JPH1194725A - 練土の可塑性測定方法 - Google Patents

練土の可塑性測定方法

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JPH1194725A
JPH1194725A JP26817797A JP26817797A JPH1194725A JP H1194725 A JPH1194725 A JP H1194725A JP 26817797 A JP26817797 A JP 26817797A JP 26817797 A JP26817797 A JP 26817797A JP H1194725 A JPH1194725 A JP H1194725A
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Kiichi Oda
喜一 小田
Saburo Sano
三郎 佐野
Takumi Tomono
巧 伴野
Kenta Oguri
賢太 小栗
Hideji Kawai
秀治 川合
Yuji Nomura
祐二 野村
Akira Ono
晃 小野
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CERAMICS SUIKA SOSEIKEI GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水と粘土等固形分との混合材である練土の可塑
性を定量的且つ正しく求め得る練土の可塑性測定方法を
提供する。 【解決手段】シリンダ室10と、キャピラリー14と、
ピストン16とを有する毛細管型粘度計を用いて練土の
押出しを行い、その際の測定押出圧力と押出速度及びキ
ャピラリー寸法とにより剪断応力と剪断速度とを求める
に際し、ピストン16によりシリンダ室10を通じてキ
ャピラリー14内に加えられる押出圧力の圧力損失分を
キャピラリー管長補正して剪断応力を求め、更に様々に
練土の含水率を変化させた下でそれら剪断速度と剪断応
力との関係を求めて、高剪断速度域における剪断応力の
変化勾配を流動性(粘度)として、また剪断速度がゼロ
ないし近傍値での剪断応力を保形性として求め、それら
流動性と保形性とにより練土の可塑性を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は練土の可塑性測定
方法に関し、詳しくは毛細管型粘度計を用いた練土の可
塑性測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】陶磁器
製品その他のセラミックス製品の原料としての練土の可
塑性は、押出成形等の成形加工を行う際の加工性,成形
性の指標となるもので、従来その可塑性を測定する方法
として各種の方法が実施されている。
【0003】図11に示すペッファーコルン試験もその
1つで、この方法の場合ある重みのプレート200を下
方に置いた所定形状の試料(練土)202に対して一定
距離上方から落下させて試料202を変形させ、その変
形度合いに基づいて試料202の可塑性を求めるといっ
たものである。
【0004】しかしながらこの方法の場合大ざっぱな値
しか求められず、また可塑性の良否を左右する練土の流
動性,保形性については求めることができないといった
問題がある。
【0005】練土の可塑性は、流動性が良く又保形性が
高いほど良好であるとされるが、上記図11に示す測定
方法はそれら流動性,保形性については求めることがで
きず、従って可塑性について正確な判定を行うことが難
しいのである。
【0006】練土の可塑性の測定方法はその他に種々の
方法が従来実施されているが、何れの方法も練土の可塑
性を正確且つ定量的に判定することのできないものであ
った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
課題を解決するためになされたものである。而して請求
項1の練土の可塑性測定方法は、シリンダ室と、該シリ
ンダ室の軸方向一端側に設けたキャピラリーと、該シリ
ンダ室に収容した材料に圧力を加え、該キャピラリーを
通じて外部に押し出すピストンとを有する毛細管型粘度
計を用いて練土の押出しを行い、その際の測定押出圧力
と押出速度及びキャピラリー寸法とにより剪断応力と剪
断速度とを求めるに際し、該ピストンにより該シリンダ
室を通じて該キャピラリー内に加えられる押出圧力の圧
力損失分をキャピラリー管長補正して剪断応力を求め、
更に様々に練土の含水率を変化させた下でそれら剪断速
度と剪断応力との関係を求めて、高剪断速度域での該剪
断速度に対する該剪断応力の変化勾配を流動性として、
また剪断速度がゼロないし近傍値での剪断応力を保形性
