JPH11507244A - Srv−3エンベロープ糖タンパク質配列で偽型化したレトロウイルスベクター - Google Patents

Srv−3エンベロープ糖タンパク質配列で偽型化したレトロウイルスベクター

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JPH11507244A JP9514524A JP51452497A JPH11507244A JP H11507244 A JPH11507244 A JP H11507244A JP 9514524 A JP9514524 A JP 9514524A JP 51452497 A JP51452497 A JP 51452497A JP H11507244 A JPH11507244 A JP H11507244A
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Abstract

(57)【要約】 偽型ベクターウイルス粒子であって、これは、(1)粒子中のウイルスRNAとして、レトロウイルスLTRおよびパッケージングシグナル領域を有し、そしてパッケージングシグナルの下流に位置する非レトロウイルスタンパク質または遺伝子制御配列をコードするか、またはHIVタンパク質配列のような疾患の処置に有用な異種レトロウイルス配列をコードするコード領域をさらに有する、組換えウイルスベクター;(2)カプシドタンパク質として非SRVカプシドタンパク質;および(3)エンベロープ糖タンパク質としてSRVエンベロープ糖タンパク質を含む。本発明はまた、これらの偽型化レトロウイルスベクター粒子の産生のためのパッケージング細胞株を含む。

Description

【発明の詳細な説明】 SRV-3エンベロープ糖タンパク質配列で偽型化したレトロウイルスベクター発明の分野 本発明は偽型化ウイルスベクターに関する。序文 標的細胞のエクスビボ形質導入に基づくレトロウイルス媒介性遺伝子移入は、 公知であり、そして最近はヒトに用いられている。レトロウイルスベクターを用 いる、インビボ環境における、選択された遺伝子または核酸配列の送達および発 現を所望の組織細胞に標的化する能力は都合がよく、遺伝的障害、腫瘍、および ウイルス感染の安全かつ有効な処置のためにレトロウイルスベクターを広範に使 用することを可能にする。遺伝的障害は、遺伝子の損傷から生じる疾患であり、 例えば、造血障害および骨髄障害、肝臓酵素の欠損から生じる代謝障害、および 中枢神経系の疾患を包含し得る。従って、可能な臨床適用は、このような技術に ついて多数存在する。 いくつかの疾患については、欠損遺伝子の機能的ホモログの導入およびたとえ 少量であってもその遺伝子産物の産生により、有益な効果が生じ得る。他の疾患 は、特定の量の遺伝子産物が、特定の時期に、典型的には生理学的シグナルに応 答して産生される(調節された遺伝子発現)ことを必要とし得る。このような疾患 の例は糖尿病であり、ここでは、インスリン産生がこのような調節された遺伝子 発現を必要とする。このような場合には、現在実践されている遺伝子の増加より むしろ、遺伝子の置換を必要とする。他の試みは、基礎をなす遺伝子欠損を矯正 するために、遺伝子をその天然の調節スイッチと共に用いる(遺伝子増加)ことに より行われ得る。欠損を示す細胞タイプにおいて遺伝子損傷を矯正する必要がな い他の場合には、遺伝子は異なる細胞タイプ中に導入され得る。このことは、分 泌タンパク質または分泌産物の産生を触媒する酵素のいずれかをコードする遺伝 子については、通常、正しい。一例は、パーキンソン病の場合であるが、この例 では、チロシンヒドロキシラーゼをコードしそしてドーパミンを生成し得る、レ トロウイルスにより形質導入された線維芽細胞が、ラットの脳内に移植された。 Wolff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86: 9011-15(1989)を参照。しかし、ほとんど の遺伝子疾患は、欠損した遺伝子が、関連する細胞タイプにおいて置換されるこ とを必要とする。 悪性腫瘍は、先天性および後天性の多くの遺伝子損傷(これらは、ガン遺伝子 を活性化し、そして/または腫瘍抑制遺伝子を不活化するようである)から生じる ようであるので、腫瘍を処置するための遺伝子治療適用は、いくつかのアプロー チを採り得る。一つのストラテジーは、腫瘍細胞に対する身体の自然の防御機構 の細胞傷害性効果を、例えば、特定の遺伝子産物を発現することにより腫瘍浸潤 性リンパ球を用いて増強することである。例えば、Kasid,Proc.Nat.Acad.Sci.U SA 87: 473-77(1990); Rosenberg,Cancer Res.Supp.51: 50745-50795(1991); Rosenberg,J.Am.Med.Assn.268: 2614-19(1992); Anderson,Science 256: 808 -13(1992)を参照。第二のアプローチは、優性に作用するガン遺伝子の活性を阻 害することに関する。Tubiana,Eur.J.Cancer 27: 936-39(1991)を参照。別のス トラテジーには、毒性産物をコードする遺伝子または毒性薬物に対する感受性を 付与する遺伝子の腫瘍細胞への標的付けられた送達が含まれる。単純ヘルペスウ イルスのチミジンキナーゼ遺伝子(HSV-tk)が具体例である。MooltenおよびWells ,J.Natl.Cancer Inst.82: 297-300(1990)およびCulver,Science 256: 1550-5 2(1992)を参照。HSV-tk遺伝子を腫瘍細胞へ形質導入するレトロウイルスベクタ ーは、ヌクレオシドアナログ(例えば、アシクロビルおよびガンシクロビル)の取 込みを増強し、そしてそれによりこれらの薬物の投与の際に殺腫瘍効果を示す。 遺伝子治療はまた、ウイルスに誘導された状態(例えば、HIV感染およびHTLV-I 感染)の処置に有用性が見出される。ウイルス産生のために必要とされる、HIVお よびHTLV-Iの調節タンパク質または応答エレメントは、可能性のある標的である 。これらのタンパク質の変異体は、ネイティブなウイルスタンパク質と競合する ように導入され得る。さらに、レトロウイルスRNAに相補的なアンチセンスRNAは 、HIVおよびHTLV-Iの複製を特異的に阻害するために用いられている。Rhodesお よ びJames,AIDS 5: 145-51(1991); von RuedenおよびGilboa,J.Virol.63: 677- 82(1989)を参照。HIV特異的アンチセンス配列またはリボザイムを有するレトロ ウイルスベクターは、細胞性免疫のためにHIVの発現を阻害するために使用され 得る。三本鎖RNA複合体では、二本鎖RNAが、三本めの鎖によりこのコンホメーシ ョンに固定されており、これは、レトロウイルスベクターからの単一分子上にア ンチセンスおよび逆平行三本鎖RNAをコードするレトロウイルスベクターを設計 することにより、ウイルス遺伝子発現を沈黙させる有効な方法を証明し得る。Gi ovannangeli,J.Am.Chem.Soc.113: 7775-77(1991)を参照。 レトロウイルスベクターは、他のウイルス遺伝子移入ビヒクルおよび他の遺伝 子移入方法(例えば、哺乳動物システムについては、エレクトロポレーション、C aPO4沈殿、DEAE−デキストラン、直接DNA注入、およびリポフェクションを含む) に対する利点を提供する。レトロウイルスは、RNA形態で遺伝情報を有し、感染 の際に、感染細胞のゲノムDNA中に効率的に組込まれ、そしてそれによりその子 孫細胞中での安定な増殖を提供するDNA形態に逆転写する。レトロウイルスの組 込みは、ウイルス側に関して部位特異的であり、そしてプロウイルスは、通常、 インタクトであり、そしてウイルスゲノムと同一線形順序に並んでいる(すなわ ち、LTR-gag-pol-env-LTR遺伝子の順序がプロウイルスにより維持される)。これ により、ランダム経路組込みで通常観察されるように、DNA再配置および/または 欠失の可能性が減少する。複製欠損レトロウイルスベクターに感染した細胞は、 ウイルスタンパク質を発現せず、従って免疫クリアランスの影響を受けない。さ らに、いくつかの分裂細胞における遺伝子移入および安定的発現の効率は、この ようなベクターを用いると非常に高い。これらの理由から、これらのベクターは 、ヒト遺伝子治療における使用のために承認された。 代表的なレトロウイルスベクター産生システムは、典型的には、2つの成分か らなる。複製欠損レトロウイルスベクターは、目的の遺伝子を有し、そして代表 的には、感染細胞に細胞選別のための選択可能な利点または分子タグを付与する マーカー遺伝子も有する。レトロウイルス遺伝子(gag、pol、およびenv)は、外 来配列を収容し、そして安全性の理由のためにベクターの複製能力を抑えるため にこれらのベクターから欠失されているので、ヘルパー構築物は、これらのウイ ルスの構造タンパク質をトランスで提供して、標的細胞に感染し得る組換えウイ ルス粒子へのベクターのパッケージングを可能にする。 複製欠損ベクターのためのヘルパーウイルスとしての、複製可能な野生型レト ロウイルスの使用は、非常に望ましくない。なぜなら、これらのレトロウイルス の多く(マウス白血病ウイルス;MuLVを含む)が、霊長類を含む動物において疾患 を引き起こすからである。パッケージングシグナルに欠失を有するパッケージン グ細胞株が開発されており、そしてこれらの使用は、トランスで必須の機能の供 給体として探索されている。野生型複製可能ウイルスを生じる危険性をさらに減 少させるために、2つの別々のパッケージング構築物を有する細胞株(一方はgag タンパク質およびpolタンパク質を発現し、そして他方はenvタンパク質を発現す る)が作製された。Bosselman,Mol.Cell.Biol.7: 1797-1806(1987); Markowitz ,J.Virol.62: 1120-24(1988); およびDougherty,J.Virol.63: 3209-12(1989 )を参照。ほとんどの公知のパッケージング構築物はLTRを有さないが、これらは 異種プロモーターおよび他の調節配列を使用してウイルスタンパク質を発現する 。MuLVのパッケージングシグナルは5'gag領域中まで広がるので、新世代のベク ターではgag ATGコドンは変異されて、相同組換えによって複製するウイルスが 生じる可能性をさらに減少させている。A.D.MillerおよびG.J.Rosman,BioTechn iques 7(9):980-990(1989)。 エクスビボ治療レジメは、特定の遺伝的障害の処置では成功することが見出さ れているが、他の障害は、インビボ治療アプローチを用いて処置されなければな らない。なぜなら、これらは容易には単離されない細胞のタイプに影響を与える からである。パッケージされたベクターは、宿主の特異的な体液性もしくは細胞 性免疫応答により、または非特異的応答(例えば、補体または他の血液因子)によ って、不活化されるべきではない。このような適用では、レトロウイルスベクタ ーが、欠損がそれ自体に現れるか、または治療遺伝子の発現が、発現を関連する 細胞タイプへ標的付ける調節エレメントにより制御されるはずである細胞のみに 感染することもまた望ましい。 レトロウイルスは、その宿主範囲に従って分類される。例えば、同種向性マウ スレトロウイルス(例えば、MuLV(MuLV-E))は、マウス細胞にのみ感染する。