JPH1183676A - 紫外線パルスレーザ光に対する透過率測定方法及び測定装置 - Google Patents

紫外線パルスレーザ光に対する透過率測定方法及び測定装置

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JPH1183676A
JPH1183676A JP9237936A JP23793697A JPH1183676A JP H1183676 A JPH1183676 A JP H1183676A JP 9237936 A JP9237936 A JP 9237936A JP 23793697 A JP23793697 A JP 23793697A JP H1183676 A JPH1183676 A JP H1183676A
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transmittance
light
laser beam
intensity
pulse laser
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JP9237936A
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Norio Komine
典男 小峯
Masashi Fujiwara
誠志 藤原
Hiroki Jinbo
宏樹 神保
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線パルスレーザ光を直接光源とした透過
率測定において、単発或いは低繰り返しでのパルスレー
ザ光に対する透過率測定精度を向上させる測定方法及び
その測定装置を提供する。 【解決手段】 紫外線パルスレーザ光のワンパルスが測
定対象を透過する前にこのレーザ光から抽出した参照光
の強度と測定対象を透過した後に抽出した透過光の強度
とを同時に検出し、その強度比を用いて測定対象の透過
率を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線パルスレー
ザ光に対する光学素子材料或いは光学系の透過率を測定
する方法、及びその測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えばエキシマレーザリソグラフ
ィ装置、エキシマレーザCVD装置、エキシマレーザ加
工装置など、エキシマレーザを光源とした各種の光学
系、或いはエキシマレーザと同様にパルス発振運転を行
う紫外線パルスレーザ光を光源とした光学系を有する各
種産業用光学装置が研究されている。これらの装置は、
特に、ArFエキシマレーザリソグラフィ装置、ArF
エキシマレーザCVD装置、ArFエキシマレーザ加工
装置などに組み込まれている、波長193nmのArFエ
キシマレーザを光源とした各種の光学系、或いは波長2
00nm以下の紫外、真空紫外線或いは同波長領域のレー
ザを光源とした照明用光学系或いは結像用光学系などの
レンズ部材、ファイバ、窓部材、ミラー、エタロン、プ
リズムなどの光学素子として使用される、石英ガラスや
各種の光学用結晶材料に対して有用である。
【0003】そして、これらの装置に設置された光学系
を構成する上記のような光学素子には、光源の紫外線に
対する高い初期透過率(透過率自体が高いこと)と高い
耐紫外線性(透過率の変動が小さいこと)が要求され
る。このようなことから光学素子の材料としては石英ガ
ラス、フッ化カルシウム結晶などのような紫外線に対し
て高い透過率を有する材料が用いられるが、たとえ高い
透過率を有する光学素子材料を用いていても、多数の光
学素子が組み合わされて作られる光学系においては、光
学系全体としての透過率をいかに高くするかということ
が問題となる。このため、紫外線レーザ照射中の光学系
を構成する光学素子材料或いは光学系全体の透過率とそ
の変動特性を正確に測定する必要がある。
【0004】従来、紫外線例えばエキシマレーザ光に対
する光学材料の透過率変動特性の測定は、エキシマレー
ザ光を適当な条件で照射した後、分光光度計を用いてエ
キシマレーザ光と同波長での透過率を測定することを繰
り返すという手法によって行なわれていた。しかしこの
方法では、エキシマレーザ光照射終了から分光光度計で
材料の透過率を測定するまでの間に透過率が経時変化し
てしまうことから、試料を取り出した後に分光光度計で
測定した透過率は、エキシマレーザ光照射中の実際の透
過率と必ずしも一致するものではなかった。
【0005】この点を解消する方法としては、試料にエ
キシマパルスレーザ光を照射するとともに別の光源によ
る参照光(エキシマレーザ光より充分弱い光)を照射
し、この参照光の透過率測定を行うことによりエキシマ
レーザ光照射中の試料の透過率変動を測定する方法があ
った。しかし、別光源の光の波長をエキシマレーザ光の
波長と一致させてしまうと、透過率測定用の光学系に試
料からのエキシマレーザ光の散乱光や装置内部でのエキ
シマレーザ光の乱反射などが迷光として透過率測定用の
光と混合し、正確な透過率測定ができないという欠点が
あった。このため、このような透過率測定をする場合
は、別光源の光の波長をエキシマレーザ光とは異なる波
長に設定する必要があった。
【0006】又、産業用光学装置において、測定対象の
