JPH1183695A - 呼気採取システム及びそれに用いる動物収容室 - Google Patents

呼気採取システム及びそれに用いる動物収容室

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JPH1183695A
JPH1183695A JP23718397A JP23718397A JPH1183695A JP H1183695 A JPH1183695 A JP H1183695A JP 23718397 A JP23718397 A JP 23718397A JP 23718397 A JP23718397 A JP 23718397A JP H1183695 A JPH1183695 A JP H1183695A
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animal
breath
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pump
head
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JP23718397A
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English (en)
Inventor
Tadashi Kono
匡 河野
Gosaburo Hosoi
五三郎 細井
Junko Oshima
淳子 大嶋
Kunihiko Shibata
邦彦 柴田
Asuka Itou
あすか 伊藤
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Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小動物が正常な呼吸条件で排出する呼気を低
い希釈度でかつ連続して安定的に採取することのできる
呼気採取システムを得る。 【解決手段】 一方端側は断面積が次第に小さくなる先
鋭部12とされている動物収容室内に、頭部r側が前記
先鋭部12内に位置するようにして動物Rを収容し、当
該動物の呼気をミスト除去フィルターF及び乾燥器Sを
介して前記ポンプPにより吸引採取し、分析機器Mに送
り込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は呼気採取システム及
びそれに用いる動物収容室に関し、特に、小動物が自然
呼吸の状態で排出する呼気を低い希釈度でかつ連続して
安定的に採取することを可能とする呼気採取システム
と、該システムに用いることのできる動物収容室に関す
る。
【0002】
【従来の技術】呼気、特に、小動物の呼気は、例えば、
代謝実験、薬物動態研究、間接熱量測定等の目的から採
取され、適宜の分析機器での成分分析に供される。通常
の分析に適した呼気採取方法として、人工呼吸法があ
る。人工呼吸法は、人工呼吸器を用いて、麻酔下の動物
に強制的に呼吸させ、気管から呼気そのもの(炭酸ガス
濃度4〜5%)を取り出す方法である。
【0003】他に、デシゲータ等の準密閉容器に動物を
収容しておき、吸引用ポンプで吸引してサンプルガスを
得る方法がある。この場合、得られたサンプルガスを直
接分析に供する場合とトラップ法と組み合わせる場合が
ある。トラップ法とは、サンプルガス中の例えば炭酸ガ
ス等の目的成分をいったん液体に溶解させ濃縮した後、
当該目的成分を取り出す方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】呼気成分の経時変化を
高精度で測定するためには、正常な呼吸条件、すなわ
ち、血液ガスが正常に保たれている条件でのサンプルガ
スが得られることが求められる。また、短い採取間隔で
採取可能であること、できれば一定流量で連続採取でき
ることが望ましい。また、得られるサンプルガスは、希
釈されないほど成分濃度が高いため、ほとんど全ての分
析に有利である。さらに、呼気には相当の水蒸気が含ま
れているため、直接検出器にサンプルガスを導入するこ
とは一般に望ましくなく、除湿されたサンプルガスが得
られることが望ましい。
【0005】人工呼吸を用いる方法は、気管確保のため
に実験動物に手術を施すことから、同じ実験動物を繰り
返し使えない不都合がある。また、そのような手術は、
