JPH11504620A - アルキルアリールポリエーテルアルコールポリマーを用いる嚢胞性線維症患者における粘液繊毛のクリアランス - Google Patents
アルキルアリールポリエーテルアルコールポリマーを用いる嚢胞性線維症患者における粘液繊毛のクリアランスInfo
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Abstract
(57)【要約】
治療有効量のアルキルアリールポリエーテルアルコールのポリマーをそれを必要とする化学的系または生物学的系に投与することを含む、酸化体を抑制する方法および薬剤。また、粘液繊毛浄化し、サイトカインの産生を抑制し、および嚢胞性線維症の患者におけるインターロイキン−8の産生を抑制する方法および薬剤。この方法は、治療有効量のアルキルアリールポリエーテルアルコールのポリマーをそれを必要とする化学的系または生物学的系に投与することからなる。薬剤は好ましくは哺乳動物の呼吸系の中へのエーロゾル適用により投与される。薬剤は、また、哺乳動物の皮膚に適用される。好ましくは、薬剤は、生理学的に緩衝化された溶液、等張塩類液、標準塩類液、ワセリンに基づく軟膏および米国薬局方コールドクリームから成る群より選択することができる生理学上許容される担体を含む。
Description
【発明の詳細な説明】
アルキルアリールポリエーテルアルコールポリマーを用いる嚢胞性線維症患者に
おける粘液繊毛のクリアランス
発明の背景
発明の分野
本発明は、慢性肺性炎症の治療におけるアルキルアリールポリエーテルアルコ
ールポリマーの使用に関する。さらに詳しくは、本発明は、核ファクト(fac
t)−カッパ・ベータの活性化を減少し、そして前炎症性サイトカインTNF−
α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6、インターロイキン−8、
および成長因子GN−CSFの分泌を抑制するためのアルキルアリールポリエー
テルアルコールポリマーの使用に関する。
先行技術
酸化体仲介損傷の論考
酸素はエネルギー代謝のためにそれに依存する好気性植物および動物に生命を
与えている。また、酸素はその安定な2酸素(O2)状態から3つの部分的に還
元された種のいずれか1つに変化されるとき、それらの同一生物に対して致死的
であることがある:a)1つの電子が減少した形態の超酸化物のアニオン(O2 -
);b)2つの電子が減少した形態の過酸化水素(H2O2);または極端に3つ
の電子が減少した形態のヒドロキシルラジカル(・OH)。生物学的系において
、O2-およびH2O2は酸素をコファクターとして使用する酵素(オキシゲナーゼ
)の宿主の代謝副生物である。H2O2は、また、スーパーオキシドジスムターゼ
の酵素的作用によ
りO2 -から生成する。しかしながら、一般にO2 -およびH2O2が危険なサイクル
的レドックス反応において鉄および銅のような金属の遷移イオンと相互作用する
ときにのみ、・OHは生成する:
Fe3+ + ・O2 - → Fe2+ + O2
Fe2+ + H2O2 → Fe3+ + ・OH + −OH
上記反応は、生物学的系において普通の超酸化物推進フェントン(Fenton
)反応と呼ばれている。フェントン反応は、また、第二鉄イオンおよびH2O2の
存在において他の還元性物質、例えば、アスコルビン酸塩により開始されること
がある。
・O2 -およびH2O2の各々は生物学的系に対して毒性であるが、・OH(および
その別の仮定された形態のフェリル中間体FeO2+)は高度に反応性の種であり
、不飽和膜脂質を酸化し、細胞タンパク質を損傷し、そしてDNAにおいて突然
変異誘発的鎖破壊を引き起こすことがある。通常の条件下に部分的に還元された
O2種からの損傷を予防するために、細胞は酸化防止酵素(スーパーオキシドジ
スムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ)および酸化防止性分
子(グルタチオン、アルファ−トコフェロール、ベータカロテン)の苦心して作
られた系を発展させた。しかしながら、部分的に減少されたO2種の生成がそれ
らを含有する細胞の酸化防止剤の防御能力を超えるとき、酸化体の損傷が起こる
。
哺乳動物の疾患実体の数の増大は、部分的に減少されたO2種の過剰生成に関
係すると現在考えられている。このような疾患実体は、再灌流損傷症候群、心筋
梗塞および卒中、成人の呼吸窮迫症候群、肺の酸素毒性、アスベストからの肺の
損傷、パーキンソン病、皮膚の熱傷および日焼け、および非ステロイドの抗炎症
剤からの胃腸管に対する損傷を包含する(参照、表IV、第60ページ、Hal
liwell BおよびGutteridge JMC「Meth
ods in Enzymology」(1990)186:1−85)。これ
らの症状の治療は、部分的に減少されたO2種の酵素的産生を予防する方法、ま
たは生物学的系および化学的系における酸化体−酸化防止剤の釣合いを回復する
外因性酸化防止化合物の導入のいずれかに向けられることが多くなっている。
嚢胞性線維症の論考
嚢胞性線維症の特徴は、物理療法を使用してさえ、明らかすることが困難であ
る、嚢胞性線維症の患者における、濃厚な、粘質の、化膿性の気道分泌物の豊富
な産生である。これらの分泌物は気道を塞ぎ、気道内の炎症プロセスを不活発化
することによって、閉塞性肺疾患の進行に大きく寄与する。
嚢胞性線維症は、米国における最も普通の致死的な劣性遺伝病である。(参照
、Di Sant’AgreseおよびDavis、Cystic Fibro
sis in Adults:75 Cases and a Review
of 233 Cases in the Literature、「Am.J
.Med.」(1976)66:121−122。)それは北ヨーロッパの系統
の人に主として影響を与える疾患であり、そして米国において1500〜200
0人の白色人種の生産毎に1回および17,000人のアメリカ黒人の生産毎に
1回発生する。(参照、SteinbertおよびBrown、On the
Incidence of Cystic Fibrosis on the
Pancreas、「Am.J.Human Genet.」(1969)12
:416−424;Kramm、Crane、Sinkin、およびBrown
、A Cystic Fibrosis Pilot Survey in T
hree in Three New England States、「Am
.J.Public He
alth」(1962)52:2041−2051;Merritt、Hann
a、Todd、およびMyers、The Incidence and Mo
de of Inheritance of Cystic Fibrosis
、「J.Lab.Clin.Med.」(1962)60:990−999;お
よびShultz、Schlisinger、およびMoser、The Er
ie County Survey of Long Term Chlidh
ood Disease「Am.J.Public Health」(1966
)56:1461−1469)。米国の人口の約5%は嚢胞性線維症の劣性遺伝
子のキャリヤーである。(参照、Kramm 他、上掲)。嚢胞性線維症の患者
のうちで、約50%は21歳の年令に到達する前に死亡する。(参照、Di S
ant’AgreseおよびDavis、Research in Cysti
c Fibrosis、「New EnglandJ.Med.」(1976)
295:481−488.)したがって、この疾患における予後を改善するいか
なる関与も、米国における嚢胞性線維症からの幼年期および青年期の死亡率およ
び罹患率に対して主要な影響を有するであろう。
嚢胞性線維症の患者における死亡率および罹患率の主要な原因は、進行性肺疾
患である。(参照、Stern、Boat、Doershuk、Tucker、
Psimiano、およびMatthews、Course of Cysti
c Fibrosis in 95 Patients、「J.Pediatr
ics」(1976)89:406−411。)肺疾患は出生時に存在しないが
、後の幼年期および青年期の間に発生する。(参照、SturgessおよびI
mrie、Quantitative Evaluation of the
Development of Tra
cheal Submucosal Glands in Infants w
