JPH11508801A - 経皮性アクセス装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 経皮性アクセス装置は、皮下用のスカートと、経皮性のネックと、皮膚外部の伸縮式スリーブとを含み、これらは全て安価なプラスチック材料から作成可能である。好ましくは、スカートとネックは多孔性の層材料で被覆され、この材料は組織とコラーゲンの生長を促進させる。この装置はカテーテルのための導管として機能し、カテーテルとの接触を最小限とするような大きさであって、アクセス装置のインプラントされた部分に対するカテーテルの垂直方向及び水平方向の相対的な動きを許容し、通常の身体の動作により生ずるインプラントされたアクセス装置に隣接する組織の捻れ及び伸張が、アクセス装置の周囲に形成される生物学的シールを損なわないようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】 経皮性アクセス装置 発明の分野 本発明は経皮性アクセス装置に関する。これはより特定的には、カテーテル及 びこれに類する経皮デバイスによる皮膚を介しての身体へのアクセスを容易にす るための、経皮性アクセス装置に関するものである。 発明の背景 最近、慢性的に状態の悪い患者の内部器官に対する長期的な、或いは繰り返し てのアクセスをもたらすために、カテーテルを用いることが頻繁に行われるよう になっている。例えば、カテーテルは、静脈注射（ＩＶ）液、抗生物質などの投 与、及び化学療法などのために、患者の静脈系に対してアクセスするために用い られる。カテーテルはまた、腹膜透析のために腹膜に対して繰り返してアクセス することが必要な患者に対して植設（インプラント）される。 長期にわたるインプラントに起因する、閉塞以外の最も一般的な合併症として は、出口部位感染、トンネル感染、局所膿瘍、及び場合によっては敗血症さえも ある。こうした合併症の多くは、カテーテルに隣接した皮膚が、感染に対する堅 固な障壁を形成する程度まで治癒しないことから発生する。むしろ、表皮細胞は カテーテルに沿って内側に入り込み、或いは内方へと移動する傾向があり、それ によってカテーテルの周囲に堅固な生物学的シールを形成することはない。また 、体液が滲み出る恐れのあるトンネルが形成され、そ れによって感染部位が生成される。 これらの問題を解決するための試みとして、立ち上がったネックを有するボタ ン状のスカートと、チューブを収容するための中央開口とを含んだカテーテルが 考案されている。このチューブはボタン部のネックから上に延びる波形セグメン トを有し、外側に出ているチューブの部分が撓曲して衝撃を吸収することができ るようになっている。スカートはネックの一部を含めて、ポリエステルやベロア のような多孔性材料で覆われており、細胞が浸入することができるようになって いる。このデバイスがインプラントされると、表皮細胞はネックに沿ってスカー トに向けて下方へと移動し、或いは内側に入り込む傾向があり、コラーゲン及び 皮下組織がボタンを覆っている多孔性材料上で生長することにより、スカートの ところで生物学的シールを形成する。米国特許第4,886,502号を参照されたい。 上記の概念は動物においては比較的成功したが、人間に対する試みにおいては 限定的な成功しか収めなかった。これは、通常の身体の動作がカテーテルに隣接 する組織の伸張を生じ、カテーテルに対して捻れを引き起こすからである。カテ ーテルチューブの外部セグメントにより静的に保持されるボタンに対する、組織 のこうした動きは、結果的にカテーテルとこれに隣接する組織との間での生物学 的シールの破壊を生ずる。こうした破壊はまた、カテーテルチューブを注入物源 に対して結合したり取り外したりする場合に、カテーテルチューブの外部セグメ ントが偶発的に又は意図的に動かされた場合にも生じうる。 発明の概要 従って本発明は、カテーテルのための経皮性アクセス装置であって、カテーテ ルとこのカテーテルを囲む組織との相対的な動きにより生ずる問題点の多くを回 避することのできるものを提供することを目的としている。 本発明の別の目的は、インプラントされた場合に、装置とこれに隣接する組織 との間に緊密な生物学的シールをもたらすことのできる、経皮性アクセス装置を 提供することである。 本発明のさらなる目的は、上記の種類の装置であって、感染のリスクを低減さ せることのできるものを提供することである。 本発明のさらに別の目的は、大量生産が比較的容易な経皮性アクセス装置を提 供することである。 他の目的は部分的には自明なものであり、また部分的には以下に示されるとこ ろである。かくして本発明は、以下の詳細な説明において例示される構成、要素 の組み合わせ、部品の配置に関する特徴からなるものであり、本発明の範囲は請 求の範囲に示される。 本発明の経皮性アクセス装置は、貫通開口を備えた平坦なボタンと、この開口 と整合しており一体に立ち上がるチューブ状のネックからなる。ひだのついたチ ューブ又はベローズが、このネックから一体に延伸するものとして形成されてお り、このチューブ又はベローズの自由端はカラーとして終端している。このカラ ーは、アクセス装置のスカート、ネック及びボタンにより形成された管腔を貫通 して延びる在来のアクセス用カテーテルに対し、機械的に結合され るように構成されている。 