JPH1160603A - 生分解性を有する糖鎖高分子、その包接化合物およびそれを用いる抗菌剤 - Google Patents

生分解性を有する糖鎖高分子、その包接化合物およびそれを用いる抗菌剤

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JPH1160603A
JPH1160603A JP10480098A JP10480098A JPH1160603A JP H1160603 A JPH1160603 A JP H1160603A JP 10480098 A JP10480098 A JP 10480098A JP 10480098 A JP10480098 A JP 10480098A JP H1160603 A JPH1160603 A JP H1160603A
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chain polymer
polymer
oligosaccharide
solution
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Mitsuaki Goto
光昭 後藤
Izumi Yamada
泉 山田
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BIO QUEST KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】生分解性を有するとともに、臓器・器官または
細胞に対する特異性を有し、しかも薬剤に対する優れた
包接力、さらには抗菌性を備えた、天然高分子をベース
とした新規な糖鎖高分子を提供する。 【解決手段】アミノ基を有するポリペプチド(例えばポ
リリジン)またはポリサッカライド(例えばキトサン)
を主鎖とし、この主鎖にp−アミノメチル安息香酸を介
して末端カルボニル基を有するオリゴ糖分子(例えばラ
クトース)をアミド結合により側鎖として結合させて糖
鎖高分子(例えば式(1))を得る。この糖鎖高分子に
機能性薬剤を包接さた包接化合物は、オリゴ糖の特異性
を利用したドラッグデリバリーシステムに有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖鎖高分子に関
し、さらに詳しくは、生分解性、臓器・器官または細胞
特異性、水溶性、薬剤包接機能、抗菌性を有する糖鎖高
分子に関する。
【0002】
【従来の技術】特異な立体構造を有し、その立体構造の
中で豊富な極性部位と疎水性部位とが均衡している糖分
子は、生体のほとんどの部位に存在し、細胞・細胞間の
認識などの生体の認識機構に深く関わっているほか、生
体骨格を構成する材料として植物の細胞壁やカニの甲羅
などに用いられている。
【0003】本発明者等は、これらの糖分子の機能に着
目し、ポリスチレン系高分子に糖分子を導入した糖鎖高
分子を合成し、精力的に研究を行ってきた(例えば、M.
Goto. et al., J. Controlled Release, 28, 223 (199
4))。
【0004】さらに本発明者等は、これらの糖鎖高分子
を例えば医療・医薬・化粧品等の高度な安全性が要求さ
れる分野に用いることにも鑑み、酵素の作用等で生分解
されうる高分子を主鎖とする糖鎖高分子を想起するに至
った。
【0005】しかしながら、これまでの生分解性糖鎖高
分子は、生体に対する認識性が低く、臓器・器官または
細胞と非特異的な相互作用をする可能性があった。さら
に、糖鎖高分子に薬剤等を包接させて薬剤を所望の臓器
や器官へ運搬する運搬体として糖鎖高分子を用いる場
合、これまでの糖鎖高分子では、薬剤の包接力が低いた
め、薬物を高分子本体に化学的に結合させて運搬しなけ
ればならなかった。
【0006】また、生分解性や生体に対する認識性を有
するとともに、抗菌性や殺菌性をも備えた糖鎖高分子
は、これまで知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、生分