わずらわしい作業であると同時に高度の技術が求められ
る。さらに、人工呼吸器が高価なこともあり、人工呼吸
を用いる方法はコスト的にも有利とはいえない。
【0006】デシゲータ等の準密閉容器に動物を収容し
ておき吸引ポンプで吸引してサンプルガスを得る方法で
は、通常、呼気は4〜5倍(炭酸ガス濃度として1%程
度)まで希釈されている。従って、微量成分を直接分析
する場合は、ラジオレスピロメトリー法等、高感度の分
析方法が望まれる。この呼気採取方法において、呼吸用
ポンプを調節して、流量を下げることで希釈率の低いサ
ンプルガスを取り出すことが原理的には可能であるが、
この場合、準密閉容器中の換気量が不十分となり、正常
な呼吸条件が保たれない。また、トラップ法と組み合わ
せる場合では、分析成分の濃縮は可能であるが、分析す
るサンプル毎にトラップを交換する必要があるため繁雑
であり、また、高い時間分解能で経時変化を追うことは
難しい。
【0007】除湿されたサンプルガスを得るためには、
従来の呼気採取方法においては、シリカゲル、過塩素酸
マグネシウム、五塩化リン等の乾燥剤を収容した充填カ
ラムを通過させながらサンプルガスを採取することが行
われる。しかし、乾燥剤を充填したカラムは、実用上の
問題がある。先ず、乾燥剤を頻繁に交換することが必要
となるため長時間の連続採取には不向きである。また、
カラムの全長を長くすると流路抵抗が増大してしまい、
さらに、乾燥剤の劣化による目詰まりも起因して流量が
一定な連続採取が困難となる。乾燥剤充填カラムの径を
大きくすることが解決策の一つとして考えられるが、あ
る程度以上の大きな径になると、カラム内での散乱・拡
散が生じてしまい、時間分解能が悪化する。
【0008】本発明の目的は、従来行われている動物か
らの呼気採取方法の持つ上記のような不都合を解消し
た、新規な呼気採取システムを提供することにあり、前
記した呼気採取に求められる諸条件を同時に満足するこ
とができ、かつ、操作に当たっても格別の技術を必要と
せず、普通の実験者が容易に実施することのできる呼気
採取システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
めの本発明による呼気採取するシステムは、動物の呼気
を採取するシステムであって、動物の頭部にセット可能
な呼気採集用の器具を有し、該器具の解放先端側はポン
プを介して適宜の分析機器に接続され、動物の呼気を採
取するに際して、動物の自由な動きをある程度制限した
状態で前記器具内に頭部を配置し、その状態で当該動物
の呼気を採取することを特徴とする(請求項1)。
【0010】本発明による呼気採取するシステムの他の
形態では、動物収容室として、一方端側は空隙の断面積
が次第に小さくなる先鋭部とされているものを用い、該
動物収容室の前記先鋭部解放端側をポンプを介して適宜
の分析機器に接続する(請求項2)。また、他の形態で
は、動物収容室の一方端側には収容する動物の頭部に被
せ得る先端が開放した器具が取り付けられており、該器
具の解放先端側はポンプを介して適宜の分析機器に接続
している(請求項3)。
【0011】いずれの場合でも、動物の呼気を採取する
に際しては、動物の少なくとも頭部の自由行動をある程
度制限した状態とし、その状態で当該動物の呼気を吸引
採取する。その際に、請求項1記載のシステムにおいて
は、麻酔のような手段により自由行動をある程度制限し
た状態とし、請求項2及び3に記載のシステムにおいて
は、頭部側を前記先鋭部内あるいは器具用に位置させる
ことにより、自由行動をある程度制限した状態とする。
【0012】本発明の呼気を採取するシステムによれ
ば、手術等の特別の手当てを動物に施す必要はなく、正
常な呼吸条件でサンプルガスを容易に得ることができ
る。また、実験動物を繰り返し使用することもできる。
さらに、動物の頭部を、動物の頭部にセット可能な呼気
採集用の器具、あるいは、先細状となった容器の先鋭部
内にある程度自由行動を制限した状態で位置させ、その
開放した先端部からポンプにより呼気を採取するように
したので、呼気の希釈倍率を低くする(炭酸ガス濃度で
3%程度にまで)ことができ、高い分析能が達成され
る。
【0013】好ましい態様において、前記呼気採集用の
器具及び動物収容室の先鋭部の解放先端側には、ミスト
除去フィルター及び乾燥器を介して前記ポンプに接続し
ている。さらに好ましくは、前記乾燥器は、吸湿性樹脂
