JPS6114738Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はドリル機能、タツピング機能および締
結機能の各機能要素をひとつに集約した自巳孔明
けドリルタツピングネジに関する。

部品を簡単かつ経済的に組立てるのに、ドリル
機能、タツピング機能および締結機能をひとつに
集約したドリルタツピングネジはよく知られてい
る。

例えば、米国特許第3395603号、同第3463045、
同第3786713号等が今まで提案され、これらの多
くは当業界においておおいに改良されかつ広く用
いられ、特に、特定の目的においてそれは顕著で
あつた。

しかしながら、従来提案されている各種ねじ構
造体のうち或るものは比較的不経済な製造方法を
採用することが要求され、特に、この種ねじ構造
体は小物であることから製作が困難視されてい
る。

又、対象物の板厚に制約を受け、例えば鉄板が
対象物であるときは板厚がせいぜい３m/m程度
が限度とされ、これ以上になると所謂刃こぼれが
生じることもあつた。

特に、この種ねじ構造体にあつては、板厚の大
小にそれぞれ専用品として使用するのが普通で、
板厚の大小にかかわらず使用できるものが要望さ
れているのに、ドリル部の刃の形状の関係から困
難視されていた。

更に、ドリル部で自巳孔明け作業をし、切削ね
じでタツプ機能と締結機能を発揮させるとき、特
に締結機能が充分でなかつた。

本考案の目的は、シヤンクの先端に形成された
ドリル部に、ねじ孔穿設用の一対のテーパー切刃
とこれと直交する一対の切刃を設けることによ
り、鉄板の板厚大小に関係なくドリル機能を約束
できたドリルタツピングネジを提供することであ
る。

本考案の他の重要な目的は、シヤンクの外周に
螺旋状に延びて形成される切削ねじを、ドリル部
より工具係合部に向うに従つて拡大する円錐形状
にすることによつて、ほゞ一定の締付けトルクを
保持し、かつ厚い鉄板にも無理なく締結できるド
リルタツピングネジを提供することである。

更に本考案では、ドリル部のテーパー切刃およ
びこれと直交する別の切刃でドリリングするとき
の切粉排除をそれぞれ円滑になし、切削抵抗を少
なくすることができるドリルタツピングネジの提
供を目的とする。

本考案の最後の目的は、鉄板とこれに重合した
木材、合板等とからなる複合材を締結するに、木
材、合板等に鉄板よりもやゝ大きい孔を穿けるこ
ができる突刃をドリル部に形成したドリルタツピ
ングネジを安価に提供するにある。

本考案は、先端にドリル部、後端に工具係合部
をそれぞれ有するシヤンクの外周に、該シヤンク
に沿つて螺旋状に延びた切削ねじを設けたねじ構
造体において、ドリル部の側面に一対のすくい部
を縦方向に設け、ドリル部の頂部から任意の角度
をもつて縦方向に延びたねじ下孔穿設用のテーパ
ー切刃の一対を設け、該テーパー切刃の縦方向中
途の平面上を始端としかつテーパー切刃に対して
直交する一対の切刃を設け、該切刃のそれぞれが
前記テーパー切刃の延設端の平面上をこえて縦方
向に延設され、該切刃のそれぞれのためのすくい
部を設け、更に、切削ねじねじ先端がドリル部側
より工具係合部に向うに従つて拡大する円錐平面
上に位置しており、切削ねじの最小ねじ径よりも
前記ドリル部の径が小く形成されていることを特
徴とするものである。

以下、図面を参照して本考案の実施例を詳述す
る。

図面特に、第１図において、符号１は本考案の
ネジ全体を示している。

ネジ１は細長いシヤンク２、このシヤンク２の
後端に一体成形された工具係合部３とを含む。

シヤンク２の先端はドリル部４を一体に備えて
いる。

工具係合部３は座板５を有する六角頭で示して
いるが、これは丸頭、皿頭等であつてもよく、
又、工具の先の形状に合わせてプラス溝、マイナ
ス溝、ボツクス角孔とすることもできる。

