JPS583117Y2 - 液体金属用受皿 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は液体金属冷却型高速増殖炉のごとき液体金属取扱
設備における液体金属用受皿の改良に関するものである
。

。第１図に図示されるような高速増殖炉の１次格納容器
ａは、機器すおよび配管Ｃを格納する区画ｄの内面に図
示されないライナが張設された鉄筋コンクリート構造体
で、一つの気密容器を構成している。

また区画ｄの雰囲気は１％以上の０２を含むＮ２ガスま
たは空気である。

例えば、ｅの個所で配管ｄが破損をおこして、液体金属
ｆが噴流となって落下した場合、この液体金属ｆが直接
床に触れば、容器ａが破損し、２次格納容器ないし他の
１次容器に事故が伝播する。

これを防止するために、従来では、床上に支持材ｇを介
して受皿りが配設されており、漏洩した液体金属ｆを該
受皿りで受させるようになっている。

しかるに漏洩した液体金属ｆが受皿りにプール状に溜ま
ると、液体金属ｆの液面と雰囲気中の０２とは激、シく
反応し、特に液体金属ｆの温度が高い場合発炎反応を一
起し、雰囲気温度が高くなり、その結果１次格納容器ａ
のコンクリート温度が制限温度以上に上昇して、コンク
リートの強度が著しく劣化した。

本案は、このような難点を克服した液体金属用受皿の改
良に係り、液体金属を内蔵した容器類が設置される格納
室の床のほぼ全面にわたって設けられるとともに上方が
開放した本体と、同本体内に配設された格子状の流体通
過可能な支持枠と、同支持枠上に載置され該支持枠の格
子開口を各別に独立して覆うとともに前記本体内を外部
から隔離した複数の薄板と、前記本体内の上部空間に連
通した不活性ガス供給装置と、前記液体金属の漏洩を検
知して前記ガス供給装置を作動させる制御装置とを有し
てなることを特徴とするもので、その目的とする処は、
漏洩した液体金属をできるだけ上方雰囲気から遮断して
液体金属の発熱反応を最少限に抑制することができる装
置を供する点にある。

本案は、前記したように液体金属を内蔵した容器類が設
置される格納室の床のほぼ全面にわたつて設けられると
ともに上方が開放した本体と、同本体内に配設された格
子状の流体通過可能な支持枠と、同支持枠上に載置され
該支持枠の格子開口を各別に独立して覆うとともに前記
本体内を外部から隔離した複数の薄板を前記支持枠に載
置し、前記本体内の上部空間に不活性ガス供給装置を連
通させ、前記液体金属の漏洩を検知して前記ガス供給装
置を作動させる制御装置を設けたため、前記容器または
配管が破壊して、これらから液体金属が漏洩しても、該
液体金属が前記格子開口上の薄板即ち破損板のいずれか
に落下し、その衝撃と液体金属の高熱とで、落下液体金
属に接した部分のみのしかも破損板の一部のみが破断さ
れ、その破断個所以外で本体上を略全面にわたって覆っ
た状態となり、液体金属は前記本体内の底面上の全面に
溜められる。

該本体に溜められた液体金属は破断された破損板を除い
て上方雰囲気と遮断され、しかも・前記制御装置により
作動される前記ガス供給装置から前記本体内部に不活性
ガスが供給され、前記本体内の液体金属の表面が不活性
ガスで覆われるため、液体金属の燃焼反応が急速に衰え
ミ前記格納室の破壊が未然に防止される。

また本案においては、前記破損板が広範囲に互って多数
張設されているため、前記格納室内のいづれの部分から
液体金属が漏洩しても、確実に格納室を保護することが
できる。

さらに本案においては、仮令破断された破損板を介して
上方雰囲気が前記本体内の上部空間に侵入しようとして
も、前記不活性ガス供給装置から本体内の上部空間に供
給される不活性ガスによってその侵入が阻止されて同上
部空間に不活性ガスが充満され、液体金属の発熱反応が
殆んど生じなくなる。

以下本案を第２図ないし第４図に図示の実施例について
説明すると、１は第１図の区画ｄの底部に配置され１失
格納容器ａ内の流体金属を貯溜できる容積を有する受皿
本体で、同本体１内において前後方向に指向しかつ断続
的にしかも左右方向に亙り所定間隔ごとにＨ型鋼または
■型鋼よりなる支持部材２が配設固定され、同支持部材
２の両面と同じ高さに支持片３が本体１の内周面に突設
されている。

前記支持部材２は縦、横方向に配置され格子状の支持枠
を構成するとともに、該支持枠は後記のように本体１内
に流入した液体金属および上部空間に流入される不活性
ガスが同本体１内の全面に波及するように（後記説明）
、周囲間隔あるいは流通孔等の適宜の手段により流体通
過可能になっている。

