JPH114849A - 保護眼鏡用アダプタ - Google Patents

保護眼鏡用アダプタ

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JPH114849A
JPH114849A JP17523997A JP17523997A JPH114849A JP H114849 A JPH114849 A JP H114849A JP 17523997 A JP17523997 A JP 17523997A JP 17523997 A JP17523997 A JP 17523997A JP H114849 A JPH114849 A JP H114849A
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glass
adapter
laser light
laminated glass
transparent resin
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Shigeo Okamoto
茂男 岡本
Takashi Tsutsumi
高志 堤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保護眼鏡に装着される保護眼鏡用積層ガラス
の改良に関し、野外での使用に適したガラス構成を備え
た保護眼鏡である。特に、軍事用等で使用に耐えるレー
ザー光からの眼を保護するとともに、可視効率を高くし
遠景解像度の向上と地平線での識別機能等を大幅にアッ
プさせた保護眼鏡に関する。 【解決手段】 保護眼鏡の積層ガラスが外から順に熱吸
収ガラス、透明なアセテート、ポリカーボネート等から
選択された強化膜、イエローガラスから接着形成され、
これらガラスを取付手段により眼鏡本体に装着させたレ
ーザー光遮光性を有する保護眼鏡用アダプタ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてレーザー
光から眼を保護する遮光保護眼鏡に関する。一般にゴー
グルと呼ばれる保護眼鏡に装着される保護眼鏡用積層ガ
ラスに関し、野外での使用に適したガラス構成を備えた
保護眼鏡である。特に、軍事用等で使用に耐えるレーザ
ー光からの眼を保護するとともに、可視効率を高くし遠
景解像度の向上、距離測定の容易さと地平線での識別機
能等を大幅にアップさせた保護眼鏡アダプタに関する。
【0002】
【従来の技術】軍事用、医療用、プリンター等ではレー
ザー光が使用されている。これらの波長域での眼に対す
る安全性が叫ばれている。特に、軍事用等で目標物まで
の距離測定に、また、医療用メス等でもこの波長域は人
の眼で識別できない。レーザー光線は気体、固体発信源
から発射され各々固有のコヒーレントな狭い波長領域を
もち、エネルギー密度が極めて高い。誤って眼に入ると
網膜が破壊され失明の危険が高くなる。本発明はこの危
険を確実に回避する保護眼鏡の提供にある。
【0003】また、この種の遮光機能を有する保護眼鏡
も知られている。これに使用される光学ガラス素材、例
えばプラスチック製のものがある。これは耐熱性が低い
ためレーザー光を受けると短時間で孔が空き十分ではな
かった。強度的にも硬度が低いため傷が付きやすいとい
った欠点を有していた。あるいは、ガラス製のものも開
発されている。しかしながら、強度的にはレーザー光に
よる発熱が問題であった。このため、レーザー光を受け
た部分が熱歪みのため破損するといった問題点があっ
た。このため、熱膨張係数の極めて低いガラスが必要で
あった。しかしながら、コスト面等では不利な点であっ
た。また、安全面からガラスの肉厚を厚くすることが考
えられる。しかしながら、遮光能力はガラス厚みに依存
するため厚くなるほど可視域波長の吸収が増大する欠点
があった。さらに、光学ガラスに赤外反射コート(以
下、IRコートという)を施すことが考えられる。しか
しながら、その効力は光の入射角に依存するため、ある
