JPS6211964B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は亜鉛メツキ設備等の鋼板精整設備に
組み込まれる回転ドラム形走間剪断機に係り、特
に連続的に供給される帯状鋼板、主に薄板の分割
カツト、先端カツト、クロツプカツトを目的とす
る回転ドラム形走間剪断機に関する。

一般に連続式鋼板精整設備などに組み込まれる
この種の回転ドラム形走間剪断機は第１図に示す
ような構造を有し、一対の回転ドラム１，２が上
下に対置されている。各回転ドラム１，２には切
断用刃物３，４がそれぞれ装着され、各刃物３，
４は、回転ドラム１，２が矢印で示す送り方向に
回転して切断位置に達したとき合致し、連続供給
される帯状鋼板を切断し、先行帯状鋼板５と後行
帯状鋼板６とに分割される。分断された先行帯状
鋼板５は剪断機搬出側に設けられた鋼板ガイド７
に案内され、次工程装置に送られる。

一方、後行帯状鋼板６は剪断機搬入側に設けら
れた鋼板ガイド８，９、一対のガイドローラ１
０，１１により案内され、回転ドラム１，２間に
搬入されるようになつている。

従来の回転ドラム形走間剪断機では、最初の帯
状鋼板の搬入を円滑にし、かつ非切断時帯状鋼板
の連続通過を容易にし、しかも帯状鋼板の損傷を
防止するため、回転ドラム１，２は外径は刃物外
径より常に小径に保たれる。このため、回転ドラ
ム１，２の搬出入側に帯状鋼板の通過を案内する
鋼板ガイド７，９が設けなければならず上記両鋼
板ガイド７，９により、切断時に無張力状態とな
る帯状鋼板５，６の自重によるたれ下りを防止し
ている。

また、帯状鋼板の切断時には無張力状態となつ
た後行帯状鋼板６の先端が上下の回転ドラム１，
２に接触するため、帯状鋼板６は挙動が不安定と
なり、上下に振れる。この後行帯状鋼板６の振れ
を防止するため、剪断機フレーム１３にガイドロ
ーラ１０，１１が取付けられている。このうち、
上ガイドローラ１０は下ガイドローラ１１に対
し、手動あるいは図示しない昇降装置により揺動
可能に保持される。

両ガイドローラ１０，１１は、第２図に示すよ
うに直円筒状をなし、後行帯状鋼板６との接触に
よる摩擦力で回転せしめられるようになつている
が、積極的に回転駆動させる機構は設けられてい
ない。

一般的に、この種の回転ドラム形走間剪断機の
運転に際して、鋼板の切断面形状を良好にするた
め、刃物の刃先周速を帯状鋼板の進行速度より大
きくすることが知られており、また、鋼板は板厚
が薄くなるほど剛性が少なく、小さな外力によつ
て容易に変形される。

ところで、従来の回転ドラム形走間剪断機にお
いては、刃物の刃先は回転ドラムのドラム面より
突出しているため、回転ドラム２のドラム面と鋼
板ガイド７との間に必ず鎖間Ａが存在する。この
ため、切断後の後行帯状鋼板６の先端が下方の回
転ドラム２と鋼板ガイド７との隙間に侵入した
り、特に剛性の小さな薄鋼板の場合には、鋼板進
行速度より刃物の刃先周速の方が速いため、切断
後の後行帯状鋼板６は下方の回転ドラム２に案内
され、鋼板ガイド７の下部に侵入する恐れがあつ
た。また、剛性の小さな薄鋼板では、切断時に後
行帯状鋼板６が上下の回転ドラム１，２とガイド
ローラ１０，１１との間で振れ、上方の回転ドラ
ム１に接触した場合には進行が阻害されたり、鋼
板損傷の原因となつたりする。さらに、上下のガ
イドローラ１０，１１は駆動されないため、切断
時の帯状鋼板の無張力状態のときには、上下のガ
イドローラ１０，１１が抵抗となり、ガイドロー
ラ搬入側に設置された帯状鋼板送り装置との間で
後行帯状鋼板６が盛り上つて湾曲し、剪断機への
後行帯状鋼板６の供給が阻害されたり、鋼板傷付
きの原因となつたりした。

帯状鋼板の進行が阻害される場合には、剪断機
を使用している連続式鋼板設備全体の運転を一時
中止して、復旧作業をしなければならず、生産性
が大きく低下したり、復旧作業に多くの作業員を
要したり、剪断機の保守点検要員が常に必要であ
つた。

また、剪断機付近で損傷した帯状鋼板は不良品
となつて生産の走留りが低下したり、連続式鋼板
設備の運転中止時にメツキ槽に浸漬している帯状
鋼板は不良品となる等の欠点があつた。