チューブ内蔵型除湿カラムを有する乾燥器である。呼気
採取路にミスト除去フィルターを配置することにより、
乾燥器内での結露による除湿能の低下を防ぐ効果が得ら
れる。さらに、乾燥器として吸湿性樹脂チューブ内蔵型
除湿カラムを有する乾燥器を配置する場合には、高い除
湿能力を持ちながら、乾燥剤充填の操作が不必要とな
り、操作がより簡便になると共に、長時間の連続採取・
分析が可能となる。また、乾燥剤の劣化による目詰まり
がないことから、流量が一定な連続的なサンプルガスを
得ることができる。ここで、吸湿性樹脂チューブとは、
空気(N2 、O2 )よりも水蒸気(H2 O)の溶解度及
び拡散速度が大きいイオン交換膜からなる筒状体樹脂チ
ューブであり、該樹脂チューブの内側と外側に水蒸気力
差を持たせるようにして、呼気を該樹脂チューブの内部
を通過させることにより、呼気中の湿気は連続して除去
される。好ましくは、パージガスとして樹脂チューブの
外側に乾燥窒素ガスを流すようにする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明による呼気採取シス
テムを好ましい実施の形態に基づき詳細に説明するが、
本発明は以下の説明に限られるものではない。図1は動
物収容室の一例を示す斜視図であり、図2はその断面図
である。この動物収容室10は、呼気を採取しようとす
る小動物の胴体部分を自然の姿勢で収容できる断面形状
を持つ本体部分11と、その先端に取り付ける先鋭部1
2とからなる。この例では、本体部分11は、全体が断
面トンネル形状をなしているが、収容する動物に応じて
適宜の形状であってよい。
【0015】先鋭部12は、前記本体部分11に内嵌す
る形状と寸法である挿入部13と、その先端から断面積
が底面側に向けて次第に小さくなっている先端部14と
を有し、該先端部14の前方端は解放口15とされ、そ
の部分に後記するポンプに接続するためのチューブTが
配置されている。また、本体部分11の頂部前方位置に
は開孔16が形成され、先鋭部12の前記挿入部13に
おける頂部には複数個のネジ穴17・・が形成されてい
て、前記開孔16と前記ネジ穴17・・のいずれかを整
合させてネジ18をねじ込むことにより、先鋭部12
は、その突出量を調整した状態で、本体部分11に位置
決め固定される。なお、図示しないが、ネジ18による
固定に変えて、本体部分11と先鋭部12との移動をバ
ネにより制限するようにしてもよく、この場合には、動
物の大きさに対するより自由な選択性が得られる。
【0016】本体部分11の後端側には縦溝19が切り
込まれており、そこに、底部に切欠き21を持つ板材2
0が挿入される。この板材20は、収容する動物の後方
への移動を制限するための移動制限部材としての機能を
果たす。なお、22は板材21を係止するための係止部
材である。
【0017】図2に示すように、この動物収容室10を
呼気の採取に使用するに際しては、前記板材20を取り
外し、本体部分11の後ろ側から、動物(この例では、
ラットR)の頭部r側が前記先鋭部12内に位置するよ
うにして収容し、収容後、板材20を嵌め込み、係止部
材22で係止する。次に、ネジ18をゆるめて先鋭部1
2を移動自在とし、ラットRの頭部がある程度自由行動
が制限された状態となる位置で再度ネジ18を締め付
け、先鋭部12を本体部分11に位置決め固定する。
【0018】図3は動物収容室の他の例であり、この動
物収容室10aは、本体部分11の前方側は漏斗状に断
面積が次第に小さくなった先端部14aとなり、該先端
部14aの前方端は円筒状の解放口15aとされ、その
部分に後記するポンプに接続するためのチューブTが配
置されている。本体部分11の後方側には、後蓋20a
が移動自在に挿入されており、その裏面には溝付き桿2
2aが取り付けてある。本体部分11の後端側に切り込
まれた縦溝19には、前記溝付き桿22aの溝部分に係
合する係合切欠き20bを持つ止め材20cが挿入自在
とされており、該止め材20cを縦溝19に挿入し、そ
の係合切欠き20bが前記溝付き桿22aの溝に係合す
ることにより、後蓋20aは本体部分11の所望の位置
に位置決め固定される。
【0019】この動物収容室10aを呼気の採取に使用
するに際しては、前記後蓋20aを取り外し、本体部分
11の後ろ側から、ラットRの頭部側が前記先端部14
a内に位置するようにして収容し、収容後、後蓋20a
