JPH1175644A - 魚釣用スピニングリールのスプール支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スプールと別体構造のドラッグノブガードを
スプールに対して遊転自在に支持する構造が簡単で、し
かも工具無しで簡単に組み付けることができる支持構造
を提供することにある。 【解決手段】 ハンドルの回動によって軸方向に往復動
するメインシャフト１に取り付けたドラッグ体２にスプ
ール３を着脱可能に螺合し、メインシャフト１の先部に
前記ドラッグ体２に付与するドラッグ力を強弱調節する
ドラッグノブ４を螺合すると共に、前記スプール３の前
面部に形成した係合環状溝13にドラッグノブガード６を
弾性変形を利用して遊転可能に係着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は魚釣用スピニングリ
ールにおけるスプールの支持構造に関し、詳しくはドラ
ッグ機構を備えたスプールの着脱を、メインシャフトに
螺合されたドラッグノブを外すことなく行うことができ
るスプール支持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般的に魚釣用スピニングリールにおけ
るスプールの支持構造は、ハンドルの回動によって軸方
向に往復動するメインシャフトにスプールが回転可能に
軸支され、そのスプールとメインシャフトとの間にドラ
ッグ機構を構成するドラッグワッシャが装着されると共
に、そのドラッグワッシャ相互の摩擦係合力を強弱調節
するドラッグノブがスプールを貫通するメインシャフト
の先部に螺合され、このドラッグノブを締め付けること
でドラッグ力が「強」となり、ドラッグノブを緩めるこ
とでドラッグ力が「弱」となるようになっている。その
為に、釣糸が巻回されたスプールを交換する場合は、メ
インシャフトに螺合されたドラッグノブを緩めて該シャ
フトから外さなければならず、操作が面倒であると共
に、メインシャフトから外したドラッグノブを紛失する
といった問題を有する。

【０００３】そこで、本件出願人はドラッグノブをメイ
ンシャフトから外さなくともスプールをメインシャフト
から外すことができるスプールの支持構造を開発し、特
開平９−１１９号公報、特開平９−１５４４５２号公報
等として提案済みである。その支持構造は、図７に示す
ようにハンドルの回動によって軸方向に往復動するメイ
ンシャフト200 に、固定ドラッグ体210 と回転ドラッグ
体220 及び両ドラッグ体の間に介在するドラッグワッシ
ャ230 とで構成したドラッグ体240 を取り付け、そのド
ラッグ体の回転ドラッグ体外周にスプール250 を着脱可
能に螺合すると共に、そのスプール250 には回転ドラッ
グ体220 の外周面に螺合するネジ孔に連続して少なくと
も該回転ドラッグ体220 の外径と同径若しくはそれより
大径な貫通孔260 を開設し、前記メインシャフト200 の
先部には前記貫通孔260 に嵌合する外径のドラッグノブ
270 を螺合して前記ドラッグ体220 に付与するドラッグ
力を強弱調節自在とし、更に前記スプール250 の前面部
に前記ドラッグノブ270 が嵌合する通孔を開設したドラ
ッグノブガード280 をスプール250 に対して遊転自在に
取り付けた構成である。（特開平９−１１９号公報） そして、ドラッグノブとドラッグノブガードを一体に構
成する場合は、メインシャフトの先部に螺合してドラッ
グ力を調節する調節体を別途設け、その調節体とドラッ
グノブが周方向は一体回転し、軸方向は分離スライドす
る構成とする。（特開平９−１５４４５２号公報）

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、ドラッグノ
ブはスプールの前面より前方に突出すると共に、貫通孔
内に嵌合されているため、スプールに巻回された釣糸が
ふけた場合、その釣糸がドラッグノブに絡み付いたり、
貫通孔とドラッグノブの間に入り込んでメインシャフト
に絡むといった問題が生じる危険性がある。その為に、
そのようなことが発生するのを防止するためにドラッグ
ノブガードが設けられている。そして、このドラッグノ
ブガードは前記した問題解決に加えてドラッグノブの回
動操作を容易にすることと、製造の面からスプールとは
別体に構成され、このドラッグノブガードはスプールの
前鍔内面に螺合したリング状のリテーナーで支持されて
いる。

【０００５】しかしながら、上記リテーナーはスプール
に対して螺合する構成であるため、スプール及びリテー
ナーには加工寸法精度が要求されると共に、加工工数も
多く、更にこのリテーナーは内嵌めのリングであるため
スプールに締め付け取り付ける操作が困難で、工具を必
要とする等の問題点を有する。