また支持部材２の配置間隔と同じ間隔に格子状に形成さ
れた枠組４が支持部材２および支持片３上に一体に載置
されている。

さらに枠組４の各開口に合致して枠組４の上面全面に亙
り枠５が敷設され、基枠５の開口内周面上部に形成され
た切欠段部６に厚さＱ、Ｑ１ｍｍ程度の薄板または箔７
の周縁が載せられ、薄板７を介して枠５に押え枠８が嵌
合されている。

さらにまた自動弁９を具えた不活性ガス配管１０の先端
のノズル１１は本体１の側壁を貫通して本体１内に突出
されており、図示されない液体金属漏洩検知装置からの
検知信号を自動弁９が受けると、自動弁９′は開き、ノ
ズル１１から不活性ガスが本体１内に噴出されるように
なっている。

第２図ないし第４図に図示の実施例は前記したように構
成されているので、受皿本体１の上方開口は薄板７で全
面に亙り覆われており、したがって機器６または配管Ｃ
が破損して第４図に図示されるように、液体金属１２が
噴出落下した場合には、液体金属１２が落下した区画、
ホの薄板７は破れ、受皿本体１内に液体金属１２が流入
して、本体１内全域に拡がり、さらにノズル１１から本
体１内に不活性ガスが噴出して、本体１内の雰囲気は区
画ホの破断薄板７から上方へ流出する。

しかして区画ホでは薄板７が破断するが、他の区画の薄
板７は健全であり、大局的には液体金属１２め液面は上
方の雰囲気１３に対して殆んど遮蔽され、しかも不活性
ガスで覆われることになる。

従って液体金属１２がどの位置に落下しても、液体金属
の液面と上方の雰囲気１３と（マ遮断されかつ不活性ガ
スで覆われるため、液体金属１２と接触するガス中の酸
素成分が減少し、終極的には殆んど不活性ガスのみとな
り、その結果、従来のものに比較してその反応発熱量を
飛躍的に減少させ、容器ａの破壊を未然に阻止すること
ができる。

第２図ないし第４図に図示の実施例では、薄板７の周縁
を押え枠８で枠５切欠段部６に係合させて取付けていた
が、枠５の上面に薄板７の周縁を載置し、両者をスポッ
ト溶接してもよく、第２図ないし第４図に図示の実施例
と同様な作用効果を奏することができる。

また第５図に図示するように所定の間隔を存して格子状
枠組４および薄板７を上下２層に配設し、ノズル１１を
薄板７の中間空間１４および下方薄板７の下方空間１５
に配設し、この下方薄板７を予想される最終液位より低
くしてもよい。

第５図の実施例では、液体金属１２の落下直後、空間１
４．１５ともに不活性ガスが噴出されて、当初存在した
０２を含んだガスは上方へ排出され、この場合空間１５
の容積は第２図ないし第４図の実施例における本体１の
容積に比べて小さいため、容積１５内のガス中０２戊分
を急速に減少させることができる。

また、液体金属１２の落下量が増加して、液位が空間１
４に達すると、空間１４内のガスは殆ど置換されて０２
成分は微少となっているため、燃焼反応は殆ど生じない
。

従って第５図においては、漏洩流体金属１２の発熱反応
を一段と抑制することができる。

さらに薄板７を３層以上間隔させばめて配設してもよく
、より一層遮蔽効果を向上させることができる。

さらにまた前記各実施例において、液体金属１２の保有
熱量に対して１０％以上の熱容量を有する図示されない
熱吸収剤を予め本体１内に配設すると、液体金属１２の
温度を低下させて、その発熱反応をさらに一段と抑制す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は高速増殖炉の１次格納容器の縦断側面図、第２
図は本案に係る液体金属用受皿の一実施例を図示した縦
断側面図、第３図はその要部拡大縦断側面図、第４図は
前記実施例に液体金属が落下した状態の縦断側面図、第
５図はさらに他の実施例の縦断側面図である。 １・・・・・・受皿本体、２・・・・・・支持部材、３
・・・・・・支持片、４・・・・・・格子状枠組、５・
・・・・・枠、６・・・・・・切欠段部、７・・・・・
・薄板、８・・・・・・押え枠、９・・・・・泪動弁、
１０・・・・・・不活性ガス配管、１１・・・・・・ノ
ズル、１２・・・・・・液体金属、１３・・・・・・上
方雰囲気、１４・・・・・・中間空間、１５・・・・・
・下方空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 液体金属を内蔵した容器類が設置される格納室の床のほ
   ぼ全面にわたって設けられるとともに上方が開放した本
   体と、同本体内に配設された格子状の流体通過可能な支
   、持枠と、同支持枠上に載置され該支持枠の格子開口を
   各別に独立して覆うとともに前記本体内を外部から隔離
   した複数の薄板と、前記本体内の上部空間に連通した不
   活性ガス供給装置と、前記液体金属の漏洩を検知して前
   記ガス供給装置を作動させる制御装置とを有してなるこ
   とを特徴とする液体金属の受皿。