JPH1183627A - 土壌の光学特性測定装置 - Google Patents

土壌の光学特性測定装置

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JPH1183627A
JPH1183627A JP25433197A JP25433197A JPH1183627A JP H1183627 A JPH1183627 A JP H1183627A JP 25433197 A JP25433197 A JP 25433197A JP 25433197 A JP25433197 A JP 25433197A JP H1183627 A JPH1183627 A JP H1183627A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土壌の形状や土壌面の凹凸等に影響されず、
土壌の光学的特性を精度よく測定するできるようにす
る。土壌面との距離を大きくして、測定精度を向上させ
る。 【解決手段】 光源22から出射された白色光を土壌面
3に照射する。土壌面3で散乱反射された白色光を集光
レンズ23で集光して光積分球24内部に集光させる。
このとき土壌面3の像を光積分球24の受光窓30に結
像させて縮小投影するようにしてある。光積分球24内
の光は分光装置25に導かれて分光され、分光された光
は光検出器26により受光される。データ処理装置25
は光検出器26の受光信号に基づいて光スペクトルを求
め、反射散乱光の光スペクトルに基づいて土壌成分を判
別する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は土壌の光学特性測定
装置に関する。特に、土壌の光学特性を測定し、土壌の
成分を分析するための光学特性測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】農産物の収量を増加させるためには、土
壌中の有機成分や肥料等の不足分を補給し、耕作地全体
の土壌の均質化を図る必要がある。そのためには、土壌
の成分を分析する必要があり、特にリアルタイムに成分
分析することが望まれる。
【0003】そのための土壌成分分析装置としては、図
1に示すようなものが知られている(Soil Organic Mat
ter, CEC, and Moisture Sensing with a Portable NIR
Spectrophotometer; K. A. Sudduth, J. W. Hummel: T
ransactions of the ASAE, 1993 Vol.36, 1571-158
2)。この土壌成分分析装置1は、トラクタ後部の鋤2
の直後に取り付けられており、トラクタで土壌成分分析
装置1を牽引して圃場を移動し、鋤2で露出させられた
新しい土壌面3を土壌成分分析装置1で分析し、土壌中
の有機物量や水分等を測定するものである。
【0004】この土壌成分分析装置1においては、光源
4から放射された白色光は、集光レンズ5によりバンド
ル光ファイバ6の一方端面に集光される。このとき、集
光レンズ5で集光された白色光は、スリット板7及び波
長選択フィルタ8を通過してバンドル光ファイバ6の端
面に入射する。波長選択フィルタ8は、図2に示すよう
な円板状をしたフィルタディスク9の扇形開口10に設
けられており、フィルタディスク9の円周方向に沿って
選択波長(透過波長)が連続的に変化するように配設さ
れている。フィルタディスク9は回転モータ11によっ
て回転駆動される。スリット板7の開口12はフィルタ
ディスク9の半径方向に沿って細長く位置しているの
で、フィルタディスク9が回転していると、スリット板
7及び波長選択フィルタ8を通過してバンドル光ファイ
バ6の端面に入射する単色の測定光の波長は連続的に変
化する。波長選択フィルタ8による選択波長は、400
〜2500nmの範囲の紫外光から近赤外光を用いるこ
とが多い。回転モータ11によるフィルタディスク9の
回転は、モータ制御部13によって制御されており、モ
ータ制御信号はモータ制御部13からデータ処理装置1
4へも送出されているので、データ処理装置14ではバ
ンドル光ファイバ6の端面に入射されている測定光(単