ith Cystic Fibrosis and Control Infa
nts、「Am.J.Pathol.」(1992);106:303−311
;Davis、Pathophysiology of Pulmonary
Disease in Cystic Fibrosis、「Seminars
Respir.Med.」(1985)6:261−270;およびWood
、Boat、およびDoershuk、Cystic Fibrosis、「A
m.Rev.Respir.Dis.」(1969)113:833−878。
)
嚢胞性線維症の肺疾患の病因における最も早期の事象は不確実であるが、細い
気道の炎症は初期の病変である。(参照、Davis、上掲。)嚢胞性線維症の
患者は明確な呼吸性の微生物叢を有するので、この炎症は初期の感染により引き
起こされることがある。(参照、Mearns、Hunt、Rushworth
、Bacterial Flora of the Respiratory
Tract in Patients with Cystic Fibros
is、1950−1971、「Arch.Dis.Child」(1972)4
7:902−907;およびMay、Herrick、およびThompson
、Bacterial Infections in Cystic Fibr
osis)「Arch.Dis.Child」(1972)47:908−91
3。)
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、一般に
嚢胞性線維症の疾患の過程の初期において優勢の微生物であり、そして後に緑膿
菌(Pseudomonas aeruginosa)、特にムコイド菌株によ
り取って代わられる。(参
照、Tococca、Sibringo、およびBarbeso、Respir
atory Tract Bacteriology in Cystic F
ibrosis、「Am.J.Dis.Child」(1963)106:31
5−325;およびDoggett、Harrison、Stillwell、
およびWallis、An Atypical Pseudomonas ae
ruginose Associated with Cystic Fibr
osis of Pancreas、「J.Pediat.」(1966)68
:215−221。)
嚢胞性線維症の患者の気道における感染および炎症は確立されると、粘膜分泌
装置の栄養過度および過形成が発生し、綿毛細胞は杯細胞と置換され、そして鱗
状の変質形成は顕著となる。衝撃を受けた粘液の下において、粘膜の表皮剥離お
よび潰瘍化が起こることがある。この破壊は徐々により大きい気道を含む呼吸樹
まで進行する。気管支壁に対する構造的損傷が起こり、そして気管支拡張が発生
する。2歳の年令を過ぎて剖検に来る嚢胞性線維症の患者の大部分において、気
管支拡張および粘液膿性詰まりが存在する。(参照、Bedrsossian、
Greenberg、およびGisner、The Lung in Cyst
ic Fibrosis、「Human Pathol.」(1976)7:1
95−204。)
嚢胞性線維症の患者における肺疾患の進行にいくつかの因子が寄与するが、そ
れらの中で重要なものは気道粘液の濃厚な、粘性の特質である。濃厚な分泌物は
気道を閉塞しかつ肺体積の減少に寄与するばかりでなく、かつまた炎症プロセス
を気道内に止まらせ、これにより化膿性呼吸分泌物が容易に喀出された場合より
もより豊富なプロテアーゼおよび酸化体の環境に気道の粘膜を暴露させる。化膿
性分泌物の増大された粘弾性は、一部分、変性する多形核好中球(PMN)の核
からの重合したポリアニオン性デオキシリボ核酸(DNA)の存在のためである
。(嚢胞性線維症の患者からの粘液または痰の特徴の論考については、下記の文
献を参照のこと。例えば、Lethem 他、The Role of Muc
ous Glycoproteins in the Rheologic P
roperties of Cystic Fibrosis Sputus、
「Am.Rev.Respir.Dis.」(1990)142:1053−1
058。)
また、痰の粘着性への寄与は、PMNの細胞質ゾルからの豊富な架橋したアク
チンフィラメントの存在である。嚢胞性線維症の痰の粘弾性を減少しかつそれが
いっそう容易に喀出されるようにする戦略は、天然に存在する細胞外酵素である
組換えヒトDNアーゼI(rhDNアーゼ)をエーロゾル投与してDNAを溶解
すること、または正常の細胞間切断タンパク質であるゲルゾリンをエーロゾル投
与してアクチンを解重合することを包含する。(嚢胞性線維症の治療の論考につ
いては、下記の文献を参照のこと。例えば、Cantin 他、Protect
ion by Antibiotics Against Myelopero
xidase−Dependent Cytotoxicity to Lun
g Epithelial Cells in Vitro、「Journal
of Clinical Investigation」(1993、1月)
91:38−45;Ramsey 他、Efficacy of Aeroso
lized Tobramycin in Patients with Cy
stic Fibrosis、「The New England Journ
al of Medicine」(1993、6月)328:1740−174
6;Vasconcellos 他、Reduction in Viscos
ity of Cystic Fibrosis Sputum in Vit
ro by Gelsolin、「Science」(1994、2月)263
:969−971;Hubbard、McElvaney、およびBirrer
、A Preliminary Study of Aerosolized
Recombinant Human Deoxyribonuclease
I in the Treatment of Cystic Fibrosi
s、「New England J.Med.」(1992)326:812−
815;Ranasinha、Assoufi、およびShak、Effica
cy and Safety of Short−Term Administ
ration of Aerosolized Recombinant Hu
man DNase I in Adults with Stable St
age Cystic Fibrosis、「Lancet」(1993)34
2:199−202;Ramsey、Astley、およびAitken、”E
fficacy and Safety of Short−Term Adm
inistration of Aerosolized Recombina
nt Human Deoxyribonuclease in Patien
ts with Cystic Fibrosis、「Am.Rev.Resp
ir.Dis.」(1993)148:145−151;およびFuchs 他
、Effect of Aerosolized Recombinant H
uman DNase on Exacerbations Of Respi
ratory Symptoms and on Pulmornary Fu
nction in Patients
with Cystic Function、「The New Engla
nd Journal of Medicine」(1994、9月)331:
10:637−642。)
チロキサポールを包含する、アルキルアリールポリエーテルアルコールポリマー
の論考
さらに、アルキルアリールポリエーテルアルコールポリマーはポリマーの既知
のクラスであり、そして商業的に表面活性洗浄剤および湿潤剤として使用されて
いることは注目に値する(米国特許第2,454,541号、1948年発行、
発明者:BockおよびRainey、出願人:Rohm & Haas)。こ
のクラスのうちで最もよく知られているものは、チロキサポール、すなわち、4
−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールとホルムアルデヒドおよ
びオキシランとのポリマーである。
そのうえ、チロキサポールは比較的無毒であり、そして他の洗浄剤が溶血性で
ある濃度の1000倍において赤血球を溶解しない(Glassman、「H.
