JPS584804B2 - 強磁性鉄心を有する直流交流両信号用変成器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 強磁性鉄心を有する直流信号及び交流信号に対する変成
器は、制御設備や演算設備において電気的絶縁のために
必要になるものである。

自動化プロセスにおいては多数の電気信号が生じ、これ
らの信号は更に処理するために電子装置に導かれる。

そのためには、これらの電気信号はそれらを処理する制
御設備や演算設備の電位に持ち来すことが必要である。

又電気信号を他の電位に変換することは高い精度をもっ
て行うことが必要である。

なぜならば、制御動作や演算処理の精度は最後に変換精
度に依存するからである。

自動化プロセスにおいて生ずる電気信号は通常、交流量
及び直流量を含んでいる。

そのため、通常の変成器によっては十分正確な絶縁伝送
を達成することは不可能である。

すなわち在来の交流変成器は直流分を含む信号の変成に
は鉄心飽和のため使用できず、又在来の直流変成器は直
流分の絶縁伝送はできても交流分の絶縁伝送はできない
か、できたとしても極めて精度が悪い。

本発明の目的は、上記のような電気信号を高い精度をも
って変成し得る、強磁性鉄心を有する直流交流両信号用
変成器を提供することである。

この目的を達成するため本発明によれば、少なくとも一
次巻線及び二次巻線を巻装した鉄心の透磁率を変えるた
めの制御装置と、透磁率を変えたときに生ずる磁束変化
を測定するための測定装置とを設け、二次巻線には磁束
変化に応じて調整される付加電流源を接続する。

前記目的を達成するための別の構成によれば、少なくと
も一次巻線及び二次巻線を巻装した鉄心の透磁率を変え
るための制御装置と、透磁率を変えたときに生ずる起磁
力変化を測定するための測定装置とを設け、二次巻線に
は起磁力変化に応じて調整される付加電圧源を接続する
。

変成すべき電流が交流成分のほかに直流成分を含む場合
には、変成器の強磁性鉄心において合成起磁力を生ずる
電流が一次側と二次側とで異なるものとなる。

このような起磁力は鉄心の透磁率が変化したときに磁束
変化を導くが、それは測定され、付加電流源の調整のた
めに用いられる。

付加電流源は、付加電流源から二次巻線に供給される付
加電流が合成起磁力を零にするように調整される。

こうすることによって、二次巻線に流れる電流は一次巻
線の電流に正確に対応するものになる。

鉄心の透磁率を変化させることは、制御装置が周期的に
変化する電流によって付勢される付加巻線を備え、この
付加巻線により、一次巻線及び二次巻線の磁束とは無関
係な分流磁束を鉄心内に発生させることによって簡単に
達成できる。

同様に磁束の変化は、測定装置として、一次巻線及び二
次巻線と同じ磁束と鎖交する補助巻線を備えることによ
って簡単に測定できる。

本発明の別の構成によれば、鉄心をＥ字状に構成し、そ
の中央脚に一次巻線、二次巻線及び補助巻線を巻装し、
付役巻線として両外脚に、それぞれ同一巻線で、両外脚
が反対方向に磁化されるような巻き方向の部分巻線を巻
装し、この両部分巻線を直列に接続することによって簡
単な変成器が提供される。

鉄心を、中央貫通孔を有する外鉄形鉄心として構成し、
中央貫通孔を通して、付加巻線としての少なくとも１つ
の導体を導くことによって、複数の変成器の鉄心を共通
の導体に付属させることが可能である。

そうすることにより、多数の変成器のために、周期的に
変化する電流を供給するただ一つの電流源を必要とする
だけである。

二次巻線に供給される付加電流の正確な調整は、付加電
流源に、出力側が二次巻線に接続された増幅器を備え、
この増幅器の入力側は積分回路に接続され、さらにこの
積分回路の入力側には、補助巻線に誘導され、乗算回路
において付加巻線の電流の２乗値の一次微分値と乗算さ
れた電圧を加えられることによって簡単に達成できる。

付加巻線に、同じ大きさの正負両最大値間で変化する電
流が加えられることにより、鉄心の避けることのできな
い製造誤差によって生ずる変成器の零点誤差を除去する
ことができる。