実際に測定したい初期透過率及び耐紫外線性は、その光
学装置に用いられている光源そのものに対するものであ
り、例えばエキシマレーザリソグラフィ装置の結像光学
系の光学材料を対象としているならば、同種のエキシマ
レーザ光源に対する光学材料の初期透過率及び耐紫外線
性を直接測定する必要がある。この場合は高エネルギー
で且つパルス発振の紫外線レーザ光を熱的方法或いは光
電的方法として、(1)試料を透過したときのエキシマ
レーザ光の強度(パワー)Iと、試料がない場合の強度
0を測定し、透過率をI/I0値とする、(2)試料の
前後に設置したビームスプリッタでエキシマレーザ光の
一部を取り出し、その光を検出器で検出しその強度比か
ら透過率を算出する、という方法が用いられていた。
又、図2(b)に示すように、エキシマレーザ光のパル
スごとの強度は大きく変動して安定性が非常に悪いこと
を考慮して、透過率測定の際、検出された信号を熱的に
或いは電気的に平均化する処理を行っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
紫外線パルスレーザ光に対する透過率測定では、エキシ
マレーザ光がパルスごとに変動していること、更に平均
的な強度も数秒から数時間の長いスケールではドリフト
する特性もあるために、高精度な透過率測定はできず、
特にエキシマレーザリソグラフィ用光学材料の透過率測
定においては、0.1%オーダの精度での透過率測定が
要求されるにも関わらず、高々数%オーダの精度を得る
のが限界であった。又、パルスレーザ光が、単発や10
Hz以下の低繰り返しである場合には、高精度な透過率測
定が非常に困難であった。
【0008】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであり、紫外線パルスレーザ光を直接光源とした
透過率測定において、単発或いは低繰り返しでのパルス
レーザ光に対する透過率測定精度を向上させる測定方法
及びその測定装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る紫外線パルスレーザ光に対する透過
率測定方法は、紫外線パルスレーザ光のワンパルスが測
定対象を透過する前にこのレーザ光から抽出した参照光
の強度と測定対象を透過した後に抽出した透過光の強度
とを同時に測定し、この参照光の強度と透過光の強度と
から第1強度比を算出する第1工程と、測定対象を取り
外して第1工程と同様に測定される参照光の強度及び透
過光の強度とから第2強度比を算出する第2工程と、第
1工程により求められる第1強度比と、第2工程により
求められる第2強度比とから、測定対象の透過率を算出
する第3工程とを有する。
【0010】上記透過率測定方法において、紫外線パル
スレーザ光を単発から繰り返し2KHzまでの範囲で用い
ることが望ましく、又、紫外線パルスレーザ光はエキシ
マレーザ或いはフッ素分子レーザとしてよい。又、測定
対象は光学材料であってよく、、この光学材料を石英ガ
ラス或いはフッ化カルシウム結晶としてよい。
【0011】又、本発明に係る紫外線パルスレーザ光に
対する透過率測定装置は、紫外線パルスレーザ光が測定
対象を透過する前にこのレーザ光から抽出した参照光の
強度と測定対象を透過した後に抽出した透過光の強度と
を同時に検出する光検出部と、参照光の強度と透過光の
強度とを同時にアナログーデジタル変換するアナログー
デジタル変換部と、アナログーデジタル変換部により変
換されたデジタル参照光信号とデジタル透過光信号とを
演算処理することにより参照光と透過光との強度比及び
測定対象の透過率を算出する演算部とを備える。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について説明する。
【0013】先ず、測定装置の構成について、図を用い
て説明する。図1は本発明に係る紫外線パルスレーザ光
に対する透過率測定装置の構成図(上方から見たブロッ
ク図)である。この装置は基本的に、紫外線パルスレー
ザ光照射光学系、光検出系、アナログーデジタル信号変
換系(AD変換系)、データ処理系によって構成されて
いる。
【0014】図1における紫外線パルスレーザ装置1
は、400nm(ナノメートル)以下の紫外から真空紫外
域の発振波長のパルスレーザ光を出力する光源であり、
所望の波長のパルス光をArFエキシマレーザ光(波長
193nm)とするときは、ArFエキシマレーザ装置と
する。通常、エキシマレーザ光のワンパルスの光の持続
時間は数ns(ナノ秒)〜数10ns、又、波長幅は特に狭
帯域化をしていない限り数nmであり、ビーム空間形状は
幅約5〜10mm×長さ20〜30mmの長方形であること
が多い。又、コントローラ2を上記の特性を有するエキ
シマレーザ光が1Hz〜数100Hzの繰り返し周波数で出
力されるように制御し、紫外線パルスレーザ装置1を運
転する。減光器3は、紫外線パルスレーザ光の強度を調
整し、所望のエネルギー密度を得るために設置される。
【0015】第1マスク5a(光源に近い方)と第2マ
スク5b(光源から遠い方)は、パルスレーザ光軸に対
して垂直方向に設置される。これらのマスク5a、5b
は、パルスレーザ光101を整形し測定対象の試験片8
に所望のビーム形状で照射するために用いられ、図1の
ように、暗箱18の外側と内側の2箇所に設けるのが望