シヤンク２は横断面が円形で、その先端部にド
リル部４が一体成形され、シヤンク２の外周には
所定のリード角を有し断面三角の切削ねじ６が螺
旋状に延びて形成されている。

第１図のシヤンク２は、ストレート形状とさ
れ、切削ねじ６はそのねじ山高さがドリル部４側
より工具係合部３に向うに従つて高く形成されて
ここに、切削ねじ６のねじ先端がドリル部４側よ
り工具係合部３に向うに従つて拡大する円錐平面
上に位置している。即ち、切削ねじ６はドリル部
４側のねじ径が最小ねじ径とされて工具係合部６
に向うに従つてねじ径が大とされているのであ
る。

ドリル部４は切削ねじ６の最小ねじ径よりも径
が小さく形成され、かつ、最小ねじ谷径よりも径
が大とされ、その側面に一対のすくい部７，８を
縦方向に備え、該すくい部７，８は第３図に示す
如く対称形状である。

ドリル部４はねじ下孔穿設用のテーパー切刃
９，１０の一対を含み、該テーパー切刃９，１０
はドリル部４の頂部１１か任意の角度をもつて工
具係合部３の方向（以下、縦方向という場合があ
る）に延びた直線状のエツジ９Ａ，１０Ａとこれ
に続く斜の方向の平担面９Ｂ，１０Ｂとからな
り、実質的にエツジ９Ａ，１０Ａが刃先とされて
いる。

ドリル部４は一対のテーパー切刃９，１０とは
別の所謂補助切刃１２，１３の一対を含み、該補
助切刃１２，１３のそれぞれはテーパー切刃９，
１０の刃縁方向中途を互いに結ぶドリル部４の軸
心方向と直交する平面上を始端１４，１５とし、
かつテーパー切刃９，１０のそれぞれに対して第
３図に示す如く直交して形成され、該補助切刃１
２，１３のそれぞれは前記テーパー切刃９，１０
の延設端１６，１７を互いに結ぶ平面上をこえて
工具係合部３の方向に延設され、本実施例ではシ
ヤンク２の軸心と平行の縦方向直刃として延びて
いる。

前記補助切刃１２，１３の始端１４はテーパー
切刃９，１０と協働してねじ下孔穿設するととも
に、テーパー切刃９，１０の延設端１６，１７こ
えた部分においては切刃１２，１３単独でねじ下
孔穿設に供され、この切によるすくい部１８，１
９をそれぞれ備えている。

テーパー切刃９，１０の延長線上でかつすくい
部７，８の端縁に高さ方向の突刃２０，２１が形
成されており、この突刃２０，２１は縦方向に直
線的に延びている。

第５図と第６図を参照すれば、本考案のねじ１
の他の望しい実施例が図解されている。

第５図のねじ１はシヤンク２がドリル部４側よ
り工具係合部３に向うに従つて拡大した円錐形状
とされ、このシヤンク２の外周にねじ山高さが同
じの切削ねじ６を螺旋状に形成したものであり、
又、第６図のねじ１は前述のように円錐形状とさ
れたシヤンク２の外周にドリル部４側より工具係
合部３に向うに従つてねじ山高さが高くされた切
削ねじ６を螺旋状に延設したものであり、その余
の構成は第１図〜第３図に示したねじ１と同じ
で、同一部分は同一符号で示している。

而して、本考案のねじ１は素材をヘツダーで圧
造してシヤンク部とこれより径小のドリル相当部
および頭を共に成形し、その後、ドリル部を圧造
してからシヤンク部をローリング加工して切削ね
じ成形されるのであるが、シヤンク２を円錐形状
とすることによに切削ねじ６の成形を容易とする
とともに、ドリル部４の圧造時に所謂バリとして
突刃２０，２１が成形されるのである。