電流が正領域にのみ、又は負領域にのみ存在する２つの
値の間で変化する場合、製造誤差に基いで生ずる鉄心の
不平衡性は変成器の零点を移動させることになる。

更に、正及び負の最大値は付加巻線によって生ずる磁束
増加に応じて制限される。

このことは、透磁率の磁束密度に対する関係が透磁率の
磁界の強さに対する関係よりも良好に再現できるような
磁気材料又は鉄心形状を用いる場合には有利である。

次に図面に示す実施例について本発明をさらに詳細に説
明する。

第１図に示す変成器はＥ字状の鉄心１を備えいる。

このＥ字状鉄心１の中央脚２には一次巻線Ｗ１，二次巻
線Ｗ２及び補助巻線Ｗ３が巻装されてる。

両外脚３及び４には同一巻数で互いに直列接続された部
分巻線がそれぞれ巻装されており、両部分巻線で付加巻
線Ｗ４を形成している。

両部分巻線の巻き方向は、この両部分巻線に電流が流れ
たとき両外脚３及び４が逆向きに磁化されるように選定
される。

第２図に示す変成器においては、それ自体公知の外鉄形
鉄心５が用いられている。

外鉄形鉄心５ぱ中心貫通孔６を持っており、これを通し
て付加巻線Ｗ４が導かれている。

この付加巻線Ｗ４は単一の導体から構成することができ
る。

外鉄形鉄心５０通常構成の巻線空間には、一次巻線Ｗ１
，二次巻線及び補助巻線が巻装される。

なお第２図には、図が複雑になるのを避けるために、上
記巻線のうち一次巻線Ｗ１しか示していない。

第３図には制御される付加電流源を有する変成器が示さ
れている。

図において、二次巻線Ｗ２に付加電流源７が接続されて
いる。

この付加電流源７は増幅器８を備え、その出力端が二次
巻線Ｗ２に接続されている。

増幅器８０入力端は積分回路９の出力端に接続されてい
る。

積分回路９０入力端は第１の乗算回路１０に接続されて
いる。

この乗算回路１０の一方の入力端には補助巻線Ｗ３ に
誘導される電圧が導かれる。

乗算回路１０の他方の入力端には、付加巻線Ｗ４に流れ
る電流の２乗の一次微分値の符号に相当する信号が導か
れる。

そのため、付加巻線Ｗ４に変流器１１が直列に接続され
る。

この変流器１１の二次巻線は第２の乗算回路１２に接続
され、それにより、付加巻線Ｗ４に流れる付加電流の２
乗値が形成される。

第２の乗算回路１２に後置された微分回路１３において
、第２の乗算回路１２から加えられる信号の微分値が形
成される。

微分回路１３は、その出力端に各微分値の符号に相当す
る信号のみが生ずるように構成される。

付加巻線Ｗ４は発電機１４に接続され、これから周期的
に変化する電流が供給される。

発電機１４は例えばパルス発生器として構成することが
できる。

一次巻線Ｗ１に直流成分及び交流成分を含む信号が加え
られると、この信号の交流成分は高精度をもって二次巻
線Ｗ２内に形成される。

即ち二次巻線には一次巻線の交流と同じ大きさの交流が
流れる。

これに対して、一次巻線Ｗ１に流れる直流成分は合成起
磁力を生じさせる。

付加巻線Ｗ４に流れ且つ周期的に変化する電流により、
鉄心１の透磁率は周期的に変えられる。

透磁率の変化のため、存在する合成起磁力の影響の下に
周期的な磁束変化が生ずる。

この周期的な磁束変化によって補助巻線Ｗ３内に電圧が
誘導される。

この電圧は付加巻線Ｗ４に供給される電流の２乗値の一
次微分値又はこの一次微分値の符号と共に評価される。

このようにして得られた信号は二次巻線Ｗ２に供給すべ
き電流の調整のために用いられる。

付加電流源７から二次巻線Ｗ２に供給される電流は直流
であり、その大きさは、合成起磁力が零になるように調
整される。

それは、二次巻線に流れる電流が一次巻線に流れる電流
と正確に等しい大きさになる場合である。

このようにして、信号の直流成分及び交流成分の正確な
変成が達成される。

二次巻線に供給される付加電流の調整のために必要な誘
導電圧は二次巻線Ｗ２から取出すこともできる。

それによって特別な補助巻線Ｗ３を節約することができ
る。

しかしそれは変成器の精度に負担をかけることになる。

第４図は短絡された二次巻線を有する変成器が示されて
