JPS5821006B2 - フンイキネツシヨリロノ ロナイガスカクハンソウチ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は浸炭炉の如き雰囲気熱処理炉の炉内ガスを撹拌
する装置に係る。

雰囲気熱処理炉は、一般に、アーチ状に彎曲した天井を
有する実質的に長方形の断面を有し、縦方向に比較的長
く延在する炉内空間を備え、炉の一端より前記炉内空間
内へ導入された被処理物が、該炉内空間内にて加熱され
つつ該炉内空間を満たす雰囲気ガスと接触することによ
り所定の雰囲気熱処理を施され、炉の縦方向他端より排
出されるようになっている。

かかる雰囲気熱処理炉によって被処理物の良好な熱処理
を達成するためには、被処理物が炉内空間を通過する間
に該空間を満たす雰囲気ガスと一様に接触し、かつ被処
理物間の温度差を小さくする必要がある。

そのためには、炉内空間の各断面全体にわたって炉内ガ
スの一様な撹拌が行われることが必要である。

従来、かかる雰囲気熱処理炉の炉内空間に於けるガスを
撹拌する装置としては、アーチ状に彎曲した炉天井部の
中央に設けられたファンが用いられている。

しかし、本発明者等が行った種々の実験的研究によれば
、従来より行われているかかる天井ファンによる炉内ガ
スの撹拌方法は、炉内空間の断面全域にわたって必ずし
も一様で且良好な炉内ガスの撹拌を与えるものではない
ことが見いだされた。

しかも、炉内ガスの撹拌手段としてファンを用いる時に
は、一般に高温の炉内雰囲気ガスにより、ファンの各部
が加熱され、ファンの良好な作動、耐久性或はその保守
に関しかなりの困難が伴うものである。

本発明者等は、上記の如き問題に鑑み、炉内雰囲気ガス
の撹拌手段として、ノズルによりガスを炉内空間へ噴出
することを主体とする方式について種々の実験的研究を
行った結果、比較的簡単なガス噴射方式により炉内空間
の断面全域にわたって高度に均一な炉内ガス循環を達成
することのできる炉内ガス撹拌方式を得ることができた
。

従って、本発明の目的は、一般にアーチ状に彎曲した天
井を有する実質的に長方形断面の雰囲気熱処理炉のため
の、改良された炉内ガス撹拌装置を提供することであり
、かかる目的は、本発明によれば、炉床に近接して炉の
両側壁部に対向して開口し炉床に沿って炉の中央部へ向
けてガスを対称に噴出するガス噴出ノズル対さ、炉床の
中央部に配置され前記噴出ノズル対より噴出されたガス
を上向きにそらせる山形断面のそらせ体とを含む如き炉
内ガス撹拌装置によって達成される。

更に、本発明は、その一つの好ましい修正例として、前
記の如きガス噴射ノズル対と山形断面そらせ体に加えて
、アーチ状に彎曲した天井の中央部にラジアル吐出ファ
ンを設けることを提案するものである。

このように噴出ノズル対、山形断面そらせ体、ラジアル
吐出ファンを組み合わせて用いることにより、噴出ノズ
ル対と山形断面そらせ体による炉内ガスの撹拌態様がさ
らに一層改善され、炉内空間の断面全域にわたって高度
に均一な炉内ガスの撹拌状態を達成することができる。

以下に添付の図を参照して本発明を更に詳細に説明する
。

第１図は、アーチ状に彎曲した天井の中央部にラジアル
吐出ファンを設けた従来の炉内ガス撹拌装置の一例につ
いて、その炉内空間の断面に於ける炉内ガスの撹拌流線
を示す図である。

即ち、図に於て、１はアーチ状に彎曲した天井であり、
これと側壁２，３及び炉床４とにより実質的に長方形横
断面を有する炉内空間５が郭定されている。

炉内空間５内には鎖線にて示す如き枠体６が設けられて
おり、該枠体に雰囲気熱処理されるべき物品が装填され
るようになっている。

枠体６は、図示の如き横断面の炉内空間５を有する炉の
縦方向一端部より該炉内空間内へ導入され、炉の縦方向
他端より炉外へ排出されるようになっており、その間に
、該枠体内に装填された被処理物品が、炉の周壁部に組
み込まれた加熱装置（図示せず）より供給される熱と炉
内空間５を占める雰囲気ガスとにより、所定の雰囲気熱
処理を施されるようになっている。

第１図に示す例に於ては、アーチ状天井１の中央部にラ
ジアル吐出ファンＴが設けられている。

このファンは、その前面部より流体を吸い込み、これを
ラジアル方向に吐出する如きものである。

かかる構成による時は、第１図に示す如く、炉内ガスの
撹拌は主としてファンに近接する炉内空間の上方部に於
てのみ行われ、炉内空間の底部には８にて示す如きかな
り大きなデッドゾーン（停滞域）が生ずる。

