JPH1199332A - ドングリ類を加工した吸着材料とその製造法 - Google Patents

ドングリ類を加工した吸着材料とその製造法

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JPH1199332A
JPH1199332A JP10178453A JP17845398A JPH1199332A JP H1199332 A JPH1199332 A JP H1199332A JP 10178453 A JP10178453 A JP 10178453A JP 17845398 A JP17845398 A JP 17845398A JP H1199332 A JPH1199332 A JP H1199332A
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acorns
activated carbon
heavy metal
metal ions
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JP10178453A
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Toshito Sato
敏人 佐藤
Hiroshi Nakazawa
廣 中沢
Yasuo Kudo
靖夫 工藤
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IWAIZUMICHO SANGYO KAIHATSU KO
IWAIZUMICHO SANGYO KAIHATSU KOUSHA
TONE GEO TECH CO Ltd
Original Assignee
IWAIZUMICHO SANGYO KAIHATSU KO
IWAIZUMICHO SANGYO KAIHATSU KOUSHA
TONE GEO TECH CO Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドングリ類を不活性ガスの雰囲気の中で加熱
処理してドングリ活性炭を得て、工業廃水中の重金属イ
オンの除去効果を向上させる。 【解決手段】 ドングリ等の粉を加熱炉2の内部で、ガ
ス源7から供給する不活性ガスの雰囲気中で加熱処理し
てドングリ活性炭を作成する。前記ドングリ活性炭の粉
または粒状に成形したものを重金属イオンを含む溶液中
に混入して攪拌し、重金属イオンを吸着させ、その後に
固形分を分離することにより、廃液中の重金属イオン成
分を少なくして排水することが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉱工業廃水に含ま
れる重金属イオンの吸着材料とその製造方法に関し、特
に、ドングリのような山の木の実類(以下ドングリ類と
呼ぶ)を加工して製造する吸着材料に関する。
【0002】
【従来の技術】メッキ排水のような工業廃水等に含まれ
る重金属イオン等は、その化合物の形態によってはきわ
めて有害なものであり、放水した場合には、自然界で分
解されて消滅することがなく、植物や動物の体内に濃縮
して蓄積される。そして、それ等の有害物質が含まれる
ものを食物として摂取した場合には、人間の体内に蓄積
されて重大な障害を及ぼすという問題がある。そこで、
前述したような問題を解決するためには、重金属イオン
を含む廃水の性質に対応させて(水酸化物、硫化物)沈
殿法、酸化・還元法、イオン浮選法、吸着法等の種々の
重金属イオン除去処理方法を用いて、自然界に有害物質
を放出しないようにする処理を行い、それ等の有害物質
が含まれるものを、人間が食物として摂取することがな
いようにしている。
【0003】前記重金属等の有害成分の処理方法のう
ち、最も一般的な方法としては、ゼオライト等のような
無機質物質を使用することや、活性炭成分を使用して重
金属イオンを選択的に吸着させて除去する方法が用いら
れる。前記活性炭を使用する重金属イオン除去方法に対
