JPH11506459A - コレラの処置 - Google Patents

コレラの処置

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JPH11506459A JP9500023A JP50002397A JPH11506459A JP H11506459 A JPH11506459 A JP H11506459A JP 9500023 A JP9500023 A JP 9500023A JP 50002397 A JP50002397 A JP 50002397A JP H11506459 A JPH11506459 A JP H11506459A
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oligosaccharide
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synsorb
cholera
oligosaccharide sequence
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ディー. ヒアーズ,ルイス
ディー. アームストロング,グレン
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シンソーブ バイオテック,インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、V.colerae毒素および/または1つ以上の微生物V.coleraeの血清型に結合するオリゴサッカリド組成物を用いるコレラおよび関連する状態の処置に関する。より詳細には、本発明はV.colerae毒素および/または腸管からの微生物の中和および除去に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 コレラの処置発明の分野 本発明はコレラの処置に関する。さらに詳細には、本発明はコレラ毒素の中和 および除去に関する。本発明はまた、腸管からコレラの原因因子、Vibrio chole raeの結合および除去に関する。参考文献 以下の参考文献は角括弧([])内の数字として本出願の関連の箇所で本出願中 において引用される。 上記の刊行物、特許、および特許出願の開示内容は、各々の個別の出版物、特 許および特許出願内の言葉が特定して個別に本明細書中に含まれるのと同程度に 、それらの全体が本明細書中で参考として援用される。発明の背景 コレラは、世界中(主に開発途上国)で1年間に約3千万人の個体が感染する 重篤な下痢疾患である。これは、微生物Vibro choleraeが混入した食物または飲 み物を消費することにより起こる。この微生物は経口摂取されると腸管でコロニ ーを作る能力を有する。 小腸において、V.choleraeは腸管粘膜に付着し、そして外毒素を放出する。最 も重要なものはコレラ毒素(CT)であり、これは粘膜細胞に作用する[1〜4]。腸 細胞でのCTの作用は、液体分泌および小腸内へ電解質の透過性の増大を誘導し、 重篤な下痢および電解質不均衡を生じる。 2つの他の毒素がまたV.coleraeにより産生される。これらは、細胞間の強固 な結合を崩壊させる閉塞帯毒素(Zot)、および動物において下痢を引き起こすア クセサリーコレラエンテロトキシン(Ace)を含む。この疾患の全体的な病原にお けるこれら2つの役割はまだ明らかではない。 さらなる細胞障害性毒素が、V.coleraeの01 E1 Torおよび0139血清型により産 生される。この毒素は、コレラの病原において役割をはたすようである溶血性お よび細胞障害活性を有する。 死亡率はコレラに感染した乳児および小児において高い。コレラの処置の最近 の方法は、体液の置換および電解質バランスの回復である。 V.coleraeのすべての株が疾患を引き起こす原因であるわけではない。疾患を 引き起こす株は、クラシカルおよびE1 Tor 生物型を含む01血清型に属する。1 つを除いて全ての他の血清型は、非毒性でありまたはわずかな下痢を引き起こし 得ると考えられている。完全に発達したコレラを引き起こすことが示されている 唯一のV.coleraeの非01株が2年前に同定された。これは0139血清型に属する。 この血清型は、アジアにおけるコレラの近年の激増に対する原因因子として同定 された。これは、V.coleraeの01血清型に関連する全ての毒性因子(CTを含む) を産生する。 疾患を引き起こすことに対する最も重要な毒性因子は、V .coleraeが小腸内で コロニーを形成することを可能にする毒素同時調節繊毛(Tcp)である。宿主細胞 レセプターが繊毛に対して同定されなければならないが、炭水化物が関与し得る ことを示唆する間接的な証拠がある。この証拠は、O血液型を有する個体がコレ ラの重篤な症例に対して感受性がより高く、一方、AB血液型ポジティブを有する 人々がこの疾患に対していくらか耐性である傾向を有するという知見に基づく。 この知見に対する1つの可能性のある説明は、V.coleraeにおいて見出された繊 毛が、小腸のコロニー形成のためにO血液型型オリゴサッカリド構造を用い得、 従ってO血液型を有する個体に、疾患に対してより高い感受性を与えるというこ とである。 CTは、この疾患の徴候に対して最も原因となる毒性因子である。CTは、宿主細 胞内のサイクリックAMP(cAMP)レベルを上昇させる酵素活性を有する。cAMPレベ ルの上昇は、細胞内のイオン輸送系を変化させ、腸内の浸透圧バランスに影響し 、下痢に導く。CTは宿主細胞レセプターに結合するために、ガングリオシドGM1( βGal(1-3)βGalNAc(1-4)[αNeuAc(2-3)]βGal(1-4)βGlc-セラミド)を利用する 。 コレラ毒素(CT)は、シアル酸のカルボキシル基が多くのC(1)アミドを形成する ように改変されたガングリオシドGM1のいくつかの誘導体に結合することが示さ れている[5]。これらの化合物の構造は:βGal(1-3)βGalNAc(1-4)[αNeuAcR(2- 3)]βGal(1-4)βGlc-セラミドであり、ここでRはシアル酸のアミド、メチルアミ ド、エチルアミド、プロピルアミド、およびベンジルアミドからなる群より選択 される。 CTに結合することが示されたGM1の他の誘導体は:βGal(1-3)βGalNH2(1-4)[α NeuAcR(2-3)]βGal(1-4)βGlc-セラミド;βGal(1-3)βGalNAc(1-4)[αNeuAcR(2 -3)]βGal(1-4)βGlc-セラミド(ここでRはシアル酸のメチルエステルである) ;βGal(1-3)βGalNAc(1-4)[α(C7)NeuAc(2-3)]βGal(1-4)βGlc-セラミド;お よびβGal(1-3)βGalNAc(1-4)[αNeuAcR(2-3)]βGal(1-4)βGlc-セラミド(ここ でRはエタノールアミンアミドである)を含む[6]。 CTに結合することが示されている他のガングリオシドは:GM2(βGalNAc(1-4)[ αNeuAcR(2-3)]βGal(1-4)βGlc-セラミド)およびGD1b(βGal(1-3)βGalNAc(1-4 )[αNeuAc(2-3)αNeuAc(2-3)]βGal(1-4)βGlc-セラミドを含む[6,7]。 さらに、高度に精製されたCT調製物は、リゾGM1ガングリオシドまたはガラク トースアフィニティーカラムを用いて得られている[8-10]。 サンプル中のCTの存在の診断方法に関して、サンプル中のVibrio choleraeを 検出するための1つの方法はサンプルを培養することである。この方法の不利な 点としては、必要な時間の長さおよび非病原性の(すなわち非毒素産生)V.cole rae株による干渉が挙げられる。