角度を越えると著しく効力が低下する欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点を
解消し、ガラス層を複数の組み合わせとし、かつ、それ
らの間隙にさらに特定の透明樹脂層を形成させることに
これらの欠点を解決することを可能とした。この結果、
積層ガラス層としたことでプラスチックに比べ強度、特
に傷がつきにくいといった本来の効果が期待される結果
となった。また、上記のように極めて小さな熱膨張係数
のガラスを必要としない。さらに、透明樹脂層の形成は
偏光膜使用の場合に対し可視光での透過率が高くとれ、
結果として視野の明るい監視が可能となった。特に、軍
事用等では画角の広さを要求される。この使用に耐える
レーザー光からの眼を保護するとともに、可視効率を高
くし遠景解像度の向上、距離測定の容易さ、地平線での
識別機能等を大幅にアップさせた保護眼鏡用アダプタが
提供できる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、積層ガラスが
外から順に熱吸収ガラス、アセテート、ポリカーボネー
トから選択された透明樹脂膜層、イエローガラスの3層
から形成され、これら接着された前記ガラスをアダプタ
取付手段に装着するとともに、前記取付手段をフレーム
を介して眼鏡本体に嵌着させたレーザー遮光性を有する
保護眼鏡用アダプタにより提供される。
【0006】また、積層ガラスが外から順にイエローガ
ラス、アセテート、ポリカーボネートから選択された透
明樹脂膜層、熱吸収ガラスの3層から形成された前記の
場合に、前記イエローガラスの透明樹脂層側にIRコー
トを施した場合に、化学強化された強化面が積層ガラス
の外面側に配置された場合に効果的に提供される。さら
に、前記眼鏡本体の前面がABS樹脂からなり、その周
囲部がアルミニウム粉末を加えて成形された耐熱樹脂か
ら形成され、レーザー光遮断用金属粉末を加えた場合等
に効果的に提供される。さらにまた、これらのアダプタ
を装着した保護眼鏡として提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】実施例について図面を参照して説
明する。図1は本発明の保護眼鏡に使用可能な積層ガラ
スの一実施例を示す一部を省略した切欠断面図、図2は
アダプタ本体の一部を省略した切欠断面を示す側面図、
図3は保護眼鏡の内側に挿入されるアダプタ装着用フレ
ームにアダプタ取付部材が取り付けられた状態を示す一
部省略された平面図である。図4は保護眼鏡及びフレー
ムに装着されたアダプタ取付部材の一部切欠側面断面図
である。アダプタ本体1は円筒体で樹脂またはアルミ素
材が適当で、前者は成型性、軽量といった特徴がある。
図の上側内周面にネジ溝6、下側外周面にネジ溝7を形
成した。ネジ溝7は図4のフレーム10にネジ溝14を
介して締め付けられる。段差を少なくするためのテーパ
ー8がつけられている。これはさらにフィルターを追加
する場合の外径部分の段差をなくし使い易さを提供す
る。
【0008】以下はアルミ素材を用いた場合で説明する
が、樹脂製でも可能なことはいうまでもない。アルミナ
処理されたアルミ素材を表面は黒色、梨地艶消しに仕上
げ、大きさは保護眼鏡用自体の各眼鏡サイズとほぼ同程
度の大きさとする。例えば、アダプタ外形は50ないし
78mm、高さ約10mmのものが適当である。実施例
ではJIS B7111、呼び径55mmのものを使用
して説明する。表1は各実施例の一覧であり、順を追っ
て説明する。
【0009】
【表1】
【0010】実施例1 表1のAの組み合わせからなる積層ガラスを用いた。図
2のアダプタ本体1は図1に示した積層ガラス2が装着
される。積層ガラス2は2つのガラス層3,5と1つの
透明樹脂層4から形成され各々接着される。積層ガラス
2はアダプタ本体1に周縁部分で接着等で取り付けられ
る。取付方法としては接着、固定金具等任意に選択が可
