【発明の詳細な説明】
レタスおよびバナナ由来のポリフェノール・オキシダーゼ遺伝子
本発明は植物由来のポリフェノール・オキシダーゼ(PPO)をコードする遺伝子
の単離に関するものである。
植物組織の褐色化は、傷害または損傷の後にしばしば起こり、これは一般に果
実および野菜の腐敗を招く。望ましくない褐色化は、植物材料を処理して食物ま
たは他の産物を生産するときにも起こる。これらの褐色化反応を避けるための処
置は、輸送、保存および処理時にとられる。しばしばこれは亜硫酸ガスなどの化
学物質の使用を含むが、これらの物質の使用は、その安全性と消費者の許容度に
関する心配から、将来的に制限されるように思われる。たとえば、米国食糧・薬
品省(FDA)は1986年に大部分の新鮮果物および野菜への亜硫酸塩の使用
を禁止した。先天的に褐色化を受けにくい果物および野菜類が生産されることに
より、これらの化学的処理の必要がなくなるだろう。
植物における褐色化が、もっぱら酵素のPPOによって触媒されることは理解で
きるだろう。PPOは植物細胞の色素体内に局在し、一方、この酵素のフェノール
性基質は、植物細胞の液胞内に蓄積される。この区画化により、植物細胞が損傷
を受けて酵素とその基質が混合されない限り、褐色化反応が起こらないようにな
っている。
先行技術文献としては、ブドウの蔓、そら豆の葉、リンゴ果実およびジャガイ
モ根茎からのPPO遺伝子のクローニングについて述べる本件の出願人によって出
願された国際出願書PCT/AU92/00356が含まれる。この先行出願は、PPO遺伝子の
発現を増加あるいは減少させることによって、植物におけるPPOレベルを操作で
きるかもしれないことを認識している。本明細書はまた、PPO遺伝子におけるCuA
およびCuBと呼ばれる、2つの保存された銅結合部位を同定している。しかし、
リンゴおよびジャガイモからPPO遺伝子をクローニングするために用いた、PCT/A
U92/00356で述べられる方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のために、オリゴ
dTリバースプライマーを使用することを含んでいる。いくつかの組織でこの方法
は受け入れられるが、この方法では予想されるサイズの強いバンドが得られない
か、またはPPO断片を分離することを難しくする多数の余計な産物を生ずる。
したがって、先行技術に関連する一つまたはそれ以上の難点を克服、または少
なくとも改善することが、本発明の目的である。
本発明の第一の態様によれば、PPOをコードする核酸、断片およびその誘導体
を調製するための方法が提供され、その方法は、
PPO活性をもつポリペプチドの材料および、
PPOの一番目の保存された領域に対応する配列をもつ、センス方向の第一プライ
マーおよび、
PPOの二番目の保存された領域に対応する配列をもつ、アンチセンス方向の第二
プライマーを提供し;
PPO活性を持つポリペプチドの材料からRNAを単離し、
そのRNAを処理して複製DNA(cDNA)を作製し;
そのようにして作製されたcDNAを、第一および第二プライマーを用いて増幅する
ことを含む。
出願人は、PPOに基づく第二プライマーの使用を含む本発明の方法は、他の(
非PPO)遺伝子が増幅されてくる見込みが、ずっと低いことを意味することを発
見した。さらに、本発明の方法は、大部分の場合に形成される正しい生成物の量
を劇的に増加させる。それに加え、第二のPPOに基づくプライマーによって与え
られる特異性は、一つのプライマーとオリゴdTを用いて、クローンを得ることが
困難であった特定の植物から、より迅速なPPOのクローニングを可能にする。た
とえば、レタスcDNAを用いた場合、出願人はGEN3/GEN8およびオリゴdTによって
、広範にわたるわずかなスメア状の産物のみを観察したが、GEN3/GEN8およびREV
1を用いると、予想されるサイズの強いバンドを観察した。
本明細書において使われる、「バナナ/レタスPPOをコードする核酸」および
「バナナ/レタスPPO遺伝子」という用語は、バナナ/レタスPPO遺伝子、または
実質的に相同な配列を示すと理解されるべきである。たとえば、これらの用語は
、
実施例で与えられた具体的な配列と異なるが、遺伝暗号の縮重のため、同じタン
パク質をコードする配列を含む。出願人は、大部分の植物にPPO遺伝子族がある
ことを見つけた。したがって、すでに単離されているものに加え、レタスおよび
バナナに他のPPO遺伝子があると考えられる。これらは本発明の方法を用いてク
ローン化することができる。したがって、「バナナ/レタスPPOをコードする核
酸」および「バナナ/レタスPPO遺伝子」という用語は、すでに単離されたこれ
らの具体的遺伝子以外の、バナナ/レタスPPO遺伝子を含むと理解されるべきで
ある。この用語はまた、成熟型PPOタンパク質をコードする配列と同様に、葉緑
体移行配列などの前配列も含むことができる。
本明細書で使われる「誘導体」という用語は、化学的に、あるいは修飾された
、例えば突然変異を加えた、または標識した核酸、あるいは触媒切断部位を取り
込んだ核酸を含む。
「断片」という用語は、PPO活性をもつポリペプチド、またはペプチドをコー
ドするPPO遺伝子の、機能的な活性を持つ断片を含む。
PPO活性を持つポリペプチドの原料は、バナナまたはレタスPPO活性をもつポリ
ペプチドの原料であることが好ましい。バナナPPO活性を持つポリペプチドの原
