JPH11509404A - トランスジェニック動物における、蛋白質の翻訳後修飾の作出 - Google Patents

トランスジェニック動物における、蛋白質の翻訳後修飾の作出

Info

Publication number
JPH11509404A
JPH11509404A JP8533476A JP53347696A JPH11509404A JP H11509404 A JPH11509404 A JP H11509404A JP 8533476 A JP8533476 A JP 8533476A JP 53347696 A JP53347696 A JP 53347696A JP H11509404 A JPH11509404 A JP H11509404A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
organism
post
protease
polynucleotide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8533476A
Other languages
English (en)
Inventor
ヘンリケ ラボン
ウィリアム エヌ. ドロハン
レッカ ケイ. ペイルヤンダ
Original Assignee
アメリカン レッド クロス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アメリカン レッド クロス filed Critical アメリカン レッド クロス
Priority claimed from PCT/US1996/006121 external-priority patent/WO1996034966A2/en
Publication of JPH11509404A publication Critical patent/JPH11509404A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、翻訳後修飾を変化させる蛋白質の発現のためのポリヌクレオチドを含む、トランスジェニック非ヒト多細胞生物に関する。特に、本発明は、第一の外来遺伝子が第一の蛋白質をコードし、第二の外来遺伝子が第二の蛋白質をコードし、生物の細胞内において第二の蛋白質の発現が第一の蛋白質の翻訳後修飾に影響を与える、多重トランスジェニック動物を提供する。好ましい態様において、発現は特定の細胞内で行われ、修飾された蛋白質は体液中に分泌される。本発明は、関連する方法、蛋白質、および産物を提供する。一例として、乳腺においてヒトプロテインCおよびプロセシングプロテアーゼPACE/フリン(furin)を発現し、両蛋白質を乳汁中に分泌するトランスジェニック動物が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 トランスジェニック動物における、蛋白質の翻訳後修飾の作出 本発明は、翻訳後修飾について改変された能力を有する細胞を含む、トランス ジェニック非ヒト多細胞生物に関する。本発明は、トランスジェニック生物、こ の生物を作出するための方法、およびこの生物によって産生される物質に関する 。本発明の一つの局面は、特に、トランスジェニック生物において、細胞の蛋白 質翻訳後修飾能力を改変することによって、導入遺伝子の物質産生を最適化する ことに関する。別の局面において、本発明は、特に、翻訳後修飾に関して改変さ れた能力を有するトランスジェニック動物によって産生された物質に関する。別 の局面において、本発明は、特に、トランスジェニック生物の細胞における翻訳 後蛋白質修飾を改変することによって、その生物の生理学的区画、組織、器官、 または体液の構成を改変することに関する。これに関して、本発明はまた、トラ ンスジェニック生物の細胞の翻訳後蛋白質修飾の改変によって変更された細胞、 細胞産物、組織、器官、および体液にも関する。好ましい局面において、本発明 は特に、トランスジェニック生物の細胞中でプロセシングプロテアーゼを発現さ せることにより、蛋白質分解された蛋白質の成熟を促進することに関する。この 局面において、本発明は特に、PACE/フリン(furin)の発現に関し、さらに、血 液凝固および血塊溶解に関与する、前駆体蛋白質の成熟に関する。 発明の背景 トランスジェニック生物における、クローニングされた遺伝子または意図的に 改変された遺伝子の発現は、トランスジェニック「バイオリアクター」による物 質の産生およびその他の応用における改良された動物および植物の作出にとって 非常に有望であるとみなされてきた。しかし、この希望を実現する上での障害が ある。特に、トランスジェニック動物の中で、適正に修飾された有用な物質を高 効率で発現させることができないままである。本発明は、この問題を克服する方 法およびトランスジェニック動物、ならびに、とりわけトランスジェニック生物 によって産生された産物に関する。 異種蛋白質、ペプチド、および他の物質を産生するために、多くのDNAが培養 細胞の中でクローニングされ、発現されてきた。また、異種蛋白質、ペプチド、 お よび他の物質を産生するために、いくつかの遺伝子が、植物または動物に導入さ れてきた。クローニングされた遺伝子を発現させて、細胞、動物および植物の中 で、蛋白質および他の物質の発現および産生が起きるようにすることは、一般的 には可能であったが、それによって得られる産生レベルは大抵低く、このように して産生される蛋白質の翻訳後のプロセシングは、不完全であるか非効率であっ た。特に、これらの障害が、適正に翻訳後修飾された蛋白質を産生するために、 動物および植物のバイオリアクターの利用を制約し妨げてきた。培養細胞におけ る産生レベルの低さと特異的活性の低さは、適切な形に修飾された発現蛋白質の 産生に必要な特定の酵素が、限られた量でしか発現しないことに起因すると考え られている。 制約された酵素活性の量を増加させるために、クローニングされた遺伝子を培 養細胞で発現させることによって、適正に修飾された蛋白質の細胞における産生 を増加させようとする試みが行われてきた。例えば、増幅されたプロテインC遺 伝子からのヒト・プロテインC(「HPC」)を発現する、生後間もないハムスタ ーの腎臓(「BHK」)細胞で、酵母のKex2 cDNAをトランスフェクションし発現さ せると、単鎖のチモーゲン型から成熟2本鎖型への転換が上昇した(Fosterら、 Biochemistry 30: 367〜372(1991))。 別の実施例において、チャイニーズハムスター卵巣細胞(「CHO」)で、トラ ンスフェクションされたDNAによって高レベルで発現されたPACE/フリン(furin )は、同時発現させた第IX因子前駆体のプロペプチドの適正な切断を、明らかに 促進した(Wasleyら、J.Biol.Chem.269: 8458〜8465(1993))。 しかし、これらの実験において、PACE/フリン(furin)遺伝子の発現により、 明らかに発生するプロセシング活性は、識別することが困難であり、多様であっ た。さらに、プロテアーゼ活性の明らかな上昇は、細胞毒性、細胞変性効果、お よび細胞分化のマーカーの変化の原因になると考えられた。実際、例えば、「シ ャルケン(Shalken)ら、J.Clin.Invest.80: 1545〜1549(1987)」、「アヨウ ビ(Ayoubi)ら、J.Biol.Chem.269: 9298〜9303(1994)」および「デクローリ (Decroly)ら、J.Biol.Chem.269: 12240〜12247(1994)」に記載されている ように、PACE/フリン(furin)および類似のプロセシング酵素は、培養液中でも 、不適切に発現されると、細胞にとって有害または致死的であるかもしれないこ とが示唆されてきた。このように、細胞による物質産生の改良の可能性は、培養 中に観察された有害な効果の影に隠れてしまった。 このような結果から見ると、トランスジェニック生物において蛋白質、ポリペ プチド、および他の物質の産生を改良しようとするこの方法は、有望なものとは 考えられていなかった。一例として、細胞における翻訳後修飾を変更する酵素の 発現は、これまで、正常でない培養細胞の中だけで行われてきた。これらの細胞 は、一般的に、異常な増殖を示すため、人工培地の中で無限に増殖できる。主に 、このような細胞は、腫瘍に由来するものか、不死化ウイルスを形質導入した結 果生じたものである。このような細胞においては、特に、分化および増殖因子が 変化している。したがって、これらの細胞の、翻訳後修飾能力を改変された場合 の応答は、健康な生物の細胞で予想される応答と同じではない。 実際、これらの細胞は、本来の生物よりも、翻訳後修飾に影響する酵素の発現 を変更することによって生じる有害な効果に対する耐性が強いと考えられてきた 。酵素カスケードの調節、ならびに本来の生物でのみ一般的に起こる過程を含む 、増殖、有糸分裂、および分化を調節する、因子の活性の調整における、翻訳後 修飾の役割を考えると、翻訳後修飾能力の改変は、たとえそれが、培養液中で増 殖した細胞に対しては有害な影響を与えないとしても、本来の生物に対して非常 に有害となるようなより大きな危険性をもたらす。 発生途中にある生物は、不適正な発現、特に、細胞変性効果の原因となる発現 に対する感受性が特に強い。例えば、決定的な段階で1個の細胞を失うことによ り、発生中の胚は、絶望的に無能力になるか発生が停止する。 さらに、生物は、細胞内の効果だけでなく、その生物の他の部位への、発現細 胞からの活性の生理学的な伝達によっても有害な影響を受けることがある。その 上、循環蛋白質の移動と代謝に関係する複合的な生理学的過程はしばしば、許容 できる細胞内の効果を増幅して、その生物体全体として許容できないほどの損傷 を与える効果に変えてしまう可能性もある。 例えば、翻訳後修飾を行なう酵素の発現の中には、毒素を活性化できるものが あることが報告されている。このように毒素を活性化するような翻訳後修飾の改 変は、例えば、弱い感染によって生み出される毒素レベルのような、通常は許容 できる毒素レベルを、生物にとって非常に有害で致死的なレベルにまで増幅する 可能性がある(Chironら、J.Biol.Chem.269: 18167〜18176(1994))。 その上、蛋白質の翻訳後修飾に関与するさまざまな酵素は、生物体の異なる組 織の細胞中で、異なる発現をする。さらに、このような蛋白質の、細胞における 発現は、しばしば、胚発生の過程を通じて非常に多様である。例えば、PACE/フ リン(furin)など、いくつかの蛋白質の成熟に関する蛋白質分解段階を行なう と考えられているスブチリシン(subtilisin)様PACEが、この場合にあてはまる 。実際、これらのプロセシングプロテアーゼによって仲介される蛋白質分解的な 切断などの翻訳後修飾は、細胞分化の過程に関与するだけでなく、調節する役割 を担っている(Zhengら、J.Neuroscience,14: 4656〜4673(1994))。したがっ て、発生中の胚細胞における、これらの酵素の不適正な発現は、広範に有害で致 死的な効果を有しうる。 インビボにおける有害効果を考慮すると、トランスジェニック生物の細胞にお いて、蛋白質の翻訳後修飾を大幅に改変できる可能性は低いと考えられる。した がって、細胞の翻訳後修飾特性を変更するという考えは、有用物質を産生するた めの、トランスジェニック生物の能力を改良するには、有望な方法とは考えられ なかった。このような動物が有用物質を産生する可能性を考えれば、これらの障 害を克服して、効果的なバイオリアクターを作出するための方法を考え出すこと は依然として重要な目的である。 略語および定義 以下の略語および用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって理 解されているところの意味に従って、本明細書中で用いられる。しかし、以下の 定義は、例示的なものであって、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべき ではない。 略語 B-OH:β-ヒドロキシル基 BHK:生後間もないハムスターの腎臓細胞 CH0:(1)チャイニーズハムスター卵巣細胞;(2)普遍的な蛋白質の翻訳 後 修飾である配糖体または糖部分、 ELISA:固相酵素免疫測定法 HC:158-420:アミノ酸158〜420を含む、ヒト・プロテインCの重鎖 HPC:ヒト・プロテインC HRP:ホースラディシュ・パーオキシダーゼ GlaまたはGLA:血液凝固、血塊溶解、骨、肺に関係する、ビタミンK依存型蛋 白質の中で顕著な、蛋白質の翻訳後修飾であるガンマ-カルボキシ・グルタミン 酸 GPI:グリコシルホスファチジルイノシトール KR:ヒト・プロテインCの成熟過程で解離されるLys156〜Arg157ジペプチド LC:1-155:アミノ酸1から155を含む、ヒト・プロテインCの軽鎖 Mab:モノクローナル抗体 PACE:対合塩基性アミノ酸切断酵素 PACEM:変異PACE PAGE:ポリアクリルアミドゲル電気泳動 PC:プロホルモンコンバターゼ PCR:ポリメラーゼ連鎖反応 PRO:プロテインCの24アミノ酸プロペプチド SDS:ドデシル硫酸ナトリウム S-S:ジスルフィド結合 SP:シグナルペプチド t-PA:組織プラスミノーゲン活性化因子 WAP:乳漿酸性蛋白質 rHFIX:組換えヒト第IX因子 rHPC:組換えヒト・プロテインC 例示的な定義 成熟:mRNAまたはmRNAの一領域にコードされたポリペプチドが、リボソーム上 で連続的にアミノ酸付加される過程でまたは付加された後に改変されるプロセス 。このポリペプチドが最終的に成熟すると、生理学的な形状の蛋白質が産生され る。このように、例えば、前駆体型からプロセシングされた型へ転換させる蛋白 質分解作用により、成熟が行われる。実際、本明細書において定義されているよ うに、一般的に、蛋白質のあらゆる翻訳後修飾は成熟に影響を与える。 フリン(FURIN):本明細書においてPACE/フリン(furin)と名づけられた、 プロホルモンコンバターゼ(PCs)または対合塩基性アミノ酸切断酵素の一種。 多細胞生物:細胞が組織を形成するよう分化する、すべての多細胞動植物。動 物では、原生動物を除くすべての動物を含む後生動物。 翻訳後修飾:非修飾型の蛋白質のポリペプチド鎖を構成する、天然の20アミノ 酸に対する共有結合的改変。翻訳後修飾は、蛋白質のバックボーンおよび構成ア ミノ酸の側鎖で起こる。一般的に、翻訳後修飾は、酵素-触媒反応による共有結 合の形成または切断によって起こる。蛋白質の合成が完成する前に修飾が起こる こともあり、新しく合成された蛋白質がリボソームから解離した後に起こること もある。さまざまな蛋白質で、非常に多様な翻訳後修飾の特徴が調べられている 。本発明において有用な修飾のすべてを、本明細書では「翻訳後修飾」という用 語を用いて包含することとする。 発明の概要 したがって、本発明の一つの局面により、第一の蛋白質をコードする第一のポ リヌクレオチド、および第二の蛋白質をコードする第二のポリヌクレオチドが発 現可能に組み込まれた細胞を含むトランスジェニック非ヒト多細胞生物が提供さ れる。該生物においては、細胞内における第二の蛋白質の発現が、第一の蛋白質 の翻訳後修飾に影響する。 本発明のこの局面の好ましい態様において、トランスジェニック生物は、後生 動物である。別の好ましい態様において、トランスジェニック生物は、植物であ る。 