この発明は上述した点を考慮し、回転ドラムに
供給される帯状鋼板の剛性を高めると共に、移送
される帯状鋼片と送りローラとの間で生じる抵抗
を低減して、回転ドラムの刃物部が次工程へ帯状
鋼板を安定的かつスムーズに供給し、生産能率を
充分に高め得るようにした回転ドラム形走間剪断
機を提供することを目的とする。

上述した目的を達成するため、この発明におい
ては回転ドラムの搬入側に対をなす送りローラを
設け、両送りローラの一方に凸形、他方に凹形の
クラウンを施すと共に、両送りローラのうち一方
は回転力が調節可能な駆動装置に連結され、この
駆動装置により送りローラの最小径部の周速度が
帯状鋼板の移送速度より大きくなるように設定
し、 他方の送りローラにはこの送りローラを一方の
送りローラに向つて進退させるローラ加圧装置が
備えてられており、このローラ加圧装置により両
送りローラ間の間隔が調節されるようにしたもの
である。

以下、この発明の実施例について添付図面を参
照して説明する。

第３図に示したこの発明の回転ドラム形走間剪
断機において、上下対をなす回転ドラム１，２や
鋼板切断用刃物３，４、鋼板ガイド７，８，９、
剪断機フレーム１３は従来の剪断機に使用された
ものと変りないので同一符号を付し、その説明を
省略する。

この発明は第１図および第２図に示した回転ド
ラム形走間剪断機の一対のガイドローラ１０，１
１の代りに、上下対をなす送りローラ２０，２１
を設けたものである。送りローラ２０，２１は回
転ドラム１，２の搬入側に設置される。両送りロ
ーラ２０，２１のうち一方、図示例では上方送り
ローラ２０に凸形のクラウンが施され、下方送り
ローラ２１にこの凸形クラウンに対向する凹形ク
ラウンが施されている。

上方送りローラ２０は上方フレーム２２に回転
自在に支持される一方、この上方フレーム２２は
剪断機フレーム１３に取付けられた支持シヤフト
２３に片持状に枢支される。上方フレーム２２の
自由端部は、送りローラ加圧装置としての昇降機
構２５のピストンロツド２６に取付けられてい
る。このピストンロツド２６はシリンダ２７内を
往復動するピストン（図示せず）に連結され、こ
のピストンの往復動により上下動せしめられる。
ピストンロツド２６の上下動により、上方送りロ
ーラ２０は下方送りローラ２１に進退し、ローラ
間の間隙が調整される。これにより、両送りロー
ラ２０，２１により移動される帯状鋼板６への加
圧力が適宜定められる。

下方の送りローラ２１は下方フレーム２９に回
転可能に支持される。この下方フレーム２９は剪
断機フレーム１３に取付けられた支持シヤフト３
０に取付けられる。そして、下方送りローラ２１
のシヤフト２１Ａの一側は下方フレーム２９を貫
いて外方に大きく突出し、その突出端に動力伝達
機構３２を形成する従動ギヤー３３が軸装され
る。この従動ギヤー３３には駆動モータ３４の出
力軸に直接あるいは減速機構（図示せず）を介し
て取付けられた駆動ギヤー３５と噛合し、駆動モ
ータ３４の回転駆動力が動力伝達機構３２を介し
て下方送りローラ２１に伝達され、このローラ２
１を回転駆動させるようになつている。

しかして、下方送りローラ２１の回転駆動によ
り、帯状鋼板６は両送りローラ２０，２１間に狭
持されて移送される。移送される帯状鋼板６は両
送りローラ２０，２１の凸形、凹形クラウンによ
り、幅方向に湾曲せしめられ、剛性が高められ
る。その際、両送りローラ２０，２１のクラウン
量は移送される帯状鋼板６に塑性変形が生じない
程度に設定されている。また、駆動モータ３４の
回転力を調節制御することにより、下方送りロー
ラ２１の最小径部の回転周速度は帯状鋼板６の移
送速度と話調せしめられる。一般的には下方送り
ローラ２１の最小径部の周速度は帯状鋼板６の移
送速度より速くされる。下方送りローラ２１の回
転周速度や帯状鋼板６の移送速度より遅いと、帯
状鋼板６は両送りローラ２０，２１間で大きな抵
抗を受け、送りローラ搬入側の図示しない帯状鋼
板送り装置との間で帯状鋼板６の移送が阻害され
るからである。また、下方送りローラ２１の最小
径部の上面は、通常、帯状鋼板６の移送通路の高
さと一致しており、帯状鋼板６の移送高さを保持
している。

次に、この発明の変形例について第５図を参照
して説明する。

第１変形例に示されたものは、両送りローラ２
０，２１のうち、上方の送りローラ２０を帯状鋼
板６の移送面に平行な面内でオフセツト位置の位
置調節を行ない得るようにした位置調整装置３６
を備えたものである。この位置調整装置３６は上
方送りローラ２０のシヤフトを回転自在に支持す
る軸受ケース３７を上方フレーム２２に摺動自在
に支持させるとともに、この軸受ケース３７を両
側に設けられた位置調節ボルト３８により位置調
節自在とし、軸受ケース３７を帯状鋼板６の移送
方向に往復動できるようにしたものである。