N.Science」(1950)111:688−689)。チロキサポール
はヒト医薬処方物において30年間にわたって使用されてきている(Taint
er、M.L.他「New England Journal of Medi
cine」(1955)253:764−767)。
例えば、ウィントロプ・ラボラトリーズ(Winthrop Laborat
ories)(Sterling Drug,Inc.のディビジョン)および
ブレオン(Breon Laboratories)(Sterling Dr
ug,Inc.の子会社)により商標ALEVAIRERで販売されおり、0.
125%のSUPERINONER(チロキサポールのブランド)を、2%の重
炭酸ナトリウムおよび5%のグリセリンと組み合わせて含有する組
成物は、慢性気管支炎、クループ、百日咳、およびポリオのような疾患および障
害をもつ患者における粘液性分泌物の治療において約30年間市販されてきた。
(例えば、下記の題名のパンフレットを参照のこと:「ALEVAIRER D
etergent Aerosol for Inhalation」(196
5、11月)、Breon Laboratoriesから頒布されている。)
しかしながら、1981年の12月に、ALEVAIRER(商標)は、慢性
気管支炎、クループ、百日咳、およびポリオのような疾患および障害をもつ患者
における粘液性分泌物の治療のための効能を欠如するために、食品医薬品局(米
国)により回収された。なぜなら、簡単な希釈により分泌物を希釈することにお
いて、慢性気管支炎のような疾患からの肺中の分泌物に対して、水の効果よりも
、ALEVAIRER(商標)中のチロキサポールは効果を有するという証拠が
存在せず、そして製造業者の書誌中の論文は臨床的印象に基づき、適切な対照を
反映していないことが発見されたからである。(参照、1994年5月27日付
けのMs.Carolann W.Hooton(マリイランド州ロックビレ、
フッド・アンド・アドミニストレーション、パブリック・ヘルス・サービス、デ
パートメント・オブ・ヘルス・アンド・ヒューマン・サービス・センター・フォ
ー・ドラッグ・エバリュエーション・アンド・リサーチ、フリーダム・オブ・イ
ンフォメーション・オフィスの主任)からのThomas Kennedy博士
(本願の共同発明者の1人である)への手紙。)
驚くべきことには、本発明者らは、成人の慢性気管支炎の治療のために以前に
使用された粘液溶解剤、すなわち、チロキサポール(食品医薬品局により市場か
らALEVAIRER(商標)の回収に関して下記の論考を参照のこと)は、嚢
胞性線維症の痰の粘弾性特
性を著しく減少することを発見した(下記の実施例IV参照)。
背景の論考の梗概
酸化防止剤は、安定な化学的形態に容易に酸化することができる化合物である
。酸化防止剤は、決定的に重要な化学的分子および生物学的分子の酸化に先立っ
てそれら自体酸化されることによって、化学的系および生物学的系を保護するこ
とができる。すべての酸化可能な化合物が酸化防止機能を実行できるわけではな
い。化学的分子および生物学的分子を酸化体から首尾よく保護するためには、酸
化防止剤はそれが保護しようとする化学的分子または生物学的分子よりも酸化体
に対して高い反応性をもたなくてはならない。酸化防止特性を有する多数の化合
物を合成することは理論的には可能である。しかしながら、生物学的系における
治療剤としてのこれらの酸化防止剤の使用を制限する因子は、酸化防止化合物そ
れら自体の固有の毒性である。
したがって、医学的薬理学的調製物において普通に使用される無毒の成分の1
クラスが、また、有効な酸化防止剤であることを発見することは主要な利点であ
る。このような化合物は部分的に還元されたO2種と反応するばかりでなく、か
つまた生物学的系に対する毒性を発生させずに酸化体仲介疾患の治療剤として使
用できる。さらに、嚢胞性線維症の患者のために、それらを嚢胞性線維症の痰の
粘液繊毛浄化剤として、単球腫瘍壊死因子の分泌のインヒビターとして、および
インターロイキン−8産生のインヒビターとして使用できることを発見すること
は主要な利点である。
発明の要約
以後説明するように、この一部継続出願における本発明は、アルキルアリール
ポリエーテルアルコールポリマー、例えば、チロキサ
ポールが嚢胞性線維症の患者において嚢胞性線維症の痰の粘液繊毛浄化(muc
ociliary clearance)剤として、単球腫瘍壊死因子の分泌の
インヒビターとして、およびインターロイキン−8産生のインヒビターとしてど
のように有効であるかを記載する。投与は米国特許第5,474,760号およ
び米国特許出願第08/039,732号明細書(これらにはアルキルアリール
ポリエーテルアルコールのポリマーが酸化体反応および部分的に還元されたO2
種からの生物学的損傷のブロッキングにおいて酸化防止剤として有効である理由
が記載されている)に記載されている投与と同一であり、そして明瞭のために下
記において再び説明する。
本発明の目的は、部分的に還元されたO2種により引き起こされる酸化体の化
学的反応を抑制する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、部分的に還元されたO2種からの損傷に対して哺乳動物
の組織を保護する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、HOCl/OCl(便宜上、本明細書において、これを
またHOClと呼ぶ)による気道の損傷から患者を保護するために、疾患を有す
る患者における嚢胞性線維症を治療する方法および薬剤を提供することである。
本発明の他の目的は、治療剤を使用するエーロゾル処置により、部分的に還元
されたO2種により引き起こされる酸化剤の化学反応を抑制する方法を提供する
