JPS5847558B2 - 坑口構造体のためのパツキン装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、地熱坑口構造体のためのパッキンに関し、特
には、坑口の熱条件の変化に応答して上下動するケーシ
ングを密封するためにケーシングに取付けられ、地熱坑
口の内孔内に配置されるパッキン集成体に関する。

地熱坑井の構造体においては、地面の上方からスチーム
（地熱による熱い蒸気）発生帯域に昔で延びる内側ケー
シングを坑井内の所定位置にセメントによって固定し、
水包含地層を貫通し、地熱坑口構造体を設置してある地
表に昔で延びる表層ケーシングを上記内側ケーシングを
囲繞して固定する。

内側ケーシングは、地表から数フィート以内のところ１
でセメントによって固定されているので、坑井内に実質
的に剛的に設置されている。

スチームが内側ケーシング内を通って上昇する間に、該
ケーシングは加熱されて膨脹するので、セメントの頂面
より上の内側ケーシングの上方端部分は、温度の上昇と
ともに上方に移動（伸長）する。

このケーシングが上向きに移動する距離（伸長する長さ
）は、内側ケーシングのサイズと、セメントの頂面から
該ケーシングの上端ｌでの距離によってき昔る。

従来の石油及び天然ガスの坑井にむいては、内側ケーシ
ングは、その重量の一部又は全部を支持するスリップ部
材によって坑口内に固定されている。

しかしながら、このような構成は、地熱坑井においては
その上方部分においてケーシングが膨脹又は収縮を起す
ので満足に機能しない。

しかるに、現在筐でのところ、地熱用坑口構造体は、慣
用の石油及び天然ガス用坑口構造体を転用したものにす
ぎず、ケーシングのためのパッキンは坑口構造体に取付
けてあり、上下動するケーシングの外表面に密封係合す
るようになされている。

このような従来技術の構成における基本的な欠点は、高
温条件下において有効な密封を行うように構成されてお
らず、又、ケーシングが熱膨脹又は収縮によって上下に
動くということを考慮して構或されていないということ
である。

従来の密封装置は、ケーシングに対して摺動するように
坑口構造体内に固定された密封部材を備えている。

この密封部材は、複数個のねじによってケーシングの外
表面に対して圧接するように取付けられており、ケーシ
ングを密封するためにそれらのねじを手操作によって締
めて調節しなければならない。

このような密封装置を使用した場合、その密封部材は、
ケーシングの運動の影響によって弛くなってし筐うので
、ねじを締め直さなければならなくなる。

もう１つの欠屯は、従来の密封装置は、ケーシングと密
封部材との間の接続部に潤滑を施すための手段を有して
いないことである。

更に他の欠点は、坑口内の構造体を構成する金属素材の
ための腐食防止手段として機能する手段を欠いているこ
とである。

腐食及び潤滑は、いずれも、高温条件下において、かつ
各種元素（水、蒸気、鉱物）の存在する地熱坑口内に詮
いて密封部材の寿命及び機能に大きく影響を及ぼす要素
である。

本発明は、地熱坑口構造体の内側ケーシングの上方端部
分に固定し、坑口構造体の平滑な内孔内に配設する新規
なパッキン集成体を提供する。

更に、坑口構造体にはケーシングを該坑口構造体内の中
心位置に保持するための調心装置を設け、ケーシングが
その周囲の温度環境の変化により膨脹又は収縮するにつ
れて中心位置に保持されたまま上下動するように構成す
る。

本発明の１実施例におけるパッキン集成体は、ケーシン
グと共に移動するようにケーシングの上方端部分の外表
面に取付けた複数の密封（パッキン）リングから成り、
ケーシングの外側と坑口構造体の内孔内との間に密封を
設定する。

上記パッキンの上方には、坑口構造体の内孔壁から異物
を掻取るためのスクレーパを設ける。

この明細書では本発明のパッキン集成体の２つの実施例
を開示してある。

１つの実施例は、それぞれ別個に取付けた１対のパッキ
ン構成体から成るものであり、他の実施例は、互いに協
同し合うような態様でケーシングに取付けた１対のパッ
キン構成体から成るものである。

本発明の目的は、上述した従来のパッキン装置の欠点を
克服し、通常の作動温度及び作動条件のもとてケーシン
グを坑口構造体内にむいて有効に密封する地熱坑口構造
体のためのパッキン集成体を提供することである。

本発明の他の目的は、ケーシングの外側面に固定し、坑
口構造体の内孔内に配置した地熱坑口構造体のためのパ
ッキン集成体を提供することである。

本発明の更に他の目的は、坑口構造体の内孔内において
ケーシングの上方端部分に固定したパッキン構或体を有
し、該パッキン構成体より上方においてケーシングに取
付けられ坑口構造体の内孔壁から異物を掻取るようにな
されたスクレーパを備えたパッキン集成体を提供するこ
とである。