他種 向性マウスレトロウイルス(例えば、MuLV(MuLV-X))は、非マウス細胞に感染する 。両種向性マウスレトロウイルス(例えば、MuLV(MuLV-A))は、マウスおよび非マ ウス細胞(ヒト細胞を含む)の両方に感染する。この宿主範囲および細胞向性は、 主に、ウイルスのエンベロープタンパク質および宿主細胞上の特異的レセプター タンパク質のアベイラビリティーにより決定される。例えば、モロニーMuLV-Eの エンベロープタンパク質(gp70)は、宿主細胞レセプターとして働くカチオン性ア ミノ酸輸送体タンパク質と相互作用する。Kim,Nature 352: 725-28(1991)を参 照。MuLV-E、MuLV-X、およびMuLV-Aのレセプタータンパク質は、種々の組織に広 範に分布しているので、これらのMuLVエンベロープタンパク質を提示するベクタ ーは、適切な種の事実上任意の分裂細胞タイプに感染し得、そして組織非特異的 である。モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)が、インビトロレトロウイルス 標的化実験である程度成功して用いられ、感染した細胞を、欠損がそれ自体現れ る細胞に限定した。MoMuLVベクターを産生するパッケージング(プロデューサー) 細胞の脳腫瘍組織への局所投与が試みられている。E.H.Oldfield,Clinical Pro tocols,「Gene Therapy for the Treatment of Brain Tumors Using Intra-Tumo ral Transduction with the Thymidine Kinase Gene and Intravenous Gancyclo vir」,Human Gene Therapy 4: 39-69(1993)。 ウイルス標的化を達成するためのレトロウイルスベクターの組織感染能力を改 変する一つのアプローチには、二価のストレプトアビジン結合抗体の使用が含ま れる。第二のアプローチは、ウイルスenvタンパク質へのリガンドの化学的結合 を含む。envタンパク質をラクトースに結合することにより、このタンパク質は 、肝細胞上の特異的レセプターにより内在化される人工的なアシアロ糖タンパク 質となる。Neda,J.Biol.Chem.226: 14143-46(1991)を参照。これらのアプロー チは、感染効率が低い。第3のアプローチは、env遺伝子のレセプター認識領域 の変異を含む。例えば、キメラエリスロポエチン−エンベロープ(EPO-エンベロ ープ)タンパク質を表面に有する操作されたMoMuLV-Eベクターは、EPOレセプター を有する細胞(マウスおよびヒト起源の両方)に対する感染性を示した。Kasahara 、Science 266: 1373-76(1994)を参照。このキメラ構築物は、env遺伝子のN末 端領域と置換されたEPOコード配列を有した。キメラMoMuLV-E構築物は、組織標 的 化を示したが、これは、野生型envタンパク質による補完を必要とした。 多くのレトロウイルス(例えば、MuLV)は、非分裂細胞(例えば、遺伝子移入お よび遺伝子治療の適用の重要な標的である、単球およびマクロファージ)に感染 することができない。例えば、分裂細胞に感染する霊長類レンチウイルス(HIV) の能力をMuLVベクターシステムに組み込むための試みが行われている。例えば、 Deminie,J.Virol.68: 4442-49(1994)およびその中で引用される参考文献を参 照。さらに、最近の注意は、D型レトロウイルスの遺伝子治療ベクターとしての 使用の可能性に集中されてきた。なぜなら、D型ウイルスの本来の標的が、種々 のタイプの霊長類造血細胞であるからである。SRV相同ベクターシステムを構築 するため、および存在するMuLVに基づくレトロウイルスベクターを偽型化するた めのSRVエンベロープタンパク質の使用を探索するための両方の努力が行われて いる。この後者のアプローチは、テナガザル白血病ウイルス(GALV)エンベロープ タンパク質を用いるMuLVベクターによる遺伝子移入の効率を増大させるために用 いられてきた。Kalle,Blood 84: 2890-97(1994)およびMiller,FASEB J.9: 19 0-99(1995)を参照。 外因的に伝播するサルD型レトロウイルス(SRVは、サルレトロウイルスを意味 する)の5つの異なる中和血清型は、アジアマカクザルに固有であり、そして2 つの関連した内因性ウイルス配列が明らかにされている。これらのウイルスを識 別する特徴は、それらの形態およびヒト細胞に慢性的に感染する能力である。い くつかの他の腫瘍ガン原性レトロウイルスとは対照的に、SRVは、ガンを引き起 こすことが示されておらず(1つのメンバーであるSRV-3は、雌性アカゲザルの乳 ガンから単離されてはいる;Jensen,Cancer Res.30:1388-2393(1970)を参照) 、そしてその属のメンバーの1つであるSRV-2のみが、多少の細胞形質転換能力 をインビトロで有することが最近示された。さらに、SRVでの真の感染は、ヒト においては知られていない。「The Retroviridae」第3巻,Levy,J.A.編、Plenum Press,New York,1994のGardner,「The Simian Retroviruses: SIV and SRV」を 参照。プロトタイプウイルス(元々メイソン-パイツァーサルウイルス(MPMV)とし て知られ、現在はSRV-3と呼ばれる)のゲノムは、分子クローニングされそして特 徴付けされている。Barker,Virology 153:201-14(1986)。SRV-3プロウイルスの 再 構築された配列もまた、開示されている;Sonigo,Cell 45:375-85(1986)を参照 。SRV-1およびSRV-2の配列もまた解明されている(Power,Science 231:1567-72( 1986)およびMarracci,J.Virol,69:2621-28(1995))。サルレトロウイルスのこ のグループの詳細な記載については、「The Retroviridae」第3巻,Levy,J.A.編 、Plenum Press,New York,1994のGardner,「The Simian Retroviruses: SIV an d SRV」を参照。SRV-3のカプシドタンパク質をコードするgag-pro-pol遺伝子は、 昆虫細胞において組換えバキュロウイルス発現ベクターを用いて発現されている 。Sommerfelt,Virology 192:298-306(1993)を参照。これらのカプシドの発現は 、膜において(C型レトロウイルスと同様に)、そして昆虫細胞細胞質(D型レト ロウイルスにおいて特徴的な組み立て部位)内で、ある割合の粒子の組み立てを 生じた。Rhee,J.Virol.64:3844-52(1990)を参照。env遺伝子発現の非存在下 でのカプシドの組み立ておよび放出により、この遺伝子産物がこれらのプロセス において重要な役割を果たさないという以前の観察が確認された。しかし、放出 された粒子は、非感染性である。 改変された宿主範囲または組織向性を与える所望のSRVエンベロープタンパク 質(野生型またはキメラタンパク質)での遺伝子治療において有用なレトロウイル スベクターの偽型化によって、異なる造血細胞中への遺伝子移入の効率を増大す ることは有利である。脾壊死ウイルス(SNV)、ネコ内因性ウイルス(RD114)、およ びヒヒ内因性ウイルス(BaEV)特異性で偽型化されたSNVに基づくベクターは、こ れら3つのウイルス(これらは、共通の細胞性レセプターを共有するがわずかに 異なる宿主範囲を示す)のエンベロープ糖タンパク質によって与えられる宿主範 囲を研究するために作製されている。Koo,Virology 205:345-51(1994)を参照。発明の要旨 本発明は、偽型化レトロウイルスベクター粒子を含む。この粒子は、(1)粒子 中のウイルスRNAとして、レトロウイルスLTR領域およびパッケージングシグナル 領域を含み、そして非レトロウイルスタンパク質もしくはパッケージングシグナ ルの下流に位置する遺伝子制御配列をコードするか、または疾患の処置に有用な 異種レトロウイルス配列(例えば、HIVタンパク質配列)をコードするコード領域 をさらに含む組換えベクター;(2)カプシドタンパク質として、非SRVカプシド タンパク質;ならびに(3)エンベロープ糖タンパク質として、SRVエンベロープ 糖タンパク質を含む。 本発明はまた、これらの偽型化レトロウイルスベクター粒子を産生するための パッケージング細胞株を含む。ベクターウイルス粒子は、以下を含む細胞におい て産生される:(1)MuLV LTR領域およびパッケージングシグナル領域ならびに非 MuLVタンパク質または遺伝子制御配列をコードするコード領域(非MuLV配列は、 パッケージングシグナルの下流に位置する)を有する第一のベクター、(2)MuLV カプシドタンパク質をコードするコード領域を有する第二のベクター、および( 3)SRVエンベロープ糖タンパク質をコードするコード領域を有する第三のベクタ ー、ここで、これらのベクターの任意のものが、必要に応じて、細胞の染色体中 に組み込まれ得る。図面の簡単な説明 本発明はここで一般的に記載されているが、これは、以下の詳細な説明を参照 して本明細書の一部を形成する図面と組み合わせて考慮した場合により良く理解 される。 図1は、完全長SRV-3プロウイルスを含む例示的な出発分子クローン(例えば、 pSHARM 15)を示す模式図である。 図2は、プラスミドpTG90中にクローニングされたSRV-3プロウイルスの5'HbaI および3'SphIフラグメント(部位特異的変異誘発によって導入されたXhoI部位(N# 5815)を含む)を含む例示的な中間クローニング産物を示す模式図である。この産 物プラスミドはpTGHSX1と呼ばれる。 図3は、SRV env発現系を発現し得る例示的な産物プラスミドである。この図 において、hCMVIE-1-P/Eは、ヒトサイトメガロウイルス即時初期プロモーター/ エンハンサーである;SV40ポリAは、SV40ウイルス由来のポリアデニル化シグナ ルである;oriは、それぞれの宿主における複製起点である;△は欠失であり、 そして*は、制限部位が失なわれていることを示す;そして、ポリリンカーは5'E coRI−SmaI−XbaI−ClaI−BamHI−SalI 3'からなり、ここでEcoRIは、hCMVIE1ー P/Eに対して3'側であり、そしてSalIはSRV envに対して5'側である。詳細な説明 本発明の方法および組成物は、前記のものを2通りの方法で達成する。遺伝子 治療における使用に望ましい非SRVレトロウイルス(例えば、MuLV)をSRVのenv遺 伝子で偽型化することによって、広範な霊長類の非リンパ系細胞およびリンパ系 細胞(BおよびTリンパ球を含む)に感染するSRVの能力が、非SRVに与えられる。「 ベクター構築物」、「レトロウイルスベクター」、「組換えベクター」、および「組 換えレトロウイルスベクター」とは、目的の核酸分子を有し、そして特定の実施 態様においては、目的の核酸分子の発現を指示し得る核酸構築物をいう。レトロ ウイルスベクターは、少なくとも1つの転写プロモーター/エンハンサーもしく は遺伝子座規定エレメント、または他の手段(例えば、別のスプライシング、核R NA輸送、メッセンジャーの翻訳後改変、またはタンパク質の転写後改変)によっ て遺伝子発現を制御する他のエレメントを含まなければならない。