JPS6210559Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ユニツト交換式スチームトラツプ
に関するもので、スチームトラツプによる復水の
選択的排出を司る弁を、その温度に応じる動作を
支配するサーモエレメント、ならびにそのカウン
タばねとともに組み込んだスリーブより主として
なるトラツプユニツトの、トラツプ使用条件たと
えば設定排水温度に応じる選択使用、あるいは故
障修復の必要に際した交換取り替えをとくに簡便
に行なえるようにした、新規なユニツト交換式ス
チームトラツプを提案よるものである。

ところで実公昭55−9757号公報にはサーモエレ
メントにバイメタルユニツトを用いることによる
弁体の温度依存作動について開示されているが、
弁体に働く閉弁力が圧力によつて変動することが
考慮されていない。

一般にこの種スチームトラツプによる復水排出
温度は、トラツプユニツトに組み込んだサーモエ
レメント、たとえばサーモワツクスアツセンブリ
の性能によつて定まる一方そのスチームトラツプ
にて復水排出を行なうべき管系の圧力は元来一様
でなく、しかも排水を司る弁の操作力は圧力に依
存することから、サーモエレメント及びカウンタ
ばねを、種々な温度−圧力特性に適合するトラツ
プユニツトとして予め用意することが必要であ
り、その選択使用を可能とすることによつて、ス
チームトラツプの設定排水温度を使途に対し適合
させ得るわけであり、ここにトラツプのケーシン
グおよびカバーを共通の部材として、種々な設定
排水温度に対し、便利に対応でき、また使用中の
トラツプについての仕様変更や、故障の際にも有
利に対処できることとなる。

この考案は、かような場合にトラツプユニツト
の交換を著しく容易簡便ならしめることを目的と
するものである。

この目的に対しては、この考案に従う次の構成
すなわち復水の入口、出口および出口に連通する
弁口をそなえるケーシングと、このケーシングの
内部の復水溜り室を閉ざしてケーシングにねじ止
めしたカバーおよび復水溜り室内の温度に応じて
上記弁口の開閉を司る弁をサーモエレメントなら
びにカウンタばねとともにスリーブ内に組み込ん
だトラツプユニツトとからなり、トラツプユニツ
トのスリーブにはその下端でカウンターばねの一
端を係止する内向きフランジ、この内向きフラン
ジと反対端に複数の外向き舌片、さらにサーモエ
レメントの胴に面して開口する透孔を設け、外向
き舌片の通り抜けを許すくぼみとくぼみ相互間の
凸部とをカバーに設けて、トラツプユニツトを、
カバーに対しバヨネツト係合し、カバーとサーモ
エレメントとの間に支持ばねを配置して成るユニ
ツト交換式スチームトラツプによつて適切に成就
される。

この考案の実施例を、第１図に断面をもつて示
し、図中１はケーシング、２はカバー、３はトラ
ツプユニツトをあらわす。

ケーシング１は、復水の入口４、出口５そして
この例で出口５に向けて開口する弁口６を有し、
弁口６は、通例に従い弁座７を設け、このケーシ
ング１の内部を復水溜り室８とする。

カバー２は、ケーシング１の復水溜り室８を閉
ざし、ケーシング１に対し図のような直接ねじ込
みあるいは、図示しないが適宜ケーシングに設け
る取り付けフランジに対するボルトのねじ込みま
たはナツト止めによるような、ねじ止め９によつ
て復水溜り室８を外部から区画隔絶する。