以下に添付図面を参照して本発明のパッキン集成体の好
１しい実施例を説明するが、本発明はここに述べる実施
例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において
いろいろな変型が可能であることを理解されたい。

第１図には、クリスマス・ツリー１０と、それに連関す
る地熱坑井と、本発明のパッキン組立体を装備した坑口
構造体１４とが示されている。

（ここで、「クリスマス・ツリー」とは、坑口構造体の
地上部分全体を表わす用語である。

）地熱坑井１２は、地中２０の穴１８に挿入したケーシ
ング１６を備えている。

水包含地層を貫通しているケーシング１６の上方端部分
の周りに表層ケーシング２２を配設してある。

（「表層ケーシング」とは、地表より上に１で突出して
いるケーシングのことであり、完全に地表より下に配設
されている地下ケーシングと対照されている用語である
。

）ケーシング１６は、表層ケーシング２２に対して内側
のケーシングということになるが、ここに例示する特定
の坑井及び坑口構造体の説明の簡略化のために、内側ケ
ーシング１６を単にケーシングと称することとする。

坑口構造体１４は、表層ケーシング２２の上端に固着し
たケーシング・ヘッド２６と、該ケーシング・ヘッドの
頂部に取付けた伸縮スプール２８を有する。

ケーシング１６と表層ケーシング２２との間に存在すや
セメントの上面より上の該２つのケーシング間の環状空
洞３２と流体連通させるための環状空洞用弁３０，３１
をケーシング・ヘッド２６に設ける。

伸縮スプール２８には該スプール内の空洞３８と流体連
通させるための羽根型弁３４，３６を設ける。

伸縮スプール２８の上方には、マスター弁４０、管取付
具４２、弁４４及び頂部接続具４６を設ける。

図示のクリスマス・ツリー１０は、典型的なものではあ
るが、使用者の所望に応じて変更することができる。

ケーシング１６内へスチームを流入させるように該ケー
シングの底部を開放して釦いてもよいし、あるいは多孔
構造としてもよい。

第２図には、坑口構造体１４の細部を示してあり、内部
構造を示すために一部切除してある。

表層ケーシング２２は、坑井内に設置するときケーシン
グ・ヘッド２６に溶接によって固着し、ケーシング１６
と表層ケーシング２２の間に環状空洞３２が画定される
。

環状空洞３２には弁３０，３１を取付けるためのフラン
ジ付出口５２，５４ヲ設ケる。

ケーシング・ヘッド２６は、調心装置５８を支持する傾
斜した内孔表面５６を有する。

調心装置５８は、ケーシング１６をケーシング・ヘッド
２６及び伸縮スプール２８に対して心合させる働きをす
る。

調心装置５８は、密封リング６２を受容する溝を備えた
テーパ状外側面を有する下側部材６０を含む。

密封リング６２は、高温環境に耐えるのに適した組成物
から成る耐高温型パッキンリングとすることが好ましい
。

下側部材６０の内側部分のポケット（凹部）にパッキン
６４を装着し、このパッキンをケーシング１６の外表面
に接触させて密封させる。

調心装置５８は、更に、その下側部材６０にボルト６８
によって付設した上側部材６６を有する。

上側部材６６の外周部分には、図示のように調心装置を
取付けたとき押えねじ７２によって係合されるようにし
た傾斜上表面７０を形或する。

押えねじ７２は、ケーシング・ヘッド２６の上端に設け
た外方に突出するフランジ７４に半径方向に螺着させる
。

押えねじ７２には、密封用のパッキンとパッキン締付ナ
ット７６を装着する。

ケーシング・ヘッド２６の上表面には、該ケーシング・
ヘッドの孔を囲繞する溝７８を形成し、該溝内には、ケ
ーシング・ヘッド２６を伸縮スプール２８に対して密封
するための密封リング８０を挿入する。

調心装置５８は、作動中ケーシング１６が熱による膨脹
又は収縮によって上下動する際、坑口構造体１４の内孔
内にケーシング１６を心合させる働きをするように構成
してある。

調心装置に装着したパッキン６４は、環状空洞３２と坑
口構造体１４の上方部分との間の密封部材として機能す
るように構成してある。

調心装置５８の密封を行うために、該調心装置をケーシ
ング１６の周面に配置し、調心装置の上側部材６６と下
側部材６０とをボルト６８によって連結してある。

調心装置５８をケーシング・ヘッド２６内へ挿入した後
、ケーシング・ヘッドの両側に配置した押えねじ７２を
締付けて上側部材６６を心合させ、かつ下方へ押しつけ
る。

押えねじ７２の内端が調心装置の上側部材６６の傾斜表
面に作用して移動するにつれて、該上側部材は下降せし
められる。

その結果、パッキン６４は、調心装置の上下両部材の間
に圧縮され、ケーシング１６の外面に圧接される。

伸縮スプール２８は、それそれクリスマス・ツリー１０
及びケーシング・ヘッド２６に取付けるための上方７ラ
ンジ８６及び下方フランジ８４を備えた細長い本体部分
８２を有する中空部材である。