【０００６】本発明は上記した問題点に鑑みてなされた
もので、その課題とするところは、スプールと別体構造
のドラッグノブガードをスプールに対して遊転自在に支
持する構造が簡単で、しかも工具無しで簡単に組み付け
ることができる支持構造を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成する為に
本発明が講じた技術的手段は、スプールの前面部に係合
環状溝を形成し、他方ドラッグノブガードはその外径を
前記係合環状溝の内径よりも小径とし、且つその外周の
一部に、中心からの半径が係合環状溝の内径より大きく
係合環状溝の外径より小さい係合突部を突出形成すると
共に、該ドラッグノブガードを合成樹脂材によって弾性
変形可能に構成する。（請求項１）

【０００８】ドラッグノブガードの外周に形成する係合
突部の形態としては、直径線上の相対した箇所に上記の
条件を満足する突部を形成すると共に、その突部の両側
は該突部が位置する直径線と直交する直径線上の外周に
その突部の量を徐々に減少させながら流れ込む平面略楕
円形、或いは直径線上の相対した箇所にのみ突部を設け
る形態等、何れでもよい。（請求項２） 又、ドラッグノブガードの外周縁は内側に向けて斜めに
カットし、スプールの係合環状溝が形成された周面も傾
斜面にすることで係合環状溝への入り込みがスムーズに
行われるようにする。更に、ドラッグノブガードの弾性
変形を容易ならしめる構成としては、該ドラッグノブガ
ードがドラッグノブと別体の場合は、ドラッグノブガー
ドは中央にドラッグノブが貫通する通孔が形成されたド
ーナツ状を呈し、この通孔が変形して外径の縮小化が可
能となる。又、前記係合突部を除くドーナツ状の平板部
分に径方向に沿うスリットを設けて外径変化をさせるよ
うにしてもよい更に、ドラッグノブにドラッグノブガー
ドが一体に形成されたものにあっては、ドラッグノブの
外周に形成された平板部分に溝を切欠形成して外径変化
を可能にするなどの形態が挙げられる。

【０００９】また、スプールの前面部に係合環状溝を形
成し、他方ドラッグノブガードはその外径を前記係合環
状溝の内径よりも小径とすると共に、外周に環状溝を形
成し、且つ、その環状溝に前記係合環状溝に係合される
係合リングを嵌合してなり、該係合リングを、外周縁部
から内周縁部間の幅を環状溝の深さと同等以下とすると
共に、長手方向の内周縁部から環状溝の内周面までの距
離を環状溝の深さと同等以上とし、且つ、長手方向の外
径を係合環状溝の内径よりも大径とし、他方短手方向の
外径をドラッグノブガードの外径と同等以下とする楕円
状もしくは長円状に形成し、更に該係合リングを合成樹
脂材等によって弾性変形可能に構成する。（請求項３）

【００１０】係合リングの長辺側外周縁は、平常時はド
ラッグノブガードの外周から突出し、外力を加えると環
状溝内に潜り込んでドラッグノブガードの外径と同径に
なる。係合リングの外周縁は内側に向けて斜めにカット
し、スプールの係合環状溝が形成された周面も傾斜面に
することで係合環状溝への入り込みがスムーズに行われ
るようにする。また、係合リングの弾性変形は、楕円
状、又は、長円状を呈する係合リングの内径が変形して
外径の縮小化が可能となる。又、係合リングの短辺側の
一方に径方向に沿うスリットを設けて外径変化をさせる
ようにしてもよい更に、係合リングはドラッグノブガー
ドがドラッグノブと別体の場合あるいは一体の場合で
も、ドラッグノブガードの環状溝に嵌合されるからその
構成を変えることなく兼用できる。

【００１１】上記の請求項１の手段によれば、ドラッグ
ノブガードの係合突部が形成された直径線上の相対した
箇所に外力を内側に向けて加えると、ドラッグノブガー
ドは中央の通孔（ドラッグノブとドラッグノブガードが
別体の場合）、或いはドラッグノブガードの平板部分に
開設した溝（ドラッグノブとドラッグノブガードが一体
の場合）が変形して外力を加えた方向の直径が係合環状
溝の内径より小さくなり、ドラッグノブガードの係合突
部を係合環状溝に嵌入させることができる。そして、ド
ラッグノブガードの外周縁を係合環状溝に嵌めた後、ド
ラッグノブガードに加えていた外力を解除すると、該ド
ラッグノブガードは弾性復元力によって元の状態に戻
り、係合突部が係合環状溝に係合してドラッグノブガー
ドはスプールに係着保持されると共に、スプールに対し
て遊転自在となる。

