JPH1193068A - 防しわ性蛋白質繊維構造物の製造方法 - Google Patents
防しわ性蛋白質繊維構造物の製造方法Info
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Abstract
が増加したり、高湿度条件下における吸湿性が低下した
りする等、蛋白質繊維本来の性質を損なうことなく、更
には安全性に支障をきたすこともなく、蛋白質繊維構造
物に対して優れた防しわ性が付与されるようにする。 【構成】蛋白質繊維構造物の分子間及び/又は分子内に
ジスルフィド結合を有する架橋を導入して架橋数を増加
させた防しわ性蛋白質繊維構造物を得るようにし、また
この防しわ性蛋白質繊維構造物を得るにあたり、蛋白質
繊維構造物に架橋性のスペーサーを介してチオール基を
導入し、このチオール基を結合させて、蛋白質繊維構造
物の分子間及び/又は分子内にジスルフィド結合を有す
る架橋を導入して架橋を増加させるようにした。
Description
白質繊維で構成された蛋白質繊維構造物における防しわ
性を向上させた防しわ性蛋白質繊維構造物及びその製造
方法に関するものである。
繊維及びその製品について、その防しわ性を向上させる
ための研究が行われている。
製品からなる蛋白質繊維構造物に対して防しわ性を付与
する防しわ加工法としては、従来より、以下に示すよう
な物理的方法と化学的方法とが開発されている。
白質繊維に本来備わっている性質、すなわちエイジン
グ、アニーリング現象を利用したものであり、高圧デカ
タイジング、真空オートクレープ等を用いて蛋白質繊維
構造物をセットし、これにより蛋白質繊維構造物に防し
わ性を付与する方法が一般に使用されている。
を付与した場合、この蛋白質繊維構造物をスチームプレ
スしたり、水の中に入れたりすると、防しわ性が容易に
失われてしまい、蛋白質繊維構造物に対して長続きのす
る十分な防しわ性を付与することができなかった。
物を蛋白質繊維構造物内に導入する方法と蛋白質繊維構
造物に樹脂加工等を行い、蛋白質繊維構造物の構造を樹
脂等で安定化させる方法とが一般に知られている。
ルキー化合物としては、ニンヒドリン、ベンゾキノン、
フェニルイソシアネート、タンニン酸、ミッチンFF等
が、用いられており、これらの化合物によって蛋白質繊
維構造物に防しわ性を付与した場合、物理的方法に比べ
て長続きのする防しわ性が付与されるが、このようなバ
ルキー化合物の導入によっては、80%RH以上の高湿
度において吸湿性が低下したり、蛋白質繊維構造物の重
量が増加するといった問題点が指摘されている(J.
D.Leeder,J.A.Ass;Text.Che
m.Color.,3,193(1971−8),繊維
加工,24,343(1972))。
酢酸第2水銀、重クロム酸カリウムを用いた場合、蛋白
質繊維構造物に優れた防しわ性が付与されるが、これら
の化合物を用いた場合、安全性に問題があったり、蛋白
質繊維構造物が着色される等の問題があり、どちらも実
用化されていない。
う場合の加工剤としては、一般にトルエンジイソシアネ
ート、ピロガロール/ホルムアルデヒド樹脂等が用いら
れており、これらの加工剤を用いて蛋白質繊維構造物に
防しわ性を付与した場合、蛋白質繊維構造物に有効な防
しわ性が付与されるが、このような樹脂加工により、蛋
白質繊維構造物の風合いが損なわれたり、蛋白質繊維構
造物の重量が増加する等の問題点が指摘されている。
やグリオキザール等の架橋性の加工剤を用いて、蛋白質
繊維構造物に防しわ性を付与することを試みた研究例も
報告されているが、この方法によっても蛋白質繊維構造
物に対して十分な防しわ性が得られていない(J.D.
Leeder,J.A.Ass;Text.Chem.
