JPS5925022B2 - 溶接性に優れた耐磨耗性高張力鋼 - Google Patents

溶接性に優れた耐磨耗性高張力鋼

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JPS5925022B2
JPS5925022B2 JP54121010A JP12101079A JPS5925022B2 JP S5925022 B2 JPS5925022 B2 JP S5925022B2 JP 54121010 A JP54121010 A JP 54121010A JP 12101079 A JP12101079 A JP 12101079A JP S5925022 B2 JPS5925022 B2 JP S5925022B2
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利昭 土師
研 金谷
嘉人 西垣
幸夫 津田
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は溶接割れ感受性を著るしく低めた引張強さ13
0〜200に97ma級高張力鋼に関するものである。
土木建設機械に使用される鋼材は高い強度メンバーとし
ての引張強さの高いもの、さらに耐磨耗性の優れた高硬
度が要求される。
しかもそれらの機械の大型化にともない増々高強度、高
硬度の鋼材が要求されている。
一般に高強度、高硬度の鋼を製造するには各種の合金元
素を多量に添加するのが通例である。
しかしこの場合、機械の製造時の溶接性の悪さが問題と
なる。
この問題解決のために、本発明者等の一部は既に特開昭
52−48514号公報で、80〜130 kg/my
7級の鋼材では合金元素を低減し、希土類元素の添加に
よって常温での溶接を可能にし、焼入まままたは400
℃以下の低温焼戻によって鋼材を製造すれば従来の高合
金耐磨耗鋼と同等の耐磨耗性を有する鋼材の製造出来る
ことを提案した。
しかし乍ら、引張強さがさらに増加すると溶接後5〜1
0日後になって初めて発見されるような溶接割れが発生
し、特開昭52−48514号公報の提案のみではこの
割れを防止することが困難であり、防止するためには高
い温度での予熱、長時間の後熱など厄介な作業を必要と
する。
本発明者らは、かかる実状に鑑み、さらに検討を重ねた
結果、130〜200に97w7tという高い強度を持
ちながら、溶接割れ感受性を極めて低くするために、合
金成分の調整を次式 においてpHを1.1%以下とする事によって、溶接割
れ感受性の極めて低い高強度耐磨耗性鋼を得ることに成
功し本発明を完成したものである。
即ち本発明は組織がマルテンサイト又は低温焼戻マルテ
ンサイトで引張強さ130〜200kg/−である鋼で
あって、C0,21〜0.35%、Si 0.10〜0
.90%、Mn 0.50〜2.00%、Po、015
%以下、AIo、005〜0.07%、稀土類元素又は
Caを1種以上合計0.0005〜o、oio%を基本
成分とし、又これにさらにCr。
Mo、V、Bの1種又は2種以上合計0.90%未満含
有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、且つ が1.1%以下であることを特徴とする溶接性に優れた
耐磨耗性鋼を要旨とするものである。
以下本発明の詳細な説明する。
先ず本発明の鋼の組織がマルテンサイト又は低温焼戻し
マルテンサイト(ここで低温焼戻しマルテンサイトとは
400℃以下で焼戻されたマルテンサイトを言う)と規
定した理由は、良好な耐磨耗性を得るのにミクロ的に均
一な硬度と微細炭化物の均一分散を計るためと、溶接性
を向上するのに出来るだけ合金元素の低減を行うためで
ある。
例えばフェライトとパーライトの共存組織ではフェライ
トとパーライトの硬度差が激しく、フェライトとパーラ
イトの境界で組織の脱落を起す。
また高温焼戻しマルテンサイトでは、粒界に析出した巨
大炭窒化物から組織の脱落を起し、マルテンサイト又は
低温焼戻しマルテンサイト組織に比して耐磨耗性が劣る
以上のような理由で、本発明鋼では組織をマルテンサイ
ト又は低温焼戻しマルテンサイトと限定した。
以下本発明鋼の成分限定理由について述べる。
Cは鋼の強度および硬度を増加させるために最も効果的
な元素である。
0.21%未満では強度を確保することが出来ず、0.