しては、例えば、やし殻やもみ殻または、竹を原料とす
る活性炭等のような植物を原料とするものや、石炭等を
加工して作成する活性炭等を用いることが知られてい
る。前記やし殻を原料とする活性炭や、石炭等を原料と
する活性炭類は、従来より一般に用いられているもので
あり、その重金属イオン等の吸着性能についても多く知
られていることである。これに対して、植物を原料とし
て作成する活性炭においては、例えば、特開平1−24
9616号公報等に示されるものが知られており、もみ
殻を加熱装置を設けたドラムの内部に収容して攪拌しな
がら炭素化し、灰になる直前に水または水蒸気を混入し
て製造するものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記もみ殻
を原料とする活性炭は、もみ殻を有効活用する点では、
効果があると考えられるものの、他の活性炭に比較して
特に顕著な効果を奏するものとは考えられない。また、
特公昭60−37048号公報等に示されるように、古
米のような穀類を原料とする活性炭を用いる場合には、
オガ屑等を原料とする活性炭に比較して、ガスの吸着効
果をより良く発揮できるものといわれるが、原料として
用いる穀物の価格が問題となる。前記植物を原料とする
活性炭においては、例えば、木炭や、やし殻活性炭に比
較したデータが少ないために、実際の効果の程度が容易
に確認できないものである。
【0005】前記活性炭を用いて、廃水中に含まれる重
金属イオンを吸着させて除去する手段は、従来より一般
に用いられているものである。ところが、最も多く使用
されているやし殻活性炭の場合でも、銅イオンとカドミ
ウムイオン等が混合された廃水等のように、複数種類の
重金属イオンが混じった廃水に対しては、十分な効果を
奏し得ない場合がある。そこで、従来は無視されていた
新規な材料を加工して、従来のやし殻活性炭に比較し
て、重金属イオンの吸着効果の大きな吸着材料を開発す
ることが模索されているのが現状である。
【0006】本発明は、前述したような従来の吸着材料
の問題を解消するもので、ドングリ等のような山の木の
実類を原料として用いた新規な吸着材料を得て、重金属
イオンを吸着除去する吸着材料を提供することを目的と
している。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ドングリ類を
加工した吸着材料に関する。本発明の請求項1の発明
は、脱皮したドングリ類の実を破砕し、前記ドングリ類
の破砕したものを不活性ガスの雰囲気の中で200℃な
いし800℃で加熱して活性を付与して製造することを
特徴とする。請求項2の発明は、脱皮したドングリ類の
実を破砕する工程と、前記ドングリ類の破砕物を不活性
ガスの雰囲気の中で200℃で2時間の加熱を行って活
性を付与する工程、前記活性化したドングリ類の破砕物
から所定の粒度以上のものを分離する工程とを経て製造
することを特徴とする。
【0008】請求項3の発明は、前記ドングリ類の粉を
不活性ガスの雰囲気の中で800℃で30分の加熱を行
い、前記ドングリ類の粉に活性を付与することを特徴と
する。請求項4の発明は、前記活性化したドングリ類の
粉を分離して、吸着材料として用いることを特徴とす
る。請求項5の発明は、前記活性化したドングリ類と固
着材成分とを混合して、造粒機で一定のサイズの粒状の
ものに成形し、吸着材料として用いることを特徴とす
る。
【0009】前述したようにして作成するドングリ類を
加工した吸着材料は、自然に多量に産出されるドングリ
類を原料としているために、原料の入手が容易であり、
吸着材料としての加工も容易に行うことができる。そし
て、特に重金属イオンに対する吸着性能を良好に発揮可
能であり、還元処理を複数回繰り返してもその重金属イ
オン吸着効果を発揮可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のドングリ類を加
工した吸着材料の製造法を説明する。本発明において
