JPS5822475B2 - 尿素の分解抑制法

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【発明の詳細な説明】本発明は、尿素の分解を抑制する新規方法に関するもの
である。

尿素は、時間が経過するにつれてＰＨ上昇を来たす。

その理由は、尿素が徐々に加水分解されアンモニア、カ
ーバメートあるいは炭酸アンモニウムなどの塩基性物質
が生成し、一方尿素中に残存する炭酸、シアン酸などの
不安定な酸性物質が分解、揮散し、経時的に酸性物質よ
りも塩基性物質の絶対量が増加するため、ＰＨの上昇が
惹起すると解されている。

ところで、尿素の分解でそのＰＨ値が増加すると、諸用
途に利用するに際し、種々問題点が生じる。

例えば、そのような尿素を尿素樹脂製造に用いれば、要
求される品質を兼備えた樹脂を得ることができない。

また、尿素は中性液体洗剤における界面活性剤の・・イ
ド爾トロープあるいは可溶化剤として通常用いられてい
るが、この場合尿素のＰＨ上昇が起ると、本来中性液体
洗剤であったものがアルカリ性を呈し不都合を生じ、ま
たアンモニア臭の発生、洗剤の耐寒性の劣化などの原因
にもなる。

、従来、尿素の分解を抑制する方法として、特公昭４６
−１１０１０号には塩化アンモニウム、硫酸アンモニウ
ムなどのアンモニウム塩を添加する方法につし・て開示
がなされている。

また、尿素の分解抑制剤として、アルカノールアミン、
中性アミノ酸なども知られている。

しかしこれらの方法は、いずれもその効果が不充分で、
尿素の分解に起因するＰＨ上昇を完全に抑えるまでに至
っていない。

本発明者らは、尿素の分解を効果的に抑制する作用を有
する物質を見い出す目的で、種々物質を対象とし、その
効果につき検索を行った。

その結果、ヒドロキシルアミン鉱酸塩が、従来公知の分
解抑制剤よりも、尿素の分解をよリ一層効果的に抑制す
る作用を有していることを知見し、本発明に到達した。

すなわち本発明は、尿素にヒドロキシルアミン鉱酸塩を
添加することにより、尿素の経時的分解を抑制し、ＰＨ
上昇を防止する方法に関するものである。

本発明は、固体尿素あるいは尿素水溶液に適用できる。

本発明におけろヒドロキシルアミン鉱酸塩としては、塩
酸塩、硫酸塩が特に有効であるが、その他硝酸塩、リン
酸塩も使用に供される。

これらヒト「１キシルアミン鉱酸塩は、水溶液の形態で
も使用に供すことができ、その使用量は尿素に対し、０
．０１〜２０ｗｔ％、好ましくは０．０５〜１０ｗｔ％
用いれば充分である。

次に、本発明の実施例および比較例を挙げる６、実施例
１所定のＰＨを示す５０ｗｔ％尿素水溶液に、本発明ノ尿
素分解抑制剤であるヒドロキシルアミン塩酸塩またはヒ
ドロキシルアミン硫酸塩を所定量添加し、溶解後、４０
℃におけるＰＨの経時変化を測定した。

比較例ｌＰＨ６を示す５０ｗｔ％尿素水溶液に、従来公知・・の
尿素分解抑制剤である塩化アンモニウム、硫酸アンモニ
ウムまたはトリエタノールアミンを所定量添加し、溶解
後、４０℃におけるＰＨの経時変化を測定した。

実施例１および比較例１の結果を第１表に示す。

なお、第１表には尿素分解抑制剤無添加の場合のＰＨ経
時変化も合せて示す。

実施例２ＰＨ６を示す５０ｗｔ％尿素水溶液に、本発明の尿素分
解抑制剤であるヒドロキシルアミン塩酸塩）３を所定量
添加し、溶解後、４０°ＣにおけるＰＨの経時変化を測
定した。

その結果を第２表に示す。

実施例３粒状尿素に、本発明の尿素分解抑制剤であるヒト爾キシ
ルアミン塩酸塩またはヒドロキシルアミン硫酸塩を所定
量添加し、充分振り混ぜた後、ポリ袋に詰めてシールし
、５０°Ｃにおいて３Ｈ間保存した。

次いで、ポリ袋から取り出し、５０ｗｔ％尿素水溶液に
なるように水を加えた後、ＰＨを測１定した。

比較例２従来公知の尿素分解抑制剤である塩化アンモニウムを用
いて、実施例３と同様の実験を行った。

実施例３および比較例２の結果を第３表に示す。

なお、第３表には尿素分解抑制剤無添加の場合の結果も
合せて示す。

以上の実験結果から、本発明の尿素分解抑制剤は、従来
公知のものに比べて、長期にわたり尿素の分解を抑制し
、ＰＨを安定的に保持する作用を有し、本発明は極めて
優れた尿素の分解抑制法であることが認識される。

【特許請求の範囲】