JPS5822679B2 - 管路の防振装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はポンプや送風機のような流体機械から管路を通
って流れる水や空気のような流体によって生ずる脈動や
振動を防止する管路の防振装置に関する。

ポンプや送風機のような流体機械で流体を管路に送り込
む場合に、流体機械から生ずる振動の他に流体中を伝播
する脈動があり、そのような振動や脈動（以下単に振動
という）が発生すると、管路と共振したり、また管路か
ら建物の壁、床、天井等に伝わり、固体伝搬音となり、
騒音の問題を生じていた。

かかる振動を打ち消すために従来神様の防振装置が用い
られたがいずれも効果が少かった。

例えば本出願人に係る特開昭５１−５１００６号公報（
特願昭４９−１２５８８８号）には二重構造の消音装置
が示されており、この装置は共鳴現象を原理としている
ために、吸収できる振動の周波数成分の領域が狭く、ま
た設計に当って各部の寸法を周波数に合せねばならない
ために、実施上に問題があった。

したがって本発明の目的は吸収できる周波数成分の領域
が広く、設計が容易な管路の防振装置を提供するにある
。

本発明によれば、弾性材料の内筒と、その内筒の周囲に
設けられた弾性材料の外筒とを備え、その内筒の両端は
リテーナ部を介して入口部および出口部に連結され、そ
の入口部および出口部はそれぞれ管路に連通され、内筒
と外筒との間に形成された外筒室はリテーナ部に形成さ
れた流路を介して入口部および出口部と連通し、この流
路の面積は入口部の面積に対して１／３以上である。

したがって本発明では、流体の振動の位相差と、流体の
膨張と衝突とを原理とし、もって振動を吸収するように
しているので、吸収できる振動の周波数成分の領域が広
く、設計や製作が楽であり、かつ汎用性の高いものを得
ることができる。

以下図面を参照して本発明の詳細な説明する。

第１図において本発明に係る防振装置は内筒１とその内
筒１の外周に設けた外筒２とを備え、これらの内筒１お
よび外筒２は弾性体で作られ、その中心部はふくらんで
いて球状またはたる状をしている。

そして外筒２の両側には側板３ａおよび３ｂが設けられ
、外筒２の端部２ａ 、２ｂはそれぞれ側板３ａ、３ｂ
の内側に設けたフランジ４ ａ ｔ４ｂと係合し、ボル
ト６によって側板３ａ、３ｂと密封して固着されるよう
になっている。

これらの側板３ａ 、３ｂにはそれぞれ入口部８ａと出
口部８ｂが設けられ、それぞれ図示しない管路に接続さ
れている。

内筒１はその両端１ａ、１ｂにおいてそれぞれリテーナ
部５ａ 、ｓｂによって外筒内に支持されており、した
がって内筒１と外筒２との間には外筒室７が形成されて
いる。

このリテーナ部５ａ、５ｂにはその円周側部には切欠す
なわちスリット９ａ、９ｂがそれぞれ設けられ、入口部
８ａからの流体を外筒室７に流入でき、そして外筒室７
から出口部８ｂに流入できるようになっている。

この切欠９ａ、９ｂの面積すなわち流体を外筒室７へ流
入させモして外筒室７から流出させる面積は入口部８ａ
Ｏ面積の１／３以上（例えば口径１５０ｍの場合）とす
る。

この口径が大きくなるとその比率は小さくなるが、第３
図で説明する通り、略１／３で一定値となる。

このように外筒室７に通じる流路の面積を１／３以上に
することによって、入口部８ａに流入した流体が外筒室
７に流入し、てして出口部８ｂに流出でき、後述の効果
を奏するものである。

本発明に係る防振装置は流体供給源である回転機械の上
流側又は下流側或いはその両方に設けるのが好ましく、
また比較的に回転機械の近傍に、例えば回転機械の管路
に、直接に設けるのがよい。

このようにすることによって比較的容易に防振効果を得
ることができる。

以上の如く本発明によれば、リテーナ部５ａ。

５ｂに比較的大きな流路を形成して流体が速やかに外筒
室７に流入し、流出できるようにしたので、内筒１内を
通過する流体と外筒室７内を通過する流体との間に振動
の位相差が生じて振動を吸収するこ吉ができる。

かつ外筒室内に流入した流体が出口側のリテーナ部のス
リットから内側に流入する際、内筒内を通過してきた流
体と衝突を生じ、ここで脈動エネルギを吸収する。

さらに外筒２は弾性材料で作られているので、流体の一
部が膨張でき、以て振動を吸収する。

また外筒室７がその弾性による体積変動によって圧力波
を吸収し、振動が吸収される。

かつ外筒２と内筒１と共に弾性体であるので、配管を伝
える回転機械からの振動を吸収することができる。

以上のように本発明は内外両筒中を流れる流体に位相差
を与え、かつ膨張と衝突による流体の脈動の吸収と配管
の振動の吸収とを行うことができ、これらの相乗効果に
より、極めて好適に振動を吸収でき、その消音効果は極
めて大きい。

第２図は本発明による効果を示すグラフである。

本発明に係る装置を冷却水ポンプの吐出側に隣接して設
けた場合に各周波数（Ｈｚ）に対して本装置を設置する
前と設置した後との減衰量を音圧レベル（ｄＢ）で示す
ものである。

このように本装置により２７．５ｄＢ（Ａ−スケール）
の減音効果が得られた。

また本発明に係る装置は側板３にリテーナ部を差し込み
、さらにリテーナ部に内筒１を差し込み、外側に外筒２
をフランジで側板にボルト締めすればよく、組立がきわ
めて容易である。

また以上の説明において入口部８ａ、出口部８ｂとして
説明したけれども、本装置は対称的な構造に作られてい
るので実実施に際して入口と出口の区別をする必要がな
いことは明らかである。

第３図は本発明に係る装置の入口部８ａの口径と、その
リテーナ部の流路面積／入口部の面積の最も好ましい関
係を示す実験結果である。

流体には水を用いた。

この曲線Ａよりも上の部分は、内外両筒中を流れる流体
に位相差を与え、かつ膨張と衝突による流体の振動の吸
収と配管の振動の吸収とを行なうことができる範囲であ
る。

このようにリテーナ部から外筒室に至る流路は管路の断
面が大きいほど比率が小さくてよいことが解る。

さらに実験の結果、外筒室７の体積は内筒１内の体積の
２倍以上あることが流体の膨張効果を高める点で好都合
であることが解った。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る防振装置の一実施例を示す断面図
、第２図は本発明による装置を取付けた場合と取付けな
い場合との減衰量を各角周波数成分について示すグラフ
、第３図は入口部の口径とリテーナ部から外筒室に至る
流路の面積比との関係を示すグラフである。 １・・・・・・内筒、２・・・・・・外筒、３ａ 、
３ｂ・・・・・・側板、４ａ、４ｂ・・・・・・フラン
ジ、５ａ 、ｓｂ・・・・・・リテーナ部、６・・・・
・・ボルト、７・・・・・・外筒室、８ａ・・・・・・
入口部、８ｂ・・・・・・出口部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 弾性材料の内筒と、その内筒の周囲に設けられた弾
   性材料の外筒とを備え、その内筒の両端はリテーナ部を
   介して入口部および出口部に連結され、その入口部およ
   び出口部はそれぞれ管路に連通され、内筒と外筒との間
   に形成された外筒室はリテーナ部に形成された流路を介
   して入口部および出口部を連通し、この流路の面積は入
   口部の面積に対して１／３以上であることを特徴とする
   管路の防振装置。