料はバナナ果実でもよく、好ましくは幼若なバナナ果実、より好ましくは幼若な
バナナ果実の果肉部分である。レタスPPO活性を持つポリペプチドの原料はレタ
ス葉でもよく、好ましくは幼若なレタス葉である。
RNAは、例えばCTABなどの界面活性剤と、本明細書に引用文献としてその開示
文書が取り入れられている、PCT/AU92/00356で述べられたオリゴdTスパンカラム
を用いるか、またはプロメガ社(Promega Corporation)のポリAトラクト1000シ
ステム(PolyATract 1000 system)などの、市販のキットを用いる抽出法を含む
、適当な方法によって単離してもよい。
本発明のこの態様によれば、cDNAを作製するためにRNAを処理する段階は、cDN
Aを作製するためにRNAを逆転写酵素およびアダプター・プライマーで処理するこ
とを含むかもしれない。
アダプター・プライマーは、次の配列:
またはその一部を含むオリゴヌクレオチド・プライマーでもよい。
第一プライマーは、PPOの一番目の保存された領域に対応する配列を持つ。第
一プライマーは、少なくともPPOの最初の銅結合部位の一部、またはそのごく近
傍に対応する配列であることが好ましい。第二プライマーは、PPOの二番目の保
存された領域に対応した配列を持つ。第二プライマーは、少なくともPPOの二番
目の銅結合部位の一部、またはそのごく近傍に対応する配列であることが好まし
い。より好ましくは、第一プライマーは、少なくともPPOのCuAまたはCuB結合部
位の一つの領域、またはそのごく近傍に対応する配列を持つことが好ましく、ま
た第二プライマーは、PPOのCuAまたはCuB結合部位の一つの領域、またはそのご
く近傍に対応する配列を持つことが好ましい。
第一プライマーおよび第二プライマーは縮重していてもよい。第一プライマー
は、次の配列:
またはその一部を含んでもよい。
第二プライマーは、次の配列:
またはその一部を含んでもよい。
cDNAはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅してもよい。
当業者は、もし銅結合部位が内部にあれば、単離された核酸が、3'末端と5'末
端を欠いたPPO遺伝子の断片であることを理解するだろう。しかし、PPO遺伝子の
完全な塩基配列を決定し、そのようなPPOをコードする核酸、またはそうしたPPO
に対するアンチセンスをコードする核酸を調製もしくは単離することが可能であ
る。
したがって、本発明の別の態様によれば、PPOの3'末端をコードする核酸を調
製する方法が提供され、その方法は、
PPO活性を持つポリペプチドの原料および、
センス方向のプライマー;および
アダプター・プライマー;を提供し、
PPO活性を持つポリペプチドの原料からRNAを単離し;
それからcDNAを作製するためにRNAを処理し;また
そのようにして作製されたcDNAを、プライマーを用いて増幅することを含むも
のである。
本発明の更に別の態様によれば、PPOの5'末端をコードする核酸を調製する方
法が提供され、その方法は、
PPO活性を持つポリペプチドの原料および、
アンカー、および
アンチセンス方向のプライマー;および
アンカー・プライマー;を提供し、
PPO活性を持つポリペプチドの原料からRNAを単離し;
それからcDNAを作製するためにRNAを処理し;また
そのようにして作製されたcDNAの5'末端にアンカーを連結し;
プライマーを用いてこのcDNAを増幅することを含むものである。
PPO活性を持つポリペプチドの原料は、バナナまたはレタスPPO活性をもつポリ
ペプチドの原料であることが好ましい。バナナPPO活性を持つポリペプチドの原
料はバナナ果実でもよく、好ましくは幼若なバナナ果実、より好ましくは幼若な
バナナ果実の果肉部分である。レタスPPO活性を持つポリペプチドの原料はレタ
ス葉でもよく、好ましくは幼若なレタス葉である。
RNAは、例えばCTABなどの界面活性剤と、本明細書の一部としてその開示文書
を含むものとする、PCT/AU92/00356で述べられたオリゴdTスパンカラムを用いる
か、またはプロメガ社のポリAトラクト1000システムなどの、市販のキットを用
いる抽出法を含む、適当な方法によって単離してもよい。
本発明のこの態様によれば、cDNAを作製するためにRNAを処理する段階は、cDN
Aを作製するためにRNAを逆転写酵素およびアダプター・プライマーで処理するこ
とを含むかもしれない。
アダプター・プライマーは、次の配列:
またはその一部を含むオリゴヌクレオチド・プライマーでもよい。
センス方向のプライマーはレタスPPO特異的プライマーでよい。センス方向の
プライマーは次の配列:
またはその一部を含んでもよい。
センス方向のプライマーはバナナPPO特異的プライマーでよい。センス方向の
プライマーは次の配列:
またはその一部を含んでもよい。
アダプター・プライマーは、次の配列:
またはその一部を含んでもよい。
アンチセンス方向のプライマーはレタスPPO特異的プライマーでよい。アンチ
センス方向のプライマーは次の配列:
またはその一部を含んでもよい。
アンチセンス方向のプライマーはバナナPPO特異的プライマーでよい。アンチ
センス方向のプライマーは次の配列:
またはその一部を含んでもよい。
アンカーは、適したタイプのものであれば、いずれのものでもよい。アンカー
は、たとえばT4RNAリガーゼを用い、ライゲーション反応で連結してもよい。ア