色光)の波長を認識している。バンドル光ファイバ6の
他端は投受光箱15へ導かれており、バンドル光ファイ
バ6の一方端面から入射した測定光は、バンドル光ファ
イバ6内部を伝搬して他方端面から出射し、投受光箱1
5の底面に設けられた石英窓16を透過し、鋤2によっ
て露出させられた耕作地等の新しい土壌面3へ照射され
る。
【0005】こうして土壌面3に照射された単色の測定
光は土壌面3で散乱反射され、散乱反射光は石英窓16
を通って再び投受光箱15内へ戻る。投受光箱15内へ
戻った散乱反射光の一部は、投受光箱15内部のバンド
ル光ファイバ6近傍に設けられた光検出器17で受光さ
れる。光検出器17は、受光した散乱反射光の強度に応
じた受光信号をデータ処理装置14へ送信する。
【0006】ついで、データ処理装置14は、図3に示
すように、モータ制御部13から受け取ったモータ制御
信号を測定光の波長データに変換し(S1)、この波長
データと光検出器17における受光信号とから当該土壌
の散乱反射光の光スペクトルを作成し(S2)、この散
乱反射光の光スペクトル強度に関するデータを、予め作
成してある所定の回帰式に代入する(S3)ことによっ
て当該土壌の成分を分析し、分析結果を表示部(図示せ
ず)に表示する(S4)。なお、回帰式は、多変量解析
として知られる手続により作成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の土壌成分分析装
置は、上記のように鋤で露出させた新しい土壌面にバン
ドル光ファイバから連続的に変化する測定光(単色光)
を照射し、土壌面で散乱反射した光をバンドル光ファイ
バの近傍に配置した光検出器で受光し、その受光強度か
ら散乱反射光の光スペクトルを得ている。
【0008】しかしながら、土壌は一般に粒子の大きさ
や構造、土質が不均一で、さらには小さな石や異物など
が混入していることが多い。土壌にこのような不均一が
存在していると、土壌に測定光を照射しても、その散乱
反射光は全方位に均等に反射されず、特定の方向に強く
あるいは弱く、偏って反射されることになり、光照射の
方向や光検出器の位置によって光学特性が異なり、正確
に土壌成分を分析できない。
【0009】また、土壌成分分析装置を圃場で移動させ
て連続的に土壌の光学特性を測定する場合には、土壌面
と光検出器の距離が土壌成分分析装置の移動によって変
動するので、土壌に照射される照射面積が変動し、また
土壌から光検出器に入射する散乱反射光の強度が変動す
るため、土壌の光学特性の測定精度が低下し、正確に土
壌成分を知ることができなかった。
【0010】従来の土壌成分分析装置では、土壌面と光
検出器の距離が短い(例えば、15mm程度)ので、こ
のような原因による測定精度の低下やばらつきが著しか
った。土壌面と光検出器の距離の変動による測定精度の
低下などを低減するためには、土壌面と光検出器等との
距離を長くすればよいが、従来の土壌成分分析装置で
は、土壌面と光検出器との距離を長くすると、光検出器
に入射する散乱反射光の強度が急激に低減するので、か
えって測定精度が低下したり、測定不能になっていた。
【0011】本発明は前述の従来例の欠点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、土壌の形状
や構造、土質等あるいは土壌面の凹凸のばらつき等によ
らず、土壌の光学的特性を精度よく測定することがで
き、また土壌面と光検出器との光学的距離を長くして測
定精度を向上させることができる土壌の光学特性測定装
置を提供することにある。
【0012】
【発明の開示】請求項1に記載の土壌の光学特性測定装
置は、土壌面に向けて、波長帯域の広い測定光を照射す
る光源と、土壌面で散乱反射された測定光を捕捉して閉
じ込める光捕捉部と、土壌面で散乱反射された測定光を
集光して、前記光捕捉部内へ導く集光手段と、前記光捕
捉部内の光を分光する手段と、前記分光手段によって分
光された光を受光する光検出器と、前記光検出器の測定
データに基づいて土壌の光学特性を分析する手段とを備
えたことを特徴としている。
【0013】この土壌の光学特性測定装置にあっては、
光源から土壌面に向けて測定光を照射し、土壌面で散乱
反射された測定光を集光手段で光捕捉部内に集めて捕捉
