JPS6135436Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は発泡成形品のトリミング装置に関
し、正確でしかも能率的に作業が行なえると共
に、成形品の形状変更にも容易に対応できるもの
を提供しようとしている。

従来より発泡性熱可塑性樹脂シートからなる皿
状ないしは椀状容器等の発泡成形品の製造におい
ては、プレス加工等によりシート上に多数の成形
品を膨出形成した後、打抜きあるいはトムソン刃
加工などによつて、シートから個々の成形品をト
リミングして製造するものであつた。

ところが上記素材となる発泡シートは柔軟性が
あるため、シートをトリミング装置の所定位置へ
正確に移送すること、あるいは加工時にシートが
ずれないよう確実に保持することなどの点で取扱
いが難しく、製品の外形が不揃いになつたり不良
品の発生も多かつた。

また成形品の形状変更に対しても、装置全体の
分解改変等の多くの手数を要さずに容易に対処で
きるものが望まれていた。

そこでこの考案においては、上記欠点を全て解
消できると共に作業能率向上にも好適なものを提
供するものであり、その構成としては、多数の成
形品および各成形品間の移送用小凸起を膨出形成
してなる発泡性熱可塑性樹脂シートから個々の発
泡成形品を打抜きトリミングする装置であつて、
上記シート上の小凸起を先端で押動して、シート
全体をトリミングのための移動型および固定型間
へ移送させる複数の突き出し板を水平な支軸に軸
支し、支軸と一体に前後動自在に設け、昇降自在
に設けた上方の移動型には各発泡成形品ごとに個
別の打抜き型を着脱自在に取付け、各打抜き型の
中央には打抜型とは別個に下方へ突出可能なノツ
クアウトピンを備え、さらに前記シートに対する
押え板を移動型との間にスプリングを介して弾力
的に取付けてなり、下方に設けた固定型には各発
泡成形品ごとに個別のダイス型を着脱自在に取付
け、上記移動型の押え板と対向する押え板を固定
型との間にスプリングを介して弾力的に取付けて
なることを特徴としている。

次いでこの考案の実施態様について図を参照し
ながら以下に例示する。

先ずトリミングすべきシートＳとしては、発泡
ポリスチレンシートなどの発泡性熱可塑性樹脂シ
ートに対し、プレス成形、真空成形、圧空成形等
の加工方法によつて所要の発泡成形品形状ａを複
数個並設して連続的に膨出形成したものである。

また並設形成した発泡成形品形状ａの間のシー
ト余剰部には適数個の小凸起ｂが膨出形成されて
いる。

上記シートＳを用いる、この考案のトリミング
装置の入口側にはテーブル１が設けてあつてシー
トＳを載置でき、このテーブル１はシートＳの入
口側となる端部１０が回動自在に軸支され、該端
部１０とは反対側の、後述する装置本体部のダイ
ス型に隣接する側の端部に備えたシリンダー機構
１１等によつて、水平状態から上記ダイス側端部
が少し下方へ傾斜する状態まで回動可能となつて
いる。

２０は水平な支軸であり、テーブル１の上方を
横断して両側の支持部材２１，２１に架け渡して
取付けてあり、支軸２０の適宜個所には細い薄板
状の突き出し板２２が回動自在に軸支されてあ
る。突き出し板２２はテーブル１上に載置される
シートＳの小凸起ｂに対応する位置にそれぞれ設
けてあり、突き出し板２２の先端が小凸起ｂの後
部に当接するようになつている。そして上記支軸
２０および突き出し板２２は、支持部材２１，２
１の下部に取付けたチエーン機構，シリンダー機
構等によつて、前後に移動自在になつており、シ
ートＳの小凸起ｂを突き出し板２２で押動して、
シートＳを後述の装置本体部へと移動可能にして
いる。

装置本体部のトリミングするための部分として
は下方の固定型３と上方の移動型４とからなり、
移動型４はクランク機構，油空圧シリンダー機構
等によつて昇降自在に設けてある。

固定型３には打抜き用ダイス型３０が、移動型
４には打抜き型４０が設けてあり、ダイス型３０
および打抜き型４０は何れも各発泡成形品毎に個
別になつた型３０，４０が複数個並設してあり、
各型３０，４０はボルトＢ等にて固定型３または
移動型４に着脱自在に取付けてある。そして加工
する発泡成形品の形状変更があつた場合には、上
記個別のダイス型３０および打抜き型４０のみを
交換すれば対処できるようになつており、実施上
各型３０，４０のボルト孔を長孔に形成しておけ
ば、加工品の変更時における型３０，４０の交
換，位置調整なども行ない易く、使用に至便とな
る。