ンカー・プライマーは、アンカーとハイブリダイズできるべきである。
cDNAはPCRを用いて増幅してもよい。
当業者は、本発明の方法を用いることによって、関心のあるPPO遺伝子の完全
な核酸配列を決定できる、あるいはそのようなPPOをコードする核酸、またはそ
うしたPPOに対するアンチセンスをコードする核酸を、調製もしくは単離できる
ことを理解するだろう。
本発明の更に別の態様によれば、バナナPPOまたはバナナPPOのアンチセンスを
コードする核酸、およびその断片ならびに誘導体が提供される。その核酸は、第
2図または第3図に示される配列、およびその断片ならびに誘導体、および実質
的に相同な配列を持つことが好ましい。
本発明の更に別の態様によれば、レタスPPOまたはレタスPPOのアンチセンスを
コードする核酸、およびその断片ならびに誘導体が提供される。その核酸は、第
1図に示される配列、およびその断片ならびに誘導体、および実質的に相同な配
列を持つことが好ましい。
この核酸は、本明細書において前述された方法によって調製してもよい。
この核酸は、たとえば触媒切断部位を含むことによって修飾してもよい。
本発明の別の態様よれば、バナナPPOまたはバナナPPOのアンチセンスをコード
する核酸、およびその断片ならびに誘導体を含む組換え体を調製する方法が提供
され、その方法は、
バナナPPOまたはバナナPPOのアンチセンスをコードする核酸、およびその断片
ならびに誘導体;および
ベクターを提供し;また
核酸をベクター内に組み込むために、核酸とベクターを反応させることを含む
。
本発明の更に別の態様によれば、レタスPPOまたはレタスPPOのアンチセンスを
コードする核酸、およびその断片ならびに誘導体を含む組換え体を調製する方法
が提供され、その方法は、
レタスPPOまたはレタスPPOのアンチセンスをコードする核酸、およびその断片
ならびに誘導体;および
ベクターを提供し;また
核酸をベクター内に組み込むために、核酸とベクターを反応させることを含む
。
この核酸は、本明細書において前述された方法によって調製してもよい。
この核酸は、たとえば触媒切断部位を含むことによって修飾してもよい。
ベクターはプラスミド発現ベクターでもよい。たとえば、ブルースクリプトSK
+(Bluescript SK+)は好適であることが分かっている。それに代わるものとし
ては、ベクターはバイナリー・ベクターでもよい。組換え体ベクターは、核酸の
上流にプロモーターを含んでもよく、さらには構成的プロモーターであることが
好ましい。
クローニング法は、好適な形であればどのようなものでもよい。好ましい方法
は、
cDNAを、たとえばカラムはたはゲルによって分画し、
予想されるサイズの断片を、たとえばカラムまたはゲルによって単離すること
を含み;また、
該断片をベクターの適当な制限酵素部位、たとえばブルースクリプトSK+ベク
ターのEcoRV部位にライゲーションすることからなる。
このようにして作製されたクローンをテストするために、適当な微生物をベク
ターで形質転換し、微生物を培養し、それによってコードされるポリペプチドを
発現してもよい。微生物は大腸菌(Escherichia coli)、たとえば大腸菌DH5が
好適であることが分かっている。それに代わるものとして、植物を形質転換する
ために適当なベクターを用いてもよい。
本発明の更に別の態様によれば、バナナPPOまたはバナナPPOのアンチセンスを
コードする核酸、およびその断片ならびに誘導体を含む組換え体ベクターが提供
され、そのベクターは単細胞生物内、あるいはそれに代わるものとしては植物体
内で複製、転写および翻訳され得るベクターである。
本発明の更に別の態様によれば、レタスPPOまたはレタスPPOのアンチセンスを
コードする核酸、およびその断片ならびに誘導体を含む組換え体ベクターが提供
され、そのベクターは単細胞生物内、あるいはそれに代わるものとしては植物体
内で複製、転写および翻訳され得るベクターである。
この核酸は、本明細書において前述された方法によって調製してもよい。
この核酸は、たとえば触媒切断部位を含むことによって修飾してもよい。
ベクターはプラスミド発現ベクターでもよい。たとえば、ブルースクリプトSK
+(Bluescript SK+)は好適であることが分かっている。それに代わるものとし
ては、ベクターはバイナリー・ベクターでもよい。組換え体ベクターは、バナナ
PPOまたはバナナPPOに対するアンチセンスをコードする核酸、断片およびその誘
導体の上流にプロモーターを含んでもよく、さらには構成的プロモーターである
ことが好ましい。
微生物は大腸菌、たとえば大腸菌DH5が好適であることが分かっている。
本発明の更に別の態様によれば、植物組織におけるPPO活性のレベルを低下さ
せる方法が提供され、この方法は、
バナナPPOをコードする核酸、またはバナナPPOをコードする修飾された核酸、
あるいはバナナPPOに対するアンチセンスをコードする核酸、断片およびその誘
導体;および植物試料を提供し;また
形質転換植物体を産生するために、該植物試料へ核酸を導入することからなる
。
本発明の更に別の態様によれば、植物組織におけるPPO活性のレベルを低下さ
せる方法が提供され、この方法は、
レタスPPOをコードする核酸、またはレタスPPOをコードする修飾された核酸、
あるいはレタスPPOに対するアンチセンスをコードする核酸、断片およびその誘
導体;および植物試料を提供し;また