ことである。
本発明の他の目的は、治療剤を皮膚に局所的に適用することによって、部分的
に還元されたO2種により引き起こされる酸化体の化学反応を抑制する方法を提
供することである。
本発明の他の目的は、例えば、薬剤を使用するエーロゾル処置により、患者を
気道損傷から保護するために、嚢胞性線維症を有する患者における嚢胞性線維症
の痰を粘液繊毛浄化する方法および薬剤
を提供することである。
本発明の他の目的は、化学誘引因子インターロイキン−8の局所的産生を抑制
することによって、単球腫瘍壊死因子の分泌を抑制し(こうして、嚢胞性線維症
の肺疾患の患者が悩まされる悪液質および/または食欲不振(anexoria
)を改善し)かつ気道の損傷を減少する方法および薬剤を提供することである。
生物学的系に対して低い毒物学的ポテンシャルを有する化合物の毒物学的に特
徴づけられたクラスから、治療剤が製造されるというこが、本発明の1つの利点
である。
いくつかの図面および下記の実施例を含む明細書を考察すると、本発明の追加
の目的および利点を当業者は決定できるであろう。
本発明は、治療的に有効量のチロキサポールであるアルキルアリールポリエー
テルアルコールのポリマーを含んでなる、化学的系および生物学的系における部
分的に還元されたO2種の有害作用を抑制する薬剤を提供する。
また、本発明は、治療的に有効量のチロキサポールおよび関係するアルキルア
リールポリエーテルアルコールのポリマーを嚢胞性線維症の哺乳動物に投与する
ことからなる方法および薬剤を提供する。
本発明の好ましい態様において、薬剤は呼吸系の中に直接的に点滴注入され、
そしてエーロゾル適用により投与される。この態様において、薬剤は好ましくは
生理学的に緩衝化された溶液、等張塩類液、および標準塩類液から選択すること
ができる生理学上許容される担体と、追加の治療的に有効量のセチルアルコール
とを含む。アルキルアリールポリエーテルアルコールのポリマーおよび担体の混
合物のpHは、好ましくは6.5より大きいが、7.4に等しいか、またはそれ
より低い。
本発明の他の好ましい態様において、薬剤は皮膚に局所的に適用される。この
態様において、薬剤は好ましくは商業的に入手可能なワセリンに基づく軟膏また
は米国薬局方コールドクリームから選択される生理学上の担体を含む。
図面の簡単な説明
下記の詳細な説明を参照すると、図面と組み合わせて本発明をよりよく理解で
きるであろう。
第1図は、アルキルアリールポリエーテルアルコールのポリマーとして知られ
ている化合物のクラスの提案された構造を示し、ここでR=エチレン、R1=t
−オクチル、Xは1より大きく、そしてyは8〜18である。
第2図は、サリチレートのヒドロキシル化により測定された、フェントン反応
による・OHの発生に対するチロキサポールの抑制作用を示す。
第3図は、糖である2−デオキシリボースの酸化により測定された、フェント
ン反応による・OHの発生に対するチロキサポールの抑制作用を示す。
第4図は、100%の酸素に対して暴露され、そして標準塩類液、チロキサポ
ール、およびチロキサポール+セチルアルコールで治療されたラットにおける肺
の湿潤/乾燥重量比を示す。
第5図は、100%の酸素に対して暴露され、そして標準塩類液、チロキサポ
ール、およびチロキサポール+セチルアルコールで治療されたラットにおける胸
膜液の蓄積を示す。
発明の詳細な説明
アルキルアリールポリエーテルアルコールのポリマーは、一般に
、米国特許第2,454,541号(1948、ローム・アンド・ハース)(そ
の開示は引用することによって本明細書の一部とされる)においてBockおよ
びRaineyが記載するように、アルキルアリールアルコールをホルムアルデ
ヒドと縮合させることによって製造できる。この特許明細書に開示されているす
べてのアルキルアリールポリエーテルアルコールのポリマーは、本発明において
有効であろう。いくつかの特定のアルキルアリールポリエーテルアルコールのポ
リマーは従来記載された方法により容易に合成できる(J.W.Confort
h、他「Nature」(1951)168:150−153)。このクラスの
プロトタイプの化合物は、ローム・アンド・ハース・カンパニー(ペンシルベニ
ア州フィラデルフィア)から薬学上許容される純度で好都合に購入することがで
きる。
嚢胞性線維症の痰の粘液繊毛浄化、単球腫瘍壊死因子の分泌の抑制およびイン
ターロイキン−8の産生の抑制についてアルキルアリールポリエーテルアルコー
ルのポリマー、特にチロキサポールを使用して嚢胞性線維症の患者を治療するこ
とは、米国特許第5,474,760号および米国特許出願第08/039,7
32号明細書に記載する投与と本質的に同一である。
さらに詳しくは、部分的に還元されたO2種の過剰生成に関係する哺乳動物の
呼吸の症状の治療、および嚢胞性線維症の痰の粘液繊毛浄化、単球腫瘍壊死因子
の分泌の抑制、およびインターロイキン−8産生を抑制するために、アルキルア
リールポリエーテルアルコールのポリマーを注射用の無菌の0.9%NaCl中
に溶解し、NaOHまたはHClの添加によりpHをほぼ7.0に調節する。非
ポリマーのアルキルアルコールまたはアリールアルコール、例えば、セチルアル
コール(ヘキサデカノール)をチロキサポールの重量
の1〜1.5倍に等しい量で添加して、酸化体の損傷に対する保護におけるこの
混合物の有効性を増加することができる。
次いで、この混合物を呼吸系の中への直接的点滴注入により肺に投与する。こ
の混合物は、また、5ミクロンの質量メジアン直径より小さい呼吸可能な粒子を
生成する臨床的に利用可能な正圧駆動ネブライザーを使用して、エーロゾル適用
により投与することができる。
1例として、チロキサポールの0.125%の溶液を無菌の0.9%NaCl
中で調製し、二重ガラス蒸留脱イオン水でそれを呼吸分泌物に関して等張とする
