JPS6135670B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、被加熱物へ供給される積算電力を
用いて被加熱物の温度を制御するようにした誘導
加熱装置に関するものである。

従来静止加熱形などの誘導加熱装置において
は、温度計やタイマを使用して被加熱物の温度を
制御していた。例えば温度計を使う場合、被加熱
物に熱電対を押しあてて温度を測定し、一定温度
に達すれば、電源をしや断して被加熱物を取り出
していた。またタイマを使う場合は、予め供給す
る電力と加熱時間を人が設定しておき、その時間
が経過すれば、被加熱物を取り出していた。とこ
ろが、温度計やタイマが故障したりすると、これ
以外に被加熱物の温度を管理する方法がなかつた
ので、被加熱物が溶融してしまうことがあつた。

この発明は、これら従来のものの欠点を除去し
ようとするもので、積算電力を管理して一定値以
上の積算電力が供給されないようにしたものであ
る。

以下、この発明の原理を第１図にもとずいて説
明する。即ち第１図において、１は加熱コイル、
２は加熱コイル１に印加される電圧を検出する
PT、３は同じく電流を検出するOT、４は加熱コ
イル１に供給される単位時間当りの積算電力量を
パルス信号で取り出すパルス積算電力計、５はパ
ルス積算電力計４からのパルス信号をカウント
し、そのパルス数によつて供給積算電力量をチエ
ツクするカウンタである。

ここで被加熱物を加熱する場合、被加熱物の比
熱、質量、加熱温度がわかれば、必要な電力量が
計算できる。従つて、その電力量に相当するカウ
ント数をカウンタ５で設定しておき、電源を投入
すると、パルス出力積算電力量計４からパルス信
号が一定間隔を置いて出され、それがカウンタ５
でカウントされ設定値に達すると、カウンタ５か
ら信号が出て、電源が自動的に切られるよう構成
されている。そのとき被加熱物の温度は所定の温
度になつている。

本発明はこの原理を利用し、温度計、タイマな
どで制御するものにこの原理を応用し、カウンタ
５の設定値を少し高めにしておけば、被加熱物の
溶融防止用として利用できる。

次に第２図に示す如く、温度計を材料の上限温
度、下限温度に設定し、被加熱物を温度計の上限
温度まで連続して加熱する連続加熱時間T₁で始
まり、初めの温度計の上限温度で加熱電源を切、
入するくり返し加熱時間T₂に入る。静止加熱形
誘導加熱装置の加熱方式では、従来くり返し加熱
時間T₂中、被加熱物の温度が温度計の上限温度
に達すると、加熱を切る加熱切時間T₂₁、T₂₃、
T₂₅、T₂₇でそれぞれ被加熱物の温度が温度計の
下限温度になり、再び加熱して加熱入時間T₂₂、
T₂₄、T₂₆でそれぞれ被加熱物の温度が温度計の
上限温度に制御され、被加熱物の温度を均一にし
ていた。しかしこの従来の方式では、温度計が故
障した場合は連続して加熱する可能性があるた
め、被加熱物が溶融しやすいという欠点があつ
た。また、温度計の代りにタイマなどを使用して
同様な制御をする場合にも同じような問題があつ
た。

そこで、このような静止加熱形誘導加熱装置に
おいても、複数個のカウンタを使用することによ
つて温度計、タイマなどが何らかの不具合で故障
しても、積算電力計により被加熱物に供給される
積算電力量が被加熱物の溶融点近くに達すると、
加熱電源をしや断し、被加熱物の溶融を未然に防
止することが可能になる。

以下、この発明の一実施例を第３図にもとずい
て説明する。即ち第３図において、１〜４は第１
図に示すものと同一部分を示す。５１は連続加熱
時間T₁中に被加熱物が溶融する直前の積算電力
量が設定されている連続加熱時間用カウンタで、
設定値の積算電力量をカウントすると加熱電源を
切るよう構成されている。５２はくり返し加熱時
間T₂中の各加熱入時間T₂₂、T₂₄、T₂₆に被加熱物
が溶融する直前の積算電力量が設定されているく
り返し加熱時間用カウンタで、設定値の積算電力
量をカウントすると加熱電源を切るよう構成され
ている。６は連続加熱時間T₁中にパルス出力積
算電力計４から導出されるパルス出力によつて閉
成される接点、７はくり返し加熱時間T₂中にパ
ルス出力積算電力計４から導出されるパルス出力
によつて閉成される接点、８は連続加熱時間T₁
が終了し、くり返し加熱時間T₂に入つた時に閉
成され、連続加熱時間用カウンタ５１をリセツト
する接点、９はくり返し加熱時間T₂中加熱切時
間T₂₃、T₂₅、T₂₇に入つた時に閉成され、くり返
し加熱時間用カウンタ５２をリセツトする接点で
ある。