形質転換植物体を作出するために、該植物試料へ核酸を導入することからなる
。
PPO活性は、センスコンストラクトを使うことによっても低下させることがで
きる(コサプレッション(cosuppression))。それに代わるものとして、核酸
はバナナまたはレタスPPO、あるいは機能的に活性のあるそれらの断片に対する
、アンチセンスmRNAをコードする配列を含んでもよい。また、それに代わるもの
として、核酸はバナナまたはレタスPPO、あるいは機能的に活性のあるそれらの
断片をコードし、触媒切断部位を取り込んだもの(リボザイム(ribozyme))で
も良い。この核酸は、本明細書で前述した組換え体ベクターに含まれてもよい。
より好ましい態様では、核酸はバイナリー・ベクターに含まれてもよい。さらに
好
ましい態様では、植物へのバイナリー・ベクターの導入は、このバイナリー・ベ
クターを含むアグロバクテリウム(Agrobacterium)を用いた、植物の感染、あ
るいは核酸でコートした微小弾丸を用いた爆撃法で行ってもよい。アグロバクテ
リウムによるバナナの形質転換法は当業者に知られており、たとえば本明細書に
おいてその開示物の全てが引用文献として取り入れられているメイ(May)ら、B
io/technology(1995)13: 486-492で述べられている。DNAでコートした微小弾
丸を用いた、爆撃法によるバナナの形質転換法は、当業者に知られており、たと
えば本明細書においてその開示物の全てが引用文献として取り入れられているサ
ギ(Sagi)ら、Bio/technology(1995)13: 481-485で述べられている。アグロ
バクテリウムによるレタスの形質転換法は当業者に知られており、たとえば本明
細書においてその開示物の全てが引用文献として取り入れられているミッチェル
モア(Michelmore)ら、Plant Cell Reports(1987)6: 439-442、およびカーテ
ィス(Curtis)ら、Journal of Experimental Botany(1994)45: 1141-1149で
述べられている。
本発明の更に別の態様によれば、植物組織におけるPPO活性のレベルを増加さ
せる方法が提供され、この方法は、
バナナPPOをコードする核酸、またはその断片;および植物試料を提供し;ま
た形質転換植物体を作出するために、該植物試料へ核酸を導入することからなる
。
本発明の更に別の態様によれば、植物組織におけるPPO活性のレベルを増加さ
せる方法が提供され、この方法は、
レタスPPOをコードする核酸、またはその断片;および植物試料を提供し;ま
た形質転換植物体を作出するために、該植物試料へ核酸を導入することからなる
。
この核酸は、本明細書で前述した組換え体ベクターに含まれてもよい。より好
ましい態様では、核酸はバイナリー・ベクターに含まれてもよい。さらに好まし
い態様では、植物へのバイナリー・ベクターの導入は、このバイナリー・ベクタ
ーを含むアグロバクテリウムを用いた、植物の感染、あるいは核酸でコートした
微小弾丸を用いた爆撃法で行ってもよい。
植物は好適なタイプであればどのようなものでもよい。しかし、本方法は特に
バナナまたはレタスに適用できる。
本発明の更に別の態様によれば、形質転換植物が提供され、この植物は正常な
バナナPPO遺伝子の発現を修飾できる核酸を含むものである。
植物は好適なタイプであればどのようなものでもよい。好ましくは、この植物
はバナナである。
本発明の別の態様によれば、形質転換植物が提供され、この植物は正常なレタ
スPPO遺伝子の発現を修飾できる核酸を含むものである。
植物は好適なタイプであればどのようなものでもよい。好ましくは、この植物
はレタスである。
核酸は、本明細書で前述されたようなものでよい。
本発明の更に別の態様によれば、バナナPPOをコードする核酸またはバナナPPO
に対するアンチセンスをコードする核酸、断片およびその誘導体を含む植物ワク
チンが提供される。
本発明の別の態様によれば、レタスPPOをコードする核酸またはレタスPPOに対
するアンチセンスをコードする核酸、断片およびその誘導体を含む植物ワクチン
が提供される。
これより、本発明について、随伴する実施例に関してより完全に述べられるだ
ろう。しかし、以下の記述は単に説明的なものであり、いかようにしても上述の
発明の一般性を制限するものとして受け取られるべきではないことは、理解され
るべきである。
図面の簡単な説明:
第1図: 推定される葉緑体移行配列および成熟型レタスPPOタンパク質の両
方をコードする、複合型LPO1 cDNAヌクレオチド配列、ならびにそれに由来する
タンパク質配列。
第2図: 推定される葉緑体移行配列および成熟型バナナPPOタンパク質の両
方をコードする、BANPPO1 cDNAヌクレオチド配列、ならびにそれに由来するタン
パク質配列。
第3図: バナナPPOタンパク質の一部をコードする、BANPO01 cDNAヌクレオ
チド配列、ならびにそれに由来するタンパク質配列。
実施例1
レタスPPO遺伝子のクローニング
メッセンジャーRNA(mRNA)は、プロメガ社のポリAトラクト1000システムを用
いてレタスの幼若葉から直接単離した。第一鎖cDNAは、本明細書においてその開
示物の全てが引用文献として取り入れられている、「PCRプロトコル:方法と応
用ガイド」(MA イニス(MA Innis)、DH ゲルフラント(DH Gelfrand)、JJ ス