スプール２８の本体部分８２は、円筒状の坑口内孔を画
定する。

坑口内孔は、伸縮スプール２８の中央本体部分８２及び
下方フランジ８４を貫通する断面円形の均一な径の孔で
ある。

この孔を画定する表面を符号８８で示してある。

伸縮スプール２８の孔内の空洞３８に流体連通する１対
のフランジ付き出口９０．９２を該伸縮スフールの７ラ
ンジ８６の下の側壁を貫通させて両側に形成する。

伸縮スプールの下方部分には、常態においては栓によっ
て閉塞される補助口９６を設ける。

この日９６ぱ、導管９８を介して下方フランジ８４の下
側端面に連通ずるようにしてある。

調心装置５８の上側と７ランジ８４“の下端面の下側の
間に空洞１００を形成し、該空洞を導管９８に連通させ
る。

補助口９６は、空洞１００内の流体の漏れを検査するた
めの検査地点を提供する。

フランジ８４の下端面に（／″ｉ断面楕円形のリングガ
スケット８０を受容するための溝１０２を形成してあり
、溝１０２はケーシングヘッドの７ランジ７４の溝７８
と協同してガスケット８０を保持する。

断面楕円形のガスケット８０は、ケーシングヘッド２６
と伸縮スプール２８との間の流体管接続部を密封する役
割を果す。

第２図の左側中央部分及び第４図にパッキン集成体２９
を詳細に示してある。

パッキン集成体２９は、上下に間隔を置いてケーシング
１６に固定された１対の別個の副集成体から成る。

パッキン集成体２９の上側副集成体は、ケーシング１６
の最上端部分のところに配設してあり、その取付構造体
の一部として後述するスクレーパ１４４のための取付部
材を備えている。

下側副集成体は上記上側副集成体から環状空間１０６に
よって分離されて釦り、無頭ねじ（締結具）１１０によ
ってケーシング１６の外面に固定された下方パッキン支
持リング１０８を有する。

下方パッキン支持リング１０８の上に下方パッキンリン
グアダプタ１１２を配設し、該アダプタの上に複数個の
パッキング１２０，１２２を配設し、その上に上方パッ
キンリングアダプタ１１４を配置する。

該アダプタ１１４の上にパッキン支持リング１１６を設
け、円周方向に間隔を置いて螺入する複数の無頭ねじ１
１８によってケーシング１６に固定する。

パッキンリング１２０，１２２は、断面Ｖ字形のリング
であり、交互に異る材料で形或したリングが配列される
ように２つの対の形で配置するのが好ｔしい。

即ち、１対のパッキンリング１２０は、適当な耐高温密
封特性を有する材料で形或し、他方の対のパッキン１２
２は適当な耐低温特性を有する材料で形吸する。

これらの素材の異るパッキンリングが交互に配列される
ように配置することに留意されたい。

高温用リング１２０も、低温用リング１２２も、図示の
ような断面形状に形成することが好１しい。

即ち、各パッキンリングの底部即ちＶ字形の頂点を実質
的に平坦な面としてそれをその下側のパッキンリング又
は部材上に座着させる。

各パッキン４）ングの上側部分にはほぼＵ字形で下方に
延びた溝１２４を形成する。

この溝付き構成は、パッキンリングが使用時においてそ
れに作用する流体圧によって横方向へ膨脹運動をするの
を可能にするという点で好１しい。

パッキン集成体２９の上方パッキン副集或体は、無頭ね
じ１２８によってケーシング１６に固定されたパッキン
支持リング１２６と、その上に配置した下側パッキンリ
ングアダプタ１３０と、該アダプタの上に配置した複数
のパッキンリング１３２，１３４と、最も上側のパッキ
ンリング１３４の上に配置した上側パッキンリングアダ
プタ１３６と、該アダプタの上に配置され、複数の円周
方向に隔置した無頭ねじ１４０によってケーシング１６
に固定された上側パッキン支持リング１３８とから成る
。

交互に配置した各対のパッキンリング１３２及び１３４
は、いずれもパッキンリング１２０，１２２と同じ形態
であり、それそれパッキンリング１２０及び１２２と同
じ材料で形成する。

上側パッキン支持リング１３８の外周面にはスクレーパ
リング１４４を受容するための溝１４２を形成する。

スクレーパリング１４４の平坦な表面を坑口の内孔表面
８８に当接して配置することができるように、溝１４２
及びスクレーハリング１４４の断面形状を直方形とする
ことが好オしい。

ケーシング１６が熱膨脹又は収縮により坑口構造体内を
上下動する際スクレーパリング１４４が内孔表面８８か
らスケールや、錆や、その他の異物を掻取ることができ
るように、スクレーハリング１４４は剛性の適当な硬さ
の材料で形成する。