このようなベ クター構築物はまた、パッケージングシグナル、長末端反復配列(LTR)またはそ の部分、ならびに使用されるレトロウイルスに適切なポジティブ鎖およびネガテ ィブ鎖プライマー結合部位(これらが、レトロウイルスベクター中にすでに存在 していない場合)を含まなければならない。必要に応じて、組換えレトロウイル スベクターはまた、ポリアデニル化を指示するシグナル、選択マーカー(例えば 、ネオマイシン耐性、TK、ハイグロマイシン耐性、フレオマイシン(phleomycin) 耐性、ヒスチジノール耐性、またはDHFR)、ならびに1つ以上の制限部位および 翻訳終結配列を含み得る。例として、このようなベクターは、代表的には、5'LT R、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第二鎖DNA合成の起点、および3'LT Rまたはそれらの部分を含む。 「偽型化」または「偽型化された」は、ゲノムおよびカプシドタンパク質が1つの レトロウイルス由来であるが、異種エンベロープ糖タンパク質が、同時感染また は同時トランスフェクションによりトランスに提供されることを意味する。すな わち、偽型化されたウイルスまたはベクターは、別のウイルスによりコードされ た異種エンベロープタンパク質を提示し、そして偽型は、補完するウイルス(糖 タンパク質を提供するウイルス)の向性を示す。SRVのエンベロープヌクレオチド 配列で偽型化された非SRVレトロウイルス(例えば、MuLV)の、単球および/または マクロファージに感染する能力は、SRVゲノムのさらなるシスおよび/またはトラ ンス作用性機能(例えば、dUTPase酵素)を必要とし得る。Elder,J.Virology 66 :1791-94(1992)を参照。変異分析によって、この酵素は、非霊長類レンチウイル スグループの特定のレトロウイルス(例えば、ウマ伝染性貧血ウイルスEIAV(Thre adgill,J.Virology 67:2592-600(1993)およびLichtenstein,J.Virology 69: 2881-88(1995)を参照)、および他のウイルス(例えば、1型単純ヘルペスウイル スHSV-1 ;Pyles,J.Virology 66:6706-13(1992)を参照)に、非分裂細胞に感染 する能力を与えることが見出された。従って、本発明の方法および組成物は、こ れらのベクターが、通常はこのようなベクターによって感染し得ない細胞に感染 することを可能にすることによって、多くのレトロウイルスベクターの組織向性 を拡張する。あるいは、SRVのエンベロープタンパク質を用いたこのような偽型 化は、リンパ系組織への遺伝子移入の効率を増大し得る。非SRVレトロウイルス 由来のgag-polタンパク質を、一過性または安定に発現されるSRV-3エンベロープ タンパク質とともに安定に発現するパッケージング細胞株を提供することによっ て、これらの能力が非SRVレトロウイルスベクターに与えられる。 上記のように、本発明は、目的の選択された核酸分子を有するかまたは発現す るように構築された組換えレトロウイルスを提供する。簡潔には、多数のレトロ ウイルス遺伝子送達ビヒクルが、本発明において利用され得る。これらのビヒク ルには、例えば、以下に記載のものが含まれる:EP 0,415,731; WO 90/07936; W O 94/03622; WO 93/25698; WO 93/25234;米国特許第5,219,740号;WO 9311230; WO 9310218; VileおよびHart,Cancer Res.53:3860-3864,1993; VileおよびHa rt,Cancer Res.53:962-967,1993; Ramら、Cancer Res.53:83-88,1993; Tak amiyaら、J.Neurosci.Res.33:493-503,1992; Babaら、J.Neurosurg.79:72 9-735,1993(米国特許第4,777,127号、GB 2,200,651,EP 0,345,242およびWO 91 /02805)。特に好ましい組換えレトロウイルスには、WO 91/02805に記載されるも のが含まれる。 本発明のレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルは、広範なレトロウイルスから容 易に構築され得る。これらのレトロウイルスには、例えば、B、C、およびD型 レトロウイルス、ならびにスプマウイルスおよびレンチウイルスが含まれる(RNA Tumor Viruses,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,1985を参照)。本発 明のレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルの調製または構築のために好ましいレト ロウイルスには、ニワトリ白血病ウイルス、ウシ白血病ウイルス、マウス白血病 ウイルス、ミンク細胞フォーカス形成ウイルス、マウス肉腫ウイルス、細網内皮 病ウイルス、およびラウス肉腫ウイルスからなる群より選択されるレトロウイル スが含まれる。特に好ましいマウス白血病ウイルスには、4070Aおよび1504A(Har tleyおよびRowe、J.Virol.19:19-25,1976)、アーベルソン(ATCC番号VR-999) 、フレンド(ATCC番号VR-245)、グラフィ、グロス(ATCC番号VR-590)、キルステン 、ハーベイ肉腫ウイルスおよびラウシャー(ATCC番号VR-998)、ならびにモロニー マウス白血病ウイルス(ATCC番号VR-190)が含まれる。このようなレトロウイルス は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(「ATCC」; Rockville,Maryland) のような寄託機関または収集機関から容易に得られ得るか、または一般に利用可 能な技術を用いて公知の供給源から単離され得る。 上記の任意のレトロウイルスは、本明細書中に提供される開示および標準的な 組換え技術(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989; Kunkle,PNAS 82:488, 1985)によれば、レトロウイルス遺伝子送達ビヒクルを組み立てたり、または構 築するために容易に利用され得る。さらに、本発明の特定の実施態様において、 レトロウイルス遺伝子送達ビヒクルの部分は、異なるレトロウイルスに由来し得 る。例えば、本発明の1つの実施態様において、レトロベクターLTRはマウス肉 腫ウイルスに、tRNA結合部位はラウス肉腫ウイルスに、パッケージングシグナル はマウス白血病ウイルスに、そして第二鎖合成の起点はニワトリ白血病ウイルス に由来し得る。 本発明の好ましい局面において、組換えレトロウイルスは、上記ベクター構築 物を細胞に導入することにより作製され得る。この細胞は、ベクター構築物を欠 いている、感染性組換えレトロウイルスの産生に必要なエレメントを含む(「パッ ケージング細胞」と称される)。広範なレトロベクター構築物が、組換えレトロウ イルスを調製するために、本発明において利用され得る。例えば、本発明の1つ の局面において、5'LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、1つ以上の 異種配列、第2鎖DNAの合成起点、および3'LTRを含むレトロベクター構築物が提 供される。ここで、このベクター構築物は、gag/polまたはenvコード配列を欠い ている。簡潔には、長末端反復(「LTR」)は、3つのエレメント(U5、R、およびU3 と称される)にさらに分けられる。これらのエレメントは、レトロウイルスの生 物学的活性を担う種々のシグナルを含む。これらエレメントとしては、例えば、 U3内に位置するプロモーターおよびエンハンサーエレメントが挙げられる。LTR は、ゲノムの両端での正確な重複のために、プロウイルスにおいて容易に同定さ れ得る。本明細書中で用いられる場合、5'LTRは、5'プロモーターエレメント、 ならびに逆転写およびDNA形態のベクターの組み込みを可能にする十分なLTR配列 を含むことが理解されるべきである。3'LTRは、ポリアデニル化シグナル、なら びに逆転写およびDNA形態のベクターの組み込みを可能にする十分なLTR配列を含 むことが理解されるべきである。 tRNA結合部位および第2鎖DNAの合成起点はまた、レトロウイルスが生物学的 に活性であるために重要であり、そして当業者によって容易に同定され得る。例 えば、レトロウイルスtRNAは、ワトソン−クリックの塩基対合によりtRNA結合部 位に結合し、そしてレトロウイルスゲノムとともにウイルス粒子中へ運ばれる。 次いで、tRNAは、逆転写酵素によるDNA合成のためのプライマーとして利用され る。tRNA結合部位は、その位置(5'LTRのすぐ下流)に基づいて容易に同定され得 る。同様に、第2鎖DNAの合成起点は、その名称が意味するように、レトロウイ ルスの第2鎖DNAの合成にとって重要である。この領域(ポリプリン域とも称され る)は、3'LTRのすぐ上流に位置する。5'LTRおよび3'LTR、tRNA結合部位、ならび に第2鎖DNAの合成起点に加え、本明細書中で提供される特定の好ましいレトロ ベクター構築物はまた、パッケージングシグナル、ならびに1つ以上の核酸分子 (例えば、異種配列)を含む。それらのそれぞれを、以下でより詳細に論じる。 本発明の1つの局面において、gag/polおよびenvコード配列をともに欠くレト ロベクター構築物が提供される。本明細書中で利用される場合、句「gag/polまた はenvコード配列を欠く」は、レトロベクターが、gag/polまたはenv遺伝子、特に 、 レトロベクター構築物のためのパッケージング細胞株を構築するために使用され るgag/polまたはenv発現カセットに見出される、少なくとも20、好ましくは少な くとも15、より好ましくは少なくとも10、そして最も好ましくは少なくとも8つ の連続ヌクレオチドを含まないことを意味すると理解されるべきである。 上記レトロベクター構築物との使用に適切なパッケージング細胞株は、容易に 調製され(1994年5月9日に出願された米国特許出願第08/240,030号を参照;WO 92/05266もまた参照)、そして組換えベクター粒子の産生のためのプロデューサ ー細胞株(ベクター細胞株、すなわち「VCL」とも称される)を作製するために利用 され得る。本発明の特に好ましい実施態様において、パッケージング細胞株は、 ヒト(例えば、HT1080細胞)またはミンク親細胞株から作製され、それゆえヒト血 清における不活化を生き延び得る組換えレトロウイルスの産生を可能にする。 従って、1つの局面において、本発明は、サルレトロウイルスのenv遺伝子産 物により偽型化された組換え非SRVレトロウイルスベクターを含む。好ましくは 、用いられるenvタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、SRV-3に由来する が、任意のSRVのenvタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、代わりに使用 され得る。例えば、SRV-1、SRV-2、SRV-4、およびSRV-5のenvタンパク質をコー ドするヌクレオチド配列である。 