ニンスキー(JJ Sninsky)およびTJ ホワイト(TJ White)編)、アカデミック
・プレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)、pp28-38において、
フローマン(Frohman),MA(1990)が述べるように、オリゴdTプライマー・アダ
プター:
を用い、ファルマシア・バイオテク社(Pharmacia Biotech)のタイムセーバーc
DNA合成キット(Timesaver cDNA Synthesis Kit)によって、逆転写酵素により
合成された。
オリゴヌクレオチドプライマーは、本明細書においてその開示物の全てが引用
文献として取り入れられている、ドライ,IB(Dry,IB)、およびロビンソン,S
P(Robinson,SP)(1994)「ブドウの蔓ポリフェノール・オキシダーゼの分子
クローニングおよびその性格付け」、Plant Molecular Biology 26: 495-502で
述べられている、銅結合部位CuAおよびCuBをコードする遺伝子の保存された領域
にある、既知の植物PPO DNA配列に基づいてデザインした。CuA部位周辺でデザイ
ンされた2種類の順方向プライマー(GEN3およびGEN8)、およびCuB部位付近で
デザインされた1種類の逆方向プライマー(REV1)が合成された:
プライマーは銅結合部位領域にあるが、その一つ(GEN8)は、この酵素の銅結
合部位として従来受け入れられてきた領域のすぐ外側にある。
第一鎖cDNAは、それぞれ1uMの終濃度のGEN3とREV1またはGEN8とREV1プライマ
ーを用い、基本的にはフローマンの方法にしたがって、ポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)によって増幅された(ドライ等)。増幅反応は94℃で1分間変性、37℃で
2分間アニーリング、緩やかな上昇速度で72℃まで2分間、72℃で3分間伸長反
応という、最初のプログラムを2サイクル行い、続いて94℃で1分間変成し、55
℃で1分間アニーリング、72℃で3分間伸長反応を25サイクル行うことからな
る。増幅されたDNA試料を、PCR産物のサイズを決めるためにアガロースゲル電気
泳動にかけ、臭化エチジウムを用いて染色し、またその残りをPCRウィザード・
プレップ(PCR Wizard Prep)カラム(プロメガ社)を用いて精製・濃縮した。
精製したDNAを、Taqポリメラーゼを用いてT-末端化を施した、EcoRV切断したB
luescript SK+ベクター(ストラタジーン)にクローン化し、そしてライゲーシ
ョンしたDNAを電気穿孔法によって大腸菌DH5α株に導入した。予想されるサイズ
の挿入物をもつ、組換え体クローンを選択し、そしてそれらのDNA配列を自動シ
ーケンス装置で決定した。3つの推定されるレタスPPOクローン(LPO316,LPO81
2およびLPO813)が、既知の植物PPO遺伝子との相同性に基づいて同定された。
この配列情報を用いて、ひとつの特異的な順方向プライマー(LET3P)と2つ
の逆方向プライマー(LET5P1またはLET5P2)が合成された:
レタスPPO遺伝子の3'-末端を得るために、1uMのLET3Pプライマーおよび100nM
のアダプタープライマーを用いた、同様なPCR法によって、上述の第一鎖cDNAを
増幅した:
増幅されたcDNAを上述のようにして精製し、2%ニューシーブGTG(Nusieve G
TG)(FMCバイオプロダクツ)アガロースゲルにかけた。アガロースゲルから100
0塩基対の断片を切り出し、このDNAをT-末端化を施した、EcoRV切断したBluescr
ipt SK+ベクターにクローン化して3'-末端クローンLPO9およびLPO10を得、これ
について配列を決定した。
レタスPPO遺伝子の5'-末端は、5'-アンプリファインダー・RACEキット(5'-Am
pliFINDER RACE kit)(クロンテック・ラボラトリーズ)を用いた、フローマン
によって最初に述べられた、5'-RACE法の修飾法によってクローン化した。第一
鎖cDNAは、LET5P2プライマーを用いた逆転写酵素によって、mRNAから合成し、そ
してアンプリファインダーアンカーをこのcDNAの5'-末端にライゲーションした
。このcDNAを、LET5P1プライマーとアンプリファインダー・アンカー・プライマ
ーを用いた、PCRによって増幅した。増幅されたcDNAは上述のようにして精製し
、そして2%ニューシーブGTG(FMCバイオプロダクツ)アガロースゲルにかけた
。850塩基対の断片をゲルから切り出し、
このDNAをT-末端化を施した、EcoRV切断したBluescript SK+ベクターにクローン
化し、5'-末端クローンLPO4、LPO5、LPO6およびLPO7を得て、これらの配列を決
めた。
5'-および3'-クローンは、もとのクローンに対して推定された重複配列を持つ
ことが分かり、レタスPPO(LPO1)の完全な配列は、さまざまなクローンの配列
の組み合わせに由来したものである(第1図)。
実施例2
バナナPPO遺伝子のクローニング
全RNAは、バナナの幼若な果実から単離された。果実組織(3g)を凍結し液体
窒素中でコーヒーグラインダーを用いて細粉化し、次いで、65℃に保った20mlの
抽出緩衝液(2%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、2%
