JPS585711B2 - 穿孔、或いは切断用超高圧液体噴射ノズル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は超高圧液体噴射加工装置に用いるノズルに関す
るものである。

超高圧液体噴射加工装置は、必要に応じて添加物等で調
整された水（以下噴射液という）に数千ｋｇ／ｃｍ２の
圧力を印加して、たとえば直径０．１ｍｍ程度の小孔か
ら成るノズルから噴出させるもので、噴出した噴射液は
超高速の細い流束となり、被加工物に孔をあけ、切断な
どの加工を行うものである。

液束のエネルギーを被加工物に効率よく作用させるため
には、液束は終始一定の太さで拡大ないし飛散すること
なく流れることが必要で、ノズルはこのような液束を作
るものでなければならない。

噴射孔を超高圧の噴射液が超高速で通過するため、ノズ
ルは超硬合金などの耐摩耗材料を用いても摩耗ないし破
損が著しく、僅か１〜２分間の使用で液束が太くなり使
用不能となる。

このため一般にノズルの噴射孔の部はダイヤモンド又は
ダイヤモンド粉末焼結体で作られる。

即ち第１図のように噴射孔１を穿ったダイヤモンド又は
ダイヤモンド粉末焼結体２をノズル本体３の先端に取付
けた構造とする。

噴射孔１は従来は第２図或いは第３図に示すように、伸
線ダイスの孔形状に類似する漏斗状又は円筒状に近い形
状であった。

この種の孔形状は、液流を絞って高速の細い液束を作る
機能にすぐれるようにも思われるが、実際にはつぎの欠
点がある。

先ず第４図のように液束４はノズル３から離れるに従っ
て拡大し、被加工物５に到達した位置では噴射エネルギ
ーが十分に集中しないために加工能力が減殺される傾向
がある。

又液の一部が液束から離れて飛散し、必要以上に被加工
物を濡らす不利がある。

次に、同一設計に従って製作されたノズルにも、比較的
に良好な液束を作るもの、液束が乱れるもの、甚だしく
飛散するもの等がありノズル毎の不揃いが大きい。

更に従来のノズルにおいて液束が拡大し或いは一部が飛
散するのは、液の流れが定常でなく乱流が起るためであ
る。

乱流を起す原因の最たるものは、或る長さにわたって噴
射孔内を液が流れることにある。

直円筒形の孔でも、圧力をもった液が通過する際には周
側部は孔の壁との摩擦のため中心部よりも速度が遅いこ
きが乱流の原因となる。

孔が先で細く絞られる漏斗状の場合にはこの原因からの
乱流が甚だしくなることは容易に理解される。

更に円筒状、漏斗状の形状精度即ち真円度、同芯度、円
筒部の円筒度、又孔の壁の面あらさなどには加工工作上
の限度があり、これ等が乱流を助長することは避けられ
ない。

殊にダイヤモンド等の超硬質材料に細い孔を穿つ加工は
技能上の限界もあって孔の不整の程度は一定を保ち難く
、従来のノズル製品には当然不揃いが大きかった。

本発明は上記した従来のノズルの欠点を解消し、噴射液
が飛散せず、規則正しい液束を安定に作る性能を有し、
寿命が長く、しかも製造が容易な超高圧液体噴射ノズル
を提供することにある。

前記の目的を充足するため本発明は次のように構成した
ものである。

即ち本発明は内面側を平らに研磨し、この研磨した平面
に垂直に外面側に向って広がるラッパ形の噴射孔を設け
たダイヤモンド又はダイヤモンド粉末焼結体から成る穿
孔或いは切断用超高圧液体噴射ノズルである。