本発明のこの局面の一定の好ましい態様において、ポリヌクレオチドおよび蛋 白質は、生物の特定の細胞で発現される。いくつかの好ましい態様において、第 一の蛋白質は、生物の体液の中に分泌される。また、いくつかの好ましい態様に おいて、翻訳後修飾は第一の蛋白質の成熟に必要とされるものである。 さらに、いくつかの好ましい特定の態様において、第二の蛋白質は、アセチル 化、ADPリボシル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合 的付加、ヘムの共有結合的付加、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有 結合的付加、脂質または脂質誘導体の共有結合的付加、ホスファチジルイノシト ールの共有結合的付加、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有 結合的架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガ ンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ 素化、メチル化、ミリストイル化(myristoylation)、酸化、蛋白質分解プロセ シング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、 硫酸化、アルギニル化のような転移RNAが介在する蛋白質へのアミノ酸付加、お よびユビキチン化からなる群より選択される翻訳後修飾に影響を与えるものであ る。 特に好ましい態様において、ポリヌクレオチドおよび蛋白質は、生物の特定の 細胞で発現され、第一の蛋白質は体液の中に分泌される。本発明のこの局面にお ける好ましい体液は、血液、乳汁、尿、および唾液である。 これに関して、本発明の別の局面において、好ましい態様では、第一のポリヌ クレオチドは前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオチドはプロテアーゼ をコードし、前駆体蛋白質は生物の細胞内においてプロテアーゼによってプロセ シングされる。これに関して、一定の好ましい態様において、第一の蛋白質はビ タミンK依存型蛋白質であるか、または第VII因子、第VIII因子、第IX因子、プロ トロンビン、第X因子、プロテインC、第XIII因子、プロテインS、骨のGla蛋白 質、基質Gla蛋白質、増殖停止特異的蛋白質6、抗トロンビンIII、t-PA、エリス ロポエチン、フィブリノーゲン、免疫グロブリン、もしくはアルブミンである。 本発明のこの局面における、さらに好ましい態様において、細胞は、乳腺の分 泌細胞であり、第一の蛋白質は、この生物の乳汁の中に分泌される。これに関し て、一定の好ましい態様において、第一のポリヌクレオチドは前駆体蛋白質をコ ードし、第二のポリヌクレオチドはプロテアーゼをコードし、前駆体蛋白質はプ ロテアーゼによってプロセシングされる。 本発明のこの局面の好ましい特定の態様において、第一の蛋白質は、第VII因 子、第VIII因子、第IX因子、プロトロンビン、第X因子、プロテインC、第XIII 因子、プロテインS、骨のGla蛋白質、基質Gla蛋白質、増殖停止特異的蛋白質6 、抗トロンビンIII、t-PA、エリスロポエチン、フィブリノーゲン、免疫グロブ リン、 またはアルブミンである。 これに関して、特に好ましい態様において、プロテアーゼは、対合塩基性アミ ノ酸切断酵素である。これに関する、いくつかの特に好ましい態様において、第 一のポリヌクレオチドは、プロテインCをコードする。これに関して、最も好ま しい態様において、プロテアーゼはPACE/フリン(furin)である。 本発明のこの局面における好ましい別の態様において、蛋白質のガンマ-カル ボキシル化に影響する第三の蛋白質をコードする第三のポリヌクレオチドを含み 、第一の蛋白質が成熟するためにガンマ-カルボキシル化が必要で、第三の蛋白 質が、生物の細胞における第一の蛋白質のガンマ-カルボキシル化に影響を与え る。これに関して、第一のポリヌクレオチドがプロテインCをコードし、プロテ アーゼがPACE/フリン(furin)である態様が特に好ましい。 別の局面において、本発明は、翻訳後修飾された蛋白質を産生するための方法 を提供する。該方法は、トランスジェニック非ヒト多細胞生物に、第一の蛋白質 をコードする第一のポリヌクレオチド、および第二の蛋白質をコードする第二の ポリヌクレオチドを発現可能に組み込む段階、第二の蛋白質が細胞の中で第一の 蛋白質の翻訳後修飾に影響を与えるよう、この生物の細胞の中で第一の蛋白質お よび第二の蛋白質を発現させる段階、および、次に、その生物から、翻訳後修飾 された第一の蛋白質を分離する段階を含む。 本発明のこの局面における好ましい態様において、ポリヌクレオチドは、生物 の特定の細胞の中で発現される。 さらに、好ましい態様において、第一の蛋白質は、生物の体液の中に分泌され る。特に好ましい体液は、血液、乳汁、尿、および唾液である。 また、第一のポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレ オチドがプロテアーゼをコードし、また、この前駆体蛋白質が、生物の細胞の中 で、プロテアーゼによってプロセシングされるという態様が好ましい。 本発明のこの局面の極めて好ましい態様において、細胞は、乳腺の分泌細胞で あり、第一の蛋白質は、この生物の乳汁の中に分泌される。これに関し、第一の ポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオチドがプロテ アーゼをコードし、かつ、前駆体蛋白質が、細胞の中でプロテアーゼによってプ ロセシングされるという態様が特に好ましい。このタイプの極めて好ましい態様 において、第一の蛋白質は、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、プロトロンビ ン、第X因子、プロテインC、第XIII因子、プロテインS、骨のGla蛋白質、基質 Gla蛋白質、増殖停止特異的蛋白質6、抗トロンビンIII、t-PA、エリスロポエチ ン、フィブリノーゲン、免疫グロブリン、またはアルブミンである。さらに、本 発明のこの局面の特に好ましい態様において、プロテアーゼは、対合塩基性アミ ノ酸切断酵素である。これに関し、第一のポリヌクレオチドが、プロテインCを コードしているという態様が極めて好ましい。また、極めて好ましいのは、プロ テアーゼがPACE/フリン(furin)である態様である。特に極めて好ましいのは、 第一のポリヌクレオチドが、プロテインCをコードし、プロテアーゼが、PACE/ フリン(furin)であるという態様である。 本発明のこの局面のさらに好ましい態様において、第三のポリヌクレオチドは 、蛋白質のガンマ-カルボキシル化に影響する第三の蛋白質をコードし、第一の 蛋白質が、成熟のためにガンマ-カルボキシル化を必要とし、第三の蛋白質が、 生物の細胞における、第一の蛋白質のガンマ-カルボキシル化に影響を与える。 これに関して、特に好ましいのは、第一のポリヌクレオチドがプロテインCをコ ードし、プロテアーゼがPACE/フリン(furin)という態様である。 さらに別の局面において、本発明は、第二の蛋白質の発現が、生物の細胞の中 で第一の蛋白質の翻訳後修飾に影響を与えるように、トランスジェニック非ヒト 多細胞生物に、第一の蛋白質をコードする第一のポリヌクレオチド、および第二 の蛋白質をコードする第二のポリヌクレオチドを、発現可能に組み込む段階、お よびその後、その生物から、修飾された蛋白質を分離する段階を含む方法によっ て作出された翻訳後修飾された蛋白質を提供する。 本発明のこの局面の好ましい態様には、ポリヌクレオチドが、生物の特定の細 胞の中で発現されるという態様、第一の蛋白質が、生物の体液の中に分泌される という態様、特に、体液が、血液、乳汁、尿、および唾液からなる群より選択さ れる態様がある。また、本発明のこの局面において好ましくは、第一のポリヌク レオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオチドがプロテアーゼを コードし、かつ、前駆体蛋白質が、細胞の中でプロテアーゼによってプロセシン グされる。 本発明のこの局面において特に好ましくは、細胞は乳腺の分泌細胞であり、第 一の蛋白質が、この生物の乳汁の中に分泌される。これに関し、第一のポリヌク レオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオチドがプロテアーゼを コードし、かつ、前駆体蛋白質が、細胞の中でプロテアーゼによってプロセシン グされるという態様が極めて好ましい。特に好ましいのは、第一の蛋白質が、第 VII因子、第VIII因子、第IX因子、プロトロンビン、第X因子、プロテインC、第 XIII因子、プロテインS、骨Gla蛋白質、基質Gla蛋白質、増殖停止特異的蛋白質 6、抗トロンビンIII、t-PA、エリスロポエチン、フィブリノーゲン、免疫グロ ブリン、またはアルブミンであるという態様である。本発明のこの局面において 、好ましいプロテアーゼには、対合塩基性アミノ酸切断酵素が含まれる。特に、 極めて好ましいのは、第一のポリヌクレオチドが、プロテインCをコードしてい るという態様である。これに関して、特に極めて好ましいのは、プロテアーゼが PACE/フリン(furin)であるという態様である。 本発明のこの局面の、別の好ましい態様には、第三のポリヌクレオチドが、蛋 白質のガンマ-カルボキシル化に影響する第三の蛋白質をコードし、第一の蛋白 質が、成熟のためにガンマ-カルボキシル化を必要とし、かつ、第三の蛋白質が 、生物の細胞において、第一の蛋白質のガンマ-カルボキシル化に影響を与える という態様が含まれる。これに関して、特に好ましいのは、第一のポリヌクレオ チドがプロテインCをコードし、プロテアーゼがPACE/フリン(furin)であると いう態様である。 さらに本発明の別の局面において、トランスジェニック非ヒト多細胞生物の産 物が提供される。この局面において、この生物は、第一の蛋白質をコードする第 一のポリヌクレオチド、および第二の蛋白質をコードする第二のポリヌクレオチ ドが発現可能に組み込まれているという特徴を有する。ここで、第二の蛋白質の 発現により、その生物の細胞内での第一の蛋白質の翻訳後修飾が変化し、それに より、その生物により産生される産物の天然の組成が変化する。 本発明のこの局面の一定の好ましい態様において、ポリヌクレオチドは、生物 の特定の細胞で発現される。また、好ましい態様は、第二の蛋白質、または第一 および第二の蛋白質が、生物の体液、特に、血液、乳汁、尿、および唾液の中に 分泌される態様である。産物が乳汁であるか、または乳汁に由来するものであり 、細胞が乳腺の分泌細胞であり、また、第一の蛋白質、第二の蛋白質、もしくは 第一および第二の蛋白質が生物の乳汁中に分泌され乳汁を変化させるという態様 が特に極めて好ましい。第一のポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第 二のポリヌクレオチドがプロテアーゼをコードし、かつ、前駆体蛋白質が、細胞 の中でプロテアーゼによってプロセシングされるという態様も極めて好ましい。 さらに、極めて好ましい態様において、第二の蛋白質は、蛋白質のリン酸化に影 響する蛋白質、または前駆体蛋白質に影響するプロテアーゼであり、このリン酸 化蛋白質またはプロテアーゼは、乳汁中に分泌されて、乳汁の組成を変化させる 。 本発明のこの局面の一定の好ましい態様において、第一の蛋白質は、第VII因 子、第VIII因子、第IX因子、プロトロンビン、第X因子、プロテインC、第XIII 因子、プロテインS、骨Gla蛋白質、基質Gla蛋白質、増殖停止特異的蛋白質6、 抗トロンビンIII、t-PA、エリスロポエチン、フィブリノーゲン、免疫グロブリ ン、またはアルブミンである。 一定の特に好ましい態様において、プロテアーゼは、対合塩基性アミノ酸切断 酵素である。 さらに好ましい態様において、第一のポリヌクレオチドは、プロテインCをコ ードするものである。 本発明のこの局面の特に好ましい態様において、プロテアーゼはPACE/フリン (furin)である。 本発明の、その他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らか になると考えられる。しかし、この詳細な説明から、本発明の精神と範囲内での さまざまな変更または改変が、当業者に対して明らかになるため、本発明の好ま しい態様を述べてはいるが、詳細な説明、および特異的な実施例は、例示的なも のにすぎないと理解されるべきである。 図面の簡単な説明 図1は、ヒト・プロテインC(「HPC」)で見られる翻訳後修飾を概略を示し た もので、HPCは、まず、単鎖の461アミノ酸のポリペプチドとして肝細胞で合成さ れ、合成後、18残基のシグナルペプチド(「SP」)が除去され、N-結合グリコ シド(「CHO」)が、Asn97、Asn248、Asn313、およびAsn329に付加され、ビタミ ンK依存型ガンマ-カルボキシラーゼによって、アミノ末端近傍の9個のグルタ ミン酸にγ-カルボキシル基(「GLA」)が付加され、N-結合CHOが、ゴルジ体で さらにプロセシングを受け、β-ヒドロキシル基(「β-OH」)がAsp71に付加さ れ、443残基のポリペプチドがプロテアーゼによって切断されて、24アミノ酸の ペプチド前駆体(「PRO」)とジペプチドLys156〜Arg157(「KR」)を解離し、 正しく修飾され、プロセシングされたHPCは、ジスルフィド結合によって連結さ れた軽鎖(「LC:1-155」)と重鎖(「HC:158-420」)とを含む二本鎖蛋白質とし て、循環する血漿の中に分泌される。 図2は、実施例の例示的なmWAP/HPCとmWAP/PACE構築物の概略を示したもので ある。エクソンが、黒く塗った四角で示されている。mWAPの非翻訳エクソン配列 を四角で囲み、5'および3'近傍、ならびにイントロン配列は、直線で示されてい る。mWAPプロモーターとPACE cDNAの間の結合領域の配列は、GGTACCaCACCATGで ある。PACE cDNAとmWAP遺伝子との間の3'側結合領域は、TTTATCTGggGGATCCCとい う配列である。mWAPの配列を太字で、リンカー配列を小文字で、PACEの配列をイ タリック体で示す。どちらの構築物も、同じ、-4098から+25までのmWAPの5'近傍 配列をもっている。 発明の詳細な説明 本発明は、蛋白質の翻訳後修飾を変更し、それによりトランスジェニック非ヒ ト多細胞生物における物質生産を改良するために、クローニングされた遺伝子を 発現させることに関する。 一つの特定の局面において、驚くべきことに本発明により、非ヒト多細胞トラ ンスジェニック生物の細胞の翻訳後修飾能力を、その生物に有害な効果をもたら すことなく改変できる。 さらに、本発明は、翻訳後修飾を行なう酵素の発現を利用して、その生物の細 胞における蛋白質の翻訳後修飾を改変するだけでなく、例えば、生物の細胞、組 織、器官、および生理学的液体の組成と、その生物に由来する産物の組成を改変 することができる。 特定の局面において、本発明は、プロテアーゼの発現を利用して、乳汁の組成 を改変し、それによって、乳漿、およびその他の乳汁組成物を改変できる。特に 、これに関しては、本発明は、乳製品の組成および性質を改変するために用いる ことができる。