能である。例えば、積層ガラス2をアタプタ内周部で接
着固定する。他の方法としては積層ガラス2の周縁部を
金具で固定する方法である。具体的には、積層ガラス2
をアダプタ本体1の内周でリアスプリングワッシャによ
り外れないよう固定しておくことで達成できる。
【0011】次に、各ガラスの厚さはいずれも1ないし
3mm、より好適には1.3ないし2.0mmが使用可
能である。各実施例では1.5mm厚のイエローガラス
及びOHAガラスを使用し、有効径は55mmとした。
これらガラスは化学強化処理を行った。具体的には、硝
酸カリウム溶液に15ないし16時間浸漬した。強度の
確認は次の方法によった。各実施例により作成した試料
を用いてそのガラス面へドロップボール落下テストで行
った。重さ66gの鋼球を高さ1.3mから落下させ
た。結果は破損がなく、ヒビ割れの発生もなかった。ま
た、一般に使用される両面マルチコートの実施をすべき
である。方法としては片面3層のアンチ・リフレクショ
ン、いわゆるARコートを施すことが望ましい。可視光
の透過率を上げる効果が期待できる。なお、後述する各
図における透過率データはこのコートが未処理段階での
測定値である。
【0012】保護眼鏡はアダプタ装着用フレーム16を
内側に装着し、アダプタ取付部材10がこれに取り付け
られる。図3はこの状態を示し、保護眼鏡の内側に挿入
されるフレーム16にはアダプタ取付部材10がボス1
1により外れないよう取り付けられている。フレーム1
6の中央部分は開口17がありその周辺部に鍔12、鼻
梁部分9、ボス穴11からなる。また、鼻梁部分9が保
護眼鏡本体の中間で左右対象に、図示されない開口、ボ
ス穴、鍔が同様に配置される。
【0013】図4は取付部材10がフレーム16に下か
ら上へ装着された状態を示す一部切欠した断面図であ
る。さらに、このアダプタ取付部材10のネジ部分14
とアダプタ本体1のネジ部7により着脱自在に取り付け
られる。周縁部15は開口17へ差し込まれる円周部分
である。開口17の穴サイズは周縁部15部分により決
定される。しっかりと嵌着すべきである。さらに、フレ
ーム16は保護眼鏡13に挿入され使用される。保護眼
鏡から落下しないよう鍔12、鼻梁部分9、開口17等
で嵌着されるようはめ込まれる。必要により熱融着、接
着、その他の嵌合で取り付けておくことが望ましい。
【0014】また、フレーム材質は保護眼鏡より硬度の
高い材質から成形すべきである。例えば、ABS樹脂が
望ましい。保護眼鏡本体のバンド、汗取りその他の部分
はやや軟質に作成する。顔面によくフィットさせるため
である。眼鏡本体の材質としては比較的柔軟な耐熱性の
高い樹脂が適当である。例えば6ナイロン、66ナイロ
ン等のなかから柔軟なデュポン社製の耐熱樹脂(商品名
Zytelザイテル)を使用した。
【0015】さらに、保護眼鏡本体は少なくとも眼の周
縁部分でレーザー光からの遮光対策が望ましい。これに
はアルミニウム等の金属粉末からなるレーザー光吸収剤
を予め樹脂ペレットと混ぜ射出または押し出し成形する
とよい。分散された金属微粒子によるレーザー光遮断効
果は混合する金属の種類、混合比率等で実験的に選択可
能である。また、これらと併せてフレーム16のレーザ
ー光からの遮光対策が望ましい。方法としては同様な金
属微粒子の使用が可能である。なお、レーザー光の吸収
が必要で、反射にあっては他の第三者への被爆の危険を
回避し得ないからである。
【0016】眼鏡本体には必要な防曇、換気処理のため
の多数の通気孔が設置可能である。例えばフレーム16
と眼鏡本体が重なる部分、すなわちアダプタ周縁に接す
る部分に本体側に通気孔を形成するとよい。この場合に
は重なる部分の通気は十分確保されていることが必要で
ある。
【0017】つぎに、保護眼鏡アダプタ及び積層ガラス
の作成について具体的に説明する。保護眼鏡の外側(フ
ロント側)には熱吸収ガラス(同社製、以下OHAガラ
スという)5を配置した。また、内側(リア側)には大
阪眼鏡硝子社製のイエローガラス(型式Y49.5、こ