として求め、それら流動性と保形性とにより練土の可塑
性を求めることを特徴とする。
【0008】請求項2の練土の可塑性測定方法は、請求
項1において、前記剪断速度が下記式(1)の範囲の特
定値における剪断応力を前記保形性として求めることを
特徴とする。
【0009】
【数3】
【0010】請求項3の練土の可塑性測定方法は、請求
項1,2の何れかにおいて、前記剪断速度が下記式
(2)の範囲における剪断応力の変化勾配を前記流動性
として求めることを特徴とする。
【0011】
【数4】
【0012】請求項4の練土の可塑性測定方法は、請求
項1,2,3の何れかにおいて、前記ピストンを前記シ
リンダ室に押し込むに際して、その押込速度を高速側か
ら低速側に変化させて前記押出速度を変化させ、その際
の剪断速度の変化と剪断応力の変化とに基づいて前記流
動性及び保形性を求めることを特徴とする。
【0013】
【作用及び発明の効果】上記のように本発明においては
毛細管型粘度計のシリンダ室に練土を収容し、ピストン
の押込みにより練土をキャピラリーを通じて外部に押し
出し、そのときの測定押出圧力と押出速度及びキャピラ
リー寸法とにより剪断応力と剪断速度とを求める。
【0014】但しただ単にこのようにして剪断応力と剪
断速度とを算出し、それらの関係を求めたとき、その値
はキャピラリーの寸法によって異なったものとなる。
【0015】これは主としてシリンダ室からキャピラリ
ー入口にかけての圧力損失に起因するものであり、そこ
で本発明ではその圧力損失分をキャンセルするようなキ
ャピラリー管長補正を施して真の剪断応力を求め、そし
て様々な剪断速度の下でその真の剪断応力を求めてそれ
ら剪断速度と剪断応力との関係を導き出し、それら剪断
速度と剪断応力との関係から練土の流動性と保形性とを
求め、可塑性の良否を判定する(請求項1)。
【0016】かかる本発明によれば、練土の可塑性を流
動性と保形性との各特性に分けて定量的且つ正確に判定
することができ、従って例えば練土の押出成形を行うに
際してその成形性,加工性を評価するためにいちいち押
出成形実験を行わなくても事前に成形性,加工性を評価
することが可能となる。
【0017】請求項2の方法は、剪断速度が前述の式
(1)の範囲の特定値における剪断応力を保形性として
求めるもので、これによれば練土の保形性をより精度高
く求めることができる。
【0018】請求項3の方法は、剪断速度が前述の式
(2)の範囲における剪断応力の変化勾配を流動性とし
て求めるもので、これによれば、練土の流動性をより精
度高く求めることができる。
【0019】ところで上記毛細管型粘度計は従来プラス
チック材料(溶融ポリマー)の粘度の測定に用いられて
いる。しかしながら溶融ポリマーは均一系と考えられる
のに対し、練土は水と粘土等との混合物であり、従って
練土に圧力をかけると圧搾による水の搾り出し現象がお
き、水と粘土等固形分が分離する現象を起してしまい、
測定中に練土自体の状態が変化してしまう。従って練土
自体の状態の変化を抑制するようにして測定を行うこと
が、可塑性を正しく求める上において必要である。
【0020】而して請求項4に従ってピストンをシリン
ダ室に押し込む際の押込速度を高速側から低速側に変化
させて押出速度を変化させ、そして押出速度ごとに押出
口(キャピラリー)から出てくる練土の状態とそのとき
の含水率を測定し、搾り出し現象の有無を判断したとこ
ろ、圧搾による水の搾り出し現象、即ち測定中の練土自
体の状態変化を良好に抑制できることを確認した。従っ
て請求項3の方法に従って練土の可塑性を測定した場
合、より信頼性の高い可塑性の測定値を得ることができ
る。
【0021】
【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて以下に
詳しく説明する。図1において、10はシリンダ12の
内部に形成されたシリンダ室で、そのシリンダ室10の
軸方向一端部にキャピラリー14が設けてある。
【0022】16はシリンダ室10への押込みによりシ
リンダ室10内部に収容した試料18をキャピラリー1
4を通じて外部に押し出すピストンである。尚20は圧
力センサであって、ここではシリンダ室10の末端部の
圧力を測定するようになっている。
【0023】本方法では、試料としての練土18をシリ
ンダ室10内に空気が入らないように押し込め、その状
態でピストン16をシリンダ室10内に押し込んで練土
18をキャピラリー14から押し出す。そのときの押出
圧力をシリンダ室10の出口にある圧力センサ20で測
定する。
【0024】このときの測定押出圧力をP,押出流量を
Qとすると見掛けの剪断応力τw,見掛けの剪断速度γ