を挿入し、ラットRの頭部が先端部14a内である程度
自由行動が制限された状態となる位置まで後蓋20aを
前方に移動する。そして、その位置で止め材20cを縦
溝19に挿入して、後蓋20aを本体部分11に位置決
め固定する。
【0020】図4は動物収容室のさらに他の例であり、
この動物収容室10bは、図1及び図2に示した動物収
容室10における前方端側が開放した本体部分11と、
該開放前端側にバネ12aを介して取り付けた円筒状の
キャップ部材12bとから構成され、該キャップ部材1
2bの先端開放口12cには、後記するポンプに接続す
るためのチューブTが配置されている。このキャップ部
材12bは本発明でいう「呼気採集用の器具」の一例で
あり、図示のように、動物(ラツトR)の頭部rが収容
できる程度の大きさとされる。
【0021】この動物収容室10bを呼気の採取に使用
するに際しては、前記板材20を取り外し、本体部分1
1の後ろ側から収容後、動物Rの頭部rにキャップ部材
12bを嵌め込む。その後、板材20を嵌め込み、係止
部材22で係止する。この場合には、キャップ部材12
bはバネ12aを介して本体部分11に取り付けてある
ので、動物の大きさに対する自由度が大きくなると共
に、動物の自由度を拘束する度合いをより小さくするこ
とができる利点がある。
【0022】図5は本発明による呼気採取システムの他
の例であり、この場合には、動物収容室を用いることな
く、図4に示した動物収容室で用いた円筒状のキャップ
部材12b(あるいはそれと同じ機能を果たしうるキャ
ップ部材)を、それ単独で呼気採集用の器具として動物
Rの頭部rに装着している。但し、この場合には、動物
の自由な動きをある程度制限するために、麻酔のような
手段を講じている。
【0023】呼気採取に際しては、図6に示すように、
上記のようにして動物Rを収容した動物収容室10(1
0a、10b)の先端解放口15(15a)又はキャッ
プ部材12bの先端解放口12c、あるいは、動物Rの
頭部rに装着したはキャップ部材12bの先端解放口1
2cに、適宜の固定手段により取り付けたチューブT
を、好ましくは、配管用インラインフィルタのような微
細ミストを除去するためのフィルタF、乾燥器S(好ま
しくは、吸湿性樹脂チューブを内蔵した除湿カラム)を
介して、吸引ポンプPの吸引側に接続し、該吸引ポンプ
Pの吐出側を、例えば13CO2 アナライザーのような分
析機器Mに接続する。なお、前記フィルタFや乾燥器S
は、本発明における呼気採取システムにおいて必須のも
のではなく、試験環境によっては除去することもでき
る。しかし、ポンプ及び分析機器の保護のため、乾燥器
(除湿器)をシステム内に配置することは推奨される。
【0024】図7は、本発明の呼気採取システムにおい
て特に有効に機能する乾燥器の一例としての吸湿性樹脂
チューブ内蔵型除湿カラムを有する乾燥器を示してい
る。この乾燥器は、パーマピュアドライヤー(PERMA PUR
E DRYER)(商品名)と呼ばれているものであり、筒状の
外套シェル51内に、空気(N2 、O2 )よりも水蒸気
(H2 O)の溶解度及び拡散速度が大きいイオン交換膜
からなる透過性チューブ52が収容されており、該透過
性チューブ52の両端はシール53により密閉されてい
る。さらに、該透過性チューブ52の一方側には乾燥し
たパージガス導入口54が設けられ、他方端には吸湿後
のパージガス排出口55が設けられる。入口56から圧
入されるサンプルガスは透過性チューブ52の内側を通
過する過程で湿気が取り除かれ、乾燥した呼気となって
出口から57から吸引される。この乾燥器は乾燥剤を用
いないことから、長時間の連続採取にきわめて有効であ
る。
【0025】上記の構成であり、これらの呼気採取シス
テムでは、実験動物は、限られた空間内(動物収容室
内)で、あるいは、麻酔を施されて、自由な動きをある
程度制限した状態下におかれ、その頭部が位置する先細
となった先端開放端、あるいは、動物の頭部に装着した
キャップ部材の先端解放口からポンプにより呼気が吸引
されるので、従来の呼気採取システムと比較して、希釈
倍率がきわめて低い状態での呼気採取が可能となる。呼
気の採取時に、動物には人工呼吸における気管挿管等の
人為的手段は何ら施されないので、正常な呼吸条件下に
おいて、自発呼吸による呼気を確実に採取できる。ま
た、乾燥器として、吸湿性樹脂チューブ内蔵型除湿カラ
ムを有する乾燥器を用いる場合には、従来のような乾燥
