JPS5924935Y2 - 恒温槽 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はマイクロカロリメータあるいは各種高感度検
出等高い精度で所定の温度に維持することが要求される
恒温槽に関する。

従来の恒温槽は断熱材を壁材とし、槽内を自動制御式電
熱器によって所定の温度に維持していたが、電熱器の制
御用の温度検出器や、断熱器の機能が不十分で満足でき
るものかえられなかった。

この考案は物質の相の転移に伴う潜熱現象を利用して断
熱壁を恒温に保ち、外周の室温の変化が槽内に影響を及
ぼすことを防止した秀れた性能の恒温槽を実現せんとす
るものである。

第１図はこの考案の一実施例の恒温槽の概要説明用の断
面図で、断熱材の壁１の外周に近い部分に銅あるいはア
ルミニウム等の熱良導材の伝熱層２が設けてあり、この
伝熱層の一部に水・ジフェニルエーテル・ガリウム等固
相から液相あるいはその逆への転移の際潜熱現象を生じ
る物質３が収納された容器４が密着して設けである。

この容器４の一部延長部５に圧力スイッチ６を設け、前
記容器の他面に密着して取付けられた電熱器７の電源を
開閉する。

第２図は相転移と潜熱現象の状態説明図で縦軸Ｔに温度
、横軸ｔに時間がとっである。

潜熱現象を生じる物質に固相の状態から一定の熱を加え
ると、時間の経過共に温度が上昇するが、溶融を始める
と温度上昇は停止し、しばらく一定温度を保つ、これは
潜熱現象と称しよく知られている。

この温度は水の場合Ｏ℃、ジフェニルエーテルは２８℃
、ガリウムは２９．７８℃である。

但しそれぞれの物質は温度上昇と共に体積変化をも伴う
ので、この体積変化で圧力スイッチ６を動作させ電熱器
７により加熱され所期の温度に達すると電熱器７の電力
が圧力スイッチ６の働きで断たれ、所期の温度以下に低
下すると電熱器７が再び加熱され潜熱現象をもった物質
はその転移温度に正確に保持され内部の伝熱層２によっ
て断熱壁１も所定の温度に保持され、極めて温度精度の
高い恒温槽かえられる。

潜熱現象をもった物質としては目的の保持温度に応じて
選択する。

上記実施例の伝熱層として熱良導材の金属板を用いたが
潜熱現象をもった物質の熱を熱交換器を介して壁内を循
環させる空気、水等の流体を伝熱層とすることも可能で
ある。

またこの場合潜熱現象を生じる物質および電熱器を外部
に設けてもほぼ同様の機能はえられる。

この考案の効果は以上詳述したように物質固有の潜熱現
象を利用して正確な温度制御がおこなえる恒温槽が極め
て容易に実現できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の恒温槽の概要説明用断面
図、第２図は相の転移の際の潜熱現象説明図で゛ある。 １：壁、２：伝熱層、３：潜熱現象をもつ物質、４：容
器、６：圧力スイッチ、７：電熱器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固相と液相との間で相移転を示す物質と、これを加熱す
   る電熱器と、前記物質の熱膨張によって前記電熱器の入
   力を制御する手段と、断熱壁内に前記物質の温度を伝達
   する伝熱層とを備えた恒温槽。