Color.,3,193(1971−8),繊維加
工,24,343(1972))。
せた蛋白質繊維構造物の防しわ加工法の研究も報告され
ており、アニーリング効果を安定させるために、蛋白質
繊維構造物をレゾルシノール、メラミン、モノメチロー
ルメラミンで前処理した後、パラホルムアルデヒドの存
在下においてアニーリングして、蛋白質繊維構造物に防
しわ性を付与することが提案されている。
性を付与した場合、蛋白質繊維構造物に有効な防しわ性
が付与されるようになるが、蛋白質繊維構造物における
引張強度や摩擦強度が低下して、風合いが損なわれると
いう問題点が指摘されている(改森道信;染色工業,4
1(No.6),289−303(1993))。
する方法として、蛋白質繊維構造物にビニル系モノマ
ー、メチル置換スチレン誘導体等を用いてグラフト重合
する方法、エポキシ化合物をアルカリ金属触媒下で含浸
させ、マイクロ波照射処理する方法、あるいは羊毛ケラ
チン、絹フィブロイン、コラーゲン等の誘導体を吸着さ
せる方法等も提案されているが、蛋白質繊維本来の性質
を損なうことなく、防しわ性を向上させるといった効果
は得られてないのが現状である。
等の蛋白質繊維で構成された蛋白質繊維構造物に防しわ
性を付与する場合における上記のような色々な問題を解
決することを課題とするものである。
造物に防しわ性を付与するにあたり、蛋白質繊維本来の
性質を変えることなく、具体的には、蛋白質繊維の風合
いや色相を変化させず、またその重量が増加したり、8
0%RH以上の高湿度条件下における吸湿性が低下した
りすることなく、更には、安全性に支障をきたすことな
く、蛋白質繊維構造物に対して優れた防しわ性が付与さ
れるようにすることを課題とするものである。
性蛋白質繊維構造物及びその製造方法においては、上記
のような課題を解決するため、蛋白質繊維構造物に架橋
性のスペーサーを介してチオール基を導入した後、この
蛋白質繊維構造物を酸化処理して、この蛋白質繊維構造
物の分子間及び/又は分子内にジスルフィド結合を有す
る架橋を導入させるようにしたのである。
を以下に詳述する。ここで、この発明における蛋白質繊
維構造物は、羊毛、モヘヤ、カシミヤ、アルパカ等の獣
毛繊維、家蚕、野蚕等の絹繊維、またはこれらの繊維か
ら得られる毛糸、絹糸、あるいはこれらの繊維または糸
から得られる織物、編物、不織布等、更には他の繊維、
例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊
維、セルロース繊維、麻繊維等との混紡品や交編織品、
交撚品等も含む意味である。
てチオール基を導入する方法において、スペーサーとし
ては、二価性架橋化学薬品等が使用される。
じ反応基を持つホモ二価性化学薬品と異なる反応基を持
つヘテロ二価性化学薬品があるが、中でもアミノ基相互
間を架橋させる架橋化学薬品を使用するのが好ましい。
としては、ジメチルスクシンイミデート、ジメチルアジ
ピンイミデート等のアルキルジイミデート類、酒石酸ジ
アジド等のアシルアジド類、ジスクシンイミジルスペレ
ート、ジスクシンイミジルタルタレート、ジチオビス
(スクシンイミジルプロピオネート)等のN−ヒドロキ
シスクシンイミドエステル類、キシレン−m−ジイソシ
アネート等のイソシアネート類、1,5−ジフルオロ−
2,4−ジニトロベンゼン等のアリールジハライド類、
グルタルアルデヒド等のジアルデヒド類などがある。
質繊維中のアミノ基にスペーサーを導入させ、その後、
必要であれば、水洗等により未反応のチオール基導入試
薬を取り除いて乾燥させる。
を導入する。チオール基を持つ化合物としては、用いた
二価性架橋化学薬品にもよるが、アミノ基相互間を架橋
させる架橋化学薬品を用いた場合、L−システイン等が
好ましい。次いで、上記蛋白質繊維構造物に過酸化水素
等の酸化剤を噴霧あるいは塗布したり、またスチーミン
グ処理して、これを酸化させた後、この蛋白質繊維構造
物を自然乾燥、或は強制乾燥させる。
導入された大部分のチオール基がジスルフィド結合を形
成し、最終的に蛋白質繊維構造物に三次元の分子間架橋
が多数導入され、これにより蛋白質繊維構造物における
防しわ性が向上される。
すると共に、比較例のものと比較して、この発明の実施
例の方が防しわ性の点で優れているということを明らか
にする。但し、この発明は以下に示す実施例に限定され
るものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲で適
宜変更して実施することができる。
として、羊毛繊維で構成された布帛を用い、この羊毛繊
維の布帛を、グルタルアルデヒドを1重量%含有する
0.1Mりん酸緩衝溶液(pH7)(0.1%トライト
ンX100含有)中に浴比54倍の割合で浸漬させ、振
とうを加えながら、この羊毛繊維の布帛を50℃の下で