固定型３にはダイス型３０に対応する孔部３１
が形成されてあり、打抜きトリミングされた成形
品を孔部３１から下方へ落下させ回収できるよう
になつている。３４はシートＳに対する押え板で
あり、固定型３に挿通した支柱３５に設けたスプ
リング３６を介して、弾力的に上下動できるよう
にして固定型３に取付けてある。また押え板３４
には各ダイス型３０に対応した欠除部３７が形成
されてあるもので、押え板３４は通常ダイス型３
０より少し上方に位置しているが、打抜き加工時
に後述する移動型４側の押え板に押されることに
より、ダイス型３０上面と同一平面まで移動降下
するようになつている。

移動型４に設けた各打抜き型４０の内方は発泡
成形品形状ａに対応して凹んでおり、その中央に
はノツクアウトピン４１が取付けてある。ノツク
アウトピン４１はシリンダー機構４２によつて、
移動型４全体の昇降とは別個に下方へ突き出し自
在となつており、ピン先端の平坦部４３にて打抜
いた発泡成形品の上部を押し下げ、落下回収を確
実にできるようにしている。

４４は移動型４側の押え板であり、固定型３側
の押え板３４と同様に、移動型４に挿通した支柱
４５に設けたスプリング４６を介して、弾力的に
上下動できるようにして移動型４に取付けてある
と共に、各打抜き型４０に対応する欠除部４７が
形成されている。上記押え板４４は通常は打抜き
型４０より少し下方に位置しているが、打抜き加
工時には前記固定型３側の押え板３４との間にシ
ートＳを挾み込んで、シートＳのうち発泡成形品
形状ａの周辺部を固定挾持すると共に、打抜き型
４０のダイス型３０内への進出下降時には、型４
０と同行せず、上方に残つてシートＳを押えてい
る。

次に上記装置の作動について順次説明する。

先ず原反シートは、素材となる発泡シートが巻
回保持されたものを順次引き出してから、膨出加
工を施す成形装置を経て、この考案のトリミング
装置へ至るまでの各工程を一連のライン上で連続
的に実施するのが、自動化及び大量生産の面から
も好適である。従つてシートＳはコンベア機構等
の移送手段にて前工程よりテーブル１へと送り込
まれるものとする。

テーブル１上へ載置されたシートＳに対し、突
き出し板２２の先端で小凸起ｂを押押し、前方の
装置本体部即ち移動型４と固定型３の間へシート
Ｓの発泡成形品形状部ａを送り込む。次に突き出
し板２２および支軸２０は後退して元の位置に戻
るが、後退時に突き出し板２２が後方の小凸起ｂ
を越えて移動する必要があり、その為に支軸２０
に回動自在に取付けた突き出し板２２の先端が移
動に伴つて上方へ回動し、小凸起ｂに引掛つたり
小凸起ｂを漬すこと無くスムーズに後退できるよ
うになつている。このようにして突き出し板２２
が前後に往復し、シートＳの発泡成形品形状部ａ
を一列づつ正確に所定位置へと送り込む。

固定型３の押え板３４上面へと送り込まれたシ
ートＳは、上方から下降した移動型４の押え板４
４との間でスプリング３６，４６による弾力的な
挾持状態にて保持される（第３図参照）。

移動型４がさらに下降すると打抜き型４０がシ
ートＳに当接し、これを押下げることにより発泡
成形品形状部ａの外周を固定されたダイス型３０
との間で剪断トリミングし、各個別の発泡成形品
Ａに分離する（第４図参照）。

発泡成形品ＡがシートＳから分離されると、打
抜き型４０中央のノツクアウトピン４１が下方へ
突出し、成形品Ａを固定型３の孔３１から下方へ
落下させ、これを回収すればトリミング加工の完
了した発泡成形品Ａが得られる（第５図参照）。

その後、突き出しピン４１は再び打抜き型４０
中央に戻り、移動型４全体も上方へと復帰し、シ
ートＳに対する押え板３４，４４の狭持状態も解
除される。

移動型４が完全に上方へ復帰すれば、前突き出
し板２２が次の発泡成形品形状部ａを所定位置へ
送り込むと共に、打抜き後にスクラツプ部分S′を
前方へと送り出す。なお上記工程中、ダイス型３
０より少し上方の押え板３４上面に載置されたシ
ートＳが、打抜き型４０の下降によつて、押え板
３４と共にダイス型３０上面に接触するまで押し
下げられるが（第２図参照）、この時前記テーブ
ル１のダイス型３０に隣接する一端がダイス型３
０上面位置まで下がるよう傾斜させれば、シート
Ｓの打抜き加工部分と後方のテーブル上方での待
機部分との間に段差がついて無理な力が加わつた
り、シートＳが曲がつたり変形されること等を防
止し、スムーズに作動させることができる。

