JPS6158298B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は段ボール、特に段ボール箱を形成する
ための段ボールの製造方法に関するものである。 段ボールは種々の用途があるが、包装用箱とし
て使用される場合が非常に多い。そして箱を形成
する場合には胴部を構成するパネル部の上下に天
蓋及び底蓋を構成するフラツプが一体に連設され
ており、一枚の段ボールによつて形成されてい
る。従つて、パネル部もフラツプ部も同一の組成
構造をもつた段ボールで形成されているため、全
体の強度がどの部分においても均一である。しか
しながら、商品を包装した場合に天蓋及び底蓋は
フラツプ部分の重なり合いにより２重構造となる
ため、強度が増大するが、パネル部はいぜんとし
て一重のままであり強度の増大はない。しかも商
品包装における箱の強度、特に圧縮強度はパネル
部の強弱によつて決定されるのであつて、フラツ
プ部が幾重に重なつても箱としての実質的な強度
は増大しない。要するに商品を包装した場合に、
箱を積み重ねるとパネル部に荷重が掛り、パネル
部が弱いと荷重により押し曲げられ被包装商品が
破損することになる。 そこで考えられるのが、段ボール自体を強くす
ることである。段ボールを強くするには、その材
料である紙質を上げるか或は斤量を増せば良い
が、箱としての強度が要求されない部分にまで強
度を付与するばかりでなく箱自体が重くなると共
に、紙質或は斤量が増えるとそれだけ箱の価額が
高くなると云う欠点が生ずる。又強度アツプだけ
を考えれば上記の外に材料である段ボールを幾重
にも単純に重ねたり、或は波形の中芯部分を何層
にも重ねれば良いが、全体的な厚みが増えること
は必定である。そして段ボール箱はクリーズ（縦
罫線）及びスコア（横罫線）を介して全ての構成
部分が連設された特有な構成であるため、所謂一
枚の段ボールが折り曲げられて形成されるため、
段ボールが厚過ぎると、クリーズ及びスコアの部
分での折り曲げに際し、異常な歪応力が掛り折り
曲げの内側で歪を吸収できないため、クリーズ及
びスコアの外側が裂けると云う現象が生じてく
る。従つて、単に段ボールを厚くして強度を増せ
ば良いと云うものではなく、段ボール箱の折畳み
の特殊性を考えて適度な厚さと適度な強度をもた
せ、且つ安価に製造することが要求されるのであ
る。 段ボールは表ライナーと裏ライナーとの間に波
形中芯が入つているため、中芯の波形が表裏ライ
ナーの表面に影響を及ぼし、わずかではあるが波
形の凹凸が形成され、それによつて表面平滑度が
劣る結果になつている。従つて、箱体を形成した
場合に、箱の内側に位置する裏ライナーの部分は
問題とならないが、箱の外周面に位置する表ライ
ナー、特に箱の妻面及び側面の印刷を施す部分が
平滑でないと、印刷適正が悪く明確ですつきりし
た印刷ができない。そのために印刷時に圧接圧を
高めることによつて印刷を施しているが、印刷の
圧接度を高めると中芯の波形を変形させることに
なり、それによつても強度が低下すると云う欠点
もある。 本発明はこのような実情に鑑みなされたもので
あつて、その目的は強度的に優れた箱が得られる
と共に材料無駄をなくし安価に製造できる段ボー
ル箱用段ボールの製造方法を提供しようとするも
のである。 この目的を達成するためになされた本発明は、
表ライナー、波形中芯及び裏ライナーを貼り合せ
て段ボールを製造する際に、形成が予定され且つ
印刷が予定される箱の妻面及び側面を構成するパ
ネル部の深さ（巾）に対応して、少なくともその
深さに見合う巾の平坦な中芯を表ライナーの内側
で且つパネル部が形成される位置付近に連続的に
貼着させたことを特徴とする段ボール箱用段ボー
ルの製造方法であつて、前記平坦な中芯によつて
箱のパネル部が強化され箱の強度アツプが図れる
と共に表面が平滑となつて印刷適正が向上するの
である。 次に本発明を図示の実施例により更に詳しく説
明すると、１は表ライナー、２は波形中芯、３は
裏ライナーであり、これらは通常の両面段ボール
製造の要領にて貼合せて製造される。この製造の
時に、巾の狭い平坦な中芯４を表ライナー１と波
形中芯２との間で且つ略中央部に位置するよう狭
んで連続的に貼合せる。従つて、実質的には表ラ
イナーの内側に位置し貼合せられることになる。 平坦な中芯４の巾は、形成が予定され且つ印刷
が予定される箱パネル部の巾即ち深さに対応し
て、その深さに見合うか又は稍々広目のものが用
いられる。即ち、段ボール製造工程に連続して箱
形成工程があり、段ボール形成工程において連続
切断及びスコアリングが行われ、箱形成工程にて
クリージングおよびスロツトリングがが行われて
第３図に示したような展開状態の箱となる。この
箱の展開平面図において、段ボール紙の長さ方向
中央部に箱のパネル部を構成する妻面１１，１２
と側面１３，１４とが交互にクリーズ１５，１