他の方法としては、特異的な抗血清またはモノ クローナル抗体の使用が挙げられる。 上記の観点から、コレラを処置する化合物が必要である。好ましい化合物は、 経口のように非侵襲的に投与され、そして腸管から毒素および/または生物を特 異的に除去する。発明の要旨 本発明は、コレラ毒素により引き起こされるコレラおよび関連した症状を処置 するための組成物および方法を提供する。 本発明はまた、V.choleraeによる消化管のコロニー形成により引き起こされる コレラおよび関連した症状を処置するための組成物および方法を提供する。 1つの局面において、本発明は、被検体におけるコレラを処置するための方法 を提供する。この方法は、非ペプチド性の適合性リンカーアームを通じて薬学的 に受容可能な固体の不活性な支持体(inert support)に共有結合されたオリゴ サッカリド配列を含有する組成物の有効量をこのような処置を必要とする被検体 に投与することを含む。ここで上記オリゴサッカリド配列はコレラ毒素に結合し 、そして上記組成物は消化管から除去され得る。 さらなる局面において、本発明は、コレラ毒素により発症されるコレラおよび 関連する状態の処置に有用な薬学組成物を提供する。この組成物は、非ペプチド 性の適合性リンカーアームを通じて薬学的に受容可能な固体の不活性な支持体に 共有結合されたオリゴサッカリド配列(ここでオリゴサッカリド配列はコレラ毒 素に結合する);および薬学的に受容可能なキャリアを含有する。ここで上記組 成物は、消化管から除去され得る。 なおさらなる局面において、本発明は、被検体におけるコレラを処置する方法 を提供する。この方法は、非ペプチド性の適合性リンカーアームを通じて薬学的 に受容可能な固体の不活性な支持体に共有結合されたオリゴサッカリド配列を含 有する組成物の有効量をこのような処置を必要とする被検体に投与することを含 む。ここで上記オリゴサッカリド配列は、V.coleraeに結合し、そして上記組成 物は、消化管から微生物が除去されるように微生物に結合し得る。 なおさらなる局面において、本発明は、コレラおよび関連する状態の処置に有 用な薬学組成物を提供する。この組成物は、非ペプチド性の適合性リンカーアー ムを通じて糖薬学的に受容可能な固体、不活性な支持体に共有結合されたオリゴ サッカリド配列(ここで上記オリゴ配列は、V.choleraeに結合する);および薬 学的に受容可能なキャリアを含有する(ここで組成物は、消化管から微生物が除 去されるように微生物に結合し得る)。 なおさらなる局面において、本発明は、コレラ毒素および/またはV.cholerae 生物を、その毒素および生物を含有すると疑われるサンプルから結合および除去 するための方法を提供する。この方法は、非ペプチド性の適合性リンカーアーム を通じて固体の不活性な支持体に共有結合されたオリゴサッカリド配列と上記サ ンプルを接触させること(ここでオリゴサッカリド配列は、コレラ毒素および/ またはV.colerae生物がその支持体に吸収される条件下で、そのコレラ毒素およ び/またはV.cholerae生物に結合する);ならびにサンプルから吸収された毒素 および/または生物を含有する支持体を分離することを含む。図面の簡単な説明 図1は、種々のオリゴサッカリド配列を含有するSYNSORBのパネルを用いる、 精製したコレラ毒素の細胞毒素の中和を示す。いくつかのSYNSORBがコレラ毒素 活性を効果的に中和することを見出した。 図2は、SYNSORB16、19、41、72、75、および88を用いたコレラ毒素活性の濃 度依存的中和を示す。これらのSYNSORBの全ては、20mg/mlの濃度において約75% より多くのコレラ毒素活性を効果的に中和し得る。 図3は、20mg/mlの濃度のSYNSORB16、41、72、75、および88を用いる、0139 V .coleraeにより産生されるコレラ毒素およびコレラ細胞毒素活性の中和を示す。 いくつかのSYNSORBは両方の活性を中和することにおいて効果的であった。 図4は、20mg/mlの濃度のSYNSORB16、41、72、75および88を用いる、01(E1 To r 生物型)V.coleraeにより産生されるコレラ毒素およびコレラ細胞毒素活性の中 和を示す。いくつかのSYNSORBは両方の活性を中和することにおいて効果的であ った。 図5は、ウサギ腸ループのコレラ毒素媒介液体分泌を減少させることにおける SYNSORB16および75の有効性を示す。0.5g/kgの用量で用いたSYNSORB75は、精製 コレラ毒素で処理されたウサギ腸ループの液体分泌を有意に減少させた。 図6は、ウサギ腸ループのコレラ毒素媒介マンニトール透過性を減少させるこ とにおけるSYNSORB16および75の有効性を示す。0.1g/kgの用量で用いたSYNSORB7 5および0.5g/kgの用量で用いたSYNSORB16は、精製コレラ毒素で処理されたウサ ギ腸ループの腸の透過性を有意に減少させた。 図7は、01 V.colerae(クラシカル)に結合することにおけるSYNSORBの有効 性を示す。この結果は、V.coleraeのクラシカル生物型がSYNSORB1、41、57、お よび90の表面に結合することを示す。 図8は、01 V.colerae(E1 Tor)に結合することにおけるSYNSORBの有効性を 示す。この結果は、V.coleraeのE1 Tor生物型がSYNSORB1、5、57、および72の 表面に結合することを示す。 図9は、0139 V.colerae(E1 Tor)に結合することにおけるSYNSORBの有効性 を例証する。この結果は、V.coleraeの0139血清型がSYNSORB2、5、57、および 90に結合することを示す。発明の詳細な説明 A.定義 本明細書中で用いられる以下の用語は以下の意味を有する: 用語「コレラ」は、Vibriio choleraeにより引き起こされる、急性流行性感染 疾患をいう。ここでVibrioによって腸管内に精巧に作られた可溶性毒素は、粘膜 の透過性を変化させ、非常に水分が多い下痢、液体および電解質の極度の損失、 ならびに脱水状態および循環虚脱を引き起こすが、腸の粘膜において大きな形態 学的変化を引き起こさない。 用語「生体適合性」は、ヒト組織または体液に関して化学的不活性をいう。生 体適合性物質は非感作性である。 用語「適合性リンカーアーム」は、オリゴサッカリド構造に生体適合性固体支 持体から間隔をもたせるように働き、そして二官能性である成分をいう。ここで 一方の官能基は支持体の相互的な(reciprocal)官能基に結合し得、そして他方 の官能基はオリゴサッカリド構造の相互的な官能基に結合し得る。本発明におい て好ましい適合性リンカーアームは、非ペプチド性のスペーサーアームである。 用語「固体支持体」は、オリゴサッカリド配列が適合性リンカーアームを介し て結合し得る不活性な固体物質をいう。インビボで使用される場合、固体支持体 は生体適合性である。 用語「SYNSORB」は、Chromosorb PTM(Manville Corp.,Denver,Colorado)[ 11](誘導体化したシリカ粒子である)に共有結合した合成8-メトキシカルボニ ルオクチルオリゴサッカリド構造体をいう。 用語「コレラ毒素」は、コレラおよび関連する状態を発症するV.choleraeの腸 毒素をいう。この毒素はレクチン様活性を有する。 この出願の目的のために、すべての糖は従来の3文字命名法を用いて言及され る。他に記載しない限りすべての糖はD型であるとみなされるが、フコースは例 外であり、L型である。さらに、すべての糖はピラノース型である。 B.合成 オリゴサッカリド構造合成のための化学的方法は、当該分野で公知の方法によ り達成され得る。