JPS6038065Y2 - 内燃機関点火装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はコンデンサ放電式の内燃機関点火装置に関する
ものである。

コンデンサ放電式の点火装置として、エキサイタコイル
の一方の半サイクルの出力でコンデンサを充電し、エキ
サイタコイルの他方の半サイクルの出力でコンデンサ放
電用のサイリスタに点弧信号を与えるようにしたものが
知られている。

第１図は従来用いられているこの種の点火装置を示した
もので、同図において１は一端が接地された１次コイル
１ｐ及び２次コイル１ｓを有する点火コイル、２は２次
コイル１ｓに接続された点火プラグであり、１次コイル
１ｐはコンデンサ放電制御回路３に接続されている。

制御回路３は１次コイル１ｐに対して直列に接続された
点火エネルギー蓄積用コンデンサ４と、カソードを接地
側にしてコンデンサ４及び１次コイル１ｐの直列回路に
対して並列に接続されたサイリスタ５と、サイリスタ５
のゲート、カソード間に並列接続された抵抗６と、サイ
リスタ５のゲート及びアノードにそれぞれアノード及び
カソードが接続されたダイオード７と、サイリスタ５の
アノード及びゲートにそれぞれのカソードが接続された
ダイオード８及び９と、アノードがサイリスタ５のカソ
ードに共通接続されカソードがダイオード８及び９のア
ノードにそれぞれ接続されたダイオード１０及び１１と
からなっている。

この制御回路３はケース内に収納されて樹脂でモールド
されるか、或いはケースを用いることなくインジェクシ
ョンモールドされてユニット化され、コンデンサ３から
点火コイル１につながるコード１２の外にサイリスタ５
のカソード等の接地電位部につながるアースコード１３
とダイオード８及び９のアノードにそれぞれつながる電
源接続用コード１４及び１５とが導出されている。

そしてアースコード１３は機関が搭載される機器のボデ
ィや機関のケース等の接地電位部に接続され、コード１
４及び１５は機関により駆動される磁石式交流発電機内
に配置された電機子に巻かれたエキサイタコイル１６の
両端に接続されている。

上記第１図に示した従来の装置では、エキサイタコイル
１６の図示の実線矢印方向（以下正方向とする。

）の出力でコンデンサ４が図示の極性に充電され、次い
でエキサイタコイル１６の破線矢印方向（以下負方向と
する。

）の出力でダイオード９及び１０を通してサイリスタ５
のゲートに点弧信号が与えられる。

これによりサイリスタ５が導通し、コンデンサ４がサイ
リスタ５及び１次コイル１ｐを通し放電する。

この放電電流により点火コイル１の鉄心中に大きな磁束
変化が生じ、２次コイル１Ｓに高電圧が誘起して点火が
行なわれる。

しかしながらこの従来の装置では、エキサイタコイルの
負方向の出力がダイオード９とサイリスタ５のゲートカ
ソード間とダイオード１０とを通して短絡されるためエ
キサイタコイルを内蔵した発電機に大きな電機子反作用
が生じてこの電機子反作用により次の正方向の半サイク
ルの立上りが遅れ、コンデンサ４の充電が遅れて特にコ
ンデンサ４の充電時間が短くなる高速時の点火性能が低
下する欠点があった。

またコンデンサ４の充電電流による電機子反作用に起因
するエキサイタコイル１６の負方向の半サイクルの立上
りの遅れにより、高速時に点火時期が遅れる傾向になる
欠点があった。

更に第１図に示した装置ではエキサイタコイル１６の一
端を接地できないため、制御回路３のユニットから２本
の電源接続用コード１４．１５を引出す必要があり、ユ
ニットから引出すコードの数が多くなって不経済である
だけでなく、ユニットを機関に取付ける際の配線作業が
面倒になる欠点があった。

本考案の目的は、上の欠点を解消した内燃機関点火装置
を提供することにある。

本考案は、点火コイルの１次側に設けられた点火エネル
ギー蓄積用コンデンサと、内燃機関の回転に同期して交
流電圧を誘起するエキサイタコイルと、前記エキサイタ
コイルの一方の半サイクルの出力で前記コンデンサを一
方の極性に充電する点火エネルギー蓄積用コンデンサ充
電回路と、導通した際に前記コンデンサの電荷を前記点
火コイルの１次コイルを通して放電させるように設けら
れたサイリスタと、前記エキサイタコイルの他方の半サ
イクルの出力で前記サイリスタに点弧信号を供給する信
号供給回路とを備えてなるコンデンサ放電式の内燃機関
点火装置であって、本考案においては、前記エキサイタ
コイルの前記他方の半サイクルで正極性になる側の端子
が接地されている。

