【発明の詳細な説明】
液体貯蔵用の容量可変の密閉容器
本発明は液体貯蔵用の容量可変の密閉容器に関する。
この種の容器は、あらゆる種類の液体製品を貯蔵し、運搬するために、特に、
例えば、衛生上、保存上、安全上、並びに環境保護の面から、外気との接触を回
避するように設計されている。このように気密を保つことは、飲料水、ミネラル
ウオーター、牛乳、あるいは炭化水素の場合には、蒸発、汚染あるいは爆発を防
ぐために、果物ジュースやワイン等の場合には、酸化を防ぐために、又、液体肥
料の場合には、臭いがもれるのを防ぐために、必要である。
このような用途に用いられる一定の容量を有する容器には、液体の量が変化す
ると、容器の中のガスの容積が変化するという問題がある。容器の中へガスが出
たり入ったりする場合、特別な取扱いが必要である。もし、不活性ガスの場合に
は、分離して貯蔵しなければならない。
可撓性の可変容量の容器を使用すると、これらの問題の大部分は解決されるが
、容器の材料に起因する周知の欠点、すなわち、可撓性の壁の安定性や壁の耐久
性に問題が生じることになる。
フランス国特許公開第2385612号公報には、おおむね、一定量の炭化水素を貯
蔵するための容器が開示されている。この容器は、上部の回りに、水を入れたシ
ール用空間を備えている。それはまた、炭化水素上に直接、当接し、かつ、容器
の壁面を越えて伸び、かつシール用空間の中に外周部が挿入されている浮屋根を
備えている。この容器では、水の上に炭化水素を設けてあり、炭化水素が減少す
ると、それを補償するように、水の量が増えるので、容量は一定である。従って
、浮屋根は大きく移動することはない。更に、炭化水素を溶解させるために使わ
れる加温装置の長さにより、加温装置の容器に沿う移動量は、制限されてしまう
。
この容器には、容量を一定に保たなければならないため、水が炭化水素と混合
させられ、かつ、容器を完全に空にすることができないという欠点がある。
米国特許第1823256号明細書にも、上部に水で満たされたリング状の空洞を備
える一定容量の炭化水素ための容器が開示されている。この容器もまた、炭化水
素上に当接し、前述した空間内に挿入された垂直なスカートを有する浮屋根を備
えている。この装置は、リング状の空洞に接触している炭化水素と水とのバラン
スによって働くようになっている。従って、密閉はなされていない。その上、リ
ング状に形成された空洞の高さには、制限があるため、浮屋根が下方へ滑るのを
妨げられ、もし、液面が下がった場合には、流体に接触したままになることにな
る。それ故に、この装置は、水を貯蔵されている流体と接触させ、又、常に一定
の体積を必要とするという欠点がある。
本発明は、基本的に剛性の高い要素からなる可変容量容器であって、上記した
欠点を回避し、かつ生産物又は環境を汚染するおそれが生じたときでも、密閉性
を高めて、外気と接触することがなく、安全性のきわめて高い容器を提供するこ
とを目的とし、一方、必要に応じ、貯蔵されている液体が空気と接触するのを防
止するようにしたものである。
この目的達成のために、本発明は、請求の範囲の前文に記載されている種類の
容器であって、下方部材と、上面が開口し、第1の液体を貯蔵することのができ
る容量変更可能のタンクと、第1の液体の体積が変化したときに、タンクの密閉
性を保持し、かつ垂直方向にスライドしうるようにして、下方部材に装着された
上方部材と、下方部材は、タンクの周りを囲み、かつタンクの高さを越えて延出
するシール筒と、頂部が開口し、内壁と外壁の間に、シール用の第2の液体を有
し、上方部材は、浮きカバーに取り付けられて垂直方向に延出し、シール筒内の
第2の液体に突入している外筒とを有し、中間ガスが、上方部材の内部で、第1
の液体と第2の液体の表面上に保持されている。
このように、容器の上方部材は、ガスタンクの天板のように上下動することが
できる。しかし、この動きは、容器に貯蔵されている第1の液体の液面によって
決せられる。同時に、完全な剛体からなっているのが好ましい上方部材は、その
外筒を恒久的に第2の液体内に突入させていることにより、大気に対する密閉性
と、耐久性を確保している。
最後に、上方部材の内側の第1、第2の液体の間の空間に存在する緩衝装置と
しての中間ガスは、ほぼ一定の体積を有し、もし、この中間ガスが、例えば、窒