こでYはイエロー、49.5は透過限界波長の数値の上
2桁の数値nmを示している。)3を配置した。
【0018】OHAガラスを用いたのは、特に軍事用等
で目標物までの距離測定、強力レーザーに対して効果が
期待されるためである。また、医療用メスにもB−YA
G−レーザー(1064nmの赤外線)光を利用した装
置等での利用のためである。この波長域は人の眼で識別
できない。また、直接眼に入ると網膜の損傷で失明の危
険が高い。OHAガラスの使用はこの波長域でのレーザ
ー光の吸収が可能である。イエローガラスを用いたのは
特に視感度の点に着目したためである。この結果好まし
い結果が得られた。人の網膜は505nm付近と550
nm付近の2カ所に視感度のピークが存在していること
が知られている。そこで、黄色光学ガラスで490nm
付近以下の波長をカットすることにより、眼の識別機能
を最大にすることに着目した。
【0019】これらのガラス間に透明樹脂層4をそれぞ
れ配置しそれらを2液性の透明度の高いエボキシ系接着
剤で接着した。透明樹脂層はセルロース系フィルムを使
用した。セルロースアセテート系フィルムの透明な強化
膜を使用した。その使用目的はガラス強度の補強であ
る。また、光路上OHAガラスの次に配置することによ
り、膜自体へのレーザー光の直接照射を回避した。膜の
厚さは0.1mm以下が適当であった。本実施例では、
0.08mmの膜を使用し透明樹脂層4を形成させた。
【0020】図5は本発明の保護眼鏡の効果を理解する
ための説明図である。すなわち、保護眼鏡への光の入射
とその光を被爆する眼との位置関係が示されている。一
般に保護眼鏡は双眼で各瞳間の距離は65mm、瞳径1
0mmとされている。また、保護眼鏡の窓部分の有効内
径は50mm、瞳との間は25mm離間している。した
がって、右の瞳からは図のAの入射光ないしBの入射光
が各窓部分から入ってくる。この各々の角度は瞳から垂
直のいわゆる法線方向から約45度及び約70ないし7
5度の広がりが認められる。これは、地平線方向の場合
であり、他の上下方向等はこれより少なくなる。また、
眼鏡本体の厚み等もあ。本発明では特性として最大70
度での評価で充分であることが確認できた。したがっ
て、図6ないし図11はそれを前提とした実施例の測定
結果である。各実施例について上記入射角の最大値70
度ないし0度での比較結果を示した。
【0021】図6、7は実施例1の保護眼鏡の透過率曲
線を示している。図6は比較例についての法線に対して
入射角0度の透過率曲線である。もともとIRコートは
0度を条件として設定された結果がでている。しかし、
紫から青色の波長域のカットはなく、野外での用途とし
ての遠景識別力が弱く致命的な欠陥が見られる。図7は
比較例についての法線に対して入射角70度の透過率曲
線である。不規則なカーブでしかもピークが70%まで
低下している。1064nmの透過率は26.4%もあ
り、レーザー光のカットは不可である。強力レーザー光
であれば失明の危険があり使用は極めて危険で実用的で
ない。
【0022】実施例2 表1のBの組み合わせからなる積層ガラスを用いた。ま
た、このガラス層を用いたアダプタは実施例1と同様に
仕上げた。ガラス間に透明樹脂層4として透明樹脂層が
ポリカーボネートの透明な強化膜を用いた。これにより
積層ガラス2は実施例1と同様に作成された。本実施例
では、厚さ0.1mmの強化膜を使用した。
【0023】また、偏光膜の使用も検討された。しかし
ながら、偏光膜の使用は可視光域での透過率平均はこれ
ら樹脂膜に対し、約35ないし40%となり暗くなって
しまう。このような欠点があっても双眼鏡にあっては集
光能力との相殺により視野の明るさを確保できる。この
他、図5の説明図にもあるように保護眼鏡では画角の広
さの要請もあり、結論としては双眼鏡とは異なり偏光膜
を用いた偏光フィルターの使用は適当ではない。
【0024】さらに、従来、単独でのポリカーボネート
はレーザー光での使用に否定的であった。耐熱性が劣る