ましい。その理由は、第一に、第1マスク5aである程
度の所望のビーム形状に整形しておくことにより暗箱1
8内に透過率測定に必要のない迷光が発生するのを防ぐ
ためと、第二に、光源の紫外線パルスレーザ光は一般に
数ミリラジアン程度で広がりながら進行するので、試験
片8にできる限り近い場所に第2マスク5bを設置する
必要があるためである。なお、この第2マスク5bは、
参照光と透過光のビーム形状が異なって正確な透過率測
定ができなくなることを避けるため、参照光用ビームス
プリッタ6a及びシャッタ7cより光源側に設置しなけ
ればならない。
【0016】シャッタ7cは、パルスレーザ光101軸
に対して垂直方向に設置され、試験片8をパルスレーザ
光軸上に出し入れする際にレーザ光が試験片8に照射さ
れるのを防ぐ。よって試験片8の直前に設けるのが望ま
しい。
【0017】入口側窓基板4aと出口側窓基板4bは、
紫外線パルスレーザ光101軸に対して垂直方向に設置
され、暗箱18への入口と出口に設けられる。窓基板4
a、4bの材質は合成石英ガラスとし、水素分子を1×
1017(分子/cm3 )以上含有することが望ましい。こ
れによりパルスレーザ光101照射による窓基板4a、
4b自身の透過率低下を防ぐことができる。そして2面
が平行になるように光学研磨し、更に窓基板4a、4b
自身によるパルスレーザ光101の吸収を防ぐため、そ
の厚さは5mm以下、好ましくは1mmにする。
【0018】参照光用ビームスプリッタ6aは試験片8
の前方に、透過光用ビームスプリッタ6bは試験片8の
後方に、それぞれパルスレーザ光101軸に対して垂直
な方向から適当な角度に傾けて設置される。これらは照
射される紫外線パルスレーザ光101の一部を取り出
し、検出器11a、11bの受光面に向けて反射する働
きをする。その角度は好ましくは45度とし、これによ
りビームスプリッタ6a、6bによる反射光を、パルス
レーザ光101軸に対して垂直方向に進行させることが
できる。ここで、45度以外の角度であると、迷光の影
響を受け易くなり、又その他の設置物体との配置関係に
自由度がなくなる。
【0019】このビームスプリッタ6a、6bは、窓基
板4a、4bと同様に2面が平行になるように光学研磨
された光学素子であり、材質も窓基板4a、4bと同様
に水素分子を1×1017(分子/cm3 )以上含有してい
る合成石英ガラスであることが望ましい。これにより、
パルスレーザ光101の照射によるビームスプリッタ6
a、6b自身の透過率低下を防ぐことができる。更に、
ビームスプリッタ6a、6b自身によるパルスレーザ光
101の吸収を防ぐため、その厚さは1mm以下にしてお
くことが望ましい。これは、ビームスプリッタ6a、6
b内部での吸収は透過率測定精度に直接影響するため、
暗箱18の窓基板4a、4bよりも厳しい耐紫外線性が
要求されるからである。
【0020】又、これらビームスプリッタ6a、6bの
片面だけにARコーティング(反射防止膜)を施すこと
もできるが、ARコーティング自身がパルスレーザ光照
射により透過率変動してしまうことも考えられるので、
ビームスプリッタ6a、6bそれぞれの2面ともコーテ
ィングはしない方がよい。又、ビームスプリッタ6a、
6bそれぞれの2面を平行ではなく楔形にして2面の干
渉を防ぐようにすることもできるが、楔形にするとその
分だけ厚さが増してしまい、内部吸収の影響が発生する
可能性もあるので避けた方がよい。
【0021】パワーメータ9は、パルスレーザ光101
のパワーの目安をつけるためのものであるが、このパワ
ーメータ9の受光面からのパルスレーザ光101の散乱
光が暗箱18内で迷光となって透過率測定精度が悪化す
るのを防ぐため、このパワーメータ9は暗箱18の外側
に設置するのが望ましい。
【0022】試験片8は、透過率測定方向に向かい合う
2面に光学研磨が施されてあり、この2面が紫外線パル
スレーザ光101軸に垂直になるように移動ステージ1
3上に固定される。
【0023】移動ステージ13は、測定対象をパルスレ
ーザ光101軸上に出し入れするためのもので、紫外線
パルスレーザ光101軸に対して垂直方向に遠隔操作で
移動可能となっている。ここで移動ステージ13を遠隔
操作で移動できるようにする理由は、ArFエキシマレ
ーザなどの真空紫外域のレーザ光での透過率測定を行う
場合には暗箱18内を窒素パージするか、或いは真空に
する必要があるためである。
【0024】拡散板10a、10bは、参照光及び透過
光を検出器11a、11bの感度レベルまで減光する目
的と、検出器11a、11bの受光面における感度むら
を解消する目的により設置される。この拡散板10a、
10bは2面が平行になるように砂掛け加工された光学
素子であり、砂掛け加工の砂の粒径はメッシュ400番
以内が望ましい。これ以上細かい粒径の砂掛け加工の場
合には、光の拡散能力が低下してしまい、本来の目的が
失われる。又、拡散板10a、10bの材質は合成石英
ガラスとし、窓基板4a、4bと同様に水素分子を1×
1017(分子/cm3 )以上含有することが望ましい。こ
れにより参照光及び透過光の照射による拡散板10a、
10b自身の透過率の低下を防ぐことができる。更に、
拡散板10a、10b自身による光吸収を防ぐため、そ
の厚さは2mm以下にしておくことが望ましい。
【0025】又、この拡散板10a、10bはそれぞれ