素のような中性の気体である場合には、2つの液体同士が接触するのを防止する
とともに、第1の液体が空気や酸素と接触するのを防止している。
特に、具体例の効果的な形態としては、第1の液体が環境を汚染するおそれが
ある場合には、頂部を除いて、タンクを取り囲むようにタンクの下方に延びるシ
ール筒の存在がある。
前記周壁は、タンクの内側と、シール筒とを分離する内壁と、上端に、内壁の
上端よりも下方に位置する内向きの縁片を有する外壁とを含むことが好ましい。
好ましい形態としては、浮きカバーは、底板と、この底板から上方に延出し、
外筒の上端部と接続されている周壁とを含んでもよい。浮きカバーの底板は、直
接、第1の液体上に当接させることができる。浮きカバーの底板は、上向きに凸
状、又は下向に凸状とすることができる。
浮カバーと第1の液体との接触を回避する応用的な形態としては、第1の液体
と浮きカバーとの間に存在していて、上方部材を支持する中間ガスのための設備
を設けることができる。
タンク内を満たしたり、排出したりする手段の一つとしては、容器の下方を通
るとともに、底壁を貫通して、タンク内に挿入された少なくとも1本のパイプが
ある。
タンク内を満たしたり、排出したりする手段の他の形態としては、上方部材に
装着され、浮きカバーを貫通してタンク内に挿入された少なくとも1本のパイプ
がある。
本発明の他の特徴と利点は、添付図面を参照して行う非限定的な具体的な実施
例の中で説明により、明らかになると思う。
図1は、本発明の容器の第1実施例の概略を示す縦断面図で、容器は満杯の状
態にある。
図2は、図1の容器が実質的に空になった状態を示す。
図3は、図1の容器の変形例を示し、上方部材と貯蔵液体との間に、緩衝用の
中間ガスが存在している。
図4は、図1の容器の他の実施例を示す。
図5は、図2と近似した状態で、2重の筒を設けて安全性を高めた容器の変形
例を示す、図2と同様の図である。
図6〜図8は、本発明による容器が採りうる各種の平面形を示す概略平面図で
ある。
図9は、連結式の2つ容器の概略を示す縦断面図である。
図1と図2に示すように、本発明の容器は、固定された下方部材1と、下方部
材1に、矢印Aで示すように垂直方向に移動可能として装着された上方部材2を
、基本的な要素として備えている。
上記2つの部材1、2は、剛体として作られており、金属製であることが望ま
しい。両部材1、2は、好ましくは円筒状であるが、後で詳細に説明するように
、他の形状であってもよい。
下方部材1は、緩い円錐形の液密の底壁10を有し、底壁10には内壁11が
接続されている。外壁12と内壁11の下端同士は、リング状の底片13により
強固に接続されている。底壁10と内壁11とにより、円筒状のタンク14が形
成され、その中に、体積の変化する第1の液体15が収容されている。
タンク14の回りの内壁11と外壁12とリング状の底片13とにより、狭い
幅のシール筒16が形成されている。シール筒16は、容器の内側とは連通して
おらず、シール筒16の内部には、密閉用の液体であるシール用の第2の液体1
7が、一定量入れられている。
外壁12の上端に、内向縁片18が設けられている。この内向縁片18は、内
壁11の上縁19よりもわずかに低く位置しており、第2の液体17が、偶発的
な原因によりタンク14から流出するのを防止している。
上方部材2は、タンク14上方の開口部の大部分を密閉し、かつタンク14内
の第1の液体15の上に浮かぶカバー20を備えている。カバー20は、円形の
底板21と、円筒状の周壁22とからなっている。底板21は、下向きに凸状、
例えば円錐状となっており、気体が、その下に入り込まないようにしている。底
板21には、保守点検のために設けたマンホールを硬く閉じるための点検用のフ
ラップ23を設けることがある。
周壁22の外周は、円筒状の外筒24によって囲まれている。もし、容器が屋
外で使用される場合には、外筒24の上端に、気密に止着したリング25をもっ
て、屋根26(破線で示す)が取り付けられている。外筒24は、シール筒16
の内側をスライドし、その下端縁27が密閉された第2の液体17の中に恒久的
に
突入することにより、ガスが容器の内外いずれかの方向へ漏れるのを防止してい
る。
周壁22とリング25と外筒24とにより、中間ガス29を収容することので