ためレーザー受光面の溶融、貫通孔の発生、透明性の低
さ等の点で不適当とされていた。しかしながら、本発明
者等は適当なガラスとの組み合わせにより使用を可能と
した。
【0025】光路上からOHAガラスを選択し、後にポ
リカーボネートを配置した結果、薄くでき、透明性の向
上、レーザー光への対処はOHAガラスに依存するとい
った方法によった。この結果、1枚のガラスに比較して
強度面、耐衝撃性、耐レーザー光遮断特性の画期的な改
良を実現し得たのである。
【0026】さらに、用途面から偏光フィルターの使用
によるさらなる欠点にも着目した。前述したように、偏
光フィルターは実際の使用時に偏光膜を回転し偏光面を
調整し反射光をカットする必要がある。これに対して保
護眼鏡にあっては集光性がほとんどないことと相まっ
て、かかる必要性が少ないか、ほとんど必要ではない。
また、通常、保護眼鏡は双眼である。しかも偏光フィル
ターも2つ用意することになる。この結果、偏光フィル
ターの同期した回転が必要となり、構造的に複雑となら
ざるをえない。このような理由から偏光フィルターの使
用は本発明の目的に合致しない。さらに、本発明の保護
眼鏡は野外、特に、軍事用途での性能面、強度面に好適
なものであった。
【0027】図8は実施例1、2の法線に対して入射角
0度の透過率曲線である。シャープに紫から青色にかけ
てほぼカットされており、1064nmの透過率は2%
未満であった。実用上安全性は十分確保されいるといえ
る。図9は実施例1、2の法線に対して入射角70度の
透過率曲線である。ピークの透過率は低下しているが紫
から青色までのカットを達成している。図8とほぼ相似
した形であり、正面視野との極端な乖離はなく、また、
1064nmの透過率は小さすぎて測定困難なレベルで
あり使用に好適であった。
【0028】実施例3 表1のCの組み合わせからなる積層ガラスを用いた。透
明樹脂層はセルロースアセテート系フィルムの透明な強
化膜を使用した。また、このガラス層を用いたアダプタ
は実施例1と同様に仕上げた。前記実施例1、2に対し
てIRコートの使用の可否について検討を行った。これ
は、ガラス間に配置する透明樹脂層の熱負荷やより高出
力のレーザー照射に耐えるアダプタを得るためである。
配置の順序はフロント側ガラスをイエローガラスとしそ
の裏面にIRコートを付加し、さらに透明樹脂層、OH
Aガラスとすることで実現した。IRコートの厚みは約
10μとした。
【0029】
【表2】
【0030】表2はIRコート及びOHAガラスに入射
した光の透過率の関係をいわゆる画角の依存性について
検討したものである。各材質毎、両者を組み合わせた場
合の透過率を表している。また、入射光の法線からの角
度について透過率を表した。使用したOHAガラスは
1.5mmの厚さである。入射光の角度により光路長が
変化する様子を示したものである。図5に示したように
保護眼鏡(ゴグル)への光の入射角度は両眼に平行な面
が最大で各瞳で0ないし約70度の範囲となっている。
例えば、波長1064nm、ガラス厚さ1.5mmで熱
線の透過率は入射角0度でIRコートのみで約0.2%
で非常に高い効果が認められる。しかし、入射角70度
で約26.4%、入射角80度では約30.6%と高く
なってくる。これを減らすにはOHAガラスの併用がよ
い。これにより入射角0度で約0.006%、70度で
約0.001%、80度でほぼ0%と飛躍的に透過率を
下げらた。
【0031】この結果、光源位置が不明、強度未確認、
可視光ではないといった不特定、危険性が高い場合や、
レーザー光による測距の場合には安全に、心配せずに作
業ができるといった顕著な効果が期待できる。透明樹脂
層への影響については、同様に角度依存性がある。ガラ
ス面に垂直に立てた法線の放射方向に45度内の光では
約99%が反射もしくは干渉により減衰した。この結果
直接の照射を大幅に回避できることが確認された。
【0032】また、IRコート自体の特質としてレーザ
