JPH1190214A - 生体物質超薄膜の製造方法 - Google Patents

生体物質超薄膜の製造方法

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JPH1190214A
JPH1190214A JP25383697A JP25383697A JPH1190214A JP H1190214 A JPH1190214 A JP H1190214A JP 25383697 A JP25383697 A JP 25383697A JP 25383697 A JP25383697 A JP 25383697A JP H1190214 A JPH1190214 A JP H1190214A
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thin film
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solid
protein
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Toyoki Kunitake
豊喜 國武
Nobuo Kimizuka
信夫 君塚
Shigenori Fujikawa
茂紀 藤川
Masashi Shimizu
正史 清水
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】蛋白質あるいはウィルスなどの生体物質からな
る薄膜を、多様な固体表面上に容易に形成しうる方法を
開発すること。 【解決手段】ハイドロゲルの表面に、蛋白質などの生体
高分子、脂質膜、ウィルスまたは微生物の水溶液または
水分散液を展開することにより、該ハイドロゲル表面上
に生体高分子、脂質膜、ウィルスまたは微生物からなる
超薄膜を形成し、次いで、この超薄膜被覆ハイドロゲル
を固体表面に接触させることにより、該超薄膜を固体表
面に転写することを特徴とする生体物質超薄膜の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体表面に生体物
質から成る超薄膜を形成するための新規な方法に関す
る。詳しくは、ナノスケールの厚みを有する、蛋白質、
蛋白質集合体、核酸、多糖等の生体高分子、あるいは脂
質膜、ウィルス、微生物から成る生体物質超薄膜を、容
易に形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】蛋白質やウィルスなどに代表される生体
物質の固定化ならびにそれらが集積した薄膜の作成は、
広範囲な応用が期待でき、多くの分野で活発に研究され
ている。たとえば、蛋白質を固体表面に集積固定化する
技術の開発は、バイオセンサー、医療診断材料、抗血栓
材料、血液浄化材料などの医用材料のみならず、固定化
酵素、バイオリアクター、分離膜などの製造において、
極めて重要な技術課題である。また、蛋白質の集合構造
を用いるナノリソグラフィやバイオエレクトロニクス素
子などの製造においても、蛋白質やウィルスを薄膜集積
化する技術が必要不可欠である。
【0003】また、蛋白質などの生体高分子を任意の固
体担体上に集積固定化する技術は、その構造や動的特性
を原子間力顕微鏡やトンネル顕微鏡などの新しい構造評
価技術で研究するために不可欠な技術として模索されて
いる。即ち、この技術の開発は、生体高分子の構造、物
性評価の方法論、また、医療、食品関連産業や環境衛生
の分野において表面改質、抗菌、抗ウィルス性の実現な
どとして、多大な貢献をなすと考えられている。さら
に、固体表面における固定化状態が表面に於ける蛋白質
の活性を決定的に支配することから、固体表面に蛋白質
をナノレベルで組織化する技術が模索されており、固体
表面の酵素活性を制御することは重要な課題となってい
る。
【0004】さらに、ナノレベルで垂直方向に構造制御
された蛋白質から成る薄膜を、任意の担体上に作製する
技術の開発は、高度集積型のバイオセンサーやバイオリ
アクター、薄膜医療材料、分離材料の開発にとり根幹的
な技術課題として探索されている。
【0005】これら多くの技術分野において、生体物質
から薄膜を形成させるプロセスに要求される条件は、構
造がナノレベルで制御された薄膜を、より安価にかつ穏
和な条件下で製造することである。同時に、求められる
生物学的特性を任意に設計することが可能であり、有
機、無機、金属などの人工材料との容易な複合化ができ
ることである。ところが、これらの生体物質は、一般に