wは次のようになる(式(3),式(4))。 τw=Pr/2L ・・・(3) γw=4Q/πr3・・・(4) 但しLはキャピラリー長であり、rはキャピラリー半径
である。
【0025】ところでこの毛細管型粘度計の場合、シリ
ンダ室10出口からキャピラリー14入口にかけての部
分で圧力損失を生じるために、実際の測定押出圧力Pと
実際にキャピラリー14内部に作用する圧力とでは等し
くならない。
【0026】これに起因してキャピラリー寸法、例えば
キャピラリー長を変えて測定を行うと、各キャピラリー
長ごとにτwはそれぞれ異なった値となる。
【0027】そこで本方法では、その圧力損失分だけキ
ャピラリー管長補正し、剪断応力の値を補正する。この
補正は次のようにして行う。即ち、図2(A)に示して
いるようにキャピラリー寸法及び押出流量(剪断速度)
を様々に変えてそのときのPを測定し、そして横軸にL
/rを、また縦軸にPを取って測定値をプロットし、L
/rとPとの関係直線a,b,c,d,eを各剪断速度
ごとに求める。尚、剪断速度はa→eにかけて遅→速の
関係である。
【0028】このとき、図に示しているように各関係直
線a,b,c,d,eと横軸L/rとの交点は一点に収
束せず、各々別々の値となる。これら各関係直線a,
b,c,d,eと縦軸とのずれは上記圧力損失に起因す
るものであり、そのずれの大きさは各関係直線a〜eご
とに異なったものとなる。即ち剪断速度が変化すること
によって、そのずれの量Ecは異なった値となる。
【0029】そこで図2(B)に示しているように横軸
に剪断速度を、また縦軸にEcを取って剪断速度とEcと
の関係を求める。そしてこのようにして求めたEcを補
正係数として次式(式(5))により真の剪断応力τを
求める。 τ=Pr/2(L+Ec・r)・・・(5)
【0030】この補正は次のような意味を有するもので
ある。即ち上記圧力損失の影響を除くため、見掛け上キ
ャピラリー14がシリンダ室10内部までより深く入り
込んだものと考えてキャピラリー長を補正(管長補正)
し、これを用いて剪断応力τを求めるのである。
【0031】図3,図4,図5は三種類の練土X,Y,
Zについて、各種押出速度及び各種含水率の下で上記毛
細管型粘度計を用いて押出試験し、そして剪断速度及び
剪断応力τを求めてそれらの関係を表したものである。
尚比較のために上記管長補正を施していないものについ
ても併せて示してある。但しここではピストン16をシ
リンダ室10に押し込むに際して高速側から低速側へと
押込速度を変化させつつ押出試験を行った。図中F−S
の記号はこのことを表している。
【0032】図3,図4,図5に示しているように、練
土X,Y,Zの何れも補正前においてはキャピラリー長
が異なると剪断速度と剪断応力との関係が異なったもの
となるのに対して、補正後においてはキャピラリー長の
大小に拘らず何れもほぼ同一の曲線に収束して来ること
が分かる。尚、図中の35.8mass%,29.2mass%
・・・等の数値は練土の含水率を表している。
【0033】さて、練土における可塑性は外力を加えた
ときの流動性と外力を加えていないときの保形性の2つ
の特性にて評価することができ、而してその流動性(粘
度)は、図6に示しているように高剪断速度域では、剪
断速度と剪断応力との関係がほぼ直線的になっており、
そのときの直線の勾配として求めることができる。
【0034】また保形性は、剪断速度が実質上ゼロのと
きの剪断応力の大きさとして求めることができる。但し
剪断応力ゼロのときの値は測定上ないし計算上バラツキ
が大きく、そこで本法では剪断速度が0.76/Sのと
きの剪断応力をもって保形性とした。
【0035】そして図3,図4,図5の補正後の剪断速
度と剪断応力との関係曲線から、各練土X,Y,Zにつ
いて上記保形性及び流動性(粘度)を求めたところ、図
7及び図8の通りとなった。
【0036】図9は上記のようにして求めた保形性と流
動性との関係を各練土X,Y,Zについて表したもの
で、この図9の結果から各練土X,Y,Zともに保形性
と流動性との関係が直線的な関係になっていることが分
かる。換言すれば、この方法により各練土について保形
性及び流動性を正確に求めることができる。
【0037】そして本測定方法の結果では、練土X及び
Yについては保形性が大きい割りには粘性が小さく、即
ち流動性が高く、可塑性に優れた練土であるということ
ができる。一方練土Zは、保形性が小さい割りに流動性
が低く、可塑性に劣った練土であるということができ
る。
【0038】尚、図10に、ピストン16の押込速度を
上記実施例とは逆に低速側から高速側に変化させたとき
の測定結果を表しているが、この結果では、ピストン1
6の押込速度を高速側から低速側に変化させたときの対
応する本実施例の図5のような良好な結果が得られてい
