JPS6122845Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車用ガソリンタンクに適用され
るキヤツプに係り、特にガソリンタンクの給油口
に密封されるパツキングとその押さえであるリテ
ーナとの組付構造の改良に関するものである。

〔従来の技術〕

従来からガソリンタンク用のキヤツプには、負
圧バルブ機構を内蔵したものと、負圧バルブ及び
加圧バルブを内蔵したものがある。前者のガソリ
ンタンク用キヤツプでは、ガソリンタンクが負圧
になつたとき、これを解除してタンクの潰れ等を
保護できるが、温度上昇に伴うガソリンの体積膨
脹等によりタンク内圧が異常に上昇した場合に
は、これを解除することができない。又、後者の
ガソリンタンク用キヤツプにあつては、タンク内
に発生する加圧力及び負圧力を解除できるため、
タンクの安全性を確保できる。

そして、近年、ガソリンタンク用キヤツプは、
例えば第１図に示すように、蓋部材１を形成する
プレート２の中央部２ａを窪ませ、加圧及び負圧
バルブ１０，１１が組み込まれるブラケツト３の
中央部を突出させ、上記プレート２の中央窪み部
２ａの下面に、ブラケツト３の凸部３ａをリング
プロジエクシヨン溶接等により固着すると共に、
プレート２とブラケツト３との間にタンク４の給
油口５を密封するパツキング８をリテーナ７によ
つて一体に取る付けたものが提案されている。

このガソリンタンク用キヤツプは、蓋部材１
を、形成するプレート２とブラケツト３との組付
に際し、ブラケツト３の凸部３ａを環状部７ａが
囲撓するリテーナ７を配すると共にこの環状部７
ａ内にリング状のシール材６を食み出し防止用の
リング９で拘束していた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

然し作ら、この種の従来のキヤツプは、ガソリ
ンタンク４の給油口５を密封するパツキング８
と、このパツキング８とは別にシール材６とを使
用するため、部品点数が多くなる不具合がある。
又、リテーナ７は蓋部材１を形成するプレート２
と接しているため、ガソリンタンク４の給油口５
にこのキヤツプを取り付ける際に、プレート２と
接触して両者に傷を付け、その部位に腐食を起こ
させる虞がある。

〔考案の目的〕

本考案は上記のような従来の問題点を解消した
ものであり、その目的は、シール材を廃止してパ
ツキングで蓋部材とブラケツトとの結合部をもシ
ールできるように構成したガソリンタンク用キヤ
ツプを提供することにある。

〔考案が解決するための手段〕

本考案に係るガソリンタンク用キヤツプは、蓋
部材を形成するプレートの中央部を窪ませ、加圧
及び負圧バルブが組み込まれるブラケツトの中央
部を突出させ、上記プレートの中央窪み部の下面
に、ブラケツトの凸部をリングプロジエクシヨン
溶接等により固着すると共に、プレートとブラケ
ツトとの間にタンクの給油口を密封するパツキン
グをリテーナによつて一体に取り付けたガソリン
タンク用キヤツプに於て、プレートとブラケツト
との結合部を囲撓するようにこの結合部の外形に
沿つて立ち上がる筒部と、この筒部とプレートの
下面との当接部からやや外方に突出するフランジ
とを一体に有する断面逆Ｌ字状の環状体を中央部
に形成すると共に、外周縁にプレートの外周より
も内側でプレート方向に起立してリテーナの外周
部を係止する係止部を形成したパツキングと、こ
のパツキングの環状体の筒部からフランジに亘る
内周面に当接する環状の起立片を中央部に形成し
たリテーナとを備え、リテーナの起立片でパツキ
ングの環状体を内側から押圧してパツキングをプ
レートとブラケツトとで圧接するように構成した
ものである。

〔作 用〕

本考案に於ては、パツキングの筒部がリテーナ
によつて蓋部材を形成するプレートとブラケツト
との結合部を密封し、又、リテーナがプレート及
びブラケツトに直接接することがなく、これらに
傷を付けない。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の実施例を第２図に従つて説明す
る。