したがって、本発明は、トランスジェニックバイオリアクターに おける物質の産生を促進するために利用できるだけでなく、その生物によって産 生される産物で、牛乳、ならびにブタ、ヒツジ、およびヤギによって作られる乳 製品などの有用性を向上させるためにも利用することができる。 また、本発明は驚くべきことに、膜蛋白質を哺乳動物の上皮細胞に遺伝子導入 して発現させることにより、乳汁中に分泌され、酵素活性があり、インサイチュ ーで乳汁の組成物を改変することができると規定している。 本発明の特定の態様において、PACE/フリン(furin)をコードするDNAを、乳 漿の酸性蛋白質遺伝子のプロモーター(「WAP」)を用いて、トランスジェニッ ク動物の乳腺の分泌細胞の中で発現させることができる。この細胞で発現された PACE/フリン(furin)は、乳汁の中に分泌されるが、これは、通常は、膜結合蛋 白質である。さらに、分泌されたPACE/フリン(furin)は、明らかに、乳汁中の 乳漿酸性蛋白質の量を減少させる。 さらに、本発明は、細胞および乳汁の前記の改変が起きただけでなく適正な蛋 白質分解によってプロセシングされたプロテインCの量を乳汁中で上昇させてい るトランスジェニック動物の乳腺の分泌細胞における、PACE/フリン(furin)と ヒト・プロテインCとの同時発現を提供する。 このように、本発明にしたがって、ヒト以外の多細胞生物の細胞中の蛋白質の 翻訳後修飾を改変するために、その生物に遺伝子を導入する。好ましい態様にお いて、この遺伝子は、生物の蛋白質、組織、または体液の組成を改変する蛋白質 を発現させる。後者の場合、本発明の特に好ましい態様は、哺乳動物の乳腺の中 で酵素を発現させ、乳汁の中に酵素を分泌させかつ乳汁の組成を改変する遺伝子 を含む。 別の好ましい態様において、2種の遺伝子を生物に導入する。第一の遺伝子は 、翻訳後修飾を受ける第一の蛋白質をコードしている。第二の遺伝子は、第一の 蛋白質の翻訳後修飾を行なう酵素をコードしている。この態様において、修飾酵 素をコードする遺伝子の発現により、第一の遺伝子にコードされる第一の蛋白質 の、生物体における成熟が改変される。 本発明の別の好ましい態様において、トランスジェニック生物における物質の 産生は、蛋白質を望ましい形状で産生することを制限する翻訳後修飾の緩慢な段 階を同定して、次に、その段階が律速段階でなくなるよう、修飾を行なう物質を 産生する、生物体中の細胞の能力を向上させることによって改善される。さらに 産生を最適化するために、同じ処理を、産生が最適になるまで2回以上繰り返し てもよい。 さらに、別の好ましい態様において、翻訳後修飾は、生物体の特定の細胞また は組織で改変される。また、この翻訳後修飾は、ホルモンなどの外部刺激または 食物成分などの環境変化に応答して、細胞の中で誘導されて改変されてもよい。 さらに、一定の好ましい態様において、改変された翻訳後修飾は、乳汁、尿、 血液、または唾液などの体液の中に蛋白質を分泌する細胞の中での蛋白質の成熟 に影響する。 本発明に係る、翻訳後修飾、修飾のための蛋白質、方法、および生物が、以下 の一般化された考察の中で例示されている。この考察は、本発明の範囲を例示す るものと評価されるが、可能な態様のすべてを説明したものではなく、実際、す べてを説明することはできない。従って、考察は、説明的なものであって、制約 的なものではない。 例示的翻訳後修飾 トランスジェニック生物における細胞の翻訳後修飾能力は、蛋白質を修飾する 酵素をコードする導入遺伝子の発現によって改変することができる。多くの翻訳 後修飾について説明され、特徴づけられてきた。これらは、「エフ・ウォルド( F.Wold)、翻訳後の蛋白質修飾:考察と展望(ニューヨーク、アカデミック社 、B.C.ジョンソン(B.C.Johnson)編、蛋白質の翻訳後の共有的修飾(1983)pp .1〜12」、「サイフター(Seifter)ら、蛋白質修飾および非蛋白質補助因子に 関する解析(Meth.Enzymol.182:626〜646(1990))」、「ラタン(Rattan)ら 、蛋白質合成、翻訳後修飾、および加齢(Ann.N.Y.Acad.Sci.663: 48〜62(1 9 92))」、「ハン(Han)ら、蛋白質の翻訳後の化学的修飾(Int.J.Biochem.2 4(1): 19〜28(1992))」、「ハン(Han)ら、蛋白質の翻訳後の化学的修飾−III (Int.J.Biochem.25(7): 957〜970(1994))」および「ハン(Han)ら、Int. J.Biochem.24(9): 1349〜1363(1994))」などの多くの概説の主題となってき た。 本発明は、原則として、あらゆる修飾を含む、さまざまな翻訳後修飾について 実施することができる。これに関する、本発明における有用な翻訳後修飾には、 本発明にしたがって改変しうる、蛋白質の既知の翻訳後修飾のいくつかの名前を 挙げると、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有 結合的付加、ヘムの共有結合的付加、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の 共有結合的付加、脂質または脂質誘導体の共有結合的付加、ホスファチジルイノ シトールの共有結合的付加、クロスリンキング、環化、ジスルフィド結合形成、 脱メチル化、共有結合的架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成 、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒド ロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化(myristoylation)、酸化、 蛋白質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(se lenoylation)、硫酸化、例えばアルギニル化などの、転移RNAが介在する蛋白質 へのアミノ酸付加、およびユビキチン化がある。 トランスジェニック動物の細胞における、蛋白質のこのような翻訳後修飾の改 変は、その蛋白質が発現されるはずの、選択されたトランスジェニック細胞また は組織において、特異的な修飾の生成またはその効率に影響する蛋白質および酵 素の活性を変更することによって行うことができる。 直接に修飾を触媒する酵素、修飾の代謝および異化に関連する酵素、ならびに 蛋白質の修飾に対する細胞の活性に影響する酵素を含む、多くの翻訳後修飾を触 媒する酵素が同定され、精製され、特徴づけられている。このような酵素をコー ドする遺伝子は、クローニングすることができ、実際、クローニングされており 、本明細書の別の箇所で説明されているように、トランスジェニック動物の細胞 の中で発現させられている。 次のリストは、本発明に従って用いることのできる酵素のいくつかを例示した ものである。このような酵素をコードする、cDNAおよびゲノム由来のクローンの 例も以下に列挙する。しかし、所与のいかなる蛋白質の修飾も、一般的に、細胞 の中のさまざまな酵素の活性、ならびにその他の蛋白質および物質の結果として 起こるものであると認識されるべきである。したがって、本発明によれば、トラ ンスジェニック動物の細胞における蛋白質の修飾は、下記に例示されているよう な翻訳後修飾の直接の原因となる酵素の導入遺伝子の発現によるだけでなく、こ のような修飾酵素に間接的に影響するように作用する蛋白質の発現によって、細 胞の中の別の発現蛋白質の翻訳後修飾が改変されることによっても影響されうる 。 アセチル化/脱アセチル化 アセチル基の付加または除去による、細胞内での蛋白質の翻訳後修飾はしばし ば、アセチルトランスフェラーゼおよびデアセチラーゼによって行われる。例え ば、「SSAT」遺伝子にコードされるスペルミジン/スペルミンN1-アセチルトラ ンスフェラーゼ、およびNAT1およびNAT2遺伝子にコードされるアリルアミンO-ア セチルトランスフェラーゼなどがある。 アシル化 細胞における蛋白質の翻訳後のアシル化はしばしば、アシルエステラーゼによ って行われるが、例えば、ラット・プロテオリピド蛋白質脂質アシルエステラー ゼ、ラットミエリン結合非特異的エステラーゼ、クローニングされたpenDE遺伝 子にコードされている、P.chrysogenumのアシルCoA:6-アミノパニシラン酸(6- aminopanicillanic acid)アシルトランスフェラーゼ、およびcDNAとしてクロー ニングされている、トウモロコシのG3Pアシルトランスフェラーゼなどがある。 ADPリボシル化 翻訳後のADPリボシル化を行なうかまたは改変する酵素の実例として、PARP遺 伝子にコードされる、モノ(ADPリボシル)トランスフェラーゼA、C、および D、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ、二窒素還元酵素活性化グリコヒドロラ ーゼ、ARF2遺伝子にコードされるヒトADPリボシル化因子、ならびにコレラ毒素 サブユニットA遺伝子にコードされるコレラ毒素サブユニットAなどがある。 アミド化 細胞の中の蛋白質の翻訳後のアミド化に影響を与える酵素には、PAM遺伝子に コードされており、クローニングされているペプチジルグリシンα-アミド化モ ノオキシゲナーゼがある。 架橋 細胞の中で翻訳後に蛋白質で起きる架橋反応に関係する酵素には、クロスリン キングパーオキシダーゼおよびとエクステンシンが含まれる。 ジスルフィド結合形成 ジスルフィド結合形成する酵素には、とりわけ、ジスルフィド酸化還元酵素ま たはイソメラーゼが含まれるが、例えば、cDNAとしてクローニングされているヒ ト蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ、これもcDNAとしてクローニングされている ラット蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ、dipZ遺伝子にコードされている、大腸 菌のPDI様蛋白質、これもクローニングされているA.castellaniiのPDI様蛋白質 がある。 細胞の中にある蛋白質におけるジスルフィド結合形成は、「バードウェル(Bar dwell)ら、Cell 74: 769〜771(1993)」などの、多くの概説の主題となってきた 。 ガンマ-カルボキシル化 細胞内の蛋白質の翻訳後ガンマ-カルボキシル化を行なう酵素には、ビタミン K依存型カルボキシラーゼ、例えば、cDNAとしてクローニングされているヒトお よびウシのグルタミルカルボキシラーゼが含まれる。翻訳後ガンマ-カルボキシ ル化はまた、ビタミンKエポキシダーゼ、ビタミンKエポキシドレダクターゼ、 NADH依存型およびジチオール依存型ビタミンKレダクターゼなどのビタミンK合 成酵素による影響を受ける。細胞内で蛋白質をガンマ-カルボキシル化すること は、多くの研究の目的となっており、「フーリエ(Furie)ら、Blood 75(9)1753 〜1762(1990)」など、多数の概説の主題となってきた。 グリコシル化 細胞の中での蛋白質のグリコシル化に影響する多くの酵素には、例えば、ヒト のα-フコシルトランスフェラーゼの遺伝子などを含むいくつかのcDNAおよび遺 伝子がクローニングされている、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、N-アセ チ ルグルコースアミニルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、ガラ クトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ、グルコシダー ゼ、ならびにマンノシダーゼなどのグリコシルトランスフェラーゼが含まれる。 細胞内の蛋白質の翻訳後のグリコシル化は、例えば、「ゴーシェ(Goochee)ら、B IO/Technology 9: 1348〜1354(1991)」を含む多くの概説の主題となっている。 GPIアンカー形成 グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーを形成するのに関係 する酵素には、既にクローニングされているGPIシンターゼクラスA、F、H cD NAにコードされている酵素などのGPIシンターゼが含まれる。 ヒドロキシル化 細胞の中での蛋白質の翻訳後のヒドロキシル化に影響する酵素には、cDNAとし てクローニングされている、ヒトの脳のトリプトファンヒドロキシラーゼ、これ もcDNAとしてクローニングされている、ウサギの脳のトリプトファンヒドロキシ ラーゼ、cDNAとしてクローニングされている、ヒトのコレステロール 7アルファ -ヒドロキシラーゼ、その遺伝子が既にクローニングされているヒトのチロシン ヒドロキシラーゼ、遺伝子が既にクローニングされているヒトのフェニルアラニ ンヒドロキシラーゼ、およびリシルヒドロキシラーゼなどを含むプロリル4-ヒド ロキシラーゼが含まれる。 ヨウ素化 細胞の中の蛋白質のヨウ素化は、主としてチロシンで起こり、この翻訳後修飾 に影響する酵素には、既にクローニングされた甲状腺パーオキシダーゼ(「TPO 」)遺伝子にコードされる甲状腺パーオキシダーゼが含まれる。 脂質の修飾 さまざまなリピド化、およびその他の脂質関連の修飾が、本発明にしたがって 用いられ得る細胞の中の蛋白質において、翻訳後に起こる。これらの修飾のいく つかについては、本明細書の別の箇所で個別に考察されている。脂質修飾は、よ く研究されており、「チョウら(Chow)、蛋白質に対する脂質修飾の構造と生物 学的効果、Current OpinionCell Biol.4: 629〜63(1992)」などのさまざまな概 説で説明されている。 メチル化および脱メチル化 蛋白質において通常観察されるメチル化には、例えば、P.aeruginosaの遺伝 子pilDにコードされているN-メチルトランスフェラーゼを実例とする、カテコー ルO-メチルトランスフェラーゼなどの蛋白質メチルトランスフェラーゼによって 行われる、カルボキシル基、N基、およびO基のメチル化が含まれる。メチル化 もまた、詳細に研究されており、例えば、「クラーク(Clarke,S.)蛋白質のメ チル化、Current Opinion Cell Biol.5: 977〜983(1993)」を含む、さまざまな 概説の主題となってきた。特に、カルボキシル末端にあるシステイン残基のメチ ル化を概説したものが、「クラーク(Clarke,S.)、Ann.Rev.Biochem.61: 3 55〜386(1992)」によって提供されている。 酸化 細胞の中の蛋白質の翻訳後の酸化は、とりわけ、例えば、脂肪酸を酸化する脂 質パーオキシダーゼによって影響を受ける。 蛋白質分解 細胞において、蛋白質の成熟を蛋白質分解作用によって行なうことが知られて いる多様なプロテアーゼの系列がある。特定の蛋白質分解プロセシングの段階は しばしば、細胞外への排出などの、膜を通過して細胞区分の外へ輸送することに 関係する。さらに、蛋白質分解的な切断は、不活性な前駆体ポリペプチドとして まず合成された蛋白質を活性化するのにしばしば必要とされる。このような酵素 を利用することは、本発明において好ましい。特に好ましいのは、分泌または活 性化のために切断を行なうプロテアーゼである。 