2時間反応させて、羊毛繊維にスペーサーを導入させた
後、この羊毛繊維の布帛を水洗して、未反応の試薬を取
り除いた。
L−システイン水溶液(0.1%トライトンX100含
有)中に浸漬させ、室温で30分反応させて、羊毛繊維
にSH基を導入し、これと同時に羊毛繊維中に存在する
ジスルフィド結合を開裂させた。次いで、ピックアップ
(絞り率)を調製し、スチームアイロンを用いてこの羊
毛繊維の布帛をフラット形状に保持し、、この状態でこ
の羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化して実施例
1の加工布を得た。
として、上記の実施例1と同じ羊毛繊維の布帛を用い、
この羊毛繊維の布帛を、グルタルアルデヒドが含有され
ていない0.1Mりん酸緩衝溶液(pH7)(0.1%
トライトンX100含有)中に浴比54倍の割合で浸漬
させ、上記の実施例1の場合と同様に、振とうを加えな
がら、この羊毛繊維の布帛を50℃の下で2時間反応さ
せ、その後、これを水洗し、ピックアップ(絞り率)を
調製し、スチームアイロンを用いてこの羊毛繊維の布帛
をフラット形状に保持し、、この状態でこの羊毛繊維の
布帛をスチーミングにより酸化して比較例1の加工布を
得た。
ける防しわ性の評価を行うようにした。
を行うにあたっては、たて糸方向に大きさ15mm×4
0mmの試験片を各加工布から採取し、各試験片を温度
20℃、湿度65%RH下で予め約24時間保存した
後、更に各試験片を恒温恒湿器を用いて、温度30℃、
湿度90%RH下で24時間保存し、試料調整を行い、
次いで、各試験片を折り、この各試験片に対して温度2
0℃、湿度65%RH下において800g荷重を90分
間加えてしわ付けを行い、その後、モンサント型試験器
を用いて30分後の開角度を測定すると共にしわ回復率
を求め、その結果を下記の表1に示した。
を用いて、スペーサーを介してチオール基を導入した
後、この羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化して
ジスルフィド結合させ、ジスルフィド結合による架橋を
増加させた実施例1の加工布は、チオール基を導入させ
なかった比較例1の加工布比べて、開角度が大きくなっ
て、しわ回復率が向上していた。
うにして蛋白質繊維構造物に防しわ性を付与すると、従
来のように、蛋白質繊維の風合いや色相を変化させず、
またその重量が増加したり、80%RH以上の高湿度条
件下における吸湿性が低下したりするということがな
く、更には、安全性に支障をきたすということもなく、
蛋白質繊維構造物に対して優れた防しわ性が付与される
ようになった。
Claims (1)
- 【請求項1】 蛋白質繊維構造物に架橋性のスペーサー
を介してチオール基を導入した後、この蛋白質繊維構造
物を酸化処理して、この蛋白質繊維構造物の分子間及び
/又は分子内にジスルフィド結合を有する架橋を導入さ
れてなることを特徴とする防しわ性蛋白質繊維構造物の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27201597A JP3225009B2 (ja) | 1997-09-17 | 1997-09-17 | 防しわ性蛋白質繊維構造物の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1193068A true JPH1193068A (ja) | 1999-04-06 |
JP3225009B2 JP3225009B2 (ja) | 2001-11-05 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105828879A (zh) * | 2013-12-19 | 2016-08-03 | 宝洁公司 | 用于使纤维材料成形的方法和用于其的处理组合物 |
-
1997
- 1997-09-17 JP JP27201597A patent/JP3225009B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN105828879A (zh) * | 2013-12-19 | 2016-08-03 | 宝洁公司 | 用于使纤维材料成形的方法和用于其的处理组合物 |
JP2017503091A (ja) * | 2013-12-19 | 2017-01-26 | ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー | ファイバー材料を成形するための方法及びそのための処理組成物 |
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---|---|
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