JPS5850393Y2 - 電気打楽器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、出力音量の増大と変化のある音色を得るこ
とができる電気打楽器に関する。

近時電気ピアノ、電気ギター等の電気弦楽器の開発及び
普及がめざましく、このような電気弦楽器とバンドを構
成する打楽器、管楽器においても音量、音色のバランス
をはかるため、電気打楽器、電気管楽器として開発され
たものが知られている。

特に電気打楽器としては例えば実公昭５２−４７４７５
号公報に開示されたもののように、有底円筒ケースの開
口部に木製からなる被打撃部を配設して内部を密閉し、
前記被打撃部の裏面に該被打撃部の振動に伴う磁力線あ
るいは静電容量の変化を出力信号として取り出す機械−
電気変換装置を配設したものとか、また特公昭４１−１
０５４９号公報のようにばねで弾性支持された磁性体板
を配設すると共に永久磁石の両端にコイルが巻回された
ヨークをそれぞれ連結してなるコ字状の鉄心を前記磁性
体板の裏面と対向させて配設し、前記磁性体板に加えら
れる機械的衝撃の強さに対応して変化する磁束の変化量
を出力電圧として取り出すようにしたものが周知である
。

然るに、このような構成においてはいずれも振動体に直
接もしくは近傍に検出装置を配設しなければならないた
め取付は個所に大きな制約を受けるばかりか、構成が複
雑で取付は作業が煩雑であった。

特に前者にあっては機械−電気変換装置を構成する共振
素子をダンパーで支持するため、調整が面倒なものとな
り、一方後者は磁性体板を弾性支持するばねが外部振動
によって共振を起し易く、そのため非打撃時においても
磁束変化が生じ、これを雑音として検出する不都合があ
った。

この考案は上記のような事情に鑑みてなされたもので、
構成が簡易で、電気音響として変化のある音色で大出力
を取り出し得るようにした電気打楽器を提供するもので
あり、その特徴とするところは、内部が空胴で被打撃部
材を取着してなる打楽器本体に形成された空気流通用の
小孔に位置して片持ち支持されるリード片を配設し、前
記被打撃部材の打撃に伴い前記小孔を通過する空気流で
前記リード片を振動させ、この振動をピックアップ装置
で電気信号に変換するようにしたものである。

以下、この考案の一実施例を図面に基いて詳細に説明す
る。

第１図はこの考案に係る電気打楽器の縦断面図である。

同図において、打楽器本体１は木材等の板部材によって
箱形に形成されて上部が開口しており、この開口部にあ
る程度の弾力性を有するが比較的発音特性の悪い、例え
ば発泡樹脂、ゴム等の材質からなる板状の被打撃部材２
が木ねじ３及び接着剤等で取着されることにより、内部
が密閉されているδ前記打楽器本体１の内部には底板４
の略中央部に配設されたリード取付は部材５を介して片
持ち支持され、このリード取付は部材５に形成されたス
リット状の小孔６を塞いでいるリード片７が配設される
。

前記底板４には前記小孔６と対応する個所に外部と連通
ずる空気通流用の小孔８が穿設される。

前記リード片７の自由端側上面には該リード片７のたわ
み量を電気信号として検出するストレンゲージ、あるい
は半導体感圧素子等のピックアップ装置９か゛貼着され
、このピックアップ装置９に接続されるリード線１０
ａ 、１０ ｂは打楽器本体１の外部に導出され、後述
する信号処理回路に接続される。

このような構成において被打撃部材２にスティック等で
適当な衝撃を加えると、被打撃部材２はその速さと強さ
に応じた速度で下方に沈み、打楽器本体１内に密閉され
た空気層を圧縮させる。

このため圧縮された空気層の一部は小孔６，８を通って
外部に排出され、次に前記被打撃部材２が上方に移動す
ると内部の空気層が膨張するため、外部の空気は小孔８
，６を通って打楽器本体１内に流入する。

即ち、被打撃部材２が打撃力の強さに応じて上下方向に
繰返し振動することにより、打楽器本体１内の空気層を
圧縮、膨張させるため、小孔６，８を通過する空気流が
起り、この空気流によってリード片７の自由端を振動さ
せる。

この結果、ピックアップ装置９には前記リード片７の振
動に対応する出力電圧を発生し、この出力電圧は第２図
に示す信号処理回路１１を構成する波形成形回路１２ａ
、１２ ｂ 、１２ ｃに加えられる。