は、雑木林に多量に産出されるが、有効に利用されるこ
との少ないドングリを原料とする場合を例にして説明す
る。前記吸着材料は、粉砕機を用いて粉にしたものを原
料として用いるが、前記乾燥したドングリは、非常に堅
くて楕円形のものであり、単純なすりつぶし作用を行う
ような粉砕機は使用しがたいものであるために、インパ
クトクラッシャー等のような粉砕機を用いると良い。ま
た、前記ドングリの表皮は、吸着材料としての作用を発
揮し得ないものと考えられるので、あらかじめ表皮を剥
離したものを原料として用いた。
【0011】前記吸着材料を製造するに際しては、例え
ば、図1に示すような製造装置1を用いることができ
る。前記製造装置1においては、ヒータ3を設けた加熱
炉2の内部に、回転手段に接続した処理用の炉心管5を
配置して、その炉心管5の内部にドングリ6を収容し
て、前記炉心管を回転させながらヒータにより加熱す
る。前記ドングリ6を収容する炉心管5に対しては、ガ
ス源7から不活性ガスを供給して、蒸し焼き状態での処
理を行う。なお、前記ドングリの加熱処理に際して、加
熱を開始してから一定の時間が経過すると、原料に含ま
れる水分やガス成分の排出がなくなるので、その後に
は、ガス源からの不活性ガスの供給を減少させ、炉心管
から排出されるガスをガス還流パイプ8を介して供給す
る手段を設けることが可能である。また、前記パイプ8
にはバルブ9を配置して、ガス源7と使用済みガスの切
り換えを行うこと、および、余分なガスを大気に排出手
段を設けること等が可能であり、ガス源から供給する不
活性ガスの使用量を少なくすることもできる。
【0012】前記製造装置を用いてドングリを原料とし
た吸着材料を製造する際には、前記炉心管にドングリの
粒または粉を収容し、前記回転ドラムの中に不活性ガス
を供給しながら、200℃ないし800℃範囲の温度で
所定の時間加熱し、多孔質の活性化(炭化)した吸着材
料(以下「ドングリ活性炭」と呼ぶ)を作成する。前記
ドングリ活性炭を製造する場合には、例えば、COガス
を供給しながら250℃で2時間の加熱処理を行って製
造することが可能であるが、600℃で20分の加熱処
理を行っても、ほぼ同様な性質を持つ吸着材料を製造で
きた。
【0013】したがって、本発明の吸着材料を製造する
場合には、200〜800℃の範囲で、20分〜2時間
の加熱時間を適宜選択して製造が可能であり、前記CO
ガスを賦活材として供給する場合には、焼成されるドン
グリから発生するガスに反応して、CO2 ガスとして排
出される。また、前記ドングリの焼成に際しては、他の
不活性ガスを使用しても良く、ドングリの焼成に使用し
た熱源の排気を導入しても良い。前記焼成の排ガスを不
活性ガスとして使用する場合には、前記排気中に若干の
酸素が含まれても、ドングリ活性炭の製造には大きな問
題は生じないと考えられる。
【0014】前記ドングリ活性炭の粉成分を利用する場
合には、炭化処理したものをスクリーンを用いて分離
し、65メッシュのスクリーンを通過する粉成分(0.
2mm以下)を、試験用の吸着材料として使用する。もち
ろん、ドングリの活性炭を粉砕処理しながら粉状のもの
を順次除去し、粒がなくなるまで処理することにより、
前記0.2mmのスクリーンを通過する粉状のものとして
全部を処理することも、必要に応じて容易になし得るこ
とである。
【0015】前記吸着材料を粒状のもので用いる場合に
は、ドングリの粉を加熱処理して活性化させた後で、例
えば、水ガラスのような固化剤成分を混合して造粒し、
3〜10mmの径を有する球状または偏平な粒に成形する
ことや、径が5〜10mmで任意の長さのものとして成形
することができる。前記ドングリ活性炭の造粒を行う場
合には、前記活性炭の粉に固化材成分として珪藻土を1
0%程度と水分を添加して造粒し、所定の温度で所定の
時間焼成したものを用いることができる。また、前記粒
状のドングリ活性炭を形成する場合には、乾燥させたド
ングリを荒く粉砕してから炭化処理を行い、炭化された
ものに固化材成分を混入して所定の大きさの粒として造