しかして、位置調節装置３６で上方送りローラ
２０のオフセツト量Ｂを適宜選定することによ
り、上方および下方送りローラ２０，２１間を通
つた帯状鋼板６は進行方向が若干変えられて剪断
機側に安定的に送られ、帯状鋼板６の先端が回転
ドラム２と鋼板ガイド７との間隙Ａに侵入するこ
となく、鋼板ガイド７上にスムーズに案内され
る。

すなわち、上方および下方の送りローラ２０，
２１の一方をオフセツトさせる一方、ローラ加圧
装置２５により両送りローラ２０，２１間の間隙
を調節することにより、帯状鋼板６を移送方向に
湾曲させ、移送される帯状鋼板６に方向性を与え
ることができる。したがつて、帯状鋼板６の移送
方向を適宜選定すれば、帯状鋼板６が上下の回転
ドラム１，２に接触して挙動が不安定となること
を防止でき、その先端を搬出側鋼板ガイド７上に
案内することができる。

また、前述した実施例の説明では一対の送りロ
ーラを剪断機フレームに一体的に取付けた例につ
いて説明したが、第６図に示すように送りローラ
２０，２１を支持する支持フレーム４０を剪断機
フレーム１３から独立させ、分離して設置できる
ようにしてもよい。

以上に述べたように、この発明に係る回転ドラ
ム型走間剪断機においては、刃物を有し、対をな
す回転ドラムの搬入側に対をなす送りローラを設
け、両送りローラの一方に凸形、他方に凹形のク
ラウンを施したから、両送りローラ間で移送され
る帯状鋼板に幅方向の湾曲が施され、帯状鋼板の
鋼性を増大させ、かつ方向性を持たせることがで
きる。したがつて、移送される帯状鋼板は送りロ
ーラと剪断機の刃物部との間で振れ、上下の回転
ドラムに衝突したり、回転ドラムと搬出側鋼板ガ
イドとの間隙に侵入したりすることを確実に防止
でき、搬出側鋼板ガイド上にスムーズに案内され
る。このように、帯状鋼板は回転ドラム間を通つ
て搬出側鋼板ガイド上にスムーズに案内されるか
ら、帯状鋼板は途中で損傷を受けるのを未然に防
止でき、鋼板精整設備を停止させる必要もないか
ら、生産能率を向上させることができる等の効果
を表する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の回転ドラム形走間剪断機を示す
側断面図、第２図は従来の回転ドラム形走間剪断
機におけるガイドローラと帯状鋼板との関係を示
す図、第３図はこの発明に係る回転ドラム形走間
剪断機の一実施例を示す側断面図、第４図はこの
発明の回転ドラム形走間剪断機の搬入側に設置さ
れる送りローラと帯状鋼板との関係を示す図、第
５図はこの発明の第１変形例を示す部分図、第６
図はこの発明の第２変形例を示す図である。 １，２……回転ドラム、３，４……刃物、５，
６……帯状鋼板、７，８，９……鋼板ガイド、２
０，２１……送りローラ、２５……ローラ加圧装
置、３２……動力伝達機構、３４……駆動モー
タ、３６……位置調節装置、４０……支持フレー
ム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 刃物を取付けた対をなす回転ドラムを回転駆
   動させることにより、連続的に供給される帯状鋼
   板を切断するようにした回転ドラム形走間剪断機
   において、前記回転ドラムの搬入側に帯状鋼板の
   移送を案内する対の送りローラを設け、両送りロ
   ーラの一方に凸形、他方に凹形のクラウンをそれ
   ぞれ形成して両送りローラにより移送される帯状
   鋼板に幅方向の湾曲を与え 前記両送りローラのうち一方は回転力が調節可
   能な駆動装置に連結され、この駆動装置により送
   りローラの最小径部の周速度が帯状鋼板の移送速
   度より大きくなるように設定し、 他方の送りローラにはこの送りローラを該一方
   の送りローラに向つて進退させるローラ加圧装置
   が備えてられており、このローラ加圧装置により
   両送りローラ間の間隔が調節されるようにしたこ
   とを特徴とする回転ドラム形走間剪断機。 ２ 前記両送りローラのうち一方は位置調節装置
   により帯状鋼板の移送方向に往復動可能に支持さ
   れ、この位置調節装置によつて上記送りローラの
   オフセツト位置を他方の送りローラに対し選定す
   ることにより、両送りローラから搬出される帯状
   鋼板に方向性を与えるようにした特許請求の範囲
   第１項に記載の回転ドラム形走間剪断機。