いる。

図において、二次巻線Ｗ２の一方の接続端側に付加電圧
源１５が、又他方の接続端側には演算増幅器１６の反転
入力端が接続されている。

演算増幅器１６の出力端はオーム抵抗１７を介して文転
入力端に帰環接続されている。

この帰還によって、演算増幅器の反転入力端は零に保た
れ、それにより二次巻線Ｗ２ぱ短絡状轢で動作すること
になる。

演算増幅器１６の出力端にはさらに第３の乗算回路１８
の一方の入力端が接続されている。

この乗算回路１８の出力端は低域フィルタ１９として構
成された平滑回路を介して付加電圧源１５の制御入力端
に接続されている。

第３の乗算回路１８の他方の入力端は周波数発生器２０
の一方の出力端に接続されている。

この周波数発生器２０の他方の出力端には付加巻線Ｗ４
が接続されている。

周波数発生器２０は、乗算回路１８に接続されている出
力端に、付加巻線Ｗ４に供給される信号の周波数の２倍
の周波数を持ち、かつ付加巻線Ｗ４に供給される信号の
２乗の基本波に一致する位相を有する信号を出すように
構成される。

直流成分及び交流成分を含む信号を変成する場合、直流
成分は再び合成起磁力を生ずる。

第３図の変成器とは異なり、第４図の変成器の場合は、
起磁力の変化が測定され、その場合、付加電圧源１５の
調整により、透磁率が変化した場合の磁束は一定に保た
れる。

付加電圧源１５から二次巻線Ｗ２にはその都度、付加巻
線Ｗ４に流れる電流によって透磁率変化が生じた際、磁
束が一定に保たれるような電流が供給される。

従って、一次巻線によって二次巻線に誘導される交流成
分、及び付加電圧源１５から二次巻線に供給される直流
成分の和が一次巻線の電流に等しい場合、磁束にで定に
保たれる。

そうすることによって、この変成器の場合も、直流成分
及び交流成分を含む信号の正確な変成が可能になる。

変成すべき信号に含まれる交流成分の周波数が周波数発
生器２０から第３の乗算回路１８に供給される信号の周
波数の近くにある場合には、付加変流器を設けるのが有
利である。

この付加変流器の一次巻線は鉄心上の一次巻線Ｗ１に直
列に接続される。

そして、この付加変流器の二次巻線に流れる電流に比例
する値が形成され、演算増幅器１６の出力端に生ずる値
に加算回路により加算される。

その場合、その和の値は第３の乗算回路の入力端に導か
れる。

このような付加変流器により、上記両周波数が非常に接
近しているか、又は全く等しい場合には、変成精度を著
しく改善することができる。

鉄心の透磁率の変化は、例えば鉄心に空隙を設け、この
空隙に強磁性部材を周期的に挿入したり、そこから引き
出したりすることにより、純機械的に達成することもで
きる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示すもので、第１図はＥ字状鉄心
を有する変成器の接続構成図、第２図は外鉄形鉄心を有
する変成器の縦断斜視図、第３図は可調整付加電流源を
有する変成器の接続図、第４図は短絡される二次巻線を
有する変成器の接続図である。 １，５・・・・・・鉄心、１・・・・・・付加電流源、
１５・・・・・・付加電圧源、Ｗ１・・・・・・一次巻
線、Ｗ２・・・・・・二次巻線、Ｗ３・・・・・・補助
巻線、Ｗ４・・・・・・付加巻線。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 少なくとも一次巻線及び二次巻線を巻装した鉄心の
   透磁率を変えるための制御装置と、透磁率を変えたとき
   に生ずる磁束変化を測定するための測定装置とを設け、
   前記二次巻線には磁束変化に応じて調整される付加電流
   源を接続したことを特徴とする強磁性鉄心を有する直流
   交流両信号用変成器。 ２ 少なくとも一次巻線及び二次巻線を巻装した鉄心の
   透磁率を変えるための制御装置と、透磁率を変えたとき
   に生ずる起磁力変化を測定するための測定装置とを設け
   、前記二次巻線には起磁力変化に応じて調整される付加
   電圧源を接続したことを特徴とする強磁性鉄心を有する
   直流交流両信号用変成器。