ポリビニルピロリドン、100mM Tris-HCl,pH8.0、25mM EDTA、2M NaCl、0.05%
スペルミジン、2% β-メルカプトエタノール)を加えた。この抽出液を20mlのク
ロロホルム/IAAと混合し、次に5,000 RPMで20分間遠心し、そして水層を再び
クロロホルム/IAAで抽出した。この水層をミラクロスでろ過し、0.25容の10M L
iClを加え、次にこの試料を4℃で一夜インキュベーションし、その後8,000 RPM
で20分間遠心した。上清を除き、ペレットを0.5mlの1M NaCl、0.5% SDS、10mM
Tris,pH8.0および1mM EDTAに再懸濁した。このRNAを等量のクロロホルム/IAA
で一回抽出し、2容のエタノールを加えた。-70℃で40分間インキュベーショ
ンした後、この溶液を10,000 RPMで15分間遠心した。上清を除き、ペレットを
80%エタノールでリンスし、それを捨て、乾かした。このペレットは50ulの滅菌
液に再懸濁した。
第一鎖cDNAは、本明細書においてその開示物の全てが引用文献として取り入れ
られている、ドライ,IB、およびロビンソン,SP(1994)「ブドウの蔓ポリフェ
ノール・オキシダーゼの分子クローニングおよびその性格付け」、Plant Molecu
lar Biology 26: 495-502で述べられている逆転写酵素を用い、本明細書におい
てその開示物の全てが引用文献として取り入れられている、「PCRプロトコル:
方法と応用ガイド」(MA イニス(MA Innis)、DH ゲルフラント(DH Gelfrand
)、JJ スニンスキー(JJ Sninsky)およびTJ ホワイト(TJ White)編)、アカ
デミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)、pp28-38に
おいて、フローマン(Frohman),MA(1990)が述べるように、オリゴdTプライマ
ー・アダプター:
を用い、10ugの全RNAから合成された。
オリゴヌクレオチドプライマーは、銅結合部位CuAおよびCuBをコードする遺伝
子の保存された領域にある、既知の植物PPO DNA配列に基づいてデザインした(
ドライら)。CuA部位周辺でデザインされた1種類の順方向プライマー(GEN3)
および、CuB部位付近でデザインされた1種類の逆方向プライマー(REV1)が合
成された:
第一鎖cDNAは、それぞれ1uMの終濃度のGEN3とREV1プライマーを用い、基本的
にはフローマンの方法にしたがって、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増
幅された(ドライら)。増幅反応は94℃で1分間変成し、37℃で2分間アニーリ
ング、緩やかな上昇速度で72℃まで2分間、72℃で3分間伸長反応という、最初
のプログラムを2サイクル行い、続いて94℃で1分間変成し、55℃で1分間アニ
ーリング、72℃で3分間伸長反応を25サイクル行うことからなる。増幅された
DNA試料を、PCR産物のサイズを決めるためにアガロースゲル電気泳動にかけ、臭
化エチジウムを用いて染色し、またその残りをPCRウィザード・プレップ(PCR W
izard Prep)カラム(プロメガ社)を用いて精製・濃縮した。
精製したDNAを、Taqポリメラーゼを用いてT-末端化を施した、EcoRV切断したB
luescript SK+ベクター(ストラタジーン)にクローン化し、そしてライゲーシ
ョンしたDNAを電気穿孔法によって大腸菌DH5α株に導入した。予想されるサイズ
の挿入物をもつ、組換え体クローンを選択し、そしてそれらのDNA配列を自動シ
ーケンス装置で決定した。推定されるバナナPPOクローン(BPO3)は、既知の植
物PPO遺伝子に対する相同性に基づいて同定された。
この配列情報を用いて、ひとつの特異的な順方向プライマー(BAN1)と2つの
逆方向プライマー(BAN2RまたはBAN3R)が合成された:
バナナPPO遺伝子の3'-末端を得るために、1uMのBAN1プライマーおよび100nMの
アダプタープライマーを用いた、同様なPCR法によって、上述の第一鎖cDNAを増
幅した:
このDNAは、94℃で1分間変成し、55℃で1分間アニーリング、72℃で3分間
伸長反応を25サイクル行って増幅した。増幅されたDNAをキアクイック・スピ
ンPCR精製キット(QIAquick Spin PCR Purification Kit)(キアジェン)を用
いて精製し、2%ニューシーブGTG(FMCバイオプロダクツ)アガロースゲルにか
けた。アガロースゲルから1000塩基対の断片を切り出し、このDNAをT-末端化を
施した、EcoRV切断したBluescript SK+ベクターにクローン化して3'-末端クロー
ンBPO17を得、これについて配列を決定し、これがBPO3の3'-末端をコードするこ
とを示した。
BPO3の5'-末端は、フローマンによって最初に述べられた、5'-RACE法の修飾法
によってクローン化した。
第一鎖cDNAは、バナナPPO特異的プライマーBAN2Rを用いることを除いて、上述と
同様にしてバナナ果実RNAから合成された。このDNAは、フローマンにおいて述べ
られたように末端転移酵素で末端処理し、それぞれ1uMの終濃度のBAN3RとB26プ
ライマーを用いたPCRで増幅した。このDNAは、94℃で1分間変性し、55℃で1分
