脂層、８は積層体切
断端縁、９は最内壁１０は最外壁、１１は中間
壁、１２は周状端縁部、１３は空隙、１５は保護
樹脂層、１６は蓋体内壁、１７は蓋体外壁、１８
は溝、１９は溝外方端部を夫々示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 紙基質及び金属箔を備え且つ両面にヒートシ
   ール性樹脂層を有する積層体を金属箔が内側及び
   紙基質が外側となるように筒状乃至はテーパー状
   に成形して成る胴部、前記胴部の少なくとも一方
   の開口端部において前記積層体を金属箔が外側と
   なるようにカールさせ且つ積層体の切断端縁をカ
   ール部内に包み込んだ三重壁構造の周状の端縁
   部、及びヒートシール性樹脂層と金属箔との積層
   体から成り且つ前記周状端縁部とヒートシール性
   樹脂層を介して係合させる周辺部を備えた蓋体か
   ら成り、 前記蓋体周辺部は周状端縁部が挿入される周状
   の溝を有し、該溝の内壁と前記周状端縁部の最内
   壁との間、該溝の外壁と前記周状端縁の最外壁と
   の間及び前記周状端縁の最内壁と中間壁との間で
   夫々ヒートシールによる密封が行われていること
   を特徴とする密封容器。 ２ 紙基質及び金属箔を備え且つ両面にヒートシ
   ール性樹脂層を有する積層体を金属箔が内側及び
   紙基質が外側となるように筒状乃至はテーパー状
   に成形して成る胴部、前記胴部の少なくとも一方
   の開口端部において前記積層体を金属箔が外側と
   なるようにカールさせ且つ積層体の切断端縁をカ
   ール部内に包み込んだ三重壁構造の周状の端縁
   部、及びヒートシール性樹脂層と金属箔との積層
   体から成り且つ前記周状端縁部とヒートシール性
   樹脂層を介して係合させる周辺部を備えた蓋体か
   ら成り、 前記蓋体周辺部は周状端縁部が挿入される周状
   の溝を有すると共にその外方端部は内向きに折曲
   げられ、該溝の上壁と前記周状端縁部の最上壁と
   の間、該溝の下壁と前記周状端縁の最下壁との間
   及び前記周状端縁の最上壁と中間壁との間で夫々
   ヒートシールによる密封が行われていることを特
   徴とする密封容器。