蛋白質分解的な翻訳後修飾に関係する酵素には、例示のために少数の例を挙げ れば、トリプシン、キモトリプシン、大腸菌のシグナルペプチダーゼ、カルボキ シペプチダーゼBなどのメタロ-カルボキシペプチダーゼ、DPP4遺伝子にコード されるヒトペプチジルアミノペプチダーゼIV、およびラットのミトコンドリアプ ロセシングペプチダーゼを含む、システインプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ 、またはアスパラギン酸プロテアーゼなどのジペプチジルアミノペプチダーゼな どが含まれる。 蛋白質分解によるプロセシングは、長年の、注意深い実験の対象となっており 、広範に概説されている。蛋白質分解によるプロセシングが生理学的な過程に関 連するために、特にこれに注目した概説の一つに、「ニューラス(Neurath,H. )、蛋白質分解によるプロセシングと生理学的な調節、TIBS 14: 268〜271(1989 )」がある。 リン酸化 リン酸化は、細胞における蛋白質の活性の重要な局面であり、ホスホリラーゼ と、cDNAとしてクローニングされているヒトTGF-6レセプターII型キナーゼ、こ れもcDNAとしてクローニングされているヒト蛋白質ホスファターゼ1(PP1)G- サブユニット、クローニングされたcDNAにコードされているシロイヌナズナ(A .thaliana)のキナーゼ結合蛋白質ホスファターゼ(「KAPP」)、cobC遺伝子に コードされているネズミチフス菌(S.typhimurium)のホスファターゼを含む、 プロテインキナーゼAおよびCなどのキナーゼとを含む多様な酵素によって行わ れる。 プレニル化 細胞内での蛋白質の翻訳後プレニル化は、とりわけ、cDNAとしてクローニング されているヒト・ヘムA:ファルネシルトランスフェラーゼ、これもcDNAとして クローニングされているヒト・CAAXファルネシルトランスフェラーゼ、RAM1およ びRAM2遺伝子にコードされている酵母のファルネシルトランスフェラーゼ、ispB 遺伝子にコードされている大腸菌のオクタプレニル二リン酸シンターゼ、これも cDNAとしてクローニングされているC.annumのゲラニルゲラニル二リン酸シンタ ーゼを実例とする、ファルネシルトランスフェラーゼとゲラニルゲラニルトラン スフェラーゼを含むプレニルトランスフェラーゼによって行われる。蛋白質のプ レニル化は、例えば、とりわけ「クラーク(Clarke,S.)、Ann.Rev.Biochem. 61: 355〜386(1992)」に概説されており、そこでは、カルボキシル末端のシス テイン残基のイソプレニル化に焦点が当てられている。 硫酸化 細胞の蛋白質における翻訳後の硫酸化は、例えば、チロシルプロテインスルホ トランスフェラーゼ(「TPST」)および硫酸スルホターゼを含み、実例としては 、どちらもクローニングされているヒトの胎盤エストロケン・アリールスルホト ランスフェラーゼおよびヒトの脳エストロゲン・アリールスルホトランスフェラ ーゼ、ならびに既にクローニングされている、ラットの肝臓アリールスルホトラ ンスフェラーゼIVなどがある。蛋白質中のチロシンの翻訳後の硫酸化については 、「ニールズ(Nierhs)ら、Chemico-Biological Interactions,93: 257〜271(19 94)」に概説されている。 ユビキチン化 ユビキチンの共有結合的付加によるイソペプチドの形成は、それらの多くがE2 sと呼ばれており、少なくとも10種の同定された酵母UBC遺伝子、およびシロイヌ ナズナの同定された20種以上のUBC遺伝子の例がある、ユビキチン結合イソペプ チダーゼによって行われる。ユビキチン活性化酵素はまた、本発明の局面にした がって、蛋白質の翻訳後のユビキチン化に影響を与えるために用いることができ る。これらの型の酵素の中で、E1酵素が、イソペプチド結合が形成される前に、 ユビキチンのα-カルボキシル基を活性化する。この型の酵素の実例は、E1をコ ードする酵母のUBA1遺伝子およびシロイヌナズナでE1をコードする遺伝子と同定 された3種類の遺伝子の酵素である。また、これに関連して有用なのは、脱ユビ キチン化酵素、およびユビキチン化に関係した基質認識因子である。ユビキチン の代謝と役割、およびユビキチン蛋白質の分解経路が、「ホッホストラッサー( M.Hochstrasser)、Current Opinion in Cell Biology 4: 1024〜1031(1992)」 で概説されている。 前述した例示的な考察のいずれかに記載されているように、翻訳後修飾は通常 、アミノ酸特異的である。したがって、本発明に従い、生物の細胞または組織の 中でアミノ酸特異的な翻訳後修飾が行われる効率を操作することによって、トラ ンスジェニック生物の細胞の中で、蛋白質における特異的なアミノ酸の翻訳後修 飾を改変することができる。蛋白質の、既知のアミノ酸特異的な翻訳後修飾を示 す、以下のリストは、本発明のこの局面を例示するものである。蛋白質の特異的 なアミノ酸残基で1個以上の修飾を回避するかまたはそれらを生じさせるために 、所定の蛋白質に点突然変異を導入するものと理解されるべきである。 アミノ末端:ホルミル化、アセチル化、ピログルタミン酸の形成、N末端のア ルギニル化、ミリストイル化(myristoylation)。 アルギニン:N-メチル化、ADPリボシル化、リン酸化。 アスパラギン:グリコシル化、β-ヒドロキシル化、脱アミド化、ADPリボシル 化。 アスパラギン酸:β-ヒドロキシル化、β-カルボキシル化、リン酸化、メチル 化、ラセミ化(異性化)。 カルボキシ末端:ホスファジルイノシトールの誘導化、グリシン-アミド化。 システイン:シスチン形成、セレノシステイン形成、ヘム結合、ミリストイル 化(myristoylation)、プレニル化、ADPリボシル化、ヘム付加、パルミトイル 化(palmytoylation)、酸化。 グルタミン酸:γ-カルボキシグルタミン酸形成、C-メチル化、ADPリボシル化 。 グルタミン:脱アミド化、クロスリンキング、ピログルタミン酸の形成。 ヒスチジン:メチル化、ジフトアミド(diphthamide)形成、リン酸化、フラ ビン結合。 リシン:N-アセチル化、N-メチル化、酸化、ヒドロキシル化、クロスリンキン グ、ビオチニル化、ユビキチン化、ヒプシン(hypusine)形成。 メチオニン:セレノメチオニン形成。 フェニルアラニン:ヒドロキシル化。 プロリン:ヒドロキシル化、N末端メチル化。 セリン:リン酸化、グリコシル化、アセチル化、ホスホパンテテイン付加。 スレオニン:リン酸化、グリコシル化。 チロシン:ヨウ素化、リン酸化、O-硫酸化、フラビン結合、ヌクレオチド結合 。 現在開示されている発明にしたがって、トランスジェニック動物の中で、前述 の修飾のいずれをも改変することができる。前述の酵素およびこれらをコードす る遺伝子を、本明細書において開示されている発明にしたがって、トランスジェ ニック生物の中で発現されている蛋白質の翻訳後修飾を改変するために用いるこ とができる。 トランスジェニック生物において、細胞の翻訳後修飾を改変することによって、 より効果的に産生されるようになる蛋白質の例 本発明は、トランスジェニック生物の細胞または組織で産生される、いかなる 蛋白質に対しても、一般的に応用することができる。上述したように、本発明は 、トランスジェニック生物の細胞で発現される蛋白質に自然に起きる翻訳後修飾 の効率を改変するために用いることもできる。また、点突然変異または蛋白質の アミノ酸配列のより大幅な改変によって、蛋白質に導入された部位の翻訳後修飾 を操作するために利用することもできる。 これに関して、本発明の好ましい態様は、血清蛋白質の翻訳後修飾を行なう酵 素、特に、止血、血液凝固、および血塊溶解に作用する血清因子に関する。これ に関し、特に好ましいのは、ビタミンK依存型蛋白質である。 本発明のこの局面にしたがって、特に関心の対象となる蛋白質には、第VII因 子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XIII因子、フィブリノーゲン、プロト ロンビン、t-PAのようなプラスミノーゲン活性化因子、プラスミノーゲン、プロ テインSおよびプロテインC、骨のGla蛋白質、基質Gla蛋白質、増殖停止特異的 蛋白質6、抗トロンビンIII、エリスロポエチン、免疫グロブリン、ならびにア ルブミンがある。 これに関して本発明に係るトランスジェニック生物におけるこれらの蛋白質の 翻訳後修飾の特に好ましい改変には、蛋白質分解プロセシング、γ-カルボキシ ル化、β-ヒドロキシル化、硫酸化、およびグリコシル化を行なう酵素が含まれ る。 これに関して特に好ましいのは、蛋白質分解プロセシング、グリコシル化、硫 酸化、およびγ-カルボキシル化を行なう酵素である。本発明のいくつかの局面 において、蛋白質分解プロセシングが特に好ましい。 これに関しては、PACEファミリーの酵素が好ましく、特に、PACE/フリン(fur in)が好ましい。PACE/フリン(furin)については、例えば、前掲の「ローブロ ーク(Roebroek)(1986)」に説明されている。「ワイズ(Wise)ら、Proc.Na tl.Acad.Sci.U.S.A.87: 9378〜9382(1990)」、「ファン・ドバン(Van deVen )ら、Mol.Biol.Rep.14: 265〜275(1990)」、「ブレシュナハン(Breshnahan )ら、J.Cell Biol.111: 2851〜2859(1990)」、「ブレナン(Brennan)ら、J .Biol.Chem.266: 21504〜21508(1991)」および「ミスミ(Misumi)ら、Bioch em.Biophys.Res.Comm.171: 3564〜3568(1990)」において説明されてい るように、PACE/フリン(furin)は、フォン・ヴィレント因子前駆体、神経発育 因子前駆体、プロアルブミン、および補体蛋白質プロC3をプロセシングするこ とが明らかにされている。その上、PACE/フリン(furin)およびPACE4は、多く の細胞型での散在的な発現から分かるように、増殖因子、レセプター、ウイルス の糖蛋白質、および凝血因子を含む、その他のさまざまな蛋白質もプロセシング する可能性が高い。したがって、PACE/フリン(furin)は、トランスジェニック 生物の細胞中で発現されると、これらの蛋白質のプロセシングおよび成熟を特に 向上させうる。 特に、P1およびP4のアルギニン残基が、PACEによるプロペプチドの効果的な切 断にとって重要なアミノ酸であることが同定されている。例えば、「デライアン (Derian)ら、J.Biol.Chem.264: 6615〜6618(1989)」を参照のこと。 これに関する特異的な発現構築に関する手引きは、「ウェズリー(Wasley)( 1993)」などによって提供されているが、それらは、培養細胞で発現されるPAC 酵素をコードしている遺伝子について報告している。培養細胞で利用するための PACE発現構築物を作製するために用いられる、DNAおよびクローニング方法は、 トランスジェニック生物における発現ベクターの作出に合わせて調整することが できる。勿論、本明細書の別の箇所で説明されているように、生物の特定の細胞 におけるPACE導入遺伝子の発現を目的として、プロモーター、およびその他の調 節シグナルを用いることが望ましい。 通常の組換え技術を用いた、導入遺伝子発現のための構築物の例示的な局面 トランスジェニック生物を作出するためのDNAは、組換えDNAクローニングに関 する従来の方法によって得ることができる。これに関して、適当なDNAを作製す るための周知のDNA技術に関する一般的な考察は、「マニアティス(Maniatis) ら、分子クローニング、実験マニュアル(コールドスプリングハーバー研究所( Cold Spring Harbor Laboratory)、1982」および「サムブルック(Sambrook) ら、実験マニュアル第二版、第1〜3巻(コールドスプリングハーバー研究所( Cold Spring Harbor Laboratory)、1989」によって提供されている。全身また は組織特異的に発現させるために、トランスジェニック生物に導入されているDN A構築物の実施例は、「動物の遺伝子工学、プーラー(A.Puhler)編、ニューヨ ーク、ワイ ンハイム、VCH フェアラーク社」において提供されている。 ある蛋白質をコードしているDNAは、後に非常に詳しく記述されるように、適 正な読み枠に合わせて、適切な調節シグナルとともに融合し、さらに、例えば、 バクテリアベクター中で増殖させるかまたはPCRによって増幅されうる遺伝子構 築物を作出し、その後、従来の実施技術にしたがって、宿主生物の中に導入する ことができる。 一般的には、生物体の中で、望ましい態様で発現するのに必要なシス作用シグ ナルを、遺伝子へ機能的に結合させる。これに関して、特に好ましいのは、特定 の細胞の中での効果的な発現を提供する、プロモーターおよびその他のシス作用 調節因子である。以下の考察では、プロモーターという用語は、広義に用いられ ており、厳密に技術的な意味では、プロモーターとは必ずしも見なされないエン ハンサーなどのシス作用因子も包含される。 本発明において有用なシス作用調節領域には、遺伝子の発現を調節するために 用いられるプロモーターが含まれる。本発明において、特に有用なのは、所定の 細胞型の中で特異的に活性を有する、これらのプロモーターである。これに関し て、好ましいプロモーターは、物質を体液中に分泌する細胞に特異的な活性があ るものである。この点に関して特に有用なのは、乳汁、尿、血液、および唾液の 中に物質を分泌できる細胞である。したがって、特に、例えば、乳腺、尿路、肝 臓、および唾液腺の細胞が特に有用である。 本発明のいくつかの局面において、これに関して特に有用なプロモーターは、 乳房組織で活性のあるものである。特に有用なのは、乳房組織に特異的な活性の あるプロモーターで、例えば、乳汁が合成される生理的な条件下で、他の組織に おけるよりも、乳房で活性のあるプロモーターである。これに関して、最も好ま しいのは、乳房組織において、特異的かつ効果的なプロモーターである。「効果 的」とは、プロモーターが、乳房組織において強力なプロモーターであり、乳汁 中に分泌するための蛋白質の大量合成を補助することを意味する。 このようなプロモーターの中では、カゼイン、ラクトアルブミン、およびラク トグロブリンのプロモーターが好ましく、α-、β-、およびγ-カゼインプロモ ーター、ならびにα-ラクトアルブミン、およびβ-ラクトグロブリンのプロモー タ ーがこれに含まれるが、これらに限定はされない。プロモーターの中で好ましい のは、齧歯類(例えば、マウスおよびラット)、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、 ウシ、およびウマに由来するプロモーターであり、特に、ラットのβ-カゼイン プロモーター、ヒツジのβ-ラクトグロブリンプロモーター、ならびにラットお よびヤギのα-ラクトアルブミンプロモーターが好ましい。 最も好ましいプロモーターは、乳漿酸性蛋白質(WAP)造伝子を調節するプロ モーターであり、最も好ましいWAPプロモーターは、マウスのWAPプロモーターで ある。最も高度に好ましいプロモーターは、マウスの乳漿酸性蛋白質プロモータ ーの、4.2 kbのSau3A−Kpn1プロモーター断片である。トランスジェニック生物 の乳汁中に蛋白質を高レベルで産生させるのに、この断片が非常に効果的である ことが分かっている。 