剤を用いないので、長時間にわたる連続採取がきわめて
容易となる。
【0026】
【実施例】
〔実施例1〕 (1) 次のようにしてサンプルガスを採取した。 7週令の雄性SDラットを、日本チャールズリバー社よ
り購入した。購入したラットは、23℃、湿度55%の
条件で使用時まで飼育した。9週齢のラット(ラットN
o.1及びNo.2)をネンブタール麻酔(50mg/
kg ip)後、左大腿動脈と左大腿静脈にカニューレ
ーション処置を行い、大腿動脈から大腿静脈へのバイパ
スを作成後、ヘパリナイズ(100U/ラット)した。
図1に示した形状の動物収容室に入れ、ストロークポン
プ(バリアブル・ストロークポンプ VS−500、
(株)柴田科学工業)を用いて呼気を約100mL/m
inの速度で吸引し、13CO2 アナライザーEX−13
0S((株)日本分光)のフローセルに導入した。動物
収容室とストロークポンプの間には微細な水滴を除去す
るためのインラインフィルターをサンプルガス流入側に
接続した、図5に示す形状のパーマピュアドライヤー
(MD−050−12P、Perma Pure INC. )を設置
し、パージガスに乾燥窒素ガスを流すことでサンプルガ
ス中の水蒸気を除去した。
【0027】13CO2 アナライザーから出力されるデー
タはAD変換した後パーソナルコンピュータ(Apple Po
wer Macintosh 8500)に取込み、データ処理ソフトウェ
ア Lab VIEW(National Instruments)を用いて5秒間
隔で100msec毎10点のデータを積算平均し、炭
酸ガス濃度(%)に変換することで呼気成分をモニター
した。
【0028】13CO2 アナライザーのフローセルが採取
したサンプルガスで置き換わるのを待って、炭酸ガス濃
度が3%になるようにラットの位置を微調整した。いず
れのラットも30分間、サンプルガスを採取・モニター
した。呼気採取中、直腸温をモニターし、小動物用体温
コントローラーTR−100(Fine Science Tools IN
C.)により、37±0.5℃に維持した。
【0029】(2)血液分析 30分間の呼気採取後、ラットを動物収容室から取り出
し、直ちに、大腿動脈から大腿静脈へのバイパス部より
採血した。ポータブル血液分析器i−STAT(扶桑薬
品工業社製)により、血液の酸性度(pH)、CO2
圧(pCO2 )及びO2 分圧(pO2 )について分析を
行った。
【0030】(3)結果 呼気採取システムで得られた呼気の赤外分光による
分析 呼気採取システムによって連続的に得られたサンプルガ
スを赤外分光で分析した結果、30分間を通じて炭酸ガ
ス濃度がラットNo.1では2.94±0.23%、ラ
ットNo.2では3.03±0.24%の呼気が得られ
た(図8a、b)。30分間にわたって、炭酸ガス濃度
約3%のサンプルガスが安定して得られていことがわか
った。
【0031】血液分析 30分間の呼気採取直後の血液分析の結果、ラットN
o.1、No.2いずれとも、pH、pCO2 、pO2
が正常値であった(下記の表1)。血液分析の結果が正
常であったことから、動物収容室中でのラットが、30
分間の拘束後も正常な呼吸条件下におかれていたことが
わかる。
【0032】
【表1】
【0033】〔実施例2〕(13C−グルコース呼気テス
ト) 無麻酔のラットに、1−13C標識グルコースを経口投与
し、呼気炭酸ガス中の13C標識炭酸ガス増加の経時変化
を調べた。 (1)方法 7週令の雄性SDラットを、日本チャールズリバー社よ
り購入した。購入したラットは、23℃、湿度55%の
条件で使用時まで飼育した。8週齢のラット(ラットN
o.1及びNo.2)を動物収容室に入れ、ストローク
ポンプ(バリアブル・ストロークポンプVS−500
(株)柴田科学工業)を用いて呼気を約100mL/m
inの速度で吸引し、13CO2 アナライザーEX−13
0S((株)日本分光)のフローセルに導入した。サン
プルホルダーとストロークポンプの間には微細な水滴を
除去するためのインラインフィルターをサンプルガス流
入側に接続したパーマピュアドライヤー(MD−050
−12P、Perma Pure INC.)を設置し、パージガスに
乾燥窒素ガスを流すことでサンプルガス中の水蒸気を除
去した(図1)。
【0034】13CO2 アナライザーから出力されるデー
タをAD変換した後パーソナルコンピュータ(Apple Po