トラツプユニツト３は、弁座７に対し接合して
弁口６を閉止する弁１０と、この弁１０を復水溜
り室８内温度の上昇裡に圧下して弁座７への接触
を強いるサーモワツクスアツセンブリよりなる例
を示したサーモエレメント１１、そしてこのサー
モエレメント１１による感温推力と対抗するカウ
ンタばね１２とを、スリーブ１３の内部に組み込
み、このスリーブ１３は、カウンタばね１２を一
端で係止する内向きフランジ１３ａと、第２図
ａ，ｂのようにこのフランジ１３ａの反対端でス
リーブ１３の縁を部分的に折り曲げた形をなす複
数の外向き舌片１３ｂ及びサーモエレメント１１
の胴に面して開口する透孔１３ｃとを有するもの
とする。ここにサーモエレメント１１は、固、液
相相互間の変態に際して熱膨張率の差が大きい組
成を選択するを可とするワツクスに、その感温特
性を良好となすように金属粉を混入した。いわゆ
るサーモワツクスを、図のような鍔つき円筒状の
外箱１１ａ内に、サーモワツクスの膨張力を受け
て外箱１１ａの搾径部１１ｂ中を摺動し弁１０に
感温推力を伝えるステム１１ｃとともに封入し
た、サーモワツクスアツセンブリを用いるのが好
適である。

トラツプユニツト３のスリーブ１３に設けた外
向き舌片１３ｂは、とくにこの考案においてそれ
ら外向き舌片１３ｂの通り抜けを許すようにカバ
ー２の内側に、弁口６に対向させて内向きフラン
ジ２ｃを突設しこの内向きフランジ２ｃには第３
図のように複数の凸部２ｂを設けてこれら凸部２
ｂの相互間にくぼみ２ａを形成しておき、外向き
舌片１３ｂをくぼみ２ａにはめ合わせわずかに回
動させた状態を第１図に示した、正規の装着姿勢
で内向きフランジ２ｃ上に係止することにより、
トラツプユニツト３を、カバー２に対しバヨネツ
ト係合する。ここにサーモエレメント１１におけ
る鍔つき円筒状の外箱１１ａの鍔部にはまり合う
支持ばね１４を、カバー２の内部との間に配置す
る。

この支持ばね１４は、サーモエレメント１１に
感温推力を生じたとき、これがステム１１ｃを介
して弁１０に、それに作用するカウンタばね１２
に抗して伝わり、弁１０を弁座７に向けて押下げ
るのに必要な反力を与えるのに役立つほか、閉弁
の際、復水溜り室８内の温度が異常に高まつたと
きに懸念されるサーモエレメントの過膨張を吸収
する作用を兼ねる。

以上の構成による作用は次のとおりである。ま
ず入口４から復水溜り室８を経て弁口６を介し出
口５に向けて、低温復水が排水され、それに応じ
て入口４に後続的に到来する復水の温度が上昇す
るにつれて、サーモエレメント１１が昇温し、そ
こに生じる膨張力がカウンタばね１２に抗して弁
１０を、ステム１１ｃを介して押下げ、こうして
成就される弁１０のつり合い位置では、復水温度
に変動がない限り、一定温度での排水が継続して
生じる。この排水温度が後続蒸気によつてさらに
上昇すると、ついに弁１０は弁座７に接合して弁
口６を閉止するに至るがこのとき、弁口の有効受
圧面積に働く復水溜り室内圧力によつて定まる閉
弁力に対して、そのときカウンタばね１２に生じ
る最大圧縮力が同等以上に設計されたサーモエレ
メントを用いることにより、復水溜り室８内の復
水温度が、設定排水温度よりも低くなるや否や、
カウンタばね１２が、サーモエレメント１１によ
つて弁１０に作用する感温推力と再びつり合う位
置に弁１０を押上げて開弁を生じ、その温度以下
の復水は継続排水することとなる。

なお上述作動中において、トラツプユニツト３
は、スリーブ１３の外向き舌片１３ｂと、カバー
２の内向きフランジ２ｃとの間で、支持ばね１４
による圧下にもとずいた摩擦力により係止位置に
保持されるが、復水溜り室８内における復水のは
げしい流動その他によつて回転力を受け、こうし
て外向き舌片１３ｂが、内向きフランジ２ｃのく
ぼみ２ａと合致するような動きを生じるうれいが
ないとは限らないので、これに対してはスリーブ
１３のまわり止めとして、ノツクピン、スプリン
グピンあるいはコツタなどの係止ピン１５を、内
向きフランジ２ｃの凸部２ｂに植えておき、外向
き舌片１３ｂにはこれに適合する切欠き、１３ｄ
を設けておくとよい。