粒することができる。
【0016】前記固化材として用いる材料は、吸着材料
の粒から離間させないように保持できる性質を有するも
のを用いるが、水ガラスに限られることはなく、その他
に、溶液中に長時間混入したままの状態で、粒の形状を
維持できるものであれば、市販されている任意の固化剤
成分を用いることができる。また、前記固化剤成分は、
ドングリ活性炭の微粒子の隙間を埋めることが少なく、
その微粒子自体が保有する微小空隙を塞ぐことが少ない
ような性質を持つものが適している。
【0017】本実施例に使用するドングリを分析した結
果を表1に示している。
【0018】
【表1】 ドングリ粉末の分析値
【0019】
【実施例1】小規模の装置を用い、前記ドングリ活性炭
による重金属イオン吸着除去の効果を測定するために、
図2のフローチャートに示すようにして行った。前記図
1において、重金属イオンの1種類を単独に含む溶液ま
たは混合溶液に対して、粉末状のドングリ活性炭を用い
る場合には、ドングリ活性炭を添加し(工程a−1)、
混合溶液を攪拌しながらドングリ活性炭に重金属イオン
を吸着させる処理を行う(工程a−2)。そして、所定
の時間が経過してから、ろ過装置を用いてろ過(工程a
−3)して、残渣とろ液に分離する。
【0020】前記a−3の工程で得られる残渣(a−
4)は、そのほとんどが重金属イオン成分を吸着したド
ングリ活性炭であるから、それを回収して酸溶液で洗浄
し、吸着した重金属イオン成分を分離してから、残った
ドングリ活性炭成分を不活性ガスの雰囲気の中で加熱し
て、再び活性化を付与する処理(a−5)を行うことに
より、繰り返して使用することができる。また、工程a
−6で得られたろ過液は、重金属イオンが残っているも
のであるから、その液中に残っている重金属イオン成分
を原子吸光光度計を用いて分析(a−7)することによ
り、ドングリ活性炭に吸着されずに残った重金属イオン
の分量のデータを得ることができる。なお、以下に示す
実験例において、溶液のpH値は、処理作業の後での溶液
の再使用または放流を考慮して、弱酸性ないし中性付近
のpH領域で行う。
【0021】ドングリ活性炭の粒状に加工したものを用
いる場合には、前記図2のフローシートに示すように、
重金属イオンを含む溶液に対して粒状化した吸着材料を
添加(b−1)し、立型式上向流通法の装置を用いて溶
液を一定時間空気を導入して攪拌後(b−2)、工程b
−3で固液分離を行い、固形物(b−4)と溶液(b−
6)に分離する。前記分離された固形物は重金属イオン
を吸着しているものであるから、それを回収して酸溶液
で洗浄し、吸着した重金属イオン成分を分離してから、
残ったドングリ活性炭成分を不活性ガスの雰囲気の中で
加熱して、再び活性化を付与する処理(b−5)を行う
ことにより、繰り返して使用することができる。また、
分離された溶液には吸着材料に吸着されずに残留する重
金属イオン成分があるので、その量を分析(b−7)し
て、データを得るようにする。
【0022】前記表1に示すドングリのあく抜き処理し
たものと、あく抜きしないものとをそれぞれ用いてドン
グリ活性炭を作成したものと、粉末処理のみを行い炭化
処理しない生のドングリとの3種類を用いて、重金属の
除去性能を確認する試験を行った結果を図3のグラフに
示している。この図2のグラフにおいて、横軸にドング
リ活性炭の添加量(g/リットル)を示し、縦軸に除去
率を示しているもので、Zn2+イオンが50ppm 含まれ
る溶液を対象として行ったものであるが、生のドングリ
の場合には、添加量を増加させても亜鉛イオンの吸着除
去効果が非常に少ないものであることが判明した。これ
に対して、ドングリ活性炭においては、あく抜きを行っ
たものが、あく抜きをしないものに比較して吸着除去効
果が低下すること、が判明した。これは、ドングリのあ
く抜き処理を行ったことにより、ドングリ活性炭の吸着
作用に影響するエキス分がいくらか分解されたためとも
考えられる。つまり、本実施例では、吸着材料の原料と
してドングリを粉砕したものを対象として炭化処理を行