上側パッキン支持リング１３８は、ケーシング１６の上
端１４６より上に突出するように取付けてもよい。

パッキン支持リング１３８の外側面は、坑口構造体の内
孔表面８８に合致する円筒形であり、該リングの内側面
は、内孔表面８８からケーシング１６の内面にまでテー
パしている傾斜表面１４８を有する。

支持リング１３８のこのテーパ表面１４８は、ケーシン
グ１６内を上昇する流体がケーシング１６の上端より上
方の坑口構造体内の空洞３８内へ流入する際該流体に対
して円滑な流れ遷移面を提供する。

あるいは、上方パッキン副集成体はケーシング１６の上
端よリ下に装着してもよい（その場合、パッキン支持リ
ング１３８にはテーパ表面１４８を形或しない）。

その場合、上側パッキン支持リング１３８は、内孔表面
８８に対して掻取作用を行うとともに、坑口構造体内の
ケーシング１６を密封する役割を果す。

緊急密封を施すために、前記上下パッキン副集成体の間
の空洞１０６内に密封剤（コンパウンド）を注入するた
めの補助入口を伸縮スプール２８の中間部分に設ける。

この補助入口には常態においては閉塞されている管取付
具１５０を接続しておく。

使用の際には管取付具１５０を開放し１適当な密封用流
体注入装置に接続することができる。

これは、いろいろな目的に使用することのできる空洞１
０６への入口となるので、重要な特徴である。

この入口の１つの用途は、パッキン集成体が破損するか
、あるいは過度の流体漏れを起した場合、ケーシング１
６と内孔表面８８との間を密封するために空洞１０６内
へ緊急密封剤を注入するのに使用する用途である。

この入口は又、空洞１０６内の圧力を測定するための検
査地点として使用することができ、点検口として使用す
ることもできる。

又、この入口の重要な用途は、パッキン集成体及び内孔
表面８８を保護するために空間１０６内へ潤滑及び腐食
防止剤を注入するのに使用することである。

パッキン集成体に潤滑剤を施し、かつ、内孔表面８８を
腐食から守ることによって、パッキン集成体り寿命を大
幅に延長させることができる。

第５図には本発明のパッキン集成体の別の実施形態１６
０を示す。

パッキン及びその支持構造の一部を除いて坑口構造体の
各部分は、すべて先に述べた実施例のものと同じであり
、同じ番号で示してある。

この実施例のパッキン集成体１６０は、無頭ねじ１１０
によってケーシング１６に固定した下側パッキン支持リ
ング１０８を備える。

支持リング１０８の上に下側パッキンリングアダプタ１
１２を配設する。

下方パッキンは、低温用密封材料で形成した１対のパッ
キンと、高温用密封材料で形或した１対のパッキンから
成り、低温用のものと高温用のものを交互に配置してあ
る。

これは先の実施例の構成と同様である。

上方パッキンも、交互に配置した１対の低温用パッキン
１３２と１対の高温用パッキン１３４とから成る。

一番上のパッキンリング１３４の上に上側パッキンリン
グアダプタ１３６を配設する。

上側パッキン支持リング１３８を無頭ねじ１４０によっ
てケーシング１６に固定する。

上側パッキン支持リング１３８の外周面にはスクレーパ
リング１４４を取付けるための周溝を設ける。

上方パッキンと下方パッキンとの間に孔あきスペーサス
リーブ１６２を配設する。

スペーサスリーブ１６２の下端部分１６４及び上端部分
１６６はそれぞれのパッキンリングを支持するように形
づくってある。

孔あきスペーサリング１６２の中央部分は、複数個の貫
通孔１６８を有する。

これらの孔１６８は、孔あきスペーサスリーブ１６２の
内外両側間に流体連通を許容し、それによって各パッキ
ンリングの内外両側縁に作用する流体圧を均衡化する働
きをする。

スペーサスリーブの下縁部分１６４には、下方ハッキン
の一番上のＶ字形パッキンリングの上方部分に嵌入する
ように面取り側縁１７０を形成する。

又、スペーサスリーブ１６２の上縁部分１６６の両側に
は、上向きに突出した突条１７２を形成し、それによっ
て下側Ｖ字形パッキン１３２を受容する上表面を構成さ
せる。

孔あきスペーサスリーブ１６２は、坑口構造体の内孔表
面８８とケーシング１６の外表面との間の環状空間１７
４の中央部分に配置する。

環状空間１７４内へ緊急密封剤を注入する必要が生じた
ときは、管接続部１５０を通して注入することができる
。

密封剤は、孔あきスペーサスリーブ１６２の孔１６８を
通過し、環状空間１７４を完全に満たすことができる。

本発明のパッキン集成体を備えた地熱坑口構造体を作動
させた場合、このパッキン集成体は、ケーシング１６が
周囲温度の変化によって上下動する場合に、該ケーシン
グと坑口構造体の内孔表面８８との間に流体密封を設定
する構造体としての役割を果す。