この場合、出力電圧はリード片７の振動に対応し、また
リード片７の振動は空気流、換言すれば被打撃部材２に
加えられる機械的衝撃の大きさに対応する。

前記波形成形回路１２ ａは前記出力電圧に対応した出
力電圧を送出して発振器１３に加えるから該発振器１３
は前記出力電圧に対応した出力信号を発振する。

この出力信号は前記波形成形回路１２ｂで制御される音
色成形回路１４に加えられて音色成形された後、エンベ
ロープ回路１５で前記波形成形回路１２ Ｃの出力電圧
の大きさで振幅制御され、更に増幅器１６で増幅されて
スピーカ１７から所望の電子音として取り出される。

このように、上記構成によれば内部が密閉された打楽器
本体１の底板４に穿設された小孔８に臨ませて片持ち支
持されたリード片７を配設すると共にこのリード片７に
ピックアップ装置９を貼着するだけで被打撃部材２の振
動に対応した電気信号を取り出すことができるので、構
成及び組立て作業が極めて簡単且つ容易である。

またリード片７は底板４に限らず、打楽器本体１を構成
する側板に対しても取着され得るので、上記した従来構
造のように取付は個所に何ら制約されることなく良好な
電気打楽器を得ることができる。

しかも、電気信号は増幅器１６の能力に応じて充分増幅
することができるので、容易に大出力を得ることができ
、また音色は音色成形回路１４によって可変され、複雑
な音色を得ることができる。

この場合電気的に音色を形成する代りに、例えば第３図
に示すように打楽器本体１の内部を十字に交叉する隔壁
板２０．２１で画成して４個の電気打楽器Ａ−Ｄを一体
的に結合し、打楽器本体１に取着される被打撃部材２の
材質、厚さ等を各電気打楽器Ａ−Ｄ毎に変え、種々の音
色を得るよう゛にし選択利用するようにしてもよい。

この場合、各電気打楽器Ａ−Ｄの内部には上記したと同
様にピックアップ装置を備えたリード片７がそれぞれ配
設され、各ピックアップ装置の出力信号は第４図に示す
ように各電気打楽器Ａ−Ｄに対応して設けられた各信号
処理回路１１ ａ〜１１ ｄに加えられた信号処理され
た後、１個のスピーカ１７で電気音として取り出すよう
にすればよい。

なお、上記実施例においてはピックアップ装置９として
半導体感圧素子、ストレンゲージを用いたが、これに限
らず打楽器本体１内に密閉された空気層の振動によって
起る磁束の変化量を電気信号として検出する電磁的なピ
ックアップ装置を用いてもよい。

更に信号処理回路としては第２図及び第４図に示したも
のに限らず、ピックアップ装置でピックアップされた電
気信号を直接混合器、増幅器等の回路を経てスピーカか
ら楽音として取り出すようにしてもよい。

以上詳細に説明したように、この考案に係る電気打楽器
によれば、開口部に被打撃部材を取着して内部を密閉し
てなる打楽器本体の任意個所に空気流通用の小孔を穿設
すると共に前記被打撃部材に加えられる衝撃の大きさに
対応して振動するリード片を前記小孔に臨ませて配設し
、このリード片の振動をピックアップ装置で電気信号に
変換するようにしたので、構成及び取付け、組立て作業
を著しく簡単なものとすることができ、しかもり−ド片
は小孔の位置に制約されるのみで被打撃部材には何ら制
約されることがなく任意所望個所に配設することができ
る。

また、ピックアップ装置でピックアップされる電気信号
の大きさは被打撃部材に加えられる衝撃の大きさに比例
するから、通常の打楽器と同様に打面のタッチの強弱を
正確に表現し、また出力音量、出力音色を容易に変化さ
せ得る電気打楽器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る電気打楽器の一実施例を示す縦
断面図、第２図は信号処理回路の一例を示すブロックダ
イヤグラム、第３図はこの考案の他の実施例を示す一部
破断斜視図、第４図は信号処理回路の他の一例を示すブ
ロックダイヤグラムである。 １・・・・・・打楽器本体、２・・・・・・被打撃部材
、７・・・・・・リード片、８・・・・・・小孔、９・
・・・・・ピックアップ装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被打撃部材を取着してなる内部が空胴な打楽器本体に外
   部と連通ずる空気流通用の小孔を穿設すると共に内部に
   片持ち支持され且つピックアップ装置を取着してなるリ
   ード片を前記小孔に臨ませて配設したことを特徴とする
   電気打楽器。