JPS6111309Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、水力発電所などの水車用放水庭のう
ち自由水面を有する放水庭に関し、凍結による機
能阻害を防止するように改良したものである。

自由水面を有する放水庭では、寒冷地の冬期に
は放水庭に寒冷な外気が侵入するため、放水庭の
水が凍結し易い。水車ドラフト管の開口端は通常
放水庭の水面下に置かれるので、放水庭の水が凍
結すると放水不能となる。特に、定期点検その他
のために長時間水車の運転が停止した場合は、放
水庭内の水が流動しないので凍結し易く、水車の
運転を再開しようとしても水の出口が結氷で塞が
れてしまつているため、水車の機能が阻害されて
しまう。

第１図に、上述した従来の自由水面を有する放
水庭を示す。同図において、１は水車、２はドラ
フト管、３は水車から放出された放水庭の水、４
は自由水面、５は溺提、６は河川や放水溝など外
部の水面である。通常はドラフト管２からの水が
放水庭に一旦溜まり、溺提５を越流して外部に排
出し、ドラフト管２の開口端は自由水面４下に没
する。なお、自由水面４はドラフト管２内の負圧
により溺提５より高くなつている。第２図には、
第１図に示す放水庭で水車１が停止している間に
放水庭の水面が結氷した状態を示す。同図におい
て、７は寒冷外気、８は氷であり、寒冷期に水車
１を停止すると自由水面であるため外気７が侵入
し、ドラフト管２が水没したまま自由水面が結氷
し始め、時間経過とともに氷８が厚くなり、氷８
によつて放水庭の水面が塞がれる。そのため、水
車の運転を再開しようとしてもドラフト管２から
放水できず、運転できないことになる。

従来このような場合は、人手によつて氷８を割
るなどして放水庭の一部の氷を除去していた。し
かしこの氷割り作業は厳しい寒冷下での作業であ
るため、危険であると共に多大の時間と労力を要
した。

本考案は上記従来技術に鑑み、凍結によつても
機能が阻害されない水車用放水庭を提供すること
を目的とする。この目的は、水車の運転停止時に
はドラフト管の開口端よりも水面が下がるように
することにより達成できる。本考案では、放水庭
に排水ポンプと水位スイツチを備え、水車停止時
には排水ポンプを動作させ、ドラフト管の開口端
より水位が所定距離下つた時に水位スイツチで排
水ポンプを停止するようにしている。

次に本考案の実施例を図に従つて説明する。第
３図は本考案による水車用放水庭の一実施例の断
面図を示す。第４図は第３図に示すものの凍結し
た状態を示す断面図である。第３図並びに第４図
において、１は発電所の水車、２は水車の放水用
ドラフト管、３は放水庭内に水車から放水された
水、４は放水庭の自由水面、５は放水庭の溺提、
６は河川や放水溝などの外部水面、８は氷、９は
排水管、１０と１０′は排水ポンプ、１１は逆流
阻止弁、１２は水位スイツチであるフロート式ス
イツチをそれぞれ示す。冬期、放水庭の水３が凍
結する希節に水車１を長時間停止させる場合、水
車停止後排水ポンプ１０を例えば手動で起動す
る。これにより放水庭内の水３は排水管９を通つ
て溺提５外へ排水される。やがて放水庭の水面４
がドラフト管２の開口端より所定距離Ａ下つた所
まで来たとき、フロートスイツチ１２がこれを検
出して排水ポンプ１０を停止する。なお、この距
離Ａは水車容量によつて決まる適当な値である。
従つて、第４図に示すように、寒冷気で放水庭の
水３が凍結して氷８となつても、運転再開時には
ドラフト管２と氷８との間には適当なすき間Ａが
確保されているので、水車１を運転しても、ドラ
フト管２からの放水が可能となり運転が再開でき
る。再開後は放水によつて氷８は溶ける。尚、排
水ポンプ１０は放水庭の底に設けた場合について
説明したが、水車屋舎内に符号１０′で示す如く
設けたり、あるいは他の場所に設けてもよい。ま
た、排水管９の入口にストレーナなどごみよけ装
置を付けても良い。以上の場合は人間が冬期の放
水庭の凍結を予測して排水ポンプ１０を作動させ
る場合について述べたが、外気の気温が放水庭凍
結の可能性のある範囲に来たことあるいは水車が
停止したことを検知して排水ポンプを自動的に作
動させる検出装置を設備してもよい。また外気の
水位スイツチ１２は浮子と接点からなるものであ
るが、この他電気抵抗式水位スイツチでもよい。

本考案によれば、水車が停止しても手動である
いは自動的に排水ポンプ１０を作動せしめ、自由
水面４がドラフト管２の開口端からＡなる距離下
つたとき、水位スイツチ１２がこれを検出して排
水ポンプ１０を停止するものであるから、冬期に
ドラフト管の開口端が氷８で塞がれて運転再開が
不能というような事故が解消される。また、本考
案によるものは構造は簡単で装置及び取付工事の
費用の負担は少なく経済的である。

自由水面を有する放水庭を使用する水車はクロ
スフロー水車など小水力発電のものが多く、今後
これら低落差の小水力発電の利用はますます増大
する傾向にあり、よつて寒冷地でのこのような発
電所では本考案の効果が極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の放水庭の断面図、第
３図及び第４図は本考案による水車用放水庭の断
面図である。 図において、１は水車、２はドラフト管、３は
放水庭の水、４は放水庭の自由水面、５は溺提、
６は放水庭外の水面、８は氷、９は排水管、１０
は排水ポンプ、１１は逆流阻止弁、１２はフロー
トスイツチ（水位スイツチ）である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自由水面を有する水車用放水庭において、放水
   庭の水を放水庭外に排出する排水管と、この排水
   管に設けた排水ポンプと、水車ドラフト管の開口
   端から所定距離下つた水面を検出しこの検出信号
   で前記排水ポンプを停止させる水位スイツチとを
   備えたことを特徴とする水車用放水庭。