これらの物質は、一般的には適切に保護された個々の単糖を用 いて構築される。 用いられる特定の方法は、一般的には合成されるべき各々の個別の構造につい て適応され至適化される。一般に、オリゴサッカリドグリコシドの全部または一 部の化学合成は、まず還元糖または単糖のアノマー炭素原子におけるグリコシド 結合の形成を含む。詳細には、適切に保護された形態の天然に存在するかまたは 化学的に修飾されたサッカリド構造体(グリコシルドナー)が、ハロゲン化合物 、トリクロロアセトイミデート、アセチル、チオグリコシドなどを含む脱離基を 導入するように還元単位のアノマー中心で選択的に改変される。次いで、ドナー はアグリコンまたはグリコシド結合が確立されるべき位置に1つの遊離ヒドロキ シル基を保有するアグリコンまたは適切な形態の炭水化物アクセプターと当該分 野で周知の触媒条件下で反応させられる。種々のアグリコン成分が当該分野で公 知であり、そして適切な配置で還元単位のアノマー中心に付着され得る。 適合性ブロッキング基の適切な使用(炭化水素合成の分野で周知である)は、 合成された構造の選択的な改変あるいはさらなる糖単位または糖ブロック(suga r block)のアクセプター構造へのさらなる付着を可能にする。 グリコシド結合の形成後、サッカリドグリコシドは、さらなるサッカリド単位 の結合を達成するために用いられるか、選択された位置で化学的に修飾されるか 、または従来の脱保護後に酵素的な合成に使用され得る。一般に、天然に存在す るかまたは化学的に修飾されたサッカリド単位のサッカリドグリコシドへの化学 的な結合は、文献[12〜28]に詳細に十分に記載されている確立された化学を用い ることにより達成される。 本発明のオリゴサッカリド構造体が結合する固体支持体は、シートまたは粒子 の形態であり得る。種々の生体適合性固体支持体物質が当業者に公知である。こ れらの例は、シリカ、多孔性ガラスのような合成ケイ酸塩、ケイ藻土のような生 体ケイ酸塩、高陵石のようなケイ酸塩含有物質、ならびにポリスチレン、ポリエ チレン、および多糖のような合成ポリマーである。無機物質からなる固体支持体 が好ましい。好ましくは、インビボで使用するためには、固体支持体は約10から 500マイクロンの間の粒子サイズを有する。特に、100〜200マイクロンの粒子サ イズが好ましい。 オリゴサッカリド構造体は、固体支持体上に共有結合されるかまたは非共有的 (受動的)に吸着される。共有結合は、支持体上の官能基とオリゴサッカリド構 造体の適合性リンカーアームとの間の反応を介し得る。適合性リンカーアームを 通じたオリゴサッカリド構造体の生体適合性固体支持体への付着が、固体支持体 にも関わらず効果的に毒素を除去する産物を提供することが思いがけず見出され た。間接的な結合に使用される結合成分は、好ましくは適切な長さ(少なくとも 1つの炭素原子)の有機的な二官機能性であり、これは固体支持体の表面からオ リゴサッカリド構造を引き離すように働く。 本発明の組成物は好ましくは以下の式で表される: (オリゴサッカリド-Y-R)n-固体支持体 ここでオリゴサッカリドは、少なくとも2つの糖単位のオリゴ糖基を表し、この オリゴ糖基はコレラ毒素および/またはV.choleraeに結合する。Yは酸素、イオ ウ、または窒素である。Rは少なくとも1炭素原子のアグリコン結合アームであ る。固体支持体は先に定義した通りである。そしてnは1以上の整数である。好 ましくはアグリコンは、1〜約10炭素原子である。約1〜10の糖単位を含有する オリゴサッカリド配列が使用され得る。約1〜3のサッカリド単位を有する配列 が好ましい。好ましくは、nは、組成物が組成物1グラム当たり約0.25〜2.50μ molのオリゴサッカリドを含有するような整数である。 多数のアグリコン結合アームが当該分野で公知である。例えば、p-ニトロフェ ニル基(すなわち、-OC6H4pNO2)を含む結合アームが開示されている[29]。合成 の間の適切な時期に、ニトロ基はアミノ基に還元される。このアミノ基はN-トリ フルオロアセトアミドとして保護され得る。支持体への結合の前に、トリフルオ ロアセトアミド基が取り除かれ、それによりアミノ基がアンチマスキングされる 。 イオウを含有する結合アームが開示されている[37]。詳細には、この結合アー ムは2-ブロモエチル基に由来し、この2-ブロモエチル基は、チオヌクレオフィル を用いた置換反応において、-OCH2CH2SCH2CO2CH3および-OCH2CH2SC6H4-pNH2のよ うな種々の末端官能基を保有する結合アームに至ることが示されている。これら の末端官能基は、固体支持体上の相補的な官能基への反応を可能し、それにより 固体支持体への共有結合が形成される。このような反応は当該分野で周知である 。 6-トリフルオロアセトアミド-ヘキシル結合アーム(-O-(CH2)6-NHCOCF3)が開示 されている[38]。ここでトリフルオロアセトアミド保護基は取り除かれ得、結合 に用いられた1級アミノ基がアンチマスキングされる。 公知の結合アームの他の例示としては、以下が挙げられる:7-メトキシカルボ ニル-3,6,ジオキサヘプチル結合アーム[32](-OCH2-CH2)2OCH2CO2CH3);2-(4-メ トキシカルボニルブタンカルボキサミド)エチル[33](-OCH2CH2NHC(O)(CH2)4CO2C H3);アリル結合アーム[34](-OCH2CH=CH2)、これは、適切なモノマーとのラジ カル共重合により、コポリマーに至る;他のアリル結合アーム[35]が公知である (-O(CH2CH2O)2CH2CH=CH2)。さらに、アリル結合アームは2-アミノエタンチオー ル[36]の存在下で誘導体化されて、結合アーム-OCH2CH2CH2SCH2CH2NH2を提供し 得る。他の適切な結合アームもまた開示されている[12〜14、16、17]。 オリゴサッカリド基を固体支持体に共有結合的に付着させるのに用いられる特 定の結合は重要ではない。 好ましくは、アグリコン結合アームは疎水性基であり、もっとも好ましくは、 アグリコン結合アームは-(CH2)8C(O)-、-(CH2)5OCH2CH2CH2-、および-(CH2)8CH2 O-からなる群から選択される疎水性基である。 本発明者らは、生体適合性固体支持体(例えば、Chromosorb PTM(SYNSORB)) に共有結合的に付着した合成オリゴサッカリド配列が、コレラ毒素および/また はV.choleraeに結合させるために使用され得ることを見出した。これらの組成物 はコレラおよび関連する状態を処置するのに有用である。SYNSORBはこれらの組 成物に特に有用である。なぜなら、これは非毒性であり、そして機械的および化 学的析出に耐性であるからである。ラット(ヒト応答を予想し得ることから、前 臨床研究に広く受容されているモデル)を用いた研究において、SYNSORBはラッ ト胃腸管を影響を受けずに通過することが見出された。これらは、経口投与の後 、完全にそして迅速に(72時間内に99%除去される)が除去されることが示され ている。 さらに、SYNSORB上の高密度のオリゴサッカリド成分は、コレラ毒素を結合さ せるのに特に有用である。なぜなら、この毒素は複数のオリゴサッカリド結合部 分を保有すると考えられるからである[2]。SYNSORB上の高密度のオリゴサッカ リドリガンドはまた、多数のV.choleraeの結合に有用である。 非ペプチド性の結合アームが、本発明の適合性結合アームとしての使用のため に好ましい。糖ペプチドの使用は所望されない。なぜなら、糖ペプチドは同じタ ンパク質に結合したいくつかの(しばしば異なる)オリゴサッカリドを含有する からである。糖ペプチドはまた、大量に得ることが困難であり、そして費用と時 間のかかる精製を必要とする。