。pHをほぼ7.0に調節して、極端な酸性またはアルカリ性から生ずる気管支
痙攣を防止する。この混合物を0.22ミクロンのミリポア(Millipor
e)フィルターを通する真空濾過により滅菌し、そして各3.3mlを5mlの
単位投与量のガラスバイアルの中に包装し、ゴム栓をしてアルミニウム製の型を
つけた「フリップ・ティアー」シールでしっかりと固定する。製品を追加的に滅
菌するために、単位投与量のバイアルを最終的に125℃において12〜14分
間オートクレーブ処理する。5%濃度のグリセロールを必要に応じて上記混合物
に添加して、エーロゾル適用の間の液体粒子大きさを安定化することができる。
治療的に有効投与量の投与のために、臨床的に利用可能な正圧駆動ネブライザ
ー(AcornまたはdeVilbiss)を使用して、3mlの無菌のチロキ
サポール溶液を4〜6時間毎にエーロゾルとして吸入させる。また、この混合物
を機械的ベンチレーターの呼吸送出回路の中に噴霧することができる。ベータ交
感神経アゴニスト気管支拡張剤(例えば、1.25〜2.5mgのアルブテロー
ル)をチロキサポール溶液と混合し、付随的に噴霧して、チロキサポール溶液そ
れ自体から起こりうる一時的気管支痙攣を予防するこ
とができる。
皮膚の酸化体仲介障害、例えば、日焼けの治療のために、基剤ベヒクルとして
商業的に入手可能なワセリンに基づく軟膏、例えば、Aquaphor(Bei
ersdorf,Inc.、コネチカット州ノーオーク)、白色ワセリンまたは
米国薬局方コールドクリーム中のアルキルアリールポリエーテルアルコールのポ
リマー、例えば、チロキサポールを使用して、0.5〜5%の混合物(w/w)
を調製する。この混合物を影響を受けた皮膚上に3〜4回/日軽く擦り込む。
本発明のそれ以上の理解を促進するために、下記の実施例により、本発明のあ
る種の特定の詳細を説明する。
実施例Iは、化学的系におけるOHインヒビターとしてのアルキルアリールポ
リエーテルアルコールのポリマーの有効な活性を証明する。実施例IIは、10
0%の酸素への暴露からの哺乳動物の肺の損傷を予防するためにアルキルアリー
ルポリエーテルアルコールのポリマーを使用する治療的利益を証明する。実施例
IIIは、化学的系におけるHOClの掃去剤としてのアルキルアリールポリエ
ーテルアルコールのポリマーの有効な活性を証明する。実施例IVは、嚢胞性線
維症の患者からの痰の粘液溶解剤としてのチロキサポールの活性を証明する。実
施例Vは、サイトカインの産生およびインターロイキン−8の産生の抑制を証明
する。実施例I フェントン反応により発生する酸化体の抑制
酸化体の標的分子としてサリチレートを使用してアルキルアリールポリエーテ
ルアルコールのポリマーの酸化防止活性を試験するために、第1化学的系を使用
した。ヒドロキシル基はサリチル酸(2ヒドロキシ安息香酸)と反応して、2つ
のジヒドロキシ安息香酸生
成物、2,3−および2,5−ジヒドロキシ安息香酸、を生成する。これらのヒ
ドロキシル化生成物は・OH発生の証拠を提供する(R.A.Floyd 他、
「Journal of Biochemical and Biophysi
cal Methods」(1984)10:221−235;R.A.Flo
yd 他、「Journal of Free Radicals in Bi
ology & Medicine」(1986)2:13−18)。
高性能液体クロマトグラフィーおよび電気化学的検出を使用して、2,3−お
よび2,5−ジヒドロキシ安息香酸の検出を実施した。10μMのFeCl3、
1.0mMのH2O2、1.0mMのアスコルビン酸塩、および10.0μMのサ
リチル酸の懸濁液を使用して・OHを発生させ、検出した。0.1mlの標準塩
類液またはチロキサポール(0.0〜10mg/mlの最終濃度)を添加した。
反応混合物を45℃において30分間インキュベートし、1200gにおいて1
0分間遠心した。上清を0.22μMのマイクロフュージ管フィルター(PGC
Scientific No.352−118)を通して15,000gにお
いて遠心した(Beckman Microfuge E)。
溶離液の100μlの試料をC18 PR HPLCカラム(250×4.7
mm、Beckman No.235329)上に注入した。−0.40VDC
の還元電位に設定したクーロケム(Coulochem)電気化学的検出器(E
SA5100a型)でサリチレートのヒドロキシル化生成物を定量した。ガード
・セル(guard cell)(スクリーンとして使用した)を+0.40V
DCの酸化電位に設定した。測定を2回行なった。第2図は、反応混合物へのチ
ロキサポールの添加が濃度依存的方法においてOH発
生を抑制することを示す。
酸化体の標的分子として2−デオキシリボースを使用してアルキルアリールポ
リエーテルアルコールのポリマーの酸化防止活性を試験するために、第2化学的
系を使用した。このペントース糖は酸化体と反応して、生成物の混合物を生成す
る。低いpHにおいてチオバルビツル酸(TBA)とともに加熱すると、これら
の生成物はピンク色の発色団を形成し、この発色団は532nmにおけるその吸
収により測定することができる(B.HalliwellおよびJ.M.C.G
utteridge「Methods in Enzymology」(199
0)186:1−85)。
酸化体を発生させるために使用する化学的系は、ハンクス均衡塩溶液中に10
.0μMのFeCl3、1.0mMのアスコルビン酸塩、1.0mMのH2O2、
および10.0mMのデオキシリボースを含有する反応混合物であった。この系
は、直ぐ上の参考文献においてHalliwellおよびGutteridge
が記載しているように、生物学的分子上の部位特異的・OH発生を測定するため
に有用である。0.1mlの標準塩類液またはチロキサポール(0.0〜10.