複数枚を設置し(図1参照)、試験片8へ照射するパル
スレーザ光101の強度に応じて、参照光及び透過光が
検出器11a、11bの感度レベルに対して適当な強度
になるようにする。このとき拡散板同士の間隔は、互い
に接近しすぎて減光能力が低下しないよう、0.5mm以
上取ることが望ましい。又、拡散板はシャッタ、検出器
とともに同一のホルダ治具内に設置し(10a、7a、
11a及び10b、7b、11b)、ビームスプリッタ
6a、6b側のみ開口するようにして参照光及び透過光
以外の迷光を検出しないようにすることが望ましい。
【0026】参照光側検出器11a、透過光側検出器1
1b(特許請求の範囲の光検出部に相当)には、光起電
力型のフォトダイオードを用いる。その理由を以下に説
明する。
【0027】エキシマレーザ光のような高エネルギーで
かつパルス発振の紫外線レーザ光は、一般的には熱的方
法と光電的方法によって検出される。熱的検出方法には
サーモパイルを使用したカロリメトリー法と、パイロ素
子を用いた焦電効果法とがあり、前者はエキシマレーザ
光を吸収体に吸収させ、吸収した光パワーを熱に変換し
てから熱測定を行って入力エキシマレーザ光パワーを求
める方法であり、後者は焦電材料の表面にレーザパワー
をよく吸収する黒化物を塗布し、入力レーザパワーの吸
収による発熱温度の時間変化に比例する電気信号に変換
する方法である。光電的検出方法は、光電効果を利用し
て光を電気信号に変換する方法であり、フォトダイオー
ド、光電子増倍管、バイプラナ光電管などを用いたもの
がある。
【0028】ここで、熱的検出方法によるサーモパイル
型の検出器(パワーメータ)は、本発明の目的である紫
外線パルスレーザ光に対する高精度透過率測定には不適
である。その理由として、この検出器は、光パワーを熱
的に平均化処理をしてパルス信号を直流信号に変換する
ものであり、高精度な透過率測定が望めないこと、検出
器の検出精度自体が数%オーダまでしか保証されておら
ず0.1%オーダ精度での測定ができないこと、繰り返
しを数10Hz以上にしないと実質パワーの測定が困難で
ある、などの理由が挙げられる。又、熱的検出方法のも
う一つの形式であるパイロジュール型の検出器(エネル
ギージュールメータ)では、パワーメータとは逆に、光
源のパルスレーザの繰り返しを数10Hz以上にすること
ができず、しかも測定精度は数%オーダまでしか保証さ
れていないので、これも不適である。
【0029】これらの理由から、本発明の透過光・参照
光ワンパルス同時測光法を実現する上では、レーザ光ワ
ンパルスの光量に比例した電流出力が得られるものがよ
く、この意味では光電的検出方法によるフォトダイオー
ド、なかでも、外部電源を必要としない光起電力型のも
のが望ましい(外部電源による電圧印加型のフォトダイ
オードはエキシマレーザ電源のパルスノイズを拾い易
い)。光電的検出方法であっても、光電子増倍管はフォ
トダイオードに比べるとパルス光に対するリニアリティ
が悪く、光電面の感度むらが大きいという欠点があるこ
とから、又、バイプラナ光電管はワンパルス内における
ピーク強度を検出するものであり、ワンパルスの時間積
分強度、すなわち光量を測定する本発明の参照光・透過
光ワンパルス同時測光法には適していないことから、と
もに不適である。又、フォトダイオードを用いて参照光
及び透過光を検出する場合でも、これを平均化処理した
のでは0.1%オーダ精度の透過率測定は困難であるた
め、本発明の参照光・透過光ワンパルス同時測光法を用
いる必要がある。
【0030】AD変換器16(特許請求の範囲のアナロ
グーデジタル変換部に相当)は、参照光側信号増幅器1
5a、透過光側信号増幅器15bにより増幅された、紫
外線パルスレーザ光源のワンパルス光から分離された参
照光及び透過光に基づくアナログパルス電気信号をデジ
タル信号に変換するために設置される。なお、このAD
変換は参照光と透過光同時に行われる。このAD変換器
16は、12ビット以上の電圧分解能で参照光及び透過
光のパルス電気信号をAD変換する能力を有しているこ
とが望ましい。これは、12ビット未満の電圧分解能で
は、パルス信号を0.1%以下の精度でAD変換するこ
とができず、高精度透過率測定が実現できないからであ
る。更に、AD変換器16のサンプリング周期は1MS
/s(メガサイクル/秒)程度備わっていることが望ま
しい。
【0031】コンピュータ17(特許請求の範囲の演算
部に相当)はAD変換器16によりデジタル化された参
照光信号と透過光信号デジタル信号を処理する。
【0032】図1に示す本発明の装置は、上記構成品の
ほか、検出器と増幅器とを繋ぐ(11aと15a、11
bと15b)同軸ケーブル12、紫外線パルスレーザ装
置とAD変換器16の同期を取るためのトリガパルス発
生器14、トリガパルス用同軸ケーブル201、AD変
換器16とコンピュータ17とのデジタル信号の送受信
のための標準インターフェースバスケーブル203によ
り構成されている。
【0033】紫外線パルスレーザ装置1から出力された
パルスレーザ光101は、図1の左から右に向かって直
進する。このパルスレーザ光101は、減光器3によっ
て所望のエネルギー密度に調整される。減光器3を通っ
たパルスレーザ光101は、第1マスク5aによって或
る程度のビーム形状に整形され、暗箱18の入口に位置
する窓基板4aを通過する。そしてパルスレーザ101