する。光捕捉部内に閉じ込められた散乱反射光は、光捕
捉部内で何度か反射された後、分光手段に入射する。分
光手段で分光された光は光検出器で受光される。分析手
段は、光検出器の測定データ(受光量)に基づいて土壌
の光学特性を分析する。
【0014】従って、本発明によれば、土壌面で散乱反
射された測定光を光検出器で直接受光するのでなく、土
壌面で散乱反射され大きな立体角で放射された広い範囲
の散乱反射光を光捕捉部内に捕捉することによって平均
化して光検出器で検出することができるので、土壌の形
状や構造、土質、粒子の大きさ等によらず土壌本来の光
学的特性を測定することができ、測定データの信頼性を
向上させることができる。
【0015】また、土壌面で散乱反射された測定光を集
光手段により集光させて光捕捉部内へ導いているので、
土壌面と光捕捉部との距離が長い場合でも、土壌面の広
い面積にわたって散乱反射した測定光を集めて光補捉部
内へ導くことができ、光検出器における受光強度を高く
することができる。さらに、土壌面には波長帯域の広い
光、例えば白色光を照射しているので、土壌面の照射強
度を大きくでき、一層土壌面と光検出器との距離を長く
できる。
【0016】従って、土壌面と光捕捉部ひいては光検出
器との距離を長くすることができるので、測定地域での
移動によって土壌面と光検出器との距離が変動しても土
壌の光学的特性に及ぼす影響が少なくなり、測定精度が
向上し、測定ばらつきが低減される。
【0017】請求項2に記載の土壌の光学特性測定装置
は、土壌面に向けて、複数波長からなる測定光を照射す
る光源と、土壌面で散乱反射された測定光を捕捉して閉
じ込める光捕捉部と、土壌面で散乱反射された測定光を
集光して、前記光捕捉部内へ導く集光手段と、前記光捕
捉部内の光を異なる波長毎に分離する手段と、前記分離
手段によって分離された光を受光する光検出器と、前記
光検出器の測定データに基づいて土壌の光学特性を分析
する手段とを備えたことを特徴としている。
【0018】この土壌の光学特性測定装置は、請求項1
の光学特性測定装置とは、光源が離散的な複数波長の測
定光を照射する点で異なっているが、このような光学特
性測定装置にあっても、請求項1の光学特性測定装置と
同様な作用効果を奏する。すなわち、土壌の形状や構
造、土質、粒子の大きさ等によらず土壌本来の光学的特
性を測定することができ、測定データの信頼性を向上さ
せることができる。また、土壌面と光検出器との距離を
長くできるので、測定地域での移動によって土壌面と光
検出器との距離が変動しても土壌の光学的特性に及ぼす
影響が少なくなり、測定精度が向上し、測定ばらつきが
低減される。
【0019】上記光捕捉部としては、請求項3に記載の
ように、高反射率の内面を有する略球状の空洞を用いる
ことができる。このような光捕捉部にあっては、開口か
ら光捕捉部内に入った散乱反射光は土壌面における反射
方向によらず、光捕捉部の内面で反射を繰り返して分光
手段に入るので、光受光器では各方向へ反射された光の
強度を平均化したものを検出することができる。
【0020】また、光捕捉部としては、請求項4に記載
のように、光入射側端部の面積が比較的大きく、光出射
側端部の面積が比較的小さな光導波路を用いることもで
きる。このような光捕捉部にあっては、光入射側端部か
ら光捕捉部内に入った散乱反射光は土壌面における反射
方向によらず、光導波路内で反射を繰り返して光出射側
端部に集中して分光手段に入るので、光受光器では各方
向へ反射された光の強度を平均化したものを検出するこ
とができる。
【0021】請求項5に記載の実施態様は、請求項1又
は2に記載の土壌の光学特性測定装置において、土壌面
との対向部分と土壌面の間を遮光部材で覆ったことを特
徴としている。
【0022】この実施態様のように、土壌面との間を遮
光部材で覆うようにすれば、外乱光の影響を排除するこ
とができ、測定感度や信頼性をより向上させることがで
きる。
【0023】請求項6に記載の実施態様は、請求項1又
は2に記載の土壌の光学特性測定装置において、前記光
源から投光方向に参照板を配置したり、投光方向から外
れた位置へ取り除いたりできるようにしたことを特徴と
している。
【0024】この実施態様によれば、光源の投光方向に