あるいは、SRVのenv遺伝子のコード配列全体が使用される必要はない。SRV en vコードヌクレオチド配列の一部が、別のレトロウイルス(例えば、MuLV)のenvコ ードヌクレオチド配列と交換されて、SRV-3 env部分配列の所望の特性(例えば、 SRV-3 envレセプター結合ドメインまたはフソジェニック(fusogenic)ドメイン) を導入し得る。 上記のように、本発明は、目的の選択された核酸分子を保持するかまたは発現 するために構築される組換えレトロウイルスを提供する。簡潔には、多数のレト ロウイルス遺伝子送達ビヒクル(レトロウイルスベクター粒子)が、本発明におい て利用され得る。これらは、例えば、EP 0,415,731;WO 90/07936;WO 94/03622 ;WO 93/25698;WO 93/25234;米国特許第5,219,740号;WO 9311230;WO 931021 8;VileおよびHart、Cancer Res.53:3860-3864,1993;VileおよびHart、Cance r Res.53:962-967,1993;Ramら、Cancer Res.53:83-88,1993;Takamiyaら、 J.Neurosci.Res.33:493-503,1992:Babaら、J.Neurosurg.79:729-735,19 93(米国特許第4,777,127号、GB 2,200,651、EP 0,345,242、およびWO 91/02805) に記載されるビヒクルを含む。 本発明のレトロウイルス粒子は、広範なレトロウイルスから容易に構築され得 る。これらレトロウイルスは、例えば、B、C、およびD型レトロウイルス、な らびにスプマウイルスおよびレンチウイルスを含む(RNA Tumor Viruses、第2版 、Cold Spring Harbor Laboratory,1985を参照)。本発明のレトロウイルスベク ターの調製または構築のためのレトロウイルスの例として、ニワトリ白血病ウイ ルス、ウシ白血病ウイルス、マウス白血病ウイルス、ミンク細胞フォーカス形成 ウイルス、マウス肉腫ウイルス、細網内皮症ウイルス、およびラウス肉腫ウイル スからなる群から選択されるレトロウイルスが挙げられる。特に好ましいのは、 マウス白血病ウイルスである。MuLVの特定の例として、4070Aおよび1504A(Hartl eyおよびRowe、J.Virol.19:19-25,1976)、アーベルソン(ATCC No.VR-999)、 フレンド(ATCC No.VR-245)、グラフィ、グロス(ATCC No.VR-590)、キルステン 、ハーベイ肉腫ウイルスおよびラウシャー(ATCC No.VR-998)、ならびにモロニ ーマウス白血病ウイルス(ATCC No.VR-190)が挙げられる。このようなレトロウ イルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」;Rockville,Maryland) のような寄託機関または収集機関から容易に得られ得るか、または通常利用可能 な技術を用いて公知の供給源から単離され得る。 任意の上記レトロウイルスは、本明細書中で提供される開示および標準的な組 換え技術(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第 2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989;Kunkle、PNAS 82:488,19 85)により与えられるレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルを組み立てるかまたは 構築するために、容易に利用され得る。さらに、本発明の特定の実施態様におい て、レトロウイルス遺伝子送達ビヒクルの一部は、異なるレトロウイルスに由来 し得る。例えば、本発明の1つの実施態様において、レトロベクターLTRはマウ ス肉腫ウイルスに、tRNA結合部位はラウス肉腫ウイルスに、パッケージングシグ ナルはマウス白血病ウイルスに、そして第2鎖合成の起点はニワトリ白血病ウイ ルスに由来し得る。 本発明の好ましい局面において、組換えレトロウイルスは、上記ベクター構築 物を細胞に導入することにより作製され得る。この細胞は、ベクター構築物を欠 いている、感染性組換えレトロウイルスの産生に必要なエレメントを含む(「パッ ケージング細胞」と称される)。広範なレトロベクター構築物が、組換えレトロウ イルスを調製するために、本発明において利用され得る。例えば、本発明の1つ の局面において、5'LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、1つ以上の 異種配列、第2鎖DNAの合成起点、および3'LTRを含むレトロベクター構築物が提 供される。ここで、このベクター構築物は、gag/polまたはenvコード配列を欠い ている。簡潔には、長末端反復(「LTR」)は、3つのエレメント(U5、R、およびU3 と称される)にさらに分けられる。これらのエレメントは、レトロウイルスの生 物学的活性を担う種々のシグナルを含む。これらエレメントとしては、例えば、 U3内に位置するプロモーターおよびエンハンサーエレメントが挙げられる。LTR は、ゲノムの両端での正確な複製のために、プロウイルスにおいて容易に同定さ れ得る。本明細書中で用いられる場合、5'LTRは、5'プロモーターエレメントな らびに逆転写およびDNA形態のベクターの組み込みを可能にする十分なLTR配列を 含むと理解されるべきである。3'LTRは、ポリアデニル化シグナルならびに逆転 写およびベクターのDNA形態の組み込みを可能にする十分なLTR配列を含むと理解 されるべきである。 tRNA結合部位および第2鎖DNAの合成起点はまた、レトロウイルスが生物学的 に活性であるために重要であり、そして当業者によって容易に同定され得る。例 えば、レトロウイルスtRNAは、ワトソン−クリックの塩基対合によりtRNA結合部 位に結合し、そしてレトロウイルスゲノムとともにウイルス粒子中へ運ばれる。 次いで、tRNAは、逆転写酵素によるDNA合成のためのプライマーとして利用され る。tRNA結合部位は、その位置(5'LTRのすぐ下流)に基づいて容易に同定され得 る。同様に、第2鎖DNAの合成起点は、その名称が意味するように、レトロウイ ルスの第2鎖DNAの合成にとって重要である。この領域(ポリプリン域とも称され る)は、3'LTRのすぐ上流に位置する。 5'LTRおよび3'LTR、tRNA結合部位、ならびに第2鎖DNAの合成起点に加え、本 明細書中で提供される特定のレトロベクター構築物はまた、パッケージングシグ ナル、ならびに1つ以上の核酸分子(例えば、異種配列)を含む。それらのそれぞ れを、以下でより詳細に論じる。本発明の1つの局面において、gag/polおよびe nvコード配列をともに欠くレトロベクター構築物が提供される。本明細書中で利 用される場合、句「gag/polまたはenvコード配列を欠く」は、レトロベクターが、 gag/polまたはenv遺伝子、特に、レトロベクター構築物のためのパッケージング 細胞株を構築するために使用されるgag/polまたはenv発現カセットに見出される 、少なくとも20、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも10、そし て最も好ましくは少なくとも8つの連続ヌクレオチドを含まないことを意味する と理解されるべきである。 上記レトロベクター構築物との使用に適切なパッケージング細胞株は、容易に 調製され(例えば、WO 92/05266を参照)、そして組換えベクター粒子の産生のた めのプロデューサー細胞株(ベタター細胞株、すなわち「VCL」とも称される)を作 製するために利用され得る。本発明の特に好ましい実施態様において、パッケー ジング細胞株は、ヒト(例えば、HT1080細胞)またはミンク親細胞株から作製され 、それゆえヒト血清における不活化を生き延び得る組換えレトロウイルスの産生 を可能にする。 本発明は、以前に利用し得なかったいかなる材料の使用も包含しないと認識さ れるべきである。例えば、MuLV LTRおよびパッケージングシグナル領域をコード するRNAベクター(通常はDNAの形態である)、パッケージングシグナルから下流に 位置する非MuLVタンパク質または遺伝子制御配列は、以前に調製されそして公開 されている。同様に、欠失しているgagおよびpol遺伝子産物を提供するためのヘ ルパー構築物の使用は、第2のヘルパー構築物上の別の供給源由来のenvタンパ ク質の提供と同様に公知である。しかし、SRV envタンパク質の使用は、以前に は、細胞の感染をもたらしていない。従って、MuLV LTRおよびパッケージングシ グナル領域をコードするコード領域、ならびに非MuLVタンパク質または遺伝子制 御配列を有する第1のベクター(この非MuLV配列は、パッケージングシグナルか ら下流に位置している);MuLVカプシドタンパク質をコードするコード領域を有 する第2のベクター;およびSRVエンベロープ糖タンパク質をコードするコード 領域を有する第3のベクターの組合せは、この組合せの感染性または任意の他の 意図された有用性を欠くために、組換えウイルス粒子を産生するために有用なシ ステムを提供することを知られていなかった。従って、本発明は、新規な組合せ を提供し、この組合せにおいて、任意の個々のベクターは、必要に応じて、それ らが位置する細胞の染色体中に取り込まれ;あるいは、このベクターは、別のプ ラスミドまたはその任意の組合せとして提供され得る。上記の種々のベクターを 含むように改変された細胞によって産生された偽型化ベクターウイルス粒子は、 それ自身、粒子中のウイルスRNA粒子として、MuLV LTRおよびパッケージングシ グナル領域を含み、そしてパッケージングシグナルから下流に位置する非MuLVタ ンパク質または遺伝子制御配列をコードするコード領域;カプシドタンパク質と して、MuLVカプシドタンパク質;およびエンベロープ糖タンパク質として、SRV エンベロープ糖タンパク質をさらに含む。 本発明の組換えレトロウイルスベクターは、必要に応じて、1つ以上の所望の 遺伝子または遺伝子フラグメントを含む。このような遺伝子および/または遺伝 子フラグメントは、遺伝子治療に有用なまたは他の任意の目的(簡単なクローニ ングまたは産物の産生を含む)のための任意の配列を含み得る。本発明のレトロ ウイルスベクター中に導入し得る、治療目的の核酸配列の記載については、例え ば、WO96/21014、WO91/02805を参照。所望の遺伝子または遺伝子フラグメントは 、通常、本発明のレトロウイルスベクター中に挿入される非レトロウイルス配列 である。しかし、いくつかの場合、所望の治療用遺伝子がレトロウイルス遺伝子 (例えば、抗HIV免疫応答を誘導し得るHIV構造タンパク質をコードする配列)であ り得る。この後者の場合には、レトロウイルス配列は、一般に、レトロウイルス ベクターに対して組換えであるかまたは異種である(例えば、HIV-1治療用遺伝子 配列はMuLVベクターに挿入される)。 例えば、身体の天然の細胞傷害性防御機構を増強するために、本発明の組換え MuLVベクターは、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)の産生を刺激するかまたはTILを遺伝 的に改変する配列を含み得る。