JPS5916549Y2 - 可変容量型油圧ポンプの中立位置調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は主として油圧駆動車に使用される可変容量型
油圧ポンプの中立位置調整装置に関する。

一般に油圧駆動車に使用される可変容量型油圧ポンプは
中立時傾転角が正確に中立位置に調整されていないと車
両が前進または後進して危険である。

このため従来のこの種可変容量型油圧ポンプには第１図
ないし第３図に示すような中立位置調整装置が装備され
ている。

しかし何れの中立位置調整装置も油圧ポンプに組込むに
際して組立て分解を繰り返しながら中立位置の調整を行
なわなければならないため、組立て調整に多くの手数を
要する欠点があると共に、第１図に示す装置の場合、中
立位置においてガタを生じない反面、保持力特性が第４
図に示すようになるため、ポンプ傾転体が中立位置で不
安定となる。

また第２図及び第３図に示す装置では保持力特性が第５
図に示すようになることから、中立位置でポンプ傾転体
は安定するが、中立時のガタを除去するためには、まず
カバを外し、次にナツト回り止めピンを外して調整する
か、カバを外し、次にボルトを外してシム調整する必要
があり調整作業が面倒である欠点がある。

この考案はかかる欠点を除去する目的でなされたもので
、中立時の保持力特性が第５図に示すように安定し、し
かも中立位置調整の容易な可変容量型油圧ポンプの中立
位置調整装置を提供しようとするものである。

以下この考案を第６図に示す一実施例について詳述する
。

図において１は油圧駆動車などに装備された可変容量型
油圧ポンプで、エンジン２により駆動されると共に、吸
入及び吐出側が管路３を介して負荷回路４に接続されて
いる。

また５はチャージポンプで、このポンプ５より吐出され
た圧力は逆止弁６を介して各管路３に補給されるように
なっていると共に、一部は操作弁７を介して中立位置調
整機構８の圧力室９ａ及び９ｂに夫々管路１０及び１１
を介して供給されている。

上記中立位置調整機構８は両端の開口が端板１２により
閉鎖されたシリンダ９を有しており、このシリンダ９内
にはスプール１３が収容されていて、シリンダ９内を上
記各圧力室９ａ及び９ｂに区割している。

上記スプール１３の中央部にはシリンダ９の切欠９Ｃよ
り挿入された連結杆１４が係合されていて、この連結杆
１４には可変容量型油圧ポンプ１の傾転体１ａ及び上記
操作弁７と連動するフィードバックリンク１５が夫々連
設されている。

一方シリンダ９の両端を閉鎖する端板１２の中心部には
調整ボルト１６の先端側が液密に螺合されている。

これら調整ボルト１６の先端にはシリンダ９の外側から
回転できるよう（＋）または（−）の工具溝１６ａが形
成されていると共に、ロックナツト１７が螺装されて、
調整位置が固定できるようになっている。

また各調整ボルト１６の頭部側はスプール１３側へ突出
されていて頚部にスプール１３端面と当接するリテーナ
１８が遊嵌されており、これらリテーナ１８と各端板１
２との間には圧縮ばね１９が介在されて、スプール１３
を中立方向へ偏倚している。

しかして可変容量型油圧ポンプ１の吐出量を変える場合
は操作弁７を操作して、中立位置調整機構８の一方の圧
力室９ａまたは９ｂへチャージポンプ５より油圧を供給
する。

これによってスプール１３が左または右へ移動して傾転
体１ａの傾転角が変り所望の吐出量が得られるようにな
る。

また操作弁７の操作レバ７ａが中立位置にもかかわらず
車両が前進または後進する場合は、傾転体１ａが傾転し
ている側のロックナツト１７を緩めて、調整ボルト１６
をドライバなどの工具でねし込み、次に反対側の調整ボ
ルト１６を同量だけ緩めて中立位置調整し、調整後ロッ
クナツト１７で各調整位置に固定すればよい。

同様に中立時傾転体１ａにガタがある場合も上記操作で
これを簡単に取り除くことができる。

しかもスプール１３を偏倚する各圧縮ばね１９はリテー
ナ１８により行程が規制されていて、圧縮の時のみ作用
することがら、第５図に示す中立位置の安定した保持力
特性が得られるようになる。

なお上記実施例では可変容量型油圧ポンプ１の傾転体１
ａが両方向へ傾転される場合を示したが、片振りすなわ
ち一方向へのみ傾転する油圧ポンプ１の場合は、第７図
に示すように、中立位置調整機構の片側のみで構成する
ようにしてもよいものである。

この考案は以上詳述したように、中立位置の調整がシリ
ンダ外部より調整ボルトを回転するだけで簡単に調整で
きるため、従来のこの種装置のように組立て分解を繰り
返しながら調整するものに比べて短時間でしかも確実に
中立位置調整ができるようになる。

また中立時にガタが生じていても中立位置調整時と同様
な操作でこれを除去できることから、シムで調整する従
来のものに比べて作業も容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来の中立位置調整装置の説明図
、第４図及び第５図は同保持力特性を示す線図、第６図
はこの考案の一実施例になる中立位置調整装置の構成図
、第７図は他の実施例を示す構成図である。 １は可変容量型油圧ポンプ、１ａは傾転体、９はシリン
ダ、９ａ及び９ｂは圧力室、１２は端板、１３はスプー
ル、１６は調整ボルト、１８はリテーナ、１９は圧縮ば
ね。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）可変容量型油圧ポンプ１の傾転体１ａに連動する
   スプール１３を収容したシリンダ９の端板１２に、シリ
   ンダ９の外方より回転調整自在な調整ボルト１６を液密
   に螺装し、かつ上記調整ボルト１６には上記スプール１
   ３端面に当接するリテーナ１８を遊嵌すると共に、この
   リテーナ１８と上記端板１２の間に、スプール１３を中
   立方向へ偏倚する圧縮ばね１９を介在させてなる可変容
   量型油圧ポンプの中立位置調整装置。
2. （２）シリンダ９内をスプール１３により圧力室９ａ、
   ９ｂに区割し、これら圧力室９ａ、９ｂ内に突設した調
   整ボルト１６に夫々リテーナ１８を遊嵌して、これらリ
   テーナ１８と端板１２の間に設けた一対の圧縮ばね１９
   により上記スプール１３を両側から中立方向へ偏倚して
   なる実用新案登録請求の範囲第１項記載の可変容量型油
   圧ポンプの中立位置調整装置。