上記で検討されたプロモーターのほかに、本発明において有用な転写を調節す る配列には、とりわけ、エンハンサー(これは、プロモーターの一部とみなされ ることもある)、スプライスシグナル、転写終結シグナル、およびポリAシグナ ルがある。特に有用な調節配列は、トランスジェニック動物において乳房細胞特 異的な蛋白質発現効率を上昇させる。 この点に関して、特に有用なのは、上記のα-、β-、およびγ-カゼイン遺伝 子、ならびにα-ラクトアルブミンおよびβ-ラクトグロブリン遺伝子のように、 乳房細胞の中で高レベルで発現する遺伝子の別の転写調節配列である。これに関 し 、調節配列の由来生物として好ましいのは、齧歯類(例えば、マウスおよびラッ ト)、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、およびウマである。好ましい調節配 列の実例は、それぞれ、ラットのβ-カゼイン遺伝子、ラットおよびヤギのα-ラ クトアルブミン遺伝子、ならびにヒツジのβ-ラクトグロブリン遺伝子に連結し た調節配列である。 本発明において最も好ましい調節配列の中には、乳漿酸性蛋白質遺伝子に連結 した調節配列のような、ホルモンに誘導される乳蛋白質で、妊娠中および授乳期 間中にのみ発現される乳蛋白質をコードする調節配列がある。これに関連して、 特に好ましいのは、マウスの乳漿酸性蛋白質遺伝子の調節配列である。 上記で検討したシグナル配列のほかに、翻訳を調節する配列には、リボソーム 結合部位、およびRNAの安定性を強化する配列がある。特に有用なのは、乳房細 胞中で高レベルに発現する遺伝子の翻訳調節配列である。例えば、α-、β-、お よびγ-カゼイン遺伝子、ならびにα-ラクトアルブミンおよびβ-ラクトグロブ リン遺伝子の調節配列が好ましく、特に、齧歯類(例えば、マウスおよびラット )、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、およびウマに由来するものが好ましい 。より一層、特に好ましいのは、ラットのβ-カゼイン遺伝子、およびヒツジの β-ラクトグロブリン遺伝子である。 別の局面において、誘導できるプロモーターが好ましく、特に、食物成分のよ うな、環境の変化によって誘導されるプロモーターが好ましい。これに関して顕 著なものは、メタロチオネインのプロモーターで、食物中にある適当な金属性の 誘導物質が取り込まれると、動物において誘導が起きるプロモーターである。メ タロチオネインプロモーターは、オステオグリシン(osteoglycin)、エピセリ ン(epithelin)、およびウシのオンコスタチンMを、トランスジェニック動物 の中で発現させるために用いられており、例えば、「マリク(Malik)ら、Molec .Cell Biol.15: 2349〜2358(1995)」において、組織特異的な発現もしくは誘 導的な発現、またはその両方に用いることができるプロモーターに関する概説が 提供される。また、乳腺刺激またはステロイドホルモンによって誘導できる乳汁 遺伝子のプロモーターも好ましい。 本発明において、組織特異的な発現もしくは誘導的な発現、またはその両方に とって有用な該プロモーターには、肝臓特異的な発現のためのアルブミンプロモ ーター、肝臓特異的な発現のためのα1-抗トリプシンプロモーター、上皮細胞お よび基底細胞で発現させるためのケラチン14プロモーター、ニューロンで特に発 現させるためのRIβプロモーター、膵臓のβ細胞で発現させるためのインシュリ ン-1プロモーター、胸腺細胞で発現させるためのLcKプロモーター、金属誘導性 のメタロチオネインプロモーター、および乳腺で発現させるためのホルモン誘導 性の乳蛋白質遺伝子プロモーターがある。 ある蛋白質を高レベルで発現させるトランスジェニック生物における産生を促 進する、さらに別の調節因子もあると考えられる。これらのシグナルのいくつか は、転写調節因子または細胞の外に輸送することに関係したシグナルであると考 えられる。別のシグナルとしては、効果的な染色体への組み込み、または組み込 まれたDNAの安定性に作用するものがあると考えられる。 翻訳後修飾が改変されうる生物の例 本発明を実施するのに適した非ヒト多細胞生物には、植物および動物が含まれ る。物質を乳汁中に産出させるために、特に好ましいのは、ヒト以外の哺乳動物 である。授乳する動物のすべて、すなわちすべての哺乳類が、本発明による使用 に適している。好ましい哺乳動物には、マウス、ラット、ハムスター、モルモッ ト、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、およびウマが含まれる。 特に、家畜および研究用動物が好ましい。家畜の中でも、ウシ、ヤギ、ヒツジ、 およびブタが好ましいが、ヒツジ、およびブタが特に好ましい。研究用動物では 、前記されたもの、およびイヌ、ネコ、ハムスター、ウサギ、ラット、およびマ ウスである。これらの中では、ハムスター、ラット、およびマウスが特に好まし い。この点に関して、ラットおよびマウスが特に好ましい。 トランスジェニック生物を作出するための一般的方法の例 トランスジェニック生物を作出するための標準的な周知の技術を用いて、本発 明にしたがって、生物の中に遺伝子を導入できる。これらの開発中の技術は、例 えば、「マーフィー(Murphy)ら編、トランスジェニック技術(1993)、ニュー ジャージー、トトワ、ヒューマンプレス社」および「プーラー(A.Puhler)編 、動物の遺伝子工学、ニューヨーク、ワインハイム、VCH フェアラーク社」な ど、多くの概説の主題となっている。 例えば、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム媒介沈澱法、リポソ ーム融合法、レトロウイルス感染法、またはその他の方法によって、DNAを分化 全能性幹細胞または多分化能性幹細胞の中に導入することができる。その後、異 種性のDNAを含む細胞を細胞胚の中に導入して、その中でトランスジェニック生 物を形成させることができる。 好ましい方法では、レトロウイルスベクターを発生中の細胞または胚に感染さ せて、感染した胚からトランスジェニック動物を作出することができる。 極めて好ましい方法においては、好ましくは単細胞期にある胚にDNAをマイク ロインジェクションすると、胚は成長して、成熟したトランスジェニック動物に な る。 上述した技術を用いて、2種類以上の異なったDNAを多細胞生物のゲノムDNAに 導入することによって、二重または多重トランスジェニック動物を作出すること ができる。DNAは、同じプロモーターかまたは別個のプロモーター、および他の 発現調節シグナルを有しうる。第一および第二の蛋白質をコードするcDNAまたは ゲノムDNAは、別々に構築されていても、単一の構築物になっていてもよい。さ らに、多重トランスジェニック生物は、交配させることもできる。例えば、適当 な周知の交配技術を用いて、2種の単一トランスジェニック生物を交配させて、 両親の導入遺伝子を両方とも有する二重トランスジェニック子孫を作出すること ができる。また、連続交配を用いて、さらに別の遺伝子を導入することができる 。本発明の実例である導入遺伝子を発現させるための、細胞、組織、器官、体液 、およびその他の生理学的区分 一般的に、生物のいかなる細胞または組織も、本発明にしたがって用いること ができる。 本発明のいくつかの局面においては、改変された翻訳後修飾を、特定の生理学 的区分に隔離するような、あらゆるタイプの特異的な発現が好ましい。区分とは 、改変を局所的にすることによって、全身への望ましくない影響を受ける可能性 から生物体自体を守る、生物の生理学的および/または物理的に隔離された形状 を意味する。 この点に関して好ましいのは、物質を体液中に分泌する細胞および組織である 。これに関して、蛋白質を血液、唾液、尿、および乳汁の中に分泌する細胞およ び組織が極めて好ましい。蛋白質を尿または乳汁の中に分泌する細胞および組織 が非常に好ましい。これらの中でも、蛋白質を乳汁の中に分泌する乳房上皮細胞 が特に好ましい。また、蛋白質を尿中に分泌される細胞も好ましい。 本発明の産物の例 本発明は、遺伝子導入した後生生物における蛋白質の成熟を促進するために用 いることができると評価される。本発明を用いて、トランスジェニック生物の細 胞における蛋白質の成熟を改変すれば、その生物の中の物質産生に影響を与える ことができる。翻訳後修飾を改変することによって、物質の産生に直接影響を与 えることができ、また、間接的に影響することもできる。例えば、後者の場合、 本発明を用いて、細胞の代謝作用および異化作用の産物で、蛋白質性のものだけ でなく、非蛋白質性の産物の産生に影響するよう、細胞の中の酵素活性を改変す ることができる。この点に関しては、例えば、本発明は、蛋白質の翻訳後のリン 酸化を改変し、それによって、基質を産物に変換する活性を改変するのに役立つ 。このように、本発明による翻訳後修飾の改変を用いて、トランスジェニック生 物中の細胞が産生する何らかの物質の産生を改変することができる。 より具体的には、本発明は、トランスジェニック生物における蛋白質の成熟を 改変するために用いることができる。この点に関して、本発明は、例えば乳蛋白 質の翻訳後修飾を改変するために用いることができる。本発明のこの局面の特定 の実施例は、乳汁中のカゼインのリン酸化および蛋白質分解的プロセシングを、 本発明の方法によって改変できることである。 本発明のさらに別の局面において、このタイプの翻訳後修飾の改変を用いて、 トランスジェニック生物の中で新しい産物を産出させることができると考えられ る。例えば、本発明に係る方法によって、乳汁の品質を決定し、また、乳汁に由 来する産物を産生するのに重要な役割を果たすことが知られているカゼインの翻 訳後修飾を改変することができる。このように、前述した乳汁におけるカゼイン のリン酸化および蛋白質分解的プロセシングの改変を用いて、新しい乳汁、乳蛋 白質、および乳産物を提供するトランスジェニック哺乳動物を作出することがで きる。 さらに、本発明は、翻訳後修飾を行なう酵素を産生し、乳汁および乳汁に由来 する産物などの、該酵素を含む組成物を産生するために用いることができる。 したがって、この点に関して、本発明は、一般的に新しい食料および食品を提 供することに応用することができると考えられる。 実例:トランスジェニックマウスの乳汁におけるHPCの、PACE/フリン(furin) によって促進される成熟 ビタミンK依存型凝血蛋白質は、一般的に、前駆体として合成されてから、と りわけ、一連の蛋白質分解的切断を受けて、最終的に完全に成熟した蛋白質を産 生する蛋白質の一つのクラスを表すものである。部分的には、プロテアーゼが前 駆体型凝血蛋白質の成熟を担う。前駆体型凝血蛋白質の蛋白質分解的プロセシン グは、本発明によって、物質産生を改良するために、トランスジェニック生物の 中で改変することができる翻訳後修飾の一つのタイプである。本発明のこの局面 の実例は、トランスジェニックマウスの乳汁において、成熟したHPCの産生を増 加させるために、乳房上皮細胞の中でPACE/フリン(furin)を発現させることで ある。 完全な翻訳後修飾およびプロセシングを受けた、ビタミンK依存型凝血蛋白質 の効果的な導入遺伝子発現については、いくつかの有望な結果が得られているに も拘わらず、依然として一つの困難な問題が残っている。従来からある細胞系に おいてこれらの蛋白質のいくつかを発現させると、同じような傷害が観察される 。 例えば、HPCをトランスフェクションさせた培養細胞は、HPCの単鎖を完全には プロセシングしない。実際、ヒトの肝臓細胞は、インビボで、単鎖を完全には二 本鎖にプロセシングしない。観察者は、成熟した二本鎖型にプロセシングされた 前駆体の量を、ヒトの肝臓においては85〜95%、肝臓由来のHepG2細胞において は50%、トランスフェクションされたハムスター新生児腎臓細胞においては30% 、およびヒト腎臓293細胞では80%であると報告している。サティー(Suttie,J .W.,Thromb.Res.44: 129〜134(1986))、およびヤンら(Yanら、Trends in B iochemical Sci.14: 264〜268(1989))の報告によれば、チャイニーズハムスタ ー卵巣細胞系(CHO)およびC127マウス線維芽細胞系は、この蛋白質を成熟型に は全くプロセシングしなかったばかりか、プロペプチドを付加したままのrHPCを 分泌しさえした。 トランスジェニック動物の乳汁に分泌されたrHPCは、プロrHPCと単鎖rHPCとの 混合物であることが報告された(Drohanら、Transgenic Res.3: 355〜364(1994 ),Valenderら、PNAS,U.S.A.89: 12003〜12007(1992))。 異なる細胞において、rHPCの蛋白質内部切断的な成熟の非効率性が変化するの は、細胞中でrHPCが産生されると、内因性のプロセシングプロテアーゼが定常状 態になるためであろうと示唆されている。 適切なプロテアーゼの発現によって、トランスジェニック生物の細胞における rHPCの蛋白質内部切断的なプロセシングは改良される。上述した蛋白質分解プロ セシングを行なう酵素の中には、プロホルモンコンバターゼ(PC)と呼ばれるス ブチリシン様セリンプロテアーゼまたは対合塩基性アミノ酸切断酵素(「PACE」 )がある。これらの蛋白質は、本発明によるトランスジェニック生物中で発現し 、蛋白質分解による凝血蛋白質前駆体型の成熟を促進することができる。 乳腺におけるHPCのプロセシングを改良したトランスジェニックマウスを作出 するための最初の段階として、HPCおよびPACE/フリン(furin)をコードする、 クローニングされた遺伝子を、乳腺上皮細胞でHPCおよびPACE/フリン(furin) が発現されるように指図する発現調節の下に置いたDNAを構築した。 この目的にとって好ましいプロモーターは、マウスの乳漿酸性蛋白質プロモー ターの、4.2 kbのSau3A-Kpn1断片である。乳腺上皮細胞およびその他の細胞で同 様の方式で、蛋白質を発現させるために、この他のプロモーターおよびプロモー ター断片を用いてもよい。 これに関する好ましい態様において、プロテインCをコードするヒトのゲノム DNAを用いて、HPCを発現させることができる。最も好ましいヒトゲノムDNAには 、プロテインCの開始コドンから21塩基上流で始まり、プロテインC遺伝子の3' 末端のNheI部位で終わる、ヒト・プロテインC遺伝子の断片があり、これは、9. 4 kbの長さで、乳汁においてヒト・プロテインCを高度に発現させる調節因子を 含んでいる。これに関し、ここで説明した9.4 kbのヒト・プロテインCの断片は 、単に、極めて好ましいDNAの一つに過ぎないと理解されると考えられる。勿論 、全く同じようにして、多くの他のDNAを用いることもできる。 PACE/フリン(furin)を発現させるために、作製され特徴付けが行われている さまざまなPACE/フリン(furin)DNAのいずれをも用いることができる。PACE/フ リン(furin)をコードする、ここでの使用に適したDNAについては、例えば、ヴ ァンド・ヴェンら(van de Venら、Molecular Biology Reports 14: 265〜275(1 990))、およびワスリーら(Wasleyら、J.Biol.Chem.268: 8458(1993))によ って説明されている。 プロモーターを含むDNAを、プロテインCをコードするDNAと、PACE/フリン(f urin)をコードするDNAとに連結させる。