は第2マスク5bによて更に整形され、参照光用ビーム
スプリッタ6aへ進む。そして参照光用ビームスプリッ
タ6aにおいて、パルスレーザ光101は一部が反射さ
れて参照光として参照光側検出器11aに進み、残りは
ビームスプリッタ6aを通過して試験片8へ進む。ここ
で、ビームスプリッタ6aをパルスレーザ光101軸に
対して45度に傾けて設置した場合、第2マスク5bを
通過してきたパルスレーザ光101の強度の約10%
(片面当たり5%)を参照光側検出器11aに、又約9
0%を試験片8に照射させることとなる。
【0034】ビームスプリッタ6aを通過したパルスレ
ーザ光101の光成分は、シャッタ7cを介して移動ス
テージ13上の試験片8へ到達する。そしてこの試験片
8を通過したパルスレーザ光101は更に直進して透過
光用ビームスプリッタ6bへ到達し、ここで一部が反射
されて透過光として透過光側検出器11bに進み、残り
はパワーメータ9へ進む。パワーメータ9においてパル
スレーザ光101のパワーがモニターされる。ビームス
プリッタ6aにより分離された参照光と、ビームスプリ
ッタ6bにより分離された透過光は、それぞれ拡散板1
0a、10bで減光され、シャッタ7a、7bを介して
検出器11a、11bで検出される。
【0035】検出器11a、11bにおいて検出された
参照光及び透過光の信号は、それぞれ信号増幅器15
a、15bにおいて増幅されてAD変換器16に送ら
れ、参照光、透過光同時にAD変換される。ここでデジ
タル化された参照光強度及び透過光強度に比例したそれ
ぞれのパルス信号電圧値はコンピュータ17に転送さ
れ、ここで強度比=(透過光電圧平均値)/(参照光電
圧平均値)が算出され、記憶媒体に記録される。又、後
に述べるように、測定対象を通して測定した強度比Tと
測定対象を取り除いて測定した強度比T0 とから、測定
対象の透過率t=T/T0 が算出される。
【0036】
【実施例】次に、上記のような本発明に係る透過率測定
装置の構成の具体例を説明した後、この装置における透
過率測定精度とリニアリティ特性について確認した結果
を示す。
【0037】測定装置の構成は図1に示したものであ
り、紫外線パルスレーザ装置1はArFエキシマレーザ
装置(ラムダフィジックス製:LPX240icc )とし、発振
波長は193nm、ワンパルスの光の持続時間は半値全幅
で約8nsである。又、パルス光の繰り返し周波数は1Hz
から300Hzまで可変できるものであった。暗箱18の
窓基板4a、4b及びビームスプリッタ6a、6bは合
成石英ガラスを材料として直径60mm×厚さ1mmの形状
に製作し、厚さ1mm方向の向かい合う2面は、平行度:
10秒以内、片面ごとの平坦度:ニュートンリング3本
以内、片面ごとの粗さ:rms=10オングストローム
以下となるように光学研磨した。
【0038】マスク5a、5bの材質はアルミニウム
で、形状は直径80mm×厚さ2mmとし、中心部に貫通穴
を開けて5mm×5mmに整形し、ArFエキシマレーザ光
のビーム形状が5mm×5mmとなるようにした。拡散板1
0a、10bの材質は合成石英ガラスで、形状は直径5
0mm×厚さ2mmとし、向かい合う2面をメッシュ240
番の砂掛け加工仕上げした。検出器11a、11bは光
起電力型フォトダイオード(浜松ホトニクス製:S2281-
01)とし、増幅器15a、15bは電流ー電圧変換型ア
ンプ(浜松ホトニクス製:S2719 )とした。AD変換器
16にはデジタルオシロスコープ(横河電機製:DL3100
B )を用いた。このデジタルオシロスコープは垂直軸
(電圧)分解能が12ビット、周波数帯域がDC(直
流)〜10MHzの性能を有していた。
【0039】このような構成でArFエキシマレーザ光
を検出すると、デジタルオシロスコープ(AD変換器1
6)の画面上には、トリガ時刻から1μs(マイクロ秒
=10ー6秒)以内にピーク電圧まで立ち上がり、その
後、時定数約100μsの指数関数的に電圧減衰するパ
ルス電圧信号波形が得られた。このパルス電圧信号のピ
ーク電圧は参照光と透過光とで異なっており、それぞれ
参照光量、透過光量に比例していた。
【0040】ピーク電圧後の指数関数的な電圧減衰波形
の時定数は参照光と透過光とで一致するので、指数関数
的に減衰しているときの電圧値も、トリガ時刻から同一
時刻であれば、それぞれ参照光量、透過光量に比例した
電圧値を示す。このことから、トリガ時刻から30〜5
0μs間で1μsおきの時刻の電圧値を、同一パルス光
での参照光信号分及び透過光信号分共にコンピュータに
転送し、それぞれの電圧値の平均値を算出することによ
り、ワンパルス当たりの透過光と参照光との強度比T=
(透過光電圧平均値)/(参照光電圧平均値)が算出さ
れる。ここで、取り出すパルス信号電圧をトリガ時刻か
ら30〜50μsの時刻の電圧値に設定した理由は、3
0μs以前にはパルス信号にエキシマレーザの発振時の
ノイズが重畳しており、50μs以降では電圧値自体が
小さくなりAD変換精度が低下するためである。
【0041】なお、このパルス信号波形から、電圧値が
完全に零になるのは約500μsであったので、パルス
光の繰り返しが増加したときに隣接するパルス信号が重
ならない繰り返し周波数は2KHz以下となった(すなわ
ち、上記の構成により、パルス光単発から繰り返しが2