きるリング状の小室28が形成されている。このガスは、小室28の内側で、第
1の液体15の表面30と、第2の液体17の表面31と接触している。
中間ガス29は、例えば、空気あるいは窒素のような中性の気体である。それ
は、大気圧力と近い圧力であるのが望ましい。そのようにすると、外筒24の外
側の第2の液体17の表面32は、外筒24の内側の第2の液体17の高さとほ
ぼ同じ高さとなる。
小室28は、中間ガス29の圧力を調整しうるように、減圧室に接続され、又
、このガスの供給管またはその貯留タンクへ接続することができるようになって
いる(図示せず)。
表面31、32の高さを監視するために、シール筒16には、公知の高さ検出
手段を取り付けておくのがよい。
図1と図2の例によると、貯蔵されるべき第1の液体15は、タンク14内へ
導入され、このタンク14の底壁10の最低点36に接続されているバルブ37
あるいは他の制御手段を備えるパイプ35を経て抜くことができるようなってい
る。
貯蔵されている第1の液体15が増加あるいは減少したときは、上方部材2は
、この液体の表面30の高さまで移動し、外筒24は、外側のシール筒16に設
けたスライドレール、あるいはローラ(図示せず)のようなガイド部材により案内
されて、シール筒16の中をスライドする。従って、このガイド部材は、貯蔵さ
れている第1の液体15から保護されている。ガイド部材を、シール用の第2の
液体17によって、潤滑してもよい。
貯蔵されている第1の液体15の液面と体積は、上方部材2の位置によって、
直接目視することができる。
上方部材2を支持するために、カバー20の底板21に加えられる第1の液体
15による圧力は、カバー20の面積が大であるから、高い必要はない。金属製
の大きな容器においては、この圧力は、0.1バール(10kPa)以下で十分である。カ
バー20は、その面積とカバーの重さに応じて、わずかに、第1の液体15の中
に沈下する。リング状の小室28内の中間ガス29の圧力を高くする必要はない
。
もし、上方部材2を風による高い外力に対抗させる必要がある場合には、上方
部材2を、外壁12の外側に固定されている垂直な支柱を含む構造体に沿ってス
ライドさせることが考えられる。この構造体で、屋根26を支持させることがで
きる。
この構造体の代わりに、容器の底から伸び、カバー20の中心に設けた液密の
突起部へ挿入された中心のガイド支柱を採用することも与えられる。
図2に示す位置では、タンク14は実質的には空の状態であり、カバー20の
底板21は、それと対応する形状を有するタンク14の底壁10に当接している
。保守作業を実行するときは、容器を重力によって空にし、パイプ35あるいは
エア吐出弁34から、圧縮空気を上方部材2内へ注入することにより、これを上
方へ移動させ、適宜のロック装置によって、上方部材2を下方部材1の上縁19
上に吊した後、空気圧を解除し、フラップ23を開いて、人がタンク内へ入るこ
とができるようにする。
容器が空になった時に、タンク14の底壁10と、カバー20の底板21との
間が真空になるのを防止するために、パイプ35に、液体の流出を止めるための
フラップあるいはバルブ(図示せず)をしめるための、機械的手段(図示せず)が設
けられている。カバー20の底板21がタンク14の底部に達したことを指示し
、かつバルブを電気的に閉じるべく制御するリミットスイッチによる検出手段に
よって、前記フラップを閉じる間接的制御手段が設けられている。
図3に示す例は、図1と類似しているが、底板21と第1の液体15とが直接
に接触するのを避けるために、第1の液体15とカバーの底板21との間に、中
間ガス29のクッション40が形成されるようにしてある点で相違している。こ
の場合、底板21は、平らもしくは上方に凸形であることが好ましい。中間ガス
29は、上方部材2を支持することのできる圧力を有していることが必要であり
、シール用の第2の液体17が水の場合、その表面30、31の高さの差に対応
して、例えば最大10KPa程度である。
図4に示す例では、図1〜図2においては、パイプ35によって下方から液体
を満たしたり排出したりするのに対し、上方部材2に上方から装着され、カバー
20の底板21を貫通してタンク内へ突入するパイプ42によって、第1の液体
15を送り込んだり、ポンプで排出するようになっている。この場合、カバー2