ー光吸収型ではないため、OHAガラス間との急激な熱
膨張による剥離や破損から保護することができる。さら
に、同様に法線の45度ないし52.5度(基準画角で
105度)までのIRコートの通過光は最大で20%近
く透過するが、この後に配置されるOHAガラスの吸収
により最終的には約0.02%以下の透過に押さえられ
る。その比は1000倍の改善である。
【0033】さらに、IRコートとOHAガラスの重畳
効果を見ると、例えば、同様45度の範囲内では光は最
大でも0.007%の透過でしかない。実質的にはほぼ
ゼロといえる驚異的な改善効果が期待できる。当然なが
らIRコートをガラス接合面としたためひっかきキズ、
剥離の危険性も回避できる。
【0034】入射光に対する特性は、透過しない成分は
すべて反射及び干渉により減衰し、結果としては熱線吸
収による発熱、他の部材への放熱が非常に低いことが認
められた。なお、OHAガラスはこれに対し吸収型とい
える。このような特性から本発明ではIRコート面は接
合面内側とした。この結果剥離の危険性回避とOHAガ
ラスへの熱線透過を軽減できる。また、これを用いたガ
ラス層及びアダプタは実施例1と同様に仕上げた。
【0035】実施例4 表1のDの組み合わせからなる積層ガラスを用いた。ガ
ラス間に透明樹脂層4を設け、材質としては透明なポリ
カーボネートの強化膜を用いた。また、このガラス層を
用いたアダプタは実施例1と同様に仕上げた。実施例3
に対しては、ポリカーボネートをアセテートに代えて実
施した。この結果、実施例3と同様の結果が得られた。
実施例1,2に比較して、さらにこのコートにより熱線
吸収効果を増加させた。
【0036】図10は実施例3、4の法線に対して入射
角0度の透過率曲線である。図8と類似しシャープに紫
から青色にかけてほぼカットされており、可視域の透過
率はやや劣るが、800nm以上はほとんどカットされ
ている。1064nmでほぼ0となっており、理論的に
も1万分の6.88%程度で極めて高い安全性が認めら
れた。図11は実施例3、4の法線に対して入射角70
度の透過率曲線である。図8または図9と類似した傾向
にある。また、1064nmの透過率は小さすぎて測定
困難なレベルである。
【0037】
【表3】
【0038】表3は本発明の保護眼鏡及び従来の保護眼
鏡についての比較実験例を示したものである。前者は本
発明の積層ガラスを装着した場合の実施例であり、後者
は比較例として従来例で表1にガラス層の構成を示し
た。いわゆる白板ガラスへIRコートを施したものであ
る。無色の板ガラスで、一般にはソーダライムガラスで
ある。純度は高い。なお、項目によっては実験的な困難
さがあり比較のコメントにとどめておいた。
【0039】結果から見ると、比較例に対し機械的に
も、光学的にも優れた結果であった。表3でほぼ明らか
であると考えられるが若干加えておきたい。紫色から青
色カットについての効果が比較例に比べ顕著であった。
一般に光は空気中の微粒子または空気の分子により散乱
し、その強度は波長の4乗に逆数に比例することが知ら
れている。したがって、短い波長の光ほど散乱しやす
い。例えば、短波長の紫(400nm)と長波長の赤
(700nm)とを比較してみると、光の散乱強度は約
9.3倍となり紫の方が散乱しやすいことが理解され
る。本発明においては、このため遠距離視界において短
波長の光の散乱が大きな障害となりこの改善効果が極め
て高いことが実験的にも確認された。レーザー光カット
では表3及び図7にあるように、比較例は入射角が大き
くなると使用はできない。これは前述した理由による。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、操作
が迅速、簡単に行うことができ、装置が簡単、保守が容
易等のレーザー遮光性を有する保護眼鏡用アダプタを提
供できる。具体的には、主としてレーザー光から眼を保
護する保護眼鏡である。特に保護眼鏡特有の画角が広く
求められるがこれに十分な効果が発揮できる。さらに、