そして前記信号供給回路は、カソードが前記エキサイタ
コイルの非接地側の端子に結合されたダイオードと、一
端が前記サイリスタのゲートに結合され他端が前記ダイ
オードのアノードに結合された信号蓄積用コンデンサと
、前記エキサイタコイルの前記他方の半サイクルの出力
で前記信号蓄積用コンデンサを前記一端が正極性になる
向きに充電する信号蓄積用コンデンサ充電回路と、前記
信号蓄積用コンデンサの電荷を前記サイリスタのゲート
カソード間を通して放電させる放電回路とを備えており
、前記信号蓄積用コンデンサの放電により、前記サイリ
スタに点弧信号が供給されるようになっている。

上記のように、エキサイタコイルの他方の半サイクルの
出力で充電される信号蓄積用コンデンサの放電電流でサ
イリスタに点弧信号を供給すると、エキサイタコイルを
内蔵した発電機の電機子反作用により点火エネルギー蓄
積用コンデンサの充電が遅れるのを防ぐことができ、機
関の高速時に点火性能が低下するのを防止できる。

またエキサイタコイルの一端が接地されているので、配
線に必要なコードの数を少なくすることができる。

以下図示の実施例により本考案の内燃機関点火装置を詳
細に説明する。

第２図は本考案の一実施例を示したもので、第１図の各
部と同等の部分には同一の符号を付しである。

点火エネルギー蓄積用コンデンサ４、サイリスタ５及び
ダイオード８は第１図と全く同様に接続されており、ダ
イオード８→コンデンサ４→１次コイル１ｐの回路によ
りエキサイタコイル１６の一方の半サイクル（正方向の
半サイクル）の出力により点火エネルギー蓄積用コンデ
ンサ４を図示の極性に充電する点火エネルギー蓄積用コ
ンデンサ充電回路が構成されている。

エキサイタコイル１６のダイオード８と反対側の端子は
接地され、このエキサイタコイルの接地側端子はアノー
ドを接地側にしたダイオード１７を通して信号蓄積用コ
ンデンサ１８の一端に接続されている。

コンデンサ１８の他端はアノードをこのコンデンサ１８
側にしたダイオード１９を通してエキサイタコイル１６
の非接地側端子に接続されている。

コンデンサ１８のダイオード１９側の端子と接地間に抵
抗２０が接続され、コンデンサ１８とダイオード１７と
の接続点にサイリスタ５のゲートが接続されている。

この実施例において、カソードがエキサイタコイル１６
の非接地側端子に結合されたダイオード１９は、エキサ
イタコイル１６の一方の半サイクルの出力でサイリスタ
５に点弧信号が供給されるのを阻止する為に必要である
。

またこの例では、エキサイタコイル１６→ダイオード１
７→信号蓄積用コンデンサ１８→ダイオード１９→エキ
サイタコイル１６の回路により、エキサイタコイル１６
の他方の半サイクルの出力で信号蓄積用コンデンサ１８
を、サイリスタ５のゲートに結合されたその一端が正極
性になる向きに充電する信号蓄積用コンデンサ充電回路
が構成されている。

更にコンデンサ１８→サイリスタ５のゲートカソード間
回路→抵抗２０→コンデンサ１８の回路により、信号蓄
積用コンデンサ１８の電荷をサイリスタ５のゲートカソ
ード間を通して放電させる放電回路が構成され、該放電
回路と、前記ダイオード１９と、信号蓄積用コンデンサ
充電回路とにより、エキサイタコイル１６の他方の半サ
イクルの出力によりサイリスタ５に点弧信号を供給する
信号供給回路が構成されている。

上記実施例において点火エネルギー蓄積用コンデンサ４
が充電される動作は第１図の装置の場合と同様であり、
エキサイタコイル１６の正方向の半サイクルの出力によ
り、エキサイタコイル１６→ダイオード８→コンデンサ
４→１次コイル１ｐ→エキサイタコイル１６の経路でコ
ンデンサ４が図示の極性に充電される。

次いでエキサイタコイル１６の負方向の半サイクルの出
力でダイオード１７及び１９を通して信号蓄積用コンデ
ンサ１８が図示の極性に充電される。

このコンデンサ１８はエキサイタコイル１６の負方向の
半サイクルの出力がピークを超えた後サイリスタ５のゲ
ートカソード間及び抵抗２０を通して放電し、この放電
電流がサイリスタ５のトリガレベルに達したときに、コ
ンデンサ４の電圧がアノードカソード間に順方向に印加
されたサイリスタ５が導通して点火動作が行なわれる。

上記信号蓄積用コンデンサ１８の放電時定数は、エキサ
イタコイル５の出力の負方向の半サイクルの期間中にコ
ンデンサ１８の放電が完了するように設定しておく。

上記のように構成すると、エキサイタコイル１６の負方
向の半サイクルの出力が短絡されることがないので電機
子反作用を抑制することができ、次の正方向の半サイク
ルの出力の立上りが遅れるのを防ぐことができる。

したがってコンデンサ４の充電時間が短くなる高速時に
おいてもコンデンサ４を十分充電することができ、点火
性能が低下するのを防ぐことができる。

またエキサイタコイル１６の負方向の半サイクルの出力
を一度コンデンサ１８に蓄積して該コンデンサ１８の放
電電流によりサイリスタ５に点弧信号を与えるため、コ
ンデンサ４の充電電流による電機子反作用に起因するエ
キサイタコイル１６の負方向出力の立上りが遅れサイリ
スタ５の点弧時期に与える影響を少なくすることができ
、高速時における点火時期の遅れを少なくすることがで
きる。