0mg/mlの最終濃度)のいずれかを添加した。
反応混合物を45℃において30分間インキュベートし、1200gにおいて
10分間遠心した。1mlの1.0%(w/v)のTBAおよび2.8%(w/
v)のトリクロロ酢酸の双方を1.0m1の上清に添加し、100℃に10分間
加熱し、氷中で冷却し、そして発色団を三重反復実験において532nmにおい
て決定した。第3図は、532nmにおいて生成した酸化体の反応の吸収により
測定して、反応混合物への10mg/mlのチロキサポールの添加がデオキシリ
ボースの酸化の顕著な抑制を引き起こしたことを示す。
酸化体の発生の鉄源としてアスベストおよび酸化体の標的分子として2−デオ
キシリボースを使用してアルキルアリールポリエーテルアルコールのポリマーの
酸化防止活性を試験するために、第3化学的系を使用した。アスベストによる酸
化体の発生は以前に記載された(A.J.Ghio 他、「American
Journal of Physiology」(Lung Cellular
and Molecular Physiology 7)(1992)26
3:L511−L518)。反応混合物は、2.0mlのリン酸塩緩衝液(PB
S)の合計体積において、下記の成分を含有した:1.0mMのデオキシリボー
ス、1.0mMのH2O2、1.0mMのアスコルビン酸塩、および1.0mg/
mlのクロシドライトアスベストを含有した。この混合物を37℃において撹拌
しながら1時間インキュベートし、次いで1,200gにおいて10分間遠心し
た。
上記の節において詳細したように、デオキシリボースのTBA反応性生成物を
測定することによって、酸化体の発生を評価した。測定を三重反復実験において
実施した。下記表Iは、532における酸化体反応生成物の吸収により測定して
、チロキサポールの添加が濃度依存的方法においてアスベストによる酸化体の発
生を抑制したことを示す。
実施例II 100%の酸素により哺乳動物の肺損傷からの保護
アルキルアリールポリエーテルアルコールのポリマーが無傷の生物学的系に対
する酸化体の損傷に対して保護できるかどうかを決定するために、この治療を肺
に対する酸素の毒性のよく確立されたモデルにおいて研究した(J.F.Tur
rens 他、「Journal of Clinical Investig
ation」(1984)73:87−95)。60日齢のSpraque−D
awleyラット(Charles River,Inc.、マサチュセッツ州
ウィルミントン)に、0.5mlの標準塩類液、チロキサポール(6.0mg)
またはチロキサポール(6.0mg)およびセチルアルコール(ヘキサデカノー
ル、11.0mg)のいずれかを気管を通して点滴注入した。次いでこれらのラ
ット(各処置群においてn=10)を、プレクシグラスのチャンバー中で空気ま
たは100%の酸素に10リットル/分の流速において暴露させた。
酸素の百分率をポーラログラフ電極によりモニターし、連続的に98%より上
に維持した。温度を20〜22℃に維持した。4時間毎に動物をチェックするこ
とによって、生存時間を測定した。同様に処置したラットのいくつかの群(各処
置群においてn=10)を100%の酸素に61時間暴露し、次いで100mg
/kgの腹腔内ペントバルビタールで安楽死させた。横隔膜中の小さい切開を通
して胸腔から胸膜液を吸引することによって、胸膜液体積を測定した。組織を6
0℃において96時間乾燥した後、左肺から、肺の湿潤/乾燥重量比を計算した
。生存率のデータを下記表IIに示す。
塩類液を点滴注入されたプラシーボ対照動物に比較して、気管内にチロキサポ
ールを投与されたラットは顕著に改良された生存率を
有した。チロキサポールの保護作用は、それをセチルアルコールと組合わせるこ
とによってさらに増強された。
肺の湿潤/乾燥重量比はチロキサポールまたはチロキサポールおよびセチルア
ルコールで処置されたラットにおいて実質的に低く(第4図)、チロキサポール
またはチロキサポールとセチルアルコールとの組合わせは酸化体の損傷からの浮
腫の形成に対して保護することを証明する。チロキサポールまたはチロキサポー
ルとセチルアルコールとの組合わせで処置されたラットは、また、塩類液で処置
された対照よりも胸膜液の蓄積が低かった(第5図)。
これらの結果は、酸化体との組織の損傷に対して保護するアルキ
ルアリールポリエーテルアルコールのポリマー、例えば、チロキサポールの能力
を証明する。さらに、生存率の研究(表II)は、薬剤の保護作用がそれをアル
コール、例えば、セチルアルコールと組合わせることによって増強されることを
証明する。実施例III HOClの掃去
OCl-1を掃去するチロキサポールの活性を試験して、ジエタノールアミンの
その対応するクロルアミンへのOCl-1仲介変換を防止するその能力を研究した
(「Determination of HOCl Production b
y Micloperoxidase」、Robert A.Greenwal
d編、Handbook of Methods for Oxegen Ra
dical Research、CRC Press、Boca Raton、
Florida(1987)、p.300)。 反応混合物は、0.9mlの0
.1H酢酸ナトリウム緩衝液pH4.5中の10.0mMのジエタノールアミン
からなっていた。この溶液に、100μlの0.1MのNaClまたは0.1M
のNaCl中のチロキサポールを添加し、そして基線吸収を280nmにおいて
読んだ。NaOClを10mMの最終濃度に添加した。反応混合物を15分間イ
ンキュベートし、そして吸収を280nmにおいて測定した。NaOClの添加
の前後におけるA280の差を安定なクロラミンの濃度の測度として使用した。実
験を三重反復実験において実施した。結果を下記表IIIに要約する。
こうして、チロキサポールはHOClの酸化体活性の有効なインヒビターであ
り、嚢胞性線維症のような疾患における気道のHOCl仲介酸化体損傷の予防に
おいて有効である。嚢胞性線維症の患者への気管点滴注入によるチロキサポール
の投与はこれらの患者において産生されるHOClを抑制し、したがって、患者
を酸化体損傷から保護する。多少のセチルアルコールをチロキサポールと混合す
る場合、結果はいっそうすぐれるであろう;好ましくは、セチルアルコールはチ
ロキサポールの重量の1〜1.5倍で添加される。
患者への投与についての試料の調製は、本明細書における「発明の詳細な説明
」の節において前述したのと同一であり、最も好ましくは、4〜6時間毎の噴射
エーロゾルによるチロキサポールの0.125%の溶液の3mlの吸入である。実施例IV チロキサポールを使用する嚢胞性線維症の患者からの痰の治療
チロキサポールを使用する試験のために、嚢胞性線維症の患者でありかつ薬剤
の治療を受けていない11人の被検体から痰を取った(下記においてCF群と表
示する)。また、チロキサポールを使用する試験のために、DNアーゼの治療を
受けている嚢胞性線維症の患者であり3人の被検体から痰を取った(下記におい
てCF/DNアーゼ群と表示する)。
さらに、チロキサポールを使用する比較試験のために、成人の気管支拡張症の
患者である2人の被検体(下記においてAB群と表示する)および健康である、
正常の、疾患をもたない人である3人の
被検体(下記において対照群と表示する)から痰を取った。そのうえ、比較試験
の一部分として、痰の試料(CF、CF/DNアーゼ、AB、および対照)を塩
類液で試験した。
痰の試料を下記のようにして試験した。ブルックフィールド(Brookfi
eld)コーン/プレート粘度計(Brookfield Engineeri
ng Laboratories,Inc.、マサチュセッツ州スタウトン)を
使用して、痰の粘度を研究した。痰(750μl)を0.9%の塩類液または塩
類液中の0.125%のチロキサポール(250μl)と3:1で混合し、30
秒間撹拌し、次いで37℃において15分間インキュベートした。患者1および
