JPS5839109B2 - 船舶における主機換装方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、船舶における主機換装方法、さらに詳しく
は、蒸気タービン主機を搭載した既存の船舶において、
蒸気タービン主機を撤去して低速ディーゼル主機を新設
する場合の主機換装方法に関する。

近年、燃料油の値上りに鑑み、燃料消費量の低減を図る
ため、既存の船舶に搭載されている蒸気タービン主機に
代えて燃費の良い低速ディーゼル主機を新設することが
考えられている。

ところがこの場合、低速ディーゼル主機は蒸気タービン
主機に比べてかなり大型であるため、主機の取替作業の
他に機関室内のボイラや補機の再配置等の改造工事が必
要になる。

従来、船側に開口を設け、ここから主機の取替えを行な
う方法が知られているが、この場合には、船舶の側方に
相当の空間を必要とし、作業性が悪く、かつ船舶を浮か
べたまま作業できないのでドックを長時間専有する等の
欠点がある。

この発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって
、船舶上方からの主機の取替えを可能にし、これにより
作業性の良い合理的な主機換装方法を提供するものであ
る。

以下この発明を図面に示す実施例により詳細に説明する
。

第１図〜第３図は主機換装前の既存の船舶を示し、二重
底内底板１上に蒸気タービン主機２が設置されている。

この主機２上方の第３甲板３に、左右一対のボイラ４，
４が互いに近接して設置されるとともに、主機２の部品
等を出し入れするための比較的小さい開口５が設けられ
ている。

また、両船側部には、これらボイラ４，４を挾むように
燃料油タンク６が設けられている。

さらに、図示は省略したが、内底板１および第３甲板３
には各種補機が設置されている。

上記の船舶は以下のようにして第４図〜第６図に示す低
速ディーゼル主機２１を備えた船舶に改造される。

すなわち、ボイラ４，４の左右両側にある燃料油タンク
側壁７を元の位置より左右外側にそれぞれ移してタンク
６の一部分を撤去し、左右のボイラ４，４をそれぞれ左
方および右方に移動して互いに離して設置し、第３甲板
３のこれらボイラ４，４に挾まれた部分にディーゼル主
機２１に対応する大きい開口２２を設ける。

そして、蒸気タービン主機２を撤去したのち、ディーゼ
ル主機２１をこの開口２２から下方に入れて内底板１上
に設置する。

なお、ディーゼル主機は２軸であってもよい。

上記において、燃料油タンク６の一部分を撤去した部分
に既存の甲板がない場合には、第３甲板３を左右に張出
させてボイラ４，４を据付ければよい。

また、低速ディーゼル主機２１は蒸気タービン主機２に
比べて燃費が良く、シたがって燃料消費量が少なくなる
ため、撤去した部分に相当する燃料油タンクを新設する
必要はない。

主機換装後もボイラ４より上側の部分を主機換装前と同
一とするため、ボイラ４の煙路を内側に寄せた構造とす
るのがよい。

開口２２は、既存の比較的小さい開口５を拡大して形成
する。

また、既存のプロペラ軸８を流用し、かつ大型の主機２
１を支持しうるようにするために、内底板１上に主機台
２３を新設するとともに、二重底部を補強する。

図面から明らかなように、蒸気タービン主機２に比べて
、ディーゼル主機２１は前後に長くかつ高くなっている
が、ボイラ４，４をそれぞれ左右に分離して設置し、こ
れらの間に大きい開口２２を形成しているので、主機２
１を設置するための十分な空間が確保されている。

また、このため、内底板１および第３甲板３上に配置さ
れていた補機の一部は移設を余儀なくされるが、新たに
甲板２４を設けて、この上にこれらを配置する。

なお、上甲板９については、ディーゼル主機２１の設置
に伴い、センタピラーを撤去し、ウェブガーダで補強す
る。

上記実施例においては、甲板３に大きい開口２２を設け
たのち蒸気タービン主機２を撤去しているが、蒸気ター
ビン主機２はこれを分解して既存の小さい開口５から搬
出することもでき、その作業はどの段階で行なわれても
よい。

以上のように、この発明によれば、ボイラ４゜４を左右
に移動させるだけでよく、シかも甲板３に大きい開口２
２を設け、船舶上方の空間を利用して作業ができるので
、作業性が極めて良く、かつ船舶を浮かべたまま作業す
ることができる。

また、燃料油タンク６の一部分を撤去することによって
、上記開口２２および低速ディーゼル主機２１設置のた
めの空間を確保しており、前述のように、撤去した部分
に相当する燃料油タンクを新設する必要がないから、極
めて経済的である。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は主機換装前の船舶を示し、第１図は機
関室部分の垂直横断面図、第２図および第３図はそれぞ
れ第１図■−■線および■−■線の断面図、第４図〜第
６図は主機換装後の船舶を示し、第４図は第１図相当の
垂直横断面図、第５図および第６図はそれぞれ第４図■
−Ｖ線およびＶｌ−Ｖｌ線の断面図である。 ２・・・・・・蒸気タービン主機、３・・・・・・甲板
、４・・・・・・ボイラ、６・・・・・・燃料油タンク
、２１・・・・・・低速ディーゼル主機、２２・・・・
・・開口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 蒸気タービン主機２と、この主機２上方の甲板３上
   に設置された左右一対のボイラ４，４と、左右両船側部
   にこれらのボイラ４，４を挾むように配置された燃料油
   タンク６．６とを備えた船舶において、ボイラ４に対応
   する燃料油タンク６の一部分を撤去し、左右のボイラ４
   ，４をそれぞれ左方および右方に移動して互いに離して
   設置し、上記甲板３のこれらボイラ４，４に挾まれた部
   分に低速ディーゼル主機２１に対応する大きい開口２２
   を設け、上記一連の作業の任意の段階において蒸気ター
   ビン主機２を撤去し、こののち新たに低速ディーゼル主
   機２１をこの開口２２から下方に入れて設置する船舶に
   おける主機換装方法。