neo遺伝子を発現するレトロウイルスベクターで エクスビボで形質導入したTILは、ヒト宿主におけるそのホーミング部位(homing site)を研究するために使用されている。同様に、腫瘍壊死因子(TNF)で形質導入 したTILは、進行メラノーマのヒト患者を処置するために使用されている。さら に、T細胞レセプター(TcR)の定常領域およびモノクローナル抗体の可変領域か らなるキメラTcRで形質導入したTILは、このモノクローナル抗体によって認識さ れるガンを溶解するために再指向させられ得る。 レトロウイルスベクターに挿入された核酸配列は、ウイルス感染に対する免疫 応答を誘導し得るウイルス構造遺伝子であり得る。HIV感染によって引き起こさ れる疾患の特定の症例(免疫刺激が所望される)では、組換えレトロウイルスから 産生された抗原は、HLAクラスIまたはクラスII拘束性免疫応答のいずれかまた は両方を誘発する形態であり得る。HIVエンベロープ抗原の場合、例えば、この 抗原は、好ましくは、gp160、gp120、およびgp41から選択される。これらはその 病原性を減少するよう改変されている。特に、選択された抗原は、シンシチウム の可能性を減少させるため、免疫応答を増強する疾患に至るエピトープの発現を 避けるため、免疫優性であるがハプロタイプ特異的であるエピトープを除去する ため、またはいくつかのハプロタイプ特異的エピトープを提示するために、改変 され、そしてほとんどまたは全ての系統のHIVに感染した細胞を排除し得る応答 を可能する。ハプロタイプ特異的エピトープは、HIVの他の系統に対して交差反 応性である、動物の免疫応答の刺激を促進するために、さらに選択され得る。他 のHIV遺伝子、または遺伝子の組合せ(例えば、gag、pol、rev、vif、nef、prot 、gag/pol、gag protなど)由来の抗原もまた、特定の症例において防御を提供し 得る。HIVは1例にすぎない。このアプローチは、特徴的な抗原(膜タンパク質で ある必要はない)が発現する多くのウイルス関連疾患またはガン(例えば、HPVお よび子宮頸部ガン、HTLV-I誘導白血病、前立腺特異的抗原(PSA)および前立腺ガ ン、変異p53および結腸ガンおよびメラノーマ、メラノーマ特異的抗原(MAGE)お よびメラノーマ、ムチンおよび乳ガン)に対して有効であるはずである。 種々のサイトカインまたは免疫調節遺伝子を、本発明のレトロウイルスベクタ ーに挿入し得る。このようなサイトカインの代表例は、例えば、IL-1、IL-2(Kar upiahら、J.Immunology 144:290-298,1990; Weberら、J.Exp.Med,166:1716 -1733,1987; Gansbacherら、J.Exp.Med.172:1217-1224.1990; 米国特許第4 ,738,927号)、IL-3、IL-4(Tepperら、Cell 57:503-512,1989; Golumbekら、Scie nce 254:713-716,1991;米国特許第5,017,691号)、IL-5、IL-6(Brakenhofら、J. I mmunol.139:4116-4121,1987; WO90/06370)、IL-7(米国特許第4,965,195号)、I L-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13(Cytokine Bulletin,Summer 1994)、I L-14およびIL-15、特にIL-2、IL-4、IL-6、IL-12、およびIL-13、αインターフ ェロン(Finterら、Drugs 42(5):749-765,1991; 米国特許第4,892,743号;米国特 許第4,966,843号;WO85/02862; Nagataら、Nature 284:316-320,1980; Famille ttiら、Methods in Enz.78:387-394,1981; Twuら、Proc.Natl.Acad.Sci.US A 86:2046-2050,1989; Faktorら、Oncogene 5:867-872,1990)、βインターフェ ロン(Seifら、J.Virol.65:664-671,1991)、γインターフェロン(Radfordら、T he American Society of Hepatology 2008-2015,1991; Watanabeら、PNAS 86:94 56-9460,1989; Gansbacherら、Cancer Research 50:7820-7825,1990;Maioら、Ca n.Immunol.Immuother.30:34-42,1989; 米国特許第4,762,791号;米国特許第 4,727,138号)、G-CSF(米国特許第4,999,291号、および同第4,810,643号)、GM-CS F(WO85/04188)、腫瘍壊死因子(TNF)(Jayaramanら、J.Immunology 144:942-951, 1990)、CD3(Krissanenら、Immunogenetics 26:258-266,1987)、ICAM-1(Altmanら 、Nature 338:512-514,1989; Simmonsら、Nature 331:624-627,1988)、ICAM-2、 LFA-1、LFA-3(Wallnerら、J.Exp.Med.166(4):923-932,1987)、MHCクラスI分 子、MHCクラスII分子、B7.1-.3、β2-ミクログロブリン(Parnesら、PNAS 78:225 3-2257,1981)、カルネキシンのようなシャペロン、MHC結合輸送体タンパク質ま たはそれらのアナログ(Powisら、Nature 354:528-531,1991)である。 1つの実施態様において、遺伝子はγインターフェロンをコードする。免疫調 節因子はまた、これらの分子のアゴニスト、アンタゴニスト、またはリガンドで あり得る。例えば、レセプターの可溶性形態はしばしば、これらの因子自体の変 異形態と同様に、これらのタイプの因子のアンタゴニストとして挙動し得る。本 明細書中で記載する任意のサイトカインおよび免疫調節タンパク質をコードする 遺伝子は、レトロウイルスベクターにおいて発現し、長期のインビボ発現を達成 し得る。当業者に公知であるこれらのサイトカインの他の形態もまた、使用し得 る。例えば、ネイティブなIL-2およびγインターフェロンをコードする核酸配列 は、それぞれ、米国特許第4,738,927号および同第5,326,859号に記載されるよう に得られ得るが、一方で、これらのタンパク質の有用なムテインは、米国特許第 4,853,332号に記載されるように得られ得る。さらなる例として、mCSFの短い形 態および長い形態をコードする核酸配列は、それぞれ、米国特許第4,847,201号 および同第4,879,227号に記載されるように得られ得る。サイトカインまたは免 疫調節遺伝子を発現するレトロウイルスベクターは、本明細書中および「Composi tions and Methods for Cancer Immunotherapy」と題するPCT公開番号US94/02951 に記載されるように生成され得る。IGF-1およびIGF-2増殖因子ポリペプチドの種 々の異なる形態もまた、当該分野で公知であり、そしてインビボでの長期の発現 のために、レトロウイルスベクター中に取り込まれ得る。例えば、「Hybrid DNA Synthesis of Mature Insulin-like Growth Factors」と題する欧州特許第012322 8B1(1993年9月19日特許公報発行)を参照。さらなる例として、線維芽細胞増殖 因子の異なる形態の長期のインビボ発現もまた、本発明の方法によってなされ得 る。異なる線維芽細胞増殖因子の記載については、例えば、米国特許第5,464,77 4号(1995年11月7日に付与)、米国特許第5,155,214号、および米国特許第4,994, 559号を参照。 さらなる例として、第VIII因子または第IX因子が、血友病のような血液凝固異 常の処置に有用である。第VIII因子の異なる形態(例えば、WO96/21014に記載さ れるBドメイン欠失第VIII因子構築物)が、本発明の方法における使用のための 第VIII因子を発現するレトロウイルスベクターを生成するために使用し得る。凝 固因子に加えて、本発明のレトロウイルスベクター中で発現し得、そして遺伝性 疾患の処置に有用な、多くのタンパク質が存在する。これらには、遺伝性乳糖不 耐症の処置のためのラクターゼ、ADA欠損症の処置のためのAD、およびα-1アン チトリプシン欠損症の処置のためのα-1アンチトリプシンが含まれる。遺伝子疾 患の遺伝子治療処置の記載については、F.D.Ledley,J.Pediatics,110,157-1 74(1987);I.Verma,Scientific American,(1987年11月)、68-84頁;および「Ge ne Therapy Treatment for a Variety of Diseases and Disorders」と題するPCT 公開 WO9527512を参照。 あるいは、本発明の組換えレトロウイルスベクターは、毒性産物をコードする 誘導性遺伝子または毒性薬剤に対する感受性を付与する遺伝子を含み得る(自殺 ベクターアプローチ)。毒性産物をコードする遺伝子の例は、ジフテリア毒素遺 伝子である。毒性薬剤に対する感受性を付与する遺伝子の例は、単純ヘルペスウ イルスtk遺伝子であり、これは、アシクロビルおよびガンシクロビルのようなヌ クレオシドアナログを代謝しそして取り込む細胞の能力を増強する。種々の他の プロドラッグ変換酵素もまた、本発明のレトロウイルスベクターにおいて使用さ れ得る。本発明のレトロウイルスベクターにおいて使用するためのウイルスチミ ジンキナーゼおよび他のプロドラッグ変換酵素系の記載については、例えば、WO 95/14091およびEP 0 415 731を参照。 本発明の組換えMuLVベクターは、ウイルス産生に必要なHIVまたはHTLV-1調節 タンパク質または応答エレメントの野生型または変異型のいずれかをコードする 、配列、遺伝子、および/または遺伝子フラグメント(例えば、HIVのgagおよびre vタンパク質、ならびにTAR配列)を含み得る。これらの配列は、ヌクレオチドの 付加、置換、または欠失によって改変されてこのタンパク質のリーディングフレ ームを変化させ得るか、あるいはヌクレオチドの内部配列のN末端またはC末端 の短縮または欠失によって改変されて、トランス優性または競合欠損のHIVまた はHTLV-1タンパク質または応答エレメントの発現を生じ得る。これらの野生型、 欠損またはトランス優性作用変異配列を有する本発明の組換えMuLVベクターの送 達によって、「おとり」のタンパク質で形質導入された細胞を「武装」し、感染性ウ イルスの複製を直接阻害するかまたはパッケージされたビリオン粒子による複製 不可能または感染不能を引き起こす。 あるいは、本発明の組換えMuLVベクターは、HIVまたはHTLV-1に対するアンチ センスRNAまたはリボザイムをコードする配列を含み得る。アンチセンスRNAまた はリボザイムは、ウイルス複製を特異的に阻害し、それゆえHIVまたはHTLV-1感 染の治療的およびおそらくは予防的処置に有用であることが見出される。 重要なことに、本発明のレトロウイルスMuLVベクターは、欠損遺伝子産物の発 現に起因する遺伝子疾患を処置するための配列、遺伝子、および/または遺伝子 フラグメントを含み得る。