蓋部材２１は中央部を窪ませたプレート２２
と、このプレート２２を覆うカバー２３とから構
成され、プレート２２の中央窪み部２２ａの下面
中央には略凹状を為すように、絞り加工されたブ
ラケツト２４の中央凸部分２４ａがプロジエクシ
ヨン溶接によりリング溶接等することで固着され
ている。ブラケツト２４の円筒部２４ｂはガソリ
ンタンク４の給油口５内に緩嵌入できる外径に形
成されており、その下端縁には給油口５の折込縁
５ａに係合される爪片２５が形成され、この爪片
２５は等角度に少なくとも３個有する。

更に、プレート２２とブラケツト２４間には、
タンク４の給油口５を密封するパツキング２６が
リテーナ２７によつて一体に取り付けられてい
る。パツキング２６は中央部側に、プレート２２
とブラケツト２４との結合部Ｘを囲撓する筒部２
６ｂと、この筒部２６ａとプレート２４の下面と
が当接する面から外方に突出するフランジ２６ｃ
とから成る環状体２６ａが形成され、その外周に
は、プレート２２方向に起立するリテーナ係止用
の係止部２６ｄが形成されている。又、リテーナ
２７はパツキング２６の環状体２６ａの筒部２６
ｂからフランジ２６ｃに亘る部位を内側から押圧
するように折曲された起立片２７ａを設け、その
外周縁２７ｂはパツキング２６の係止部２６ｄに
係止されるようになつている。

前記ブラケツト２４の円筒部２４ｂ内にはその
開放側を閉塞するバルブカバー３０の円筒部側が
Ｏ−リング３１を介して圧入固着され、その閉塞
側中央に内部に連通する開口３２が穿設されてい
る。バルブカバー３０内には加圧バルブを構成す
る弁体３３が配置されている。この弁体３３は円
盤状のパツキング３３ａと、このパツキング３３
ａに積層したデイスク３３ｂとから成り、この両
者はパツキング３３ａのセンタ孔３４の部分をデ
イスク３３ｂのセンタ孔３４に係合することによ
り結合され、そしてパツキキング３３ａのバルブ
カバー圧接面側には、バルブカバー３０のシート
面３０ａに係合する突条３５がリング状に形成さ
れ、この突条３５はデイスク３３ｂとブラケツト
２４の凸部分２４ａ間に介在した加圧力設定用ス
プリング３６によつてシート面３０ａに押圧され
るようになつている。

前記弁体３３のパツキング３３ａには、更にセ
ンタ孔３４に近接してセンタ孔３４と同心の突条
３７がリング状に形成され、この突条３７には負
圧バルブを構成する弁体３８が圧接されている。
この弁体３８はガソリンタンク内の負圧力に対し
て動作するもので、その軸心に突設した返ロツド
３９はパツキング３３ａのセンタ孔３４を貫通し
てブラケツト２４側に突出され、この弁ロツド３
９の先端外周には溝４０がリング状に形成されて
いる。溝４０には負圧力を設定する圧縮スプリン
グ４１の一端が掛着され、その他端を弁体３３の
デイスク３３ｂに係合することにより弁体３８を
パツキング３３ａの突条３７に圧接させ、センタ
孔３４を常時閉じるようにしてある。

又、互いに接合されたプレート２２とブラケツ
ト２４の接合部分の中央（リングプロジエクシヨ
ン溶接ブラケツトＡの中心部分）には、両者を貫
通してブラケツト２４内とカバー２３内とを互い
に連通する通気孔２８が穿設され、更に、プレー
ト２２にはカバー２３内を大気に連通する複数個
の連通孔２９が穿設されている。

次に、上記のように構成された本実施例に係る
キヤツプの作用について説明する。

温度上昇等によりガソリンタンク４内の圧力が
設定値以上になると、この内圧は開口３２を通し
て加圧バルブ用の弁体３３にも加わるため、弁体
３３はスプリンング３６に抗して上方に押し上げ
られ、加圧バルブを開く。このため、タンク４
は、開口３２、加圧バルブ及び通気孔２８、連通
孔２９を通して大気に開放され、タンク４内に発
生した過圧流体を大気に放出してタンク４を異常
過圧力から保護する。