次に実施例について説明する。

本発明は第５図に示すようにノズルの噴射孔１′は下方
が広がるラッパ状に形成し、かつ内面６、即ち液の高圧
力を受止める面は平担に研磨する。

第５図に示す実施例は孔１′の入口８の周縁７は凸角の
稜となっている。

液はこのような噴射孔８で太さを定められて液束となり
、以後は孔の壁に触れることがないので、上述の乱流の
原因はすべて避けられる。

厳密には勿論液流と孔壁との摩擦は皆無ではあり得ない
が、第５図はこの摩擦を最小限に押える形状であり事実
上正常な円柱状の液束が安定に得られるものである。

以上の原理に立脚するので、第５図の孔形状で重要なの
は最上部の小部分９である。

この部は精確に加工し、平担に研磨された上面６と截然
とした縁７で画された円形の開口８を形成する。

最上部の小部分９よりも下の拡開部分１０は所謂逃げの
部分であり、形状精度も不要で、仕上も粗面加工のまゝ
で十分である。

但し最上部の小部分９も一応の真円度、同心度があれば
よく、必ずしも極度の精度を要しない。

また仕上も極上の鏡面でなくても、一応均一に仕上って
いれば梨地面でもよい。

最上部の小部分９の寸法Ｈは０に近い値から０．１ｍｍ
まで、又角度θは１／４から５°までが効果があり、こ
の範囲内で角度θが小さい場合はＨも小さく、角度θが
大きい場合はＨも大きくする。

以上のように本発明の超高圧液体噴射ノズルは加工精度
を要する部分が極めて僅かであるため製造が非常に容易
であり、性能のすぐれたノズルを安定して供給すること
ができる。

尚ノズル孔の上部開口８の稜角に全円周にわたって、第
６図に示す実施例のように極めて小さい糸面１１をとる
か、また第７図の実施例のように極めて小さい円弧１２
を設けることが望ましい。

両図における９は寸法Ｈ、角度θともに第５図について
記述した最上部の小部分９の部と等しい。

一般にダイヤモンド結晶又はダイヤモンド粉末焼結体に
加工した鋭い稜角は欠けこぼれを生じ易い。

超高圧液体噴射ノズルにおいても使用中の振動や衝撃に
よって、第５図の稜角７に欠けこぼれを生ずることがあ
る。

糸面１１あるいは円弧１２は欠けこぼれを防止して寿命
をさらに伸長する効果がある。

次述のように極めて小さい糸面ないし円弧であるから、
噴射液束を乱すおそれはない。

糸面１１又は丸味１２の寸法ｈ或いはｒは０．１ｍｍよ
りも小さい値でよい。

形状は開口８と同心で）あることを要し、また表面仕上
は鏡面ないし少くとも均一な梨地面を要するが、極めて
小さい糸面ないし円弧であるから所要精度の加工もそれ
程困難ではない。

そして糸面の角度αはほゞ４５°とするが、この角度も
正確を要しない。

以上の説明はノズル孔の縦断面形状のみに係るが、これ
が本発明の主要点である。

このような断面形状の孔を穿ったダイヤモンドあるいは
ダイヤモンド粉末焼結体をノズル本体３に取付けてノズ
ルを完成する方法は種々あり得る。

液の超高圧に２耐える取付法として、本発明者において
実施した例を第８と第９図に示す。

第８図では所定の孔１を穿ったダイヤモンドあるいはダ
イヤモンド粉末焼結体２を金属粉末の焼結体１３に埋込
むとともにノズルキャップ１４に１固着し、ノズル本体
３の先端にねじ込んで固定する。

第９図ではダイヤモンドあるいはダイヤモンド粉末焼結
体２を金属粉末の焼結体１５に埋込んでノズルチップを
成形し、これをノズルキャップ１６によってノズル本体
３に取付ける。

ノズルが寿命に達した時にはノズルチツプ１５（２を含
む）のみを交換すればよい。

本発明によれば、噴射液は飛散することなく、規則正し
い液束を安定して作ることができ、耐用期間も長く安価
な超高圧液体噴射ノズルを得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の超高圧液体噴射ノズルの断面図、第２図
及び第３図は同じく噴射孔の形状を示す断面図、第４図
は噴射状態を示す正面図、第５図は本発明に係る超高圧
液体噴射ノズルの一実施例を示す主要部の断面図、第６
図及び第７図は変形例を示す主要部の断面図、第８図及
び第９図は夫々本発明に係るノズルの全体の断面図であ
る。 １′〜ラッパ形噴射孔、６〜平面、８〜入口、１０〜拡
開部分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内面側を平らに研磨し、この研磨した平面に垂直に
   外面側に向って広がるラッパ形の噴射孔を設けたダイヤ
   モンド又はダイヤモンド粉末焼結体から成る穿孔或いは
   切断用超高圧液体噴射ノズル。 ２ 内面側のラッパ形噴射孔の開口部に生じた稜に該開
   口部と同芯の僅少な糸面を形成したことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の穿孔或いは切断用超高圧液体
   噴射ノズル。 ３ 内面側のラッパ形噴射孔の開口部に生じた稜を円弧
   状に形成したことを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の穿孔或いは切断用超高圧液体噴射ノズル。