このような疾患としては、例えば、重度複合免疫不全 、慢性肉芽腫症、ゴシェ病、鎌状赤血球貧血、αサラセミアおよびβサラセミア 、レシュ-ナイハン症候群、デュシェーヌ筋ジストロフィー、パーキンソン病、 気腫、嚢胞線維症、フェニルケトン尿症、家族性高コレステロール血症、または 血 友病AおよびBが挙げられる。以下の表Iは、このような疾患状態をもたらす欠 損遺伝子産物および影響を受けた細胞タイプを列挙する。 本発明の組換えレトロウイルスベクター内に、所望の配列、遺伝子および/ま たは遺伝子フラグメントが、いくつかの部位に、至適で安定な発現をチェックす るための種々の調節配列下に挿入され得る。例えば、挿入部位は、ウイルスのエ ンハンサー/プロモーター近位部位(すなわち、5'LTR駆動遺伝子座)であり得る。 あるいは、所望の配列は、ウイルスプロモーター遠位部位に挿入され得る。ここ で、所望の配列の発現は、プロモーター近位のシストロンのスプライシング、内 部異種プロモーター(例えば、SV40またはCMV)、または内部リボソーム侵入部位( IRES)を介する。 本発明のレトロウイルスベクターは、マーカー配列またはマーカー遺伝子をさ らに含み得る。このマーカー配列またはマーカー遺伝子は、形質導入細胞に抗生 物質耐性を付与するタンパク質をコードするか、または形質導入細胞に分子タグ を提供して、ポジティブ選択または細胞選別デバイスによるそれら細胞の単離を 可能にする。抗生物質耐性の例には、アミノグリコシドホスホトランスフェラー ゼ遺伝子(これはneo(aph)によりコードされ、そしてネオマイシンまたはG418に 対する耐性を付与する(Southern、J.Mol.Appl.Gen.1:327(1982)))、および ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ遺伝子(これは、hyg(hph)により コードされ、そしてハイグロマイシンBに対する耐性を付与する(Gritz、Gene 2 5:179(1983);Sugden、Mol.Cell.Biol.5:410(1980);Palmer、Proc.Natl.A cad.Sci.USA 84:1055(1987))が含まれる。例示の分子タグには、キメラまたは 野生型のCD8タンパク質およびこのようなタンパク質をコードするヌクレオチド 配列が含まれる。 上記物質をコードする核酸分子、および本発明における使用に有利な他の核酸 分子は、種々の供給源から容易に得られ得る。この供給源は、例えば、寄託機関 (例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、Rockville、Marylan d))または市販元(例えば、BritiSh Bio-Technology Limited(Cowley,Oxford En gland)が含まれる。代表的な例には、以下が含まれる:BBG12(127アミノ酸の成 熟タンパタ質をコードするGM-CSF遺伝子を含む)、BBG6(γインターフェロンをコ ードする配列を含む)、ATCC第39656号(TNFをコードする配列を含む)、ATCC第206 63号(αインターフェロンをコードする配列を含む)、ATCC第31902号、第31902号 および第39517号(βインターフェロンをコードする配列を含む)、ATCC第67024号 (インターロイキン1βをコードする配列を含む)、ATCC第39405号、第39452号、 第39516号、第39626号および第39673号(インターロイキン2をコードする配列を 含む)、ATCC第59399号、第59398号および第67326号(インターロイキン3をコー ドする配列を含む)、ATCC第57592号(インターロイキン4をコードする配列を含 む)、ATCC第59394号および第59395号(インターロイキン5をコードする配列を含 む)、ならびにATCC第67153号(インターロイキン6をコードする配列を含む)。 あるいは、本発明に用いられるcDNA配列は、その配列を発現するかまたは含む 細胞から得られ得る。簡単に述べると、1つの実施態様では、目的とする遺伝子 を発現する細胞からのmRNAを、オリゴdTまたはランダムプライマーを用いて逆転 写酵素で逆転写する。次いで、一本鎖cDNAを、所望の配列のいずれかの側の配列 に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCR(米国特許第4,683,202 号、第4,683,195号および第4,800,159号を参照。PCR Technology: Principles a nd Applications for DNA Amplification,Erlich(編)、Stockton Press,1989 もまた参照)によって増幅し得る。特に、二本鎖DNAは、熱安定性Taqポリメラー ゼ、配列特異的DNAプライマー、ATP、CTP、GTPおよびTTPの存在下で加熱するこ とにより変性される。二本鎖DNAは、合成が完了するときに生成される。このサ イクルは多数回繰り返され得、所望のDNAの階乗的増幅を生じる。本明細書中に 記載の組換えレトロウイルスによって保持および/または発現される核酸分子は また、例えば、Applied Biosystems Inc.DNAシンセサイザー(例えば、APB DNAシ ンセサイザーモデル392(Foster City,California)で合成され得る。 さらに別の局面では、本発明は、欠陥または欠乏遺伝子産物の発現がある遺伝 子病変により引き起こされる疾患、ウイルス感染、腫瘍およびガンを処置する方 法を包含する。本発明の処置方法では、SRV配列で偽型化されたMuLVベクターが 、エクスビボまたはインビボ環境で標的細胞を感染させるのに用いられる。 そして本発明のさらに別の局面では、ウイルスベクター粒子は、例えば、配列 をクローニングするプロセスにおいて、任意の非レトロウイルスベクター配列を 、その配列の再生のために、特異的に生成するために用いられ得る。この意味に おいて、ウイルス粒子は、単にクローニングビヒクルとして作用し、そしてウイ ルス粒子中にパッケージされ得る任意の異種配列の再生のためにそのような有用 性を有する。これは、本明細書中に記載のシステムが、他の細胞に感染し、その ようにして再生するウイルス粒子を生成する能力により容易に決定される事項で ある。 以下の実施例は、本発明の実施に必ずしも必須ではない材料の使用を記載して いると認識されるべきである。特に、これらの実施例において記載される特定の ベクター系、プラスミド、および出発材料は、多くの他の市販のベクター、プラ スミド、および本明細書中に記載のものと同等またはそれ以上の結果を有する他 の供給源材料のいずれによっても置換され得るということが、本発明者らの意見 である。市販ベクターの分野では続けて開発が行われており、より良好に働くベ クターが絶えず調製されており、入手可能にされている。本発明者らにより実施 された実際の研究においては、本発明を最適化するための試みはなされてなかっ た。本発明者らは、単に、自身の実験室において容易に入手可能であるか、また は他の容易に入手可能な供給源を通じて入手可能である系を用いただけである。 本明細書中に提供された指針を用いれば、市販または他の公的な材料供給源のい ずれもが、同様なまたはより良好な結果を期待して選択され得る。このことは、 材料タイプの組み合わせが本発明を提供するのであり、特定の供給源の使用では ない。 本明細書中に引用したすべての特許、特許出願、および科学刊行物は、参考と して本明細書中に援用される。実施例 上記で要約された本発明の種々の局面を、p6c-SRVenv#fの構築により説明する 。p6c-SRVenv#fは、SRV-3 envの全配列の発現を駆動するCMVエンハンサーおよび プロモーター領域を含む哺乳動物発現ベクターである。より詳細には、p6c-SRVe nv#fプラスミドは、SRV-3 env配列のエンベロープタンパク質コード領域全体、 ヌクレオチド(N)6242位(env ATGコドン)からN8003位(env TAG停止コドン)を含 む挿入物を保有する。SRV-3 env配列(MPMV)について本明細書中で用いられた番 号付けシステムは、Genebank配列ファイルSIVMPCG(アクセス番号M12349)に存在 する6Aクローンの番号付けシステムである。この番号付けシステムは、SRV-3 en v配列を記載する刊行物(Sonigo,P.,Barker,C,Hunter,E.およびWain,H.S. ,1986,Cell 45:375-85)におけるシステムとは異なる。Genebank配列は、さら にLTR(N416位と743位との間)を有する。これは、Cell(前出)においてSonigoに より公開された形態では欠失していた。 プラスミドp6c-SRVenv#fは、本実施例において、MuLV gag-polにコードされた タンパク質の共存を提供することにより、MuLVベクターをSRVエンベロープ偽型 化ベクター粒子にパッケージするためのヘルパー構築物として作用する。これら のタンパク質は、それらをコードするヌクレオチド配列を、MuLVベクター系を含 む細胞に同時トランスフェクトすることにより発現され得る。あるいは、これら の配列の導入は、これらのタンパク質を安定に発現する細胞株を用いることによ り達成され得る。プラスミドp6c-SRVenv#fは、細菌形質転換体の選択のために、 アンピシリン耐性遺伝子をさらに含む。 p6c-SRVenv#fの構築を生じさせる分子操作を、ベクターpSURE RT ARM #1にお いて欠失を作製することにより開始した。このベクター(実施例1において詳細 に記載する)は、SRV-3 envヌクレオチド配列のC末端、3'非翻訳領域、および3' 長末端反復(LTR)配列を含む。欠失は、SRV-3 env停止コドンの下流に存在する3' LTRおよび非翻訳領域を除去した。得られたベクター(pRtΔBE#1と称する)は、SR V-3 envヌクレオチド配列のC末端コード領域(フラグメントの5'末端のN7886 位(HindIII部位)で始まり、N8000〜8002位(TAGenv停止コドン)で終わる)、3'側 に充填されたBglII部位を含む。pRtABE#1はまた、HindIII部位の5'側にXhoI部位 を含んだ。SRV-3 envヌクレオチド配列の残りのN末端部分を含むフラグメント( N6242位(ATG env開始コドン)からN7886位(HindIII部位))を、ベクターpTGHX1 から、3'側のHindIII制限部位および5'側の変異誘発により導入したXhoI制限部 位を用いて切り出し、そしてプラスミドpRTΔBE#1の3'HindIII制限部位および5' XhoI制限部位にサブクローニングし、正確な読みとり方向でenvコード配列全体 を復元した。次いで、この配列全体をpCMV6cにサブクローニングし、p6c-SRVenv #fを生成した。 あるいは、SRV-3のenvコード領域は、それを含むことが当該分野で知られる他 のプラスミドベクター(例えば、pSHRM15(Rhee,S.S.,Hui,H.およびHunter,E. ,1990,J.Virol.64(8):3844-52を参照)から切り出され、そして適切な哺乳動 物発現ベクターにサブクローニングされ得る。従って、本発明は、ベクター中に 取り込まれる異種材料によって限定されず、そして再生系は、SRVにより感染さ れ得る任意の細胞株内で用いられ得る。 