それ自体だけでは自己組織性に欠けるために、ナノレベ
ルで制御された組織構造を任意の担体表面に、簡単な方
法で形成させることは困難であった。
【0006】また、生体物質から成る薄膜を製造する手
段として、荷電を有する蛋白質において、反対荷電を有
する基板、あるいはビオチンや金属キレート部位を有す
るチオール化合物を物理吸着させた金表面に、直接的に
吸着せしめる手法(吸着法)、あるいはその表面に蛋白
質と反対荷電を有する高分子電解質をさらに吸着せし
め、さらに蛋白質の吸着を逐次的に繰り返す手法(交互
吸着法)を用いて、分子レベ ルの厚みの蛋白質積層膜
を成長させることが知られている。
【0007】しかしながら、吸着法は、電気的中性の蛋
白質には適用できず、一般的ではない。そして、交互吸
着法においては、高分子電解質とのポリイオンコンプレ
ックス形成に伴い、蛋白質の三次構造の変化にもとづく
活性の低下が生じるおそれがある。
【0008】また、ビオチン−アビジンの組み合わせに
等の特異的結合や、金属キレート部位を有する固定化単
分子膜と蛋白質のヒスチジン残基との配位結合等を利用
して、蛋白質吸着単分子膜を製造する手法も知られてい
る。しかしながら、これらの手法は適用可能な蛋白質の
種類が極めて少なく、電気的中性の蛋白質、ビオチンと
親和性を有しない一般の蛋白質、及びヒスチジン残基を
その表面に有しない蛋白質には適用できない。
【0009】その他、脂質膜を風乾して得られるキャス
トフィルムの層間に、反対の電荷を有する蛋白質をイオ
ン交換的に導入する手法も研究されているが、膜厚を分
子レベルで制御できないことや、脂質との相互作用によ
り蛋白質本来の機能が低下するなどの問題があり、一般
性のある蛋白質固定化技術と成り得ていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上の通り、ナノレベ
ルで膜厚を制御することが可能な、一般的かつ実用的な
生体物質薄膜の製造方法は、現時点では見あたらない。
従来の薄膜製造方法の問題点を考慮すると、新しい薄膜
製造方法に必要とされる条件は、生体物質をその電荷の
有無に拘わらず、様々な固体表面に高密度に集積組織化
させ、ナノレベルで厚み制御された生体物質薄膜を生産
性よく製造することであり、さらに様々な薄膜特性の要
求に随時対応できるよう、薄膜構造をその設計に応じて
制御できることである。
【0011】そこで、本発明は、簡便な操作で、汎用性
があり、精密且つ構造設計が可能な生体物質薄膜の製造
方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、蛋白質、核
酸、多糖、脂質膜、あるいはウィルス等の水溶液または
水分散液をハイドロゲル上に展開すると、これらがゲル
表面に配列化されること、ついで、そのゲル表面に平滑
な固体基板を接触させることによって、該生体物質超薄
膜をかかる固体基板上に転写せしめることができ、ナノ
レベルの厚みを有する超薄膜が形成されること、さら
に、この転写操作を逐次繰り返すことにより、生体高分
子超薄膜を積層化可能であることを見いだし、本発明を
完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、ハイドロゲルの表面
に、生体高分子、脂質膜、ウィルスまたは微生物の水溶
液または水分散液を展開することにより、該ハイドロゲ
ル表面上に生体高分子、脂質膜、ウィルスまたは微生物
からなる超薄膜を形成し、次いで、この超薄膜被覆ハイ
ドロゲルを固体表面に接触させることにより、該超薄膜
を固体表面に転写することを特徴とする生体物質超薄膜
の製造方法である。
【0014】本発明の方法においては、以上の操作によ
り、固体表面にナノメートルのオーダーで膜厚が制御さ
れた均一な生体物質超薄膜を形成させることができる。
このような超薄膜が形成されるのは、以下のような原理
に基づくものと推定される。
【0015】即ち、先ず、ハイドロゲル表面に蛋白質な
どの生体物質の水溶液または水分散液を展開すると、該
生体物質はゲル表面に残るが、媒体である水はゲル内部
への浸透と大気中への蒸発により減少し、それにともな
い生体物質の濃縮がおこる。その際、ゲル表面に物理吸
着した蛋白質は、徐々に集合する結果、高密度に二次元
組織化される。この表面に固体表面を接触せしめると、
生体物質は、ゲル表面に対するよりも固体表面に対する
物理吸着の方が強いために、固体表面をゲル表面から剥
離する際に該固体表面に転写される。その結果、固体表
面に、生体物質から成る超薄膜が形成される。