参照板を配置し、参照板に測定光を照射して参照板の光
学特性をモニターすることによって、光学系の不安定性
(例えば、光検出器の感度変化や光源の光源強度の揺ら
ぎ等)による光学特性の変動を補正することができる。
なお、参照板を光源の投光方向から外れた位置へ移動さ
せることにより、土壌面を測定できる。
【0025】請求項7に記載の実施態様は、請求項1又
は2に記載の土壌の光学特性測定装置において、測定位
置を特定するための測定位置計測装置を備えたことを特
徴としている。
【0026】この実施態様によれば、測定位置計測装置
により測定位置を特定することができるので、測定デー
タと測定位置とを関連付けることができる。従って、土
壌成分などの測定データを測定地域全体で総合的に分析
することができる。また、後日、測定データに基づいて
土壌改良を行なう場合にも、測定位置と関連付けられて
いるので、容易に作業を行なうことができる。
【0027】特に、請求項8に記載の実施態様は、位置
情報と測定データとから、土壌の特性マップを自動作成
することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)図4は本発明の一実施形態による土
壌の光学特性測定装置21の構成を示す概略図である。
この光学特性測定装置21は、光源22、集光レンズ2
3、光積分球24、分光装置25、光検出器26および
データ処理装置27から構成されている。光源22は、
白色光を土壌面3へ照射するものであって、ハロゲンラ
ンプ等からなる。光源22は、集光レンズ(単レンズ)
23を保持する鏡筒28の外周部に環状に配置されてお
り、光源22の上面側及び外周側は反射板29により覆
われている。なお、図示していないが、集光レンズ23
の鏡筒28と光積分球24の間は、外乱光が入らないよ
う適宜手段により遮光されている。
【0029】光源22から出射された白色光(測定光)
は土壌面3を照射する。この土壌面3は鋤2によって土
壌を掻き取って露出させた新しい土壌面であって、光源
22及び集光レンズ23とほぼ一定の距離にある。ここ
で、光源22からの白色光を土壌面3に照射するように
しているので、土壌面3の照射強度を大きくできる。
【0030】光積分球24は、略球殻状をしていて下面
には受光窓30が設けられている。光積分球24の内部
には、光捕捉部となる空洞が設けられており、その内壁
面は反射率がほぼ100%の光拡散面(または、鏡面)
となっている。この光積分球24の一部には、内部の光
を分光装置25へ導くための透孔31が開口されてい
る。
【0031】ここで、集光レンズ23及び光積分球24
の位置関係は、鋤2によって露出させられた新しい土壌
面3の像を集光レンズ23によって光積分球24の受光
窓30に結像させるようにしている。すなわち、集光レ
ンズ23の焦点距離をf、土壌面3と集光レンズ23の
距離をa、集光レンズ23と受光窓30の距離をbとす
れば、 (1/a)+(1/b)=(1/f) の関係をほぼ満たすようにしている。
【0032】よって、土壌面3と光積分球24との距離
(a+b)が長くても、a>bの関係を満たすように土
壌面3と集光レンズ23の間の距離を充分に取ってあれ
ば、図4からも分かるように、土壌面3の広い面積で散
乱反射された白色光が光積分球24の受光窓30に集め
られる。光積分球24内に入った散乱反射光は、光積分
球24の内部で吸収されることなく拡散反射を繰り返し
た後、透孔31から分光装置25へ導かれる。従って、
光積分球24が土壌面3から大きな距離離れていても、
土壌面3の(受光窓30の面積に比べて)広い面積で散
乱反射された白色光が分光装置25、ひいては光検出器
26へ導かれ、高い測定感度を得ることができる。
【0033】本発明の土壌の光学特性測定装置21にあ
っては、こうして土壌面3と光積分球24ひいては光検
出器26との距離を長くできるので、圃場での移動によ
って土壌面3と光検出器26との距離が変動しても土壌
の光学的特性に及ぼす影響が少なくなり、測定精度が向
上し、測定ばらつきも低減する。
【0034】また、集光レンズ23によって土壌面3の
像を光積分球24の受光窓30に結像させているから、
土壌面3で不規則かつ不均一に様々な方向へ反射された