解性を有するとともに、臓器・器官または細胞に対する
特異性を有し、しかも薬剤に対する優れた包接力を備
え、さらには抗菌性や殺菌性を有する、天然高分子をベ
ースとした新規な糖鎖高分子を提供することを目的とし
てなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明による糖
鎖高分子は、、アミノ基を有するポリペプチドまたはポ
リサッカライドを主鎖とし、この主鎖にp−アミノメチ
ル安息香酸を介して末端カルボニル基を有するオリゴ糖
分子をアミド結合により側鎖として結合させてなること
を特徴とするものである。
【0009】さらに本発明は、上記の糖鎖高分子に側鎖
として結合させたオリゴ糖分子と特異的に相互作用する
器官・組織または細胞に対して有効に作用する機能性薬
剤を、上記の糖鎖高分子に包接させてなる包括化合物を
包含する。
【0010】さらにまた本発明は、上記の糖鎖高分子の
有する抗菌性や殺菌性に着目し、これらの糖鎖高分子を
主成分とする抗菌剤を包含する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施態様は、ポリ
リジン等のアミノ基を有するポリペプチドに、p−アミ
ノメチル安息香酸を介して末端カルボニル基を有するオ
リゴ糖を結合させた糖鎖高分子である。このような糖鎖
高分子の具体例として、下記式(1)で表される糖鎖高
分子を挙げることができる。
【0012】
【化1】
【0013】上記式(1)は、ポリリジンからなる主鎖
のアミノ基にp−アミノメチル安息香酸を介してラクト
ースラクトンを側鎖として結合させた糖鎖高分子(以下
PLys−Bz−LAと略記する)である。
【0014】本発明の第2の実施態様は、キトサン等の
アミノ基を有するポリサッカライドに、p−アミノメチ
ル安息香酸を介して末端カルボニル基を有するオリゴ糖
を結合させた糖鎖高分子である。このような糖鎖高分子
の具体例として、下記式(2)で表される糖鎖高分子を
挙げることができる。
【0015】
【化2】
【0016】上記式(2)は、キトサンからなる主鎖の
アミノ基にp−アミノメチル安息香酸を介してラクトー
スラクトンを側鎖として結合させた糖鎖高分子(以下、
Chito−Bz−LAと略記する)である。
【0017】これらの糖鎖高分子は、次のようにして合
成することができる。式(1)で示されるPLys−B
z−LAの場合、先ずラクトースの1位をラクトン化し
たラクトースラクトンとp−アミノメチル安息香酸とを
下記反応式に従って反応させて、1−[0−β−D−ガ
ラクトピラノシル−(1→4)−D−グルコンアミド]
メチル−4−カルボキシルベンゼン(以下、Bz−LA
と略記する)とする。
【0018】
【化3】
【0019】このBz−LAとアミンとを下記反応式に
従って反応させ、Bz−LAのカルボン酸基をアミド化
する。
【0020】
【化4】
【0021】次いで、カルボン酸基をアミド化したBz
−LAを、別に用意したポリリジンとカップリングして
式(1)のPLys−Bz−LAを得ることができる。
【0022】式(2)で表されるChito−Bz−L
Aを合成するに際しては、ポリリジンとカップリングさ
せる代わりに、キトサンをカップリングさせる以外は、
上記のPLys−Bz−LAの合成方法と同様にすれば
よい。
【0023】本発明の糖鎖高分子において主鎖として用
いられるポリペプチドは、アミノ基を有するポリペプチ
ドであればいかなるものでもよいが、特に、ポリリジ
ン、ポリオルニチン、あるいはそれらの組み合わせが好
ましく使用できる。ポリペプチドの分子量は、一般的に
は5千〜3万程度の範囲のものが好ましく使用できる
が、必ずしもかような範囲の分子量のポリペプチドに限
定されるものではない。
【0024】また本発明の糖鎖高分子において主鎖とし
て用いられるポリサッカライドは、アミノ基を有するポ
リサッカライドであればいかなるものでもよいが、特
に、キトサン、キチン、あるいはそれらの組み合わせが
好ましく使用できる。キトサンの場合には、脱アセチル