KHzまでの透過率測定が可能となった)。
【0042】次に、上記の透過率測定装置のArFエキ
シマレーザ光に対する透過率精度を確認した結果を示
す。図2(a)は、本発明の装置によって測定した透過
率測定精度を示す図であり、横軸は時間を示している
(なお、透過率測定精度の測定が目的であるため、試験
片8は挿入していない、すなわちブランクの状態であ
る)。この時のArFエキシマレーザ光のワンパルス当
たりのエネルギー密度は約20mJ/cm2 で、繰り返しは
1Hzであった。図2(a)から、本発明の装置のArF
エキシマレーザ光に対する透過率精度は、ノイズのピー
クトゥピーク幅で0.5%、標準偏差σの3倍値(3
σ)で0.03%という結果を得た。なお、繰り返しが
200Hzまでの透過率測定精度を調べた結果、上記と全
く同様の精度が保たれていることが確認された(ここで
求められるブランクの状態での透過光と参照光との強度
比T0 =(透過光電圧平均値)/(参照光電圧平均値)
は記録しておき、後の測定対象の透過率測定において用
いた)。
【0043】続いて、この装置のリニアリティ特性を測
定した結果を示す。本発明の透過率測定装置による測定
対象の透過率が実際に正しい値であるかどうかを確認す
るために、分光光度計での測定値との比較による検定を
行った。この検定においては、測定対象がArFエキシ
マレーザ照射によりダメージを受けない(透過率変動を
起こさない)ようにするために、エネルギー密度を約1
0mJ/cm2 に下げた。又、測定対象には直径60mm×厚
さ1mmの合成石英ガラス基板を用い、この基板は耐Ar
Fエキシマレーザ性の高い、水素分子濃度が1×1018
(分子/cm3 )のものとした。なお、板の厚さを1mmと
したのは、内部吸収の影響が極力避けられるようにする
ためである。
【0044】更に、基板の厚さ方向の向かい合う2面
は、平行度:10秒以内、片面ごとの平坦度:ニュート
ンリング3本以内、片面ごとの表面粗さ:rms=10
オングストローム以下になるように精密研磨を施し、最
終的に基板の厚さが1±0.1mmとなるようにした。更
に、表面吸収の原因となる研磨剤が表面に残留しないよ
うに、高純度SiO2 粉による仕上げ研磨加工を施し
た。このような合成石英ガラス基板を1枚から4枚重ね
したときの透過率を、本発明の装置及び市販の分光光度
計(バリアン製:Cary5)でそれぞれ測定し、その数値
の比較を行った。その結果を図3に示す。図3に示すよ
うに、本発明の透過率測定装置は、 市販の分光光度計
の測定値とよく一致しており、リニアリティが保証され
ていることが証明された。なお、ArFエキシマレーザ
光の繰り返しが200Hzまで同様の検定を行ったが、高
繰り返し下においてもリニアリティが保証されているこ
とが確認された。
【0045】このように、本発明に係る透過率測定装置
によれば、従来は実現できなかったArFエキシマレー
ザ光などのパルスレーザ光を直接光源としての高精度な
透過率測定が可能となることが分かる。上記例は、測定
対象が光学材料の場合についてであるが、本発明の方法
はこのような光学材料の試験片に限らず、曲率を有する
単レンズや複数のレンズで構成された光学系などの測定
対象の透過率測定にも有効である。又、紫外線パルスレ
ーザ光源としては、KrF(248nm)、ArF(19
3nm)エキシマレーザなどのエキシマレーザのみなら
ず、フッ素分子レーザやその他のパルス発振レーザにも
有効である。
【0046】次に、本発明に係る透過率測定装置を用い
た、透過率測定の第1の測定例を示す。測定対象である
試験片8は、直接法で合成された合成石英ガラスとし
た。試験片8のアルカリ土類金属のMg、Ca、遷移金
属のSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co,Ni、
Cu、Zn、そしてAlの各不純物元素濃度はそれぞれ
20ppb 以下であった。更に、Cl濃度は30ppm 、N
a濃度は検出下限(1ppb )以下であり、K濃度も検出
下限(50ppb )以下であった。又、OH基濃度は10
00ppm であった。なお、Na、K、Clの定量は熱中
性子線照射による放射化分析によって行った。又、アル
カリ土類金属、遷移金属及びAl元素の定量は誘導結合
型プラズマ発光分光法によって行った。又、OH基濃度
は赤外吸収分光法(OH基による1.38μmの吸収量
を測定する)によって測定した。
【0047】試験片8の形状は端面が15mm×15mm、
長さ125mmとした。この試験片8の互いに向かい合う
2つの15mm×15mm端面を、平行度:10秒以内、片
面ごとの平坦度:ニュートンリング3本以内、片面ごと
の表面粗さ:rms=10オングストローム以下になる
ように精密研磨を施し、最終的に試験片8の厚さが12
5±0.1mmとなるように研磨した。更に、表面吸収の
原因となる研磨剤が表面に残留しないように、高純度S
iO2 粉による仕上げ研磨加工を施した。
【0048】次に、エキシマレーザの照射条件について
説明する。図1の光源1には、波長193nmのArFエ
キシマレーザ光を用い、試験片8の研磨面がレーザ光1
01の光軸に対して垂直になるように試験片8を配置し
た。エキシマレーザ光ワンパルス当たりのエネルギー密
度を0.7mJ/cm2 、繰り返しを200Hz、試験片8の
端面に入射するArFエキシマレーザ光のビーム形状を
