JPS5845789Y2 - 金属溶射装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電圧を印加した一対の金属線を、先端において
近接あるいは接触させることにより電弧を生ぜしめて溶
融蒸化し、これを高圧気体で飛散して物体の表面に吹き
つける電気溶線式金属溶射装置に関するものである。

金属溶射は一般に、鉄鋼防錆、肉盛、耐熱耐摩処理を目
的とするものである。

従来のこの種装置は、溶融蒸化した金属を単に高圧気体
で飛散せしめるだけの構造なので、飛散される金属粒子
の大きさはまちまちで、したがって溶射面に生ずる気孔
の大きさもまちまちで、均一な被膜を得ることが困難で
あり、防錆を目的とするには大した効果は期待できなか
った。

又溶射被膜は一般に多くの気孔を含んでいて、含油性が
あるため研摩して軸受などに用いて効果があるものであ
るが、金属粒子の大きさが均一でない場合は気孔の大き
さも不均一となり、かえって摩擦が大きくなりかねない
。

さらに従来の電気式金属溶射装置においては、電気エネ
ルギはかなりの量が光として消費されてしまうという欠
点が存在した。

本考案においては、所望の金属材よりなる一対の金属線
の電弧発生点、すなわち一対の金属の先端が近接あるい
は接触する点を一方の端部に開口を有し、球状内面を有
する筐体の中心に位置せしめ、この筐体を気体供給口と
噴出口とを有するガンの噴出口内部近傍に配置すると共
に、前記開口と前記ガンの気体噴出口とを一致させて同
軸状に配設するようにしたので、前記ガンの噴出口より
噴出する気体の作用により、前記筐体内部はアスピレー
ション作用で減圧され、溶融蒸化がより充分な状態とな
った金属粒子は噴出口に向けて吸弓されると共に、筐体
の開口部近傍に生ずる乱気流により、さらに微粒子化さ
れるので、相の細かい均一な被膜を得ることができる。

よって本考案装置により溶射をした場合は従来に比べて
より一層防錆効果があり、耐摩耗性に富んだ被膜が得ら
れる。

更に、前記筐体の球状内面には鏡面加工を施して、電弧
が発生するときに生じる光及び熱を反射して筐体の中心
に集中するようにしたので、金属線先端の溶融蒸化は完
全で微粒子化を可能とし、他方エネルギの損失も最小限
に押さえることができ、供給する電気エネルギを有効に
利用することができるものである。

以下図面により本考案実施例の説明を行なう。

図面は本考案実施例の簡略構成図の側断面図である。

図中１は被覆物体で、合成樹脂あるいは金属よりなる。

２ａは気体好ましくは高温等加熱気体供給口２ｂ及び噴
出口２Ｃを有するガンで、３の矢印は筐体４の外壁とガ
ン２ａの内壁により形成される気体の流路を示す。

４は前記ガン２ａ内の気体噴出口２Ｃ近傍に配置され、
内壁面が鏡面加工が施された球状内面を有すると共に、
前記噴出口側に該噴出口と同軸状の開口部を有する筐体
であり、外形は流体抵抗を少なくするような形状にしで
ある。

５は直流、交流またはパルス電源７ａにより送りローラ
８ ａ 、８ ｂを介して電圧を印加した所望の金属よ
りなる被覆材としての一対の金属線６ａ、６ｂの先端が
近接あるいは接触する点、すなわち電弧発生点であると
共に前記金属線６ａ、６ｂの溶融蒸化点を示す。

この電弧発生点５は、前記球状内面を有する筐体４内の
球状内壁面部分の中心に位置している。

７ｂは、前記金属線６ａ、６ｂと被覆物体１との間に電
圧を印加するための適宜の高圧直流電源である。

８ａ、８ｂは金属線６ ａ 、６ ｂ送りローラで、モ
ータＭにより駆動され、リール９ ａ 、９ ｂに巻回
された金属線６ ａ 、６ ｂを一定量ずつ順次送りだ
す１０は金属線６ａ、６ｂ送リローラ８ａ及び８ｂの回
転を同期させるための制御機構である。

１１は筐体４内に低圧気体を供給するための低圧気体供
給装置でバルブを介して気体が供給される低圧ガス溜と
、該ガス溜と筐体４の細孔４ａとを調整可會詠ニードル
バルブ等を介して連結し、前記ガス溜の低圧ガスを常時
小量ずつ筐体内に供給し得るように構成して戊り、筐体
４の外壁にそって流れる気体が噴出口２Ｃより噴出する
際に筐体４内に作用する気体吸出のアスピレーション作
用により筐体内に生ずる所望の減圧状態を一定に継続維
持するものである。

なお１２ ａ 、１２ ｂはそれぞれ金属線６ａ；６ｂ
を電弧発生点５へ導く筒状の絶縁体である。

以上のような構成において、いまパルス電源７ａにより
電流を通じた一対の金属線６ａ、６ｂを各々同量ずつ順
次電弧発生点５に送りこんでいくと、金属線６ａ、６ｂ
は溶融蒸化される。