9のCP痰の初期粘度は測定に高過ぎたので、それらのCF痰を塩類液または塩
類液中のチロキサポールで、それぞれ、1:3および1:1に希釈した。
試験が明瞭に示すように、CF群からの痰について、チロキサポールは塩類液
で希釈した痰の試料に比較して粘度の減少において顕著な効果を有した(すなわ
ち、痰の平均粘度は32.3cp低下した、すなわち、CF群において塩類液に
ついての44.7cpからチロキサポールおよび塩類液についての12.4cp
に低下した)が、AB群からの痰について、チロキサポールは痰の塩類液による
単なる希釈に比較して粘度の減少においてほとんど無効であった(すなわち、痰
の平均粘度はわずかに2.7cp低下した、すなわち、塩類液についての6.9
cpからチロキサポールおよび塩類液についての4.2cpに低下した)。結果
を下記表IVに要約する。
したがって、チロキサポールは嚢胞性線維症の痰の粘度を減少するために有効
な薬剤であり、そして嚢胞性線維症のような疾患における気道の損傷を予防する
とき有効である。嚢胞性線維症の患者への気管点滴注入によるチロキサポールの
投与は、これらの患者において産生された痰の粘液繊毛浄化のために働き、した
がって患者を損傷から保護する。多少のセチルアルコールをチロキサポールと混
合する場合、結果はいっそうすぐれるであろう;好ましくは、セチルアルコール
はチロキサポールの重量の1〜1.5倍で添加される。患者への投与についての
試料の調製は、本明細書における「発明の詳細な説明」の節において前述したの
と同一であり、最も好ましくは、4〜6時間毎の噴射エーロゾルによるチロキサ
ポールの0.125%の溶液の3mlの吸入である。実施例V 嚢胞性線維症の患者に関係するチロキサポールによるサイトカイン産生の抑制
重症の嚢胞性線維症の肺疾患を有する患者において顕著な悪液質および/また
は食欲不振(anorexia)は、嚢胞性線維症のマクロファージによる腫瘍
壊死因子(TNF)遺伝子の転写および分泌の速度の増加により引き起こされる
。(参照、Pfeffer、Huecksteadt、およびHoidal、″
Expression and Regulation of Tumor N
ecrosis Factor in Macrophage from Cy
stic Fibrosis Patients、「Am.J.Respir.
Cell Mol.Biol.」(1993)9:511−519。)また、チ
ロキサポールは嚢胞性線維症の患者に投与するとき、悪い嚢胞性線維症の病態生
理学的のこの
面を改善するであろう。なぜなら、下記において示すように、それは単球−マク
ロファージ細胞系によりTNF分泌の有効な抑制剤であるからである。
健康なヒトのボランティアの静脈血を等しい体積の無菌の等張塩類液/10m
MのHEPESと混合することによって、単球を調製した。この混合物を30m
lのアリコートで50mlのコニカルポリプロピレン管の中に入れた。希釈した
血液の各アリコートの下に20〜25mlの無菌のリンパ球分離培地(LSM;
Organon−Technika、ノースカロリナ州ダーハム)を横たえた。
管を室温において400gで40分間遠心分離した。界面における単球層を取
り出し、無菌の等張塩類液/10mMのHEPES中で2回洗浄し、次いでRP
MI−1640中で洗浄した。100U/mlのペニシリン、100μg/ml
のストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸、1%の
非必須アミノ酸、25mMのHEPES、および5%の熱不活性化ヒト血清を補
充したRPMIの中に、精製された単球を2×106において懸濁させた。
48ウェルの平らな底の組織培養プレートの各ウェルに、0.5mlの細胞懸
濁液を添加した。チロキサポール(4×完全培地中で所望最終濃度に希釈した)
を250μlの体積で各ウェルに添加した。対照ウェルに250μlの完全培地
を添加した。
37℃において加湿した5%の二酸化炭素中で、サイトカイン産生の刺激因子
として100ng/mlのチフス菌(Salmonella typhosa)
の存在または非存在において、細胞懸濁液を16時間インキュベートした。
インキュベーション後、上清を吸引し、結合しない細胞および細胞デブリを濾
過により除去した。ELISA捕捉アッセイを使用し
て細胞不含上清中で、サイトカインの解放を測定した。各被験サイトカインの分
泌を50%だけ抑制するために有効なチロキサポールの濃度(EC50)を下記表
Vに要約する(インターロイキンをILと略す)。
したがって、チロキサポールは、単球TNF分泌の有効なインヒビターとして
、嚢胞性線維症の肺疾患を有する患者が悩まされる悪液質および/または食欲不
振を改善するであろう。また、インターロイキン−8(IL−8)は嚢胞性線維
症の患者の気道における炎症を永続化する重要な化学走性メディエイターである
(参照、Nakamura、Yoshimura、McElvaney、および
Crystal、″Neutrophil Elastase in Resp
iratory epithelial Lining Fluid of I
ndividuals with Cystic Fibrosis Indu
ces Interleukin−8 Gene Expression in
a Human Bronchial Epithelial Cell L
ine、「J.Clin.Invest.」(1992)89:1478−14
84;およびMcElvaney、Nakamura、およびBirrer、M
odulation of Airway Inflammation in
Cystic Fibro
sis.In Vivo Suppression of Surface b
y Aerosolization of Recombinant Secr
etory Leucoprotease Inhibitor、「J.Cli
n.Invest.」(1992)90:1296−1301)ので、チロキサ
ポールは、また、化学誘引因子IL−8の局所的産生を抑制させることによって
気道の損傷を減少するであろう。
それゆえ、嚢胞性線維症の患者への気管点滴注入によりチロキサポールの投与
は単球TNF分泌の有効なインヒビターとして働き、そして嚢胞性線維症の肺疾
患を有する患者が悩まされる悪液質および/または食欲不振を改善しそして、ま
た、化学誘引因子IL−8の局所的産生を抑制することによって気道の損傷を減
少し、したがって、嚢胞性線維症の患者を損傷から保護するであろう。多少のセ
チルアルコールをチロキサポールと混合する場合、結果はいっそうすぐれるであ
ろう;好ましくは、セチルアルコールはチロキサポールの重量の1〜1.5倍で
添加される。患者への投与についての試料の調製は、本明細書における「発明の
詳細な説明」の節において前述したのと同一であり、最も好ましくは、4〜6時
間毎の噴射エーロゾルによるチロキサポールの0.125%の溶液の3mlの吸
入である。
添付された請求の範囲には本発明の種々の新規かつ有用な特徴が記載されてい
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AT,AU
,AZ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,
CZ,CZ,DE,DE,DK,DK,EE,EE,E
S,FI,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,
LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N
O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
,SI,SK,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,
UG,US,UZ,VN
(72)発明者 ケネディ,トーマス,ピー.