又、ガソリンタンク４内が流体の体積収縮等に
より負圧になると、この負圧力が負圧バルブ用弁
体３８に作用するため、弁体３８はスプリング４
１に抗して吸引され、弁体３３のパツキングセン
タ孔３４を開く。このため、大気が連通孔２９，
通気孔２８、センタ孔３４及び開口３２を通して
タンク４内に導入され、タンク４を異常負圧から
保護することになる。

そして、ガソリンをガソリンタンク４の給油口
５から給油する場合には、蓋部材１を常法に従つ
て回転してブラケツト２４の爪２５と給油口５と
の係合関係を解除した後、キヤツプを取り外す。
そして、給油終了後には、再び給油口５の上面に
パツキング２６を押し当て乍らキヤツプを回転さ
せてブラケツト２４の爪２５を給油口５と係合し
てキヤツプを取り付ける。

この着脱の際、蓋部材１の回転に伴つて、リテ
ーナ２７に回転力が作用し、リテーナ２７がプレ
ート２２とブラケツト２４との接触部分、即ちパ
ツキング２６の環状体２６ａの部位でパツキング
２６をこじるような力を作用させる。然し、リテ
ーナ２７の折曲部２７ａはパツキング２７の環状
体２６ａによつて包囲されているためにパツキン
グ２７を変形させるに止まり、プレート２２及び
プレート２４に傷を付けるようなことはない。

又、使用時に於ては、プレート２２とプレート
２４との間にパツキング２６の環状体２６ａがリ
テーナ２７の折曲部２７ａによつて押し付けられ
て密封されているため、加負圧弁機構以外の作用
でガソリンタンク内部と外部とを連通するときう
不具合はない。

尚、負圧バルブを構成する弁体３８の弁ロツド
３９と負圧設定用スプリング４１との結合手段は
溝４０による掛着方式に限らず、例えば弁ロツド
３９の先端に直径方向に貫通孔を形成し、この貫
通孔にスプリング４１の巻き端を挿通するように
しても良い。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、蓋部材を形成す
るプレートとブラケツトとの間に配されるパツキ
ングが、その結合部を囲撓するように形成される
と共にリテーナがその部位を押圧して確実に密封
して、所定の圧力で確実に動作できるようにな
る。

又、リテーナはパツキングを介してプレートと
ブラケツトとに接しているため、これらに傷を生
じさせる虞がなく、耐久性を向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のガソリンタンク用キヤツプの断
面図、第２図は本考案に係るガソリンタンク用キ
ヤツプの一例を示す断面図である。 ２１……蓋部材、２２……プレート、２３……
カバー、２４……ブラケツト、２６……給油口密
封用パツキング、２６ａ……環状体、２６ｂ……
筒部、２６ｃ……フランジ、２７……リテーナ、
２７ａ……起立片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 蓋部材を形成するプレートの中央部を窪ませ、
   加圧及び負圧バルブが組み込まれるブラケツトの
   中央部を突出させ、上記プレートの中央窪み部の
   下面に、ブラケツトの凸部をリンングプロジエク
   シヨン溶接等により固着すると共に、プレートと
   ブラケツトとの間にタンクの給油口を密封するパ
   ツキングをリテーナによつて一体に取り付けたガ
   ソリンタンク用キヤツプに於て、プレートとブラ
   ケツトとの結合部を囲撓するようにこの結合部の
   外形に沿つて立ち上がる筒部と、この筒部とプレ
   ートの下面との当接部からやや外方に突出するフ
   ランジとを一体に有する断面逆Ｌ字状の環状体を
   中央部に形成すると共に、外周縁にプレートの外
   周よりも内側でプレート方向に起立してリテーナ
   の外周部を係止する係止部を形成したパツキング
   と、このパツキングの環状体の筒部からフランジ
   に亘る内周面に当接する環状の起立片を中央部に
   形成したリテーナとを備え、リテーナの起立片で
   パキングの環状体を内側から押圧してパツキング
   をプレートとブラケツトとで圧接するように構成
   したことを特徴とするガソリンタンク用キヤツ
   プ。