い、活性炭として作成したものが、良好な結果を得るた
めの条件となると考える。
【0023】
【実施例2】前記実施例1に示した工程を経て、重金属
イオンのうちZn(亜鉛)イオンとCd(カドミウム)
イオンをそれぞれ単独に含む溶液を用いて、ドングリ活
性炭による吸着除去の効果を測定した。その結果を表2
に示すが、この実施例においては、Zn成分は50mg/
リットル、Cd成分は10mg/リットルの濃度のものを
用いており、重金属イオンを含む溶液にドングリ活性炭
を5〜10g/リットルの比率で混入し、その溶液のpH
の調整を行って、重金属イオンの吸着除去率を求めた。
そして、市販の活性炭とドングリの粉末および、ドング
リ活性炭を使用する場合の比較を行って、表2に示すよ
うな実験データを得ることができた。
【0024】前記表2に見られるように、ドングリの生
の粉末をそのまま使用して、重金属イオンの除去を行っ
た場合には、市販の活性炭と比較しても大きな効果は見
られない。しかし、ドングリを活性化したドングリ活性
炭を使用する場合には、Znイオンと、Cdイオンをそ
れぞれ単独に含む溶液に対しては、重金属イオンの除去
効果が著しく向上することが認められる。
【0025】
【表2】 重金属イオンの単独溶液の場合 前記実施例1に示した工程を経て、重金属イオンのうち
Zn(亜鉛)イオンとCd(カドミウム)イオンを混合
した溶液を用いて、ドングリ活性炭による吸着除去の効
果を測定した。その結果を表3に示すが、この実施例に
おいては、1リットル中にZn成分を50mg、Cd成分
を10mg含む試料を作成し、ドングリ活性炭を1g/リ
ットルの比率で混入し、その溶液のpHの調整を行って、
重金属イオンの吸着除去率を求めた。そして、市販の活
性炭とドングリの粉末および、ドングリ活性炭を使用す
る場合の比較を行って、表3に示すようなデータを得
た。前記表3に見られるように、ドングリの粉末をその
まま使用して、重金属イオンの除去を行った場合には、
市販の活性炭と比較しても大きな効果は見られないが、
ドングリを活性化したドングリ活性炭を使用する場合に
は、ZnイオンとCdイオンとを混合した溶液に対して
も、重金属イオンの除去効果が著しく向上することが認
められる。
【0026】
【表3】 ZnとCdの混合溶液の場合
【0027】
【使用済みのドングリ活性炭の再賦活化処理】前記ドン
グリ活性炭の粉状または粒状のものは、重金属イオンの
吸着分離に使用した後で、酸溶液を用いて洗浄して吸着
した重金属イオン成分を分離してから、乾燥させた後で
残ったドングリ活性炭成分を不活性ガスの雰囲気の中で
加熱して、再び活性を付与することにより、再使用する
ことができる。そして、粉状のドングリ活性炭に含まれ
る微粒子成分を除去してから新しいドングリ活性炭を追
加し、それ等を混合したものを重金属イオンの吸着に使
用する。また、ドングリ活性炭の粒状のものでは、例え
ば、5mmの粒として作成したドングリ活性炭の場合に、
5mmのスクリーンを通過したものは、新しい粉末状のド
ングリ活性炭と固化材成分を混合して、所定の大きさの
粒を作成する。また、前記粒の状態によっては、スクリ
ーンを通過したものを再び粉砕してから造粒工程に戻し
て、新しいドングリ活性炭を混合して造粒することによ
り、繰り返して使用することも可能である。前記再造粒
する際には、前記洗浄した後では、水分が比較的多く残
留しているものであるから、固化材成分として珪藻土を
10%程度を添加することにより、吸着材料に残留する
水分を用いて造粒し、400℃で30分間焼成して粒状
のドングリ活性炭を再び作成することができる。
【0028】なお、前述した本発明の実施例において
は、ドングリを用いた場合について説明したが、前記ド
ングリは、特定の種類のドングリに限定されるものでは
なく、その他に、栃の実やその他の山に多量に産出され
る木の実類を対象とすることが可能である。そして、任
意の種類の山の木の実を乾燥してから粉砕し、所定の温
度で加熱して活性化処理することにより、吸着材料を作
