JPS5931989Y2 - 吸音形消音器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、複数個の吸音性仕切り板を有する吸音形消
音器に関する。

従来、空調設備のダクト系の給・排気用消音器、ガスタ
ービンの吸・排気用消音器、その他蒸気などの高圧流体
の放出ノズル用消音器として、流体に対する抵抗が小さ
いことや、構造が簡単であるなどの点から第１図に示す
吸音形消音器が使用されている。

この消音器の消音特性は、消音筒部に用いている吸音材
料の吸音率、消音筒部の長さ、および吸音材料を含まな
い流路部分の内径Ｄｎ 、Ｄｗで決定される。

第１図に示すような吸音形消音器の場合ＤｎまたはＤｗ
をＤで示し、消音器内を流れる流体の音速をＣとし、周
波数をｆとすると、その消音特性は ｆ＝Ｃ／Ｄ 付近で消音量のピークを有する第２図に特性線Ａで示す
ような山形の消音特性である。

このように従来の吸音形消音器においては、この周波数
ｆよりも高い周波数の音は波長が消音器内径よりも小さ
いため、音波がビーム状に直進してしまい、消音量が極
めて少ながった。

従来、吸音材料を含まない流路部分の内径よりも短い波
長の音波に対し消音効果を向上させる方法として、第３
図に示される吸音形消音器が提案されている。

この消音器は、消音筒部の内部に吸音性仕切り板を流路
断面の一つの対角線上に取付けた構造のものである。

しかしながら、この消音器は第１図に示す消音器にくら
べ、第２図に特性線Ｂで示すように性能は向上している
が、一枚の仕切り板だけでは、この仕切り板に分割され
た流路の内径よりも短かい波長の音は、それ以上吸音材
に接触することなく、従ってそれ以上前のエネルギーを
減衰することなく流路内を直進するだけであり、十分な
消音効果を得ることはできない。

すなわち、第３図に示す吸音形消音器においては、高周
波音になるにつれ消音効果が低下し十分な効果が得られ
ないという問題点がある。

この考案は、上記従来の欠点を解消すべくなされたもの
であって、高周波音に対しても十分な消音特性を有する
吸音形消音器を提供することを目的とする。

上記目的を遠戚するために、この考案は、吸音筒部を有
する吸音形消音器において、当該吸音筒部の流路方向に
直交する流路断面を２分する吸音仕切り板を、当該吸音
筒部の流路方向に対し順次複数個配設し、各仕切り板の
配設角度を隣接する他の仕切り板の配設角度と異なるよ
うに設置された構成を有するようにしたものである。

以下、この考案の実施例を図面を参照して説明する。

第４図は、この考案を適用した吸音形消音器の一実施例
を示す斜視図である。

吸音形消音器は、吸音筒部１および吸音仕切り板２から
構成されている。

吸音筒部１は、断面を矩形とする筒状のケーシング３お
よびケーシング３の内壁に吸音材料を取付けた吸音部４
から成る。

吸音材料はグラスウール、ロックウール、フェルト、テ
ックス類等である。

また、吸音性仕切り板２は吸音材料で作られ、吸音筒部
１の流路方向に直交する矩形の流路断面の一つの対角線
上に、吸音筒部１の流路方向に対し順次複数個配設され
ている。

この吸音性仕切り板２は、隣接する他の吸音性仕切り板
２Ａの配設角度と異なるように配設されている。

従って、この吸音形消音器を流路断面側から見た場合、
吸音性仕切り板２，２ＡがＸ形を形成しているように見
える。

次に、上記実施例の吸音性仕切板の作用について説明す
る。

第３図に示される流れ方向Ｚから吸音形消音器に流入し
た音波は、最初の仕切り板２によって仕切られた流路を
通り、更にこの吸音仕切り板２に隣接する他の吸音仕切
り板２Ａによって仕切られた流路を通ることにより吸音
されると共に、吸音仕切り板のきり口に入射し吸音され
、これら一連の減衰作用を繰り返して高周波音を消音す
るものである。

その消音特性は第２図の特性線Ｃで示されるように消音
される。

上記実施例によれば、吸音仕切り板２を消音筒部の流路
方向に順次複数個配設し、各仕切り板の配設角度を隣り
合う他の仕切り板の配設角度と異なるように配設したの
で、第１図、第３図で示されるような従来形の吸音形消
音器にくらべ十分なる消音効果がある。

また、流路断面積を一定な状態で単に吸音性仕切り板２
の位置を変えるだけのものであり、この仕切り板による
圧力の損失の急増を伴なわず、かつ構造の簡単なもので
ある。

なお、上記実施例では、流路断面が矩形の吸音形消音器
につきこの考案を適用する場合を説明したが、この考案
は円筒形の吸音形消音器であってもよい。

また、上記実施例においては、吸音性仕切り板２を矩形
の流路断面の対角線上に位置させたが、これは対角線か
ら少しはずれた位置であってもよい。

以上のように、この考案に係る吸音形消音器は、吸音性
仕切り板が当該吸音筒部の流路方向に直交する流路断面
を２分し、かつ当該吸音筒部の流路方向に対し順次複数
個配設され、各仕切り板の配設角度が隣接する他の仕切
り板の配設角度と異なるように設置されたものであるの
で、簡単な構造で高周波音に対し高い消音効果を有する
。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の吸音形消音器を示す斜視図、第２図は従
来の吸音形消音器および、この考案に係る吸音形消音器
の消音特性を示す線図、第３図は従来の吸音形消音器を
示す斜視図、第４図はこの考案に係る吸音形消音器の一
実施例を示す斜視図である。 １・・・・・・吸音筒部、２，２Ａ・・・・・・吸音仕
切り板、３・・・・・・ケーシング、４・・・・・・吸
音部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸音筒部を有する吸音形消音器において、当該吸音筒部
   の流路方向に直交する流路断面を２分する吸音性仕切り
   板を、当該吸音筒部の流路方向に対し順次複数個配設し
   、各仕切り板の配設角度を隣接する他の仕切り板の配設
   角度と異なるようにしたことを特徴とする吸音形消音器
   。