同様に、BSAまたはHAS抱合体の使用は、例えば経 口投与した場合に胃腸管における安定性に疑問があるので所望されない。 コレラ毒素またはV.cholerae結合単位を含有するオリゴサッカリド基の、非ペ プチドスペーサーアームを通じた不活性な固体支持体への共有結合的な付着は、 コレラ毒素および/または生物の存在について分析すべきサンプルまたはコレラ を患う患者の腸からの、コレラ毒素および/または微生物の効果的な結合および 除去を可能にする。オリゴサッカリドがこの付着した適合性リンカーアーム(非 誘導形態で)を用いて合成される場合、種々の固体支持体と結合し得る高度に純 粋な組成物を達成し得る。 C.薬学組成物 本発明の方法は、1以上のオリゴサッカリド構造体を含有する薬学組成物を用 いることにより達成される。このオリゴサッカリド構造体は固体支持体に付着し た、コレラ毒素および/またはV.choleraeに結合する。 経口投与(これが好ましい)に使用される場合、これらの組成物は種々の方法 で製剤化され得る。液体形状または半固体形状が好ましい。水のような液体の薬 学的に不活性なキャリアを含有する組成物が、経口投与のために考慮され得る。 他の薬学的に適合性の液体または半固体も用いられ得る。このような液体および 半固体の使用は、当業者に周知である。 アップルソース、アイスクリームまたはプディングのような半固体食品と混合 され得る組成物もまた好ましくあり得る。不快な味または後味を有さない処方物 (例えば、SYNSORB)が好ましい。経鼻胃管もまた、組成物を胃に直接送達する ために使用され得る。 固体組成物も使用され得、そして薬学的に不活性なキャリアを含有する製剤中 で必要に応じてそして簡便に使用され得る。薬学的に不活性なキャリアは、例え ば、ラクトース、デンプン、デキストリンまたはマグネシウムステアレートなど の従来の固体キャリアを含み、これらは簡便に錠剤またはカプセルの形態で提供 される。SYNSORB自体もまた、不活性な薬学的キャリアの添加なしに、特にカプ セルの形態での使用のために使用され得る。 用量は、罹患した患者の腸内に見出されるコレラ毒素および/またはV.cholera eの中和および除去を提供するために選択される。好ましい用量は約0.25〜1.25 μmolオリゴサッカリド/kg体重/日であり、より好ましくは約0.5〜1.0μmolオリ ゴサッカリド/kg体重/日である。SYNSORB組成物を使用するとき、これは約0.5〜 1.0g SYNSORB/kg体重/日を意味し、これは約20 mg/mlの腸内SYNSORB濃度を与え る。投与は、1週間の期間または臨床的な症状が消失するまでの間1日に3〜4 回であることが期待される。用量レベルおよび投与のスケジュールは、用いる特 定のオリゴサッカリド構造体、被験体の年齢および症状などの因子に依存して変 化し得る。コレラ毒素活性を完全に除去するための最適な時間は、1mlサンプル 中に20mgの濃度のSYNSORBを用いて、37℃で約1時間であることが見出された。 同様の条件が、腸からV.choleraeを効果的に結合および除去するために使用され 得る。 本発明のオリゴサッカリド含有組成物の7日間までの投与は、コレラおよび関 連状態の処置において有用である。また、予防的投与は、V.choleraeによる腸の コロニー形成、および引き続く疾患の進行を妨げるために有用である。 先に考察したように、経口投与が好ましいが、処方物は経直腸のような他の投 与手段についても考慮され得る。これらの処方物の有用性は使用される特定の組 成物および処置を受ける特定の被験体に依存し得る。これらの製剤は、油性、水 性、または乳状であり得る液体キャリアを含有し得るか、あるいは投与の様式に 適切な所定の溶媒を含有し得る。 組成物は、単位用量形態、あるいは複数またはサブ単位用量で製剤化され得る 。上記の期待される用量のために、経口投与される液体組成物は好ましくは約1 μmolオリゴサッカリド/mlを含有するべきである。 D.方法論 本発明者らは、コレラ毒素が、この毒素に結合する特定のオリゴサッカリド配 列により中和され得ることを見出した。特に、固体支持体に非ペプチド性の適合 性リンカーアームを介して共有結合的に付着されたこのようなオリゴサッカリド は、コレラ毒素を効果的に中和することが見出された。このような組成物の例は 所定のSYNSORBであり、これはコレラ毒素活性に結合しそして中和する。 本発明者らはまた、V.choleraeが、固体支持体に非ペプチド性の適合性リンカ ーアームを介して共有結合的に付着された所定のオリゴサッカリド配列に結合し 得ることを見出した。このような組成物の例は特定のSYNSORBであり、これはV.c holeraeに結合し、それによって除去される前に生物が腸管内の宿主細胞レセプ ターに付着することを妨げる。 本発明者らは、Chromosorb Pに8-メトキシカルボニルオクチル(MCO)スペー サーアームを介して付着したいくつかのオリゴサッカリド配列のコレラ毒素を中 和し、そしてV.choleraeに結合する能力を試験した。試験した構造(SYNSORBと も呼ばれる)を表1に示す。図1〜4に示すように、試験したSYNSORBは、LT活 性を少なくとも約50%中和する能力において多様である。図7〜9は、SYNSORB のV.choleraeに結合する能力を示す。 本発明において有用な固体支持体に付着したオリゴサッカリド配列は、コレラ 毒素を結合するオリゴサッカリド配列を含む。オリゴサッカリドのコレラ毒素に 対する結合親和性は、例えば以下の実施例1に記載のような、簡単なインビトロ 試験により容易に検出され得る。本発明の目的のためには、コレラ毒素に結合す る固体支持体に付着したオリゴサッカリド配列は、実施例の項に示したアッセイ を用いて、チャイニーズハムスター卵母(CHO)細胞アッセイにおける細胞毒性活 性由来の終点力価を少なくとも50%減少させるオリゴサッカリド組成物を意味す る。 本発明において有用な固体支持体に付着した他のオリゴサッカリド配列は、い ずれの付着したオリゴサッカリド配列をも含まないコントロールの支持体(例え ば、Chromosorb P)よりも良好に(p≦0.05、Wilcoxonまたはスチューデントの T検定のような適切な標準的な統計的方法を用いて)V.choleraeに結合し得るオ リゴサッカリド配列である。オリゴサッカリドのV.choleraeに対する結合親和性 は、以下の実施例6に概略されるように決定される。 志賀様毒素(SLT)およびClostridium difficile 毒素Aの、化学的に合成さ れるオリゴサッカリド配列への結合が研究されている[37〜41]。 SLTは、2つの部分(AサブユニットおよびBオリゴマー)からなる毒素の群 である。Bオリゴマーは、宿主細胞レセプターへの結合を可能にする毒素の結合 部分である。SLT毒素は、αGal(1-4)βGal(1-4)決定因子を含有する糖脂質受容 体に結合する。Aサブユニットは、哺乳動物細胞内の28SリボソーマルRNAを脱プ リン化する酵素活性(N-グリコシダーゼ)を有する。この酵素活性は、タンパク 質合成を行うための毒素感染細胞の能力を破壊する。 SLTの作用部位は腎臓および腸管膜血管系に見出される内皮細胞であり、そし てSLTは腎不全および尿中ヘモグロビンを生じ得る損傷を引き起こし得る。SLTは 溶血性尿毒症症候群における原因物質である。SLTはまた出血性大腸炎(血下痢 )に一部関与し得る。 Clostridium difficile トキシンAは、体液分泌、粘膜損傷、および腸炎も誘 導するエンテロトキシンである。これは、ヒト好中球に対する化学的誘引物質と して働く。トキシンAは単一のタンパク質である。これは、活性化を引き起こし 、そして単核細胞においてサイトカインの放出を生じる。