散乱反射光も受光窓30から光積分球24内へ集めら
れ、光積分球24内部で平均化され、各方向で均一化さ
れた散乱反射光が透孔31から分光装置25へ送り出さ
れる。
【0035】土壌の性質(成分)が同じでも、土壌の表
面の傾きや凹凸、土壌粒子の大きさ等が異なると、その
分布により土壌面3から散乱反射される光の強度は検出
する方向によりばらつきが生じる。しかし、本発明の光
学特性測定装置21のように、土壌面3で散乱反射され
た測定光を分光装置25もしくは光検出器26で直接受
光するのでなく、土壌面3で散乱反射され大きな立体角
で放射された広い範囲の散乱反射光を光積分球24内に
捕捉することによって平均化して分光装置25もしくは
光検出器26で受光すれば、土壌の形状や構造、土質、
粒子の大きさ等によらず土壌本来の光学的特性を測定す
ることができ、測定データの信頼性を向上させることが
できる。
【0036】分光装置25は、光積分球24の透孔31
から導かれた散乱反射光のうち特定波長の光を選択的に
取り出し、その選択波長を所定の最短波長から最長波長
まで一定速度でスキャニングするものである。このよう
な分光装置25としては、例えば従来例(図2)で述べ
たような、波長選択フィルタ(干渉フィルタ)8を備え
たフィルタディスク9とスリット板7からなるものを用
いることができる。
【0037】あるいは、図5に示すように、白色光を色
分散させる回折格子32とスリット板33によって分光
装置25を構成し、回折格子32又はスリット板33を
移動させることによって分光装置25から出射される測
定光の波長を連続的に変化させるようにしたものでもよ
い。
【0038】光検出器26としては、InGaAs、P
bS、PbSeなどの半導体受光素子やシリコンフォト
ダイオードなどを用いることができる。
【0039】こうして光検出器26で分光された散乱反
射光が受光されると、光検出器26からデータ処理装置
27へ受光信号が送られる。一方、データ処理装置27
は、光検出器26を経由して分光装置25から測定光の
波長を示す信号も受信している。測定光が土壌面3で反
射されるとき、土壌の成分によって特定波長の光の吸収
が起きるから、土壌の成分に応じて特有の光スペクトル
(吸収スペクトル)を示す。分光装置25によって分光
により取り出す波長を連続的に変化させながら、光検出
器26で受光している光強度を検出すれば、散乱反射光
の光スペクトルが得られるから、これをデータ処理装置
27で解析することにより当該土壌の成分を分析するこ
とができる。
【0040】(第2の実施形態)図6は本発明の別な実
施形態による土壌の光学特性測定装置34の一部破断し
た断面図である。この実施形態にあっては、集光レンズ
23に外乱光が入って測定精度が低下するのを防止する
ため、反射板29から延出するようにして土壌面3の近
くまで遮光カバー35を垂下している。また、光源22
及び集光レンズ23の下方には参照板36が設けられて
おり、参照板36は一端を遮光カバー35に枢着し、参
照板36を立てて遮光カバー35の下面を開き、参照板
36を倒して遮光カバー35の下面を閉じるようにして
いる。参照板36としては、アルミナなどのセラミック
板などを用いることができ、その両面は反射率がほぼ1
00%となっている。
【0041】この実施形態によれば、参照板36を倒し
て遮光カバー35の下面を閉じ、参照板36に白色光を
照射して参照板36の光スペクトルをモニターすること
によって、光学系の不安定性(例えば、光検出器26の
感度変化や光源強度の揺らぎ等)による光学特性の変動
を検出し、測定データの補正に使用することができる。
なお、参照板36を立てて遮光カバー35の下面を開く
ことにより、土壌面3を測定できる。
【0042】また、遮光カバー35の、立てた参照板3
6と対向する箇所には、高圧エア噴射ノズル37を設け
てあり、参照板36が開かれたとき、高圧エア噴射ノズ
ル37から高圧空気を参照板36に吹き付けることによ
り参照板36に付着した土や泥などを清掃除去できるよ
うにしている。なお、清掃する面は、白色光を照射する
参照板36の上面側である。
【0043】この実施形態では、分光装置25としては
反射型回折格子38を用いており、光検出器26として