5mm角に設定した。ビーム形状は図1中に示したよう
な、中心に5mm角の開口部を有するアルミ製のマスク5
a、5bによって整形した。暗箱18の内部は窒素ガス
で置換し、残留酸素濃度は0.1%以内に保持した。
【0049】上記のような条件で試験片8にArFエキ
シマレーザ光を照射して透過率変動の測定を行った結果
を図4に示す。図4のように、本発明の透過率測定装置
によれば、従来技術では測定不可能であった、ArFエ
キシマレーザ光に対する合成石英ガラスの内部透過率を
0.1%/cm以下の精度で測定することができた。図4
から、本第1の測定例で用いた試験片8の、ワンパルス
当たりのエネルギー密度:0.7mJ/cm2 のArFエキ
シマレーザ照射による内部透過率低下の傾きは、3.5
×10ー10 %/パルスであることが分かった。このよう
な低エネルギー密度のArFエキシマレーザ照射時の合
成石英ガラス内部透過率変動特性が得られたのは、本発
明がArFエキシマレーザ光そのものを光源として高精
度な透過率測定を可能にしたことによる。なお、図4の
縦軸は試験片8のArFエキシマレーザ光に対する厚さ
1cm当たりの内部透過率で、以下の式から算出した。
【0050】
【数1】 内部透過率= exp{ln(透過率測定値/理論透過率)/試験片厚さ}・・(1 )
【0051】ここで、透過率測定値は、測定対象である
試験片8をブランクとして測定したときの透過光と参照
光との強度比T0 と、試験片8を用いて測定した強度比
Tとを用い、透過率測定値=T/T0 により求められ
る。理論透過率は、内部吸収が零の場合の透過率、すな
わち試験片表面反射損失のみで決定される透過率を表
し、試験片8の波長193nmでの屈折率から計算するこ
とができる。本第1の測定例の合成石英ガラスの場合、
理論透過率は90.87%であった。図4で照射開始時
の内部透過率が99.87%で、約0.13%の内部損
失が照射前から存在していたことを示しているが、この
内部損失はほとんどが光散乱損失で決定されている。
【0052】次に、本発明に係る透過率測定装置を用い
た透過率測定の第2の測定例を示す。本第2の測定例
は、第1の測定例と同様に図1に示した本発明の装置を
用い、測定対象である試験片8はフッ化カルシウムの結
晶とした。このフッ化カルシウム結晶は、るつぼ降下法
(ブリッジマン法又はストックバーガー法と呼ばれる)
により育成されたものである。本試験片8のNa不純物
含有量は0.38ppm であった。その他の不純物とし
て、Sr、Ba、Mg、Fe、Si、Mn、Laの含有
量はすべて検出下限(1ppm )以下であった。又、その
他の元素についても定性分析したが、検出されなかっ
た。なお、Na含有量は放射化分析によって、検出下限
0.001ppm で測定した。又、その他の金属不純物質
含有量については、誘導結合型プラズマ発光分光法によ
って測定した。
【0053】本第2の測定例の試験片8の形状は端面が
15mm×15mm、長さ50mmとした。第1の測定例と同
様に、この試験片8の互いに向かい合う2つの15mm×
15mm端面を、平行度:10秒以内、片面ごとの平坦
度:ニュートンリング3本以内、片面ごとの表面粗さ:
rms=10オングストローム以下になるように精密研
磨を施し、最終的に試験片8の厚さが50±0.1mmと
なるように研磨した。更に、表面吸収の原因となる研磨
剤が表面に残留しないように、高純度SiO2 粉による
仕上げ研磨加工を施した。
【0054】図1の光源には第1の測定例と同様に波長
193nmのArFエキシマレーザ光を用い、試験片8の
研磨面がレーザ光101の光軸に対して垂直になるよう
に配置した。エキシマレーザ光ワンパルス当たりのエネ
ルギー密度を5、10、20mJ/cm2 、パルス光の繰り
返しを5Hz、試験片8の端面に入射するArFエキシマ
レーザ光のビーム形状を5mm角に設定した。ビーム形状
は図1中に示したような、中心に5mm角の開口部を有す
るアルミ製のマスク5a、5bによって整形した。暗箱
18の内部は窒素ガスで置換し、残留酸素濃度は0.1
%以内に保持した。
【0055】上記のような条件で試験片8にArFエキ
シマレーザ光を照射して透過率変動の測定を行った結果
を図5に示す。図5のように、本発明の透過率測定装置
により、従来技術では測定不可能であった、フッ化カル
シウム結晶のArFエキシマレーザ照射開始直後の内部
透過率変動特性を測定することができた。このように、
本発明の透過率測定装置と透過率測定方法によれば、従
来実現できなかったフッ化カルシウムの内部透過率変動
特性が、5Hzという低繰り返しのエキシマレーザ光に対
しても高精度で測定可能である。なお、図5の縦軸は、
試験片8のArFエキシマレーザ光に対する厚さ1cm当
たりの内部透過率で、第1の測定例と同様に式(1)か
ら算出した。又、本第2の測定例のフッ化カルシウム結
晶の場合、理論透過率は92.27%であった。
【0056】以上のように、透過光・参照光ワンパルス
同時測光法は、紫外線パルスレーザ光のワンパルスが測
定対象を透過する前にこのレーザ光から抽出した参照光
の強度と測定対象を透過した後に抽出した透過光の強度
とを同時に検出し、その強度比を用いて測定対象の透過
率を算出する。このため、レーザ光のパルスごとの強度
変動の影響を解消することができ、従来よりも精度の高