【００１２】また、請求項３では、ドラッグノブガード
の環状溝に嵌合された係合リングの長辺側に外力を内側
に向けて加えると、係合リングはその内径が変形して外
力を加えた方向の直径が係合環状溝の内径より小さくな
り、係合リングを係合環状溝に嵌入させることができ
る。そして、係合リングの外周縁を係合環状溝に嵌めた
後、係合リングに加えていた外力を解除すると、該係合
リングは弾性復元力によって元の状態に戻り、ドラッグ
ノブガードから突出する係合リングが係合環状溝に係合
してドラッグノブガードはスプールに係着保持されると
共に、スプールに対して遊転自在となる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１乃至図４は本発明における第
１の実施の形態を、図５及び図６は第２の実施の形態
を、図７及び図８は第３の実施の形態を、図９乃至図11
は第４の実施の形態を夫々示している。

【００１４】まず、第１の実施の形態を説明すると、図
１はドラッグノブとドラッグノブガードが別体に構成さ
れた形態を示すスプール部分の断面図で、ハンドル（図
示省略）の回動により回転するローターの中心を貫通し
て外方に突出され、軸方向に前後往復動するメインシャ
フト１の突出部外周にドラッグ体２が取り付けられ、そ
のドラッグ体２の回転ドラッグ体８の外周にスプール３
が着脱可能に螺着され、更にドラッグ体２を貫通して突
出するメインシャフト１の突出先部にドラッグノブ４が
螺合されると共に、そのドラッグノブ４とドラッグ体２
との間にドラッグスプリング５が弾圧装着され、スプー
ル３の前鍔３’の前面部には前記ドラッグノブ４の外側
に位置させてドラッグノブガード６が係脱可能に取り付
けられている。

【００１５】メインシャフト１に取り付けられるドラッ
グ体２は、メインシャフト１の外側に嵌合固定される円
筒体７a の一側端外周に円板状の抵抗板７b を水平に突
設した固定ドラッグ体７と、その固定ドラッグ体７の円
筒体７a の外周に回転可能に嵌合される円筒体８a の一
側端外周に円板状の抵抗板８b を水平に突設した回転ド
ラッグ体８、及び固定ドラッグ体７の抵抗板７b と回転
ドラッグ体８の抵抗板８b との間に挟入装着するドラッ
グワッシャ９とで構成され、固定ドラッグ体７の円筒体
７a がメインシャフト１にピン10で連結された構成され
ている。そして、固定ドラッグ体７の円筒体７a と回転
ドラッグ体８の円筒体８a との間にはスリーブ11が嵌合
配置され、そのスリーブ11と回転ドラッグ体８の円筒体
８a の上端とに亘ってリング状のスラストワッシャ12が
載置され、このスラストワッシャ12に前記ドラッグスプ
リング５の一端が載置されている。又、固定ドラッグ体
７に対して回転可能に嵌合される回転ドラッグ体８の円
筒体８a の外周面には雄ネジが形成され、これにスプー
ル３の胴部３a 内面に形成した雌ネジを締め付け螺合す
ることでドラッグ体２と一体化できると共に、スプール
３を逆方向に回動して緩めればドラッグ体２から分離可
能となる。

【００１６】従って、前記ドラッグノブ４を締め付ける
と該ドラッグノブ４と回転ドラッグ体８の円筒体７a 上
端との間に装着したドラッグスプリング５が弾圧圧縮さ
れて回転ドラッグ体８の抵抗板８b を固定ドラッグ体７
の抵抗板７b との間に装着したドラッグワッシャを圧着
し、固定ドラッグ体７の抵抗板７b に対する回転ドラッ
グ体８の抵抗板８b の摩擦係合力が増大され、スプール
３はドラッグ体２を介して一体回転状となる。そして、
ドラッグノブ４の締め付けを緩めると固定ドラッグ体７
と回転ドラッグ体８との摩擦係合力が弱くなり、スプー
ル３に作用する張力（釣糸を引き出す方向の力）が前記
の摩擦係合力よりも強ければ該スプール３は固定ドラッ
グ体７に対して回転ドラッグ体８がスリップして回転す
る。