wer Macintosh 8500)に取込み、データ処理ソフトウェ
ア Lab VIEW (National Instruments)を用いて5秒間
隔で100msec毎10点のデータを積算平均し、炭
酸ガス濃度(%)、炭酸ガス中の13C濃度および炭酸ガ
ス中の13C濃度の増加率(Δ13C (‰) )に変換するこ
とで各呼気成分をモニターした。炭酸ガス中の13C濃度
の増加率は、各時点の炭酸ガス中の13C濃度(13Ctm
in)と標準ガスの13C濃度(13Cstd)から以下の
ように計算した。 Δ13C( ‰)=[(13C tmin −13C 0min)/13C std]×1
000
【0035】13CO2 アナライザーEX−130Sのフ
ローセルが採取したサンプルガスで置き換わるのを待っ
て、炭酸ガス濃度が3%になるように流量を微調整し、
測定を開始した。1−13C標識グルコース投与のため
に、いったん動物収容室からラットを取り出し、ゾンデ
を用いて1−13C標識グルコース生理食塩水溶液(10
0mg/mL)を300mg/kg経口投与した。ラッ
トを動物収容室に戻し、40分間、サンプルガスを採取
・モニターした。
【0036】(2)結果 呼気採取システムによって連続的に得られたサンプルガ
スを赤外分光で分析した結果、40分間を通じての炭酸
ガス濃度は、ラットNo.1では2.97±0.28
%、ラットNo.2では3.03±0.25%であった
(図9)。40分間にわたって、炭酸ガス濃度約3%の
サンプルガスが安定して得られていことがわかった。
【0037】また、呼気炭酸ガス中の13C標識炭酸ガス
の増加率を示すΔ13C( ‰)については、1−13C標識
グルコース後40分に、ラットNo.1では314‰、
ラットNo.2では295‰に達するまで、緩やかにS
字を描くように増加する経時変化を追うことができた
(図10)。
【0038】〔考察〕実施例1及び実施例2で得られた
結果は、正常な呼吸条件における、従来より炭酸ガス濃
度の高い、すなわち希釈率の低い呼気の採取が、本発明
によって可能であることを示している。本発明による呼
気採取システムを用いることで、正常な呼吸状態での、
かつ、希釈率の低い呼気を分析対象にでき、より高感度
の呼気分析が可能になる。また、剤を投与して呼気分析
する場合には、より少ない投与量で従来と同等のダイナ
ミックレンジでの呼気分析が可能になる。
【0039】
【発明の効果】本発明による呼気採取システムにより、
特に熟練を要することなく簡単な操作でもって、正常な
呼吸条件での、かつ、希釈率の低い呼気を長時間にわた
り連続して採取することが可能となる。それにより、分
析機器でのより高感度な呼気分析が可能になる。また、
実験動物の再使用も可能であり、低コストでの呼気採取
を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の呼気採取システムに用いる動物収容室
の一例を示す斜視図。
【図2】図1の動物収容室の断面図であり、動物の例と
してラットを収容した場合を示している。
【図3】動物収容室の他の例を示す斜視図。
【図4】動物収容室のさらに他の例を示す一部断面によ
る側面図。
【図5】動物収容室を用いない場合での本発明の呼気採
取システムにおける呼気採取方法の一例を示す図。
【図6】本発明の呼気採取システムの一例を説明するブ
ロック図。
【図7】本発明の呼気採取システムに用いる乾燥器の一
例を説明する図。
【図8】呼気採取システムによって採取された呼気中の
炭酸ガス濃度の経時変化を示す図。
【図9】呼気採取システムによって採取された他の呼気
中の炭酸ガス濃度の経時変化を示す図。
【図10】呼気採取システムによって採取された呼気中
の炭酸ガスがどの程度標識されたかを示すΔ13C( ‰)
の経時変化を示す図。
【符号の説明】
10…動物収容室、11…本体部分、12…先鋭部、1
2b…キャップ部材、F…フィルター、S…乾燥器、P
…ポンプ、M…分析機器、R…実験動物、r…頭部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 あすか 神奈川県横浜市港北区鳥山町274−8

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物の呼気を採取するシステムであっ
    て、動物の頭部にセット可能な呼気採集用の器具を有