温度が正常な場合は、連続加熱時間T₁内に被
加熱物に供給されている積算電力量はパルス出力
積算電力計４からパルスとなつて導出され、接点
６を経て連続加熱時間用カウンタ５１に入力パル
スが供給されるが、連続加熱時間用カウンタ５１
の設定値に達するまで温度計が上限温度になり、
くり返し加熱時間T₂の領域に進み、接点８が閉
じて連続加熱時間用カウンタ５１はリセツトさ
れ、被加熱物の温度は温度計によつて制御され
る。温度計が故障した場合は、連続加熱時間T₁
が温度計によつて終了せず、くり返し加熱時間
T₂に進まないため、連続加熱時間T₁中に被加熱
物に供給される積算電力量で、連続加熱用カウン
タ５１が設定値に達し、カウントアツプ出力で加
熱電源はしや断され、被加熱物は溶融しない。

次に連続加熱時間T₁の終了後、温度計が正常
な場合はくり返し加熱時間T₂中、加熱入時間T₂₂
に被加熱物に供給される積算電力量はパルス出力
積算電力計からパルスとなつて導出され、接点７
を経てくり返し加熱時間用カウンタ５２に入力パ
ルスが供給されるが、くり返し加熱時間用カウン
タ５２の設定値に達するまでに温度計が上限温度
になり、くり返し加熱時間T₂中の加熱切時間T₂₃
に進み、接点９が閉じて、くり返し加熱時間用カ
ウンタ５２はリセツトされ、被加熱物の温度は温
度計によつて制御される。

以下、くり返し加熱時間T₂中の加熱入時間
T₂₄、T₂₆、加熱切時間T₂₅、T₂₇でも同様に制御
される。温度計が故障した場合は、くり返し加熱
時間T₂の中の加熱入時間T₂₂、T₂₄、T₂₆では温度
計が働かないため、くり返し加熱時間T₂中の加
熱切時間T₂₃、T₂₅、T₂₇に進まず、加熱入時間
T₂₂、T₂₄、T₂₆に被加熱物に供給される積算電力
量でくり返し加熱時間用カウンタ５２が設定値に
達し、カウントアツプ出力で加熱電源はしや断さ
れ、被加熱物は溶融しない。

なお温度計の代りにタイマなどを使用した場合
にも、上記と同様な制御が可能である。また加熱
パターンを変化させる加熱方式においても、温度
計またはタイマなどが故障しても、被加熱物に供
給される積算電力量を加熱領域ごとに管理するこ
とで、被加熱物の溶融防止を可能にした。

上記のようにこの発明による誘導加熱装置は、
被加熱物に供給される積算電力量をパルス出力と
して導出し、このパルス出力をカウンタによつて
計数するとともに、この計数値が設定値以上にな
ると、被加熱物を加熱電源から切り離すようにし
て被加熱物の温度を制御するようにしたもので、
温度制御が確実になる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の原理を示す接続図、第２図
は従来のもの、およびこの発明の実施例を説明す
るための図、第３図はこの発明の他の実施例を示
す接続図である。 図中、１は加熱コイル、２はPT、３はOT、４
はパルス出力積算電力計、５はカウンタ、５１は
連続加熱時間用カウンタ、５２はくり返し加熱時
間用カウンタ、６〜９は接点である。なお図中同
一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 加熱電源に接続された被加熱物に供給される
   積算電力量をパルス出力として導出するパルス出
   力積算電力計、このパルス出力積算電力計からの
   パルス出力を計数し、設定値以上のパルス出力を
   計数したとき、出力を導出して上記加熱電源をし
   や断するカウンタと、温度計またはタイマを用い
   て被加熱物の温度を制御するようにした誘導加熱
   装置において、カウンタは少なくとも２個設けら
   れ、一方が被加熱物の連続加熱用の積算電力を設
   定され、他方が被加熱物のくり返し加熱用の積算
   電力を設定されており、これらいずれかのカウン
   タの出力により加熱電源をしや断するようにした
   誘導加熱装置。