本発明のパッキン集成体は、ケーシング１６の外表面に
装着され、伸縮スプール２８内の平滑な内孔表面８８の
内側に収納されているので、通常の作動においてケーシ
ング１６が坑口構造体内を上下動する際絶えず密封機能
を果す。

２対のパッキンリングを交互に配置した本発明のパッキ
ング集成体の独特の構成は、高温密封（高温条件下での
密封）に特に適した素材から成るパッキンリングと、低
温密封（低温条件下での密封）に特に適した素材から成
るパッキンリングとを設けることによって高温密封と低
温密封のいずれにも対処できるという点で新しい特徴の
１つである。

高温用パッキンリングは、高温条件下において良好な密
封を発揮する弗素プラスチック系の材料で構成すること
ができる。

例えば、ポリテトラフルオロエチレン（ＴＦＥ）、ベル
フルオロアルコキシ（ＰＦＡ）、弗素化エチレンプロプ
レン（ＦＥＰ）、ポリ弗化ビニリデン（Ｋｙｎａｒ ）
，ポリクロロトリフルオロエチレン（ＣＴＦＥ）、又は
テフツエル（エチレン／ＴＦＥ コポリマーの商標名）
（ＥＴＦＥ）等の材料を高温用パッキンリングの素材と
して使用することができる。

低温用パッキンリングは、高温、水及びスチームに対す
る耐性を有するエラストマー材で形成することができる
。

例えば、般にエチレンプロピレンと称されている系統の
材料を使用することができる。

ケーシング１６が伸縮スプール２８の平滑な内孔表面８
８の内側に沿って上下動する際、スクレーパリング１４
４が内孔表面８８を擦過し、異物を掻取る。

ケーシング１６が上昇すると、パッキンリングが内孔表
面８８の特定部分に接触する前にスクレーパリング１４
４が該内孔表面からスケールや錆やその他の異物を掻取
る。

この内孔表面８８に対する掻取作用は、上方パッキンリ
ングが該内孔表面に沿って摺動するのに先立って該表面
を浄化するので、上方パッキンリングの有効寿命を延長
する働きをする。

上側パッキン支持リング１３８のうちケーシング１６の
上端より上に突出している部分の形状は、ケーシング１
６の内表面からそれより実質的に断面積（直径）の大き
い内孔表面８８へと円滑な緩やかな遷移路を形成すると
いう点で重要である。

ケーシング１６から上方へ流れるスチームは、該ケーシ
ングより上方の内孔に流入したとき膨脹する。

この膨脹は、その地点に釦ける圧力及び温度条件によっ
ては、スチームの凝縮を起させ、その凝縮液が坑口構造
体の表面に望１しくない点蝕を起させる原因となること
がある。

その点、本発明によれば、上側パッキン支持リング１３
８の傾斜表面１４８は、ケーシング即ち導管１６から上
昇してくるスチームに及ぼされる膨脹作用を緩和する働
きをする円滑な遷移面を提供する。

上述しタハッキンリング、パッキンリングアダプタ、及
びパッキンリング支持リング等の構造は、本発明の範囲
から逸脱することなく、いろいろに変更することができ
ることを理解されたい。

例えば、パッキン支持リングにパッキンリングを受容す
る面を形或すれば、パッキンリングアダプタを省除する
ことができる。

又、必要に応じて追加のパッキンリング対を設けてもよ
く、個々の・くツキンリングの構造もここに図示した形
態とは異るものに変更することができる。

所望ならば、パッキン支持リングをケーシング１６に固
定するための無頭ねじは、互いに錠止する対（つい）の
形をなすものとしてもよく、あるいは自己錠止する構或
のものとしてもよい。

スチーム坑井の地熱坑口構造体においては、セメント２
４の項面から地面１での距離は、その特定の坑口によっ
て数フィートから数百フィート１でいろいろである。

この距離の相異に伴って、当然にセメント２４の頂面か
ら伸縮スプール２８寸での間のケーシング１６の長さも
異ってくるので、ケーシング１６の温度変化による長さ
変化の度合も変ってくる。

本発明の坑口構造体用パッキング集成体は、ケーシング
の直線状り膨脹が無視しうる程度である場合、例えばそ
のような膨脹が数フィート程度である場合に使用するこ
とができる。

特定の使用例に対して伸縮スプールの長さは、ケーシン
グの直線状の膨脹を吸収するように選定することができ
る。

伸縮スプールは、予測される温度条件に対して該スプー
ルのサイズ及び長さを考慮することによって選定される
。

特定の使用例に対する実際の膨脹の長さは、温度、圧力
、パイフ（スプール）の自由長さ、パイプの素材の組成
等を含む幾つかの変数要因によって変ってくる。

例えば、地表から約２０フィート（６．０９ｍ）以内の
深さのところ普で地熱坑井内に挿入され七メントによっ
て固定された外径約９インチ（２２．７６Ｃ１ｒＬ）の
慣用のケーシングの場合、約２００°Ｆ（９３°Ｃ）〜
約７０００Ｆ（３７０’Ｃ）の温度上昇に対してケーシ
ングの長さは約１インチ（２．５４ｃｒｎ）〜３インチ
（ ７． ６ ２ ｃｍ ）前後増大する。