これらの炎症の影響は 、偽膜性大腸炎において見られるコロニー性炎症の誘導において重要な役割を担 い得る。 トキシンAは、糖タンパク質レセプターへの結合するようであるが、その構造 はまだ決定されていない。作用機構は、完全には理解されていないが、トキシン Aは、レセプター媒介形質捲く陥入を通じて細胞内に入り、そして細胞のアクチ ン細胞骨格に影響すると考えられている。トキシンAレセプターは、グアニン調 節タンパク質に結合すると考えらている。トキシンAは、CDADおよびPMCの産生 における最初の工程である。 対照的に、コレラ毒素は、5つの同一のBサブユニットおよび1つのAサブユ ニットを有するAB56量体タンパク質である。B5量体は糖脂質レセプター(ガン グリオシドGM1)を通して腸の細胞を認識し、そして結合する。次いでAサブユニ ットは、酵素的に活性であり、細胞内部に輸送され、そこでサイクリックAMPレ ベルの上昇を引き起こし、コレラおよび関連する状態を特徴付ける液体の大規模 な損失を導く。 コレラ毒素のオリゴサッカリド結合特異性を規定する先の研究は、毒素結合の ためのいくつかの構造的な必要物を同定した[1,5-10]。コレラ毒素結合のための 主要な構造的な必要物は、βGal(1-3)βGalNAc(1-4)[αNeuAc(2-3)βGal[7]であ る。コレラ毒素はまたガラクトース親和性カラムに結合することが示されており 、これは末端ガラクトース糖が毒素結合に重要であることを示す[8]。末端ガラ クトース糖の重要性またガングリオシドGM2(βGalNAc(1-4)[αNeuac(2-3)βGal( 1-4)βGlc-セラミド)[6]へのコレラ毒素の減少した結合において確認されている 。シアル酸はコレラ毒素結合において主要な役割を果たす[1,5]。アジアロGM1( βGal(1-3)βGalNAc(1-4)βGal(1-4)βGlc-セラミドを形成するためのGM1からの シアル酸の除去は、コレラ毒素結合を劇的に減少する[6]。毒素中和研究のため に選択されるSYNSORBは、GM1オリゴサッカリド構造の選択されるセグメントを取 り込む炭水化物を含む。結合研究のために選択される他の付加的なSYNSORBは、G M1ガングリオシド構造における選択された配列のアナログを表すオリゴサッカリ ド配列を含む。末端のβGal(1-3)βGal(1-4)βGal(1)成分を含むオリゴサッカリ ド構造はまた本発明において有用である。 SYNSORBに吸着するコレラ毒素の量を、いずれのSYNSORBも加えられていないコ ントロールと比較した残存する毒素活性のパーセントについて上清をアッセイす ることにより決定した。結果を図1および図2に示す。SYNSORB16、19、41、72 、75、および88は、コレラ毒素活性を効果的に除去することが見出された。これ らのSYNSORBのうち4つ(41、72、75および88)は、コレラ毒素に結合することが 以 前に示されていなかったオリゴサッカリド配列を含んでいた。 従って、本発明者らは、コレラ毒素を中和する能力が不活性支持に付着したオ リゴサッカリド配列に直接関連することを見出した。図1および図2における結 果は、高親和性毒素結合に対するβGal(1-3)βGalNAc結合の重要性を示す。さら に、本発明者らは、βGal(1-3)βGalNAc(1-4)βGalおよびαNeuAc(2-3)βGalを 有するオリゴサッカリド配列が高親和性毒素結合を示すことを見出した。さらに 、βGal(1-3)βGal結合を有するオリゴサッカリド配列に結合するコレラ毒素を 見出した。この構造は、GM1構造において見出されたβGal(1-3)βGalNAc配列の アナログを示す。 図1および図2に示した結果は、残存する毒素活性のパーセントを示す。これ らの結果は、SYNSORBを精製コレラ毒素に添加した場合、コントロールと比較し た終点希釈における減少を示すチャイニーズハムスター卵母細胞(CHO)細胞を用 いる組織培養アッセイにおいて得られた。 適合性リンカーアームを通じて固体支持体に付着したいくつかの異なるオリゴ サッカリド配列が、コレラ毒素活性を中和する能力を有することを見出した。こ れらの配列およびコレラ毒素を結合する別の配列は、コレラおよび関連する状態 を処置するために使用され得る。コレラ毒素活性を完全に除去するための最適な 時間は、1mlサンプル中に20mgのSYNSORB濃度を用いて、37℃で約1時間である ことを見出した。SYNSORB1グラムは、約0.25〜1.0μmolのオリゴサッカリドを 含有するので、1日に投与されるオリゴサッカリドの全量は、4リットルの腸容 量を用いて7.5〜30μmolの範囲である。 コレラを処置するための適合性リンカーアームを介して固体支持体に付着する オリゴサッカリド配列の有用性をまた、ウサギを用いるインビボ動物モデルにお けるコレラ毒素を中和するSYNSORB組成物の能力により実証した。図5および図 6ならびに表3における結果は、SYNSORB75が連結されたウサギ腸ループにおけ るコレラ毒素媒介体液分泌およびマンニトール透過性を効果的に減少し得ること を示す。さらに、ウサギモデルにおいて使用された状態が、ヒト腸において見出 される実際の状態に最も近似する。 コレラおよび関連する状態の処置は、適合性リンカーアーム(例えばSYNSOR B)を介して固体支持体に共有結合的に付着されたオリゴサッカリド配列を含有 する組成物の経口投与により達成され得る。例えば、SYNSORBは、インタクトな ラットの胃を通過することが見出された。次いで、それは腸管内でコレラ毒素と 接触する。引き続くインタクトなSYNSORBおよびそれに結合したコレラ毒素の除 去は、患者からのコレラ毒素の除去を生じる。 腸内の表皮細胞へのV.coleraeの付着を担う主要な毒性因子は、毒素同時調節 線毛である。付着プロセスに使用される宿主細胞レセプターは決定されていない が、付着は上皮細胞上で見出される血液型オリゴサッカリド配列によって媒介さ れ得るということを示唆する間接的な証拠がある。細菌の付着研究に選択された SYNSORB(表1)は、A,B、およびO血液型構造に関連する炭水化物を含む。 選択されたさらなるSYNSORBは、コレラ毒素に結合することを示したオリゴサッ カリド配列を含む。 SYNSORBの表面に結合するV.choleraeの量を、01(ClassicalおよびE1 Tor)また は0139 V.cholerae(1×105コロニー形成単位(CFU)/ml)の培養物と共にインキ ュベートしたSYNSORBの懸濁物をプレーティングすることにより決定した。コン トロールのインキュベーションを、V.choleraeおよびいかなる付着オリゴサッカ リド配列をも含有しないChromosorb Pを用いて行った。図7〜9の結果は、SYNS ORB1、2、5、57、72、および90がV.choleraeの1つ以上の血清型に結合する ことを示す。これらの6つのSYNSORBの全てが、V.choleraeに結合することが以 前には示されていなかったオリゴサッカリド配列を含有する。これらの結果はま た、血液型とコレラに対する個体の感受性との間の関連性を示唆する疫学的証拠 を確証する。 従って、本発明者らは、V.choleraeに結合する能力が、不活性な支持体に付着 したオリゴサッカリド配列に直接関係することを見出した。図7〜9の結果は、 αGalNAc(1-3)[αFuc(1-2)βGal(血液型A)、αGal(1-3)[αFuc(1-2)βGal( 血液型B)およびαFuc(1-2)βGal(1-4)βGlcNAc(H(O)血液型)のV.choleraeへ の結合に対する重要性を示す。さらに本発明者らは、βGalNAc(1-4)βGalおよび βGal(1-3)βGal配列を有するオリゴサッカリドがまた、V.choleraeに効果的に 結合し得ることを見出した。