蛋白質の発現が、プロモーターからの 転 写によって調節されるように、DNAを配置する。連結した産物を適当なベクター の中に挿入して増殖させる。最後に、インジェクション用のDNAを精製して、ト ランスジェニックマウスを作出するために用いる。これらの処理に関係するすべ ての技術は、さらに詳しく上述されており、本明細書の別の箇所で引用された参 照の中にもあるが、これらは、当業者によって周知であり、日常的に実施されて いる。 インジェクションした胚から発生した子孫に導入遺伝子が存在しているか否か を、標準的な技術を用いて調べることができる。例えば、動物に導入遺伝子が入 っていることは、尾の組織の小片から採取したゲノムDNAの中で、インジェクシ ョンしたPACE/フリン(furin)およびHPC DNAに特異的なプライマーを用いたポ リメラーゼ連鎖反応(「PCR」)によって判定することができる。 同様に、ウエスタンブロット、ELISA、前凝血因子活性測定法、およびHPCのト ランスジェニック発現に含まれる文献で説明されている方法、とりわけ、本明細 書の別の箇所で説明されているような標準的な技術を用いて、授乳中のマウスに よるプロテインCの発現を測定することができる。 特に、乳汁中に含まれるプロテインCは、活性に過度な影響を与えることなく 、既知の方法によって精製することができる。この点に関して、適当な精製方法 の一つは、イムノアフィニティー・クロマトグラフィーである。または例えば、 ドロハンら(Drohan)(ガリンド(Galindo)ら編、オランダ、クルーワー・アカ デミック社、生物処理工学の進展、501〜507貞(1994))によって説明されている 方法を用いたその他の従来の方法によって、発現されたプロテインCを乳汁から 分離することができる。 本発明によって乳汁中に産生されたプロテインCは、トランスジェニック哺乳 動物から乳汁を採取したらできるだけ早く分離して、蛋白質の安定性に対する有 害な効果を抑えることが好ましい。 発現されたプロテインCの蛋白質分解による成熟の程度は、全乳から乳漿を分 離し、蛋白質をSDS/PAGEによりサイズによって分析し、この蛋白質をフィルター 上にブロッティングし、乳汁中のrHPCを可視化するために、あらゆる形状のHPC を認識する抗体によってこのフィルターをプローブによる検索をして評価するこ と ができる。 組換えプロHPC前駆体からプロHPCへの転換、プロHPCから成熟rHPCへの転換、 および単鎖rHPCから二本鎖rHPCへの転換に対するPACE/フリン(furin)発現の効 果を直接的に測定するために、遺伝子導入していないマウスからの乳汁中のrHPC 、HPCについて造伝子導入したマウス、ならびにHPCおよびPACE/フリン(furin) について遺伝子導入したマウスを、ブロットの中に並べて比較することができる 。rHPCの形状を観察して、PACE/フリン(furin)によって媒介された切断が、天 然のプロセシング部位に一致するか否かを判定するためにシークエンシングを行 うことができる。天然のHPCを有するトランスジェニックマウスにおいて産生さ れるrHPCの正確さを評価するために、活性測定法を応用することもできる。 上記のことは、後述する特異的な実施例において、より詳細に例示する。この 例示は制限的なものではなく、同じ範例を用い、本発明にしたがって、あらゆる 蛋白質の翻訳後プロセシングを改変することができる。 このように、例えば、トランスジェニック動物の細胞中のrHPCを適切に切断で きる別の酵素を、PACE/フリン(furin)と同じように用いることができ、また、 トランスジェニック動物の中で別の蛋白質を発現させ、HPCの蛋白質分解的成熟 を上述のように促進したのと同じ方法で、そのプロセシングを促進することがで きる。 本発明は、以下の例証的な実施例を参照することによって、さらに説明される 。 トランスジェニック動物の器官の中の、複雑な異種性蛋白質のプロセシングが 改良されることを示すものとして、正しくプロセシングされた二本鎖HPCの産生 を上昇させ、マウスの乳汁およびマウスの乳漿の組成を改変するために、ヒトPA CE/フリン(furin)をコードするDNAを、トランスジェニック動物の乳腺細胞の 中で発現させた。実施例1 :WAP/HPCおよびWAP/PACE cDNAの構築、ならびにHPCおよびHPC/PACE二 重トランスジェニックマウスの作製 完全なHPC遺伝子と、(i)完全なPACEのcDNA、または(ii)酵素的に不活性な 蛋白質(「PACEM」)をコードする変異PACEのcDNAを遺伝子導入したマウスを、 標 準的な方法を用いて、2種のcDNAを含む構築物をマウス胚に同時にインジェクシ ョンして作製した。図1に、ヒト・プロテインCの翻訳後プロセシングが概略的 に示されている。本実施例の例示的なDNA構築物が、図2に略図で示されている 。 乳腺でのPACEとPACEMの発現を目的として、cDNAをマウスWAPプロモーターの発 現調節下に置いた。プロモーターは周知で、「ドロハン(Drohan)ら、Transgenic Res.3: 355〜364(1994)」、および「パレヤンダ(Paleyanda)ら、Transgenic Re s.3: 335〜343(1994)」において説明されているように、遺伝子導入した哺乳動 物の乳汁の中で発現と分泌を行わせるために用いられた。 イントロンのないWAP/PACE cDNAを用いて、PACEを少量発現させた。いくつか のグループが、イントロンのない導入遺伝子が、乳腺の中で低効率に発現された ことを記録した(ホワイトロー(Whitelaw)ら、Transgenic Res.1: 3〜13(1991) 、およびHennighausen,L.,Protein Expr.and Purif.1: 3〜8(1990))。 WAP/HPC cDNA構築物は、4.1 kbのマウス乳漿酸性蛋白質(WAP)プロモーター (33)、および0.4 kbの3'側非翻訳配列を有する、9 kbのHPC遺伝子を含んでい た。このDNA構築物は、「ドロハン(Drohan)ら、Transgenic Res.3: 355〜364(1 994)」および「ホーガン(Hogan)ら、マウス胚の操作、コールドスプリングハー バー・プレス(1986)」で説明されているような(29)、周知の技術を用いて、 容易に入手することができるDNAから構築した。 WAP/PACEおよびWAP/PACEMを作製するために、4.1 kbのSau3A-KpnI WAPプロモ ーター断片、および1.6 kbの3'側WAP非翻訳配列を含むBamHI-EcoRI断片を、PUC1 9の中にクローニングして、プラスミドpHL215を作製した。794コドンのヒトPACE をコードする配列と、74塩基の3'側非翻訳配列とを含む2.47 kbのEcoRI-SalI断 片を、PACE cDNAクローンから切り出して(ワイズ(Wise)ら、Proc.Natl.Acad .Sci.USA87: 9378〜9382(1990))、マングビーン・ヌクレアーゼで処理した。 次に、PACE、またはSer261からAlaに変異したPACE(「PACEM」)断片を、Smal消 化したpHL215プラスミドの中に挿入して、PACEまたはPACEM cDNAをWAPプロモー ターの発現調節下に置き、それぞれ、プラスミドpHL252およびpHL255を作製した 。 インジェクションのためのWAP/PACEおよびWAP/PACEM DNAをNotl-HindIII消化 によってプラスミドから切り出して、マイクロインジェクション用に精製した。 WAP/HPCおよびWAP/PACE断片を、分子比2:1、全濃度2 μg/mlで同時にインジェ クションしてトランスジェニックマウスを作製した。PCRを用いて、インジェク ションした胚から作出されたマウスから採取した尾のDNAの中で、導入遺伝子DNA を検出した。尾の試料から採取したDNAの中の、HPC、およびPACEに特異的なPCR 産物によって、トランスジェニックマウスを同定した。HPC遺伝子の5'末端の502 bpの領域、およびマウスWAP遺伝子の216 bpの領域を明らかにするプライマーを 、WAP/HPC DNAに対するプローブとして用いた(ドロハン(Drohan)ら、Transgeni c Res.3: 355〜364(1994))。PACE cDNAの5'末端の260bpの領域を明らかにする プライマーを、PACE DNAに対するプローブとして用いた(ワイズ(Wise)ら、Proc .Natl.Acad.Sci.USA 87: 9378〜9382(1990))。 13匹のマウスをスクリーニングした中から、HPC、およびPACE導入遺伝子を両 方とも有する4匹の創始者マウスを検出した。4匹のHPC/PACE創始者マウスはす べて、導入遺伝子を子孫に伝達した。オスのC1.2は、高頻度の導入遺伝子伝達を 示し、モザイクのようだった。3匹のメス、C2.2、C4.1、およびC5.2は、低い伝 達頻度を示し、モザイクのようだった。7匹のマウスをスクリーニングした中か ら、HPC、およびPACEM導入遺伝子を両方とも有する創始者マウス2匹と、PACE導 入遺伝子のみを有する創始者マウス1匹を検出した。二重のトランスジェニック 創始者マウスM2.3は、PACEM、およびHPC導入遺伝子を両方とも子孫に伝達した。 後代への伝達を示した5匹の創始者マウスから系統を確立し、これらの系統から 得たマウスをその後の実験に用いた。実施例2 :ノザンブロッティングにようPACEおよびWAP発現の検出 標準的な技術を用いて、F1またはF2世代のメスのトランスジェニックマウス、 および対照用マウスの細胞から、全RNAを調製した。酸性グアニジウムチオシア ネート・フェノール-クロロフォルム抽出を用いた1段階処理法(例えば、モレ キュラーリサーチセンター社(Molecular Research Center,Inc)のRNAzolなど が市販されており、「チョムチェンスキー(Chomczynski)ら、Anal.Biochem.16 2: 156〜159(1987)」の中で説明されている)で、新鮮な組織、または凍結させ た組織からRNAを単離した。RNAは、各試料について15μgの全RNAを用いてノザン ブロットで解析した。各実験毎に、2匹以上の動物から採取したRNAを解析した 。「チ ョムチェンスキー(Chomczynski,P.)Anal.Biochem.201: 134〜139(1992)」 において説明されているように、RNA試料は、変性条件の下、ホルムアルデヒド- 1.2%アガロースゲル上で分離してから、ナイロンメンブレン(例えば、GENESCR EEN PLUS DuPont NEN(ジーンスクリーンプラス、デュポン NEN社)などのよう に購入可能)上に、2.5時間下方アルカリブロッティングを行なった。 HPC、PACE、および18S rRNAに特異的なプライマーによって、このメンブレン をスクリーニングした。HPCのHPC3'側領域からの0.5 kbのBamHI-NheI断片を、PA CEのmRNAのプローブとして用いた。pN29111(ATCC番号63178)の18SリボソームR NA(rRNA)遺伝子の0.75 kbのBamHI-SphI断片を、18S rRNAのプローブに用いた 。本来のマウスPACE mRNAに対するプローブとして、完全長の2.5 kbのヒトPACE cDNA断片を用いた。プローブは、ランダムプライマーポリメリゼーション標識に よって、32Pで標識した。 高速ハイブリダイゼーション用溶液(ストラタジーン社のQUIK-HYBなど)を用 いて、68℃で0.5時間、フィルターをプレハイブリダイゼーションした。そして 、0.5から1.0 ng/mlの変性プローブと、超音波破砕したサケ精子DNAを含むバッ ファー中で、68℃で2時間ハイブリダイゼーションした。 ハイブリダイゼーションした後、室温下、15分間、2×SSC、0.1%SDSの中で2 回洗浄し、次に、60℃で、30分間、0.1×SSC、 0.1%SDSの中で1回洗浄してか ら、オートラジオグラフを作成した。 3種のプライマーによる複製ブロットのノザンハイブリダイゼーションによっ て、HPC、およびPACE導入遺伝子が、HPC/PACEマウスの授乳中の乳腺で発現して いることが明らかになった。 HPC mRNAの主要な分子種は、約1725〜1775塩基長(nt)であるが、それとは別 に、約200塩基長短い、別の分子種もあった。短いmRNAは、別の3'側のポリA部位 (29)によって産生されたものかもしれない。約2250、2400、および4800塩基長 のHPC前駆体RNAも検出された。 PACE cDNAプローブによって、予想された大きさ、2700塩基長を有するヒトPAC E mRNAが検出された。オートラジオグラムに感光させる時間を延ばしても、マウ ス固有のPACEの転写産物は検出されなかった。しかし、厳密度を低くした条件下 でハイブリダイゼーションを行なうと、導入造伝子のmRNAよりも、少なくとも一 桁低いレベルで、固有の転写産物が検出された。 後述の実施例3と表1において説明されているように、HPC特異的なポリクロ ーナル抗体を用いたサンドイッチELISAによって、創始者マウス、および後代の マウスの乳汁の中に分泌されるrHPCの量を測定した。実施例3 :トランスジェニック動物の乳汁における、成熟rHPCの検出 乳汁の回収を促進するために、0.3ml(0.6 IU)のオキシトシンを腹腔内に投 与した。乳汁の試料は、授乳7日目から15日目の間に採集した。この乳汁は、50 mMのEDTAを含む2倍のリン酸緩衝食塩水pH 7.4で希釈し、4℃で15分間、15,00 0 rpmで2回遠心分離し、使用するときまで-80℃に保存した。EDTAは、カゼイン のミセルを可溶化し、ミセルに結合したrHPCの回収をよくするために使用した。 乳汁中のrHPCの濃度を、サンドイッチELISA(固相酵素免疫測定法)によって 測定した。ヒツジの抗HPCポリクローナル抗体を固定した微量滴定用ウエルを用 いて、希釈した乳汁試料中のrHPCを捕捉した(ドロハン(Drohan)ら、Transgenic Res.3: 355〜364(1994))。ウサギの抗HPC抗体を用いて、固定した抗体に結合 した捕捉rHPCを検出した。次に、ヤギの抗ウサギIgG抗体を結合したホースラデ ィシュ・パーオキシダーゼ(HRP)を固定したウサギの抗HPC抗体に結合させた。 熱量(比色)測定用基質3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)を用いた活 性測定法によって、結合したパーオキシダーゼを検出した。650 nmの吸光度の10 分間の変化によって、基質利用性を測定した。精製した、血漿由来のHPCを対照 用の乳汁で希釈したものを標準として用いた。 これらの実験による結果が、以下の表1に示されている。 創始者世代のHPC/PACEマウスの乳汁中で検出されたrHPCのレベルは、0.45〜1. 63 mg/mlの範囲にある、後代のマウスの乳汁中で検出されたレベルよりも有意に 低かった。これは、創始者マウスのモザイク性を反映しているのかもしれない。 6.4系統からのHPCマウスの乳汁と、HPC/PACEマウスの中で、低量のrHPCを検出し た。 乳腺におけるrHPCとPACEの同時発現は、繰り返し授乳してもメスの健康に対し て有害な影響を与えなかった。