35%を超えると焼割れの発生の危険が生じ著るしく製
造を困難にせしめるため、0.21〜0.35%に限定
した。
Siは脱酸用の元素であり、0.1%未満ではその効果
が少なく、0.90%を超えると靭性の低下が著るしい
Mnは強度を上昇させ且つ焼入性を向上させる元素であ
るが0.50%未満ではその結果が少く、2.00%を
超えると靭性が劣化する。
Pは本発明の主目的である溶接割れ感受性に最も影響す
る元素で、0.015%を超えると著るしく割れ感受性
を増大せしめるので0.015%以下と限定した。
さらに望ましくはPo、012%以下である。
AIは脱酸材として働くのみならずNを固定し焼入性を
向上させる元素であるが、0.005%未満では、その
効果がなく、0.07%を超えると靭性を劣化せしめる
希土類元素(以下REMと称する)及びCaは溶接時に
侵入する水素の停留位置である介在物の表面積を減少せ
しめるに有効な元素であると同時に溶接割れ発生起点で
ある介在物の母材との境界のミクロ偏析の減少に有効な
元素である。
鋼材にREM又はCaを添加することと他の溶接割れ感
受性に悪影響を及ぼす元素をPH式によって限定するこ
との複合効果によって、はじめて溶接割れ感受性を低減
することが可能である。
そのためにREM又はCaは0.0005%未満ではそ
の効果がなく、o、oio%を超えて添加するとかえっ
て介在物量を増し、効果がなくなるので0.010%を
上限とした。
なおここでい5REMとは原子番号57〜710元素お
よびYを指す。
Cr 、Mo 、V、Bは強度上昇、焼入性向上のため
に有効な元素であるが、Cr 、 Mo 、 V、 B
の単独又は複合添加の合計を0.9%以上添加すると本
発明の目的とする溶接割れ感受性に悪影響を及ぼすため
0.9%未満に限定した。
次にその添加元素をPH式で計算しPHを1.1%以下
と限定した理由について詳述する。
産業機械等の溶接組立工程における溶接条件が悪い場合
すなわち ■ 高温多湿環境(例:気温30℃×湿度90%)にて
溶接する ■ 高温多湿下で溶接材料を長時間放置した後使用する ■ 錆の発生した鋼材や、塗料の塗られた鋼板に溶接す
る 等の場合、強度の低い鋼材では発生しなかった溶接割れ
が発生する。
隅肉溶接部に発生した割れの1例を模式図的に示したの
が第1図で、第1図−Aは割れ部材の外★★観、第1図
−Bは割れ発生断面(A−A′断面)の詳細図である。
同図において1,2が隅肉溶接継手を形成する鋼材、3
は溶接ビードであり、溶接割れ4は鋼材1側の溶接熱影
響部5の外側原質部に発生する。
この割れ4は溶接後5〜10日後に超音波探傷検査や磁
粉探傷検査によって初めて発見される高強度鋼特有の割
れである。
割れは溶接中に侵入する水素と溶接構造体としての高い
残留応力とによって発生するもので、割れ破面ば粒界破
面を呈し、割れ発生起点には微細な介在物が存在する。
溶接中に侵入する水素と、発生する残留応力とはいづれ
も不可避のため、鋼材側の影響要因を改善することによ
って溶接割れ感受性を低減することが可能である。
本発明者等は介在物境界および結晶粒界に存在する偏析
元素および、炭窒化物に着目し、各種合金元素の影響の
程度を詳細に調査した。
調査材は50kg真空溶解炉で溶解した。
その化学成分はC;0.11〜0.55%、Si:0.