第４図１，２，３，４を参照して本考案に係る
ねじ１の使用一例を説明する。

第４図において、ねじ１は木材、合板等の被覆
材Ａと所定厚みの金属製の基材Ｂとからなる複合
材Ｃを締結するものであり、被覆材Ａの厚みに応
じこれを貫通できる長さを有するねじ１が用いら
れる。

まず、ねじ１はその工具係合部３が例えば図外
のエアーツールに装填され、ドリル部４の頂部１
１を被覆材Ａに対して垂直に当てがう。

そして、ツールを用いてねじ１を第３図の矢印
の反時計方向のように定方向にその軸心方向のよ
うに定方向にその軸心回りに回転させる。即ち、
ねじ１は右回転される。

すると一対のテーパー切刃９，１０によつて被
覆材Ａが徐々に穿孔されるとともに、この切刃
９，１０と直交した切刃１２，１３によつても被
覆材Ａが穿孔されるとともに、テーパー切刃９，
１０より延設した突刃２０，２１によつてテーパ
ー切刃９，１０よりもやゝ大きい孔Ｄを第４図２
のように切削することになる。

この切削過程において、テーパー切刃９，１０
による切粉はすくい部７，８を介して、又、補助
切刃１２，１３による切粉はすくい部１８，１９
を介してそれぞれ除々に逃げ、突刃２０，２１に
よる切削を切刃１２，１３によつて補助すること
になる。

第４図２のようにドリル部４の頂部１１が基材
Ｂに接当した後に更にねじ１を回転させると基材
Ｂは一対のテーパー切刃９，１０により徐々の穿
孔されることになる。

テーパー切刃９，１０による穿孔が進行し、そ
の中途にくると、この切刃９，１０と直交して設
けた切刃１２，１３の始端１４，１５がドリル作
業に供され、ここにテーパー切刃９，１０と切刃
１２，１３が縦方向にオーバーラツプされている
箇所においては所謂十字状に配した切刃９，１
０，１２，１３のよる総合で基材Ｂを徐々に拡大
状に穿設し、ここに、基材Ｂの板厚が大小あつて
も円滑かつ迅速な自己孔明け作業を保障し、切刃
１２，１３により切刃９，１０の摩耗を防止する
ことができる。

前記テーパー切刃９，１０と補助切刃１２，１
３との協働で基材Ｂの拡大穿孔が終了すると、第
４図３で示す如く突刃２０，２１が基材Ｂに係合
し、この係合によつて突刃２０，２１は所謂成形
時のバリであることから折損される。なお、基材
Ｂの拡大切削による切粉はすくい部７，８，１
８，１９により排除されることは明らかである
し、この基材Ｂの切削過程中、被覆材Ａはドリル
部４に続く切削ねじ６によつて穿孔され、この被
覆材Ａの切削ねじ１による穿孔は徐々に拡大され
るのである。

第４図３に示す如くテーパー切刃９，１０によ
る基材Ｂの拡大穿孔が終つたのち更にねじ１は回
転されるが、このとき、補助切刃１２，１３はテ
ーパー切刃９，１０より縦方向に延びているので
所謂基材Ｂのタツプ部を倣い状に先行下孔加工す
るのであり、基材Ｂをドリル部４が第４図４に示
す如く切削ねじ６よりも小径の下で貫通したのち
にあつては、基材Ｂはシヤンク２の外周に螺旋状
に延設した切削ねじ６によつてタツピング作業さ
れることになる。

このタツピング作業は切削ねじ６のねじ山先端
がドリル部４より工具係合部３に向うに従つて拡
大する円錐平面上にあることから徐々に拡開状に
タツピングされるのであり、このように拡大する
円錐平面上に切削ねじ６の先端が位置しているこ
とから基材Ｂの厚薄に関係なくほぼ一定の締付け
トルクを保持して座板５が被覆材Ａに接当する位
置まで捻回され、第４図４に示す如く最終的には
締結固着されるのである。