従って、βGal(1-4)βGal(2)を含有するオリゴサッ カ リド配列は、本発明の方法および組成物において有用である。 コレラまたは関連する状態の処置は、適合性リンカーアーム(例えばSYNSORB )を介して固体支持体に共有結合したオリゴサッカリド配列を含有する組成物の 経口投与により達成され得る。例えば、SYNSORBは、インタクトなラットの胃を 通過することが見出された。次いで、それは腸管内で生物V.cholerae接触する。 引き続くインタクトなSYNSORBおよびそれに結合したV.choleraeの除去は、患者 からのその個体の除去を生じる。 本発明の別の局面は、生物学的サンプル中に存在する生理学的濃度のコレラ毒 素またはV.choleraeの迅速で効果的な結合であり、これにより、これらのサンプ ル中のコレラ毒素および/または生物の存在および/または量のアッセイを可能 にする。代表的には、生物学的サンプルは糞便サンプルである。サンプルは、標 準的な抽出技術を用いて抽出および調製され得る。次いで、サンプルまたは抽出 物を、サンプル中のいかなるコレラ毒素またはV.choleraeが吸収される条件下で 、適合性リンカーアームを介して固体支持体に共有結合した毒素または個体結合 オリゴサッカリド配列に接触させる。 コレラ毒素またはV.choleraeは、任意の適切な検出系を用いてオリゴサッカリ ド含有支持体の表面上で直接測定され得る。例えば、放射性標識、ビオチン標識 、または蛍光標識したコレラ毒素に対して特異的なモノクローナルまたはポリク ローナル抗体が支持体に結合したコレラ毒素の量を決定するために使用され得る 。標準的な免疫アッセイ技術に類似した特異的結合複合体形成を検出するため広 範な種々のプロトコルが当業者に周知である。 SYNSORBのパネル(表1)を、精製CTの活性を中和する能力についてスクリー ニングした。図1の結果は、SYNSORB16、19、41、72、75、および88が、それぞ れ80%、80%、80%、96%、96%、および80%(n=2)を除去したことを示す。より高度 な親和性でCTに結合したSYNSORBは、末端ジサッカリド配列(βGal(1-3)βGalNAc )ならびにGM1構造体由来のシアル酸糖が毒素と炭水化物との間の相互作用におい て主要な役割をはたすことを示したX線構造解析から得られたデータと非常に良 好に一致した[2]。図1の結果はまた、Chromosorb PがCTに結合しないようであ ることを示した。 至適の結合条件を決定するために、種々の各SYNSORBの量を精製CTとともにイ ンキュベートした。中和実験から得られた結果(図2)は、20mg/mmlの濃度での SYNSORBの使用がCT活性を中和することにおいて効果的であるはずであるという ことを示した。 至適化された条件が、V.coleraeの01血清型由来のCT活性を吸収することにお いて効果的であるかどうかを決定するために、V.coleraeのクラシカルおよびE1 Tor生物型由来のV.colerae Crude培養上清をSYNSORB16、41、72、75、および88 とともにインキュベートした。01 V.coleraeのクラシカル生物型を用いた中和実 験由来の結果は、CT活性が上記に列挙した各SYNSORBについてそれぞれ、94±3% 、90±0%、77±0%、97±0%および9±0%(n=4)に減少したことを示した。01 V.col eraeのE1 Tor生物型の2つの培養上清(NIH V86および95-0031)を用いると、SYNS ORB16、41、72、75および88は、それぞれ81±0%、75±0%、89±0%、81±0%およ び75±0%(n=2)ならびに50±0%、75±0%、88±0%、66±0%および94±0%(n=2)にCT 活性を減少させた。 Dr.W.Johnson,LCDC,Ottawaより入手した4つの0139 V.colerae臨床分離株を用 いた予備的なCT中和実験は、V.coleraeのクラシカル01血清型で見出されない細 胞毒性活性の存在を明らかにした。2つの組織培養アッセイがCT活性の検出にお いて有用である。クラシカルCTアッセイは、チャイニーズハムスター卵母細胞(C HO)細胞を毒素を含有する溶液に曝露し、そして24時間後に細胞変性(細胞伸長 )終点を決定することに関する。2つめは、CTに曝露した場合に大きな多形性の 液胞を産生するHT29細胞に関する。0139臨床分離株由来の培養上清は、CHO細胞 を迅速に死滅させる能力を有し(24時間未満に100%死滅)、そしてHT29細胞に おいて液胞形成を誘導した(表2)。予備的な実験の結果は0139培養上清と精製 CTとの間のいくつかの差異を示す。 この差異をさらに探査するために、抗CT抗血清を用いて中和実験を行った。精 製CTおよび0139培養上清の希釈物を、CHOおよびHT29細胞に毒素を添加する前に 、抗CT血清と組み合わせて30分間インキュベートした。毒素との24時間のインキ ュベーションの後、結果は、CHO細胞で観察された細胞毒性活性は、抗CT抗血清 により中和されないことを示した。HT29細胞を用いる抗体中和実験は、抗血清が 、 液胞の形成を効果的に減少させることを示した。このことは培養上清中のCTの存 在を示唆する精製CTを用いるコントロールアッセイは、CHOおよびHT29細胞の両 方において良好な中和を示した。 中和アッセイから得られたデータは、2つの毒素活性が0139株により産生され ることを示唆する。活性の1つはCTであり、これはHT29細胞において液胞形成を 引き起こす。第2の活性は、CHO細胞を死滅させるコレラ毒素(CC)である。0139 培養上清中のCCの存在を支持するさらなる証拠を、毒素含有溶液をCTの効果に対 して耐性を示すVero細胞とともにインキュベートすることにより得た。0139培養 上清をVero細胞とともにインキュベートすることにより、細胞の迅速な死滅が生 じる。これはさらなる細胞毒性活性の存在を確証する。 V.coleraeのE1 Tor生物型は、0139血清型により産生されるCCに類似するさら なる細胞毒性/溶血性活性を有することが知られている。 SYNSORB16、41、72、75、および88での予備的な中和研究は、SYNSORBが培養上 清由来のCCおよびCTに吸着する能力を有することを示した。CC中和の程度を、SY NSORBの細胞障害性終点と処理した培養上清とCHO細胞を用いる未処理コントロー ルサンプルで処理したものと比較することにより決定した。CT中和実験を、HT29 細胞を毒素レベルを評価するために用いることを除いて同様の方法で行った。図 3の結果は、SYNSORB16、41、72、75、および88が、多くの場合CT活性を50%より 多く中和する能力を有することを示した。結果はまた、0139血清型および01 E1 Tor生物型により産生された細胞傷害性活性が、宿主細胞と相互作用することに ついてCTにより用いられるオリゴサッカリドレセプターと同様のオリゴサッカリ ドレセプターを利用し得ることを示す。0139 V.colerae株由来のCT活性を中和す るSYNSORBの能力は、01血清型で得られた結果と比較した場合幾分減少していた 。種々のSYNSORBに対する減少した親和性は、2つのCT活性の間のわずかな差に 起因し得る。 E.実施例 以下の方法は、以下の実施例における研究を行うために使用した。 精製されたコレラ毒素はSigma Chemicalsより入手した。Vibrio cholerae 培養上清物の調製 V.colerae 01クラシカルならびにE1 Tor生物型をAKI培地(水1リットルあた り15g ペプトン(Difco)、5g NaCl、4g イーストエクストラクト(Difco)、重炭 酸ナトリウムでpH7に合わせる)中で37℃で培養し、一方V.colerae 0139の臨床 単離物をSyncase培地(水1リットル当たり20g カザミノ酸(Difco)、8.7g K2POH4 、6g イーストエクストラクト(Difco)、25g NaCl)で増殖させた。