かようにしてカバー２の装着に際して、種々な
温度特性の下にそれぞれ予め準備をしたトラツプ
ユニツト３を選択して、バヨネツト係合によりカ
バー２と組み合わせ、このカバー２をケーシング
１にねじ止めするだけで、トラツプの使途に応じ
る設定排水温度を、簡便かつ容易にしかも確実に
適合させることができ、この取り扱いは、スチー
ムトラツプの使用の仕様変更や、故障の際などに
も、単にカバー２をケーシング１から取り外して
上記に準じる再組み立てを行なうだけで、トラツ
プユニツトの交換を容易に行なうことができるの
である。

従つてこの考案によれば、スチームトラツプ
の、互いに性能が異なるサーモエレメント及びカ
ウンタばねを組み込んでなるトラツプユニツトに
ついて、その温度−圧力仕様に応ずる交換取り替
えが、とくにカバーの内向きフランジ形成した凸
起相互間のくぼみを通し、トラツプユニツトのス
リーブに設けた外向き舌片のはめ合い回動によつ
てトラツプユニツトをカバー２とバヨネツト係合
したため、至極簡便容易となるから、種々の温度
特性に対してもトラツプのケーシングとカバーと
を共用にすることができ、しかもその仕様の変更
や、もちろん故障の修復も、簡単に応じることが
できるほか、トラツプユニツトのスリーブはサー
モエレメントの胴に面して開口する透孔を有する
ので、これとバヨネツト係合のくぼみ２ａとを通
して感温部へ復水が行きわたり良好な復水の循環
が生じて、サーモエレメントの復水温度に対する
応答性にもすぐれることとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す断面図、第２
図ａ，ｂはトラツプユニツトに用いるスリーブの
平面図と断面図、第３図はカバーの要部の断面図
である。 １……ケーシング、２……カバー、３……トラ
ツプユニツト、４……入口、５……出口、６……
弁口、８……復水溜り室、９……ねじ止め、１０
……弁、１１……サーモエレメント、１２……カ
ウンタばね、１３……スリーブ、１４……支持ば
ね、２ａ……くぼみ、２ｂ……凸部、２ｃ……内
向きフランジ、１３ｂ……外向き舌片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 復水の入口４、出口５及び出口５に連通する弁
   口６をそなえるケーシング１と、このケーシング
   １の内部の復水溜り室８を閉ざしてケーシング１
   にねじ止めしたカバー２および復水溜り室８内の
   温度に応じて上記弁口６の開閉を司る弁１０をサ
   ーモエレメント１１ならびにカウンタばね１２と
   ともにスリーブ１３内に組み込んだトラツプユニ
   ツト３とからなり、 カバー２の内側に弁口６と対向させて内向きフ
   ランジ２ｃを突設しこの内向きフランジ２ｃに複
   数の凸部２ｂを設けてそれらの相互間にくぼみ２
   ａを形成する一方、 トラツプユニツト３のスリーブ１３には、その
   下端でカウンタばね１２の一端を係止する内向き
   フランジ１３ａ、この内向きフランジ１３ａと反
   対端に複数の外向き舌片１３ｂ、さらにサーモエ
   レメント１１の胴に面して開口する透孔１３ｃを
   設けて、 カバー２の内向きフランジ２ｃに形成したくぼ
   み２ａに対するトラツプユニツト３のスリーブ１
   ３に設けた外向き舌片１３ｂのはめ合い回動に
   て、トラツプユニツト３を、カバー２とバヨネツ
   ト係合し、 カバー２とサーモエレメント１１との間に支持
   ばねを配置して成る、ユニツト交換式スチームト
   ラツプ。