第３図は本考案の他の実施例を示したもので、この実施
例では第２図のダイオード１９とエキサイタコイル１６
の非接地側の一端との間にコンデンサ２１とダイオード
２２との直列回路が挿入され、コンデンサ２１の両端に
放電用抵抗２３が並列接続されている。

その他の点は第２図の実施例と同様である。

このように２つのコンデンサ１８及び２１によりエキサ
イタコイル１６の負方向電圧を分割するようにすると、
信号蓄積用コンデンサ１８として容量の小さいものを用
いることができ、エキサイタコイル１６の負の半サイク
ルの期間中に信号蓄積用コンデンサ１８の放電を完了さ
せるようにするためのコンデンサ１８の放電時定数の設
定を容易にすることができる。

またエキサイタコイル１６の一端を接地できるため点火
制御回路をユニット化する場合にユニットから引出す電
源接続用コードは１本でよく、ユニットの取付けの際の
配線を簡単にすることができる。

本考案は、コンデンサ放電式の点火装置であれば如何な
る形式の点火装置にも適用することができる。

例えば上記実施例では、点火エネルギー蓄積用コンデン
サ４を充電する際に該コンデンサ４の充電電流が点火コ
イル１の１次コイルを通して流れる構成の回路が採用さ
れているが、コンデンサ４を点火コイル１の１次コイル
を通すことなく充電するように該コンデンサ４をダイオ
ード８のカソードと接地間に接続し、該コンデンサ４の
電荷を点火コイルの１次コイルを通して放電させるよう
にサイリスタ５を設けた周知のコンデンサ放電式点火装
置にも本考案を適用することができるのは勿論である。

エキサイタコイルの他方の半サイクルの出力で一方の極
性に充電される信号蓄積用コンデンサの放電電流でサイ
リスタに点弧信号を供給するようにしたので、サイリス
タに点弧信号を供給する半サイクルにおいてエキサイタ
コイルがサイリスタのゲートカソード間を通して短絡さ
れることがない。

したがってエキサイタコイルを内蔵した発電機の電機子
反作用による点火エネルギー蓄積用コンデンサの充電の
遅れを抑制することができ、高速時に点火性能が低下す
るのを防ぐことができる。

またエキサイタコイルの出力を一度信号蓄積用コンデン
サに蓄積してからこれを放電させることによりサイリス
タの点弧信号を得るので、点火エネルギー蓄積用コンデ
ンサの充電電流による電機子反作用が点火時期に与える
影響を少なくすることができ、高速時における点火時期
の遅れを少なくすることができる。

更にエキサイタコイルの一端が接地されているので配線
に必要なコードの数を少なくすることができる利点もあ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す接続図、第２図及び第３図はそれ
ぞれ本考案の異なる実施例を示す接続図である。 １・・・・・・点火コイル、２・・・・・・点火プラグ
、４・・・・・・点火エネルギー蓄積用コンデンサ、５
・・・・・・サイリスタ、訃・・・・・ダイオード、１
６・・・・・・エキサイタコイル、１７・・・・・・ダ
イオード、１８・・・・・・信号蓄積用コンデンサ、１
９・・・・・・ダイオード、２０・・・・・・抵抗、２
１・・・・・・コンデンサ、２２・・・・・・ダイオー
ド、２３・・・・・・抵抗。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 点火コイルの１次側に設けられた点火エネルギー蓄積用
   コンデンサと、内燃機関の回転に同期して交流電圧を誘
   起するエキサイタコイルと、前記エキサイタコイルの一
   方の半サイクルの出力で前記コンデンサを一方の極性に
   充電する点火エネルギー蓄積用コンデンサ充電回路と、
   導通した際に前記コンデンサの電荷を前記点火コイルの
   １次コイルを通して放電させるように設けられたサイリ
   スタと、前記エキサイタコイルの他方の半サイクルの出
   力で前記サイリスタに点弧信号を供給する信号供給回路
   とを備えてなるコンデンサ放電式の内燃機関点火装置に
   おいて、前記エキサイタコイルの前記他方の半サイクル
   で正極性になる側の端子が接地され、前記信号供給回路
   は、カソードが前記エキサイタコイルの非接地側の端子
   に結合されたダイオードと、一端が前記サイリスタのゲ
   ートに結合され他端が前記ダイオードのアノードに結合
   された信号蓄積用コンデンサと、前記エキサイタコイル
   の前記他方の半サイクルの出力で前記信号蓄積用コンデ
   ンサを前記一端が正極性になる向きに充電する信号蓄積
   用コンデンサ充電回路と、前記信号蓄積用コンデンサの
   電荷を前記サイリスクのゲートカソード間を通して放電
   させる放電回路とを具備したことを特徴とする内燃機関
   点火装置。