化度90%以上のものが好ましく、また分子量は一般的
には2万〜10万程度の範囲のものが好ましく使用でき
るが、必ずしもかようなキトサンに限定されるものでは
ない。
【0025】上記のごとき主鎖に対して側鎖として導入
されるオリゴ糖としては、ラクトース(LA)、マルト
ース(MA)、マンノビオース(Man)、セロビオー
ス(Cel)、メリビオース(Mel)などの2糖鎖を
含む任意のオリゴ糖、あるいは、それらのカルボキシメ
チル化物、N−アセチル化物などの誘導体が挙げられ
る。これらのオリゴ糖は、その臓器特異性、細胞特異
性、抗菌性などを考慮して、目的に応じて適宜選択して
使用することができる。本発明の糖鎖高分子を合成する
に際しては、これらのオリゴ糖にカルボニル基を導入し
てラクトン化しておく。
【0026】ポリペプチドまたはポリサッカライドとオ
リゴ糖との間に介在するp−アミノメチル安息香酸は、
p−位置にカルボン酸基とアミノ基残基を持つ構造であ
るため、アミド結合を介してポリペプチドまたはポリサ
ッカライドの主鎖にオリゴ糖を側鎖として効果的に結合
させることができる。
【0027】次に、本発明の包接化合物について説明す
る。本発明の包接化合物は、糖鎖高分子とそれに包接さ
れた機能性薬剤からなり、糖鎖高分子に含まれるオリゴ
糖が具備する臓器・器官もしくは細胞特異性と、機能性
薬剤が具備する機能とを合わせ持っている。この機能性
薬剤が水に対して難溶性または不溶性物質である場合
は、糖鎖高分子の主鎖もしくはp−アミノメチル安息香
酸に対する脂溶性相互作用を利用して包接させることが
できる。また、機能性薬剤がカルボニル基などの酸性基
を有している場合には、糖鎖高分子のアミノ基に共有結
合あるいはイオン結合させて包接させることもできる。
【0028】本発明の包接化合物の一実施態様として、
上述した糖鎖高分子とそれに包接された脂溶性治療薬と
からなる包接化合物を挙げることができる。この包接化
合物は、糖鎖高分子に導入されたオリゴ糖の生体内器
官、組織あるいは細胞に対する特異的親和性を利用して
いる。
【0029】例えば、上記式(1)のPLys−Bz−
LAに導入されたラクトースは、肝実質細胞表面にある
レセプターに特異的に認識される。従って、肝治療薬を
PLys−Bz−LAに包接させた包接化合物は、肝実
質細胞とラクトースとの特異的親和性に基づいて肝臓ま
で選択的に輸送されるので、他の臓器や組織に影響を与
えずに肝治療を行うことができる。
【0030】本発明の糖鎖高分子を包接化合物として用
いる場合、主鎖をなすポリペプチドあるいはポリサッカ
ライドとしては、通常分子量1万以上、好ましくは5万
以上のものが利用できるが、さらに高分子量のものを用
いることも可能である。包接化合物とするに際しては、
包接される薬剤の大きさにもよっては、2分子またはそ
れ以上の糖鎖高分子が薬剤を包接することもある。
【0031】本発明の包接化合物を調製するには、溶液
法、混練法等の方法を用いることができる。溶液法の場
合、糖鎖高分子の水溶液に脂溶性治療薬をそのままある
いは水またはアルコールなどの水に可溶な溶媒に溶解ま
たは懸濁して添加し、撹拌する。
【0032】一般的に、糖鎖高分子の濃度を1.0×1
−5から1.0×10−3Mとし、包接される治療薬
の濃度を1.0×10−6から1.0×10−4Mとす
れば、良好な包接化が達成される。しかしながら、これ
らの濃度は、包接される治療薬の大きさや性質に応じて
適宜調整して、最適な濃度とすればよい。
【0033】混練法の場合には、糖鎖高分子に少量の水
を加えてペースト状とし、そこに治療薬を加えて混練す
ることにより包接化合物を調製することができる。この
包接化合物は、必要に応じて溶媒洗浄などを行い、更に
精製してもよい。
【0034】この包接化合物に用いる糖鎖高分子のオリ
ゴ糖の種類は、利用しようとする特異性によって選択す
る。例えば、肝実質細胞との特異性を利用する場合は、
ラクトースやマンノビオース(Man)、肝非実質細胞
との特異性の場合は、N−アセチルグルコサミン(Gl
