JPS6125070Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、たとえば８トラツクテープカートリ
ツジを使用するテープレコーダの磁気ヘツド昇降
装置に関する。

一般に、８トラツクテープカートリツジを使用
するテープレコーダでは磁気ヘツドの高さ位置を
適宜変化させることにより、再生トラツクの切換
えを行なうようにしている。そしてこの種の磁気
ヘツド昇降装置としては、回転自在に設けられた
回転カムのカム面にヘツド保持体を弾力的に圧接
させておき、回転カムを所定角度ずつ回転させる
ことによりヘツド保持体の高さ位置を変化させ、
もつて磁気ヘツドの高さ位置を変化させるように
構成している。

また、前記回転カムを駆動する機構としては、
中間伝達体を電磁石、電磁プランジヤ等の電磁駆
動機構により適宜変位させることができるように
構成し、またキヤプスタンのような常時回転して
いる部材に係合片等を取着しておき、前記電磁駆
動機構により適宜前記中間伝達体を係合片の回転
軌道上に位置させることにより、この中間伝達体
を介して回転駆動体の回転力を回転カムへ伝達す
るようにしたものが考えられている。

ところが、このような構成では回転カムが所定
角度回転し終るまで中間伝達体を確実に係合片の
回転軌道上に保持しておく必要があり、万一、電
磁駆動機構の駆動力が弱かつたり、電磁駆動機構
の電磁コイルへの通電が早めに切れてしまうと中
間伝達体が係合片の軌道から外れてしまい、その
結果、回転カムの所定量回転させることができ
ず、磁気ヘツドの高さ位置を切換えることができ
ない事態が生ずる欠点があつた。

本考案はこのような事情にもとづいてなされた
もので、その目的は、電磁石、電磁プランジヤ等
の電磁駆動機構により中間伝達体を回転駆動体の
回転軌道上へ移動して、この中間伝達体を介して
回転駆動体の回転力を回転カムへ伝達し、回転カ
ムを所定角度回転させることにより磁気ヘツドの
高さ位置を変化させる如く構成されたテープレコ
ーダの磁気ヘツド昇降装置において、電磁駆動機
構の駆動力が不十分であつたり、電磁コイルへの
通電が早めに切れた場合でも回転カムが所定角度
回転するまで中間伝達体を回転駆動体の軌道上に
確実に留めておくことができ、磁気ヘツドの高さ
切換えが確実に行なわれるようにすることにあ
る。

以下、本考案の構成を、図面に示す実施例にも
とづいて詳細に説明する。

第１図は磁気ヘツド昇降装置の平面図、第２図
は第１図の−断面図で、テープレコーダ基板
１の上面には磁気ヘツド２、キヤプスタン３等が
配置されている。磁気ヘツド２はヘツド保持体４
の一端に保持され、またこのヘツド保持体４は支
持板５に固設されたガイド軸６に中央部位を昇降
自在かつ回転不能に装着されている。なお、支持
板５はテープレコーダ基板１の上面に傾き調節が
可能な状態にねじ止めされているものであり、前
記ヘツド保持体４はガイド軸６に装着された圧縮
コイルスプリング７により常時上方向へ付勢され
ている。

前記キヤプスタン３には、このキヤプスタン３
と共に回転駆動体を構成する係合子８が固設され
ている。この係合子８は、外周に複数（３枚）の
係合片９…およびこれと同数のストツパ片１０…
を軸方向の位置を互に異ならせて（係合片９を低
位置、ストツパ片１０を高位置にして）、周方向
に交互に突出させているもので、各係合片９の上
面には係合突起１１が突設されている。なお、係
合片９、ストツパ１０のいずれも扇形をなすが、
ストツパ片１０の方がより多く外方へ突出した形
状となつている。

一方、図中１２はテープレコーダ基板１の上面
に立設された支持軸で、この軸１２には回転カム
１３が回転自在かつ昇降不能に装着され、その下
方には係止体１４が昇降自在かつ回転不能に装着
されている。前記回転カム１３は下面中心部にＶ
字形をなす複数の突部１５…を有し、その周りに
はカム面１６を有している。このカム面１６の高
さは周方向に複数段階に変化し、いずれかのカム
面に前記ヘツド保持体４に螺挿した調節ねじ１７
の先端を前記スプリング７の弾力により圧接させ
ている。なお、第２図では便宜上、カム面１６を
展開図的に示してある。また回転カム１３の上面
には複数（４個）の受圧突起１８…が周方向等間
隔に突設されている。

前記係止体１４は、上面に前記突部１５に嵌合
するＶ字形凹部１９…を有し、さらに支持軸１２
に装着された圧縮コイルスプリング２０により常
時上方向（すなわち回転カム１３方向）へ付勢さ
れ、このスプリング２０の弾力により回転カム１
３の回転を弾力的に規制するようにしている。

また第１図中２１は電磁駆動機構としての電磁
石で、これは第３図に示す如く電磁コイル２２へ
の通電により可能部材としての吸着板２３を鉄心
２４に吸着し、この吸着板２３を一定量下方回動
させるように構成されている。そして吸着板２３
の上面には軸２５Ａを介して中間伝達体２５が一
定範囲で回動自在に装着されている。なお、図中
２６は引張スプリングで、これは吸着板２３を上
方向へ付勢すると同時に中間伝達体２５を一方向
へ付勢するためのものである。また前記中間伝達
体２５は１対の送り爪２７，２８を有し、これら
は通常、前記係合子８または回転カム１３のいず
れにも係合しない位置にあるが、吸着板２３の鉄
心２４に吸着された状態では一方の送り爪２７が
係合子８の係合突起１１の回転軌道上に位置し、
他方の送り爪２８が回転カム１３の受圧突起１８
の回転軌道上に位置するようになる。