【００１７】ドラッグノブ４は略円柱形状に形成され、
その軸心部には前記したメインシャフト１の先部に形成
されたネジ杆部１’に螺合するネジ孔４a が一端面より
所定深さ形成され、且つネジ孔の外側にはドラッグスプ
リング５の他端を受けるバネ受け溝４b が環状に形成さ
れている。尚、外周面には該ドラッグノブ４を指で回動
操作する時、滑り止めの働きをするローレットを形成し
てもよい。又、略円柱状をなすドラッグノブ４の外径
は、前記したスプール３の胴部３aに形成される最小内
径部（図面では回転ドラッグ体の外周面に形成された雄
ネジと螺合する雌ネジの内径）よりも幾分小さく形成
し、これによりドラッグノブ４をメインシャフト１の先
端から外すことなくスプール３を回転ドラッグ体７の円
筒体７a に対して抜き差しすることが可能となる。

【００１８】前記ドラッグノブ４の径方向外側に配置さ
れるドラッグノブガード６は、合成樹脂製の円形平板の
中央に前記ドラッグノブ４が嵌合される通孔６a を開設
したドーナツ状に形成され、その外周の一部、即ち直径
線上の相対した箇所に係合突部12，12’が突出形成され
て平面略楕円形に形成されている。そして、前記したス
プール３の前鍔３’の前面部に形成した係合環状溝13
に、弾性変形を利用して嵌合係着するために該ドラッグ
ノブガード６の外径及び係合環状溝13の溝入口径（内
径）、溝底径（外径）は次の関係を満足する寸法に形成
されている。

【００１９】即ち、ドラッグノブガード６のベースの直
径をＤ1 、係合突部12，12’を結ぶ線の直径をＤ2 、ス
プール３の係合環状溝13の入口の直径（内径）をＤ3 、
係合環状溝13の溝底の直径（外径）をＤ4 、更に係合突
部12，12’に内側に向けて外力Ｆを加えて弾性変形させ
た場合の変形後の直径をＤ5 とした場合、Ｄ3 ＞Ｄ1，
Ｄ5 、Ｄ4 ＞Ｄ2 、Ｄ2 ＞Ｄ3 とする。そして、スプー
ル３の係合環状溝13に対してドラッグノブガード６の嵌
着係合をスムーズに行わせるために、該ドラッグノブガ
ード６の外周縁と係合環状溝13が形成される前鍔３’の
周壁内面を図示するように内側に向けて斜めにカットし
てある。又、ドラッグノブガード６の前面における係合
突部12，12’が位置する直径線上にはドラッグノブ４の
先端部球面に連続する円弧を描く２枚のガード板14，1
4’が前方に向けて起立突設され、これによりドラッグ
ノブ４に釣糸が絡むのを防止している。

【００２０】上記の如く構成したドラッグノブガード６
をスプール３の係合環状溝13に嵌着係合する時は、図３
及び図４に示すようにドラッグノブガード６の係合突部
12，12’が突出形成された部分に外力Ｆを中心方向に向
けて加えると、通孔６a が楕円形に変形して係合突部1
2，12’間の距離が図３の実線で示す距離Ｄ5 （＜Ｄ3）
に変形する。従って、その状態でスプール３の係合環状
溝13の入口に位置させドラッグノブガード６の外周縁の
傾斜面及び係合環状溝13の入口部の傾斜面を利用して押
し込み、係合突部12，12’が係合環状溝13と対向した位
置で外力Ｆを解除するとドラッグノブガード６は弾性復
元力によって元の形状に復帰し、係合突部12，12’は係
合環状溝13に嵌着係合し、遊転可能状態でスプール３に
係着保持される。

【００２１】次に図５及び図６に基づいて第２の実施の
形態を説明すると、前記した第１の実施の形態における
ドラッグノブ４とドラッグノブガード６とを一体に構成
したドラッグノブ15を取り付けた形態になっている。こ
の場合ドラッグノブ15はスプール３の係合環状溝13に嵌
着係合して定位置回転するため、メインシャフト１のネ
ジ杆部１’に螺合されるナット部材16は前記ドラッグノ
ブ15と別体とし、ドラッグノブ15の回転によって周方向
は一体に回転し、軸方向にはドラッグノブ15に対して移
動するようにドラッグノブ15にナット部材16の外形と合
致する凹部17が形成されている。又、ドラッグノブ15に
おける円柱部外側の平板部には外径の弾性変形を助ける
溝18が相対して設けられている。尚、本実施の形態にお
いて前記したと同じ構成については同一の符号を付して
説明を省略する。そして、この実施の形態においても前
記したと同様の操作によってドラッグノブ15をスプール
３に組み付けることができる。

