JPS6225287Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、穴ぐり工具に係り、特に、切刃の復
帰機構を備えることによりターンマークがつかな
いようにしたものである。

従来、この種の穴ぐり工具は、NC装置による
場合又は引き戻し切削による場合を除いて、ボー
リング切削を終えて後戻りするときに、リターン
マークがつくものである。

そして、このリターンマークの除去は研削加工
によるのが普通である。

したがつて、精密加工を要する場合には、この
リターンマークがつかないように、刃先の復帰機
構を備えた穴ぐり工具が要求される。

本考案は、上述の点に鑑みなされたもので、ボ
ーリングバー２の受入れ穴内に取付けられた円柱
状をなす工具本体の凸出端には、傾斜台が設けら
れ、この傾斜台上には、切刃チツプを備えた切削
ヘツドおよびこの切削ヘツドを移動調整する移動
調整子が設けられるように改善された穴ぐり工具
を提供するものである。

以下、本考案穴ぐり工具の一実施例について、
図を参照して説明する。

第１図および第２図において、１は、適宜形状
のボーリングバー２の受入れ穴２ａ内に取付けら
れる穴ぐり工具であり、工具本体３および切刃チ
ツプ４を備えた切削ヘツド５から構成される。

工具本体３の上端には、αの傾斜角を有する傾
斜台６が設けられ、その上面部分には、中央凸部
７および斜面８が形成される。この場合、斜面８
の傾斜角αは第２図で示されているように工具本
体３の直径方向線に対し傾斜するものである。

そして、この傾斜台６上には、下面に中央凹部
９を穿設した前記切削ヘツド５が載置され、移動
調整子１０およびストツパー１１によつて所定量
移動できるようになつている。

この移動調整子１０は、切削ヘツド５の移動方
向に設けられ、その両軸端が、前記中央凹部９の
形成によつて残存した上り勾配側の壁部および下
り勾配側の壁部によつて両端支持され、その中央
軸部分が前記中央凸部７を挿通するようになつて
いるものである。また下り勾配側の壁部および中
央凸部７間にある軸部位には、スプリング１２が
設けられている。このスプリング１２は切削ヘツ
ド５の傾斜台６に対する位置を予め微小量下降さ
せるものである。

すなわち、前記切削ヘツド５の下面の移動方向
には、その傾斜方向で係止作用をなすストツパー
１１が形成され、一方のストツパー１１側に調整
ねじ１３を存在させることによつて移動量δが確
保される。この移動量δは、前記切刃チツプ４に
切削抵抗がかゝつた際、第３図でみられるよう
に、切削ヘツド５が上り勾配側の傾斜台６上を移
動して、この状態で被削材１４を切削する。した
がつて、切刃チツプ４の切込み量は、移動量δだ
け余分にかゝることになる。

そして、切削が終了すれば、元の位置に復帰
し、すなわち移動量δ分だけ後退することから、
穴ぐり工具１を引き戻してもリターンマークがつ
かないのである。

なお、本実施例では、工具本体３について単に
円柱状をなしているものが示されているが、マイ
クロボアー等の形式にすることはさしつかえない
ものである。

また、切刃チツプ４についても、三角形板状の
ものに限らず、正方形板状等も利用でき、その取
付けねじ１５によるものに限られない。

本考案は、以上説明したように、穴ぐり工具に
おいて、切刃の復帰機構を簡単に構造で備えるよ
うにしたものであるから精密な穴ぐり加工におい
て有効な切削作業を行なえるという利点を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案穴ぐり工具の一実施例を示す
正面図、第２図は、その側面図、第３図は、切削
状態における側面図である。 ３……工具本体、４……切刃チツプ、５……切
削ヘツド、６……傾斜台、７……中央凸部、８…
…斜面、９……中央凹部、１０……移動調整子、
１１……ストツパー、１２……スプリング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ボーリングバー２の直径方向には、受入れ穴２
   ａが穿設され、この受入れ穴２ａ内に取付けられ
   た円柱状をなす工具本体３の凸出端には、切刃チ
   ツプ４を備えた切削ヘツド５およびこの切削ヘツ
   ド５を移動調整する移動調整子１０が設けられる
   ようにした穴ぐり工具において、 前記工具本体３は、受入れ穴２ａからの凸出端
   側に傾斜台６が設けられ、この傾斜台６には、工
   具本体３の軸中心線に対し直交する直径方向線を
   基準にして傾斜角αをもつ斜面８およびこの斜面
   ８上にある中央凸部７が形成されており、 前記切削ヘツド５は、工具本体３の傾斜台６上
   に載置されるものであつて、その下面中央には、
   前記中央凸部７を受入れることのできる中央凹部
   ９が形成され、しかも下面の移動方向端には、切
   削抵抗が前記切刃チツプ４にかゝつたときに切込
   み量を増加できるようにするため、上り勾配側の
   移動量δを確保したストツパー１１が、前記傾斜
   台６に対面して設けられており、 前記移動調整子１０は、切削ヘツド５の移動方
   向に設けられ、その両軸端が、前記中央凹部９の
   形成によつて残存した上り勾配側の壁部および下
   り勾配側の壁部によつて両端支持され、その中央
   軸部分が、前記中央凸部７を挿通するようになつ
   ているとともに、下り勾配側の壁部および中央凸
   部７間に位置する軸部位には、切削ヘツド５を傾
   斜台６に対して下降させるように付勢したスプリ
   ング１２が備えられるようにしたことを特徴とす
   る穴ぐり工具。