次いで、env発現プラスミドp6c-SRVenv#fを、プラスミドpLNPOZ(MuLVに基づく レトロウイルスベクター)を用いて、293細胞株(形質転換された初代ヒト胎児腎 細胞株)の誘導体に同時トランスフェクトした。誘導細胞株(293-2-3)は、MuLVの gag-polヌクレオチド配列を安定に発現する。これらのトランスフェクト細胞か らの上清を、以下の実施例に詳細に記載する感染研究において用いた。簡単に述 べれば、感染細胞を、β-ガラクトシダーゼアッセイにおいておよび/またはG418 選択により、p6c-SRVenv#fプラスミドの存在について試験した。 SRV-3 envタンパク質での、MuLVに基づくpLNPOZおよびAP-Puroベクターの偽型 化の成功を、これらの偽型化ベクター調製物の293、293-2-3、HT1080およびRaji 細胞に感染する能力を示すことにより実証した。予期されるように、マウス3T3 細胞株は、SRV-3偽型化ベクターに感染することができなかった。実施例において使用する材料の供給源 すべてのSRV-3配列の供給源は、感染性分子クローンであるpMPMV6A/7(Barker ,C.S.,Pickel,J.,Tainsky,M.,およびHunter,E.,1986,Virology 153:2 01-14)であった。pSHRM15は、完全長および共直線性の組み込みプロウイルスpMP MV6A/7を有する発現プラスミドである(Rhee,S.S.,Hui,H.およびHunter,E. ,1990,J.Virol.64(8):3844-52)。pTGHSXIはpSHRM15に由来し、そしてpTG90 のEcoRIおよびSphI部位(pSP72由来のポリリンカー)中にクローニングされたN#88 0(HhaI部位)からN#8373(SphI部位)までのSRV-3領域を有し;従って、pTGHSXIは 、SRV-3のコード領域全体および3'LTRの一部を有する。さらに、XhoI部位を、部 位特異的変異誘発により、polおよびenv遺伝子の連結部(5815位)に導入されてい る。pSURE RT ARM #1の構築は、「Gene Transfer Vector Based on the Simian T ype-D Retrovirus」と題された、Shields Library,University of California a t Davis,Davis,CA 95616から入手可能であるKhan,M.A.(1994)による博士学位 論文中に記載されている。pSURE RT ARM #1は、SRV-3ゲノムのN#7886(HindIII) 〜N#8557(3'末端)を含み、従って、C末端env、3'非翻訳領域および3'LTRを有す る。pSURE RT ARM #1はpSP72ポリリンカー(Promega Corporation)のXhoI部位(こ れは上記のSRV-3領域のクローニングのために使用したHindIII部位に隣接してい る)を含み;pSP72ポリリンカーのEcoRVおよびClaI制限部位はEcoRI部位に隣接し ている。さらに、env TAG停止コドン(N# 8000〜8002)のすぐ下流(N# 8001〜8006 )に導入されたBglII部位がpSURE RT ARM #1中に存在する。pCMV6cを、Chiron Co r poration(Barbara Chapman)から得た。pCMV6cは、哺乳動物細胞中で構成的に発 現される、ヒトサイトメガロウイルスの即時初期プロモーター/エンハンサー領 域(hvCMV-IE1)の転写制御下の目的の遺伝子のサブクローンニングを可能にする 、哺乳動物発現ベクターである。 p6c-ampho env #8およびpMLPG(Chiron Viagene Inc.)は、異なる実験のための ポジティブコントロールとして使用した哺乳動物発現ベクターである。p6c-amph o env #8は、p6c-SRVenv#fと同一のベクターバックグラウンドを有し、そしてそ れは両種向性env遺伝子を発現する。両種向性env遺伝子を、pAM7(Chiron Viagen e Inc.)のXbaIフラグメントとしてpCMV6cの同じ制限部位中にクローニングして 、p6c-ampho env #8を生成させた。pMLPGは、アデノウイルス後期プロモーター の転写調節下で水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSVG)を発現する。 これらの研究のために使用したMuLVに基づくレトロウイルスベクターは、pLNP OZおよびpSEAP-Puroであった。pLNPOZは、Fred Hutchinson Cancer Research Ce nter(Seattle,WA 98104)のA.Dusty Miller博士から得た。pLNPOZは、内部リボ ソームエントリー部位(internal ribosome entry site)(IRES)を提供する、ポリ オウイルスの5'非翻訳領域の調節下にネオマイシン耐性をコードするプロモータ ー近位neo遺伝子およびプロモーター遠位βガラクトシダーゼ遺伝子を含む2シ ストロン性(bicistronic)ベクターである。pSEAP-Puroは、Chiron Corporation のKlaus Giese博士により提供された。このベクターは、ピューロマイシン耐性 、および分泌形態(SEAP)のアルカリホスファターゼを作製する能力を、トランス フェクトされた細胞または感染された細胞に与える。 実施例1 p6c-SRVenv#f:哺乳動物細胞のためのSRV-3 env発現ベクターの構築 以下の分子操作を、哺乳動物細胞において、最小長SRV-3 env遺伝子を復元し 、そしてSRV-3タンパク質を一過性に発現させるために行った。 pSURE RT ARM#1をまずBglIIおよびEcoRI制限酵素で消化し、次いでT4 DNAポリ メラーゼフィルイン反応に供した。より大きなDNAフラグメントをゲル精製し、 そしてその平滑末端を連結した。得られた構築物であるpRtABE#1は、3'LTR、お よびSRV-3 env停止コドンの下流の3'非翻訳領域を除去する欠失を有する。しか し、pRtABE#1は、N#7886(HindIII)からN#8002(env停止コドン)にわたるC末端en v領域を保持する。この欠失はまた、env停止コドンに隣接して(3'側に)ポリリン カーのEcoRVおよびClaI制限部位をもたらした。pTGHSXIの変異誘発により導入し た5'XhoI制限部位および3'HindIII制限部位(SRV-3ゲノム上の4番目のHindIII) を使用して、SRV-3 env遺伝子の5'領域(N末端)を含むフラグメントをゲル精製 し、そしてpRtABE#1の同じ制限部位中にサブクローニングして、pSRVenv#1を作 製した。このように、最小長SRV-3 env遺伝子をpSRVenv#1中に復元した。 哺乳動物発現ベクターであるpCMV6cをBclIで消化し、そしてT4 DNAポリメラー ゼで処理して平滑末端を作製し、そしてこれをSalIでさらに消化し、そしてゲル 精製した。次いで、SRV-3 envを有するpSRVenv#1の5'XhoIおよび3'EcoRV消化フ ラグメントをゲル精製し、そしてpCMV6cの5'SalIおよび3'BclI平滑末端化フラグ メント中に連結して、ベクターp6c-SRVenv#fを生成させた。 細胞培養 以下の細胞株をATCCから得た:293細胞は、形質転換された初代ヒト胎児腎臓 細胞である(ATCC CRL 1573);Raji細胞は、ヒトBurkittリンパ腫に由来するBリ ンパ芽球様細胞である(ATCC CCL 86);HT1080細胞株は、ヒト線維肉腫に由来す る(ATCC CCL 121);3T3-Swissアルビノ細胞株は、Swissマウス胎児組織に由来し た(ATCC CCL 92);HeLaは、ヒト子宮頸部ガン由来の異数体性上皮様細胞株であ る(ATCC CCL 2)。 293-2-3は、MuLVのgag-pol遺伝子を安定に発現する293の誘導体であり、そし てViagene Inc.から得た。293-2-3細胞からのpLN細胞の生成を、以下の節「感染 能力についての分析」に記載する。SRV-3-HeLaおよびSRV-3-HT1080は、節「SRV-3e nv偽型を確認するための研究:細胞向性およびウイルス干渉」に記載するSRV-3感 染細胞株である。 すべての細胞培養物を、組織培養インキュベーターを使用して、37℃で、7〜 10%CO2および水化環境で、増殖させた。Rajiおよび他の非接着性細胞株を、10 %熱不活化ウシ胎児血清(透析済み)(カタログ番号A-1101-L,HyClone Laborato ries,Inc.1725 South HyClone Road,Logan,UT 84321)、100単位/mlのペニシ リン、および100μg/μlのストレプトマイシンを補充したRPMI 1640培地(カタロ グ番号51501-78P,Bio Sciences,Lenexa,KS 66215)で維持した。293、293-2-3 、pLN、HT1080、SRV-3-HT1080、および3T3-Swissアルビノ細胞を、10%熱不活化 ウシ胎児血清(透析済み)、100単位/mlのペニシリン、および100mg/mlのストレプ トマイシンを補充したDMEM/高改変培地(カタログ番号51441-78P,Bio Sciences ,Lenexa,KS 66215)で増殖させた。HeLaおよびSRV-3-HeLa細胞を、10%熱不活 化ウシ胎児血清(透析済み)、100単位/mlのペニシリン、および100μg/mlのスト レプトマイシンを補充したEMEM培地(カタログ番号51411-78P,Bio Sciences,Le nexa,KS 66215)で増殖させた。抗生物質選択実験については、異なる抗生物質( 例えば、G418)のストック溶液を調製し、0.2mmフィルターを通して濾過し、そし て製造業者が推奨する温度で貯蔵した。抗生物質を、細胞タイプおよび使用した 抗生物質に依存する作動範囲の最終濃度で、新鮮な培養培地に添加した。このよ うに調製した選択培地を、トランスフェクション後または感染48時間後、および その後抗生物質耐性コロニーが出現するまで48〜72時間毎に、トリプシン処理し た細胞に供給するために使用した。 SRV-3ヘルパー構築物でのMuLVに基づくレトロウイルスベクターの偽型化: (偽型実験) 偽型実験のために実施したすべてのDNAトランスフェクションは、リン酸カル シウム沈澱方法(Graham,F.L.およびvan der Eb,A.J.,1973,Virology 52:456 ; Wigler,M.ら、1977,Cell 11:223)に基づいた。リン酸カルシウム媒介性トラ ンスフェクションのために使用した試薬は、Promegaキット(カタログ番号E1200: ProFection Mammalian Transfection System-Calcium Phosphate,Promega Cor poration,2800 Woods Hollow Road,Madison,WI 53711)に由来し、そして以下 のプロトコルは、製造業者の説明書(パート番号TM012、10/94改訂: Technical M anual,Profection Mammalian Transfection Systems)に従った。