本発明のパッキン集成体は、広い範囲の温度及び圧力条
件に亘って使用することができ、かつ、地熱坑口構造体
のケーシングと伸縮スプールとの間に常時有効な密封を
設定する働きをすることができるように構成されている
。

以上の説明から明らかなように、本発明は、ケーシング
と、伸縮スプール及び地熱坑口構造体との間の流路接続
部を密封するための比較的簡単で、しかも極めて有効な
パッキン構造を提供する。

本発明のパッキン集成体は、構造が比較的簡単で、機能
が優れており、地熱坑口における温度条件に応答してケ
ーシングが伸長及び収縮するのを許容するシールを提供
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、地熱坑口構造体とクリスマスツリーの一部断
面による、一部切除した立面図であり、坑井内にセメン
トによって固定されたケーシング及び表層ケーシングを
示す。 第２図は、本発明のパッキン装置を装着した地熱坑口構
造体の一部切除した拡大部分立面図、第３図は、第２図
の線３３に沿ってみた坑口構造体の断面図、第４図は、
地熱坑口構造体に取付けた調心装置及びパッキン集成体
の拡大部分断面図であり、点線は、上方位置へ変位した
ときのケーシング、スクレーパ、及びパッキン集成体を
示す。 第５図は、坑口構造体に取付けたパッキン集成体の第２
実施例の拡入部分断面図である。 図中、１４は坑口構造体、１６は（内側）ケーシング、
２２は表層ケーシング、２４はセメント、２６はケーシ
ングヘッド、２８は伸縮スプール、２９はパッキン集成
体、３８は空洞、５８は調心装置、６０は下側部材、６
２ぱ密封リング、６４はパッキン、６６は上側部材、８
８ぱ内孔の表面、１０６は空洞、１０８，１１６はパッ
キン支持リング、１１２，１１４はパッキンリングアダ
プタ、１２０，１２２はパッキンリング、１２６，１３
８はパッキン支持リング、１３０，１３６はパノキンリ
ングアダプタ、１３２，１３４はパッキンリング、１４
２は溝、１４４はスクレーパリング、１４８は傾斜表面
、１５０は管取付具（補助密封手段）、１６２は孔あき
スペーサスリーブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケーシングヘッドと、該ケーシングヘッドよシ下方
   において下端部分を固定され、該ケーシングヘッドより
   上方に突出した拘束されない自由上方端部分を有する内
   側ケーシングとを備えた坑口構造体であって、前記ケー
   シングヘッドより上方に釦いて前記内側ケーシングを受
   容し、該ケーシングの外表面との間に環状空間を画定す
   る内孔を備え、前記内側ケーシングが熱環境の変化の結
   果として前記ケーシングヘッドに対して長手方向に膨脹
   又は収縮することにより該ケーシングヘッドに対して相
   対的に長手力向に移動する際該内側ケーシングを案内す
   るように、前記内孔内に釦いて該内側ケーシングの外表
   面に接触して配設された案内手段を備えた坑口構造体に
   釦いて、 パッキン集成体を前記環状空間内に配設し、それを前記
   内側ケーシングと前記内孔を画定する内表面との間にそ
   れらに対して密封関係をなして延在するように該内側ケ
   ーシングの上方端部分の外表面に固定し、該内側ケーシ
   ングがその温度変化に応答して前記ケーシングヘッドに
   対して相対的に長手方向に移動する際、前記パッキン集
   或体が前記内孔内において該内側ケーシングの自由上方
   端部分と共に移動するように構成したことを特徴とする
   坑口構造体。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の坑口構造体において、
   前記パッキン集成体は、前記内側ケーシングの上方端部
   分に上下に間隔を置いて取付けられた１対のパッキン構
   成体を有することを特徴とする坑口構造体。 ３ 特許請求の範囲第２項記載の坑口構造体において、
   前記各パッキン構成体は、前記内側ケーシングの上方端
   部分の前記外面に固定された１対の環状のパッキン支持
   部材と、それらの２つのパッキン支持部材の間に隣接関
   係をなして固定された複数個の環状のパッキン部材とを
   有し、それらのパッキン部材は、適当な高温密封特性を
   有するものと、適当な低温密封特性を有するものとから
   成り、高温密封特性を有するパッキン部材と、低温密封
   特性を有するパッキン部材とを交互に配置したことを特
   徴とする坑口構造体。 ４ 特許請求の範囲第１項記載の坑口構造体において、
   前記パッキン集成体は、前記内側ケーシングの上方端部
   分の外面に間隔を置いて固定された１対の環状のパッキ
   ン支持部材と、該パッキン支持部材の各々に隣接して配
   設した環状のパッキン部材と、該２つのパッキン部材の