正常な非トランスジェニックマウスと同じように 、HPC/PACE系統、C2.2、C5.2からのトランスジェニックマウスも、HPC/PACEMト ランスジェニックマウスも、一腹で10〜15匹の仔ネズミを産むことができ、PACE は、本来の遺伝子よりも発現レベルが一桁高くても、子育ての能力には影響しな いことを示している。HPC/PACEM系統、C1.2およびC4.1の動物は、健康状態は変 化しないままであったが、2〜6匹の仔ネズミしか産まなかった。実施例4 :遺伝子導入した乳汁中のHPCのウェスタンブロット解析から、PACE/フ リン(furin)の同時発現によって成熟が促進することが示される 乳蛋白質を、還元的な条件下、10%SDS-ポリアクリルアミドゲルで、予め着色 してある分子量マーカーと並べて分離した。電気泳動の後、ゲルを銀染色するか 、またはニトロセルロースメンブレン(アマーシャム社のHYBOND-ECLなど)に移 しとった。 このブロットを、連続的に、(i)重鎖の活性化ペプチド上のエピトープを認 識する8861抗HPCモノクローナル抗体、またはヒツジの抗HPCポリクローナル抗体 と反応させた後、(ii)HRPを結合した二次抗体と反応させた。HRP結合体を結合 させて、フィルターを洗浄した後、増強した化学発光を用いて、結合HRPの活性 を判定した。現像したウェスタンブロットのデンシトメータのスキャニングを用 いて、蛋白質を定量した。 この解析によって、HPCまたはHPC/PACEMトランスジェニックマウスの乳汁から のrHPCは、約40〜60%のrHPC単鎖型を含むことが示されたが、これは、ヒトの血 漿中に存在する5〜15%よりも高かった。これとは極めて対照的に、PACEを発現 するHPC/PACE二重トランスジェニックマウスの乳汁中の単鎖型の量は、平均して 、5%よりも少なかったが、これは、異種性PACE遺伝子の導入遺伝子発現によっ て、前駆体から成熟二本鎖型への効果的な転換が起こっていることを示している 。実施例5 :トランスジェニックマウスの乳汁からのrHPCの精製およびアミノ酸解 析から、PACE/フリン(furin)の同時発現によって正確な成熟が促進されること が示される C5.2系統の、何匹かのF2およびF3動物から集めた全乳1.5〜2mlを融解して、2 0 mlの50 mM Tris、0.15 M NaCl、2 mM EDTA、2 mM ベンズアミジン、pH 7.2で 希釈して、30,000 gで、15分間、4℃で遠心分離した。遠心してできた水相を0. 45μmのメンブレン(例えば、ミリポア社のMILLEX-HA)に通して濾過した。濾過 された液は、50mM Tris、0.15 M NaCl、2 mM EDTA、2 mM ベンズアミジン、pH 7 .2で平衡化したセファアロースCL-4B樹脂(ファルマシア社より)上に固定した8 861MAbを含む1.5 cm×2.7 cmのカラムに、直線的な流速2.7 cm/hrで流した。試 料を流したカラムを、5 mMの酢酸アンモニウム、pH 5.0で洗浄してから、結合し ているrHPCを、0.5 M酢酸アンモニウム、pH 3.0で溶出し、直ちに3 M Trisで中 和してから-80℃で保存した。 乳汁からのrHPCの回収率は、80%以上であった。既に説明したように、HPC/PA CEマウスの乳汁から精製したrHPCの電気泳動解析は、rHPCポリペプチドが、血漿 由来のHPCよりも、僅かに速く移動することを明らかにした。この違いは、恐ら く、グリコシル化の違いによるものであろう(ドロハン(Drohan)ら、Transgenic Res.3: 355〜364(1994))。 既述した精製処理によって、HPCマウスから得たrHPCから、単鎖のrHPCを除去 したが、HPC/PACEマウスからのrHPCの中にある単鎖rHPCの量は、実質的に低かっ た(ドロハン(Drohan)ら、Transgenic Res.3: 355〜364(1994))。さらに、こ の他のrHPC特異的な低分子量バンドは、非還元的SDS-PAGEにおいても、還元的SD S-PAGEにおいても観察されなかった。 HPC/PACEマウスの乳汁からのrHPCのアミノ酸配列の解析によって、下記の表2 に示すように、HPCの1番目と158番目で始まる2つのアミノ末端配列があること が明らかになった。 Ala1は、以前から、HPCプロペプチドの除去部位であることと同定されてきた (フォスター(Foster)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82: 4673〜4677(1985) )。As158は、HPCチモーゲンが、成熟型の二本鎖HPCに転換する過程で起こる、 内部Lys156−Arg157ジペプチドの切断部位である。 これらの結果は、HPC/PACEマウスの乳腺細胞の適正な部位で、プロテインCの プロペプチドと単鎖の両方のプロセシングが起こることを示している。これとは 対照的に、HPCマウスにおいては、乳汁の中に分泌されるrHPCの20〜30%がプロ ペプチドを含んでいる(ドロハン(Drohan)ら、Transgenic Res.3: 355〜364(19 94))。 さらに、6、7、14、16、19、20、25、26、および29番目のGlu残基が十分に 得 られたことは、これらの発現レベルにおいては、グルタミン酸残基のγ-カルボ キシル化が効果的には行われないことを間接的に示しており、これは初期の観察 とも一致している(ドロハン(Drohan)ら、Transgenic Res.3: 355〜364(1994) )。実施例6 :PACE/フリン(furin)の発現は、トランスジェニック動物の乳汁の乳 漿酸性蛋白質含量を減少させる 対照用の非トランスジェニックマウス、HPCを遺伝子導入したマウス、HPCおよ びPACEMを二重遺伝子導入したマウス、ならびにHPCおよびPACEを二重遺伝子導入 したマウスから採取した乳蛋白質の中の、マウス乳漿酸性蛋白質(「WAP」)の ウェスタンブロット解析によって、HPC/PACEの発現が、乳汁のWAP含量を減少さ せることが明らかになった。 乳蛋白質を、本質的には上記と同様のウェスタンブロットにより解析した。簡 単に説明すると、脱脂した乳蛋白質を14%SDS-PAGEゲル電気泳動により分離した 。分離された蛋白質を、標準的なウェスタンブロッティング法によりフィルター に転写し、それから抗WAP抗体を用いてフィルター上のWAPを可視化した。非トラ ンスジェニックマウス(すなわち正常マウス)、HPC/PACEトランスジェニックマ ウス、HPCトランスジェニックマウス、およびHPC/PACEMトランスジェニックマウ スから得られた乳清蛋白質を並べて分析した。非トランスジェニックマウス、HP Cマウス、HPC/PACEマウスの乳汁中のWAP蛋白質量は、すべての場合においてほぼ 同一であった。一方、HPC/PACEMトランスジェニックマウスのWAP蛋白質量は約40 〜60%減少した。実施例7 :PACE/フリン(furin)はトランスジェニック動物の乳汁中に分泌され る 上記のようなウェスタンブロッティング法を用いて、トランスジェニックマウ スの乳汁中にPACE/フリン(furin)が存在するか否かを解析した。対照マウスお よびトランスジェニックマウスの乳汁から得られた乳清蛋白質を8%SDSポリアク リルアミドゲルでのPAGEにより分離した。ゲルをフィルター上にブロットし、PA CE/フリン(furin)特異的抗体を用いてPACEを可視化した。全ての試料で出現し た約50kDのバンドは、人工的な二次抗体の非特異的結合によるものであると考え られた。非トランスジェニック対照マウス、HPCトランスジェニックマウス、ま たはHPC/PACEトランスジェニックマウスの乳汁中には、furin特異的なバンドは 観察されなかった。HPC/PACEMトランスジェニックマウスの乳蛋白質中には、約8 0kDaのPACE/furin特異的なバンドが検出された。実施例8 :PACE/furinはトランスジェニックマウスの乳汁中において活性のある プロテアーゼである 対照トランスジェニック動物およびHPC/PACEトランスジェニック動物の乳汁中 のPACE/furin活性を、以下のように一本鎖rHPCから二本鎖rHPCへの変換をモニタ ーすることにより、決定した。 マウスから得た全乳汁を37℃で0時間、1時間、および3時間インキュベートし 、遠心分離により脱脂し、各試料由来の蛋白質を8〜16%ゲルでのSDS-PAGEによ り分離した。さらに、HPC/PACEマウスの乳汁をHPCマウスの乳汁と1:10の比率で 混合し、HPC/PACEマウスの乳汁中に分泌されたPACE/furinの活性を検出した。ゲ ルをフィルター上にブロッティングし、上記のように、HPC特異的抗体を用いた ウェスタンブロッティング法により、HPCを可視化した。 HPC/PACEマウスの乳汁を含む試料に含まれていた一本鎖HPCは、他のマウスの 乳汁よりも少なかった。前駆体の減少を、分泌されたPACE/furinの活性の指標と した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ペイルヤンダ レッカ ケイ. アメリカ合衆国 メリーランド州 ガイサ ーズバーグ キング ジェイムズ ウェイ 17018 #203

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.第一の蛋白質をコードする第一のポリヌクレオチドおよび第二の蛋白質をコ ードする第二のポリヌクレオチドが発現可能に組み込まれている細胞を含有する トランスジェニック非ヒト多細胞生物であって、細胞内の該第二の蛋白質の発現 が該第一の蛋白質の翻訳後修飾に影響を与えるものであることを特徴とする、ト ランスジェニック非ヒト多細胞生物。 2.植物であることを特徴とする、請求項1記載のトランスジェニック生物。 3.ポリヌクレオチドが生物の特定の細胞で発現することを特徴とする、請求項 1記載のトランスジェニック生物。 4.第一の蛋白質が生物の体液中に分泌されることを特徴とする、請求項1記載 のトランスジェニック生物。 5.翻訳後修飾が第一の蛋白質の成熟にとって必要なものであることを特徴とす る、請求項1記載のトランスジェニック生物。 6.第二の蛋白質が、アセチル化、ADPリボシル化、アシル化、ADPリボシル化、 アミド化、フラビンの共有結合的付加、ヘムの共有結合的付加、ヌクレオチドま たはヌクレオチド誘導体の共有結合的付加、脂質または脂質誘導体の共有結合的 付加、ホスファチジルイノシトールの共有結合的付加、架橋、環化、ジスルフィ ド結合形成、脱メチル化、共有結合的架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタ ミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカ ー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化(myristoylati on)、酸化、蛋白質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレ ノイル化(selenoylation)、硫酸化、アルギニル化のような転移RNAが介在する 蛋白質へのアミノ酸付加、およびユビキチン化からなる群より選択される翻訳後 修飾に影響を与えるものであることを特徴とする、請求項1記載のトランスジェ ニック生物。 7.第一の蛋白質が生物の体液中に分泌されることを特徴とする、請求項3記載 のトランスジェニック生物。 8.体液が血液、乳汁、尿、および唾液からなる群より選択されるものであるこ とを特徴とする、請求項7記載のトランスジェニック生物。 9.第一のポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオチ ドがプロテアーゼをコードし、かつ該前駆体蛋白質が細胞内で該プロテアーゼに よりプロセシングされるものであることを特徴とする、請求項7記載のトランス ジェニック生物。 10.第一の蛋白質がビタミンK依存性蛋白質である、請求項7記載のトランス ジェニック生物。 11.第一の蛋白質が、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、プロトロンビン、 第X因子、プロテインC、第XIII因子、プロテインS、骨Gla蛋白質、基質Gla蛋 白質、増殖停止特異的蛋白質6、抗トロンビンIII、t-PA、エリスロポエチン、 フィブリノーゲン、免疫グロブリン、またはアルブミンであることを特徴とする 、請求項7記載のトランスジェニック生物。 12.細胞が乳腺の分泌細胞であり、第一の蛋白質が生物の乳汁中に分泌される ことを特徴とする、請求項8記載のトランスジェニック生物。 13.第一のポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオ チドがプロテアーゼをコードし、かつ該前駆体蛋白質が細胞内で該プロテアーゼ によりプロセシングされるものであることを特徴とする、請求項12記載のトラ ンスジェニック生物。 14.第一の蛋白質が、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、プロトロンビン、 第X因子、プロテインC、第XIII因子、プロテインS、骨Gla蛋白質、基質Gla蛋 白質、増殖停止特異的蛋白質6、抗トロンビンIII、t-PA、エリスロポエチン、 フィブリノーゲン、免疫グロブリン、またはアルブミンであることを特徴とする 、請求項13記載のトランスジェニック生物。 15.プロテアーゼが対合塩基性アミノ酸切断酵素であることを特徴とする、請 求項14記載のトランスジェニック生物。 16.第一のポリヌクレオチドがプロテインCをコードするものであることを特 徴とする、請求項15記載のトランスジェニック生物。 17.プロテアーゼがPACE/フリン(furin)であることを特徴とする、請求項1 6記載のトランスジェニック生物。 18.蛋白質ガンマカルボキシル化に影響を与える第三の蛋白質をコードする第 三のポリヌクレオチドをさらに含有する、請求項13記載のトランスジェニック 生物であって、第一の蛋白質がその成熟のためにガンマカルボキシル化を必要と し、第三の蛋白質が細胞内における第一の蛋白質のガンマカルボキシル化に影響 を与えるものであることを特徴とする、トランスジェニック生物。 19.第一のポリヌクレオチドがプロテインCをコードするものであり、プロテ アーゼがPACE/フリン(furin)であることを特徴とする、請求項18記載のトラ ンスジェニック生物。 20.第一の蛋白質をコードする第一のポリヌクレオチドおよび第二の蛋白質を コードする第二のポリヌクレオチドをトランスジェニック非ヒト多細胞生物に発 現可能に組み込む段階、該第二の蛋白質が細胞内で該第一の蛋白質の翻訳後修飾 に影響を与えるように、該生物の細胞内で第一の蛋白質および第二の蛋白質を発 現させる段階、および、その後該生物から翻訳後修飾された第一の蛋白質を単離 する段階を含むことを特徴とする、翻訳後修飾された蛋白質を作製する方法。 21.ポリヌクレオチドが生物内の特定の細胞において発現することを特徴とす る、請求項20記載の方法。 22.第一の蛋白質が生物の体液中に分泌されることを特徴とする、請求項21 記載の方法。 23.体液が血液、乳汁、尿、および唾液からなる群より選択されるものである ことを特徴とする、請求項22記載の方法。 24.