６，１７を介して連設され、端部に位置する側面
１４に継代１８が設けられている。そして各妻面
及び側面の上下端に夫々天蓋と底蓋とを構成する
内フラツプ１９，２０，２１，２２と外フラツプ
２３，２４，２５，２６とをスコア２７，２８を
介して一体に連設させ、内フラツプと外フラツプ
間にはスロツト２９，３０，３１，３２，３３，
３４が設けられた構成の箱であつて、一般的には
Ａ形と称せられる箱である。この箱において、前
記した平坦な中芯の巾は少なくとも印刷が予定さ
れるパネル部の巾即ち深さに見合う巾のものを使
用し、長さ方向両側縁がスコア２７，２８に届く
巾にし、できれば一部がスコアを超えて内フラツ
プ及び外フラツプにまではみ出す巾をもつて貼合
させた方が良い。要するに平坦な中芯４は、箱体
のパネル部を補強するものであるから製造が予定
される箱の大きさ、即ちパネル部の深さを予め寸
法取りし、その深さに見合つた巾のものが使用さ
れれば良いのであつて、その平坦な中芯４をパネ
ル部となる位置に対応させて連続的に貼り合せれ
ば良いのである。そして、箱体形成時の裁断、ク
リージングおよびスロツトリングの寸法誤差を考
慮して、前記平坦な中芯４はパネル部の深さより
も若干広いものを使用し、パネル部の上下に多少
はみ出させるようにしても良い。この場合のはみ
出し寸法は上下が同一でなくても良く、仮りに一
方に片寄つていてもパネル部全面に中芯４が行き
渡つていれば箱の強度が低下することはない。
又、中芯として使用するものは、両端がまつすぐ
にきちんと切れた帯状のものでなくても使用でき
る。例えば中芯製造時にロール状に巻いたものを
一定寸法で断ち落した時に、端部の耳落し部分、
即ちサイドラン等も一定の巾があれば使用でき
る。 上記した方法によつて製造された段ボールを使
用してＡ形の箱を製造した場合と同じ材料を用い
たＡフルートの従来品の箱との強度を比較する
と、

【表】 上記の箱において、JIS Z0212包装貨物および
容器の圧縮試験方法により圧縮強度を測定したと
ころ、第４図に示したような結果が得られた。図
中実線ａは本発明の段ボールで形成した箱であ
り、点線ｂは従来品である。この図から明らかな
ように従来は最高630Kgで破壊したのに対し、本
発明による段ボーの箱は、905Kgまで耐えてお
り、両者間において著しい強度差があることが判
明した。 以上説明したように本発明に係る段ボールは、
表ライナーの内側に形成が予定され且つ印刷が予
定される箱のパネル部の深さに対応して、少なく
ともその深さに見合う巾の平坦な中芯を貼着させ
た構成の段ボール箱製造専用の段ボールであつ
て、平坦な中芯によつて箱のパネル部の強度が著
しく向上し、箱の圧縮強度が大巾に増大すると云
う優れた効果を奏するのである。更に表ライナー
の内側に平坦な中芯があるため、この特殊加工部
分が外部に露顕せず外観上の体裁が良いばかりで
なく、波形中芯の波形が表面に表出せず、パネル
部の表面が平滑になつて印刷適正が向上し印刷の
ための圧接力が弱くて済み波形中芯を変形させな
いので強度劣化がなくなると共に、箱体形成時に
おいて、内側のよりも外側の剛性が大であるた
め、折曲げによる歪を内側で吸収し組立が容易に
行えると云う優れた効果も奏するのである。 又、使用される平坦な中芯パル部の深さ（巾）
に見合つた巾程度であり、且つ安い材料の中芯材
が使用でき、必要な部分でけを補強しているため
材料無駄がなく、強度的に優れている割には安価
に提供できると云う効果を奏するのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法による段ボールの製造工
程を示す略図、第２図は同工程の貼合せ状態を拡
大して示した斜視図、第３図は同段ボールを使用
した段ボール箱の一部を破断して示した展開平面
図、第４図は本発明の方法によつて得られた段ボ
ールを使用した箱と従来品の箱との強度測定した
強度を示すグラフである。 １…表ライナー、２…波形中芯、３…裏ライナ
ー、４…平坦な中芯、１１，１２…妻面、パネル
部、１３，１４…側面、パネル部、１５，１６，
１７…クリーズ、１８…継代、１９，２０，２
１，２２…内フラツプ、２３，２４，２５，２６
…外フラツプ、２７，２８…スコア、２９，３
０，３１，３２，３３，３４…スロツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 表ライナー、波形中芯及び裏ライナーを貼り
   合せて段ボールを製造するに際し、形成が予定さ
   れ且つ印刷が予定される箱の妻面及び側面を構成
   するパネル部の深さ（巾）に対応して、少なくと
   もその深さに見合う巾の平坦な中芯を表ライナー
   の内側で且つパネル部が形成される位置付近に連
   続的に貼着させたことを特徴とする段ボール箱用
   段ボールの製造方法。