【００２２】次に図７に基づいて第３の実施の形態を説
明すると、上記した第１の実施の形態と同様の構成のド
ラッグノブガード６における平板部分にスリット61を設
けて、合成樹脂の弾性とスリット61を利用して弾性変形
するようにしたものである。スリット61は、ドラッグノ
ブガード６の平板部分に係合突起12の位置と直交するよ
うに設けられ、そのスリット61の幅は係合突起12に外力
を加えて変形させたときのその変形量よりも大きな幅に
している。したがって、この実施の形態においても上記
した操作と同じ操作でドラッグノブガード６をスプール
３に取り付けることができる。

【００２３】また、ドラッグノブガード６を図８に示す
ように、ドラッグノブガード６におけるスリット61部分
の外周をスリット61と直交するように切り欠いて、その
切り欠き部62を除く外周に係合突起12を周設した構成に
してもよい。この構成のドラッグノブガード６の取り付
けは、スリット61と直交する方向の係合突起12に外力を
与えて縮小変形させた後、スリット61に沿う方向の係合
突起12を係合環状溝13に斜めから差し込み、次いで残り
の部分をドラッグノブガード６の外周縁の傾斜面及び係
合環状溝13の入口部の傾斜面を利用して押し込んで行
い、その後は第1及び第2の実施の形態と同様にする。
尚、本実施の形態において前記したと同じ構成について
は同一の符号を付して説明を省略する。

【００２４】次に図９乃至図11に基づいて第４の実施の
形態を説明すると、第１の実施の形態と同様のドラッグ
ノブガード６の外周に環状溝63を周設し、その環状溝63
に上記係合環状溝13に係合される係合リング20を嵌合し
た形態のものであり、係合リング20の弾性変形を利用し
て係合環状溝13に嵌合係着する構成にされている。

【００２５】係合リング20は、合成樹脂を用いて短辺側
の一方に径方向に沿うスリット21を設けた楕円状に形成
されており、その係合リング20の平板の幅を環状溝63の
深さと同等とすると共に、長手方向の内周縁部から環状
溝の内周面までの距離を環状溝63の深さと同等とし、且
つ、長手方向の外径を係合環状溝13の内径よりも大径と
し、他方短手方向の外径をドラッグノブガード６の外径
と同等としている。また、上記スリット21はその幅を係
合リング20における長辺側の内径と環状溝63の内径の差
よりも若干大きな幅としている。そして、係合リング20
の外周面には第１乃至第３の実施の形態と同様に傾斜面
が形成されている。

【００２６】上記係合リング20における長辺側の外径の
直径は上記した第１乃至第３の実施の形態における係合
突部12，12’の直径と同等にしており、すなわち、係合
突部12，12’と、係合環状溝13における溝入口径（内
径）、溝底径（外径）との大きさの関係と同様になる。
この係合リング20を変形させるには長辺側の外周に外力
を与えるとスリット21の幅が縮小し、それに伴って係合
リング20の長辺側の直径が縮小する。縮まったときに
は、長辺側の直径がドラッグノブガード６の直径と同径
となり、すなわち、第１乃至第３の実施の形態と同様に
係合環状溝13に係合可能状態にされる。また、係合リン
グ20が係合環状溝13と対向した位置で外力を解除すると
係合リングは弾性復元力によって元の形状に復帰すると
共に、係合環状溝13に嵌着係合し、ドラッグノブガード
６が遊転可能状態でスプール３に係着保持される。

【００２７】尚、本実施の形態の説明では係合リング20
を楕円状としているが、楕円に限るものではなく長円状
にしてもよい。また、本実施の形態では係合リング20を
合成樹脂の弾性とスリット21を利用して縮小変形するよ
うにしているが、第１の実施の形態と同様に合成樹脂自
体の弾性のみを利用して縮小変形するようにしてもよ
く、このようにする場合の係合リング20はスリットが無
い楕円または長円にされる。また、本実施の形態におい
て前記したと同じ構成については同一の符号を付して説
明を省略する。