【0016】また、本発明では、このようにして固体表
面上に形成された生体物質超薄膜上に、さらに同様の方
法により、同種または異種の生体物質超薄膜を少なくと
も一層以上形成させることにより、ナノレベルで厚み制
御された生体物質薄膜を製造することもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において、生体高分子は、
蛋白質、蛋白質集合体、核酸、多糖などがあげられる。
蛋白質としては、金属蛋白質であるフェリチンが代表的
なものであるが、フェレドキシン、カルボニックアンヒ
ドラーゼ、アルコールアンヒドラーゼなど、また、へム
蛋白質であるミオグロビン、シトクロムc、シトクロム
P−450、ペルオキシターゼ、カタラーゼ、スーパー
オキシドジスムターゼ、さらに、カルボキシペプチター
ゼA、サーモリシン、アルカリフォスファターゼ、グル
コースオキシダーゼ、リボヌクレアーゼなどのその他の
酵素蛋白質が制限なく使用される。
【0018】蛋白質集合体としては、ヘモグロビン、コ
ンカナバリンA等が制限なく使用される。
【0019】核酸としては、デオキシリボ核酸(DN
A)、リボ核酸(RNA)などが制限なく使用される。
【0020】多糖としては、アミロース、カルボキシメ
チルセルロース、デキストラン硫酸、カラギーナン、ア
ルギン酸などが制限なく使用される。
【0021】また、本発明において、脂質膜は、ホスフ
ァチジルコリンなど等の生体リン脂質からなる二分子膜
などが制限なく使用される。また、本発明には、合成脂
質から成る膜など生体疑似物質を用いる態様も含まれ
る。
【0022】さらに、本発明では、生体物質として、上
記生体物質の集合体であるウィルスや微生物も使用でき
る。ここで、ウィルスとしては、タバコモザイクウィル
ス(TMV)、バクテリオファージ、インフルエンザウ
ィルスなどが制限なく使用される。
【0023】微生物としては、パン酵母などが制限なく
使用される。
【0024】本発明の方法では、生体物質が水溶性蛋白
質等の水溶性のものであっても、水溶液をハイドロゲル
に展開した際、該生体物質がゲル中に埋没・拡散せず該
ゲル表面で組織化され、良好に超薄膜が形成される。
【0025】本発明において、上記生体物質の水溶液ま
たは水分散液における該生体物質の含有量は特に制限さ
れるものではないが、0.1〜5mg/ml、好ましく
は0.3〜3mg/mlが良好である。これらの生体物
質は、撹拌により十分に溶解または分散させるのが望ま
しい。
【0026】次に、本発明において、ハイドロゲルは、
表面に生体高分子が展開できるものであれば、公知のも
のが特に制限なく採用される。具体的には、アガロー
ス、アルギン酸などの多糖ゲル、またはポリアクリルア
ミド、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリビニルア
ルコールなどの合成系ゲルなどが代表的である。これら
ゲル粒子の水に対する濃度は、10重量%以下、好適に
は0.5〜1重量%が好適である。ゲルの作製法として
アガロースゲルを例にとると、所定量のアガロースに純
水、もしくは塩化カルシウムなどの金属塩を溶解した水
溶液を加え、これを加熱攪拌し、溶液が均一透明になっ
た時点で、溶液を別容器に移し放冷する操作があげられ
る。この操作により、展開基盤となるハイドロゲルが得
られる。
【0027】上記ハイドロゲル表面に、前記生体物質の
水溶液または水分散液を展開するに際し、展開区画は、
ハイドロゲルの平滑面上に、フルオロカーボン製メンブ
レンフィルター等で作成した所定面積の型枠をのせるこ
とにより、厳密に規定することが可能である。展開量
は、ハイドロゲルの展開区画面積に対し0.1〜1ml
/cm2が好適である。展開後は、10〜24時間程
度、4℃〜室温の雰囲気下、に静置することにより、媒
体である水はゲル内部への浸透と大気中への蒸発により
減少し、ゲル表面に良好に生体物質の超薄膜が形成され
る。
【0028】そうして、本発明では、上記により得られ
た超薄膜被覆ハイドロゲルを固体表面に接触させること
により、該超薄膜を固体表面に転写させる。本発明にお
いて、転写基板として使用される固体は、ゲルに接触可
能なものであれば特に限定されず、材質や形状も様々な
ものを選択できる。代表的な材質を例示すれば、グラフ
ァイト(HOPG)、雲母(マイカ)、ガラス、石英
板、水晶発振子や、それらの表面を物理吸着、または化
学吸着により修飾したものなど、きわめて多様である
が、表面が平滑であるものが推奨される。
