JPS5850123Y2 - デイスクブレ−キ用液圧作動装置のピストン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は主として車両に用いられるディスクブレーキ用
液圧作動装置のピストンに関するものである。

ディスクブレーキはドラムブレーキのようにライニング
とブレーキドラムとの摩擦係合部分における一種の楔効
果に基づく自己緊締作用がないので、ブレーキドラムか
らホイールシリンダに至る機械的ゲインを高くとる必要
がある。

このためディスクブレーキ用液圧作動装置はピストンの
受圧面積をドラムブレーキのそれよりも大きくしている
が、これはピストンをはじめ液圧作動装置全体の重量を
増大することになる。

ピストンの軽量化を図るため、従来の液圧作動装置のピ
ストンは第１図に例示するように切削加工または鍛造に
よって中空状ないしカップ状とされている。

このピストン５は液圧シリンダ４に嵌装され、この開口
端部を摩擦パッド１０の裏板８に衝合し、摩擦パッド１
０を制動円板２に押し付けて摩擦係合を得る一方、この
反力により液圧シリンダ４と一体をなすキャリパ３を固
定部材１に対して摺動させて、反力片６を裏板７に衝合
し、摩擦パッド９を制動円板２に摩擦係合させて制動円
板２に制動力を付与するものである。

開口端部においてピストン５は外周を削除されて直径の
小さい部分１３が形威さへこの小径部分１３に円筒状の
可撓性防塵ブーツ１２の一端が緊密に外挿支持さへ他端
はシリンダ４の環状溝に係止されるようになっている。

このような従来のピストンは防塵ブーツ１２を装着する
小径部分を設ける都合上、肉厚を十分薄くかつ均一にし
て軽量化を図ることは工程が複雑となりコスト上不利で
ある。

そこで、本考案の目的は合成樹脂材料と金属管との組合
せにより容易に製作することができる軽量なディスクブ
レーキ用液圧作動装置のピストンを得ることにある。

このため、本考案の構成は金属管からなる補強芯材の一
端部に摩擦パッドの裏金に直接衝合する衝合面と防塵ブ
ーツを係止する外周面とを備えるとともに、他端部を合
成樹脂材料をもって閉鎖し、シリンダに嵌合する摺動面
と液圧を受ける液圧作用面とを一体に備えたものである
。

本考案によれば、補強芯材としての金属管の一端部に一
体的に結合さる耐摩耗性ならびに耐久性に富む合成樹脂
材料によるシリンダとの摺動面および液圧作用面が構成
される一方、合成樹脂材料よりも強度の高い金属管によ
り前記液圧作用面からの液圧力を制動摩擦熱を受ける摩
擦パッドの裏板に直接伝達する衝合面が構成される。

本考案の構成を図示の実施例に基づいて説明すると、第
２図に示すように補強芯材としての鉄などの金属管１９
の一端部をそのままとし、他端部に合成樹脂材料からな
るカップ状体１８を結合してピストン５を構成したもの
である。

これの製作に当っては、金属管１９を型内に装入した上
、内部に所定の合成樹脂材料を充填し、加熱加圧して一
体に成型するものとし、その際金属管１９の端部内周面
側にも幾分合成樹脂材料が配分されるようにし、金属管
１９との緊密な結合を得る。

必要ならば、金属管１９の端部に複数個の通孔を設け、
該通孔を通じて金属管１９の内外周面の合成樹脂材料が
連なるようにしてもよい。

カップ状体１８は補強材としてガラス繊維、または金属
粉などを混入させた機械的強度の大なる合成樹脂が使用
される。

カップ状体１８の材料としては、ポリエチレンテレフタ
レート、ＡＢＳ樹脂、ナイロン、アセテートプラスチッ
ク、ポリカーボネート、アセタートホモポリマ、アセタ
ールコポリマ、ノリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェ
ニレンサルファイド樹脂等を用いることができる。

この中で特にナイロンを用いる場合には補強材としてガ
ラス繊維、石綿繊維又はこれらの粉末を３０重量係程混
入させることが適当であシ、強度を一層高めることがで
きる。

その他の合成樹脂についてもガラス繊維の代わりに金属
繊維又は金属粉末を混入することは強度向上のため役立
つ。

しかし、本考案のピストンは金属管１９によって補強さ
れるので、上述の合成樹脂材料だけを用いても強度上十
分である。

以上のような構成とすることにより、金属管１９の外部
端面には摩擦パッドの裏板８に直接衝合する衝合面２１
力瓢また端部周面には防じんブーツ１２を係止する小径
部分２０がそれぞれ備えられる。

一方、合成樹脂材料からなるカップ状体１８０周面には
シリンダ４に対する摺動面２２％、ｔた端面には液圧の
作用を受ける液圧作用面２３が備えられる。

本考案は上述のように、形状の簡単な金属管と合成樹脂
材料からなるカップ状体とを成型と同時に一体に結合し
てなるものであるから、合成樹脂材料のもつ物理的強度
を前記金属管によって補ない、使用する合成樹脂材料に
材質改良のため高価な特殊な添加材を加えなくても十分
実用に供し得る軽量なピストンを得ることができる。

特に耐熱強度、面圧強度を必要とする摩擦パッドの裏金
との衝合面２１には金属管の端面がそのま１利用するこ
とができる。

一方、シリンダとの摺動部は合成樹脂カップ状体とした
から耐錆性を発揮し、従来の鍛造ピストンのように格別
クローム、ニッケルなどの耐錆メッキを施す必要がない
。

本考案は合成樹脂のもつ加工性と形状の単純な金属管の
もつ材料強度を有効に利用してピストンを構成したもの
であるから、全体として十分に強度、耐熱性、耐錆性を
有し、かつ軽量にして安価なピストンを容易に製造する
ことができ、実用上極めて有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のピストンを備えるディスクブレーキの縦
断面図、第２図は本考案に係るディスクブレーキ用ピス
トンの縦断面図である。 ３：キャリパ、４ニジリンダ、５：ピストン、７．８：
裏板、９，１０：摩擦パッド、１８二力ツプ状体、１９
：金属管、２２：摺動面、２３：受圧面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属管からなる補強芯材の一端部に摩擦パッドの裏金に
   直接衝合する衝合面と防塵ブーツを係止する外周面とを
   備えるとともに、他端部を合成樹脂材料をもって閉鎖し
   、シリンダに嵌合する摺動面と液圧を受ける液圧作用面
   とを一体に備えたことを特徴とするディスクブレーキ用
   液圧作動装置のピストン。