【００２８】尚、図１、図５及び従来構造を示す図12に
おける符号19はハンドルの回動によって回転するロータ
ーである。

【００２９】

【発明の効果】本発明のスプール支持構造は請求項１、
請求項２に記載の構成により、ドラッグノブガード及び
ドラッグノブガードを一体に有したドラッグノブを、従
来構造のようにスプールに螺着するリテーナーを用いる
ことなく、しかも工具類を必要とすることなく簡単に組
み付けることができる。従って、従来構造に比べて部品
点数が少なく、材料のコストダウンと軽量化を計ること
ができる。また、請求項３に記載の構成により、スプー
ルとリテーナーにネジを切るという面倒な加工をするこ
となく、安価な部品と簡単な構成で組み付けが達成でき
るため、加工時のコストダウンを計ることができる。因
って、低価格品に対応し得る支持構造を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ドラッグノブとドラッグノブガードが別体構造
であるスプール支持構造を示し、図２の（Ｘ）−（Ｘ）
線に沿える断面図である。

【図２】同一部切欠側面図である。

【図３】ドラッグノブガードに外力を加えて変形させた
状態を示す正面図である。

【図４】ドラッグノブガードをスプールに組み付ける状
態を示す断面図である。

【図５】ドラッグノブとドラッグノブガードが一体に構
成された支持構造を示す断面図である。

【図６】同一部切欠側面図である。

【図７】スリットを設けて構成されたドラッグノブガー
ドの正面図である。

【図８】図7における他の例を示すドラッグノブガード
の正面図である。

【図９】ドラッグノブガードに係合リングを嵌合取り付
けした構造を示し、スプールに係合保持された状態の断
面図である。

【図１０】図９におけるドラッグノブガードの一部切欠
正面図である。

【図１１】ドラッグノブガードをスプールに組み付ける
状態を示す断面図である。

【図１２】従来構造を示す断面図である。

【符号の説明】

１…メインシャフト ２…ドラッグ体 ３
…スプール ４…ドラッグノブ ６…ドラッグノブガード ７…固定ドラッグ体 ８…回転ドラッグ体 12，12’…係合突部 13…係合環状溝 20
…係合リング 21…スリット 61…スリット

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドルの回動によって軸方向に往復動
   するメインシャフトにドラッグ体が装備され、そのドラ
   ッグ体にスプールを着脱可能に螺合すると共に、前記メ
   インシャフトの先部に前記ドラッグ体に付与するドラッ
   グ力を強弱調節するドラッグノブが螺合され、更に前記
   スプールの前面部に該スプールに対して遊転するドラッ
   グノブガードが設けられた魚釣用スピニングリールにお
   いて、前記スプールの前面部に係合環状溝を形成し、他
   方ドラッグノブガードはその外径を前記係合環状溝の内
   径よりも小径とし、且つその外周の一部に、中心からの
   半径が係合環状溝の内径より大きく係合環状溝の外径よ
   り小さい係合突部を突出形成すると共に、該ドラッグノ
   ブガードを合成樹脂材等によって弾性変形可能に構成し
   たことを特徴とする魚釣用スピニングリールのスプール
   支持構造。
2. 【請求項２】 上記ドラッグノブガードの外周に形成す
   る係合突部が直径線上に相対して設けられた請求項１に
   記載の魚釣用スピニングリールのスプール支持構造。
3. 【請求項３】 ハンドルの回動によって軸方向に往復動
   するメインシャフトにドラッグ体が装備され、そのドラ
   ッグ体にスプールを着脱可能に螺合すると共に、前記メ
   インシャフトの先部に前記ドラッグ体に付与するドラッ
   グ力を強弱調節するドラッグノブが螺合され、更に前記
   スプールの前面部に該スプールに対して遊転するドラッ
   グノブガードが設けられた魚釣用スピニングリールにお
   いて、前記スプールの前面部に係合環状溝を形成し、他
   方ドラッグノブガードはその外径を前記係合環状溝の内
   径よりも小径とすると共に、外周に環状溝を形成し、且
   つ、その環状溝に前記係合環状溝に係合される係合リン
   グを嵌合してなり、該係合リングは、その外周縁部と内
   周縁部間の幅を環状溝の深さと同等以下とすると共に、
   長手方向の内周縁部から環状溝の内周面までの距離を環
   状溝の深さと同等以上とし、且つ、長手方向の外径を係
   合環状溝の内径よりも大径とし、他方短手方向の外径を
   ドラッグノブガードの外径と同等以下とする楕円状もし
   くは長円状に形成され、更に該係合リングを合成樹脂材
   等によって弾性変形可能に構成したことを特徴とする魚
   釣用スピニングリールのスプール支持構造。