間アニーリング、72℃で3分間伸長反応を30サイクル行って増幅した。増幅さ
れたcDNAを1.8%ニューシーブGTG(FMCバイオプロダクツ)アガロースゲルにか
け、700塩基対の断片をゲルから切り出した。このDNAをキアクイック・ゲル・抽
出キット(QIAquick Gel Extraction Kit)によって抽出し、T-末端化を施した
、EcoRV切断したBluescript SK+ベクターにクローン化し、5'-末端クローンBPO2
6を得て、これらの配列を決め、これがBPO3の5'-末端をコードすることを示した
。
重複するクローンBPO3、BPO17およびBPO26を両方向から完全に配列決定し、バ
ナナPPO遺伝子(BANPPO1)の配列は、これらの配列を組み合わせることによって
得られた(第2図)。
これらの実験の途中で、上述の方法を用い、B25プライマーと他の植物PPO遺伝
子にある、保存された配列に基づく縮重プライマー:
の一つを用いたPCR増幅法によって、バナナ果実cDNAから多数のクローンが得ら
れた。これらのクローンの大部分はBANPPO1と同一のものであったが、BANPPO11
と呼ばれる一つのクローンは明瞭に異なることがわかり、その配列は第3図の示
されている。
最後に、本明細書で概説した意図から離れることなく、さまざまな他の修飾お
よび/または改変が行われてもよいと理解されるべきである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年3月3日
【補正内容】
請求の範囲
1. バナナまたはレタスのPPO活性をもつポリペプチドの材料、少なくともPPO
の最初の銅(Cu)結合部位の一部、またはそのごく近傍に対応する配列をもつセ
ンス方向の第一プライマー、少なくともPPOの二番目の銅結合部位の一部または
そのごく近傍に対応する配列をもつアンチセンス方向の第二プライマーを;およ
びアダプター・プライマーを提供し;
PPO活性を持つポリペプチドの材料からRNAを単離し、そのRNAを処理して複製D
NA(cDNA)を作製し;
そのようにして作製されたcDNAを、第一および第二プライマーを用いて増幅す
る各工程を含む、PPOをコードする核酸、断片およびその誘導体を調製するため
の方法。
2. 第一プライマーが、次の配列:
またはその一部を含む、請求の範囲第1項に記載の方法。
3. 第二プライマーが、次の配列:
またはその一部を含むような、請求の範囲第2項に記載の方法。
4. cDNAを作製するためにRNAを処理する段階が、cDNAを作製するためにRNAを
逆転写酵素および次の配列:
またはその一部を持つアダプター・プライマーで処理することを含む、請求の範
囲第1項に記載の方法。
5. バナナまたはレタスのPPO活性を持つポリペプチドの原料、アンカー、ア
ンチセンス・プライマー、およびアンカー・プライマーを提供し;
バナナまたはレタスのPPO活性を持つポリペプチドの原料からRNAを単離し;
cDNAを作製するためにRNAを処理し;
そのようにして作製されたcDNAの5'末端にアンカーを連結し;そして
プライマーを用いてこのcDNAを増幅してPPOの5'末端をコードする核酸を調製
する、各工程をさらに含む、請求の範囲第4項に記載の方法。
6. 核酸がレタスPPOをコードし、センス方向のプライマーが次の配列:
またはその一部を含み、アンチセンス方向のプライマーが次の配列:
またはその一部を含む、請求の範囲第5項に記載の方法。
7. 核酸がバナナPPOをコードし、センス方向のプライマーが次の配列:
またはその一部を含み、アンチセンス方向のプライマーが次の配列:
またはその一部を含む、請求の範囲第5項に記載の方法。
8. アダプター・プライマーが次の配列:
またはその一部を含む、請求の範囲第5項に記載の方法。
9. バナナPPOまたはバナナPPOに対するアンチセンス、およびその断片ならび
に誘導体をコードする核酸。
10. 触媒切断部位を含む、請求の範囲第9項に記載の核酸。
11. 第2図または第3図に示された配列、その断片および誘導体、および実
質的に相同な配列をもつ、請求の範囲第9項に記載の核酸。
12. レタスPPOまたはレタスPPOに対するアンチセンス、およびその断片なら
びに誘導体をコードする核酸。
13. 触媒切断部位を含む、請求の範囲第12項に記載の核酸。
14. 第1図に示した配列、およびその断片ならびに誘導体、および実質的に
相同な配列をもつ、請求の範囲第12項に記載の核酸。
15. ベクターが単細胞生物または、それに代るものとしては植物において複
製、転写および翻訳され得る、請求の範囲第9項に記載の組換え体ベクター。
16. ベクターが単細胞生物または、それに代るものとしては植物において複
製、転写および翻訳され得る、請求の範囲第12項に記載の組換え体ベクター。
17. 請求の範囲第9項に記載の核酸;及び植物試料を提供し;
該核酸を該植物試料に導入して、形質転換バナナ植物を作製する各工程を含む
、バナナ植物組織においてPPO活性レベルを低下させる方法。
18. 請求の範囲第12項に記載の核酸;および植物試料を提供し;
該核酸を該植物試料に導入して形質転換レタス植物を作製する各工程を含む、
レタス植物組織においてPPO活性レベルを低下させる方法。
19. 正常なバナナPPO遺伝子の発現を修飾できる核酸を含む、形質転換バナ
ナ植物。
20. 正常なレタスPPO遺伝子の発現を修飾できる核酸を含む、形質転換レタ