トランスフェ クションのために用いたDNAサンプルを、アルカリ溶解法により調製し、そして これを2回の塩化セシウム平衡超遠心分離によって精製したか、またはカラム(Q iagenキット中に含まれるQiagen-tip 500アニオン交換樹脂、Maxi preps用のカ タログ番号12162および12163;Qiagen Inc.,Chatsworth,CA 91311)に通した。 SRV-3エンベロープでMuLVレトロウイルスベクターを偽型化するために、293-2 -3細胞をp6c-SRVenv#fおよびMuLVベクターで同時トランスフェクトした。これは 、一過性に発現された完全長MuLVベクターRNAの安定に発現されるMuLV gag-prt- pol粒子(これは、細胞膜を通った出芽後にウイルスエンベロープ(SRVエンベロー プタンパク質が凝縮した)を獲得した)へのパッケージングを可能にした。(ポジ ティブコントロールは、p6c-Ampho env#8およびpMLPGからなった。いかなるenv 発現プラスミドも受けていない293-2-3細胞はネガティブコントロールであった) 。トランスフェクション後、偽型化MuLVベクターを含有する上清を回収し、0.45 μmフィルターを通し、そしてこれを感染のための使用まで-75℃で凍結したまま にした。 感染を開始する約16〜24時間前に、異なる接着性細胞株のストック培養物をト リプシンで消化し、そして適切な数の細胞(0.5〜1×106)を、約4.5mlの適切な 培養培地を含む6ウェルプレート中に播種した。上記のベクター調製物の凍結バ イアルを、37℃で融解した。半コンフルエント細胞培養物由来の培養培地を吸引 し、そして0.5〜1mlの異なる濾過上清を、6ウェルプレート中の適切にマーク した細胞培養物に添加した。ポリブレンを8mg/mlの最終濃度まで添加した。次 いで、プレートを1〜2時間室温でロッキングデバイス上で緩やかな動きを使用 してインキュベートした。ベクター上清を吸引し、そして細胞に新鮮な培地を供 給し、そして48時間37℃で、7〜10%CO2および水化環境で、インキュベートし た。次いで、感染細胞を、下記の異なるマーカーレスキューアッセイによりベク ターの存在についてモニターした。 感染能力についての分析: pLNPOZベクターを使用する実験において、トランスフェクトまたは感染した標 的細胞を、レポーター遺伝子lacZの発現について(β-galアッセイ)、または細胞 をneoマーカーに対するポジティブ選択(G418)に供することにより、研究した。 感染細胞中のベクターの存在を、酵素色素原性基質X-galを使用するインサイチ ュ染色反応によりモニターされるβガラクトシダーゼ酵素生産を含むマーカーレ スキュー実験により研究した。G418の変動する濃度を使用して(200〜1000μg/ml の活性抗生物質の最終濃度の範囲)、異なる細胞株のトランスフェクトまたは感 染した細胞を、ベクター発現細胞について選択した。293-2-3細胞を両種向性エ ンベロープタンパク質で偽型化したpLNPOZベクターに感染させ、そして選択後に G418耐性のコロニーをプールすることにより、pLN細胞株を開発した。従って、p LN細胞は、MuLV gag-pol遺伝子産物に加えてMuLVに基づくpLNPOZベクターを安定 に発現し、そして偽型化実験のための有用な試薬として作用した。 AP-Puroベクターを使用する実験において、トランスフェクトまたは感染した 標的細胞を、レポーター遺伝子の発現について(アルカリホスファターゼ;APア ッセイ)、または細胞をポジティブ選択(ピューロマイシン)に供することにより 研究した。感染細胞中のベクターの存在を、AP酵素生産により測定した。 偽型実験の結果 MuLVに基づくベクターであるpLNPOZおよびAP-Puroベクターの偽型化の成功は 、敏感な霊長類細胞(293、293-2-3、HT1080、HeLa、およびRaji細胞を含む)の 感染の際にマーカーレスキューを示すことによって証明された。マーカーレスキ ュー実験は、pLNPOZベクターについてはG418耐性およびβガラクトシダーゼ活性 の移入、ならびにAP-Puroベクターについてはプロマイシン耐性およびアルカリ ホスファターゼ(AP)活性の移入を含んだ。予想されたように、マウス3T3細胞 株は、SRV-3偽型化ベクターで感染され得なかった。 SRV-3 env偽型を確認するための研究:細胞向性およびウイルス干渉 SRV-3 envで偽型化したパッケージされたベクター粒子が確かにSRV-3エンベロ ープ糖タンパク質を提示し、それによりSRV-3の宿主および組織向性を提示する ことを確認するために、研究を開始した。βガラクトシダーゼのインサイチュ染 色を用いることによって、SRV-3 envで偽型化したpLNPOZベクターがマウス3T3細 胞に感染し得ないことを見出した(同種向性または両種向性エンベロープタンパ ク質を提示するポジティブコントロールベクターとは異なる)。ウイルス干渉研 究を開始して、SRV-3糖タンパク質を有するMuLV偽型の確認を可能にした。これ らの研究のための試薬を、野生型のSRV-3を含有する等量の濾過上清を、HeLa細 胞およびHT1080細胞に同時に感染させることにより調製した。感染を設定するた めの手順は上記の通りであり、そしてそれぞれの培地を48〜72時間ごとに交換し た。感染を、HeLa細胞における細胞変性効果(cpe)(多核化シンシチウム)の出 現によりモニターした。HeLa細胞は広範なcpeを示した;しかし、HT1080細胞で は検出可能なcpeは観察されなかった。両方の感染培養物からの濾過上清のアリ コートを、インディケーターとしたRaji細胞上でのウイルス産生を確認するため に凍結させた。感染細胞をさらに増殖させ、そしてcpeの喪失をHeLa細胞におい て観察した。しかし、これらの細胞は、非感染HeLa細胞と混合しそして増殖させ た場合、cpeを誘導することが可能であった。この段階では、両方の細胞株は、S RV-3に慢性的に感染していると考えられ、そしてSRV-3-HeLaおよびSRV-3-HT1080 と呼ばれた。 両種向性MuLVは、別の細胞レセプターに結合することが既知であり、そしてSR Vとは異なるレセプター干渉群に属する。従って、両種エンベロープタンパク質 を有するウイルスおよびMuLVベクター偽型の両方は、別にSRV-3に感染した重感 染細胞であると予想される。一方、SRV-3偽型は、SRV-3に慢性的に感染した細胞 の重感染をブロックされている(重感染に対するウイルス干渉の現象)と予想さ れる。 非感染およびSRV-3感染の両方の、HeLaおよびHT1080細胞を、ウイルス干渉研 究のために使用し、そして全ての感染を上記の手順に従って設定した。SRV-3-en vまたは両種envで偽型化したpLNPOZを含む濾過上清を使用して、SRV-3-HeLaまた はSRV-3-HT1080細胞を重感染させた;それぞれの上清の等量での非感染HeLa細胞 およびHT1080細胞の感染を、ポジティブコントロールとして行った。これらの偽 型感染を、感染の48時間後にβガラクトシダーゼについてのインサイチュ染色に よりモニターした。 ウイルス干渉実験の結果 HeLa細胞およびHT1080細胞に首尾良く感染した、SRV-3-エンベロープタンパク 質および両種エンベロープタンパク質の両方を有するpLNPOZベクターの偽型は、 βガラクトシダーゼのインサイチュ染色によって示された。しかし、同じアッセ イにより、SRV-3 env偽型でのSRV-3-HeLaおよびSRV-3-HT1080細胞の重感染は示 されなかった。すなわち、これらの細胞は、βガラクトシダーゼ活性についてネ ガティブのままであった。しかし、両種エンベロープを有するpLNPOZの偽型は、 SRV-3-HeLaおよびSRV-3-HT1080の両方に感染し得ることが見出された。これらの 結果は、ウイルス干渉が、これらの細胞のSRV-3感染によって、同じレセプター 干渉群のenv糖タンパク質を提示する重感染ベクター粒子(同種SRV-3 env偽型) に対して働き、そして異なるレセプター干渉群のenv糖タンパク質を提示する重 感染ベクター粒子(両種向性env偽型)に対してはそうではないという予想に一 致した。 本明細書中に言及される全ての刊行物および特許出願は、各刊行物または特許 出願が詳細にかつ個々に参考として援用されると示される場合と同様に、本明細 書中で参考として援用される。 本発明はここで十分に記載されているので、多くの変更および改変が、添付の 請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく、本発明に対して行われ得るこ とが当業者に明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 ラルストン,ロバート オー. アメリカ合衆国 テキサス 77381−6317, ザ ウッドランド,レイク リーフ プレ イス 6 (72)発明者 マーフィー,ジョン イー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94618, オークランド,ハーボード コート 49

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.組換えレトロウイルス粒子を産生し得る細胞であって: 発現制御システムの制御下にレトロウイルスLTRをコードするコード領域およ びパッケージングシグナル、ならびに該パッケージングシグナルの上流に位置す るtRNA結合部位、ならびに該パッケージングシグナルの下流に位置する第2鎖DN A合成の開始点を有する、第1のベクター; 発現制御システムの制御下にレトロウイルスカプシドタンパク質gagおよびpol をコードするコード領域を有する、第2のベクター;および 発現制御システムの制御下にサルD型レトロウイルスエンベロープ糖タンパク 質をコードするコード領域を有する、第3のベクター を有する、細胞。 2.前記発現制御システムのそれぞれが互いに異なる、請求項1に記載の細胞。 3.偽型化ベクターウイルス粒子であって、 該粒子中のウイルスRNAとして、パッケージングシグナルを有し、そして該パ ッケージングシグナルの上流に位置するR領域およびtRNA結合部位をコードする コード領域、ならびに該パッケージングシグナルの下流に位置する第2鎖DNA合 成の開始点およびR領域をさらに有する、組換えウイルスベクター; カプシドタンパク質として、レトロウイルスgagおよびpolカプシドタンパク質 ; エンベロープ糖タンパク質として、サルD型レトロウイルスエンベロープ糖タ ンパク質 を含む、偽型化ベクターウイルス粒子。 4.前記第1のベクターがgag/polまたはenvコード配列を欠いている、請求項1 に記載の細胞。 5.前記第1のベクターが、所望の物質をコードする異種核酸配列をさらに含む 、請求項1に記載の細胞。 6.前記第1のベクターが、所望の物質をコードする異種核酸配列をさらに含む 、請求項4に記載の細胞。 7.前記ベクターのそれぞれが別々のプラスミドを含む、請求項6に記載の細胞 。 8.前記ベクターの少なくとも1つが前記細胞の染色体に組み込まれている、請 求項6に記載の細胞。 9.前記ベクターの少なくとも1つがエピソームで発現される、請求項6に記載 の細胞。 10.前記組換えウイルスベクターがgag/polまたはenvコード配列を欠いている 、請求項3に記載の粒子。 11.前記組換えウイルスベクターが、所望の物質をコードする異種配列をさら に含む、請求項3に記載の粒子。
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