保護眼鏡に装着される保護眼鏡用積層ガラスに特徴を有
することから、野外での使用に適した保護眼鏡である。
特に、軍事用等で使用に耐えるレーザー光からの眼を保
護するとともに、可視光透過効率、遠景解像度が高く、
距離測定の容易さ、地平線での識別機能等の向上といっ
た効果が期待される。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保護眼鏡用積層ガラスの一部を省略し
た側面断面図
【図2】保護眼鏡用アダプタ本体の一部断面を示す側面
【図3】本発明のアダプタ取付部材の部分平面図
【図4】保護眼鏡及びフレームに装着されたアダプタ取
付部材の一部切欠側面断面図
【図5】瞳への光の入射と保護眼鏡の関係を示した概略
説明図
【図6】比較例の入射角0度についての透過率曲線
【図7】比較例の入射角70度についての透過率曲線
【図8】実施例1、2の入射角0度についての透過率曲
【図9】実施例1、2の入射角70度についての透過率
曲線
【図10】実施例3、4の入射角0度についての透過率
曲線
【図11】実施例3、4の入射角70度についての透過
率曲線
【符号の説明】
1 アダプタ本体 2 積層ガラス 3 リア側ガラス 4 透明樹脂層 5 フロント側ガラス 16 アダプタ取付部材 13 保護眼鏡本体 16 フレーム

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】積層ガラスが外から順に熱吸収ガラス、ア
    セテート、ポリカーボネートから選択された透明樹脂膜
    層、イエローガラスの3層から形成され、これら接着さ
    れた前記ガラスをアダプタ取付手段に装着するととも
    に、前記取付手段をフレームを介して眼鏡本体に嵌着さ
    せるレーザー遮光性を有するレーザー遮光性を有する保
    護眼鏡アダプタ。
  2. 【請求項2】積層ガラスが外から順にイエローガラス、
    アセテート、ポリカーボネートから選択された透明樹脂
    膜層、熱吸収ガラスの3層から形成され、これら接着さ
    れた前記ガラスをアダプタ取付手段に装着するととも
    に、前記取付手段をフレームを介して眼鏡本体に嵌着さ
    せるレーザー遮光性を有する保護眼鏡用アダプタ
  3. 【請求項3】前記イエローガラスの透明樹脂層側にIR
    コートを施した請求項2記載のレーザー遮光性を有する
    保護眼鏡用アダプタ。
  4. 【請求項4】前記ガラスが化学強化され、それら強化面
    が積層ガラスの外面側に配置された請求項1及び3のい
    ずれか記載のレーザー遮光性を有する保護眼鏡用アダプ
    タ。
  5. 【請求項5】眼鏡本体用の各樹脂にレーザー光遮断用金
    属粉末を加えた請求項1及び5のいずれか記載のレーザ
    ー遮光性を有する保護眼鏡用アダプタ。
  6. 【請求項6】前記イエローガラスと熱線吸収ガラスとの
    厚さが2.5ないし4.0ミリメートルとした請求項6
    記載のレーザー遮光性を有する保護眼鏡用アダプタ。
  7. 【請求項7】前記眼鏡本体の前面がABS樹脂からな
    り、その周囲部がアルミニウム粉末を加えて成形された
    耐熱樹脂から形成された請求項1及び6のいずれか記載
    のレーザー遮光性を有する保護眼鏡用アダプタを備えた
    保護眼鏡。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7901074B2 (en) 2004-12-28 2011-03-08 Yamamoto Kogaku Co., Ltd. Lens for safety glasses
CN104898295A (zh) * 2015-06-18 2015-09-09 万新光学集团有限公司 一种具有气凝胶隔热保护膜层的工作眼镜及其制作方法

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