V.coleraeの 一晩培養物を、5000 x gで30分間遠心分離した。この上清を慎重に取り除き、毒 素中和研究に利用した。組織培養細胞を用いたコレラ毒素活性のアッセイ コレラ毒素の細胞毒性活性は、10%ウシ胎児血清を補充したHams F12培地中で 、5%CO2の雰囲気下で37℃にて維持されるチャイニーズハムスー卵母細胞(CHO) 細胞株の使用により測定し得る。試験されるCT試料をHams培地中で1:5に希釈 し、0.22ミクロンシリンジフィルターを通して濾過滅菌した。試験される試料を 培地中に5倍連続希釈し、そして各希釈物の100μLをCHO細胞のコンフルエント な単層のウェルに添加し、そして24時間37℃にて、5%CO2内でインキュベート した。各試料を2回分析した。細胞変性効果を、毒素を含まないコントロールの ウェルと比較することにより、24時間後に容易に可視化した。24時間後、細胞を 95%メタノールで固定し、Geimsa染色液で染色した。 中和割合がSYNSORBを有する試料および有さない試料の終点希釈物と比較する ことにより決定されたことを除き、中和実験由来のCT含有試料を類似の方法で処 理した。 CTの効果を測定するために使用した他の細胞株は、10%ウシ胎児血清を補充し たDulbecco's Modified Eagles Medium(DMEM)を用いて17mM グルコースの存在下 で増殖したヒト結腸腺癌HT 29細胞である。CT含有溶液を培地で3または5倍連 続希釈し、HT 29細胞を含むウェルへ添加した。多形性空胞形成を、サンプルウ ェルと毒素を含まないコントロールとを比較することにより、24時間後に容易に 可視化した。 アフリカミドリザル(VERO)由来の腎臓細胞をコントロール細胞株として使用し た。なぜなら、それはCTの効果に対して耐性であるからである。VERO細胞を、3 %FBSを含有する最小必須培地(MEM)中で維持した。組織培養細胞を用いるコレラ毒素活性のアッセイ コレラ毒素活性を、CHOまたはVero細胞のいずれかを用いて上述と同一の方法 で測定した。 以下の実施例は本発明を例示するために提供され、本発明の範囲を限定するよ うに構築されることを決して意味しない。 実施例1 コレラ毒素活性を中和する能力に関する オリゴサッカリド含有固体支持体のスクリーニング 精製CT2(1mlのPBS中2μg)を含有する溶液を、1.5 ml遠心管内の異なるオリ ゴサッカリド配列を含有する種々のSYNSORB(20.0〜22.5 mgの範囲の量)に添加 し、そして室温で1時間、回転式ローテーター上でインキュベートした。インキ ュベート後、SYNSORBをチューブの底に沈め、そして上清を注意深く取り出した 。上清の5倍連続希釈物を調製し、そして細胞変性終点を上述のように決定した 。SYNSORB存在下における終点の減少の程度を、SYNSORBを添加していないコント ロールと比較することにより決定した。用いたさらなるコントロールは、いずれ の炭水化物リガンドも有しないChromosorbであった。 結果は図1に示され、そしていくつかのオリゴサッカリド構造体が、コレラ毒 素活性を効果的に中和することが見出されたことを示す。 実施例2 SYNSORB16,19,41,72,75 および88を用いるコレラ毒素活性の濃度依存中和 最大のコレラ毒素中和に必要とされるSYNSORB16、19、41、72、75、および88 の量を2μgのコレラ毒素(CT)を含有する精製コレラ毒素溶液1mlを、1.5ml遠 心管内の予め重さを計った量の各SYNSORBに添加することにより決定した。SYNSO RB試料を10、20、および40mgの量を用いて試験した。試料を、1時間、37℃にて 回転式ローテーター上でインキュベートした。コレラ毒素溶液のみを含有するコ ントロールサンプルまもた試験した。 各サンプルにおける中和量を、SYNSORB含有サンプルおよび非含有由来のCHO細 胞アッセイの終点力価を比較することにより決定した。図2に示す結果は、試験 された各SYNSOEBの約20mgが、1mlのコレラ毒素溶液中の少なくとも75%のコレ ラ毒素を中和し得ることを示す。 実施例3 V.colerae の0139および01(E1 Tor)生物型 により産生されるコレラ毒素の特徴付け 抗コレラ毒素中和アッセイ 中和実験を、CHOまたはHT 29組織培養細胞で行った。V.colerae臨床分離株の 培養上清の希釈物を調製し、そしてウサギ抗CT抗血清(各CT希釈物で100倍およ び1000倍に希釈した)とともに37℃で30分間インキュベートした。中和を、未処 理サンプルの力価と抗血清で処置した上清の終点希釈力価とを比較することによ り決定した。全ての実験を2回行った。 表2の結果は、0139臨床分離株により産生される細胞障害性活性が、V.colera eの01 E1 Tor生物型により産生される細胞毒性活性と類似していたことを示す。 図4の結果はまた、2つの毒性がV.coleraeのE1 Tor生物型中に存在することを 示す。 実施例4 V.cholerae の0139および01 E1 Tor 生物型由来の コレラ毒素およびコレラ細胞毒活性を中和するための能力に関する オリゴサッカリド含有固相のスクリーニング V.choleraeの0139および01 E1 Tor 生物型由来の粗培養上清を、1.5mlマイク ロ遠心チューブ内の異なるオリゴサッカリド配列を含有する種々のSYNSORBs(20. 0〜22.5mgの範囲の量)に添加し、そして室温で1時間、回転ローテーター上でイ ンキュベートした。インキュベーション後、SYNSORBをチューブの底に沈ませ、 上清を注意深く取り出した。上清の3または5倍連続希釈物を調製し、そして細 胞変性または細胞毒性終点を上述のように決定した。SYNSORB存在下における終 点の減少の程度を、SYNSORBを添加していないコントロールと比較することによ り決定した。利用されるさらなるコントロールは、いずれの炭水化物リガンドも 有さないChromosorbであった。 結果は図3および図4に示され、そして20mg/mlの濃度のSYNSORBsを用いるコ レラ細胞毒およびコレラ毒素活性の中和を実証する。図3および図4の結果は、 いくつかのオリゴサッカリド構造体が両方の毒素活性を効果的に中和することを 見出されたことを示す。 実施例5 ウサギの小腸におけるコレラ毒素の効果を 減少することにおけるSYNSORBの効力の決定 体重約2kgの特定病原体非含有(SPF)雄New Zealandシロウサギを、回腸におけ るCTの効果を減少するSYNSORBの潜在力を評価するために用いた。手術の前に、 それぞれのウサギに適宜水は与えるが断食させる。次いで、ウサギを顔面マスク 法によりIsofloraneを投与することによって麻酔した。無菌技術を用いて、腹部 を胴の中間部に沿って切開し、そして4〜6つの10cm長の回腸セグメントを、ル ープを形成するように臍帯テープで連結した。各グループを5cmの腸セグメント に分離した。各ループに6mlの0.5%カルボキシメチルセルロース中の特定容量(0 .1g/kgまたは0.5g/kg)の1.5mlのSYNSORB16または75のいずれかの懸濁物を添加し た。コントロール動物の各々の腸ループは、1.5mlの0.5%カルボキシメチルセル ロースのみを受容した。 腸ループへの生成CTの添加の前に、10μCiの3Hマンニトール(100μL)をシリン ジで描くウサギの耳静脈に静脈内注射した。