はダイオードアレイ39を用いている。このような構成
によれば、ダイオードアレイ39の各ダイオード素子で
各波長を受光できるので、分光装置の波長をスキャンす
るための構造が不要となり、所定の光スペクトルを同時
に測定でき、光の利用効率が良好となる。
【0044】(第3の実施形態)図7は本発明のさらに
別な実施形態による土壌の光学特性測定装置40の構成
を示す概略図である。この光学特性測定装置40にあっ
ては、集光手段として、凸面鏡41と孔あき凹面鏡42
からなる屈折反射鏡43を用いている。このような構成
によれば、土壌面3から光積分球24までの実際の距離
に比べて土壌面3から光積分球24までの光学的距離を
長くすることができ、光学特性測定装置40をコンパク
ト化できる。
【0045】また、光積分球24と分光装置25とを直
結することなく、光ファイバ44(もしくは光ファイバ
束)を用いて光学的に結合しているので、分光装置25
等の配置の自由度が増し、光学特性測定装置40をコン
パクト化できる。
【0046】(第4の実施形態)図8は本発明のさらに
別な実施形態による土壌の光学特性測定装置45の構成
を示す概略図である。この光学特性測定装置45にあっ
ては、集光レンズ23としてフレネルレンズ(回折レン
ズ)を用いている。また、光積分球24に代えテーパ形
状の光導波路46を用いており、端面の寸法の大きな側
(光入射側端面)を集光レンズ23側に向け、端面の寸
法の小さな側(光出射側端面)に分光装置25を配置し
ている。
【0047】図8では、円錐台状をした筒体の内周面が
鏡面となった光導波路46を示しているが、屈折率の大
きな透明樹脂によって円錐台状に形成した光導波路46
を用いてもよい。
【0048】この実施形態にあっても、集光レンズ23
によって土壌面3の像が光導波路46の入射側端面に結
像されるようにしてあり、広い面積の土壌面3で散乱反
射した白色光が光導波路46に集められ、また各散乱方
向の反射光も光導波路46に集められ、光導波路46に
入った散乱反射光は光導波路46内を反射しながら分光
装置25に入射する。
【0049】従って、土壌面3の凹凸などによらず、平
均化された散乱反射光を分光器へ導くことができ、測定
精度を安定化できる。
【0050】(第5の実施形態)図9(a)は本発明の
さらに別な実施形態による土壌の光学特性測定装置の光
源22を示す概略図、図9(b)は分光装置(波長分離
装置)25及び光検出器26の構成を示す図である。こ
れは光源光として白色光を用いない実施形態である。図
9(a)に示すように、異なる発光波長を有する複数個
例えば3個の発光ダイオード(LED)や半導体レーザ
ー素子(LD)等の発光素子47a,47b,47cを
1組みにして鏡筒28の周囲に配置して光源22を構成
している。従って、この実施形態では、光源22から
は、3つの波長λ1,λ2,λ3の光が土壌面3に照射
される。
【0051】一方、分光装置25は、図9(b)に示す
ように、光積分球24から入射した散乱反射光をコリメ
ートするコリメート鏡48と、波長λ1の光のみを透過
させるダイクロイックミラー49、波長λ3の光のみを
透過させるダイクロイックミラー50、波長λ1の光の
みを透過させるバンドパスフィルタ51、波長λ2の光
のみを透過させるバンドパスフィルタ52、波長λ3の
光のみを透過させるバンドパスフィルタ53からなって
おり、波長λ1の光を受光するための光検出器26aは
バンドパスフィルタ51の透過側に配置され、波長λ2
の光を受光するための光検出器26bはバンドパスフィ
ルタ52の透過側に配置され、波長λ3の光を受光する
ための光検出器26cはバンドパスフィルタ53の透過
側に配置されている。
【0052】(第6の実施形態)図10は本発明のさら
に別な実施形態による土壌の光学特性測定装置54の受
光側の構成を示す概略図である。この実施形態は、高精
度の測定を目的とするものであって、分光装置25とし
ては、音響光学波長チューニング素子(Acoust-Optic T
unable Filter; 以下、AOTFという)55を用い
ている。
【0053】AOTF55とは、白色光から単色光を分
離し、電気的に波長をスキャンするバンドパスフィルタ
であって、可動部分を持たない。AOTF55は、音響