0の底板21は、上方に凸状となっている。その他の構成および作用は、図1と
図2に示したのと同様である。
図5の変形例の場合は、シール筒16は、底壁10とその下方に近設して設け
た第2の底壁44とにより、タンクの底壁10の下方に延出している。そのため
、タンクの全周は、2重に安全に囲まれていることとなる。この構造は、特に炭
化水素のような汚染しやすい液体を貯蔵するとき、タンクと環境との完全な遮断
を維持し、管理する上で有用である。
第2の液体17は、水のように汚染のおそれがなく、かつ第1の液体15が第
2の液体17内へ漏れ出たときに、容易に発見することのできるものであるのが
よい。
この2重式構造により、タンクの内側と環境との遮断は、より確実かつ安全に
行われる。すべての場合において、第1、第2の両液体に接触する中間ガスの成
分は、自由に選ぶことができる。
本発明による容器の平面形は、その大きさや、使用材料、利用空間の大小、埋
設するか否かに応じて、どのような形状とすることができる。
図6〜図8は、平面形のいくつかの異なる例を示す。
部材1、2の平面形が円形である図6の例は、建設上の見地から、一般的に好
んで用いられる。この場合、カバー20の底板は、円錐状、球状あるいは平面と
される。
図7のように、長方形の場合は、カバー20の底板は、図8に示すように、2
つの直線状の側辺を有するだ円形のピラミッド形とするのがよい。
いくつかの直線状の側辺を有する場合には、本発明による容器を、2つあるい
はそれ以上、図9に示すように、連結して並列配置することができる。このよう
にすると、シール筒16は、2つの容器の内壁同士間で、共通のもの16´とな
る。その結果、2つの容器に共通する外壁12によって、垂直な外側のおおいが
形成され、かつシール用の液体も、両方の容器で共通化される。これにより、各
容器のシール用の液体の液面の高さを変化させることなく、各容器に貯蔵されて
いる液体の液面の高さを変化させることができるので、液面に対する問題は解決
される。
本発明によれば、容器をどのような大きさにでも製作することができ、剛性の
ある材料であれば、どのような種類のものでも使用することができる。そして、
あらゆる用途に用いることができるが、特に、貯蔵液体と大気とを分離させる必
要がある場合に好適である。
すでに述べた液体の食料、炭化水素、あるいは化学物質の貯蔵の他に、面白い
例として、消費者に配達するミネラルウォーターの貯蔵や輸送用をあげることが
できる。
規則により、小売りに先立って、引き続いて2度の商品調整を行うことを禁止
している国では、本発明の容器を使用すると、輸送と水をビン詰めするのに必要
なコストを、大幅に削減することが可能となる。
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者にとって明らかな変
更および改良を包含するものである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1996年11月12日
【補正内容】
液体で満たされると、カバー内の空気は圧縮される。この容器は、使用中は常に
貯蔵されている液体とカバーとの間の容器内に空気を含むという著しい欠点があ
る。この空気は、貯蔵液体が発する蒸気と混合し、その結果、空気と接触させて
はいけない液体の場合には、その容器に貯蔵することができないことになる。
フランス国特許公開第2385612号公報には、おおむね、一定量の炭化水素を貯
蔵するための容器が開示されている。この容器は、上部の回りに、水を入れたシ
ール用空間を備えている。それはまた、炭化水素上に直接、当接し、かつ、容器
の壁面を越えて伸び、かつシール用空間の中に外周部が挿入されている浮屋根を
備えている。この容器では、水の上に炭化水素を設けてあり、炭化水素が減少す
ると、それを補償するように、水の量が増えるので、容量は一定である。従って
、浮屋根は大きく移動することはない。更に、炭化水素を溶解させるために使わ
れる加温装置の長さにより、加温装置の容器に沿う移動量は、制限されてしまう
。
この容器には、容量を一定に保たなければならないため、水が炭化水素と混合
させられ、かつ、容器を完全に空にすることができないという欠点がある。
米国特許第1823256号明細書にも、上部に水で満たされたリング状の空洞を備