次いで、各腸ループに、100μLのCT 溶液(25μg)またはリン酸緩衝化生理食塩水のいずれかを、ツベルクリンシリン ジで注射した。次いで、腸ループを腹部に再配置し、そして切開部を閉じた。各 ウサギを光Isoflorane麻酔下に4時間維持し、実験の間水循環熱パッド上に各ウ サギを配置することにより体温を37℃に維持した。インキュベーション期間の終 了時に、次いでウサギをペントバルビタールの静脈内注射により屠殺した。回腸 ループを取り除き、重量を計測しそしてその長さを測定した。ループ内容物を注 意深く取り除き、そしてループの体積についてならびに各ループにおける3Hの両 についてアッセイした。 本発明者らの研究から得られた結果(図5および6、表3)は、SYNSORB 75が ウサギの腸におけるCT活性を効果的に縮小することを示した。 実施例6 SYNSORB およびVibrio choleraeを用いる結合実験 結合実験を、0.5mlのPBS中の約105CFUの01 V.cholerae(ClassicalおよびE1 To r 生物型)または0139 V.coleraeをSYNSORB1、2、5、57、72または90またはCh romosorb P(20mg)とともに室温で30分間インキュベートすることにより行った。 非接着生物を除去するためにPBS(約20ml)でSYNSORBを十分に洗浄した後、SYNSOR Bを1mlの0.5%(w/v)カルボキシメチルセルロースに懸濁し、そして上清の2つ の希釈物を栄養アガープレートに播種した。24時間後、このプレートを結合Vibr osの数を決定するために計数した。 図7〜9における結果は、V.coleraeがSYNSORBの表面に効果的に結合し得るこ とを示す。この結果はまた、いくつかのオリゴサッカリド構造体がV.coleraeに 対する結合部位として効果的に働くことが見出されたことを示す。SYNSORBへの 生物結合とChromosorb P単独への生物結合との間に有意な差異が存在するので、 SYNSORBの結合はSYNSORB上で見出されるオリゴサッカリド配列に関する。図7〜 9における結果は、少なくとも4つの定量の平均を表す。 本発明の種々の実施態様を実行する上述の方法の改変は、本明細書に示す本発 明の教示に従えば当業者に明らかである。上述の実施例は限定されず、単に本発 明の例示である。本発明の範囲は、続く請求の範囲により規定される。 すべてのオリゴサッカリドは、疎水性の8炭素スペーサーアームを通してChro mosorb Pに連結している。NeuAcはシアル酸の略語である。 中和実験を、チャイニーズハムスター卵母細胞(CHO)またはヒト結腸腺ガン(HT 29)組織培養細胞で行った。臨床的に単離したV.colerae臨床分離株の培養上清の 希釈物を調製し、そして抗-CTとともに37℃で30分間インキュベートした。中和 を、抗血清で処理した上清の終点希釈力価と未処理サンプルを比較することによ り決定した。全ての実験を2回行った。N.D.=行わず。 *示したP値は、SYNSORB処置ウサギ回腸ループと未処置回腸ループとの間の、 液体分泌、液体容積、またはマンニトール透過性のいずれかの程度における有意 な差異を示す。P値は、SYSTATコンピュータソフトウェアのいてノンパラメトリ ックなWilcoxon試験を用いて決定した。 +P値は、SYSTATコンピュータソフトウェアにおいてStudents T試験を用いて決 定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN, MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT ,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 アームストロング,グレン ディー. カナダ国 ティー6シー 1ピー9 アル バータ,エドモントン,91 アベニュー 7951

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.被検体においてコレラおよび関連する状態を処置する方法であって、該方法 は、そのような処置を必要とする被検体に、非ペプチド性の適合性リンカーアー ムを介して薬学的に受容可能な固体の不活性な支持体に共有結合的に付着したオ リゴサッカリド配列を含有する組成物の有効量を投与する工程を包含し、ここで 該サッカリド配列は1つ以上のV.choleraeに結合し、そしてここで該組成物は消 化管から排除され得る、方法。 2.前記オリゴサッカリド配列が1〜3のサッカリド単位を有する、請求項1に 記載の方法。 3.前記オリゴサッカリド配列が、表1に示されるオリゴサッカリド構造体番号 1、2、3、7、10および11からなる群から選択される、請求項1に記載の方法 。 4.非ペプチド性の適合性リンカーアームを介して薬学的に受容可能な固体の不 活性な支持体に共有結合的に付着した前記オリゴサッカリド配列が、表1に示さ れるSYNSORB番号1、2、5、57、72および90からなる群から選択される、請求 項1に記載の方法。 5.前記リンカーアームが-(CH2)8C(O)-である、請求項1に記載の方法。 6.コレラおよび関連する状態を処置するのに有用な薬学組成物であって、該組 成物は: a) 非ペプチド性の適合性リンカーアームを介して薬学的に受容可能な固体の 不活性な支持体に共有結合的に付着したオリゴサッカリド配列であって、ここで 該オリゴサッカリド配列は1つ以上のV.coleraeの血清型に結合する、オリゴサ ッカリド配列;および b)薬学的に受容可能なキャリアであって、ここで該組成物は消化管から排除さ れ得る、キャリア を含有する、薬学組成物。 7.前記オリゴサッカリド配列が1〜3のサッカリド単位を有する、請求項6に 記載の組成物。 8.前記オリゴサッカリド配列が、表1に示されるオリゴサッカリド構造番号1 、2、3、7、10、および11からなる群から選択される、請求項6に記載の組成 物。 9.非ペプチド性の適合性リンカーアームを介して薬学的に受容可能な固体の不 活性な支持体に共有結合的に付着した前記オリゴサッカリド配列が、表1に示さ れるSYNSORB1、2、5、57、72および90からなる群から選択される、請求項6 に記載の組成物。 10.組成物リンカーアームが-(CH2)8C(O)-である、請求項6に記載の方法。 11.微生物を含有すると推測されるサンプルからV.coleraeの1以上の血清型 を結合および除去する方法であって、該方法は: a) 該サンプルと、非ペプチド性の適合性リンカーアームを介して薬学的に受 容可能な固体の不活性な支持体に共有結合的に付着したオリゴサッカリド配列と を接触させる工程であって、ここで該オリゴサッカリド配列は、該生物が該支持 体に吸収される条件下で1つ以上のV.coleraeの血清型に結合する、工程;およ び b) 該サンプルから該吸収された生物を含有する該支持体を分離する工程 を包含する、方法。 12.前記オリゴサッカリド配列が1〜3のサッカリド単位を有する、請求項1 1に記載の組成物。 13.前記オリゴサッカリド配列が、表1のオリゴサッカリド構造体番号1、2 、3、7、10、および11からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。 14.非ペプチド性の適合性リンカーアームを介して薬学的に受容可能な固体の 不活性な支持体に共有結合的に付着した前記オリゴサッカリド配列が、表1のSY NSORB番号1、2、5、57、72および90からなる群から選択される、請求項11 に記載の方法。 15.前記リンカーアームが-(CH2)8C(O)-である、請求項11に記載の方法。
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