光学結晶[例えば、二酸化テルル(TeO2)結晶の音
響波と光の進行方向が交差するもの]56と音響波ドラ
イバー57からなり、図11に示すように、結晶56の
対向する辺にトランスジューサ(Acoustic Transduce
r)58とアブソーバ(Acoustic Absorber)59が貼り
付けられており、音響波ドライバー57からトランスジ
ューサ58にRF周波数の電気信号が印加されると、ト
ランスジューサ58からアブソーバ59へと結晶56中
を音響波が通過し、音響波が通過するとき、結晶56中
に生じる歪がグレーティングのような働きをする。この
AOTF55に白色光が照射されていると、単色光だけ
が透過し、しかも、この透過波長はRF周波数によって
制御することができる。この透過波長の半値幅は、波長
にもよるが1nmのオーダーまで狭くすることができ、
透過率も高く最高98%まで可能である。ただし、透過
光は0次回折光と±1次回折光とに分離するので、図1
1に示すように、0次回折光と−1次回折光(又は、+
1次回折光)は光検出器26に達しないよう遮蔽板60
によりカットする。
【0054】こうしてAOTF55からなる分光装置2
5を透過した単色光が光検出器26に照射され、照射波
長は音響波ドライバー57によって最短波長から最長波
長まで(例えば、400nm〜2500nm)スキャン
される。分光装置25としてAOTF55を用いれば、
可動部分がなく、電気的に波長を制御できるから、波長
スキャン速度を高速化することができる。また、光検出
器26には、InGaAs素子のような応答性のよい受
光素子を用いている。
【0055】一方、データ処理装置27は、音響波ドラ
イバー57からの信号によって照射波長を検知するとと
もに、光検出器26から受光信号を受信している。デー
タ処理装置27が、受光信号から光スペクトルを求める
方式としては、フーリエ変換型分光法を用いるのが好ま
しく、特に、インタフェログラム(interferogram)を
用いる方法が望ましい。ここで、インタフェログラムと
は、光線束干渉計の光路差を変えるとき、光路差xの関
数として測定記録した干渉光強度の変化F(x)のこと
をいい、インタフェログラムF(x)をフーリエ逆変換
することにより光スペクトルが求められる。これらのイ
ンタフェログラムやフーリエ変換型分光法などは、光ス
ペクトルを求めるための常法であるから、詳しい説明は
省略する。
【0056】また、この光学特性測定装置54は、光源
22の時間的変動を補正するための参照板36を備えて
おり、つぎのような順序で光吸収スペクトルを求める。
まず、参照板36を降ろして遮光カバー35の下面を閉
じ、その状態で測定光の照射波長をスキャンして参照板
36の拡散反射強度スペクトルR(λ)を測定する。つ
いで、参照板36を上げて遮光カバー35の下面を開
き、再度測定光の照射波長をスキャンして土壌の拡散反
射強度スペクトルS(λ)を測定する。そして、 吸収強度 Abs(λ)=log[R(λ)/S(λ)] から土壌の光吸収スペクトルを求める。
【0057】この実施形態の光学特性測定装置54で
は、分光装置25として、電気的に高速高精度の波長
スキャンが可能なAOTF55を用いること、参照板
36を用いて光源22の揺らぎ等を補正すること、イ
ンタフェログラムにより光スペクトルを求めること、な
どによって高精度の土壌成分分析を可能にしている。
【0058】(第7の実施形態)図12は本発明のさら
に別な実施形態による土壌の光学特性測定装置61の構
成を示す概略図である。この光学特性測定装置61は、
測定位置検出装置62を備えている。測定位置検出装置
62としては、人工衛生を利用した測位システム(GP
S; Grobal Positioning System)、ジャイロセンサ等
を用いて移動方向や移動量を監視することによって位置
を検出する方式のものなどを用いることができる。測定
位置検出装置62によって検出された位置情報はマップ
作成部へ送られる。マップ作成部63では、データ処理
装置27から得た土壌成分の情報と測定位置検出装置6
2から得た測定位置情報を関連付けて蓄積し、測定地域
全体における土壌成分マップを自動作成する。作成され
た土壌マップは、記録媒体に保存され、あるいはディス