【0029】使用する生体物質が、荷電を有するものの
場合、上記固体は、表面が反対荷電を有するものを用い
るのが、超薄膜を該固体表面により強固に形成すること
ができ好ましい。固体の物理吸着による表面修飾法とし
ては、例えば、負荷電を有する雲母(マイカ)基板を、
カチオン性高分子電解質あるいはカチオン性合成脂質膜
水溶液中に浸せきして、これらを過剰吸着せしめること
により、正荷電を帯びた基板とする方法をあげることが
できる。また、金蒸着基板に対しては、公知のチオール
化合物による吸着法を適用し、予めメルカプトプロピオ
ン酸等を吸着させて負電荷を表面に生じせしめる方法、
あるいはさらに、カチオン性高分子電解質あるいはカチ
オン性合成脂質膜を物理吸着させて、正荷電を帯びた基
板とする方法をあげることができる。
【0030】雲母、あるいはメルカプトプロピオン酸処
理を施した金表面に物理吸着せしめるカチオン性分子と
しては、ポリエチレンイミン、ポリ(1,1−ジメチル−
3,5−ジメチレン-ピペリジニウム)などのカチオン性高
分子電解質、あるいはアンモニウム親水基を有する合成
脂質からなる膜を用いることができ、これらの水溶液に
劈開した雲母板、またはメルカプトプロピオン酸処理し
た金基板を浸漬することにより、正荷電を帯びた基板と
することができる。
【0031】また、ガラスや石英基板などの、表面に水
酸基を有する基板の場合、シランカップリング剤による
表面処理を施しても良い。シランカップリング剤として
は、例えばアミノブチルトリエトキシシラン、アミノプ
ロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。
【0032】本発明において、超薄膜被覆ハイドロゲル
の上記固体表面への接触は、固体基板自体の重量をかけ
て接触させるだけで充分であるが、接触を完全にするた
めに、ゲル表面の変形を伴わない範囲で圧力をかけるこ
ともできる。また、この場合の接触時間は特に制限され
ず数分以上行えば十分であるが、良好な転写を実現する
ためには30分以上が適当である。
【0033】荷電を有する生体物質をゲル表面に展開
し、次いで、反対荷電を有する高分子電解質を物理吸着
させた固体表面に転写した場合、水洗により過剰吸着し
た生体物質を除去するのが好ましい。それにより、固体
表面に二次元的に組織化された単粒子或いは単分子厚み
の生体物質超薄膜を形成することが可能になる。
【0034】以上により、固体表面上に、生体物質の超
薄膜が形成される。この超薄膜は、通常は、生体物質が
高密度に組織化された膜である。
【0035】さらに、本発明では、上記により形成され
た生体物質超薄膜上に、さらに同様の方法により、同種
の生体物質超薄膜層を任意の数形成させることにより、
ナノレベルで厚み制御された生体物質薄膜を製造するこ
とができる。また、異種の生体物質超薄膜を形成させる
ことにより、様々な薄膜特性を有する複合化された生体
物質薄膜を製造することができる。
【0036】
【発明の効果】本発明の方法は、極めて簡便な手法によ
り、特別な設備・装置を必要とせずとも、高い生産性で
生体物質超薄膜を形成することができる。
【0037】また、本発明の方法は、多様な生体高分子
を分子レベルの精度で積層することができるので、高度
に集積されたバイオリアクターを設計することができ
る。具体的には、多段階の酵素反応を行わせる酵素膜の
製造に用いることができる。また、本発明は 生産コス
トも低いため、各種センサや医用材料設計のための実用
的な基盤技術となり得る。
【0038】更に、本発明の方法によれば、蛋白質やウ
ィルスの組成や積層構造を設計できるため、様々な物質
の分離膜や固定相を製造することができる。また、2種
類以上の蛋白質の積層構造を段階的に変化させること
で、様々な傾斜機能材料を製造することが可能となる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、本発明は、これらの実施例に 限定されるもの
ではない。
【0040】実施例1 アガロースを水に10重量%の濃度で加え加熱撹拌し、
溶液が均一透明になった時点で、溶液を別容器に移し放
冷し、アガロースハイドロゲルを得た。
【0041】次いで、このハイドロゲル表面に、タバコ
モザイクウィルス(以下TMVと略す)水分散液(TM
V含有量:1mg/ml)を0.25ml/cm2展開
した。約12時間室温で静置することにより、溶媒であ
る水をゲル内部への浸透及び大気中への蒸発により消失
させた。
【0042】転写する固体基板としてグラファイト基板