以上の如く構成された磁気ヘツド昇降装置は次
のように作動する。

まずテープカートリツジ内のテープを磁気ヘツ
ド２に接触させ、かつキヤプスタン３の回転によ
りテープを定速走行させながら特定のトラツクに
ついて再生操作を行なう。そこで、そのトラツク
の終端が図示しない検出スイツチにより検出され
ると、電磁コイル２２への通電がなされ、吸着板
２３の鉄心２４に吸着されて、中間伝達体２５の
一方の送り爪２７が係合突起１１の回転軌道上へ
移動すると同時に他方の送り爪２８が受圧突機１
８の回転軌道上に位置するようになる（第４
図）。

したがつてキヤプスタン３の回転に伴ない、係
合突起１１が一方の送り爪２７を押圧して中間伝
達体２５を回動させることになるが、このとき送
り爪２７の先端位置が係合片９より高く、かつス
トツパ片１０より低い位置にあるので、送り爪２
７は係合突起１１に押圧されてわずかに回動した
ところでストツパ片１０の下面側に位置するよう
になる（第５図）。したがつて、ここで電磁コイ
ル２２への通電が切れても送り爪２７が係合突起
１１の回転軌道から外れることはない。

そこでキヤプスタン３の回転により中間伝達体
２５が回動し、さらに中間伝達体２５の他方の送
り爪２８で受圧突起１８を押圧して回転カム１３
を所定角度回転させる。これによつてカム面１６
と調節ねじ１７との相対位置関係が変化し、ヘツ
ド保持体４の高さ位置すなわち磁気ヘツド２の高
さ位置が変化して次のトラツクに接触するように
なる。また、この時点までに電磁コイル２２への
通電が切れ、吸着板２３は鉄心２４より解放され
ている。

ここで、中間伝達体２５の一方の送り爪２７
は、他方の送り爪２８で回転カム１３を所定角度
回転させた時点においてストツパ片１０より外
れ、また係合突起１１からも外れることになる。
これによつて中間伝達体２５はスプリング２６に
より初期位置へ回動復帰し、同時に吸着板２３と
一体に上方向へ復帰して前記係合突起１１の回転
軌道より外れた位置に保持される。

以上のような構成であるから、中間伝達体２５
は電磁石２１の吸着力が弱くても、一方の送り爪
２７をストツパ片１０の下面側に位置させること
さえできれば、中間伝達体２５は係合突起１１か
ら外れることなく回転カム１３を確実に所定角度
回転させることができる。また電磁コイル２２へ
の通電が早めに切れても、同様にして回転カム１
３を確実に所定角度回転させることができる。

なお、本考案は前記実施例に限定されるもので
はない。たとえば電磁駆動機構を電磁プランジヤ
とし、その直線往復動作する可動鉄心に中間伝達
体を直接装着する構成としてもよい。この場合、
中間伝達体を可動鉄心に対し水平および上下のい
ずれの方向にも回動可能にしておくことにより、
前記実施例と同様に動作させることができる。

以上、実施例にもとづいて説明したように、本
考案によれば、電磁駆動機構により中間伝達体を
回転駆動体の回転軌道上で移動して、この中間伝
達体を介して回転駆動体の回転力を回転カムへ伝
達し、回転カムを所定角度回転させることにより
磁気ヘツドの高さ位置を変化させる如く構成され
たテープレコーダの磁気ヘツド昇降装置におい
て、回転駆動体には中間伝達体を駆動する係合片
のほかストツパ片を設け、前記中間伝達体を、回
転駆動体によりわずかに回動したのち前記回転カ
ムを所定角度回転させるまでの間、前記ストツパ
片によつて係合片の回転軌道上に留めるように構
成したことにより、電磁駆動機構の駆動力が不十
分であつたり、電磁コイルへの通電が早めに切れ
た場合でも回転カムが所定角度回転するまで中間
伝達体を回転駆動体の軌道上に確実に留めておく
ことができ、磁気ヘツドの高さ切換えを確実に行
なうことができるなど、すぐれた効果を得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すもので、第１図は
平面図、第２図は第１図の−断面図、第３図
は部分側面図、第４図および第５図は動作を説明
するための部分平面図である。 １……テープレコーダ基板、２……磁気ヘツ
ド、３……キヤプスタン、４……ヘツド保持体、
９……係合片、１０……ストツパ片、１１……係
合突部、１３……回転カム、１６……カム面、２
１……電磁石（電磁駆動機構）、２２……電磁コ
イル、２３……吸着板、２５……中間伝達体、２
７，２８……送り爪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高さが周方向に複数段階に変化するカム面を有
   しテープレコーダ基板を回転自在に装着された回
   転カムと、磁気ヘツドを保持して前記回転カムの
   カム面に弾力的に圧接し回転カムの回転位置に応
   じて変位して磁気ヘツドの高さ位置を変化させる
   ヘツド保持体と、外周に複数の係合片およびこれ
   と同数のストツパ片を軸方向の位置を互に異なら
   せて周方向に交互に有する回転駆動体と、電磁コ
   イルへの通電により可動部材を一定量変位させる
   如く構成された電磁駆動機構と、この電磁駆動機
   構の可動部材に装着され前記電磁駆動機構の電磁
   コイルへの通電に伴ない前記係合片に対する非係
   合位置から同係合片の回転軌道上へ移動して係合
   片の回転力を前記回転カムへ伝達することが可能
   になる中間伝達体とを具備し、前記中間伝達体
   を、前記回転駆動体の係合片によりわずかに回動
   してのち前記回転カムを所定角度回転させるまで
   の間、前記ストツパ片によつて係合片の回転軌道
   上に留めるように構成したことを特徴とするテー
   プレコーダの磁気ヘツド昇降装置。