本発明によれば、本発明の装置の管腔は、管腔の内壁とカテーテルとの間にか なりのクリアランスをもたらすのに十分な大きさであり、アクセス装置とカテー テルの接触を最小限のものとしている。 図面の簡単な説明 本発明の特質と目的をより完全に理解するためには、添付図面に関連して以下 の詳細な説明を参照するべきである。添付図面において： 図１は本発明を取り入れた経皮性アクセス装置を部分的に破断して示す等測図 であり、また 図２は図１のアクセス装置が身体にインプラントされ使用の準備ができている 状態を示す、部分的に立面で示す断面図である。 好ましい実施例の説明 図１及び図２を参照すると、本発明のアクセス装置は、中央開口12と、この開 口12の周囲に分布された３から５個の貫通孔14の列とを有する、平坦なボタン状 の主たる本体、即ちスカート10を含んでいる。スカート10の一方の側からは、一 体に形成されたチューブ状のネック16が開口12と整合して外側に延伸しており、 このネックの管腔は開口12と整合している。図示の装置では、ネック16はスカー ト10から、ある角度をなして延伸している。しかしながら、このネックはスカー ト10に対して垂直であってもよい。 この装置はまた、ネック16の自由端から延伸する、可撓性のチューブ状スリー ブ22を含む。図示の装置では、スリーブ22はひだ（プ リーツ）のついたアコーディオン様のチューブであってベローズを形成しており 、その自由端は円筒形のカラー24によって終端されている。従ってスリーブ22は カラー24がネック16に向けて、或いはそれから離れるように動かされることを可 能にしており、またネック16の長手方向軸の周囲の全方向において動かされるこ とを可能にしている。スカート10、ネック16、スリーブ22及びカラー24は、連続 的な、一様な寸法の管腔25を画定しており、この管腔はデバイス全体にわたって 延びている。 図２に最も良く示されているように、カラー24には内部にリップ24ａが形成さ れており、後述するように関連するアクセス用のカテーテルに対する機械的な結 合をもたらしている。 スカート10、ネック16、スリーブ22及びカラー24を含むこのアクセス装置は、 可撓性で、熱的に安定で、生物学的に適合性のある材料、例えば可撓性の医用グ レードのポリウレタンから形成されるのが好ましい。アコーディオン様のスリー ブ22は、ネック16から延びるチューブ状の延長部を加熱された雌金型に入れ、チ ューブの内側からガス圧をかけてチューブの壁を金型に合致するように押しやる ことによって構成することができる。次いでネックを、溶接によりスカート10に 固定することができる。代替的に、この装置は単一部材として成形することもで きる。 好ましくは、本体即ちスカート10の全表面は、ポリエステルベロアのような材 料からなる、多孔性の被覆又はベッド（層）26によって覆われる。このような被 覆されたスカート10は、米国ニューヨー ク州グレンフォールズのU.S．Catheter and Instrument Companyから部材番号第 600K61121の下に入手することができる。被覆は細胞の浸入と、皮下組織及びコ ラーゲンの形成を促進させる。 典型的には、このアクセス装置が腹膜透析のために用いられる場合には、スカ ート10は直径2.5cm程度であり、ネック16は約0.5cmの長さ、スリーブ22は約２か ら24cmの長さであり、またこの装置の管腔25の直径は0.4から0.8cm程度である。 他方、この装置が血管に対するアクセスのために用いられる場合には、スカート 10は例えば直径１cmとより小さいものであり、またネック及びスリーブの長さは それぞれ0.5cm及び0.4cmでありうる。この場合には、管腔25の直径は0.3から0.5 cm程度である。 図２を参照すると、アクセス装置がインプラントされており、スカート10は皮 下組織32に係留され、ネック16は皮膚Ｓの真皮層34と表皮層36を貫通している。 時間と共に、組織は貫通孔14を介して生長し、アクセス装置を係留するのを助け る。同じ貫通孔がまた、排液を可能にする。先に示したように、被覆26は本体10 の周囲に組織及びコラーゲンが生長するのを促進させる多孔性の層をもたらして おり、表皮細胞と共に生物学的シールをもたらす。表皮細胞は、被覆26に到達す るまで、ネック16に沿って移動し又は内側に入り込む。 このアクセス装置は、図２において全体を42で示したような、アクセス用のカ テーテルに関連して用いるように設計されている。図示されたカテーテルは、血 管アクセス用のカテーテルである。しかしながら、カテーテルは腹膜アクセス用 のカテーテルであっても構 わない。カテーテル42に関しては、それがチューブ44を含み、このチューブがネ ック16に沿い本体10を貫通して皮膚のラインから、鎖骨下静脈のような選択され た注入部位へと延びる内部セグメント44ａを有することを言えば十分である。こ のカテーテルチューブはまた外部セグメント44ｂを含み、これは皮膚のラインか らスリーブ22及びカラー24を通ってＹ形の継ぎ手46へと延びている。この継ぎ手 には一対の流体流入チューブ48ａ及び48ｂが接続されており、２つの異なる流体 源からの流体を、カテーテルチューブ44に流すことができるようになっている。 