ス#植物。
【手続補正書】
【提出日】1997年11月25日
【補正内容】
(1)明細書第17頁下から第3行と第2行との間に、下記の記載を挿入する。
『 実施例3
バナナ果皮PPO遺伝子のクローニング
全RNAは、幼若なバナナ果実の果皮から単離された。果実組織(3g)を凍結し
液体窒素中でコーヒーグラインダーを用いて細粉化し、次いで、65℃に保った20
mlの抽出緩衝液(2%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、
2%ポリビニルピロリドン、100mM Tris-HCl,pH8.0、25mM EDTA、2M NaCl、0.0
5% スペルミジン、2% β-メルカプトエタノール)を加えた。この抽出液を20ml
のクロロホルム/IAAと混合し、次に5,000 RPMで20分間遠心し、そして水層を
再びクロロホルム/IAAで抽出した。この水層をミラクロスでろ過し、0.25容の1
0M LiClを加え、次にこの試料を4℃で一夜インキュベーションし、その後8,000
RPMで20分間遠心した。上清を除き、ペレットを0.5mlの1M NaCl、0.5% SDS、
10mM Tris,pH8.0および1mM EDTAに再懸濁した。このRNAを等量のクロロホルム
/IAAで一回抽出し、2容のエタノールを加えた。-70℃で40分間インキュベー
ションした後、この溶液を10,000 RPMで15分間遠心した。上清を除き、ペレッ
トを80%エタノールでリンスし、それを捨て、乾かした。このペレットは50ulの
滅菌液に再懸濁した。
第一鎖cDNAは、参考文献2が述べるように、オリゴdTプライマー・アダプター
(参考文献1):
を用い、10ugの全RNAから合成された。
オリゴヌクレオチドプライマーは、既知の植物PPO DNA配列に基づいてデザイ
ンされた。広範な異なる植物由来の、多数のPPO配列を比較することによって、
大部分が2ヵ所の銅結合部位CuAおよびCuB(2)をコードする領域内あるいはその
近傍に、この遺伝子の保存された領域があることを同定することができた。CuA
部位周辺でデザインされた順方向プライマー(GEN,GEN9およびGEN10)、および
、CuB部位付近でデザインされた逆方向プライマー(REV1およびREV2)が合成さ
れた:
第一鎖cDNAは、それぞれ1uMの終濃度のGENとREVプライマーを用い、基本的に
はフローマンの方法(1)にしたがって、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増
幅された(2)。増幅反応は94℃で1分間変性、37℃で2分間アニーリング、緩や
かな上昇速度で72℃まで2分間、72℃で3分間伸長反応という、最初のプログラ
ムを2サイクル行い、続いて94℃で1分間変性、55℃で1分間アニーリング、72
℃で3分間伸長反応を25サイクル行うことからなる。増幅されたDNA試料を、P
CR産物のサイズを決めるためにアガロースゲル電気泳動にかけ、臭化エチジウム
を用いて染色した。その残りを低融点アガロースにかけ、必要なバンドを切り出
した。DNAは、キアキックPCR精製キット(キアジェン)によってアガロースから
精製した。
精製したDNAを、Taqポリメラーゼを用いてT-末端化を施した、EcoRV切断したB
luescript SK+ベクター(ストラタジーン)にクローン化し、そしてライゲーシ
ョンしたDNAを電気穿孔法によって大腸菌DH5α株に導入した。予想されるサイズ
の挿入物をもつ、組換え体クローンを選択し、そしてそれらのDNA配列を自動シ
ーケンス装置で決定した。推定されるバナナPPOクローン(BPPO3およびBPPO8)
は、既知の植物PPO遺伝子に対する相同性に基づいて同定された。
参考文献
1.フローマン,MA(1990)、「PCRプロトコル:方法と応用ガイド」(MA イニス
(MA Innis)、DH ゲルフラント(DH Gelfrand)、JJ スニンスキー(JJ Snin
sky)およびTJ ホワイト(TJ White)編)、アカデミック・プレス(Academic P
ress)、ニューヨーク(New York)、pp28-38
2.ドライ,IB(Dry,IB)、およびロビンソン,SP(Robinson,SP)(1994)
「ブドウの蔓ポリフェノール・オキシダーゼの分子クローニングおよびその性格
付け」、Plant Molecular Biology 26: 495-502』
(2)明細書第12頁第1行と2行との間に、下記の記載を挿入する。
『第4図: バナナPPOタンパク質の一部をコードする、BPPO2 cDNAヌクレオチ
ド配列およびそれに由来するタンパク質配列。
第5図: バナナPPOタンパク質の一部をコードする、BPPO8 cDNAヌクレオチ
ド配列およびそれに由来するタンパク質配列。』
(3)添付の第4図及び第5図を追加する。
【図4】
【図5】
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
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MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
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