第２図は、第１図に示す撹拌構成を改良すべく、デッド
ゾーン８が生ずる部分に山形断面そらせ体９を設けた場
合を示す第１図と同様の図である。

この場合には、そらせ体９により顕著なデッドゾーン８
を解消させるに幾分かの効果はあるが、しかし炉内空間
の下方部に於ける撹拌度は上方部に於ける撹拌度に比し
てかなり小さく、炉内空間の横断面全域にわたって均一
にして且良好な撹拌を得るには末だほど遠いものである
。

第３図は、第１図又は第２図に示す構成に於けるラジア
ル吐出ファン７に代えて、ラジアル吸込みアクシアル吐
出ファン７／を設けた構成を示す。

この場合には、特に顕著なデッドゾーンは生じないが、
炉内空間の横断面全域に於ける流れにかなり大きな不均
一性があり、全体にわたっての一様な撹拌は行われにく
い。

第４図は、第３図の構成に於けるラジアル吸込みアクシ
アル吐出ファン７′に代えて、ガス噴出ノズル１０を用
いた構成を示す。

この場合には、１１にて示す部分にかなり顕著なデッド
ゾーンが生ずる。

第５図は、本発明による炉内ガス撹拌装置を設けた場合
の炉内のガス撹拌態様を示す図である。

この場合、炉床４に近接して、炉の両側壁部２及び３に
は、互に対向して開口するノズル１２及び１３が設けら
れており、これらのノズルより炉床４に沿って炉の中央
部へ向けてガスが対称に噴出されるようになっている。

炉床の中央部には噴出ノズル対より噴出されたガスを上
向きにそらせる山形断面のそらせ体９が設けられている
。

かかる本発明の構成による時は、炉内空間、特にその周
縁を除く中央部に配置される枠体６の全断面領域にわた
って高度に均質で且良好な循環を行う撹拌流が形成され
る。

第６図は、第５図に示す如く互に対向する噴射ノズル１
２及び１３を設けた場合にも、各ノズルからの噴射の強
さが非対称とされた場合の流れの態様を示す図である。

この場合、噴射ノズル１２より噴射される噴流の強さが
噴射ノズル１３からの噴流の強さに比してかなり大きく
されている。

かかる非対称噴出が行われると、符号１４にて示す位置
にかなり顕著なデッドゾーンが形成される。

第７図は、本発明の一つの修正例として、ノズル１２及
び１３に加えて、アーチ状に彎曲した天井部１の中央に
ラジアル吐出ファン７を追加した場合を示す。

かかるファン７が追加されることにより、流れの状態は
第５図に示す場合より更に一層改善され、炉内空間の横
断面全域にわたって高度に均一で且良好な循環流が得ら
れる。

第８図は、第７図に示す撹拌方式に従って構成された雰
囲気熱処理炉の一つの実施例を示す横断面図である。

第８図に於て、第１図〜第７図に示す部分に対応する部
分は、第１図〜第７図に於ける符号と同一の符号により
示されている。

この場合、炉内空間５を郭定する周囲にヒータ１５，１
６゜１７が配置されている。

この場合、噴出ノズル１１２及び１３より噴出されたガ
スは、炉床４に沿って流れる際にヒータ１７と充分に接
触し、これより充分に熱を受は取り、枠体６内を通って
上昇し、更にファン７の助けにより天井及び側壁へ向っ
て旋回し、該側壁に沿って炉床部へ向けて循環する際に
ヒータ１５及び１６より再び充分に熱を。

受は取り、枠体６へ向けて再循環され、ヒータの発生す
る熱を炉内空間の全域にわたって良好に分配する作用が
行われる。

噴出ノズル１２及び１３より噴出されるガスは、それぞ
れ導官１８，１９゜２０を経て適当な雰囲気ガス供給源
より供給され２る。

第９図は、第８図に示す如き横断面形状を有する雰囲気
熱処理炉の一つの実施例を、縦断面にて示す図である。

図示の如く、雰囲気熱処理炉は一般に縦方向に比較的細
長く延在する構造に作られごており、その縦方向一端に
ある入口２１より縦方向他端にある出口２２へ向けて、
被処理物品が枠体６により担持されて移動されるように
なっている。

滲炭炉の場合、かかる縦長の炉は、通常、その入口から
始まって、昇温ゾーン、滲炭、拡散ゾ４−ン、冷却ゾー
ン、焼き入れゾーンに分けられており、昇温ゾーンにて
はまず物品の温度をなるべく速やかに所定の温度まで上
昇させ、滲炭、拡散ゾーンにては所定の温度を所定の時
間一定に保つことが行われ、冷却ゾーンにてはその温度
を焼入温度まで低下させ、焼き入れゾーンにては被処理
物間の焼入温度差を小さくし、品質のばらつきの低減を
達成するようになっている。