05〜1.10%、Mn ; 0.35〜2.50%、
P ; 0.002〜0.035%、S;0.003〜
0.025%、Al;0.001〜0.09%、Ca
; 0−0.030%、REM;0〜0.030%、C
r :0−1.50%、Mo;0〜0.50%、V;0
〜0.10%、B;0〜0.005%の範囲にあり、そ
の組合せの54種類を作成した。
各々の試験材は12mm厚の鋼板に圧延し、熱処理した
後、後で詳述する窓枠拘束隅肉溶接割れ試験を実施した
その結果を重相関分析手法によって解析すると、各種合
金の影響の程度は次式 のようになる事を見い出した。
この式で計算された第1表に示すような試験材のPH値
と割れ発生の傾向を図示したのが第2図である。
この図から明らかなように、Ca又はREMが添加され
ている場合、PHが1.1%以下では割れが発生してい
ない。
このような理由でPHを1.1%以下と限定した。
以上のような成分組成の鋼は、転炉、電気炉で溶製され
、造塊、分塊あるいは連続鋳造を経て鋼片に製造され、
のち熱間圧延で所望の形状の鋼材に圧延される。
これらの鋼材は圧延後直ちにオーステナイト温度域から
焼入れるか、又は一旦冷却した後、再びオーステナイト
域に加熱し、焼入れし、またはさらに強度の調整を焼戻
によって行う事によって製造される。
なお、本発明の対象となる鋼材の形状は鋼板に限らず棒
鋼、形鋼、或いはレールなどいずれでも良い。
以下実施例にもとづいて、本発明の効果をさらに詳細に
説明する。
実施例 第2表は転炉で溶製し、造塊、分塊したのち、熱間圧延
した鋼板の化学組成とその熱処理条件とその組合せによ
って得られる鋼材の機械的性質を示す。
第3表は窓枠拘束隅肉溶接割れ試験の結果と耐磨耗性を
SS41に比した値を示す。
( なお、窓枠拘束溶接割れ試験とは第3図に示す形状の試
験体で、試験片7の板厚の2倍以上の厚みを持つ拘束板
6の中央に窓をあげ、試験板7をはめ込む。
そしてその四周を拘束溶接し、立板8を中央に立てて仮
付は溶接し試験体を組立て、試験溶接ビード3を溶接し
、10日後に割れの有無を検査して結果を出す試験法で
ある。
なお、溶接条件は第3表に併記して示す通りである。
また試験溶接であるところの炭酸ガス溶接においてシー
ルドガスのCO2に3.5%のH2を混入したのは、構
造物の溶接時の悪条件によるH2侵入の最大値がJIS
法による拡散性水素測定で約6cc/100?であった
ので、この値に試験溶接の拡散性水素量を制御するため
である。
また本磨耗試験は一般に行われている磨耗試験の内では
厳しい条件のものであるガウジング磨耗試験機によって
行ったものである。
なお、422〜25は比較鋼である。
本発明鋼と比較鋼を比べてみると、同程度の強度130
〜200kg/lnjを有しながら本発明鋼の溶接割れ
感受性が極めて低い事が判る。
又耐磨耗性が非常に優れていることが明らかである。
以上のように本発明鋼は130〜200kg/7ndと
いう高い強度を有するにもかかわらず、常温で簡単に溶
接することが可能で、従来のように150℃予熱、長時
間後熱等厄介な作業を必要としない事は本発明鋼の効果
であり、従来鋼では考えられない著るしい効果である。
【図面の簡単な説明】
第1図は溶接割れの状態を示す模式図、第2図はPHと
割れ率との関係を示す図、第3図は窓枠拘束隅肉溶接割
れ試験体の外観図である。 1.2・・・・・・被溶接鋼材、計・・・・・溶接ビー
ド、4・・・・・・溶接割れ、5・・・・・・溶接熱影
響部、6・・・・・・拘束板、7・・・・・・試験板、
8・・・・・・立板。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 組織がマルテンサイト又は低温焼戻しマルテンサイ
    トで引張強さ130〜200 ky/−である鋼であっ
    て、C0,21〜0.35%、Si0.10〜0.90
    %、Mn 0.50〜2. O0%、Po、015%以
    下、AIo、005〜0.07%、稀土類元素又はCa
    を1種以上合計0.0005〜0.010%、残部Fe
    および不可避不純物からなり、且つが1.1%以下であ
    ることを特徴とする溶接性に優れた袋磨耗性高張力鋼。 2 組織がマルテンサイト又は低温焼戻しマルテンサイ
    トで引張強さ130〜200kg/mAである鋼であっ
    て、C0,21〜0.35%、Si0.10〜0.90
    %、Mn 0.50−2.00%、Po、015%以下
    、AIo、005〜007%、稀土類元素又はCaを1
    種以上合計0.0005〜0.010%、Cr、Mo、
    V、Bの1種又は2種以上合計0.90%未満、残部F
    eおよび不可避不純物からなり、且つ が1,1%以下であることを特徴とする溶接性に優れた
    耐磨耗性高張力鋼。
JP54121010A 1979-09-20 1979-09-20 溶接性に優れた耐磨耗性高張力鋼 Expired JPS5925022B2 (ja)

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