本考案のねじ構造体、即ちドリルタツピングネ
ジは以上詳細に示した通りであり、ここに所期目
的が有効に達成できる。

特に、ドリル部４の一対のテーパー切刃９，１
０と直交し、かつ該切刃９，１０の中途より延び
た切刃１２，１３の一対を設けたことによつて、
切削中にねじ１が倒れるようなことなく、厚薄基
材Ｂのいずれでも円滑かつ迅速に切削し、このド
リル部４による下孔穿設に引続いてシヤンク２に
螺旋状に延設した切削ねじ６が工具係合部３に向
つて円錐状に拡大しているので、締付けトルクを
一様にしつつ強力な締結を保証する。

本考案の好適実施例は以上図示されかつ記載さ
れたが、本考案は実用新案登録請求の範囲とその
精神から逸脱されない限り、細部変更はなされ得
る。

例えば切削ねじを２条以上の複数ねじにするこ
と、ねじの全体を熱処理すること、工具係合部の
ヘツドにねじの大きさとか種類その他の記号を刻
印成形すること等である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す全体の正面
図、第２図はドリル部のみを示す側面図、第３図
はねじの底平面図、第４図１，２，３，４はねじ
の好ましい使用例を示す工程図、第５図は第２実
施例、第６図は第３実施例のねじを示す全体の正
面図である。 ２……シヤンク、３……工具係合部、４……ド
リル部、６……切削ねじ、７，８……すくい部、
１１……頂部、１２，１３……テーパー切刃、１
４，１５……始端、１６，１７……延設端、１
８，１９……すくい部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 先端にドリル部４、後端に工具係合部３をそ
   れぞれ有するシヤンク２の外周に、該シヤンク
   ２に沿つて螺旋状に延びた切削ねじ６を設けた
   ねじ構造体において、ドリル部４の側面に一対
   のすくい部７，８をドリル軸方向に設け、ドリ
   ル部４の頂部１１から任意の角度をもつて工具
   係合部３の方向に延びたねじ下孔穿設用のテー
   パー切刃９，１０の一対の設け、該テーパー切
   刃９，１０の互いの刃縁方向中途を結ぶドリル
   軸方向と直交する平面上を始端１４，１５とし
   かつテーパー切刃９，１０に対して直交する別
   の切刃１２，１３の一対を設け、該別の切刃１
   ２，１３のそれぞれが前記テーパー切刃９，１
   ０の延設端１６，１７を互いに結ぶドリル軸方
   向と直交する平面上をこえて工具係合部３の方
   向に延設され、該別の切刃１２，１３のそれぞ
   れのためのすくい部１８，１９を設け、更に、
   切削ねじ６のねじ先端がドリル部４より工具係
   合部３に向うに従つて拡大する円錐平面上に位
   置しており、切削ねじ６の最小ねじ径よりも前
   記ドリル部４の径が小さく形成されていること
   を特徴とするドリルタツピングネジ。 ２ シヤンク２がストレート形状とされ、該シヤ
   ンク２の外周の切削ねじ６のねじ山高さがドリ
   ル部４側より工具係合部３に向うように従つて
   高く形成されていることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のドリルタツピング
   ネジ。 ３ シヤンク２がドリル部４側より工具係合部３
   に向うに従つて拡大する円錐形状であり、この
   シヤンク２の外周の切削ねじ６のねじ山高さが
   同じ高さとされていることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のドリルタツピン
   グネジ。 ４ シヤンク２がドリル部４側より工具係合部３
   に向うに従つて拡大する円錐形状であり、この
   シヤンク２の外周の切削ねじ６のねじ山高さが
   ドリル部４側より工具係合部３に向うに従つて
   高く形成されていることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のドリルタツピング
   ネジ。 ５ テーパー切刃９，１０の延長線上でかつすく
   い部７，８の端縁にドリル軸方向の突刃２０，
   ２１が形成されていることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項乃至第４項のいずれか
   に記載のドリルタツピングネジ。