    し、該器具の解放先端側はポンプを介して適宜の分析機
    器に接続され、動物の呼気を採取するに際して、動物の
    自由な動きをある程度制限した状態で前記器具内に頭部
    を配置し、その状態で当該動物の呼気を採取することを
    特徴とする呼気採取システム。
  2. 【請求項2】 動物の呼気を採取するシステムであっ
    て、動物を収容する動物収容室を有し、一方端側は空隙
    の断面積が次第に小さくなる先鋭部とされており、該先
    鋭部の解放先端側はポンプを介して適宜の分析機器に接
    続しており、動物の呼気を採取するに際して、頭部側が
    前記先鋭部内に位置するようにして動物を動物収容室内
    に収容し、その状態で当該動物の呼気を採取することが
    可能とされていることを特徴とする呼気採取システム。
  3. 【請求項3】 動物収容室に収容されている動物の呼気
    を採取するシステムであって、動物収容室の一方端側に
    は、収容する動物の頭部に被せ得る先端が開放した器具
    が取り付けられており、該器具の解放先端側はポンプを
    介して適宜の分析機器に接続しており、動物の呼気を採
    取するに際して、前記器具を頭部に被せるようにして動
    物を動物収容室内に収容し、その状態で当該動物の呼気
    を採取することが可能とされていることを特徴とする呼
    気採取システム。
  4. 【請求項4】 前記動物収容室の先鋭部の解放先端側又
    は前記呼気採集用の器具の解放先端側は、ミスト除去フ
    ィルター及び乾燥器を介して前記ポンプに接続している
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の呼気
    採取システム。
  5. 【請求項5】 前記乾燥器は、吸湿性樹脂チューブ内蔵
    型除湿カラムを有する乾燥器であることを特徴とする請
    求項4記載の呼気採取システム。
  6. 【請求項6】 前記動物収容室は、収容する動物の後方
    への移動を制限するための移動制限部材を、前記先鋭部
    又は器具取り付け側とは反対側の端部近傍に脱着自在に
    配置していることを特徴とする請求項2又は3記載の呼
    気採取システム。
  7. 【請求項7】 一方端側は空隙の断面積が次第に小さく
    なる先鋭部とされており、該先鋭部の解放先端側には収
    容した動物の呼気を採取するためのチューブが接続され
    ていることを特徴とする呼気採取用動物収容室。
  8. 【請求項8】 一方端側には収容した動物の頭部に被せ
    得る先端が開放した器具が取り付けられており、該器具
    の解放先端側には収容した動物の呼気を採取するための
    チューブが接続されていることを特徴とする呼気採取用
    動物収容室。
  9. 【請求項9】 前記動物収容室は、さらに、収容する動
    物の後方への移動を制限するための移動制限部材を、前
    記先鋭部又は器具取り付け側とは反対側の端部近傍に脱
    着自在に配置していることを特徴とする請求項7又は8
    記載の呼気採取用動物収容室。
JP23718397A 1997-09-02 1997-09-02 呼気採取システム及びそれに用いる動物収容室 Pending JPH1183695A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010054489A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Nagoya Institute Of Technology 動物個体の代謝状態の測定方法及びその装置。
KR101293671B1 (ko) * 2011-01-21 2013-08-13 건국대학교 산학협력단 중소동물용 호흡가스 및 대사 측정시스템 및 그 방법
CN103645070A (zh) * 2013-12-10 2014-03-19 天津开发区合普工贸有限公司 一种小动物呼吸实验用径向无回流气体采样装置
CN112889691A (zh) * 2021-01-14 2021-06-04 黑龙江八一农垦大学 一种羊用呼吸代谢实验用简易装置及测试方法

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