える一定容量の炭化水素ための容器が開示されている。この容器もまた、炭化水
素上に当接し、前述した空間内に挿入された垂直なスカートを有する浮屋根を備
えている。この装置は、リング状の空洞に接触している炭化水素と水とのバラン
スによって働くようになっている。従って、密閉はなされていない。その上、リ
ング状に形成された空洞の高さには、制限があるため、浮屋根が下方へ滑るのを
妨げられ、もし、液面が下がった場合には、流体に接触したままになることにな
る。それ故に、この装置は、水を貯蔵されている流体と接触させ、又、常に一定
の体積を必要とするという欠点がある。
本発明は、基本的に剛性の高い要素からなる可変容量容器であって、上記した
欠点を回避し、かつ生産物又は環境を汚染するおそれが生じたときでも、密閉性
を高めて、外気と接触することがなく、安全性のきわめて高い容器を提供するこ
とを目的とし、
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年1月16日
【補正内容】
明細書
液体貯蔵用の容量可変の密閉容器
本発明は液体貯蔵用の容量可変の密閉容器に関し、下方部材と、上面が開口し
、第1の液体を貯蔵することのができる容量変更可能のタンクと、第1の液体の
体積が変化したときに、タンクの密閉性を保持し、かつ垂直方向にスライドしう
るようにして、下方部材に装着された上方部材と、下方部材は、タンクの周りを
囲み、かつタンクの高さを越えて延出するシール筒と、頂部が開口し、内壁と外
壁の間に、シール用の第2の液体を有し、上方部材は、浮きカバーに取り付けら
れて垂直方向に延出し、シール筒内の第2の液体に突入している外筒とを有して
いる。
この種の容器は、あらゆる種類の液体製品を貯蔵し、運搬するために、特に、
例えば、衛生上、保存上、安全上、並びに環境保護の面から、外気との接触を回
避するように設計されている。このように気密を保つことは、飲料水、ミネラル
ウオーター、牛乳、あるいは炭化水素の場合には、蒸発、汚染あるいは爆発を防
ぐために、果物ジュースやワイン等の場合には、酸化を防ぐために、又、液体肥
料の場合には、臭いがもれるのを防ぐために、必要である。
このような用途に用いられる一定の容量を有する容器には、液体の量が変化す
ると、容器の中のガスの容積が変化するという問題がある。容器の中へガスが出
たり入ったりする場合、特別な取扱いが必要である。もし、不活性ガスの場合に
は、分離して貯蔵しなければならない。
可撓性の可変容量の容器を使用すると、これらの問題の大部分は解決されるが
、容器の材料に起因する周知の欠点、すなわち、可撓性の壁の安定性や壁の耐久
性に問題が生じることになる。
フランス国特許公開第802831号公報には、蒸発による損失を除去するように設
計された揮発性液体のための容器が開示されている。それは、タンクと、鐘状に
形成された空気を囲むカバーとを含んでいる。一方、必要に応じ、貯蔵されてい
る液体が空気と接触するのを防止するようにしたものである。
この目的達成のために、本発明は、請求の範囲の前文に記載されている種類の
容器であって、下方部材と、上面が開口し、第1の液体を貯蔵することのができ
る容量変更可能のタンクと、第1の液体の体積が変化したときに、タンクの密閉
性を保持し、かつ垂直方向にスライドしうるようにして、下方部材に装着された
上方部材と、下方部材は、タンクの周りを囲み、かつタンクの高さを越えて延出
するシール筒と、頂部が開口し、内壁と外壁の間に、シール用の第2の液体を有
し、上方部材は、浮きカバーに取り付けられて垂直方向に延出し、シール筒内の
第2の液体に突入している外筒とを有し、中間ガスが、上方部材の内部で、第1
の液体と第2の液体の表面上に保持されている。
このように、容器の上方部材は、ガスタンクの天板のように上下動することが
できる。しかし、この動きは、容器に貯蔵されている第1の液体の液面によって
決せられる。同時に、完全な剛体からなっているのが好ましい上方部材は、その
外筒を恒久的に第2の液体内に突入させていることにより、大気に対する密閉性
と、耐久性を確保している。
最後に、上方部材の内側の第1、第2の液体の間の空間に存在する緩衝装置と
しての中間ガスは、ほぼ一定の体積を有し、もし、この中間ガスが、例えば、窒