プレイに表示され、あるいはプリンタ等から出力され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の土壌成分分析装置の構成を示す概略図で
ある。
【図2】同上のフィルタディスクを示す平面図である。
【図3】データ処理装置における処理手順を示すフロー
図である。
【図4】本発明の一実施形態による土壌の光学特性測定
装置の構成を示す概略図である。
【図5】同上の光学特性測定装置に用いられている分光
装置の原理図である。
【図6】本発明の別な実施形態による土壌の光学特性測
定装置を示す一部破断した概略断面図である。
【図7】本発明のさらに別な実施形態による土壌の光学
特性測定装置を示す一部破断した概略断面図である。
【図8】本発明のさらに別な実施形態による土壌の光学
特性測定装置を示す一部破断した概略断面図である。
【図9】本発明のさらに別な実施形態による土壌の光学
特性測定装置を説明する図であって、(a)は光源部分
を示し、(b)は分光装置及び光検出器を示す。
【図10】本発明のさらに別な実施形態による土壌の光
学特性測定装置を示す概略断面図である。
【図11】音響光学波長チューニング素子の概略を示す
説明図である。
【図12】本発明のさらに別な実施形態による土壌の光
学特性測定装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
3 土壌面 22 光源 24 光積分球 25 分光装置 26 光検出器 27 データ処理装置 35 遮光カバー 36 参照板 47a,47b,47c 発光素子 62 測定位置検出装置 63 マップ作成部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土壌面に向けて、波長帯域の広い測定光
    を照射する光源と、 土壌面で散乱反射された測定光を捕捉して閉じ込める光
    捕捉部と、 土壌面で散乱反射された測定光を集光して、前記光捕捉
    部内へ導く集光手段と、 前記光捕捉部内の光を分光する手段と、 前記分光手段によって分光された光を受光する光検出器
    と、 前記光検出器の測定データに基づいて土壌の光学特性を
    分析する手段と、を備えた土壌の光学特性測定装置。
  2. 【請求項2】 土壌面に向けて、複数波長からなる測定
    光を照射する光源と、 土壌面で散乱反射された測定光を捕捉して閉じ込める光
    捕捉部と、 土壌面で散乱反射された測定光を集光して、前記光捕捉
    部内へ導く集光手段と、 前記光捕捉部内の光を異なる波長毎に分離する手段と、 前記分離手段によって分離された光を受光する光検出器
    と、 前記光検出器の測定データに基づいて土壌の光学特性を
    分析する手段と、を備えた土壌の光学特性測定装置。
  3. 【請求項3】 前記光捕捉部は、高反射率の内面を有す
    る略球状の空洞であることを特徴とする、請求項1又は
    2に記載の土壌の光学特性測定装置。
  4. 【請求項4】 前記光捕捉部は、光入射側端部の面積が
    比較的大きく、光出射側端部の面積が比較的小さな光導
    波路によって形成されていることを特徴とする、請求項
    1又は2に記載の土壌の光学特性測定装置。
  5. 【請求項5】 土壌面との対向部分と土壌面の間を遮光
    部材で覆ったことを特徴とする、請求項1又は2に記載
    の土壌の光学特性測定装置。
  6. 【請求項6】 前記光源から投光方向に参照板を配置し
    たり、投光方向から外れた位置へ取り除いたりできるよ
    うにした、請求項1又は2に記載の土壌の光学特性測定
    装置。
  7. 【請求項7】 測定位置を特定するための測定位置計測
    装置を備えた、請求項1又は2に記載の土壌の光学特性
    測定装置。
  8. 【請求項8】 前記測定位置計測装置から出力された位
    置情報と、前記光学特性分析手段により得られた測定デ
    ータとから、土壌の特性マップを作成する手段を備え
    た、請求項7に記載の土壌の光学特性測定装置。
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