成することができるものである。
【0029】
【実施例3】図4〜図8に示すグラフは、各種の金属イ
オンを対象として、本実施例に示す粉末状の吸着材料
(ドングリ活性炭)を使用する場合の試験結果を示して
いる。図4のグラフでは、Fe2+、Cd2+、Cu2+、Z
2+、Cr6+の各種の金属イオンを対象として、ドング
リ活性炭の還元粉末を用いた除去試験を行ったもので、
6値クロム以外は10g/リットルの添加量で、85〜
90%の除去効率を得ることができた。また、5g/リ
ットルの溶液中での金属イオン除去率を、前記各種の金
属イオンにおける溶解度積と対比すると、Cd=10
-14 、Fe=10-1 5 、Cu=10-19 、Zn=10
-29 、Zn=10-31 であることから、前記溶解度積の
大きい金属イオン程、吸着除去率が高いことと対比して
いる。
【0030】図5のグラフは、Cu2+イオンと他の金属
イオンの1種とを混合した溶液を対象として、吸着材料
による除去試験を行った結果を示しているもので、Cu
2+イオン100ppm に対して、他の金属イオンを括弧内
に記載する量(ppm )ずつ混合したものを対象としてい
る。なお、このグラフおよび以下に示すグラフにおい
て、(還元)として示すものと、(アク抜き)で示すも
のとの2種類のデータを表示しているが、ドングリ活性
炭のあく抜きをしないものを炭化処理したものの方が良
い結果を示している。また、前記図5のグラフにも見ら
れるように、単独の金属イオンに対する場合に比較し
て、銅イオンの吸着効率が低下することは避けられない
ものであるが、吸着材料を10g/リットル以上添加す
ることにより、単独イオンの場合と同様な除去効率を得
ることは可能と考えられる。
【0031】図6のグラフは、Zn2+イオンと他の金属
イオンとを混合した溶液を対象として、Zn2+イオンの
除去に及ぼす影響を示している。また、図7のグラフは
Cd 2+イオンと他の金属イオンとを混合した溶液を対象
として、Cd2+イオンの除去に及ぼす影響を示してい
る。さらに、図8のグラフはCr6+イオンと他の金属イ
オンとを混合した溶液を対象として、Cr6+イオンの除
去に及ぼす影響を示しているものである。前記図6〜図
8のグラフに見られるように、いずれも単独イオンの場
合よりは吸着除去効率が低下することが示されているも
のであるが、特に、Cr6+イオンの場合は、Fe2+イオ
ンとの混合溶液以外は、除去効率が良い値を示していな
い。
【0032】
【実施例4】図9〜図12に示す各グラフでは、顆粒状
のドングリ活性炭を用いた場合に、Cd2+イオンの除去
効率を示しているものであり、対象とする溶液にはZn
2+イオンを50ppm と、Cd2+イオンを10ppm 混合し
たものを用い、10分間攪拌した場合を示している。図
9、10では亜鉛イオン(Zn2+)の除去効率を示して
おり、図11、12では、カドミウムイオン(Cd2+
の除去効率を示している。前記各グラフでは粉末活性炭
と、顆粒状のドングリ活性炭とを用いて除去効率を比較
したもので、1回目の処理を行った後で吸着材料を除去
し、その残りの液中に再び吸着材料を加えて処理した場
合を示しているものである。
【0033】前記図10、12の各グラフに見られるよ
うに、10分間の攪拌の後で、2時間放置して反応時間
を長く設定する場合には、吸着材料の添加量を50g/
リットルに設定しても、十分な効果を奏することができ
るものとなる。また、一般的な吸着反応の傾向から見
て、攪拌を複数回繰り返すことにより、吸着効率を向上
させることが可能になると考えられるものであり、吸着
材料の使用量を減少させることが可能になるものとも推
定される。なお、前記各実験において、液中に混入した
吸着材料を分離する際に、粉末の場合には、顆粒状のも
のに比較して3〜4倍の時間を必要とするものであり、
作業効率の点から考えると、顆粒状の吸着材料を使用す
る方が良い。前記顆粒状または粒状の吸着材料を使用す
る場合に、液中に混合して攪拌する際に、粒同士が衝突