   間に配設した環状のスペーサ部材とを有することを特徴
   とする坑口構造体。 ５ 特許請求の範囲第４項記載の坑口構造体にトいて、
   前記各パッキン部材は、積重ね状態に配置された複数個
   のパッキン部材から成り、適当な高温密封特性を有する
   パッキン部材と、適当な低温密封特性を有するパッキン
   部材とを交互に配置したことを特徴とする坑口構造体。 ６ 特許請求の範囲第２項記載の坑口構造体に釦いて、
   前記パッキン集成体は、パッキン取付手段によって前記
   内側ケーシングに固定された１対の互いに近接した環状
   パッキン部材を有し、一方の環状パッキン部材は適当な
   高温密封特性を有する材料で形成し、他方の環状パッキ
   ン部材は適当な低温密封特性を有する材料で形成したこ
   とを特徴とする坑口構造体。 ７ 特許請求の範囲第６項記載の坑口構造体に釦いて、
   前記案内手段は、該坑口構造体内に固定され、前記内側
   ケーシングにその長手方向の摺動を許容するように係合
   した調心装置を有し、該調心装置は、それを前記内側ケ
   ーシングと坑口構造体の間で密封するための手段を有す
   ることを特徴とする坑口構造体。 ８ ケーシングヘッドと、該ケーシングヘッドより下方
   において下端部分を固定され、該ケーシングヘッドより
   上方に突出した拘束されない自由上方端部分を有する内
   側ケーシングとを備えた坑口構造体であって、前記ケー
   シングヘッドより上方において前記内側ケーシングを受
   容し、該ケーシングの外表面との間に環状空間を画定す
   る内孔を備え、前記内側ケーシングが熱環境の変化の結
   果として前記ケーシングヘッドに対して長手方向に膨脹
   又は収縮することにより該ケーシングヘッドに対して相
   対的に長手力向に移動する際該内側ケーシングを案内す
   るように、前記内孔内において該内側ケーシングの外表
   面に接触して配設された案内手段を備えた坑口構造体に
   おいて、 パッキン集成体を前記環状空間内に配設し、それを前記
   内側ケーシングと前記内孔を画定する内表面との間に両
   者に対して密劃関係をなして延在するように該内側ケー
   シングの上方端部分の外表面に固定し、該内側ケーシン
   グがその温度変化に応答して前記ケーシングヘッドに対
   して相対的に長手方向に移動する際、前記パッキン集成
   体が前記内孔内において該内側ケーシングの自由上方端
   部分と共に移動するように構威し、前記内孔を画定する
   前記坑口構造体の内表面に対して掻取作用を行うスクレ
   ーパ装置を前記パッキン集成体より上方の位置において
   前記内側ケーシングの上方端部分に固定し、該スクレー
   パ装置は、前記内側ケーシングが該坑口構造体内におい
   て長手方向に移動する際前記内孔を画定する内表面に対
   して掻取作用をするように該内表面に接触させた環状の
   スクレーパ部材を具備することを特徴とする坑口構造体
   。 ９ 特許請求の範囲第８項記載の坑口構造体において、
   前記パッキン隼成体は、前記内側ケーシングの上方端部
   分に上下に間隔を置いて取付けられた１対のパッキン構
   造体を有することを特徴とする坑口構造体。 １０ 特許請求の範囲第８項記載の坑口構造体におい
   て、前記ハッキン集成体は、パッキン取付手段によって
   前記内側ケーシングに固定された１対の互いに近接した
   環状パッキン部材を有し、一方の環状パッキン部材は適
   当な高温密封特性を有する材料で形成し、他方の環状パ
   ツキノ部材は適当な低温密封特性を有する材料で形威し
   たことを特徴とする坑口構造体。 １１ 特許請求の範囲第１０項記載の坑口構造体にお
   いて、前記案内手段は、該坑口構造体内に固定され、前
   記内側ケーシングにその長手方向の摺動を許容するよう
   に係合した調心装置を有し、該調心装置は、それを前記
   内側ケーシングと坑口構造体の間で密封するための手段
   を有することを特徴とする坑口構造体。 １２ 特許請求の範囲第１１項記載の坑口構造体に釦
   いて、前記スクレーパ装置は、前記内側ケーシングの最
   上端部分に固定した環状のスクレーパ取付部材を有し、
   該スクレーパ取付部材はその外側部分に溝を有し、前記
   スクレーパ部材は、該スクレーパ取付部材の前記溝内に
   装着された実質的に剛性のリングであることを特徴とす
   る坑口構造体。 １３ 特許請求の範囲第１２項記載の坑口構造体にお
   いて、前記スクレーパ取付部材は、前記内側ケーシング
   の上方端を越えて延びる上方端部分と、該内側ケーシン
   グの前記上方端を覆う内方延在部分とを有し、該スクレ
   ーパ取付部材の前記上方端部分と前記内方延在部分とは
   、内方下向きに延びて前記内側ケーシングの上端に至る