第一のポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオ チドがプロテアーゼをコードし、かつ該前駆体蛋白質が細胞内で該プロテアーゼ によりプロセシングされるものであることを特徴とする、請求項23記載の方法 。 25.細胞が乳腺の分泌細胞であり、第一の蛋白質が生物の乳汁中に分泌される ことを特徴とする、請求項23記載の方法。 26.第一のポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオ チドがプロテアーゼをコードし、かつ該前駆体蛋白質が細胞内で該プロテアーゼ によりプロセシングされるものであることを特徴とする、請求項25記載の方法 。 27.第一の蛋白質が、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、プロトロンビン、 第X因子、プロテインC、第XIII因子、プロテインS、骨Gla蛋白質、基質Gla蛋 白質、増殖停止特異的蛋白質6、抗トロンビンIII、t-pA、エリスロポエチン、 フィブリノーゲン、免疫グロブリン、またはアルブミンであることを特徴とする 、請求項26記載の方法。 28.プロテアーゼが対合塩基性アミノ酸切断酵素であることを特徴とする、請 求項27記載の方法。 29.第一のポリヌクレオチドがプロテインCをコードするものであることを特 徴とする、請求項28記載の方法。 30.プロテアーゼがPACE/フリン(furin)であることを特徴とする、請求項2 9記載の方法。 31.蛋白質のガンマカルボキシル化に影響を与える第三の蛋白質をコードする 第三のポリヌクレオチドをさらに含有する、請求項24記載の方法であって、第 一の蛋白質がその成熟のためにガンマカルボキシル化を必要とし、第三の蛋白質 が細胞内における第一の蛋白質のガンマカルボキシル化に影響を与えるものであ ることを特徴とする、方法。 32.第一のポリヌクレオチドがプロテインCをコードするものであり、プロテ アーゼがPACE/フリン(furin)であることを特徴とする、請求項31記載の方法 。 33.生物の細胞内における第二の蛋白質の発現が第一の蛋白質の翻訳後修飾に 影響を与えるように、第一の蛋白質をコードする第一のポリヌクレオチドおよび 第二の蛋白質をコードする第二のポリヌクレオチドをトランスジェニック非ヒト 多細胞生物に発現可能に組み込む段階、および、該生物から翻訳後修飾された蛋 白質を単離する段階を含む方法により作製された翻訳後修飾された蛋白質。 34.ポリヌクレオチドが生物内の特定の細胞において発現することを特徴とす る、請求項33記載の翻訳後修飾された蛋白質。 35.第一の蛋白質が生物の体液中に分泌されることを特徴とする、請求項34 記載の翻訳後修飾された蛋白質。 36.体液が血液、乳汁、尿、および唾液からなる群より選択されるものである ことを特徴とする、請求項35記載の翻訳後修飾された蛋白質。 37.第一のポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオ チドがプロテアーゼをコードし、かつ該前駆体蛋白質が細胞内で該プロテアーゼ によりプロセシングされるものであることを特徴とする、請求項35記載の翻訳 後修飾された蛋白質。 38.細胞が乳腺の分泌細胞であり、第一の蛋白質が生物の乳汁中に分泌される ことを特徴とする、請求項36記載の翻訳後修飾された蛋白質。 39.第一のポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオ チドがプロテアーゼをコードし、かつ該前駆体蛋白質が細胞内で該プロテアーゼ によりプロセシングされるものであることを特徴とする、請求項38記載の翻訳 後修飾された蛋白質。 40.第一の蛋白質が、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、プロトロンビン、 第X因子、プロテインC、第XIII因子、プロテインS、骨Gla蛋白質、基質Gla蛋 白質、増殖停止特異的蛋白質6、抗トロンビンIII、t-PA、エリスロポイエチン 、フィブリノーゲン、免疫グロブリン、またはアルブミンであることを特徴とす る、請求項39記載の翻訳後修飾された蛋白質。 41.プロテアーゼが対合塩基性アミノ酸切断酵素であることを特徴とする、請 求項40記載の翻訳後修飾された蛋白質。 42.第一のポリヌクレオチドがプロテインCをコードするものであることを特 徴とする、請求項41記載の翻訳後修飾された蛋白質。 43.プロテアーゼがPACE/フリン(furin)であることを特徴とする、請求項4 2記載の翻訳後修飾された蛋白質。 44.蛋白質のガンマカルボキシル化に影響を与える第三の蛋白質をコードする 第三のポリヌクレオチドをさらに含有する、請求項39記載の翻訳後修飾された 蛋白質であって、第一の蛋白質がその成熟のためにガンマカルボキシル化を必要 とし、第三の蛋白質が細胞内における第一の蛋白質のガンマカルボキシル化に影 響を与えるものであることを特徴とする、翻訳後修飾された蛋白質。 45.第一のポリヌクレオチドがプロテインCをコードするものであり、プロテ アーゼがPACE/フリン(furin)であることを特徴とする、請求項44記載の翻訳 後修飾された蛋白質。 46.第一の蛋白質をコードする第一のポリヌクレオチドおよび第二の蛋白質を コードする第二のポリヌクレオチドが組み込まれていることを特徴とするトラン スジェニック非ヒト多細胞生物の産物であって、該第二の蛋白質が、該生物の細 胞内において該第一の蛋白質の翻訳後修飾に影響を与え、それにより該生物によ り産生される産物の天然の組成を変化させるものであることを特徴とする、産物 。 47.ポリヌクレオチドが生物内の特定の細胞において発現することを特徴とす る、請求項46記載の産物。 48.第一の蛋白質、第二の蛋白質、または第一の蛋白質および第二の蛋白質が 生物の体液中に分泌されることを特徴とする、請求項47記載の産物。 49.体液が血液、乳汁、尿、および唾液からなる群より選択されるものである ことを特徴とする、請求項48記載の産物。 50.乳汁であるかまたは乳汁に由来するものである、請求項49記載の産物で あって、細胞が乳腺の分泌細胞であり、第一の蛋白質、第二の蛋白質、または第 一の蛋白質および第二の蛋白質両方が生物の乳汁中に分泌され乳汁を変化させる ものであることを特徴とする、産物。 51.第一のポリヌクレオチドが前駆体蛋白質をコードし、第二のポリヌクレオ チドがプロテアーゼをコードし、かつ該前駆体蛋白質が細胞内で該プロテアーゼ によりプロセシングされるものであることを特徴とする、請求項50記載の産物 。 52.第二の蛋白質が蛋白質リン酸化に影響を与える蛋白質または前駆体蛋白質 に影響を与えるプロテアーゼであり、該リン酸化蛋白質またはプロテアーゼが乳 汁中に分泌され乳汁の組成を変化させるものであることを特徴とする、請求項5 0記載の産物。 53.第一の蛋白質が、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、プロトロンビン、 第X因子、プロテインC、第XIII因子、プロテインS、骨Gla蛋白質、基質Gla蛋 白質、増殖停止特異的蛋白質6、抗トロンビンIII、t-pA、エリスロポエチン、 フィブリノーゲン、免疫グロブリン、またはアルブミンであることを特徴とする 、請求 項49記載の産物。 54.プロテアーゼが対合塩基性アミノ酸切断酵素であることを特徴とする、請 求項53記載の産物。 55.第一のポリヌクレオチドがプロテインCをコードするものであることを特 徴とする、請求項54記載の産物。 56.プロテアーゼがPACE/フリン(furin)であることを特徴とする、請求項5 5記載の産物。
JP8533476A 1995-05-04 1996-05-06 トランスジェニック動物における、蛋白質の翻訳後修飾の作出 Pending JPH11509404A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US48483495A 1995-05-04 1995-05-04
US08/484,834 1995-05-04
PCT/US1996/006121 WO1996034966A2 (en) 1995-05-04 1996-05-06 Engineering protein posttranslational modification in transgenic organisms

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11509404A true JPH11509404A (ja) 1999-08-24

Family

ID=23925812

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8533476A Pending JPH11509404A (ja) 1995-05-04 1996-05-06 トランスジェニック動物における、蛋白質の翻訳後修飾の作出

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPH11509404A (ja)
CA (1) CA2220109A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016117746A (ja) * 2007-08-14 2016-06-30 ラボラトワール フランセ デュ フラクショヌマン エ デ ビオテクノロジ 標的タンパク質の精製/検出方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016117746A (ja) * 2007-08-14 2016-06-30 ラボラトワール フランセ デュ フラクショヌマン エ デ ビオテクノロジ 標的タンパク質の精製/検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
CA2220109A1 (en) 1996-11-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5965789A (en) Engineering protein posttranslational modification by PACE/furin in transgenic non-human mammals
JP4936568B2 (ja) トランスジェニック動物乳房組織における活性ヒト第ix因子の発現
US5589604A (en) Expression of human protein C in mammary tissue of transgenic mammals
US5880327A (en) Transgenic mammals expressing human coagulation factor VIII
US5959171A (en) Method for the production of biologically active polypeptides in a mammal's
US5831141A (en) Expression of a heterologous polypeptide in mammary tissue of transgenic non-human mammals using a long whey acidic protein promoter
US5739407A (en) Human β-casein, process for producing it and use thereof
Drews et al. Proteolytic maturation of protein C upon engineering the mouse mammary gland to express furin.
EP1252184A2 (en) C1 inhibitor produced in the milk of transgenic mammals
Bawden et al. The genes encoding the major milk-specific proteins and their use in transgenic studies and protein engineering
EP0437599B1 (fr) Lignees cellulaires exprimant un facteur ix biologiquement actif
WO1997020043A1 (en) Protein c production in transgenic animals
WO2002072023A2 (en) Production of high levels of transgenic factor viii with engineered stability, and its therapeutic uses
JPH11509404A (ja) トランスジェニック動物における、蛋白質の翻訳後修飾の作出
US20110283375A1 (en) Transgenic Prothrombin And Related Thrombin Precursors And Transgenics, Methods, Compositions, Uses And The Like Relating Thereto
US5905185A (en) Protein C production in non-human transgenic mammals
MUYSSON et al. The alteration of milk content by genetic engineering and recombinant DNA-mediated selection techniques
EP0874898B1 (en) Protein c production in transgenic animals
MXPA97008516A (en) Engineering protein posttranslational modification in transgenic organisms
Jeng Chemical and physical properties of bovine alpha-lactalbumin, beta-casein and genetically altered bovine beta-casein produced in the milk of transgenic mice
WO1995018224A1 (en) Recombinant production of modified proteins lacking certain amino acids
Leaver et al. Genetic engineering of milk proteins
Velander Expression of human protein C in mammary tissue of transgenic mammals
Gwazdauskas et al. William H. Velander", Raymond L. Page", Tülin Morcöl", Christopher G. Russell", Rodolfo Canseco “, Janet M. Young", William N. Drohan"
Velander Transgenic mammals expressing human coagulation factor VIII