して破損するという問題があり、吸着材料の粒の機械的
な強度を向上させることが必要となることが判明した。
【0034】
【実施例5】前記ドングリ活性炭を用いて、重金属を含
む廃水の処理を行うために、図13に示すような装置を
用いることができる。この実施例では、処理槽10の内
部に廃水13と吸着材料14とを混入し、下部から空気
を噴出させて攪拌する手段を用いている。前記処理槽1
0の下部には、吸着材料の沈殿を抑制するためのフィル
ター11を設けているが、このフィルター11は、内部
に噴出させる空気の泡を形成させるためにも利用され
る。前記空気供給手段としては、空気供給タンク15か
らバルブ17を設けたエアーパイプ16を配置し、処理
槽10の下部に噴出管18を設けている。そして、必要
に応じて、バルブを開閉して、槽内の液に対する攪拌作
用を行わせるようにして、吸着材料による重金属の吸着
作用を促進させるようにする。また、処理した液は、フ
ィルターを通して固液分離を行い、バルブ12を介して
処理済み液を排出させてから、フィルター11に残った
吸着材料を処理槽の側部に設ける開口等(図示を省略)
を介して取出し、再活性化処理を行ってから再使用に供
給することもできる。
【0035】前記図13のような処理装置は、少量の廃
水の処理に適応させて構成するが、大量の廃水の処理を
行う場合には、図14に示すような処理装置20を構成
することができる。前記図14に示す処理装置20にお
いては、複数の処理槽21、21a、21b……を配置
し、原液タンク25と処理済み液タンク28とに各々接
続している。本実施例の装置においては、処理槽の内部
にはフィルター22……を各々配置しており、前記図1
3の例と同様に、空気供給手段から吹き込まれるエアー
をフィルターを介して小さな気泡とし、処理液の攪拌作
用を行わせるためにも使用する。前記空気供給手段とし
ては、空気供給タンク15からバルブ17を設けたエア
ーパイプ16を配置し、処理槽21の下部に噴出管18
を設けることができる。
【0036】図14の装置20においては、処理槽21
……を大量の処理液を収容可能なものとして構成し、各
処理槽に向けて、指定した処理槽に対するバルブ23を
開いて、原液タンク25から供給パイプ26を介して供
給する。それと同時に、図示を省略した吸着材料供給装
置から、タンクの容量に対応させた吸着材料を供給し
て、槽内でエアーによる攪拌を行って、吸着材料に重金
属を吸着させる処理を行う。なお、1つのタンク内での
処理のために、例えば、2時間を必要とする場合には、
並列させて配置している他のタンクを順次使用して、処
理作業を並列的に行わせる。そして、処理が終了したタ
ンクからは、フィルターを通して固液分離して、処理済
みの液はバルブ24、排水パイプ27を介してタンク2
8に貯留し、バルブ29を開いて排水することも可能で
ある。また、使用済み活性炭は、処理槽に設けた側部の
バルブ等の排出部(図示を省略)を介して抜き取り、吸
着した重金属を除去てから脱水し、再生してから吸着材
料として再び用いることができる。
【0037】前記処理装置20において、処理タンク2
1内で固液分離を行わない場合には、所定の時間経過後
にフィルター22を外してパイプ27を通してタンク2
8に直接排出させる。そして、前記タンク28内で固体
を分離して、分離した液体のみを排水させるようにする
こともできるが、吸着材料として粉状のものを使用する
場合には、処理槽内でフィルターによる分離を行わず
に、処理槽から全部を排出させて、タンク28内で粉体
の分離を行うと、分離作業を容易に行うことが可能にな
る。そして、前述したようにして、処理済み液から分離
した吸着材料は、再活性化処理を行ってから、再使用す
ることができる。なお、前記本実施例に示した装置は、
従来の廃水処理装置と同様に構成することができるもの
であり、吸着材料による重金属の分離のための装置を任
意に構成することができる。さらに、処理槽内部での攪
拌のためには、粉状の吸着材料を使用するものでは、機