い透過率測定が可能である。
【0057】なお、紫外線パルスレーザ光源としては、
KrF(248nm)、ArF(193nm)エキシマレー
ザなどのエキシマレーザのみならず、フッ素分子レーザ
やその他のパルス発振レーザでも有効である。
【0058】
【発明の効果】本発明に係る紫外線パルスレーザ光に対
する透過率測定方法及び測定装置によれば、透過光・参
照光ワンパルス同時測光法、すなわち紫外線パルスレー
ザ光のワンパルスが測定対象を透過する前にこのレーザ
光から抽出した参照光の強度と測定対象を透過した後に
抽出した透過光の強度とを同時に検出し、その強度比を
用いて測定対象の透過率を算出する方法を用いるので、
従来は実現できなかったArFエキシマレーザ光などの
パルスレーザ光を直接光源としての高精度な透過率測定
が可能となる。
【0059】上記測定方法及び測定装置により、ArF
エキシマレーザ光が単発から繰り返し2KHzまでの範囲
での透過率測定が可能となり、又、低エネルギー密度の
ArFエキシマレーザ照射時の合成石英ガラス内部透過
率変動特性が得られるので、従来技術では測定不可能で
あったArFエキシマレーザ光に対する合成石英ガラス
の内部透過率を0.1%/cm以下の精度で測定すること
ができる。
【0060】又、フッ化カルシウム結晶の内部透過率変
動特性が5Hzという低繰り返しのArFエキシマレーザ
光に対しても高精度で測定可能となり、従来技術では不
可能であったフッ化カルシウム結晶のArFエキシマレ
ーザ照射開始直後の内部透過率変動特性を測定すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紫外線パルスレーザ光に対する透
過率測定装置の構成図である。
【図2】本発明の装置の透過率測定精度を示す図
(a)、及びエキシマレーザ光のパルスごとの強度を示
す図(b)である。
【図3】本発明の装置のリニアリティ特性を示す図であ
る。
【図4】本発明の装置を用いて合成石英ガラスの透過率
変動を測定した結果を示す図である。
【図5】本発明の装置を用いてフッ化カルシウムの結晶
の透過率変動を測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 紫外線パルスレーザ装置 6a 参照光用ビームスプリッタ 6b 透過光用ビームスプリッタ 8 試験片 11a 参照光側検出器 11b 透過光側検出器 16 AD変換器 18 暗箱

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外線パルスレーザ光に対する透過率測
    定方法であって、 前記紫外線パルスレーザ光のワンパルスが測定対象を透
    過する前に前記レーザ光から抽出した参照光の強度と前
    記測定対象を透過した後に抽出した透過光の強度とを同
    時に測定し、前記参照光の強度と前記透過光の強度とか
    ら第1強度比を算出する第1工程と、 前記測定対象を取り外して第1工程と同様に測定される
    参照光の強度及び透過光の強度とから第2強度比を算出
    する第2工程と、 前記第1工程により求められる前記第1強度比と、前記
    第2工程により求められる前記第2強度比とから、前記
    測定対象の透過率を算出する第3工程とを有することを
    特徴とする紫外線パルスレーザ光に対する透過率測定方
    法。
  2. 【請求項2】 前記紫外線パルスレーザ光が単発から繰
    り返し2KHzまでの範囲で用いられることを特徴とする
    請求項1記載の紫外線パルスレーザ光に対する透過率測
    定方法。
  3. 【請求項3】 前記紫外線パルスレーザ光が、エキシマ
    レーザ或いはフッ素分子レーザであることを特徴とする
    請求項1又は請求項2記載の紫外線パルスレーザ光に対
    する透過率測定方法。
  4. 【請求項4】 前記測定対象が光学材料であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線パルス
    レーザ光に対する透過率測定方法。
  5. 【請求項5】 前記光学材料が石英ガラスであることを
    特徴とする請求項4記載の紫外線パルスレーザ光に対す
    る透過率測定方法。
  6. 【請求項6】 前記光学材料がフッ化カルシウム結晶で
    あることを特徴とする請求項4記載の紫外線パルスレー
    ザ光に対する透過率測定方法。
  7. 【請求項7】 紫外線パルスレーザ光に対する透過率測
    定装置であって、 前記紫外線パルスレーザ光が測定対象を透過する前に前
    記レーザ光から抽出した参照光の強度と前記測定対象を
    透過した後に抽出した透過光の強度とを同時に検出する
    光検出部と、 前記参照光の強度と前記透過光の強度とを同時にアナロ
    グーデジタル変換するアナログーデジタル変換部と、 前記アナログーデジタル変換部により変換されたデジタ
    ル参照光信号とデジタル透過光信号とを演算処理するこ
    とにより前記参照光と前記透過光との強度比及び前記測
    定対象の透過率を算出する演算部とを備えることを特徴
    とする紫外線パルスレーザ光に対する透過率測定装置。
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