かかる炉の操業に於て、その能率を向上させるには、昇
温ゾーンにてできるだけ速やかに一様な温度まで物品の
加熱を行い、又冷却或は焼き入れゾーンに於てできるだ
け速やかに且一様に所定の温度まで物品の冷却を行うこ
とが必要である。

この点に関し、本発明の炉内ガス撹拌装置によれば、炉
内ガスの撹拌が良好に行われることにより、昇温或は冷
却に於ける所要時間を短縮するこ吉ができるさ共に、炉
内ガスの均一な撹拌が行われることによって、各被加熱
物品間の温度差をなくし、一様な加熱或は冷却をより速
やかに達成することができる。

かかる加熱経過を定性的に示したものが第１０図であり
、この図に於て、曲線ａは従来の炉内ガス撹拌装置によ
る場合を一般的に示し、曲線すは本発明により改善され
た加熱経過を示す。

このように、昇温ゾーンに於て加熱がより速やかに且均
−に行われることにより、全工程時間より昇温時にｈｌ
だけの時間を節約することができ、又冷却或は焼き入れ
ゾーンに於て速やかで且均−な冷却が行われることによ
り、この領域に於てｈ２の時間を節約することができ、
最終端の被処理物の温度差ｔも小さくできる。

従って、本発明によれば、従来の炉内ガス撹拌装置を用
いた炉と同じ長さの炉を用いるときは、炉内を通って搬
送される被処理物品の搬送速度をそれだけ増大させるこ
とができ、単位時間当りの処理量を増大させることがで
きる。

又従来の炉内ガス撹拌装置による炉と同一の生産量を達
成するためには、炉の長さをそれだけ短縮することがで
きる。

従って、このことは又、熱処理に要するエネルギ（電力
）について、相当する節減をもたらすことを意味するも
のであり、生産能率の向上と共にエネルギ節減の目的も
達成されるものである。

又炉内雰囲気ガスの温度が均質化されることにより、製
品の品質が均一化され、品質改善が達成されることも明
らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は従来の炉内ガス撹拌方式の幾つかにつ
いて撹拌状態を試験的に示す概略図、第５図は本発明に
よる炉内ガス撹拌方式の基本的構成を示す概略図、第６
図は第５図に示す撹拌装置と同じ撹拌装置を用いた場合
にもその作動態様によって好ましからざる結果を生ずる
例を示す概略図、第７図は本発明による炉内ガス撹拌方
式の一つの修正例を示す概略図、第８図は本発明による
炉内ガス撹拌装置を組み込んだ一つの雰囲気熱処理炉の
横断面図、第９図は第８図に示す雰囲気熱処理炉の縦断
面図、第１０図は本発明による炉内ガス撹拌方式による
熱処理工程を従来の炉内ガス撹拌方式によるそれと比較
して示すグラフである。 １・・・・・・天井、２，３・・・・・・側壁、４・・
・・・・炉床、５・・・・・・炉内空間、６・・・・・
・枠体、７，７′・・・・・・ファン、８・・・・・・
デッドゾーン、９・・・・・・そらせ体、１０・・・・
・・噴射ノズル、１１・・・・・・デッドゾーン、１２
．１３・・・・・・噴射ノズル、１４・・・・・・デッ
ドゾーン、１５゜１６．１７・・・・・・ヒータ、１Ｂ
、１９，２０・・・・・・導管、２１・・・・・・入口
、２２・・・・・・出口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アーチ状に彎曲した天井を有し、実質的に長方形横
   断面の炉内空間を有する雰囲気熱処理炉内の炉内ガスを
   前記炉内空間の全域に互って撹拌する装置に於て、炉内
   に近接して炉の両側壁部に対向して開口し炉床に沿って
   炉の中央部に向けてガスを対称に噴出するガス噴出ノズ
   ル対と、炉床の中央部に配置され前記噴出ノズル対より
   噴出されたガスを前記天井へ向けて上向きにそらせる山
   形断面のそらせ体とを含むことを特徴とする装置。 ２ アーチ状に彎曲した天井を有し、実質的に長方形横
   断面の炉内空間を有する雰囲気熱処理炉の炉内ガスを前
   記炉内空間の全域に互って撹拌する装置に於て、前記天
   井の中央部に設けられたラジアル吐出ファンと、炉床に
   近接して炉の両側壁部に対向して開口し炉床に沿って中
   央部へ向けてガスを対称に噴出するガス″噴出ノズル対
   と、炉床の中央部に配置され前記噴出ノズル対より噴出
   されたガスを前記天井へ向けて上向きにそらせる山形断
   面のそらす体とを含むことを特徴とする装置。