cNAc)、血清組織との特異性の場合は、Man、G
lcNAc、N−アセチルマンノビオース(ManNA
c)、リンパ組織との特異性の場合は、ManNAc、
GlcNAcを、それぞれ選択するのが好ましい。 こ
のようなオリゴ糖の特異性を利用することによって、好
適なドラッグデリバリーシステム(DDS)が構築され
る。
【0035】本発明の糖鎖高分子は、上述した包接化合
物によるDDSの他にも、オリゴ糖の特異性や主鎖の性
質を利用した、細胞診断マーカー、細胞培養用基材など
にも好適に応用できるものである。
【0036】本発明の糖鎖高分子を抗菌剤として用いる
に際しては、糖鎖高分子の水溶液を液剤として使用する
ことができる。あるいは必要に応じて、化学繊維、天然
繊維、ビーズ、ゲルなどの担体に糖鎖高分子を担持させ
て使用することもできる。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明の糖鎖高分子
の合成例、包接化合物の調製例、および糖鎖高分子の抗
菌力試験例をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
【0038】[実施例1:PLys−Bz−LAの合
成] (A)ラクトースのラクトン化 ラクトースを蒸留水に分散させてメタノールで希釈す
る。この希釈分散液を加温したヨウ素のメタノール溶液
に加えて撹拌することにより、ラクトースを酸化してラ
クトビオン酸とする。この反応液に水酸化カリウム/メ
タノール溶液をヨウ素の色が消失するまで徐々に添加す
る。引き続き、反応液を氷冷し、析出した沈殿を濾取す
る。沈殿を洗浄し、再結晶することによりラクトビオン
酸のカリウム塩を得る。
【0039】得られたカリウム塩を、イオン交換樹脂に
通すことにより酸型のラクトビオン酸とし、その酸型の
分画にメタノールを加えて減圧濃縮して結晶を得る。こ
の結晶を少量のメタノールに溶かして、さらにエーテル
を加えて沈殿させるという操作を数回繰り返したのち、
沈殿を凍結乾燥してラクトースラクトンを得た。
【0040】(B)Bz−LAの合成 前記で得られたラクトースラクトン10gをジメチルス
ルホキシド(DMSO)50mL(ミリリットル)に溶
解し、これにp−アミノメチル安息香酸5gを加えて、
環流下4時間反応させた。放冷し、沈殿を濾別した後、
反応液をクロロホルムの300mLに添加して、沈殿し
た白色結晶を濾取した。これをエーテル、さらには少量
の冷メタノールで洗浄し、10gのBz−LAを得た。
【0041】(C)PLys−Bz−LAの合成 前記で得られたBz−LAの5.27gをテトラメチル
エチレンジアミン(TEMED)緩衝液(pH4.7)
100mLに溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の2.2gを加
えて、1時間、室温で撹拌反応させた。この溶液に、ポ
リリジン(PLys)の1gを加えて、3日間、室温で
撹拌反応させた。この溶液を純水20L(リットル)に
対して透析を行い、透析終了後、凍結乾燥して目的物を
得た。得られたPLys−Bz−LAの1H−NMRを
図1に示す。
【0042】[実施例2:Chito−Bz−LAの合
成]実施例1で得られたBz−LAの5.27gをTE
MED緩衝液(pH4.7)100mLに溶解し、1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド塩酸塩の2.2gを加えて、1時間、室温で撹拌
反応させた。この溶液に、キトサンの1.6gを加え
て、2N−塩酸を用いてpHを4.7に調整した後、3
日間、室温で撹拌反応させた。この溶液を純水20Lに
対して透析を行い、透析終了後、凍結乾燥して目的物を
得た。得られたChito−Bz−LAの1H−NMR
を図2に示す。
【0043】[実施例3:PLys−Bz−LAによる
包接化合物の調製]PLys−Bz−LAを0.01M
リン酸緩衝液(pH6.88)3.0mLに溶解し、
5.5×10−3Mの溶液を調製する。この溶液に蛍光