そして前記ガン２ａの中の内部を噴流する気体は筐体４
の外壁とガン２ａの内壁とで形成される流路を経て噴出
口２Ｃより被覆物体１に向けて噴出するが、その際アス
ピレーション作用により筐体４の内部の圧力を減すると
共に筐体４内に発生した溶融蒸化金属を吸引し、噴出口
２Ｃ近傍に生じる乱気流により、前記溶融蒸化金属を微
細化せしめ、その微細化した金属粒子を被覆物体へ向け
て飛散せしめるので、相の細かい均一 な被膜を得るこ
とができるものである。

又筐体４内には、低圧気体供給装置１１により常時低圧
気体を供給しているので、最適なアスピレーション作用
により、溶融蒸化金属を安定して溶射し続けることが可
能である。

さらに筐体４の球状内面は、研摩或いはＡＩやＡｇ蒸着
等により鏡面加工が施しであるので、電弧発゛生の除光
及び熱に変換された電気エネルギは前記鏡面に反射して
再び電弧発生点５に集中するので電気エネルギの損失も
最少限におさえることができるという効果をも合わせて
奏するものである。

なお、前述の如く筐体４内に低圧気体を供給する代りに
筐体４壁に供給口２ｂからの気体が直接噴射流入しない
微少貫通孔を１個または複数個設けることも考えられる
ことはいうまでもない。

ここで本考案の実施例を挙げると、金属線５ａ。

６ｂとして銅線を用い、かつ第３の線としてＷＣ線を点
５に対して送り、９０Ｖ、５００Ａでパルス幅１５μＳ
ｅｃのパルス電流を通じ、ガン２ａに５．５ｋｇ／ｃｍ
２の圧力気体を加え、筐体４内の圧力を１０〜５０ｍｍ
Ｈｇとして被覆物体から１０ｃｍの距離で溶射を行なっ
た場合Ｒｃ ８９．弾性率１９０００ ｋｇ／ｍｍ２摩
擦係数０．４２の被膜を得た。

又０．５ｍｍの被膜を得るのに４５ ｓｅｃ要したが、
溶射材と被覆物体との間に４５００ Ｖの電圧を印加し
た場合は３０５ｅｃｆ Ｑ 、５ ｍｍの被膜が得られ
た。

以上の如く、本考案は所望の金属材よりなる一対の金属
線の電弧発生点を、一方の端部に開口を有し、球状内面
を有する筐体の中心に位置せしめこの筐体を気体供給口
と噴出口とを有するガンの噴出口近傍に配置すると共に
、前記開口と前記ガンの気体゛噴出口とを一致させて同
軸状に配設するようにしたので、前記ガンの噴出口より
噴出する高圧気体の作用により前記筐体内はアスピレー
ション作用により減圧され、溶融蒸化した金属粒子は噴
出口に向けて吸引されると共に筐体の開口部近傍に生ず
る乱気流により微細化されるので、相の細かい均一な防
錆、耐摩等の被１膜を得ることができ、さらに鏡面加工
が施された筐体内面によりエネルギ損失も最少限におさ
えることができるというすぐれた作用効果を奏するもの
である。

なお、被膜物体と金属線との間に直流電圧を印した場合
、静電塗装の如き著しい効果ではないが１０〜３０％程
度被着効率を上げることができた。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案１実施例主要部の簡略構成図の断面図であ
る。 図中 １は被覆物体、２ａはガン、４は鏡面加工が施さ
れた球状内面を有する筐体、５は型皿発生点、６ ａ
、６ ｂは所望の金属よりなる溶射用金属線、７ａは金
属線６ａ、６ｂを溶融蒸化するためのエネルギ源である
パルス電源、８ ａ 、８ ｂは金属線６ａ６ｂ送リロ
ーラ、１１は低圧気体供給装置である。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）気体供給口と噴出口とを有するガンの気体噴出口
   近傍において電圧を印加した所望の溶射材からなる一対
   の金属線を順次送り出しながら、先端を近接または接触
   させて両者間に連続的に電弧を発生させることにより前
   記金属線を溶融蒸化せしめ前記ガン中に噴流する気体に
   より、前記溶融蒸化した金属を前記噴出口から噴出せし
   めて被覆物体表面に被着せしめるものにおいて、一方の
   端部に開口を有し、該開口の閉塞された他端側に鏡面加
   工を施した球状内面を有する筐体を、前記ガン内に前記
   開口と前記噴出口とを一致させて同軸状に配設し、さら
   に前記電圧を印加した一対の金属線の接触点を前記筐体
   球面の中心に位置せしめてなることを特徴とする金属溶
   射装置。
2. （２）前記筐体の前記他端側に細孔を形威し、該細孔を
   低圧気体供給装置に連結してなる前記実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の金属溶射装置。