械的な攪拌装置を用いても良いが、処理槽内での機構を
簡素化するためには、空気の吹き込みによる攪拌機構を
用いると、効率良く攪拌を行い得て、吸着材料の破損を
少なくすることができる。
【0038】
【発明の効果】本発明のドングリ類を加工したドングリ
活性炭は、前述したようにして作成するものであり、自
然に多量に産出されるドングリ等の山の木の実を原料と
しているために、原料の入手が容易であり、ドングリ活
性炭の加工も容易に行うことができる。そして、特に重
金属イオンに対する吸着性能を良好に発揮可能であり、
還元処理を複数回繰り返してもその重金属イオン吸着効
果を発揮可能である。また、ドングリ活性炭を重金属イ
オンの吸着除去に使用する場合には、市販の活性炭に比
較して大きな効果を奏するものであるから、除去作業に
多くの薬剤等を使用していたZnイオンや、Cdイオン
等のような成分を含む工業廃水に対しても、容易に重金
属イオンの除去処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ドングリ活性炭の製造法の説明図である。
【図2】 ドングリ活性炭による廃水処理のフローチャ
ートである。
【図3】 ドングリの各種の材料による試験結果を示す
グラフである。
【図4】 各種金属イオンの吸着除去率の関係を示すグ
ラフである。
【図5】 Cu2+イオンと他の金属イオンとの混合物に
おけるCu2+イオンの除去率のグラフである。
【図6】 Zn2+イオンと他の金属イオンとの混合物に
おけるZn2+イオンの除去率のグラフである。
【図7】 Cd2+イオンと他の金属イオンとの混合物に
おけるCd2+イオンの除去率のグラフである。
【図8】 Cr6+イオンと他の金属イオンとの混合物に
おけるCr6+イオンの除去率のグラフである。
【図9】 顆粒状ドングリ活性炭による亜鉛の除去率の
グラフである。
【図10】 顆粒状ドングリ活性炭を用い、2時間放置
の場合の除去率のグラフである。
【図11】 顆粒状ドングリ活性炭による亜鉛の除去率
のグラフである。
【図12】 顆粒状ドングリ活性炭を用い、2時間放置
の場合の除去率のグラフである。
【図13】 廃水処理装置の説明図である。
【図14】 廃水処理装置の別の例の説明図である。
フロントページの続き (72)発明者 中沢 廣 岩手県盛岡市北松園1−16−2 (72)発明者 工藤 靖夫 岩手県紫波郡紫波町中島字桜田1−71

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱皮したドングリ類の実を破砕し、 前記ドングリ類の破砕したものを不活性ガスの雰囲気の
    中で200℃ないし800℃で加熱して活性を付与して
    製造することを特徴とするドングリ類を加工した吸着材
    料。
  2. 【請求項2】 脱皮したドングリ類の実を破砕する工程
    と、 前記ドングリ類の破砕物を不活性ガスの雰囲気の中で2
    00℃で2時間の加熱を行って活性を付与する工程、 前記活性化したドングリ類の破砕物から所定の粒度以上
    のものを分離する工程とを経て製造することを特徴とす
    るドングリ類を加工した吸着材料の製造法。
  3. 【請求項3】 前記ドングリ類の粉を不活性ガスの雰囲
    気の中で800℃で30分の加熱を行い、前記ドングリ
    類の粉に活性を付与することを特徴とする請求項1また
    は2に記載のドングリ類を加工した吸着材料の製造法。
  4. 【請求項4】 前記活性化したドングリ類の粉を分離し
    て、吸着材料として用いることを特徴とする請求項1に
    記載のドングリ類を加工した吸着材料。
  5. 【請求項5】 前記活性化したドングリ類と固着材成分
    とを混合して、造粒機で一定のサイズの粒状のものに成
    形し、吸着材料として用いることを特徴とする請求項1
    に記載のドングリ類を加工した吸着材料。
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