以上の工程を順次繰返すことにより、次々と連
続してトリミング加工を行ない、個々に分離され
た発泡成形品Ａを得るものである。

以上のごとく構成されたこの考案装置によれ
ば、シートＳ上に膨出形成した多数の小凸起ｂを
突き出し板２２にて押動することによつて、シー
トＳを移送するものであり、従来の例えばシート
Ｓ両端のみを保持できるコンベア等にて移するも
のに比べ、シートＳの全幅にわたり平均した力が
加わり無理が無いため、柔軟なシートＳに対して
も局部的な伸びやずれを起すことがなく、固定型
３上の所定位置に正確に移送できる。特にシート
Ｓ上に発泡成形品形状部ａと同時に膨出形成され
た小凸起ｂを押動するので、原反シートＳに対す
る発泡成形品形状部ａの成形位置または前後の間
隔がずれることがあつても、該形状ａと小凸起ｂ
との相対位置は変わることがなく、従つて突き出
し板２２による移送は小凸起ｂを基準にして正確
に位置決めできる。

また通常のコンベア移では、その構造上上下の
型３，４の間まではコンベア等を設置できず、従
つて型３，４のかなり前方あるいは後方で、シー
トＳを押し出すかあるいは引張ることになり、柔
軟で伸縮し易い発泡シートＳゆえ、打抜き型４０
あるいはダイス型３０に対する発泡成形品形状部
ａの正確な位置決めは不可能であり、トリミング
のずれ、偏心はやむを得ないものであつた。とこ
ろがこの考案では突き出し板２２が型３０，４０
の奥部まで進出できるため、上記欠点は解消でき
非常に正確な位置決めができる。

またシートＳの両端部にコンベア等の保持用の
余剰部を余分に設ける必要がなく、素材シートの
有効利用の点でも優れている。

次に装置本体部においては、上下の押え板３
４，４４にてシートＳを確実に保持したまま打抜
き加工を行なうので、加工時に加わる力で柔軟な
シートＳがずれたり変形する心配がなく、美麗で
正確な仕上りが得られる。しかも押え板３４，４
４はスプリングを介して弾力的にシートＳを挾持
するので、シート厚の変動等にも容易に対応でき
る。

また打抜き型４０およびダイス型３０が何れも
個々の発泡成形品毎に分割された個別のものを用
い、上記個別の型３０，４０を複数個固定型３お
よび移動型４に着脱自在に取付けているため、加
工する発泡成形品の形状変更を行なう場合、上記
個別の型３０，４０の交換調整のみで容易に対応
でき、型３０，４０の損傷摩耗等があつた場合に
も損傷した型のみを取り換えればよく、保守作業
は非常に簡単になり経済性の点でも優れたもので
ある。

さらに打抜き加工後の発泡成形品Ａは打抜き型
４０に設けたノツクアウトピン４１にて強制的に
下方へ落下回収され、ダイス型３０内につまつた
り引掛つて故障の原因となることも無く、確実で
迅速な回収作業が行なえる。

以上のごとく、正確でしかも能率的なトリミン
グ加工が実施できる装置として、発泡成形品の品
質向上と普及にも大きく貢献でき、実用的価値の
非常に高いものである。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施態様を例示するものであ
り、第１図は概略正面図、第２図は平面図、第３
図〜第５図は加工工程を順次示す一部拡大断面図
である。 １……テーブル、２０……支軸、２２……突き
出し板、３……固定型、３０……ダイス型、３１
……孔部、３４……押え板、３６……スプリン
グ、４……移動型、４０……打抜き型、４１……
ノツクアウトピン、４４……押え板、４６……ス
プリング、Ｓ……シート、ａ……発泡成形品形状
部、ｂ……小凸起、Ａ……発泡成形品。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多数の成形品および各成形品間の移送用小凸起
   を膨出形成してなる発泡性熱可塑性樹脂シートか
   ら個々の発泡成形品を打抜きトリミングする装置
   であつて、上記シート上の小凸起を先端で押動し
   て、シート全体をトリミングのための移動型およ
   び固定型間へ移送させる複数の突き出し板を水平
   な支軸に軸支し、支軸と一体に前後動自在に設
   け、昇降自在に設けた上方の移動型には各発泡成
   形品ごとに個別の打抜き型を着脱自在に取付け、
   各打抜き型の中央には打抜型とは別個に下方へ突
   出可能なノツクアウトピンを備え、さらに前記シ
   ートに対する押え板を移動型との間にスプリング
   を介して弾力的に取付けてなり、下方に設けた固
   定型には各発泡成形品ごとに個別のダイス型を着
   脱自在に取付け、上記移動型の押え板と対向する
   押え板を固定型との間にスプリングを介して弾力
   的に取付けてなることを特徴とする発泡成形品の
   トリミング装置。