ない。
【0039】このことから、ピストン16の押込速度を
高速側から低速側に変化させつつ押出試験を行うことに
よって、練土の持つ特異性、即ち圧搾による練土中の水
の搾り出し現象を抑制でき、水と粘土等との混合物から
成る練土をあたかも均一系の材料として扱うことがで
き、可塑性を正確に求め得ることが分かる。
【0040】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において種々を加えた態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例方法で用いた毛細管型粘度計の
図である。
【図2】同実施例において剪断応力を補正する際の補正
係数の求め方の説明図である。
【図3】同実施例において練土Xについて得られた剪断
速度と剪断応力との関係を表す図である。
【図4】同実施例において練土Yについて得られた剪断
速度と剪断応力との関係を表す図である。
【図5】同じ実施例において練土Zについて得られた剪
断速度と剪断応力との関係を表す図である。
【図6】図3ないし図5の結果に基づいて練土の保形性
と流動性を求める方法の説明図である。
【図7】図3ないし図5の結果に基づいて求めた保形性
と練土の含水率との関係を表す図である。
【図8】図3ないし図5の結果に基づいて求めた練土の
流動性と含水率との関係を表す図である。
【図9】図7及び図8の結果に基づいて求めた各練土の
保形性と流動性との関係を表す図である。
【図10】ピストンの押込速度を低速側から高速側に変
化させたときに得られる図5に相当する図である。
【図11】練土の可塑性の従来の測定方法の一例を示す
図である。
【符号の説明】
10 シリンダ室 12 シリンダ 14 キャピラリー 16 ピストン 18 試料(練土) 20 圧力センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小田 喜一 愛知県名古屋市千種区千代ヶ丘5 コミュ ニタスS−715 (72)発明者 佐野 三郎 愛知県名古屋市千種区北千種3−2−3, 15−24 (72)発明者 伴野 巧 愛知県名古屋市北区八千代町2−109,八 千代寮103 (72)発明者 小栗 賢太 愛知県名古屋市東区砂田橋3−2,103− 1206 (72)発明者 川合 秀治 愛知県半田市瑞穂町2−3−22,イースト タウン206号室 (72)発明者 野村 祐二 愛知県名古屋市北区金城2−1−11,コー ポ若園E号 (72)発明者 小野 晃 愛知県名古屋市北区光音寺町1−66,エス テート弦四路306号室

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ室と、該シリンダ室の軸方向一
    端側に設けたキャピラリーと、該シリンダ室に収容した
    材料に圧力を加え、該キャピラリーを通じて外部に押し
    出すピストンとを有する毛細管型粘度計を用いて練土の
    押出しを行い、その際の測定押出圧力と押出速度及びキ
    ャピラリー寸法とにより剪断応力と剪断速度とを求める
    に際し、該ピストンにより該シリンダ室を通じて該キャ
    ピラリー内に加えられる押出圧力の圧力損失分をキャピ
    ラリー管長補正して剪断応力を求め、更に様々に練土の
    含水率を変化させた下でそれら剪断速度と剪断応力との
    関係を求めて、高剪断速度域での該剪断速度に対する該
    剪断応力の変化勾配を流動性として、また剪断速度がゼ
    ロないし近傍値での剪断応力を保形性として求め、それ
    ら流動性と保形性とにより練土の可塑性を求めることを
    特徴とする練土の可塑性測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記剪断速度が下記
    式(1)の範囲の特定値における剪断応力を前記保形性
    として求めることを特徴とする練土の可塑性測定方法。 【数1】
  3. 【請求項3】 請求項1,2の何れかにおいて、前記剪
    断速度が下記式(2)の範囲における剪断応力の変化勾
    配を前記流動性として求めることを特徴とする練土の可
    塑性測定方法。 【数2】
  4. 【請求項4】 請求項1,2,3の何れかにおいて、前
    記ピストンを前記シリンダ室に押し込むに際して、その
    押込速度を高速側から低速側に変化させて前記押出速度
    を変化させ、その際の剪断速度の変化と剪断応力の変化
    とに基づいて前記流動性及び保形性を求めることを特徴
    とする練土の可塑性測定方法。
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