JPS59136Y2 - 簡易速成表具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は巻き物、掛軸、屏風、襖、和式類等の表具に係
り、表装を簡易に行えるようにした簡易速成表具に関す
る。

通常、表具の表装は一本一本手作りであるため、これを
完成させるには多くの時間と多額の費用を費やすことに
なり、そのため紙もしくは布帛に書かれた、又は印刷さ
れた墨蹟や絵画等の作品は、よほど大切なものを除き、
そのままの状態で保存されているのが実情である。

このような点に対処し、本考案者は先に提出した実願昭
５１−２１４０５号の簡易速成表具を見い出した。

この簡易速成表具は手軽に自分の作品を台紙に貼付して
表装が完成できるので好評を博している。

しかしながら、貼付状態が悪いと作品の側部が食み出し
たりして体裁が悪くなることがあるという欠点を有して
いる。

ここでなしたのが本考案であり、実願昭５１２１４０５
号の簡易速成表具において一文字部および中廻し部の本
紙貼付部側の縁部分内側に未接着部を設け、かつ、該未
接着部に接着剤形成層を設は前記縁部分内側に作品を挿
入貼付できるようにした構成とすることにより、簡易に
、かつ、体裁よく表装できる簡易速成表具を提供したも
のである。

以下、図面に記載の実施例に基づいて説明する。

図において、１は本考案の簡易速成表具であって、掛軸
として示され、従来のものと同様に台紙２、一文字部４
、中廻し部５、台紙２と一文字部４および中廻し部５と
が形成する本紙貼付部３、上下部１１．風帯１２、標本
１３、軸木１４および掛紐１５とより構成されている。

本紙貼付部３には接着剤形成層６が設けられ、また一文
字部４、中廻し部５の前記本紙貼付部３側の縁部分内側
７には未接着部８が設けられており、この未接着部８に
は接着剤形成層９が設けられている。

前記接着剤形成層６，９を形成する接着剤としては、ポ
リ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール類のボッビニルホ
ルマール、ポリアミド類の可溶性ナイロンやその他複合
ポリマー等の熱で溶融する熱溶融性接着剤、ポリビニル
アルコール、可溶性デンプン、テキストリン、膠、カゼ
イン、大豆グルー、アラビアゴム等の湿気を与えると接
着力を生じる再湿性接着剤、天然ゴムラテックスや合成
ゴムラテックスに粘着付与剤（例えばクマロン、インチ
゛ン樹脂、ロジン、ロジン誘導体）を加えたもの等の圧
力を加えるだけで接着できる圧感性接着剤が適しており
、接着剤形成層６，９を形成するには、本紙貼付部３、
縁部分内側７の表面に下塗り用の樹脂を形成した後に配
すればなおよい。

上記接着剤において圧感性接着剤を用いた場合には、第
５図に示すように接着剤形成層６，９の表面に離型紙１
０を設ける必要がある（図面は接着剤形成層６にのみ配
した構成）。

また、接着剤形成層６，９を形成する接着剤は、同一種
類のものでもよいが、異った種類のものを用いる方がよ
い。

なお、１６は紙もしくは布帛に書かれた、又は印刷され
た累積や絵画等の作品である。

つぎに、上記構成に基づき、本考案簡易速戊表具１を用
いての表装作業を説明する。

なお、ここで述べる簡易速成表具１における接着剤形成
層６は熱溶融性接着剤で、また接着剤形成層９は、圧感
性接着剤で形成され、表面に離型紙１０が設けてなる構
成のものである。

まづ、一文字部４および中廻し部５の縁部分を捲り（第
６図イ）、作品１６を本紙貼付部３上に載置する（第６
図口）。

つづいて、作品１６上よりアイロン等で熱を与え（第６
図ハ）、作品１６を本紙貼付部３に接着させ、また縁部
分の離型紙１０をとり除き（第６図二）、該作品１６を
上下方向より貼付することにより表装を完了する（第６
図ホ）。

なお、上述の順序は、入れ替えて行うこともできる。

以上述べたように、本考案の簡易速成表具では、作品１
６を表装するには、まず最初に本紙貼付部３の周囲を形
成する一文字部４および中廻し部５の縁部分を捲り、作
品１６を本紙貼付部３上に載置してここに接着し、次い
でｌ上げた縁部分から離型紙１０をとり除いて該縁部分
を完成に戻して、この縁部分を作品１６上に接着するも
のであるから、表装の全作業は表面側を上方にむけたま
まの状態でなされることになり、作品１６の位置決めを
正確に行うことができる。

また従来例のように作業の途中で台紙等を裏むける必要
がないので、一人ですべての作業が行える等の効果を有
する。

さらに表装の完了後は、作品１６はその周囲が一文字部
４および中廻し部５の縁部分で覆れるため、体裁のよい
表装ができるという効果をも有する。

また、本考案の簡易速成表具１は、上下方向より作品１
６を貼付する構成であるので、厚みを有する色紙を表装
することもできるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の正面図、第２図は第１図Ｂ−Ｂ線断面
図、第３図は第１図Ａ−Ａ線断面図、第４図イは第３図
一部拡大図、第４図口は第２図一部拡大図、第５図イは
離型紙を設けた場合の他の実施例、第５図口は第５図イ
の一部拡大図、第６図イ９０、ハ、二、ホは表装作業の
過程を示す図である。 図の主要な部分を表わす付号の説明 １・・・・・・簡
易速成表具、２・・・・・・台紙、４・・・・・・一文
字部、５・・・・・・中廻し部、３・・・・・・本紙貼
付部、６，９・・・・・・接着剤形成層、７・・・・・
・縁部分内側、８・・・・・・未接着部、１０・・・・
・・離型紙。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）台紙２の少くとも本紙貼付部３に接着剤形成層６
   を設け、また台紙２に接着して構成されている一文字部
   ４および中廻し部５の前記本紙貼付部３側の縁部分内側
   ７に未接着部８を設け、かつ、該未接着部８には接着剤
   形成層９が設けられてなる構成の簡易速成表具。
2. （２）接着剤形成層９として圧感性接着剤で形成し、該
   表面に離型紙を設けてなる実用新案登録請求の範囲（１
   ）の簡易速成表具。
3. （３）接着剤形成層６と接着剤形成層９とは異なる接着
   剤で形成して、なる実用新案登録請求の範囲（１）の簡
   易速成表具。