   傾斜部分によって連結し、該傾斜部分が、該内側ケーシ
   ングの内表面と前記内孔を画定する表面とを結ぶ円滑な
   遷移面を構成するようにしたことを特徴とする坑口構造
   体。 １４ ケーシングヘッドと、該ケーシングヘッドより
   下方において下端部分を固定され、該ケーシングヘッド
   より上方に突出した拘束されない自由上方端部分を有す
   る内側ケーシングとを備えた坑口構造体であって、前記
   ケーシングヘッドより上方において前記内側ケーシング
   を受容し、該ケーシングの外表面との間に環状空間を画
   定する内孔を備え、前記内側ケーシングが熱環境の変化
   の結果として前記ケーシングヘッドに対して長手方向に
   膨脹又は収縮することにより該ケーシングヘッドに対し
   て相対的に長手方向に移動する際該内側ケーシングを案
   内するように、前記内孔内において該内側ケーシングの
   外表面に接触して配設された案内手段を備えた坑口構造
   体において、 パッキン集成体を前記環状空間内に配設し、そ−れを前
   記内側ケーシングと前記内孔を画定する内表面との間に
   それらに対して密封関係をなして延在するように該内側
   ケーシングの上方端部分の外表面に固定し、該内側ケー
   シングがその温度変化に応答して前記ケーシングヘッド
   に対して相対的に長手方向に移動する際、前記パッキン
   集成体が前記内孔内にむいて該内側ケーシングの自由上
   方端部分と共に移動するように構成し、該坑口構造体の
   外部と前記環状空間とを連通自在に連結するために該坑
   口構造体の壁を貫通して設けた、常時は閉鎖されている
   開口を備えた補助密封手段を設け、該開口は、前記内側
   ケーシングと前記内孔を画定する内表面とを密封するた
   めに前記環状空間内へ密封剤を注入する場合に開放させ
   ることができるようにしたことを特徴とする坑口構造体
   。 １５ 特許請求の範囲第１４項記載の坑口構造体にお
   いて、前記・パッキン集成体は、前記内側ケーシングの
   上方端部分に上下に間隔を置いて取付けられた１対のパ
   ッキン構或体を有し、前記補助密封手段を該坑口構造体
   の壁の前記２つのパッキン構成体の間の地点に配置した
   ことを特徴とする坑口構造体。 １６ ケーシングヘッドと、該ケーシングヘッドより
   下方において下端部分を固定され、該ケーシングヘッド
   より上方に突出した拘束されない自由上方端部分を有す
   る内側ケーシングとを備えた坑口構造体であって、前記
   ケーシングヘッドよリ上方において前記内側ケーシング
   を受容し、該ケーシングの外表面との間に環状空間を画
   定する内孔を備え、前記内側ケーシングが熱環境の変化
   の結果として前記ケーシングヘッドに対して長手方向に
   膨脹又は収縮することにより該ケーシングヘッドに対し
   て相対的に長手方向に移動する際該内側ケーシングを案
   内するように、前記内孔内において該内側ケーシングの
   外表面に接触して配設された案内手段を備えた坑口構造
   体に釦いて、 パッキン集成体を前記環状空間内に配設し、それを前記
   内側ケーシングと前記内孔を画定する内表面との間にそ
   れらに対して密封関係をなして延在するように該内側ケ
   ーシングの上方端部分の外表面に固定し、該内側ケーシ
   ングがその温度変化に応答して前記ケーシングヘッドに
   対して相対的に長手方向に移動する際、前記パッキン集
   成体が前記内孔内にお−いて該内側ケーシングの自由上
   方端部分と共に移動するように構成し、前記内孔を画定
   する内表面に対して掻取作用を行うスクレーパ装置を前
   記パッキン集成体より上方の位置に釦いて前記内側ケー
   シングの上方端部分に固定し、該スクレーパ装置は、前
   記内側ケーシングが該坑口構造体内にむいて長手方向に
   移動する際前記内孔を画定する内表面に対して掻取作用
   をするように該内表面に接触させた環状のスクレーパ部
   材を有し、該坑口構造体の外部と前記環状空間とを連通
   自在に連結するための補助開口を該坑口構造体の壁を貫
   通して設け、該補助開口は、常時は閉鎖されており、点
   検の目的で前記項状空間内に器具等を挿入する場合、及
   び該環状空間内へ密封剤や、潤滑剤又は腐食防止剤を注
   入する場合に開放させることができるようにしたことを
   特徴とする坑口構造体。 １７ 特許請求の範囲第１６項記載の坑口構造体に卦
   いて、前記パッキン集成体は、前記内側ケーシングの上
   方端部分に上下に間隔を置いて取付けられた１対のパッ
   キン構成体を有し、前記補助開口を該坑口構造体の壁の
   前記２つのパッキン構成体の間の地点に配置したことを
   特徴とする坑口構造体。