物質である8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸ア
ンモニウム塩(ANS)の0.1Mリン酸緩衝液の溶液
を添加して、ANS濃度が各々1.25×10−5M、
2.5×10−5M、3.75×10−5M、5.0×
10−5Mおよび6.25×10−5M濃度となるよう
に調整したのち撹拌機で混合する。
【0044】こうして得られた種々の濃度でANSを包
接させたPLys−Bz−LAからなる包接化合物の溶
液について、UVスペクトロメーターを用いて差スペク
トルを測定した。差スペクトル測定に際しては、試料側
セルに各包接化合物溶液2.3mLを、対照側セルにP
Lys−Bz−LAを添加しないANSの0.1Mリン
酸緩衝液の溶液2.3mLをそれぞれ入れて、その差を
測定した。
【0045】各ANS濃度における差スペクトル(ΔO
D)を図3に示す。図中、ANS濃度は、(a)はゼ
ロ、(b)は1.25×10−5M、(c)は2.5×
10−5M、(d)は3.75×10−5M、(e)は
5.0×10−5M、(f)は6.25×10−5Mを
それそれ表す。図3から明らかなように、ANSの濃度
に応じて400nm付近のUV吸収値が増加している。
このことは、PLys−Bz−LAに包接されるANS
量が増加していることを示している。
【0046】[実施例4:Chito−Bz−LAによ
る包接化合物の調製]Chito−Bz−LAを0.0
1Mリン酸緩衝液(pH6.88)3.0mLに溶解
し、5.5×10−3Mの溶液を調製する。この溶液に
ANSの0.1Mリン酸緩衝液の溶液を添加して、AN
S濃度が各々1.25×10−5M、2.5×10−5
M、3.75×10−5M、5.0×10−5Mおよび
6.25×10−5M濃度となるように調整したのち撹
拌機で混合する。
【0047】こうして得られた種々の濃度でANSを包
接させたChito−Bz−LAからなる包接化合物の
溶液について、UVスペクトロメーターを用いて差スペ
クトルを測定した。差スペクトル測定に際しては、試料
側セルに各包接化合物溶液2.3mLを、対照側セルに
Chito−Bz−LAを添加しないANSの0.1M
リン酸緩衝液の溶液2.3mLをそれぞれ入れて、その
差を測定した。
【0048】各ANS濃度における差スペクトル(ΔO
D)を図4に示す。図中、(a)〜(f)のANS濃度
は、図3と同じである。図4から明らかなように、AN
Sの濃度に応じて400nm付近のUV吸収値が増加し
ている。このことは、Chito−Bz−LAに包接さ
れるANS量が増加していることを示している。
【0049】[実施例5:糖鎖高分子の抗菌力試験]実
施例1で得られたPlys−Bz−LAおよび実施例2
で得られたChito−Bz−LAについて、大腸菌、
緑膿菌およびアクネス菌に対する抗菌力を試験した。
【0050】(A)菌液の調製 大腸菌(Escherichia coli ATCC 43895、ベロ毒素Iお
よびII型産生菌株)および緑膿菌(Pseudomonas aerugi
nosa IFO 13275):試験菌を寒天培地に接種し、35
℃、24時間培養した。培養後、得られた試験菌の菌体
を滅菌リン酸緩衝液に浮遊させ、菌数が約10/mL
となるように調整し、菌液とした。アクネス菌(Prpion
ibacterium acnes GAI 5419):試験菌をGAMA培地
(日水製薬(株)製)に接種し、35℃、24時間培養
した。培養後、得られた試験菌の菌体を滅菌リン酸緩衝
液に浮遊させ、菌数が約10/mLとなるように調整
し、菌液とした。
【0051】(B)抗菌剤液の調製 Plys−Bz−LAおよびChito−Bz−LAを
精製水に溶解して、1%(w/v)水溶液を調製した
後、メンブレンフィルター(0.45μm)により濾過
して抗菌剤液とした。
【0052】(C)試験方法 抗菌剤液5mLに菌液0.05mLを添加し、25℃で
保存した。保存は、大腸菌と緑膿菌は好気性環境下、ア
クネス菌は嫌気性環境下で行った。6時間および24時