を用い、TMVを展開したハイドロゲル表面に接触せし
めた。12時間経過後、この固体基板をゲルより剥離
し、表面を原子間力顕微鏡により観察した。この原子間
力顕微鏡写真を図1として示した。
【0043】固体基板上には、幅約18nmのTMVが
密に転写され超薄膜が形成されており、また、超薄膜中
においてTMVは一定方向に配向していた。基板表面上
の表面高低差は約20nmであり、この高さはTMVの
直径に対応していた。即ち、ウィルス粒子一個分の厚み
分布しか存在しない、極めて平滑なTMVの超薄膜が得
られていた。
【0044】比較例1 実施例1において使用したTMV水分散液を、直接的に
グラファイト基板上に展開して、風乾させた。基板の表
面を原子間力顕微鏡により観察したところ、その表面の
表面高低差は40nmmもあった。また、TMVの構造
が不明確な部分もあり、全体的に表面の平滑性が実施例
1に比べて劣っていた。
【0045】実施例2 実施例1で用いたものと同じハイドロゲル表面に、フェ
リチン水溶液(1mg/ml)を実施例1と同様にして
アガロースハイドロゲルの表面に展開した。約12時間
室温で静置することにより、溶媒である水をゲル内部へ
の浸透、及び大気中への蒸発により消失させた。
【0046】転写する固体基板として透過型電子顕微鏡
観察用カーボン膜蒸着グリッドを用い、この表面をフェ
リチンを展開したゲル表面に接触させ、約12時間静置
した。その後、この固体基板をゲルより剥離し、表面を
透過型電子顕微鏡により観察した。この透過型電子顕微
鏡写真を図2として示した。
【0047】フェリチンは内部に酸化鉄粒子を含む球状
蛋白質であり、本観察条件下においては、蛋白質内部の
酸化鉄粒子が観察できた。フェリチン内部の酸化鉄粒子
は、高密度に観察され、水溶性タンパク質であるフェリ
チンがカーボン蒸着膜上に単分子膜として良好に転写さ
れていることがわかった。また、固体基板に対するフェ
リチンの被覆率は70%以上であった。
【0048】実施例3 実施例1で用いたものと同じハイドロゲル表面に、脂質
膜水分散液(アンモニウム親水基を有する合成脂質;含
有量10mM)を実施例1と同様にしてアガロースハイ
ドロゲルの表面に展開した。約48時間室温で静置する
ことにより、溶媒である水をゲル内部への浸透、及び大
気中への蒸発により消失させた。
【0049】転写する固体基板として雲母基板を用い、
この表面を脂質膜を展開したゲル表面に接触させ、約2
時間静置した。その後、この固体基板をゲルより剥離
し、100mlの純水で洗浄した。さらに、この固体基
板を純水中(10ml)に30分間浸漬した後、窒素気
流下で乾燥した。得られた固体基板の表面を原子間力顕
微鏡により観察した。この原子間力顕微鏡写真を図3と
して示した。
【0050】固体基板上に厚み3.2〜3.9nmの超
薄膜が全体的に形成されており、該超薄膜は、幅50n
m程度のドメインが二次元的に集積した構造を有してい
た。この膜厚は、脂質の一分子長にほぼ対応することか
ら、脂質単分子膜であろうことが推測された。さらに、
部分的に観察される明るい視野の部分は、脂質単分子膜
との平均高低差が4nmであることから、脂質単分子膜
が二層重なった構造が部分的に生じていると推測され
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、ハイドロゲル上に展開した
TMVをグラファイト基板上に転写して得られた超薄膜
の表面状態を示す原子間力顕微鏡写真である。
【図2】実施例2において、ハイドロゲル上に展開した
フェリチンをカーボン膜上に転写して得られた超薄膜の
表面状態を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例3において、ハイドロゲル上に展開した
脂質膜をカーボン膜上に転写して得られた超薄膜の表面
状態を示す原子間力顕微鏡写真である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハイドロゲルの表面に、生体高分子、脂質
    膜、ウィルスまたは微生物の水溶液または水分散液を展
    開することにより、該ハイドロゲル表面上に生体高分
    子、脂質膜、ウィルスまたは微生物からなる超薄膜を形
    成し、次いで、この超薄膜被覆ハイドロゲルを固体表面
    に接触させることにより、該超薄膜を固体表面に転写す
    ることを特徴とする生体物質超薄膜の製造方法。
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