素のような中性の気体である場合には、2つの液体同士が接触するのを防止する
とともに、第1の液体が空気や酸素と接触するのを防止している。
特に、具体例の効果的な形態としては、第1の液体が環境を汚染するおそれが
ある場合には、頂部を除いて、タンクを取り囲むようにタンクの下方に延びるシ
ール筒の存在がある。
前記周壁は、タンクの内側と、シール筒とを分離する内壁と、上端に、内壁の
上端よりも下方に位置する内向きの縁片を有する外壁とを含むことが好ましい。
浮きカバーの底板は、直接、第1の液体上に当接させることができる。浮きカ
バーの底板は、上向きに凸状、又は下向に凸状とすることができる。
タンク内を満たしたり、排出したりする手段の一つとしては、容器の下方を通
るとともに、底壁を貫通して、タンク内に挿入された少なくとも1本のパイプが
ある。
タンク内を満たしたり、排出したりする手段の他の形態としては、上方部材に
装着され、浮きカバーを貫通してタンク内に挿入された少なくとも1本のパイプ
がある。
本発明の他の特徴と利点は、添付図面を参照して行う非限定的な具体的な実施
例の中で説明により、明らかになると思う。
図1は、本発明の容器の第1実施例の概略を示す縦断面図で、容器は満杯の状
態にある。
図2は、図1の容器が実質的に空になった状態を示す。
図3は、図1の容器の他の実施例を示す。
図4は、図2と近似した状態で、2重の筒を設けて安全性を高めた容器の変形
例を示す、図2と同様の図である。
図5〜図7は、本発明による容器が採りうる各種の平面形を示す概略平面図で
ある。
図8は、連結式の2つの容器の概略を示す縦断面図である。
図1と図2に示すように、本発明の容器は、固定された下方部材1と、下方部
材1に、矢印Aで示すように垂直方向に移動可能として装着された上方部材2を
、基本的な要素として備えている。
上記2つの部材1、2は、剛体として作られており、金属製であることが望ま
しい。両部材1、2は、好ましくは円筒状であるが、後で詳細に説明するように
、他の形状であってもよい。
下方部材1は、緩い円錐形の液密の底壁10を有し、底壁10には内壁11が
接続されている。外壁12と内壁11の下端同士は、リング状の底片13により
強固に接続されている。
図3に示す例では、図1〜図2においては、パイプ35によって下方から液体
を満たしたり排出したりしていたのに対し、上方部材2に上方から装着され、カ
バー20の底板21を貫通してタンク内へ突入するパイプ42によって、第1の
液体15を送り込んだり、ポンプで排出するようになっている。この場合、カバ
ー20の底板21は、上方に凸状となっている。その他の構成および作用は、図
1と図2に示したのと同様である。
図4の変形例の場合は、シール筒16は、底壁10とその下方に近設して設け
た第2の底壁44とにより、タンクの底壁10の下方に延出している。そのため
、タンクの全周は、2重に安全に囲まれていることとなる。この構造は、特に炭
化
水素のような汚染しやすい液体を貯蔵するとき、タンクと環境との完全な遮断を
維持し、管理する上で有用である。
第2の液体17は、水のように汚染のおそがなく、かつ第1の液体15が第2
の液体17内へ漏れ出たときに、容易に発見することのできるものであるのがよ
い。
この2重式構造により、タンクの内側と環境との遮断は、より確実かつ安全に
行われる。すべての場合において、第1、第2の両液体に接触する中間ガスの成
分は、自由に選ぶことができる。
本発明による容器の平面形は、その大きさや、使用材料、利用空間の大小、埋
設するか否かに応じて、どのような形状とすることができる。
図5〜図7は、平面形のいくつかの異なる例を示す。
部材1、2の平面形が円形である図5の例は、建設上の見地から、一般的に好
んで用いられる。この場合、カバー20の底板は、円錐状、球状あるいは平面と
される。
図6のように、長方形の場合は、カバー20の底板は、図7に示すように、2
つの直線状の側辺を有するだ円形のピラミッド形とするのがよい。
いくつかの直線状の側辺を有する場合には、本発明による容器を、2つあるい
はそれ以上、図8に示すように、連結して並列配置することができる。このよう
にすると、シール筒16は、2つの容器の内壁同士間で、共通のもの16´とな
る。その結果、2つの容器に共通する外壁12によって、垂直な外側のおおいが