間経過後、保存した液から1mLずつを取り出してSC
DLP培地(日本製薬(株)製)9mLに添加し、生菌
数を測定した。なお対照として、抗菌剤液に代えて滅菌
精製水を用いて同様に試験した。大腸菌および緑膿菌の
生菌数の測定は、SCDLP培地を用いた混釈平板培養
法(35℃、2日間培養)により生菌数を算定した。ア
クネス菌の生菌数の測定は、GAMA培地を用いた混釈
平板培養法(35℃、2日間培養)により生菌数を算定
した。表1に示した試験結果から、Plys−Bz−L
AおよびChito−Bz−LAともに、いずれの菌に
対しても強い抗菌活性を示すことがわかる。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明の糖鎖高分子は、生分解可能な天
然高分子であるポリペプチドあるいはポリサッカライド
とオリゴ糖からなるため、生体内において分解され安全
である。また、糖鎖高分子に導入されたオリゴ糖の特異
的親和性により、例えば、特定の細胞に薬剤を特異的に
輸送して作用させるDDSにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PLys−Bz−LAの1H−NMRスペクト
ルである。
【図2】Chito−Bz−LAの1H−NMRスペク
トルである。
【図3】PLys−Bz−LAによる蛍光物質ANSの
包接挙動を示すUVスペクトルである。
【図4】Chito−Bz−LAによる蛍光物質ANS
の包接挙動を示すUVスペクトルである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基を有するポリペプチドを主鎖と
    し、この主鎖にp−アミノメチル安息香酸を介して末端
    カルボニル基を有するオリゴ糖分子をアミド結合により
    側鎖として結合させてなることを特徴とする糖鎖高分
    子。
  2. 【請求項2】 下記式(1) 【化1】 で表されることを特徴とする請求項1記載の糖鎖高分
    子。
  3. 【請求項3】 アミノ基を有するポリサッカライドを主
    鎖とし、この主鎖にp−アミノメチル安息香酸を介して
    末端カルボニル基を有するオリゴ糖分子をアミド結合に
    より側鎖として結合させてなることを特徴とする糖鎖高
    分子。
  4. 【請求項4】 下記式(2) 【化2】 で表されることを特徴とする請求項3記載の糖鎖高分
    子。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかの糖鎖高分子
    に機能性薬剤を包接させてなることを特徴とする包接化
    合物。
  6. 【請求項6】 前記糖鎖高分子中のオリゴ糖が細胞特異
    性もしくは臓器特異性を有し、前記機能性薬剤が難溶性
    もしくは不溶性物質またはアミノ基と相互作用する酸性
    基を有する物質であることを特徴とする請求項5記載の
    包接化合物。
  7. 【請求項7】 請求項1から4のいずれかの糖鎖高分子
    を主成分とすることを特徴とする抗菌剤。
JP10480098A 1997-06-12 1998-04-15 生分解性を有する糖鎖高分子、その包接化合物およびそれを用いる抗菌剤 Pending JPH1160603A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102152376A (zh) * 2011-01-25 2011-08-17 唐光志 一种集成木及其制造和利用方法
CN107308147A (zh) * 2017-08-08 2017-11-03 新乡医学院第附属医院 氨甲苯酸组合物在治疗结核病中的应用

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102152376A (zh) * 2011-01-25 2011-08-17 唐光志 一种集成木及其制造和利用方法
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