アメリカ合衆国,バージニア 23229,リ
ッチモンド,グランド ドライブ 213
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.嚢胞性線維症の疾患を有する哺乳動物に、酸化体種により引き起こされる 酸化体の化学反応を阻害し、これにより哺乳動物の疾患の実体を治療するために 有効量のアルキルアリールポリエーテルアルコールとホルムアルデヒドおよびオ キシランとのポリマーを投与することを含む、HOClの過剰生成から生ずる嚢 胞性線維症の疾患の実体を治療する方法。 2.アルキルアリールポリエーテルアルコールとホルムアルデヒドおよびオキ シランとのポリマーの前記投与が4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル) フェノールとホルムアルデヒドおよびオキシランとのポリマーの投与を含む、請 求項1に記載の方法。 3.前記投与が前記ポリマーを哺乳動物の気道の中に直接的に投与することを 含む、請求項1に記載の方法。 4.前記投与がエーロゾル適用によりポリマーを投与することを含む、請求項 1に記載の方法。 5.前記投与が生理学上許容される担体を含むポリマーの投与を含む、請求項 1に記載の方法。 6.前記投与が前記担体を生理学的に緩衝化された溶液から選択することを含 む、請求項5に記載の方法。 7.前記投与が前記生理学的に緩衝化された溶液を等張塩類液、標準塩類液、 およびそれらの組合わせから成る群より選択することを含む、請求項6に記載の 方法。 8.嚢胞性線維症の疾患を有する哺乳動物において痰の粘度を減少し、これに より嚢胞性線維症の痰を粘液繊毛浄化するために、有効量のアルキルアリールポ リエーテルアルコールとホルムアルデヒドおよびオキシランとのポリマーを投与 することを含む、嚢胞性線 維症の痰の粘液繊毛浄化方法。 9.アルキルアリールポリエーテルアルコールとホルムアルデヒドおよびオキ シランとのポリマーの前記投与が4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル) フェノールとホルムアルデヒドおよびオキシランとのポリマーの投与を含む、請 求項8に記載の方法。 10.前記投与が前記ポリマーを哺乳動物の気道の中に直接的に投与すること を含む、請求項8に記載の方法。 11.前記投与がエーロゾル適用によりポリマーを投与することを含む、請求 項8に記載の方法。 12.前記投与が生理学上許容される担体を包含するポリマーの投与を含む、 請求項8に記載の方法。 13.前記投与が前記担体を生理学的に緩衝化された溶液から選択することを 含む、請求項12に記載の方法。 14.前記投与が前記生理学的に緩衝化された溶液を等張塩類液、標準塩類液 、およびそれらの組合わせから成る群より選択することを含む、請求項13に記 載の方法。 15.前記投与がDNアーゼを包含するポリマーの投与を含む、請求項8に記 載の方法。 16.嚢胞性線維症の疾患を有する哺乳動物に、単球腫瘍壊死因子の分泌を抑 制し、これにより嚢胞性線維症の肺の疾患を有する哺乳動物が悩まされる悪液質 および/または食欲不振を改善するために有効量のアルキルアリールポリエーテ ルアルコールとホルムアルデヒドおよびオキシランとのポリマーを投与すること を含む、腫瘍壊死因子の分泌を抑制する方法。 17.アルキルアリールポリエーテルアルコールとホルムアルデヒドおよびオ キシランとのポリマーの前記投与が4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル )フェノールとホルムアルデヒドおよび オキシランとのポリマーの投与を含む、請求項16に記載の方法。 18.前記投与が前記ポリマーを哺乳動物の気道の中に直接的に投与すること を含む、請求項16に記載の方法。 19.前記投与がエーロゾル適用によりポリマーを投与することを含む、請求 項16に記載の方法。 20.前記投与が生理学上許容される担体を包含するポリマーの投与を含む、 請求項16に記載の方法。 21.前記投与が前記担体を生理学的に緩衝化された溶液から選択することを 含む、請求項20に記載の方法。 22.前記投与が前記生理学的に緩衝化された溶液を等張塩類液、標準塩類液 、およびそれらの組合わせから成る群より選択することを含む、請求項21に記 載の方法。 23.嚢胞性線維症の疾患を有する哺乳動物に、インターロイキン−8の産生 を抑制し、これにより嚢胞性線維症の肺の疾患を有する哺乳動物における気道の 損傷を改善するために有効量のアルキルアリールポリエーテルアルコールとホル ムアルデヒドおよびオキシランとのポリマーを投与することを含む、インターロ イキン−8の産生を抑制する方法。 24.アルキルアリールポリエーテルアルコールとホルムアルデヒドおよびオ キシランとのポリマーの前記投与が4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル )フェノールとホルムアルデヒドおよびオキシランとのポリマーの投与を含む、 請求項23に記載の方法。 25.前記投与が前記ポリマーを哺乳動物の気道の中に直接的に投与すること を含む、請求項23に記載の方法。 26.前記投与がエーロゾル適用によりポリマーを投与することを含む、請求 項23に記載の方法。 27.前記投与が生理学上許容される担体を包含するポリマーの 投与を含む、請求項23に記載の方法。 28.前記投与が前記担体を生理学的に緩衝化された溶液から選択することを 含む、請求項27に記載の方法。 29.前記投与が前記生理学的に緩衝化された溶液を等張塩類液、標準塩類液 、およびそれらの組合わせから成る群より選択することを含む、請求項28に記 載の方法。
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