形成され、かつシール用の液体も、両方の容器で共通化される。これにより、各
容器のシール用の液体の液面の高さを変化させることなく、各容器に貯蔵されて
いる液体の液面の高さを変化させることができるので、液面に対する問題は解決
される。
本発明によれば、容器をどのような大きさにでも製作することができ、剛性の
ある材料であれば、どのような種類のものでも使用することができる。そして、
あらゆる用途に用いることができるが、特に、貯蔵液体と大気とを分離させる必
要がある場合に好適である。
すでに述べた液体の食料、炭化水素、あるいは化学物質の貯蔵の他に、面白い
例として、消費者に配達するミネラルウォーターの貯蔵や輸送用をあげることが
できる。
規則により、小売りに先立って、引き続いて2度の商品調整を行うことを禁止
している国では、本発明の容器を使用すると、輸送と水をビン詰めするのに必要
なコストを、大幅に削減することが可能となる。
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者にとって明らかな変
更および改良を包含するものである。
請求の範囲
1.下方部材(1)と、上面が開口し、第1の液体(15)を貯蔵することができる
容量変更可能のタンク(14)と、第1の液体(15)の体積が変化したときに、タンク
の密閉性を保持し、かつ垂直方向にスライドしうるようにして、下方部材(1)に
装着された上方部材(2)とを備える液体貯蔵用の容量可変密閉容器であって、
下方部材(1)は、タンク(14)の回りを囲み、かつタンクの高さを越えて延出す
るシール筒(16)と、頂部が開口し、内壁(11)と外壁(12)の間に、シール用の第2
の液体(17)を有し、上方部材(2)は、直接又はガスを介して第1の液体(15)上に
当接する浮カバー(20)と、浮カバー(20)に取付けられて垂直方向に延出し、シー
ル筒(16)内の第2の液体(17)の中に突入している外筒(24)とを有し、
前記浮カバー(20)は、底板(21)と、この底板(21)から上方へ延出し、外筒(24)
の上端部と接続されている周壁(22)とを含み、この浮カパー(20)が、タンク(14)
内の第1の液体(15)の高さの変化に正確に追従することができるように、それぞ
れ少なくともタンク(14)と同じ高さを有し、中間ガス(29)が、上方部材(2)の内
部で、第1の液体と第2の液体の表面(30)(31)上に保持されていることを特徴と
する液体貯蔵用の容量可変密閉容器。
2.頂部を除いて、タンクを取り囲むようにタンク(14)の下方に延びるシール
筒(16)を有することを特徴とする請求項1記載の容器。
3.前記周壁は、タンク(14)の内側と、シール筒(16)とを分離する内壁(11)と
、上端に、内壁(11)の上端よりも下方に位置する内向縁片(18)を有する外壁(12)
とを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の容器。
4.浮きカバー(20)の底板(21)は、下向きに凸状であることを特徴とする請求
項1記載の容器。
5.浮きカバー(20)の底板(21)は、上向きに凸状であることを特徴とする請求
項1記載の容器。
6.タンク内を満たしたり排出したりする手段が、少なくとも容器の下方を通
るとともに、底壁(10)を貫通して、タンク(14)内に挿入された少なくとも1本の
パイプ(35)を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の容器
。
7.タンク内を満たしたり排出したりする手段が、上方部材(2)に装着され、
浮きカバー(20)を貫通してタンク(14)内に挿入され、少なくとも1本のパイプ(4
2)を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の容器。
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,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,C
A,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI
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