カテーテル42がアクセス装置中に適切に位置決めされたならば、この装置のカ ラー24のリップ24ａが、カテーテルの継ぎ手46の下端に通常設けられている半径 方向のフランジ46ａの上に着脱可能に係合するように配置され、カテーテルはア クセス装置に対して、この装置の可撓性スリーブ22の自由端において機械的に接 続される。しかしながら前述したように、この装置の管腔25は、カテーテルチュ ーブ44との接触を最小限とするような大きさとなっており、カテーテルチューブ の動きを阻止することはない。従って、患者の身体の動作によって生じた、カテ ーテルチューブの内部セグメント44ａのいかなる動きも、アクセス装置のインプ ラントされた部分、即ちスカート10及びネック16に実質的に伝達されない。同様 に、カテーテルチューブ44の外部セグメント44ｂが、カテーテルを取り付け又は 取り外す場合に偶発的に又は意図的に動かされた場合も、アコーディオン様のス リーブ22が必要に応じて撓曲し、延伸し、また収縮す ることができることから、こうした動きに対処することができ、アクセス装置の インプラントされた部分に対しては本質的に何の動きも伝達されない。結果的に 、アクセス装置とその周囲の組織との間には、緊密な生物学的シールが維持され る。 実際にも、プロトタイプの装置を用いた実地の実験により、この装置が長期に わたってあるインプラント部位に配置された後においてさえも、このインプラン ト部位には何の感染の兆候も見られなかった。 以上のことから見られるように、本発明の経皮性アクセス装置は大部分が成形 プラスチック部材からなるものであり、比較的容易且つ安価に大量に作成するこ とができる。従ってこの装置は、カテーテルを現場で長期間にわたって保持する ことが必要などのような場合においても、広範囲な用途を見出すことのできるも のである。 かくして以上により、上記の説明により明らかとなったものをも含め、前述し た目的が効率的に達成されることが理解されよう。また上記の構成に対しては、 本発明の範囲から逸脱することなしにある種の変更を加えることが可能であるか ら、上記の説明中に包含され或いは添付図面に示された全ての事項は、限定的な 意味にではなく、例示的なものとして解釈されるべきことを意図したものである 。 また、以下の請求の範囲は、ここに説明した本発明の一般的及び特定的な特徴 の全てを含むことを意図したものであることが理解されるべきである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＡＭ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，Ｃ Ａ，ＣＮ，ＣＺ，ＥＥ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＶ， ＭＤ，ＭＧ，ＭＮ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＲＯ，Ｒ Ｕ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＺ ，ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．経皮性アクセス装置であって、 ２つの端部と管腔とを有し、皮膚から突出するための円筒形のチューブ状ネ ックと、 前記ネックの一端にあり、皮下組織に係留するための環状のスカートと、 前記ネックの他端から延伸する可撓性のアコーディオン様スリーブであって 、自由端を有すると共に前記ネックと共に装置を貫通する管腔を画定するスリー ブと、及び 前記スリーブの前記自由端にあり、アクセス装置をアクセス用カテーテルに 対して機械的に結合させるためのコネクタ手段とからなる装置。 ２．前記ネック及び前記スカートを被覆する多孔性材料の層をさらに含む、請求 項１の装置。 ３．前記多孔性材料がポリエステルベロアである、請求項２の装置。 ４．前記スカートにある複数の貫通孔の列をさらに含む、請求項１の装置。 ５．さらにアクセス用カテーテルを含み、このカテーテルが、 前記管腔に受容され２つの端部を有するカテーテルチューブと、及び 前記カテーテルチューブの一端に接続された継ぎ手であって、前記コネクタ 手段と相互係合して前記スリーブの前記自由端を前記アクセス用カテーテルに対 して機械的に結合させる戻り止め手 段を含む継ぎ手を含む、請求項１の装置。 ６．前記スカート、前記ネック及び前記スリーブが、可撓性の医用グレードのポ リウレタンからなる、請求項１の装置。 ７．前記コネクタ手段が、 前記スリーブの前記自由端にあるチューブ状のカラーと、及び 前記カラーの内側表面上に形成され、前記アクセス用カテーテルと相互係合 するための環状リップからなる、請求項１の装置。 ８．経皮性アクセス装置であって、 貫通開口を有する平坦なスカートと、 前記スカートから延伸するチューブ状のネックであって、前記開口を取り囲 むと共に可撓性のアコーディオン様のチューブ状延伸部を有するネックと、前記 開口、前記ネック及び前記延伸部が管腔を画定し、前記管腔がアクセス用カテー テルセットのカテーテルをカテーテルと管腔の壁との間での接触を最小限のもの として受容する大きさであることと、及び 前記延伸部の自由端にあり、前記延伸部の前記自由端を前記アクセス用カテ ーテルセットに対して機械的に結合するためのコネクタ手段とからなる装置。 ９．前記スカートと前記ネックを実質的に被覆する多孔性材料の層をさらに含む 、請求項８の装置。