JPS586697Y2 - 小型箔押機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、小型箔押機における活字加熱部分の改良に関
するものである。

小型箔押機とは、ホイルと呼ばれる着色された箔を使用
し、このホイルを被印刷物の上に重ねるとともにその上
から１００〜２００℃程度に加熱された活字で押圧する
ことにより、ホイルから被印刷物で転写印刷（印字）を
行なうものである。

このような小型箔押機において鮮明な転写印刷を行なう
ためには、活字の温度、活字を押圧する圧力、押してい
る時間等を常に最適の条件に維持しなければならず、特
に活字の温度は重要な要素である。

従来、活字の加熱およびその温度調節には電熱器とサー
モスタットが使用されていた。

しかしながら、サーモスタットはオンオフ制御を行なう
ものであるので、高精度の温度調節を行なうことはでき
ず、また、機械的な接点を有するために故障が多いとい
う欠点を有している。

本考案は、上記のような従来装置の欠点をなくし、高精
度の温度調節ができるとともに、故障の少ない小型箔押
機を簡単な構成により実現することを目的としたもので
ある。

本考案の小型箔押機は、活字加熱用の発熱体として正特
性サーミスタを使用し、半導体のジュール熱による自己
加熱とともに温度による抵抗値の変化を利用して、発熱
体の温度を発熱体自身で制御するように構成するととも
に、この′発熱体から活字に伝達される熱量を制御する
ことにより活字の温度を適当な値に調節するようにした
ものであ。

以下、図面を用いて本考案の小型箔押機を説明する。

第１図は本考案の小型箔押機の活字加熱部分の一実施例
を示す構成図である。

図において、１は活字、２は熱の良導体よりなるフレー
ム、３は活字１をフレーム２に固定する活字押え、４は
正特性サーミスタを使用した発熱体、５は発熱体４によ
り発生された熱をフレーム２および活字１に伝える伝熱
材である。

活字１は発熱体４により伝熱材５、フレーム２を介して
加熱される。

上記のように構成された本考案の小型箔押機の活字加熱
部分の動作は次の通りである。

まず、活字加熱部分の発熱体４に使用される正特性サー
ミスタは第２図に示す如き温度−抵抗特性を有するもの
である。

正特性サーミスタには、例えばチタン酸バリウム（Ｂａ
Ｔｉ０３）系とシリコン（Ｓｉ）系が知られている。

前者はチタバリコンデンサの基材であるＢａＴｉＯ３に
その原子価を制御する異種原子をドープして電導性をも
たせて半導体化したものである。

ＢａＴｉＯ３に特有のキューり点における相転位により
その電気伝導性が大幅に変化する現象を利用したもので
、一般のサーミスタとはまったく逆の温度−抵抗特性を
もっており、抵抗急変の割合も対照的である。

一般に、ＢａＴｉＯ３のみを基体にしたもののキューり
点は約１２０℃であるが、これにストロンチウム（Ｓｒ
）を加えてＢａの一部をＳｒで置換するとキューり点は
下がり、Ｓｒの代りに鉛（Ｐｂ）を置換すると逆にキュ
ーり点は上昇する。

上記の如き性質を有する正特性サーミスタを使用した発
熱体４に電力を供給すると、発熱体４はジュール熱のた
めに発熱する。

しかしながら、発熱体４の温度が正特性サーミスタのキ
ューり点に達すると、第２図に示す如く正特性サーミス
タの抵抗値が急激に増加して、流れる電流を制御するの
で、発熱体４の温度は正特性サーミスタの材料固有のあ
る定温度に落着く。

このように、正特性サーミスタは常に一定温度で発熱し
ているので、活字加熱部分の発熱体４に正特性サーミス
タを使用することにより、高精度の温度調節ができると
ともに、故障の少ない小型箔押機を簡単な構成により実
現することができる。

また、小型箔押機において、使用するホイルの種類を変
更した場合、ホイルの特性に合わせて活字の温度を変化
させなければならないことがある。

このような時、本考案の小型箔押機において使用する発
熱体４は、上記したように常に一定温度で発熱し、外部
回路等によりその発熱温度を変化させることかできない
ものであるので、本考案では次のような手段を用いてこ
の問題を解決し、活字の温度を変化させるようにしてい
る。

第１図に示されるように、発熱体４により発生された熱
はＵ字形の伝熱材５を介してフレーム２および活字１に
伝達されている。

ここで、伝熱材５は図中の矢印で示されるように上下に
移動可能なように取り付けられており、その位置に応じ
て発熱体４との接触面積および空気中への放熱面積が変
化されるように構成されている。

いま、伝熱材５が図の実線で示される位置にあるとする
と、伝熱材５から空気中に放散される熱量は少なく、活
字１は発熱体４０発熱温度に近い温度に保持される。

次に伝熱材５が破線で示される位置に移動されると、発
熱体４と伝熱材５との接触面積が小さくなるとともに伝
熱材５における空気中への放熱量が増加するので、フレ
ーム２に伝えられる熱量が減少し、活字１の温度は前記
の状態に比べて低い値に保持されるようになる。

このように、本考案の小型箔押機では、発熱温度が一定
である発熱体４を使用しているにもかかわらず、伝熱材
５の位置を移動させるだけで活字１の温度を容易に変化
させることができる。

以上説明したように本考案の小型箔押機では、活字加熱
用の発熱体として正特性サーミスタを使用するとともに
、この発熱体から活字に伝達される熱量を制御すること
により活字の温度を適当な値に調節するようにしている
ので、高精度の温度調節ができるとともに、故障の少な
い小型箔押機を簡単な構成により実現することができる
。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の小型箔押機の活字加熱部分の一実施例
を示す構成図、第２図は発熱体として使用される正特性
サーミスタの温度−抵抗特性を示すグラフである。 １・・・・・・活字、２・・・・・・フレーム、３・・
・・・・活字押え、４・・・・・・発熱体、５・・・・
・・伝熱材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱の良導体よりなり活字を保持するフレームと、正特性
   サーミスタよりなる発熱体と、両脚がそれぞれ前記フレ
   ームと前熱体とに接するようなＵ字形を有しその取り付
   は位置を移動させることにより前記発熱体との接触面積
   および空気中への放熱面積が変化して発熱体からフレー
   ムへ伝達する熱量を変化させることのできる伝熱材とを
   具備し、伝熱材の取り付は位置により活字の加熱温度を
   変えるとともに、加熱した活字をホイルを介して被印刷
   物に押圧して転写印刷を行なうようにしてなる小型箔押
   機。